何番煎じの転生物
ちょこぉっと本気出して書いてみる
取り敢えず何巻まで書くかは気分次第ってことで
目を覚ますとそこには白い空間が広がっていた。
そこには風もなく、光もない、命の欠片さえも感じられないようなそんな無機質な『何か』の中にいた。
「ここは?」
見回せば見回す程焦りが出てくる。
何に巻き込まれた?国の根幹を揺るがすようなテロ?世界すら破壊する兵器の小規模実験?
荒唐無稽な考えが頭をよぎる。
考えることすらままならない状態で今の自分の状態を、否、『歪さ』を認識するのは到底無理だった。
「落ち着きなよ、少年」
目の間にでて来たのは少年の様な、かと言って幼さを感じさせない老人の様な、男のような、それでいて女の様な曖昧な『モノ』が立っていた、置かれていた、座っていた、浮いていた、沈んでいた。
「君は一応冷静な部類の人間だと思っていたけど…いやはやなかなかに慌ててるじゃないか」
「当たり前だろ、こんなトコに閉じ込められて冷静でいられるわけ無いだろ」
言葉が尖る、鋭くなった言葉は『モノ』の耳らしき場所には全くと言っていいほど届かなかった。
「フム、この空気でよく僕につっかかるね、いやはや俺は感心したよー」
我にそんな言葉使うやつなんか見たことないから興味深かい、そう言って『モノ』は大きく手を振りあげた。
「喜べ、人間」
「君は吾に気に入られた」
「だから私が少しいい物をア ゲ ル」
『モノ』はそういい終えると手を振りおろした。
世界が終わる、始まる、明るく、暗く、変わり、停滞する。
口が軽く、脳ミソが回る、体が動いて、目が冴える。
獲物を欲する獣のように腕は空を切った。
水を得る事ができた獣のように体が癒された。
「少年、『コレ』は今から君の入った別の物語になる」
『モノ』は語る、言う、喋る。
「貴方がどう動こうが勝手ですが、お前も『コノ』世界の住人になることを忘れてくれるなよ?」
体は理解している、それなのに頭が理解しきれていない、否、覚えていない
「テメェの望んだ物は直ぐに手に入るはずだ。それまで静かにするか、騒いでことを動かすかは自分の知ったこっちゃない」
あの短い時間の中で何があった、何が起こった。
それすら分からない。
「さて前座は終わり、クライマックスまで精々楽しんでくればいいと思うべさ」
そう言うと『モノ』がいた空間が煙のように、幻想のように、元からなにもなかったかのように消えた。
そして薄れゆく景色の中で理解した。
「俺………死んでんじゃん」
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