2021-08-25 20:30:15 更新

概要

時雨「こんな僕にだって吐き気のする悪は分かるさ」


前書き

皆さんこんにちは!初めましての方は初めましてメットールと申します。
今まだ強撃班を書いてますが、前々から話が出来ていたのでどうしても抑えきれず同時進行で書きます。
また誤字脱字、駄文ありますがどうぞよろしくお願いします。





ここは何処だろう?




私、空母棲鬼のセンは見知らぬ所にいた。辺りを見回しても全く覚えがない。キョロキョロとしていると一組のカップルらしき男女が歩いていた。




セン(制服、学生ダロウカ…?)




まだ学生であろうカップルが笑いながら歩くのを見てセンは思う。あの女の子に見覚えがある。すると場面が切り替わりあの女の子だけ、女の子は細長い容器のような物を手に持っていた。




セン(アレハナンダ?)




その容器のような物には小さい丸の中に横線が2つ並んで引いてあった。するとまた場面が変わる。その場面は年を取った男女がおり、その男のほうが女の子に顔面にビンタしていた。




セン(コレハ、ドウイウ?)




センが考える暇もなく場面は切り替わる。今度は何年か経ったのだろう女の子の印象が変わっていた。そしてその女の子だった女性は一枚の通知らしき紙を見て何か決意をした表情をしていた。




セン(サッキカラ、コレハナンナンダ?)




するとまた場面が切り替わった。すると




「うっ…うっ……!」




暗闇の中でその女性が泣いていた。見ていて痛々しく、悲しく。




「ごめんなさい、ごめんなさい、私のせいで……」




そう懺悔の言葉を口にし嗚咽していた。




「助けるわ、私が必ず助けるから、あの女と刺し違えても…!必ず……!」




その言葉には強い決意が込められていたがセンはその中に深い悲しみを感じた。




______________________




第11鎮守府 執務室




時雨「はい、これで終わりだよ」




敷島提督「サンキュー」ハンコポーン




ここは第11鎮守府執務室。書類作業をしていた龍生と時雨は丁度作業を終えた所だった。




夕立「提督さんお疲れ様っぽい」

レツ(戦艦レ級)「オ疲レ様ーオ茶ー」




敷島提督「おう、時雨どうだ?皆の様子は?」




時雨「うん、みんな落ち着いてるよ。ちゃんと説明した結果だよ」




夕立「でも核砲弾なんて聞いたらみんな焦るっぽい」




敷島提督「焦ったって仕方ねえだろ?奴らの狙いも目的も分からないならわかった時に動ける様にしなきゃならないんだからな」




レツ「先手ウテレバ楽ダヨナー」




敷島提督「打てたらなー、だが簡単に尻尾は出さねぇ、その為に蓮さん達が動いてるからな」




夕立「村雨お姉ちゃんと春雨大丈夫かなぁ」




時雨「姉さん達が下手を打つのは考えずらいよ。僕達に求められてるのは情報を集めてくる仲間に最高の報告をするだけさ」




敷島提督「その通りだ。それを足柄や龍田が理解してくれて朝霜達にも伝えてるから皆落ち着いてくれるんだ」




コンコンコンッ




敷島提督「空いてるぞー」




ガチャ




酒匂「司令、入るよー」




敷島提督「酒匂か?どうした?」




酒匂「えっとね、司令なんだかセンさんの様子が変だよ」




敷島提督「ん?」




時雨「どういう事だい?酒匂さん」




酒匂「えっとね、朝ご飯の時だったんだけどなんだか考えてるような感じがしたの」




接してみてわかったが酒匂は人の変化に凄い敏感に反応する。隠し事をしていたり、何か悩んでいたりすると一番に反応を示す、俺はそれを一種のセンサーだと捉えているから詳しく聞くことにしている。




敷島提督「みんなに聞くけど昨日はそんな素振りあったか?」




時雨「ないね」

夕立「ないっぽい」

レツ「ネエナ」

酒匂「ないよ」




敷島提督「うーん、どうするか?」




夕立「直接聞けばいいっぽい」




敷島提督「確かに早いが、何で俺達に相談しないかちょっと気になった」




時雨「確かにね、僕の意見だけどひょっとしたらどう聞くかを悩んでるんじゃないかな」




敷島提督「だな、まあ午後にでも聞いてみるか、そういや夕さんからドライフルーツ貰ったんだがみんな食うか?」




「食べるー」




______________________




鎮守府内 弓道訓練所




カッ!カッ!カッ!




セン「フウ」




弓道訓練所にセンの姿はあった。今朝見た少女に関する夢、気にはなったがどう説明したものかわからなく考えていたが考えても考えても頭の中で堂々巡りしてしまい悩むぐらいならと1人訓練をしていた。




蒼龍「凄いですね!センさん!かなり上達してますよ!」




セン「蒼龍カ」




いつの間にか蒼龍がいた。本当はセンより少し後に来ていたのだが訓練に没頭していてセンは気が付いていなかっただけであるそして蒼龍からこんな言葉が出た。




蒼龍「それにしてもセンさんは本当に似てますよね~」




セン「似テル?」




蒼龍「加賀さんって言う空母艦娘の先輩がいるんですけど、弓を構える仕草とか、髪型がサイドテールとか、あと少し雰囲気も似てて」




セン「加賀…」フム




蒼龍「はい、普段クールっぽく見えるとことか、ってどうしました?」




セン「エッ、アア何デモナイ」




蒼龍「?」クビカシゲ




ここでセンは夢の中でも一番分からなかった事を蒼龍に聞くことにした。




セン「蒼龍、ツカヌコトヲ聞クンダガコレクライノ容器ノヨウナモノデ丸ノ中二横線ガアルモノッテワカルカ?」




蒼龍「うん?これくらいって?」




セン「コレクライ」ユビデシメス




蒼龍「温度計みたいなサイズかな?丸の中に横線?なんだろう」ウーン




セン「イヤ、ワカラナカッタライインダ。時間ヲトラセテスマナイ」




蒼龍「センさん、どうしたんですか?朝から変ですよ?」




セン「ソウカ?ソンナコトハ」




ジリリリリリリリッ!




セン蒼龍「「!」」




敷島提督『至急至急!ドック付近の者は応答しろ!』


『こちらドックにいた若葉だ!』


敷島『補給船が好戦派に襲撃との入電!護衛艦娘より救援要請が入った!若葉!そっちに何人いる!?』


若葉『私を入れ4人だ!今から出る!』


敷島『情報は艤装に転送する!行ってこい!』


若葉『了解だ。若葉以下4名出撃する!』




蒼龍「私達も行きましょう!」




セン「了解ダ!提督!私ト蒼龍モ出ル!」




______________________




鎮守府航路上 海上




?「てー!」ドォン!




艤装兵『ちっ!このガキ…!』


艤装兵『手間どらせる!』


艤装兵『気を付けろ、1人動きの良いガキがいる』




?「状況報告!」




?『こちら長波!浜波と早波が大破!今風雲と沖波が応戦中!』




?「今第11鎮守府に要請を送ったわ!長波さんは直ぐに2人を下げて!」




?→長波「わかった!ほら2人共捕まれ!」


浜波「は、はい…あ、あの…」大破

早波「ごめんなさい…暁ちゃん……」大破




?→暁「何処まで粘れるかしら?」スッ




補給船団護衛隊隊長の暁は砲から機銃に切り替えて正面の状況を確認した。




暁(こっちは私を入れて現状3人、相手は6人。駆逐艤装兵5人位ならなんとかなったんだけど)




ヒュンヒュン

パラララララ!




暁「対空!それより……!」




暁は目の前の人物が何故向こう側にいて自分達を攻撃しているのかが分からず困惑していた。




暁「どうして貴女がそっちにいるのよ!加賀さん!」




加賀「…」




加賀と呼ばれた艦娘は暁の問いかけに何も答えない。そのまま暁の言葉を無視して淡々と艦載機を発艦した。




暁「くっ、沖波さん!気を付けて!」




沖波「は、はい!」




暁(狙いが的確だわ…!大破させられた浜波さん達は対空電探と機銃をそれぞれ持ってた!それに今狙っている沖波さんも電探を積んでる!こっちの対空能力を無力化するつもりだわ!)ガガガガガ!




暁「風雲さん!あなたも気を付けて!」




風雲「わかってます!でも…!」




加賀「これで終わりね」ヒュンヒュン!




加賀は畳み掛けるべく再度艦載機を発艦させた。




暁(天山?違う!本命は後ろの流星改!迎撃されるのを考慮して盾変わりに使うんだわ!だけど艦攻、迎撃しないと)




と、暁が迎撃態勢を整えたその時だった




ボン!




暁「!」

加賀「!」




いきなり流星改が爆発し墜落、次々と撃墜されていったのだった。




加賀「!左舷攻撃!」


艤装兵『何?ぐあっ!』




この攻撃で加賀には正体が分かった。狙撃されたのだ流星改のみを狙って




風雲「な、何!?」




暁「なんとか粘れたみたいね」




暁の視線の先にいた一団を見てそっと呟いた。そこには航行しながらアンチマテリアルライフルを撃つ若葉の姿だった。




若葉「命中確認、間に合ったようだ」




磯波「若葉ちゃん、どう動けばいいですか?」




若葉「私と初月で艦載機を迎撃する。磯波と浦波は前に出て数を減らせ、もうすぐセンさんと蒼龍さんが来る」




磯波「了解」

浦波「了解です!」

初月「分かった」




風雲「あれは?」




暁「第11鎮守府よ!」




沖波「助かった……?」




艤装兵「ちっ、増援か……!」




このまま戦闘になるかと思いきや




加賀「……総員速やかに撤退よ」




艤装兵「はあ!?」


艤装兵「何故だ!あの程度の数……!」


『駄目ですよ、加賀さんの指示に従うように言ったはずです』


艤装兵「あ、赤城殿!しかし……」


赤城『加賀さんの命令は私の命令です。それにそのまま戦っても増援が矢継ぎ早に来て壊滅しますよ?理解出来ますね?』


艤装兵「は……、はっ!」


艤装兵「了解しました、撤退します」




自分達の形勢が不利になると考えたのか好戦派の兵と加賀は速やかに撤退、海域から離脱した。




浦波「退いていく?」




初月「若葉どうする?追撃するのか?」




若葉「しなくていい、護衛隊に被害が出てる以上得策ではない」




初月「わかった」




若葉「私は補給船団にコンタクトを取る。磯波、提督に報告を頼む」




磯波「分かりました。司令官磯波です。今……」




若葉「こちら第11鎮守府所属艦娘の若葉だ。これより当鎮守府に誘導する」




『こちら大本営所属第1補給船団。貴校の申し出に感謝する。しかし今後の航行に支障があり寄る訳には』




若葉「ならば航路の途中まで我々も同行しよう」




______________________




その頃の第11鎮守府では




敷島提督「じゃあ龍田、艤装改修直後だが頼むぞ」




龍田「了解よ~」




敷島提督「朝霜、清霜二人も頼むな」




朝霜「あいよ!」

清霜「はーい!」




敷島提督「酒匂、なんかあったら直ぐに偵察機を飛ばせよ?」




酒匂「はい!」("`´)ゞ




敷島提督「敷波、来たばっかで悪ぃけど頼む」




敷波「わかったよ、頼まれたからね!」フン!




綾波「もう、素直じゃないなぁ」フフフ




敷島提督「綾波、悪ぃがみんなを頼んだぞ」カタポン




綾波「頼まれました司令官!」




敷島提督「よーし!急編海上護衛隊抜錨!行ってこい!!」




龍田「旗艦預りますね~」




龍田達6人が出撃を見送ったが龍生の仕事はまだまだある。




敷島提督「次は負傷者の収容と補給だ!若葉達が元々の護衛隊連れてくるから直ぐに準備にとりかかれ!!」





「了解!」




残りのメンバーに指示を飛ばし備える。すると時雨が




時雨「それにしてもまた湧いてきたね」




敷島提督「ああ、あの大淀もそうだが舐めすぎだろ」




時雨「そういえばそのメガネはその後どうしたの?」




敷島提督「インド洋行きのホモだらけのマグロ漁船の中。罰金刑だから最低でも7年は船の上だと」




朧「ホモだらけ、ってなんでそんなのが?」




敷島提督「流石に俺もわかんね、だがノーマルでも1ヶ月でソッチ側にさせるって話だから男嫌いで見下してる大淀には地獄だろうな。艤装も大本営で封印されてるから大淀はもう終わりだろ」




夕立「提督さん!若葉ちゃん達戻って来たっポイ!」




敷島提督「よし!チエ!イクサ!飯は!」




チエ「龍生サン大丈夫ヨ~」


イクサ「準備ハ万端デス!」




敷島提督「不知火!足柄!」




不知火「はっ!担架の準備は出来ています」


足柄「いつでもいいわ!」




若葉「提督、帰投した。怪我人が2、全員要補給!」




敷島提督「よし!収容開始!」


足柄「怪我人は直ぐに艤装解除!医務室に運ぶわよ!」


レツ「補給ハコッチダ!」




______________________




第11鎮守府執務室




暁「敷島司令官、この度はありがとうございます」




敷島提督「おう!気にすんなお互い様だ。それより、暁本当だな?」




暁「本当よ」




時雨「加賀さんが好戦派の連中と一緒だなんて……!」




第11鎮守府の面々は加賀が好戦派に寝返った事に衝撃を受けていた。中でも




蒼龍「加賀さん、どうして…!」




一時期直属の部下でもあった蒼龍は信じられないと言わんばかりに動揺を隠すことが出来なかった。




セン「……」




しかし、中でもセンは何か引っ掛かるような様子。センからこんな事が




セン「ナア蒼龍、ソノ加賀トヤラノ写真カナニカナイノカ?」




蒼龍「写真、ですか?部屋にいけばあるかもと」




敷島提督「どうしてそんな事を聞くんだ?セン」




セン「ソレガ、ナント言エバイイノカ…」




敷島提督「写真なら少し待ってろ、確かパソコンの中に各艦娘の名簿があるから、えっと加賀は大本営所属でっと」カタカタ




自分のパソコンを操作して名簿を出す龍生、そして




敷島提督「ほら、こいつが加賀だよ」




龍生は加賀の名簿を見せた。その名簿には顔写真も載っており




セン「!?」




加賀の写真を見て衝撃を受けた。この女性は




セン「コノ人ハ……!」




自分が夢の中で見た女性だった。




蒼龍「この人がさっき言ってた加賀さんですよ。センさん?」




センの様子がおかしい事に気が付いた時雨は




時雨「センさんは加賀さんに会ったことはおろか見た事もないはずだよ」




磯波「え…?」




朧「そうだね、センさん第3鎮守府に保護された時は重傷で完治するまで医務室だったし、初めての戦闘はサイパンの時だし、南鳥島海戦も加賀さんがいたとこと私達はかなり離れてたしで接点はないはず」




浦波「なら、どうして?」




敷島提督「ふむ、時雨第3に繋いで」




時雨「分かった」




時雨は第3鎮守府に連絡を取る、その間




足柄「どうしたのよ?なんで第3に?」




敷島提督「心当たりがあるんだよ」




そして通信が繋がった。対応したのが




翼提督『こちら第3鎮守府』


敷島提督「おう翼!俺だ」


翼提督『り、龍生少将!?ど、どうしたんですか?こんな時に?』


敷島提督「いきなり悪ぃな、ミズキさんはいるか?」


翼提督『すいません、今睦月ちゃん達と街に行っちゃってて……』


敷島提督「いつ戻る?」


翼提督『夕方には』


敷島提督「わかった、また繋ぎ直す。ミズキさんが帰って来たら教えてくれ」


翼提督『了解しました』




通信は直ぐに終わり龍生は間髪いれずに別の所に通信を繋ぐ、すると




浜風『こちら第2鎮守府です』


敷島提督「浜風久しぶりだな、俺だ」


浜風『龍生少将お久しぶりです。如何なさいましたか?』


敷島提督『今木曾いる?』


浜風『いえ、木曾さんなら今大本営に出向中です』


敷島提督「木曾戻ったら連絡ちょうだい。火急って伝えておいて」


浜風『了解致しました』ピッ




______________________




???




好戦派兵士「ったくなんで撤退なんて指示だすかね!」




好戦派兵士「本当だよな!これだから」




加賀「これだから、なんでしょうか?」




好戦派兵士達「「!?」」




加賀「あのままやり合って勝てる見込みがあったとでも?あのまま戦力を随時投入されるなかで?」




好戦派兵士「ぐっ、それは…」




「あらあらいけませんよ?」




加賀と兵士達が言い合っている所に2人の女性が近付いて来た。片方は黒髪ロングで胴着を着た女性でもう片方は白髪ロングで同じような胴着を着た女性、




加賀「赤城さん」




赤城「だめですよ。そんなおごりを持って戦っては勝てる戦いも勝てません。それなら是非次の作戦で発揮してください」ニコニコ




好戦派兵士「は、はぁ…」

好戦派兵士「り、了解しました」




赤城に気圧されたのか兵士達は勢いを無くしすごすごと去って行くのを見た赤城は




赤城「もう、加賀さんもそんな喧嘩腰ではいけまわせんよ☆」




加賀「……私は事実を言ったまでよ。私も次の作戦に備えなければいけませんので失礼します」スタスタ




加賀が足早に立ち去りその後ろ姿を見ていた赤城と共に来ていた女性が不満を爆発させていた。




「来てからなんなんですか!アイツ赤城さんに対して……!!」




赤城「こらこらいけませんよ翔鶴さん。そんな汚い言葉、貴女には似合いませんよ?」

(*ゝω・*)




翔鶴「ああ、赤城さん……!」ガシッ




まるで恋人の様に抱きしめ合う赤城と翔鶴と呼ばれた。直に2人して歪んだ笑みを溢しながら




翔鶴「それにしても、あの女に何時まで好きにさせるんですか?もういっそのことあれを始末しましょうよ!」




赤城「それもそうですが。まだまだ、もっと精神的に追い詰めてから絶望に叩き落として私達に依存させるんですよ☆」




翔鶴「ふふふ、そうですね!」




______________________




夕方未明 第11鎮守府執務室




龍田「提督どうしたの~私達帰投したばかりなんですけど~」




敷島提督「みんな悪いな、ちょっと重要な事が発覚してな、みんなに聞いて欲しい」




敷波「重要な事?」




その時突如通信が入る。龍生は繋ぐと




木曾『すまねぇな、敷島少将今帰ってきた』




敷島提督「ありがとな木曾、早速で悪いがいいか?」




木曾『なんだ?』




敷島提督「加賀の情報を分かるだけ全部教えてほしい」




木曾『…それは、艦娘になる前になることもって事か?』




敷島提督「そうだ。艦娘の背後関係を探るのは木曾の担当だろ?蓮さんには許可は貰ってるから教えてほしい」




木曾『蓮次の許可出てんのか、わかった』




そう言って画面の向こうの木曾は手元の手帳を開く




木曾『航空空母艦娘加賀。本名駒場妙子25才。家族構成は』




不知火「?」




木曾『両親とは絶縁、今年6才になる息子がいる』




足柄「は?」




蒼龍「む、息子?加賀さん子供いたのっ!?」




木曾『続けるぞ、加賀は高校3年の時に当時交際していた同い年の恋人の子供を身籠ったが加賀の妊娠が発覚する1週間前にその恋人は交通事故で急逝した。そして加賀が未婚の母になることに猛反対した両親に絶縁を言い渡され高校も中退、当時疎遠だった母方の祖母を頼りそこで出産。シングルマザーになった』




初月「……」




木曾『祖母も亡くなり一人で育てていたとき、今から3年前だ。深海棲艦との戦争になり自身も加賀の艤装に適合し艦娘となった。この時加賀は子供を民間の施設に入所させている』




蒼龍「民間の施設?何で?艦娘になったら国の高級施設に入れられんじゃ?」




足柄「まさか知ってたの?」




綾波「足柄さん知ってたって何がですか?」




足柄「妙高姉さんが言ってたのよ。国の老人ホームに入れていた母親を人質に取られたって」





木曾『当時はブラック鎮守府が横行していた時代だった。その弱みを握られていた艦娘もいる。妙高もその1人だった。高齢で要介護だった母親の為に堪えていた』




清霜「酷いよ!そんなの!」


浦波「本当ですね…!肉親を人質に取るなんて……!」


レツ「汚ネェナ…!同ジ人間ノスルコトカヨ!!」


まだ年の若い駆逐艦娘達やイクサやレツが憤慨している。当たり前だ。人間として許せる行為ではねぇ




木曾『続けるぞ?加賀はその民間の施設に子供を預けた後でずっと匿名で資金援助をしていた。金額的に見ると給料の半分だと思われる』




蒼龍「そう言えば加賀さんいつも鎮守府の中にいたっけ。そっか子供の為に…」




龍田「確かに赤城だとかは派手に遊んでる噂はあったけど、加賀さんは全くなかったわね」




若葉「……」




木曾『加賀があの時、南鳥島海戦で三笠を裏切って俺達側についたのも子供がいたからだ。簡単な話し加賀は、1人の艦娘、1人の女性の前に1人の母親だったって事だ。まあそれは赤城や翔鶴、大和とは反りが合わなかったってのもあるがな』




木曾がこう話していると別回線から通信が入る。そちらは時雨が操作して回線を開くと




ミズキ『ごめんなさいね、龍生君』




第3鎮守府のミズキだ。どうやら帰って来たようで画面の向こうには皐月と文月が一緒にいた。




敷島提督「休暇の所に申し訳ありませんミズキさん。一つ確かめたい事がありまして」




ミズキ『何かしら?』




敷島提督「センなんですが、何の艤装で産み出しました?」




この龍生の言葉にミズキは先程までの穏やかな雰囲気が薄れ真剣な表情になると龍生達に




ミズキ『センは確か、深海側の加賀型航空母艦一番艦加賀の艤装の7割を使って産み出しました』




ミズキの言葉に第11鎮守府の足柄以下の追加メンバーにはどよめきが起こり、龍生と強襲班の面々は




敷島提督「そういう事か…!」

時雨「……」ギリッ

朧「時雨、抑えな」

不知火「朧さん、ですが…!」

若葉「待て不知火」

綾波「朧ちゃんも落ち着きましょう」

夕立「でも許せないっぽい!」




足柄「ちょ、ちょっと提督!」




朝霜「おい時雨どうしたんだよ!」




磯波「綾波さんも、怒ってますよね?」




龍田「ちょっと、提督?」




チエ「私達ニモ分カルヨウニ説明シテクレナイカシラ?」




敷島提督「…推測だが、高い確率で加賀は赤城に子供を人質に取られてるって事だよ」




後書き

徐々にupしていきます。


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