2020-07-07 21:04:47 更新

概要

オリジナルss 「もう勇者やめていいですか?」
番外編
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前書き

オリキャラ簡単紹介

グレン(カレン)
主人公。過去では男、現在はある事情により女へと性転換している。女としての名前はカレン。

ナル
主人公のパートナー。金髪少女。

クレハ
とある事情で一緒に旅をしている赤髪の少女。

過去回想キャラ

ユリハ
主人公の幼馴染み。

ミナ
主人公パーティの女魔法使い。

カル
主人公パーティの男戦士。


番外編

とある街 広場


グレン「街に着いたはいいが、なんかここ賑やかだな」


ナル「ふぉぉぉー!!マスターマスター!屋台が!食べ物がいっぱいあるのだ!!」


クレハ「少し落ち着いてください、まずは宿を取らなければ…」


ナル「待てないのだ!食べ物がわたしを呼んでいるのだー!」ピューン


グレン「おいナル…はぁ、いつになっても落ち着きがないな」


クレハ「ふふっ、本当に子どもみたいですよね」


グレン「ああ、まったくだ」


グレン「(神剣が造られた時期的に同い年なはずなんだけどな…)」


グレン「とにかく追いかけようか」


クレハ「そうですね」


ーーーーー

ーーーーー

ーーーーー


大通り 屋台集


ナル「うまー!これも!これもうまいのだー!」


おじさん「よく食うなお嬢ちゃん…てかお金持ってるの?」


グレン「ここにいたか、て、もう食ってるし」


クレハ「すみません、こちらお代です」


おじさん「おーどうもどうも、あんたたちの連れだったか」


グレン「あぁ、ウチのバカが迷惑かけたな」


ナル「む、バカとは心外なのだ。食欲というのは人の本能でありそれに逆らうのは世に逆らうのと同じこいだだだだ!!?!?」


グレン「お前はまず反省しろ」ギュゥゥゥ


ナル「いらい、いらいのらますらー!ほっへひっはらないれほしいのらー!!」


グレン「……」スッ


ナル「ぎゃぴっ!?はぁ、はぁ…ほっぺが千切れるかと思ったのだ…」


グレン「なにか言うことは?」


ナル「うっ、でも食欲は…」


グレン「え、なんだって?」


ナル「ゴメンナサイ」


グレン「よろしい」


クレハ「ふふっ、ナルが子どもならカレンはお母さんみたいですね」


グレン「っ!やめてくれ…」


グレン「(中身は男だっての)」


クレハ「そんな照れなくても」


グレン「全然照れてない、というかお母さんていうならむしろクレハの方が…」


グレン「あっ…」


クレハ「えっ…?」


グレン「な、なんでもない」アセアセ


クレハ「そ、そうですか…」テレテレ


ナル「……」ジーッ…


ナル「何マスターといちゃついてるのだ」


クレハ「べ、別にいちゃついてません!」


ナル「ふん、マスターはお前なんかには渡さないのだ!」


クレハ「なっ…ナルに言われる筋合いはありません!」


ナル「なんじゃと!やるか!?やるのか!?」


クレハ「ええいいですよ?一から躾けてあげましょうか」ゴゴゴゴ


ナル「ぴぇ…マスター助けて」オロオロ


グレン「知らん、自分でなんとかしろ」


ナル「そんなぁ!?」ガーン


クレハ「覚悟してください、ナル」


ナル「嫌なのだぁぁ!!」


グレン「……」


おじさん「いいのかいほっといて?」


グレン「いつものことだ、気にしないでくれ」


グレン「ところでこの街やけに賑やかだな、何かあるのか?」


おじさん「おや知らんのかい?この街では今、夜星祭をやっているんだよ」


グレン「よるほしさい…?」


おじさん「そう、年に一度夜空に星の川が流れる日でね、それでこんなに盛り上がってるってわけよ」


グレン「へー…」


グレン「(確か500年前にもそんな現象があったな…こんな祭りは無かったとは思うけど)」


グレン「おもしろそうだな」


おじさん「だろ?夜に中央広場で星願の儀があるから行ってみるといい」


グレン「何するんだそれ」


おじさん「おっとこれも知らんか…えっとな」


おじさん「小さな発光魔法石が付いた紙をな、笹っていう植物の葉にくくりつけるんだよ」


おじさん「そのくくりつける時に心の中で願い事をしながら発光魔法石に魔力を込めるんだ、願いを込めるみたいにな」


おじさん「発光魔法石は石ころ程度の大きさしかないから魔力の低い人でも発動ができる、ま、すぐ消えちまうけどな」


おじさん「光が消えた時が、星に願いが届いたっていうコンセプトがこの夜星祭の醍醐味なんだ」


グレン「なるほど…いい祭りだな」


おじさん「だろ?後これは余談なんだけどよ」


グレン「ん?」


おじさん「好きな人と同時に願いごとを込めると、結ばれるっていうジンクスがあるらしいぜ」


グレン「あ、そうなんだ….」


グレン「(なんでだよ)」


ナル「む…なんじゃと?」ピクッ


クレハ「好きな…人と?」ピクッ


グレン「(おっ、急に喧嘩やめやがった)」


クレハ「こほん、その話」ズイッ


ナル「詳しく聞かせるのだ!」ドンッ


おじさん「へ?あぁいいけどよ…」


グレン「程々にしとけよお前ら」


グレン「(ナルはなんとなくわかるがクレハにも好きな…気になるやつがいるのか…意外だな)」


グレン「(まぁ何はともあれ夜まで待つとするか)」


ーーーーー

ーーーーー

ーーーーー



夜 中央広場


ナル「ほわぁー、すごい星なのだ!」


クレハ「ほんと、綺麗ですね」


クレハ「そしてこれが発光魔法石ですね」


クレハ「まぁ私たちに魔力はないんで発動はしないんですけど…」


グレン「魔法石なら神力でも発動するぞ」


クレハ「え?そうなんですか?」


グレン「ああ、何故だかは知らないが」


クレハ「へー不思議ですね…それよりお願い事は決まりましたか?」


グレン「んー…特に無いな…思いつかない」


ナル「わたしはいっぱいお肉とお菓子が食べたいのだ!!」


グレン「決めた、ナルが野菜しか食べられない身体になりますようにっと」


ナル「へぇ!?酷いのだマスター!?」


グレン「冗談だ」


グレン「……」


グレン「(あーやっぱり…あの時見た景色と同じだ)」


クレハ「…?」


クレハ「どうしたんですか?」


グレン「いや…懐かしくてな」


クレハ「??」


グレン「(あの時もこうやって、あいつと見てたっけな)」


ーーーーー


過去回想


とある村


ユリハ『わーすごい!見て見てグレン!星いっぱいだよ!!』


グレン『そうだな…何がそんなに楽しいんだ?』


ユリハ『だってほら、最近野宿してばっかだったし、ゆっくり星空見れるなんて滅多にないでしょ?』


ミナ『今日は特別な日みたいね、ほら、星が川みたいになってるでしょ?』


カル『何が川だよ、ただの星じゃねぇか』


ミナ『なっ、ほんとカル君ムードってもんがないわね!こんなんだからいつも…』


カル『俺様は戦いにしか興味はねぇんだよ。先に宿に戻ってるぞ』


ミナ『ちょ、待ちなさいって!…ごめんグレン君、私カル君追いかけるね』


グレン『ん、なら俺たちも…』


ミナ『い、い、か、ら、2人でしばらく星空見てなさい』


グレン『え、なんで…』


ミナ『……』スッ


グレン『おい待てなんで杖取り出すんだ!』


ミナ『後で、来てね』


グレン『はい…』


ユリハ『あっ…』


ミナ『上手くやるのよ』ボソッ


ユリハ『へっ…!?う、うん…』テレテレ


ミナ『それじゃーね!』タッタッタッ


グレン『なんなんだよまったく…』


グレン『ユリハも疲れたよな、早く宿に』


ユリハ『……』クイッ


グレン『?どうした袖なんて掴んで」


ユリハ『あの、さ、もう少しここに居ようよ」


グレン『…?まぁ、いいけど…』


ユリハ『ほら、そこ座ろ!こっちこっち』グイグイ


グレン『いやそんな引っ張らなくても』


ユリハ『はいここ!座って』


グレン『おう…』


グレン『(一体なんなんだよ…)」


ユリハ『……』


グレン『……』


ユリハ『……』


グレン『……』


グレン『(なんだ…なんで無言なんだ?)」


ユリハ『その…さ』


グレン『え、ああうん…』


ユリハ『ほ、星!綺麗だねー、なんて…』


グレン『そうだな…なぁ、大丈夫か?』


ユリハ「うぇ!?ぜ、全然大丈夫ですけど!?』


グレン『お前なんかおかしいぞ…』


ユリハ『うっ、ごめん…ほら、2人きりになるのって、久しぶりだから緊張しちゃって…』


グレン『俺相手にか?何を今更…』


グレン『……』


グレン『(そ、そういえばユリハって俺のこと…)」


グレン『……』


ユリハ『……』


グレン『ほ、星が綺麗ですね』


ユリハ『…ぷっ、なんで急に敬語…」


ユリハ『しかもそれさっき私言ったし』クスクス


グレン『うっせ』


グレン『(くそ、調子狂うな…)」


ユリハ『はーばっかみたい、グレン相手だもん、緊張する方がおかしいよねー』


グレン『まったくだ、変に気まずくなるから今後はやめてくれ』


ユリハ『うん…そうだね…』


グレン『……』


ユリハ『……』


ユリハ『星…綺麗だね』


グレン『何回言うんだそれ』


ユリハ『ふふ、ねぇ知ってる?お星様ってね、お願い事を叶えてくれるらしいよ』


グレン『なんだそれ、そんなんで叶うわけないだろ』


ユリハ『もー、ロマンがないなぁ…じゃあ仮に叶うとして、グレンなら何をお願いする?』


グレン『仮に、ね…そうだな…』


グレン『……』チラッ


ユリハ『……?』


グレン『いや…思いつかないな』


ユリハ『えー?つまんないなー』


グレン『ほっとけ』


ユリハ『ねーねーなんかあるでしょ?』


グレン『ないない、そっちはどうなんだよ?』


ユリハ『私?私はねー…』チラッ


グレン『…?』


ユリハ『……教えなーい』


グレン『はぁ?人に聞いといて自分は教えないのずるいぞ』


ユリハ『えーグレンも答えてないみたいなもんじゃん!だから教えないの!』


グレン『ぐぬ…それはそうだが…』


ユリハ『ふふ、楽しいなー』


グレン『楽しいか?俺はもう疲れたんだが…』


ユリハ『楽しいよ、ずっとこの平和な時間が続けばいいのに…』


グレン『……』


ユリハ『……』


グレン『…ユリハ』


ユリハ『わかってるよ、大丈夫』


グレン『…ああ』


グレン『この平和な時間がこれからも続けられるように、早く俺たちの目的を果たさなきゃな』


ユリハ『うん』


グレン『…冷えてきたし、もう宿に戻るか』バサッ


ユリハ『そうだね、少し寒いか…も?』バサァ…


ユリハ『あれ、これローブ…』


グレン『少し距離があるからな、着とけ』


ユリハ『…!!うん…』ギュッ


グレン『……』


ユリハ『……』


グレン『ところでさ…』


ユリハ『ん?』


グレン『ユリハの願い事ってなんだ?』


ユリハ『教えないって言ったじゃん!』


グレン『いや気になって…』


ユリハ『もー…言わないよ、お願い事ってね、言ったら叶わなくなっちゃうんだもん』


グレン『そういうもんか?』


ユリハ『そういうもんなの!』


グレン『そうか…』


ユリハ『……』テレテレ


ユリハ『(私のお願い事なんて、一つしか思いつかないよ…)」


ユリハ『(私のお願い事は…)』


ーーーーー

ーーーーー

ーーーーー


現在 中央広場


クレハ「カレン?大丈夫ですか?」


グレン「ん、あぁ…すまん考え事してた」


クレハ「まだお願い事決まってないんですか?」


グレン「まぁ…そんなところだ」


グレン「でももう、決まったよ」


魔法石「」ピカー


グレン「これを笹にくくりつけれはいいんだっけか?よっと…」


グレン「これでよし」


クレハ「何をお願いしたんですか?」


グレン「んー…願い事っていうか、今後の俺の目標、みたいな感じかな」


クレハ「えー、それお願い事なんですか…?」


グレン「思いつかなかったんだよ、大体そういうの信じてないし」


クレハ「もー、ロマンがないですね!」


グレン「そりゃ悪かったな」


ナル「マスター、お腹空いたのだー」


グレン「はいはい、宿に戻るか」


ナル「わーい!ごはんっごはんっ!」


グレン「あいつは願い事のロマンより飯みたいだな」


クレハ「ふふ、そうですね」


グレン「……」


グレン「ところでさ…」


クレハ「……?」


グレン「クレハは何をお願いしたんだ?」


クレハ「私ですか?私は…」


クレハ「……教えません」


グレン「なっ、クレハもかよ…」


クレハ「…私も?」


グレン「こっちの話だ、女ってのは秘密にするの好きだよな…」


クレハ「む、それは偏見ですよ。というかカレンだって女の子じゃないですか」


グレン「いや俺は…くっ…」


グレン「(ここで否定しても面倒になるだけだ….我慢我慢…)」


クレハ「っと、ナルを見失ってしまいますね、早く戻りましょう」


グレン「そうだな」


クレハ「……」


クレハ「(私のお願い事は、この瞬間も、これから先も変わりません)」



クレハ「(今までの分も合わせて、一つの願い)」



クレハ「(そう、私の願いはただ一つ…叶うのならば)」








「『あなたとこれからもずっと、一緒にいたい』」















後書き

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