2020-02-25 20:16:36 更新

概要

オリジナルss 王都についた一行、散策の途中である事を耳にする。


首都リーネ 大通り


西通りを散策し終わり、夕刻前に差しかかろうとしていた。旅人御用達の道具はどれも品揃いがよく、色々目移りしてしまうほどだ。


中でも冷気の出る魔法を使ったクーラーボックスというのがとてもおもしろかった。魔力を蓄積させた魔石があればその箱の中は1日中冷気が保たれるという。


生の食材を処理もなしで保存できるというのが画期的だと思った。


けれども東通りで予想外に食べすぎてしまったため、数本の回復薬と解毒薬を買える金しか残ってなかったので断念した。


まぁそもそもここに長居する気はないのでいらないのだが、新鮮なものに目が移れば不思議と欲しくなってしまうものである。


グレン「さて、そろそろ王宮に向かうか」


ナル「うむ」


確か王城門の兵にカイゼルの名前を出せばいいんだっけか。地図によれば中央広場から真っ直ぐ北に行けば王宮前につくみたいだ。


「困ったわねー...」


すると広場にいるおばさん2人がなにやら神妙な顔で話し込んでいた。少し気になり耳をすます。


「教会にいった騎士様たちがまだ戻ってこないなんて...」


「そうねぇ、行って戻ってくるのに3日もかからないと思うんだけど...」


教会...リーネの近くの教会といえば最北にあるノイス聖堂だろうか。ここからだと馬車を使って1日程度で着くはずだ。それが3日も帰ってこないとなると少々不穏なにおいがする。


まぁ単に寄り道してるだけかもしれない。あそこの近くには海もあるしな。


だがこういう時の勘は嫌になるほど当たる。それは自分が勇者という厄介な性を持っているが故だろう。ようは巻き込まれ体質なのだ、勇者は。


ナル「マスター?」


グレン「いや...行くか」


まぁなるようになるか。元々教会には行く予定だったからな。


ーーーーーー


中央広場を抜けて真っ直ぐ進み、やがて王城門が見えてきた。その傍らには2人の兵が警備しており、俺が近づくとすかさず剣の柄を握った。


門の兵「止まれ!許可なき者はここから先は通せないぞ!」


グレン「騎士団長のカイゼルに呼ばれてきたんだが」


門の兵「っ!!これは失礼しました。レン様とナル様ですね。どうぞお通りください」


サッと引き下がり門を開ける。その中を進むと1人の騎士が待っていた。


騎士3「お待ちしておりましたレン様」


グレン「あんたはカイゼルと一緒にいた...」


俺が最初に剣を奪ってやった騎士くんだった。


騎士3→オリス「はい、名をオリスと申します。あの度は失礼なことを...」


オリスは深々と頭を下げようとしてきたが俺はそれを手で制止した。


グレン「任務中だったんだろ、気にすることはない。改めてよろしくな」


右手を差し出し、握手を交わす。


オリス「は、はい!実は俺、レン様の強さと美しさを間近に見て、密かにファンになっちゃったんです。こうして握手してもらって、すごく嬉しいです」


グレン「え、あぁそう...」


正直ファンやらなにやらは懲り懲りなんだが。なにせ勇者の肩書きをもっていたからな、大きい国に行けばそれだけで人が大量に集まってくる。一々相手にしてたら疲れてしまう。


後なんか今までに向けられたことのない視線を向けれている気がする。なんだがムズムズしてきた。


オリス「では、こちらについて来てください」


王宮の中に入り、石畳の上を歩いていく。しばらく着いていくとやがて階段を登り、客室へと案内された。



中はソファーでテーブルを囲んでおり、いかにも金持ちがするであろう部屋だった。色々小物の魔道具があること以外は年月が経ってもあまり変わらないものだな。


オリス「どうぞ座ってお待ちください、今団長を呼んできます」


グレン「わかった」


ナル「のだ!」


ナルが俺の言葉の後に重ねてきた。それは返事なのか?


返事をするや、ナルはソファーに倒れ込みテーブルにあるお菓子を貪り始める。どうやら遠慮というものを知らんらしい。


ナル「んんー!マスター!このなにやらぼりぼりしたもの甘くて美味いのだ!」


グレン「それは多分飴か?こんなカラフルなのは見たことないが。後それは噛み砕くものじゃなくて口の中で舐めるものだ」


ナル「そうなのか?でも舐めているのもどかしいのだ」


といいつつまったく舐める気はなくぼりぼり噛み砕いていく。まぁ食べ方なんて人それぞれだからいいんだが。人じゃないけど。


グレン「どうでもいいけどそんな無防備な体勢だとパンツ見えるぞ」


そう言った途端ナルの動きが一瞬固まる。そしてこちらを妙な眼差しで見つめてくる。


グレン「な、なんだよ」


ナル「マスターはでりかしーがないのだ...まぁマスターだし、許してやるのだ!」


なんか勝手に許されたが俺なにかしただろうか。


ナル「ふふ、仕方のないマスターなのだ...そんなにわたしのパンツが見たいのなら素直に言えば良いのに」


グレン「別に見たくないんだが」


ナル「なにぃー!?ほ、ほんとは見たいのだろう?ほれほれ、ひらひらーって、どうじゃ!?唆るだろうマスター!」


スカートの裾を掴んでギリギリ見えない程度にたくし上げてくる。チラチラと健康的な太ももが見えて唆るか唆らないかでいえば前者だが、その分鬱陶しいのでプラマイゼロだ。


グレン「あーわかったからそれやめろ。誰か入ってきたらどうするん...」

カイゼル「待たせたなレン殿、今...」


絶妙なタイミングでドアが開きカイゼルが顔を出す。だが目の前に映っていた光景は側からみれば少女にスカートをたくし上げさせている姿を見る変態の図だった。タイミングが最悪である。


カイゼル「...邪魔したようだな」


グレン「おい待て、それは違うだろ!?」


カイゼルを必死に止めて話を聞いてもらうように試みる。


だがカイゼルはわかっているとばかりにうんうんと首を縦に振る。


カイゼル「安心するといい、かの勇者殿が少女好きの同性好きでも私は幻滅しない」


グレン「おい!あんたわかっててからかってるだろ!」


カイゼル「ふっ、バレたか」


カイゼルはいたずらっぽく笑う。第1印象では超真面目そうだったが、案外素はおちゃらけているのかもしれない。


するとハッと何かを思い出し真面目な仕事モードに戻る。


カイゼル「ごほん...レン殿。申し訳ないが王と謁見してもらいたいのだが、いいだろうか」


グレン「それは別にいいが...俺たちの事はどれくらい話したんだ?」


カイゼル「炎竜討伐の手助けをしてくれた凄腕の旅人と報告した。200年前から来た勇者やそこのナル殿が神剣とは言ってはいない、ややこしくなりそうだからな」


そりゃ助かる。仮に嘘偽りなく報告したとしても信じてくれないとは思うが素性を隠せるのは都合がいい。


グレン「悪いな、嘘の報告をさせて」


カイゼル「とんでもない。貴殿の頼みなら喜んで聞こう」


王の謁見か...最後にしたのはいつだったかな。正直めんどくさいが色々反感を買いたくないので真面目にやるとするか。


おっと、その前に


グレン「ナル、お前はここに残れ」


ナル「な、なんでじゃー!わたしはマスターと離れたくないのだ!」


カイゼル「ナル殿も連れて行ってもよいのでは?」


グレン「いや、こいつ人間の世界の礼儀一切知らないし...この部屋に入ってすぐさまお菓子貪るようなやつだぞ。なにか余計なことして変に目をつけられるのがオチだ」


ナル「むむ、失礼だなマスター。わたしだって礼儀の一つや二つ心得ているのだ。まぁマスター以外に頭を下げるなど絶対に嫌だがの!」


グレン「よしカイゼル、案内してくれ」


カイゼル「承知した」


ナル「ぬぉーい!無視するでないわー!」


ーーーーーーーーーー


ぷんすか文句言っているナルを置いていき、カイゼルの後ろをついていった。謁見の間の扉の前には屈強な騎士たちが配備されていた。おそらく騎士団のなかでもオリスと比べると上の実力者だろう。


カイゼル「ところでレン殿、失礼だがその...王にタメ口はしないでくれると助かる...うん」


グレン「するわけないだろ。これでも勇者だったんだ、王の謁見なんて慣れたもんさ」


カイゼル「左様か」


ギギィと音を立てて扉が開き中に進んでいく。そこの玉座に王様と思しき人物か座っていた。歳は50くらいだろうか、いかにも王様って感じの風貌だった。


カイゼル「陛下、連れて参りました」


「うむ、ご苦労だなカイゼル」


カイゼル「はっ」


俺は左膝だけを地に着くようにしゃがみ込み、頭を下げる。


グレン「お初にお目にかかります陛下。私はグレ…レンと申します。以後お見知り置きを」


王様は立ち上がりこちらをみた。警戒しているとかそういう類の視線ではなさそうだ。


ローランド「私はゼノギア国の王、ローランド=ヴァーミリオンだ。お主が炎竜討伐の手助けをしてくれたらしいではないか。相当な実力があるようだな」


ヴァーミリオン...俺の名字だ。両親はあの頃には死んでたし、子孫なんてことはありえないから名字だけ受け継いできたのだろう。


ローランド「お主にはその貢献により、報奨金を出そう」


グレン「はっ、感謝致します」


ローランド「それともう一つだな...」


これで話が終わるのだろうとは思っていなかったがやはりまだ続きがあった。


さっきまでの雰囲気とは違い、少し空気が重くなる。


ローランド「お主の実力を見込んで、頼みたいことがある」


グレン「...頼みたいこととは?」


ローランド「うむ...」


王様はしばらく考え込み、どうにも迷っているようだ。こんな素性もハッキリしない者に言ってもいいのか、とかそんなもんだろう。


まどろっこしいのであえてこちらからふっかけてみる。


グレン「もしかして、ノイス聖堂のことでしょうか?」


ローランド「っ...!何故それを」


やはりか、あのおばさんたちがやけに心配そうに話してたからな。この様子じゃ公にはなっていないのだろう。


いや...そもそも状態がわかっていないのかもしれない。


グレン「偶然町の人の騎士たちが3日間くらい帰ってきていないという話を聞きまして。憶測で聞いてみただけなのですが」


ローランド「うむ...そうだ。その件で頼みがある。その聖堂のことだが...ーーーーー」


ーーーーーーーーー


話を要約すると、リーネと教会の間で1ヶ月に1回定期連絡をし合うらしいのだが、定期連絡の日になっても未だ音沙汰がないという。


こんなことは初めてですぐに騎士団を派遣したがその騎士たちもまだ戻ってきていないこと、更に先日の森の件で(俺と炎竜との戦いで)足止めを食らってしまい、状況が一向に進まないのだという。


元々は森の件を片付けた後でカイゼルが向かうはずだったのだがそこで炎竜と出会ってしまい、やむなく帰還してしまった。


大体こんなところだろうか。


ローランド「それでお主とカイゼルでノイス聖堂に出向いてほしい。考えたくはないが、最悪な状況もありえるのでな、強い者がいた方がいいと判断した」


グレン「左様ですか」


ローランド「もちろんそれなりの報酬は出そう。引き受けては貰えないだろうか」


グレン「……」


思うんだがここで断れるやつははたしているのだろうか。こんな状況じゃなきゃ御免被りたいがカイゼルにも世話になったため内心渋々受けることにした。


グレン「...承知しました」


ローランド「おお!そうか、それはよかった。では、頼んだぞ」


まったく、何故こうも次々と問題がつきまとうのか。気が休まる暇がない。


ーーーーーーーー



謁見の間を出て再び客室に戻ってくる。ドアを開けるとナルがだらしなくソファーで伸びていた。


ナル「おー...おかえりなのだマスター...」


力なく手をフリフリと振り、出迎える...相変わらずの寛ぎっぷりである。


グレン「仮にも女の子なんだからもう少し礼儀正しくしないか?」


ナル「ふっ、マスター以外に礼儀正しくはしないのだぁ...」


いつ俺に礼儀正しくしたんだよ。


カイゼル「はっは、ナル殿は自由奔放だな」


グレン「だらしないだけだ」


こんな神様は放っておき、依頼について話を進める。


グレン「とりあえず、ノイス聖堂の状況を確かめてくればいいんだよな?」


カイゼル「ああ...悪いな、本来ならば私一人で行くべきなのだが」


と、少し申し訳なさげな表情をする。責任感が強いというか、クソ真面目というか。


グレン「いいって。そもそも俺らも教会には用があるんだよ」


カイゼル「用、とは?」


グレン「ナルに今神力がないってのは知ってるよな?教会には神力が封じ込まれている聖水があるはずだからな。それを少しもらおうかと思って」


各大陸にある教会は天使が作ったと言われている。そこにある聖水を飲めばナルの神力も回復するはずだ。後はナルの神力が溢れ出るのを止める策を何かしら教えてもらおうと。


まぁ後は俺の神力も取り戻さないとな。


カイゼル「そうか、ならば支度して向かうとしようか。念のため西通りでなにか...」


グレン「そこは大丈夫だ、昼に準備は済ませておいたさ」


カイゼル「そうか。随分と用意がいいな。レン殿はこうなることをわかっていたのか?」


グレン「まぁな...なんとなく嫌な予感がして、こういう時の勘って結構当たるんだ、何故だかな」


本当は当たってなんかほしくはないんだが...もはやこれは呪われた運命なのかもしれない。


カイゼル「では、出発は明朝にしようか。今夜はゆっくり休むといい。後で部下に寝室を案内させよう」


グレン「あぁ、助かる」


カイゼルは部屋を後にし、再びナルと二人きりになる。だからってどうということはないんだが...


ナル「ふへー...」


話している間もソファーに寝転がっていてぐうたらしている。こんな姿して神様なのはどうなのだろうか。ただのぐうたら娘ではないか。


グレン「おい、あんま寝てると夜寝れなくなるぞ。明日早いんだからな」


ナル「んー...あと5年...」


グレン「長すぎだろ、いいから起きろ」


ナル「いだだだだだ...うへぇ...痛いのだぁ...」


ほっぺをつねり眠気を覚まさせる。しかしナルのほっぺは餅みたいに伸びるな。少し面白い。


ナルはつねったほっぺを手でスリスリしながら不機嫌そうに起き上がる。


ナル「酷いのだ...もっと寝たかったのに」


グレン「明日置いてかれてもいいなら寝ててもいいぞ」


ナル「うん、起きるのだ」


グレン「賢明な判断だ」


それからナルと今日食べた物の感想やこの国の感想など他愛もない話をした中コンコンとドアをノックする音がした。


「レン様、ナル様、お風呂の用意が出来ましたので是非どうぞ」


ドアを開け王城の使用人らしきものが入ってきてそう言った。


風呂か...たしかにここにきてから入ってなかったな。というか魔王城のある山の前の町以来入ってないな。


ナル「おー!お風呂とな!?入るのだー!」


ナルが意外にも喜んでいた。いや、見た目は女の子なのだからもしかしたらお風呂が好きなのかもしれない。入ったことはないはずだけど。


グレン「それじゃ、案内してくれ」


「かしこまりました。こちらへどうぞ」


俺は使用人へ着いて行き、ここ最近の疲れを取るべく、風呂場へと向かった。



ーーーーーーー

ーーーーーーー

ーーーーーーー


お風呂場


グレン「ふぅー...気持ちいい...」


王城の浴場に案内された俺は身体を洗い終え、湯船に浸かった。浴場は広く、1度に何十人も入れそうな感じだった。多分王城で仕えてる使用人たちも利用するのだろう。


風呂にゆっくり浸かったのはいつぶりだろうか。ここ最近の疲れが体から剥がれ落ちている感覚、とても心地がいい。


しかし女の身体とは妙に不思議なもんだ。華奢だがぷにぷにしていて触り心地がいい。胸は大きくはないが男の身だった俺にとってはこのくらいでも邪魔に感じる。


そして一番驚いたのが自分の女体にはなにも劣情を感じなかったということだ。


自分でいうのはあれだが俺は女体には免疫がない。少し露出の多い格好の女を見てしまえば狼狽えるほどに...


でも自分の体にはそんなことは起きなかった。体が変わってしまってもやはり自分の身体は自分の身体として認識してしまうものなのだろうな。


決して期待してたわけじゃない、決して。


それはさておき、湯船もあったかくて今にでも眠ってしまいそうな心地よさ、あぁ...これが癒し…


ナル「マスター!背中を流してやるのだー!」


グレン「...........」


そんな安寧を突き破るようにナルが浴場に勢いよく入ってきた。もちろんタオルも巻かず生まれたままの姿で、である。


流石にナルのようなお子様な体型に興味はないのだが仮にも女の子の体である。反射的に目を逸らした。


ナル「あー!もう身体を洗ったのか!?わたしが洗ってやろうと思ったのに!」


グレン「...なんでここにいんだよ」


浴場は男女共に分かれているはずだ。今日は貸切状態なのだがこれは流石にどうかと思う。


グレン「いや違う...ここ女風呂じゃん...そして俺今女じゃん...」


自分で言って気づいてしまった。ここは女風呂、ナルがいてもなんの問題もない。


ナル「ふっ、わたしはマスターと一心同体なのだから一緒に入るのも必然なのだ」


グレン「んなわけあるか!」


反射的に反応してしまいナルの方を見る。しまったと思ったがその目に映ったものを幸か不幸か、目に焼き付いてしまった。


白い肌に華奢だが年相応に膨らんだ胸、金色の髪を上に縛っておりいつもより色っぽくみえる。


普段はだらしないとはいえ、見た目だけはそこらの人より群を抜く美少女である。女体に耐性のない俺はいくらナルの体でも気恥ずかしさのあまりそっぽを向いてしまう。


ナル「どうしたのだマスター...はっ、これは...!」


見えないのでわからないがおそらくナルはなにかを企んだ笑みをしているのだろうか、くすくすと笑い声が聞こえる。


足音が徐々に近づいてきて、やがてナルも隣で湯船に浸かった。


すぐ隣にナルがいる。まずい、これは非常にまずい。なにがまずいって気を抜くとなにがなにしてしまう可能性がある。なにとは言わんが。


ナル「マ、ス、ター...もしかして、わたしの体を見て、こーふんしたのかぁ...?」


グレン「んなわけねぇだろ…」


ナル「ふーん...えいっ!これでどうなのだ?」


背中にぴたっとナルがくっついてくる。僅かに膨らんだ胸が背中にくっつき、柔らかい感触が伝わってきた。


グレン「おまっ、いい加減に...」


ナル「マスターは意外と初だのー、女同士なのだからなんの問題もあるまい。わたしの誘いをことごとく断るからわたしから攻めてやるのだー!」


やばいやばいやばい!さすがにこれは度が過ぎている!このままだと俺はさらに堕天してしまう!


グレン「な、ナルまじやめ、ひぃ!」


ナルが腰にまで手を回し抱きついてくる。体が熱い。もはやナルの体温で熱いのか風呂の温度で熱いのかわからなくなってきた。


ナル「初なマスターも、かわいいのだ♡...ってあれ?マスター?」


グレン「..........!!」


ナルが手を解き俺の顔を覗き込もうもうとしたが、すかさず俺は湯船から這い上がり、脱衣所に猛ダッシュした。


ナル「ちょ、マスター!逃げるなぁー!!」


この日は今まで生きてきた中で一番身の危険を感じた瞬間であった。


ーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーーーー


王宮 寝室



ナル「うぅ...痛い...今までの中で一番痛いのだぁ...」


あの風呂の後俺は先に脱出し使用人に寝室に案内された。それでついさっき寝室に案内されてきたナルに怒りを乗せたげんこつを食らわしてやった。


グレン「それに懲りたら二度とあんなことしないことだな」


むしろげんこつ一発で済ましてあげたのだから感謝してほしいくらいである。


ナル「むぅ...本当は嬉しいかったくせに...」


グレン「なんか言ったか??」


ナル「なんでもないのだ...」


嬉しくなかったといえば嘘になる、というか逆に唆られはしたがそれと節操がないのとはまた別問題だ。


好いてくれるのは純粋に嬉しいんだがな...


グレン「はぁ、もういい。今日はもう寝ろ」


寝室は部屋にシングルのベッドが2つ配置されていた。使用人達は俺らを姉妹かなにかと思っているのか一緒の部屋を薦めてくれた。


まぁ見た目は子どもだし1人で、なんてことを心配してくれたのだろう。年齢的にいえば俺より年上だが。


ナル「ふふ、一緒に寝るかマスター?」


グレン「もう一発くらいたいならいいぞ」


ナル「おやすみなのだ!!」


素早く布団に包まり寝床に入る。先ほどのげんこつが効いたのか従順にいうことを聞くようになった。なんか少し罪悪感が芽生えてきたので明日は優しくしてやろう。


魔道具の照明の明かりを切り、寝床に着く。明日はノイス聖堂へ行く予定だ。十中八九問題が起きているだろうが教会には凄腕の神官がいるはずだ。何者かに襲われたとしてもそう簡単に落ちはしないはず。


だが最悪の状況は想像するべきだ。現地に行って想定外の状況なのでなにもできませんなんて話にならないからな。


ノイス聖堂...ユリハの僧侶として育った場所...


こんな形で行くことになるとは、感慨深いものがあるな。


まぁ色々考えても今できることはない。明日に備えて今日はもう寝よう。


目を瞑り、少しずつ意識が遠のき、俺は眠りについた。 




後書き

前に書いてたものをss風に直して書きました。ほぼ思いつきです、ご了承ください


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