2020-09-16 07:09:12 更新

概要

加古「明かされる出来事とこれからのこと」


前書き

皆さんこんにちは!初めましての方は初めましてメットールと申します!
今回で本筋の方も10話目、拙いながらもよくやってるなと思いました。今回分かる方には分かるオマージュがあります。また誤字脱字ありますがどうぞよろしくお願いします。





一隻の輸送船が第3鎮守府より出港した。この船には




ミズキ「船長さん、どのくらいで着けそうですか?」




船長「予定通りにいくなら夕方から日没の間にはつきますよ。しばしの船旅だと思ってください」




ミズキ「わかりました」




翼提督「何だか緊張してきた…」




武蔵「相棒よ、あまり気に負い過ぎるな」




翼提督「しょうがないよ~…」




武蔵「まあ、しょうがないな、私も初めて行くのだからな」



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サラトガ、サミュエルの救出し大本営に届けてから3日後、第7鎮守府は新しい仲間を迎えていた。そして




ガキン!




名取「はあぁぁぁ!」ブン




ハク(泊地棲鬼)「デエェェェイ!」ブン




その中の1人、泊地棲鬼のハクは名取と手合わせをしていた。ハクの艤装は扶桑型戦艦艤装と近接兵装として西洋の大剣ハイランダーを装備しており、模造刀とは言え方や斬馬刀、方やハイランダーでの打ち合いは周りで見ていた阿武隈達を圧巻していた。




江風「ほえ~」




鬼怒「凄いねぇ」




加古「ヤベエな、あんなん見てると血が騒ぐぜ」




瑞鳳「でも、あっちも凄いですよ!」




と、瑞鳳が指を指した方に目を向けると




キィンキィン!




ザッ!




五月雨「ふぅぅ」




五月雨が小さく息を吐き白鞘刀を構え直した。五月雨は右手に白鞘刀の刀身を、左手に鞘を逆手に持ち姿勢を低くしている変わった構え方をしていた。それに対していたのは




イリス(欧州棲姫)「……」カチャ




イリスと呼ばれている欧州棲姫だった。彼女も艤装は扶桑型戦艦艤装を使用しており近接兵装として片刃のレイピアにマンゴージュと中世の剣士を彷彿とさせる戦闘スタイルを取っていた。




野分「お互いにコンパクトな戦い方ですね」




嵐「だから五月雨が手合わせしてんだろうな」




阿武隈「……」




天霧「阿武隈さんどうしました?」




阿武隈「えっ、自分ならどう動いたらいいかなって…」




ナツキ「成程」




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その様子を夕禅は執務室から見ていた。




大川提督「皆、熱が入っているな。良いことだ」ウンウン




古鷹「確かに、新しく来たハクさんもイリスさんも頑張ってますね」




大川提督「そうだな、あの2人は勿論だが古鷹。神州丸はどうしている?」




古鷹「神州丸さんは艤装の改良中ですから祥鳳さんにシステマの訓練をお願いしてます」




大川提督「そうか、」




古鷹「提督」




大川提督「なんだ古鷹?」




古鷹「今、何を考えていたのか言いましょうか?」フフフッ




大川提督「…顔に出てしまっていたか?」




古鷹「ええ」ニコッ




まるでいたずらっ子の様な笑顔で笑う古鷹、何か考えていた夕禅は




大川提督「そうだな、もう話すべきなのかもしれん」




そう言うと夕禅は席を立ち窓を眺め




大川提督「古鷹。皆に夕食後、食堂に残るように伝えといてくれ」




古鷹「了解です」




窓の外を眺める夕禅の横顔を見て古鷹は




古鷹(あれから1年、早いですね)




艦娘となり不老長寿になったことで時が流れるのは早いなと感じていた。




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そして夕食後




江風「なんだろうな?話って?」




野分「わかりません、ですが重要な話だと」




加古「考えても仕方ねぇだろ」




リコ「夕禅様オ待タセシマシタ」




大川提督「リコご苦労だった。さて皆時間を頂いてすまないな」



ハク「ドウナサイマシタカ?夕禅様」




大川提督「皆にこれからのことで話しておきたいことがあってな。もう1年になる」




初霜「1年……」




涼風「もう1年か、早いねぇ」




照月「?、何が1年なんですか?」




ここで黒いフードを被った艦娘、神州丸が手を上げた。




「おそらくサイパン島のことだと思われます」




嵐「神州丸さん?」




瑞鳳「サイパン島…」




加古「海軍最大の不祥事、ね」




照月「不祥事、ですか?」




大川提督「そうだ。あれが海軍を2つに分けたと言っても過言ではない」




サイパン島の話になってから野分は神州丸が暗い表情をしているのに気がついた




野分「神州丸さん?どうしました?」




神州丸「すいません、思い出してしまって……」




天霧「思い出して?」




祥鳳「仕方ありません。神州丸さんもあそこにいましたから」




阿武隈「あの…」




イリス「ゴメンナサイアナタ、私モワカラナイノダケド」




大川提督「ああ、分からない者にも説明しようあそこで何があったのか」




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1年前、アナタハン島付近沖合い




大川提督「祥鳳、どうだ?」




祥鳳「あまりに不自然です提督」




大川提督「飛鳥、修介そっちは?」




滝本提督「夕さんこっちもです」




佐倉提督「千歳にも確認させましたが辺りに展開していた深海棲艦が姿を消しているそうです」




敷島提督「キナ臭せぇな、急ぎましょう夕さん」




時雨「でも、暁達が持ってきた情報は確かなのかい?」




春風「間違いないと思われます」




陸奥「こうなるのを見越して暁ちゃん達とあの港湾棲姫に情報を持たせたにしか思えないわ」




扶桑「それに村雨さん達の情報だと三笠派の海軍部隊がサイパンに出兵したと確認しています」




古鷹「…嫌な予感がします」




大川提督「シエルウイユ、サイパン島が見えるか?」




夕禅は随伴していた空中管制機、シエルウイユを呼び出した。




シエルウイユ士官「いや、まだ見えない。が」




大川提督「が、なんだ?」




シエルウイユ士官「だがおかしい、通信にノイズが混ざる。この辺りはもとから悪いが今日は特に酷い」




大川提督「総員急ぐぞ」




全員「了解!」




当時第3鎮守府に所属していた第3部隊エッジ、第4部隊ブレイズ、第5部隊ボルツ、第6部隊トリガーは元帥が暁達に託した情報を頼りにサイパンを目指していた。

直にサイパンに近づいている時に無線機に何かの通信が入った。




「鬼灯丸!こちらバイパー9!追っ手は駆逐級、それに軽巡級!」




「揚陸挺を引き揚げなければ共倒れです!」




「それではバイパー9を見捨てることになるのであります!」




朝雲「通信?」




綾波「様子が変ですよ?」




佐倉提督「鬼灯丸だと…?」




「バイパー9、こちらの兵装では支援出来ない。自力で撃退するんだ」




「艦長殿!」




「頼む!助けてくれ!」




佐倉提督「鬼灯丸は陸軍の揚陸艦だぞ、どうなっている!」




大川提督「なんだと?」




「未確認部隊が接近」




「こんな時に、砲塔展開急げ!」




シエルウイユ士官「こちら空中管制機シエルウイユ。そこにいるのは第3鎮守府所属部隊だ」




鬼灯丸艦長「友軍か!撤退中の部隊が攻撃を受けている!砲撃支援を要請する!」




大川提督「祥鳳!」




祥鳳「位置情報特定!伝達開始します!」




滝本提督「了解!扶桑、山城!」




佐倉提督「陸奥!」




扶桑「心得てます!」

山城「了解よ!」

陸奥「情報確認!全砲門、撃て!」




大川提督「第3、第4部隊は着弾後に島に上陸、敵を蹴散らす!」




「了解!」




祥鳳から敵の位置情報を受けた扶桑、山城、陸奥の3人は全砲門による一斉射撃を行い着弾。そして島に近付き島北西のウイングビーチにたどり着いた時に惨状を目の当たりにすることになる




不知火「…!」




名取「これは……!」




敷島提督「おいおいどうなってんだ!水際で死にかけてんじゃねえか!?」




夕立「沈んでるのって、揚陸艦?」




五月雨「残骸から見て3隻は沈んでる…!」




若葉「どういうことだ…!」




混乱する部隊だがそれを察したシエルウイユが揚陸艦に通信を入れた。




シエルウイユ士官「サイパン島の状況を教えてくれ」




シエルウイユの質問に鬼灯丸の艦長が絞るように声を出した。




鬼灯丸艦長「最悪だ、部隊は住民を守りながら散り散りに敗走している」




滝本提督「敗走?」




鬼灯丸艦長「我々は撤退する部隊、避難してくる住民をここで待ち本土に送ろうとしていた」




艦長の通信に割り込む様に通信が入る




「こちらは陸軍揚陸艦娘あきつ丸。頼みがあるのでありますシエルウイユ」




あきつ丸「敵に阻まれて撤退出来ない部隊を支援し、退路を確保してほしいのであります」




揚陸艦士官「あきつ丸君!」

揚陸艦兵士「何を勝手に!」




「こちらは陸軍揚陸艦娘神州丸。私からもお願いします」




揚陸艦兵士「神州丸君も何を勝手なことを!」




神州丸「ではまだ島にいる同胞を見殺しにするおつもりですか!?」




揚陸艦士官「ぐうっ……!」




鬼灯丸艦長「シエルウイユ、私からも頼む」




揚陸艦士官「艦長!あなたまで……!」




鬼灯丸艦長「全責任は俺が取る!それなら文句はあるまい!異議あるものは今この場で申し立てよ!!」




異議を立てていた将兵達がこの言葉に何も言えず沈黙した。当たり前だいくら陸軍海軍と言っていても目の前の仲間も助けることが出来ない自分達に取っては第3鎮守府の戦力はまさに渡りに船だった




シエルウイユ士官「了解した。出来る限りやってみよう」




そしてシエルウイユから各部隊に通信が入る




シエルウイユ士官「よし、撤退する陸軍部隊を支援しよう。周囲に敵がいたら排除しろ」




鬼灯丸艦長「有難い、戦況は混乱している。海軍三笠派が無差別攻撃まで行っている。気を付けてくれ」




敷島提督「状況はわかったが、クソッタレ…!」




滝本提督「夕さん!どうしますか!」




大川提督「龍生、飛鳥の部隊は私についてこい!修介!お前の部隊はこの場に留まり撤退した部隊の直衛に付け!」




佐倉提督「ラジャー」




大川提督「これより南下を開始する!龍生!お前は先行し島南端のIファダンの残存部隊の救援に向かえ!」




敷島提督「了解!セン!お前はここにいて制空権の維持に加われ!」




セン「ハッ!」




敷島提督「時雨達は俺についてこい!一気に突っ切る!!」




6人「了解!」




大川提督「飛鳥!お前の部隊は共に先行し退路の確保と捜索だ!」




滝本提督「了解!みんな行くよ!」




7人「了解!」




大川提督「我ら第3部隊はサンローク、タナパグ、キャピトルヒルに向かい撤退する部隊の退路を確保する!」




7人「ウィルコ!」




鬼灯丸艦長「おい!島内の仲間に打電しろ!」

揚陸艦兵士「はっ!」




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島内、サンローク付近




初霜「酷い……!」




涼風「どこまで侵攻されてんだよ…!」




古鷹達が見たのは戦闘の後が至るところにあり破壊された街並みだった。その街並みを突っ切り市内中心部に入った第3部隊、そして通信が入り…




陸軍兵士「接近中の友軍!周りの奴らをなんとかしてくれ!早くこの地獄から抜け出したい!」


陸軍兵士「まだ動けるうちに敵を頼む!」




発見したのは2両の戦車と一個小隊程の歩兵が別の戦車と陸上装備の深海棲艦達に囲まれているところだった。




大川提督「戦車の相手は私がする、古鷹達は深海棲艦をやれ」




古鷹「了解!」ガチャ




名取「砲撃開始!」




2手に別れ対応する第3部隊、夕禅は刀を抜き




大川提督「戦車程度」カチャ




接近し一閃。すると戦車は両断し炎上、それを見て狼狽えている三笠兵達を尻目に残りの戦車も瞬く間に片付けた。古鷹達も




涼風「今だぜ祥鳳さん!」




祥鳳「艦載機攻撃!」




連携をとり手際よく片付け掃討し安全を確保する




三笠兵「最後の車両がやられた、ここを放棄する!」




残った三笠派の兵士達が逃げるのを確認した夕禅は




大川提督「掃除は終わった。退け」




陸軍兵士「やったぞ!移動を開始する!合流地点までアクセルを離すな!」


陸軍兵士「これ以上敵にも味方にも会いたくない!」


陸軍兵士「移動開始だ!死んだ奴は置いていけ!」


陸軍兵士「ですが小隊長……!」


陸軍兵士「必ずまたここに戻る、そのとき埋めてやるんだ!」




初霜「っ」




大川提督「仕方がない、これは撤退戦だ」




そして別の地点からの陸軍兵士の通信でもっと過酷な現実を知ることになる




陸軍兵士『またです、民間人の遺体です。戦闘に巻き込まれ訳ではありません』


陸軍兵士『綺麗に並んで死んでいます』




名取「え?」




陸軍兵士『いえ、戦闘員ではありません。靴を履いてない遺体まであります』


陸軍兵士『何があったのか想像は出来ますが、考えたくはない事態です』




リコ「…!」




祥鳳「なんて事を……!」ギリッ




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島内 ガラパン付近




敷島提督「酷ぇ事しやがる……!」




時雨「……」

夕立「……」ギリッ




満潮(小声)「ねぇ司令官、どういうことなの?」




龍生達が明らかに苛立っているのを見て通信の意味が分からなかった満潮が気になってしまいつい飛鳥に聞いてしまった。




滝本提督「…略奪の口封じに殺されたんだよ」




満潮「えっ……?」




それを裏付ける様に陸軍兵士からの通信が入る、その内容が




陸軍兵士『くそっ!三笠派の連中が!これは明らかな戦争犯罪だ!』


陸軍兵士『写真を撮って証拠を残せ』


陸軍兵士『写真は撮りました。直ぐに本隊に戻りますので30分だけ、時間を下さい』


陸軍兵士『部下が子供だけでも埋めてやりたいと言っています』




朝雲「は?」




山雲「!」




最上「イカれてる……!」




不知火「口封じに子供まで手にかけるとは……!」




若葉「どこの部隊だ…!」




敷島提督「蓮さんが言ってた囚人部隊の連中だ」




朧「さしずめ自分達の物資にと略奪してたんでしょうか?」




敷島提督「それしかねぇだろ。現に三笠のアホは凶悪犯を選んで囚人部隊に入れてたからな」




満潮「あ、あの、司令官…」




滝本提督「謝らなくていいよ」




満潮「えっ……」




敷島提督「こんなことお前らガキ共、いや本来誰も知らなくていいことなんだよ」




扶桑「…そうですね」




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島内 ???




「ナニガオコッテイル?」




「ワカラナイワ、タダアワタダシイカンジガシテルワネ」




「ツバキチャン、通信キクコトデキル?」




ツバキ「ハ、ハイ今」




「モウ、ノコッテルノハ私達ダケカ」




「エエ、ココニイル6人ト偵察二デテル娘達8人トカイン様トミズキ様。アトハ避難民ネ」




「ミズキ様ハ?」




ツバキ「ズットアノ艦娘二ツイテルミタイデス」




「皆さん大丈夫ですか?」




「カイン様!」




「ハイ、マダ追ッ手二発見サレテイナイヨウデス」




カイン「そうですか、すいませんシュウさん」




シュウ(集積地棲姫)「ナンデショ」




カイン「これの使い方を分かりますか?」




「ナニコレ?」




シュウ「人間ガ使ッテル無線機ダネ、カイン様コレハ?」




カイン「母さんが付き添ってる艦娘さんの艤装に装着されてたんです」




「シュウチャン使エソウ?」




シュウ「ン~」カチャカチャ




ピー ザー




『……いいか、兎に角終わらすんだ。何日ここにいると思ってる!』


『アンブッシュだ!落ち着いて体制を立て直せ!』




シュウ「オッ、使エタ使エタ」




「カイン様ドウスルンデスカ?」




カイン「これで外の様子がわかればと思って」




シュウ「ソレニシテモ偵察二デテッタ連中遅イナ」




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島内 タナパグ市内




陸軍兵士『助けてくれ!』


陸軍兵士『負傷者を一ヶ所に集めろ!』


陸軍兵士『突出するな!なぶり殺しにされるぞ!』




古鷹「祥鳳さん!位置は!」




祥鳳「はい!港に包囲追い詰められている戦車2両!」




大川提督「私が先に行く!背中は預ける!」




古鷹「預かりました!」




リコ「見エマシタ!敵性戦車4!深海棲艦ノ駆逐級ガ6ノ水雷戦隊!」




陸軍兵士『聞こえるか!?今何両かの戦車から攻撃を受けている!』




大川提督「…!」カチャ




夕禅は4両の内の真ん中の戦車を一閃で両断し瞬く間に次々と同じように斬り捨てていく




名取「リコちゃん!」ブン




リコ「モラッタ!」




斬馬刀を鋭く振り回し名取は敵水雷戦隊のど真ん中に突撃し分断、そして分断された敵をリコが始末し




五月雨「あの駆逐で最後!」バァン




散り散りになったのを見逃さず五月雨が最後の1体を始末した




陸軍兵士『助かった!まだ間に合うか!』




シエルウイユ『ああ、揚陸艦が待ってる』




陸軍兵士『……分かった、負傷者を置いていこう』




初霜「そんな!?」




大川提督「……」




陸軍兵士『これで俺達は天国には行けん。ここがすでに地獄だよ』




五月雨「どうにも出来ないんですか…?」




大川提督「あの2両以外の車両は破壊されている。全員連れていくのは無理だろう」




古鷹「……」フルフル




リコ「古鷹さん?」




大川提督「行くぞ、キャピトルヒルに向かう」




この夕禅達の様子を




「ナンダ?」




「ドーシタ、タキ」




タキ「ホラアソコ」




「人間ト艦娘ト、アレハリ級?」




タキ「艤装モ格好モ違ウケドリ級ネ。ミズキ様二報告シマショ」




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島内 サンヴィチェンテ付近




山城「あれは、三笠の部隊と深海棲艦……!?」




満潮「待って、こんな状況でやりあってるの!?」




朝雲「どいつもこいつも狂ってるわ」




山雲「でも~、何かしゃべってませんか~」




滝本提督「最上、通信傍受出来る?」




最上「やってみるよ」




最上は電深の感度を調整し交戦しているポイントの中心にあわせて傍受を試みる。すると




最上「ビンゴ、傍受成功聞こえるようにするね」




三笠兵『我々は港湾施設奪還作戦を遂行中だ』


三笠兵『補給挺は火薬庫と同じだぞ!』


三笠兵『駄目だ!右に回り込んでから射撃しろ!補給挺に当たる』


重巡ネ級『ヤツラモバカデハナイ、補給挺ニハアテナイハズダ』


戦艦タ級エリート『補給挺ヲセニスルナ!流レ弾ガアッタラミンナフットブゾ!』




ミキ「補給挺ッテアレデショウカ?」ユビサシ




ミキが見つけたのはワ級にいろいろな推進装置を取り付けた深海棲艦が2体、港湾施設に停泊していたところだった。




山雲「どうしますか~?」




滝本提督「陸軍部隊と避難民を探すよ」




満潮「ちょっと!あいつらはいいの!?」




滝本提督「とりあえず補給挺含め放置、あの様子じゃ三笠の部隊は勝手に全滅するさ」




山城「一応あの補給挺は射程圏内だけど?」




扶桑「駄目よ山城、あのタ級が言っていたわ「流れ弾が当たったら吹き飛ぶ」と」




滝本提督「だね、ん」




陸軍兵士『空の敵まで片付けてくれたんだ!前進出来なくてどうする!』


陸軍兵士『戦車前進!』




扶桑「撤退もなんとか進んでるみたいですね」




滝本提督「ああ、俺達はカッグマン方面に向かうよ」




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島内 ウイングビーチ




陸軍兵士「今のうちに揚陸挺に逃げ込め!」




陸軍兵士「負傷者を運べ!急げ!」




島北西のウイングビーチ。ここは陸軍部隊の撤退の合流地点となっており各所から撤退してきた兵士達が次々と到着していた。ここでは




佐倉提督「負傷者、避難民から揚陸挺に乗せてやれ!四肢健在の兵士は周囲警戒に参加しろ!」




揚陸艦隊の直衛に就いていた修介が春風達には勿論、撤退した兵士達にも指示を飛ばし




佐倉提督「いいか!貴様らの行動で後ろの仲間達が生きて帰れることを肝に命じ任務を果たせ!これが終われば帰れるぞ!」




陸軍兵士達「サーイエッサー!」




揚陸艦艦長『シエルウイユ、感謝する。仲間を見殺しにせずに済んだ』


シエルウイユ『了解だ』


あきつ丸『佐倉提督!要負傷者の治療の為一度揚陸挺を引き揚げたいのであります!』




佐倉提督「了解だ。では」




五十鈴『今出さないで!潜水艦が寄ってきた!』




霰『数4つ』




佐倉提督「五十鈴!霰!潜水艦を片付けろ!殲滅次第春風を直衛に揚陸挺を出す!」




春風「かしこまりました」

五十鈴『了解!』

霰『分かった』




佐倉提督「千歳!制空権は!」




千歳「ミヲちゃんとセンさんのお蔭で維持出来てます!問題ありません!」




佐倉提督「陸奥、大潮は千歳達から陸の敵を位置情報をもらい次第攻撃を続けろ!」




陸奥「了解!」

大潮「了解です!」




佐倉提督「いいか!ここにいるお前達の働きで生きて帰れる人間が1人でも増えることになる!各人の奮闘を期待する!」




春風達、陸軍兵士『了解!』




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島内 キャピトルヒル





シエルウイユ『それは陸軍だ』




名取「味方に攻撃しているのに気付いてないの!?」




大川提督「チャフの影響か……!」




初霜「同士討ちになりますよ!」




夕禅達が見たのは戦車の1個小隊が味方同士で撃ち合っているところだった。




大川提督「シエルウイユ!回線を繋げろ!」




シエルウイユ『こちら空中管制機シエルウイユ。最新の識別情報を送信するから確認しろ』




シエルウイユからの情報を確認した戦車1個小隊は




陸軍兵士『攻撃中止!』


陸軍兵士『確かだ、味方の空中管制機からの情報だ。攻撃するな』


陸軍兵士『撃つな!撃つのをやめろ!味方だ!』


陸軍兵士『了解、だが俺達は何を信じればいいんだ、誰についていけばいいんだ…』




大川提督「お前達は生き残ったんだ。それを考える時間はある。早く離脱しろ」




陸軍兵士『了解しました。支援感謝する』




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島内 Iファダン 国際空港




陸軍兵士『こちらスネーク4!現在残った戦車2両!もう弾薬も燃料も持たない!』




朧「いました!戦車に囲まれてます!」




綾波「深海棲艦達も来ました!空母級の艦載機と陸上装備の軽巡級も確認しました!」




敷島提督「戦車は俺が片付ける!朧、若葉は対空、時雨達は陸上装備を叩き潰せ!」




時雨「了解だよ。速攻で仕留める……!」




不知火「時雨さん、ケアに入ります」




綾波「夕立ちゃん、左をお願い!」




夕立「了解っぽい!」




敷島提督「どぉらぁ!!」ブン




グシャ!ドン!




なんと龍生は戦車の砲身を殴り潰し暴発させ戦車を使えなくし




陸軍兵士『おい!残ってるRPGや対戦車ロケット弾を持ってこい!一番先頭の車両を狙え!』


陸軍兵士『了解!』


陸軍兵士『敷島提督!援護攻撃を行います!』




敷島提督「おう!」




陸軍兵士『撃ち方始め!』




生き残っている陸軍兵士達も歩兵装備で龍生達に加わり戦車に攻撃し撃破していく、時雨達は




時雨「シッ!」ガン!


不知火「ハッ!」ガン!


綾波「ハアッ!」ガン!


夕立「ぽいや!」ガン!




陸上装備の深海棲艦を次々と殴り飛ばし戦闘不能にしていた。




朧「若葉!そっちいった!」ガガガッ!




若葉「問題ない、これで最後だ」ドンッ




朧「提督!空の掃除は終わりました!」




敷島提督「こっちも時雨達も終わったな。シエルウイユどうだ!」




シエルウイユ『敵性無し。スネーク4周囲の掃除が完了した』




陸軍兵士『了解!これがラストチャンスだ!走れるところまで走ってみる!』




敷島提督「不知火!若葉!」




不知火「了解です!不知火達がエスコートします」




若葉「私が殿に付く」




敷島提督「なあ、お前らまだ動かせる車両はあるか?」




陸軍兵士『えっ?確かトラックが1台ありましたが…』




敷島提督「サンキュー」




時雨「どうするんだい?」




敷島提督「タナパグで置いていかれた負傷者を回収するのさ」




時雨「分かったよ」




朧「朧が運転します。提督達は迎撃をお願いします」




敷島提督「OK、皆乗るぞ」




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島内 ???




『見ろ、味方の的確な支援で三笠の兵共、敗けだしてる』


『揚陸挺到着しました!早く負傷者を運ぶんだ!』


『避難民の皆さんは慌てずに移動してください!揚陸艦の中なら安全です!』




シュウ「…聞クカギリ人間達ノ撤退ススンデルミタイ」




「三笠ダトカ陸軍ダトカ言ッテルケドナンダガ混乱スルワ」




カイン「どうやら僕達の様に一枚岩ではないようですね」




「タダイマ戻リマシタ」




「ルカサン、タキサンモ皆様オツカレサマデス」




ルカ「アリガトウゴザイマス、ナツキサン」




タキ「早速ナンダケドミズキ様ハ?」




「ミズキ様?ミズキ様ハ」




「あらあら、どうしたの?」




「ミズキ様!」

カイン「母さん、あの人は?」




ミズキ「泣き疲れて寝てしまったわ、それよりタキちゃん、どうしたの?」




タキ「ソレナンデスケド人間ト艦娘ト行動ヲ共ニスルリ級ヲミツケマシテ御報告ニ」




「左目ガ青カッタリ級デシタ」




ミズキ「う~んそれ以外に特徴は?」




「アッ!ソウイヤ」




「ドウシタノレツ?」




レツ(戦艦レ級)「艤装ニマークガアッタナ。刀トピンクノ欠片ミタイナ奴」




ミズキ「刀とピンクの欠片、もしかして」




『待て、北西方向に所属不明部隊多数接近!』




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島内 ウイングビーチ




滝本提督『この状況で?あり得ないでしょ』




大川提督『修介、お前達が近い、接近して確認しろ』




佐倉提督「ラジャー、ミヲとセンを残し第6部隊は沖に出る。千歳と陸奥は遅れてついてきてくれ」




千歳「了解」

陸奥「了解よ」




速やかに修介、春風、五十鈴、霰、大潮の5人が所属不明部隊の識別の為沖に向かう




春風「大潮さん見えますか?」




大潮「ん~すいませんまだです」




佐倉提督「五十鈴、通信を拾えるか?」




五十鈴「やってみる」カチッ




五十鈴は慣れた手つきで調整し接近する部隊の通信を拾う、そして




五十鈴「よし拾えたわ!共有するわよ!」




『まもなくサイパン島、護衛頼むぞ』


『隊長、撃たれなくても撃つのか?』


『当たり前だ』


『接近する連中を追い払え!味方のはずがない!』


『まもなくサイパン島、ノーリターン作戦を開始する!』


『無誘導で投下する。準備を怠るな!』


『さっさと任務を終わらせよう』




春風「これは?まさか……!」




大潮「見えてきました!ってわっ!」




五十鈴「こいつら問答無用に撃ってきたわよ!」




春風「これは量産型の艤装…!陽炎型の艤装ですね」




霰「司令官、あれ」




佐倉提督「……!シエルウイユ識別完了だ!三笠派の赤城及び加賀型量産型空母艤装兵、その護衛に駆逐艤装兵!」




シエルウイユ『滝本提督の予感が的中した。トリガー、空母艤装兵を全員始末しろ!撤退中の陸軍がやられる!』




五十鈴「島にはまだ避難民や陸軍がいるのよ!こんな中を精密攻撃なんて出来っこないわ!」




霰「……多分、するつもりない」スチャ




大潮「まさか、無差別に攻撃するつもりですか!?」




佐倉提督「空母艤装は全隻沈める!総員エンゲージ!」




春風「司令官様!護衛は私達が引き受けます!」




佐倉提督「了解だ!」




護衛「空母に取りつかせるな!」




五十鈴「おっと、こっちは通行止めよ!」カチャ




修介の後ろについていた五十鈴は砲を構え容赦なく三笠兵に発砲




パララララララッ!!




護衛「このガキ、マシンガンだと!?」




艤装の砲そっくりにカモフラージュした五十鈴専用のPDWで五十鈴は次々に蜂の巣にしていく




五十鈴「ったく!護衛が多いわね!」




ドンッ!




佐倉提督「まずは一つ!」カチャ




修介はいつの間にか装備していたショットガンを手に空母艤装兵達に肉薄、そして




佐倉提督「これで二つ!」




バァン!




至近距離で顔面にぶっぱなし頭を吹っ飛ばした。




空母艤装兵「ひぃ……!」




空母艤装兵「護衛は何をしている!こいつを撃て!」




春風「そんな事、許しませんよ?」ガチャ




駆逐艤装兵「ぐぁっ!」




春風は護衛の駆逐艤装兵の至近距離でペイルライダーをぶっぱなし頭から吹っ飛ばした、後方に投げ捨てたペイルライダーを




霰「ありがとう、春風さん」カチャ




ドンドンドンッ!




霰は自分の2丁拳銃、グロック19からハンドキャノンの異名を持つデザートイーグルに切り替えて発砲、それが




キンキンキンッ!



3発の弾丸が春風の投げ捨てたペイルライダーに当たり跳弾。跳弾した弾丸は




空母艤装兵「がっ!?」




空母艤装兵に全て直撃にし撃沈にしたのだった。




霰「いえーい」




佐倉提督「よくやった霰!」




シエルウイユ『空母艤装、残り半数!一人たりとも逃がすな!』




駆逐艤装兵「なにをしている!あいつらはたった5人だ!数で押し込め」




「誰が5人って言ったかしら?」




いきなり長距離からの砲撃、そして艦載機からの攻撃が駆逐艤装兵に襲いかかり空母艤装兵と分断させられる。




空母艤装兵「おい、護衛!」




空母艤装兵「しまった……あいつら!」




陸奥「気づいても遅いわよ」カチャ




陸奥が構えたのは砲ではない




陸奥「多少旧式でも、威力は十分よ!」




陸奥が構えた放ったのは9連装ミサイルランチャー、本来なら人が抱えて持てるものではないのだが艤装のパワーアシストのおかげで軽々と持ち上げ残る3人の空母艤装兵にぶっぱなした。




千歳「残念ですが、私は艦載機だけじゃありませんよ!」カチャ




千歳は二重底になっている艤装の箱型カタパルトから2丁のバズーカを取り出してぶっぱなした。




陸奥「ふっ飛べ!」カチン

千歳「喰らいなさい!」カチン




真っ正面から高火力の火器兵器を撃たれ為すすべなく喰らい先頭にいた空母艤装兵を撃沈され




佐倉提督「よくやった!これで上手く挟撃する形となっ」


『……え…ますか?』




佐倉提督「ん?」




『外にいるお嬢さん方?艤装に刀と桜吹雪の部隊章の艦娘さん聞こえますか?』




______________________




島内 キャピトルヒル付近




『艤装に刀と桜吹雪の部隊章の艦娘さん聞こえますか?助けてほしい人達がいます』




リコ(アレ?コノ声…)




『今私の目の前で三笠の兵に包囲されている避難民です。申し上げて、あの方々に未来はありません』




シエルウイユ『これは軍用回線だぞ?いったい何者だ?』




『……私はミズキ。貴方方では空母水鬼と、ここにいる皆から母と呼ばれている空母水鬼のミズキと言います』




シエルウイユ『なに!?』




リコセンミキミヲ「「「「!!?」」」」




リコ達が反応したがこれに一番最初に答えたのが




大川提督「シエルウイユ、彼女は敵ではない。私達はこの声を知っている!」




ミズキ『この声、夕禅さんかしら?久しぶりね、7年ぶりかしら?』




敷島提督『ミズキさん聞こえますか!?俺です龍生です!』




ミズキ『あらあら、龍生君もいるのね?嬉しいわ』ウフフ




ミズキ『懐かしんでる場合じゃないわ、こちらは1つ情報を持ってます。避難民を助けて頂けるならこの情報をお渡しします』




古鷹「行きましょう!提督!」




大川提督「勿論だ」ニッ




シエルウイユ『……よし分かった!ならお母さん、攻撃地点を指定してくれ』




ミズキ『それをどうするか考えてました』




シエルウイユ『レーダー目標指示装置は無いのか?』




敷島提督『持ってるわけ無ぇだろ!』




『発煙筒を焚きます』




ミズキ『無理よ、戦車の前に誰が持っていくの?』




その時だった。




ミズキ『あっ、こら待ちなさい!』




シエルウイユ『どうした!?』




ミズキ『待ちなさい!』




通信の向こうで異常事態が起こっているようだ




ミズキ『何をする気なの!?戻りなさい!』




『ここだ!ここを攻撃してくれ!』




大川提督「祥鳳!」




祥鳳「提督、シエルウイユ、発煙筒の煙を確認しました!位置は……」




大川提督「リコ先に行け!私が後ろにつく」




リコ「ワカリマシタ!」




古鷹「提督!道を作ります!」




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島内 ウイングビーチ




セン「クッ……!」




ミヲ「ドウスレバ……」




不知火「お2人共、行って下さい」




セン「不知火、戻ッテタノカ」




若葉「今の状況なら私達2人でもなんとかなる。時期に提督達も来る」




不知火「行って下さい」




セン「不知火……!」




ミヲ「…アリガトウゴサイマス!」




セン「感謝スル!」




2人は全速力で艤装を操作しながら艦載機の発艦するために弓と矢を取り出し




セン「艦載機、緊急発艦!」




ミヲ「FA18発艦始メ!」




センミヲ「「制空権ヲ奪イ取レ!!」」




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島内 東側 ゴルフ場




タキ「数ガ多イ……!」ドン




ルカ「モウ弾ナイワヨ!」ドン




レツ「コノ、クソッタレガァ!」ドンドン!




ドォン!




ツバキ「キャア!」大破




ナツキ「ツバキサン!」




街の郊外にあるゴルフ場、ミズキ達は深海棲艦が現れたことによって人気が無くなったこの沿岸部に面しているゴルフ場の建物に潜伏していた。そして今では




ソラ「ツバキハ下ガリナサイ!」




ツバキ「イ、イエ、マダ……!」




リコリス「強ガリシタッテ意味ナイデショウガ!」




シュウ「ダカラッテ下ガッテドウスンダヨ!」ドンドン!




レナ「ソウダヨ!アタシラガ下ガッタライルノハ避難民ダゾ!」




鶴姫「ソレニカイン様ヲ御守リシナクテハイケマセン!」




ソラ「チィ……!」




三笠の兵士達が来たことで地獄と化したこの島で逃げ惑っていた島民を避難させてこの建物に匿っていたのだった。そして今三笠の残存兵の殆どがこのゴルフ場に攻撃を仕掛けていた。




三笠兵「この深海共、くたばりぞこないだぜ!」




三笠兵「島民もろとも皆殺しだ」




三笠兵「撃て撃て!」




三笠兵「ヒャッハー!皆殺しだぁ!」




ナツキ「コノゲス共ガ……!」




チエ「…最終手段ネ、今マデアリガトウ」ピッ




そう言ったチ級のチエは自身の艤装の操作し、操作を終えると三笠の兵に勢いよくぶつけ




カチッ ピー




三笠兵「ぎゃぁぁぁ!!」




艤装を自爆させ艤装兵を巻き込み爆発した。




チエ「ザマアミナサイ」




三笠兵「この死に損ない共が!」




三笠兵「所詮は風前の灯火、それに時間だ」




三笠兵「そうだな、もう艦爆が来る頃だ」




キィンキィン!




三笠兵「よし、時間か」




三笠兵「そうだな」




ナツキ「クッ……!」




誰もが諦めたその時……!




パララララララッ!!




三笠兵「ぎゃぁ!」




三笠兵「がっ!」




三笠兵「な、なぜ…?」




三笠兵「ち、違う…あの艦載機は」




その時だった。何かが深海棲艦達と三笠兵達の間に割って入るように滑りこみ




「邪魔ダ!ドケェェェェ!!」ブン!




その何かが勢いそのままに鉄の棒のようなものをフルスイングで兵士に食らわせ吹っ飛ばした




三笠兵「なんだこいつ!?」




「邪魔!」カチャ




何かは艤装の砲を兵達に向け砲撃し容赦なく攻撃を加えていた。




三笠兵「撃て、近寄らせるな!」




三笠兵「ぎゃぁ!」




タキ「アノリ級ハサッキノ」




三笠兵「こいつだけでも……!」




シュウ「ナツキ!」




ナツキ「シマッ…」




特攻同然で突っ込んできた兵士に反応出来なかったナツキは思わず目をつぶってしまった。が




カチン




明らかに聞きなれない音が聞こえ目を開けると




「無事か?」




ナツキ「ア、貴方ハ…」




その男は白い軍服にマントを付けタキ達が見た部隊章もあった。


何よりナツキはその人物を知っていた。




『ターゲットの殲滅を確認!』




この通信を聞いていたのか建物の中にいた避難民から一斉に歓声が上がった。




ミズキ『敵は沈黙しました。こちらの人員被害はゼロ、流石です』




避難民達が歓声をあげているなか、戦っていた深海棲艦達は気が気ではなく




リコリス「コイツラハ……?」




レツ「敵ナンカ…?」




皆再度身構えようとしたら




ミズキ「みんな待ちなさい!」




ミズキが通信機を持って建物から出てきた。ミズキの声に反応して一斉に兵装を下ろした。




ミズキ「皆ありがとう。そして、夕禅さん本当に久しぶりね」




大川提督「ご無事でなによりです。ミズキさん」




ミズキ「やっぱり7年経ってるわね、全体的に渋くなって男の色気が出て来てカッコ良くなってて嬉しいわ」ウフフ




大川提督「こんな状況でも貴女は相変わらずですね」(^_^;)




ミズキ「それは私だもの。とそうだったわ」




ミズキはそう言うと通信機を持ち直しシエルウイユに呼び掛けた




ミズキ「お約束ですシエルウイユ。情報をお渡しします。三笠派の脱走兵から聞いた話です」




ミズキ「『まもなく深海の高速補給挺が出航する』」




シエルウイユ「確かに重要な情報だ」




『出航ってどっからだよ!』




『ちょっと待って下さい。てことは補給挺って!?』




『安全装置解除シーケンス二移行。10、9、8』




何かのカウントダウンが通信機から聞こえ0になったときハワイに向かって2隻の補給ワ級が高速で出航してしまった。




シエルウイユ『補給挺の出航を確認した!このままでは敵の補給を許してしまう。こちらの知らない新兵器の可能性もある。補給挺を撃沈するしかない。ハワイの制海権に入る前に』




大川提督「飛鳥!」




滝本提督『了解!追撃します!』ブン




聞いていた飛鳥は体に電気を帯びた瞬間艤装に付加させて最大速度を越えて追撃を開始した。




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島内 カッグマン沿岸部




満潮「司令官!」ブン




ミキ「御兄様!」ブン




朝雲「ついてくわよ!」ブン




山雲「了~解~」ブン




最上「提督を頼んだよ!4人共!」




扶桑「提督達に任せるしかないわね」




山城「ええ、いくら高速仕様にしたと言っても私達じゃ飛鳥達には追い付けませんし、もう射程距離もギリギリですね」




扶桑、山城、最上の3人は速力が足らず飛鳥達に託し後詰めに専念することに



そして沖に出ると




朝雲「天気が崩れてきたわ…」




ミキ「コンナトキニ…!」




シエルウイユ『総員警戒しろ!多数の深海棲艦の反応がある』




山雲「どこから~?」




滝本提督「後ろだよ!」




ドンドン!




満潮「ちっ!」




シエルウイユ『相手に背中を見せることになるが補給挺の撃沈を優先するしかない!』




満潮「これじゃいい的よ!」




ミキ「デスガ、一度デモ離レテシマウトオイツケナクナリマス!」




朝雲「補給挺は!?」




滝本提督「見えた!」




飛鳥達が補給挺を視認出来るまで距離を縮めることが出来た。しかしそれを察したのか




山雲「あら~、二手にわかれましたね~」




朝雲「どっちから狙う?」




滝本提督「前からだよ!くらえっ!」ブン




飛鳥は体内に貯めた電気を槍の形に変えてその補給挺に向かって投擲、槍が補給挺に突き刺さった瞬間……!




ドォォォォォン!!




朝雲「きゃあ!」




山雲「あら~」




満潮「なに爆発させればああなるのよ!?」




ミキ「デモアト1ツ!」




シエルウイユ『補給挺はあと1隻!残さず撃沈するんだ!』




ザーーーー




滝本提督「…!しまった!あの爆発……!」




ミキ「コノノイズハ……!」




朝雲「電探が狂った!?」




ドンドン!




山雲「いけませんわ~」ドン




満潮「こんな時に!ウザイのよ!」ドン




ミキ「補給挺ハドコニ!」ドン




朝雲「電探が回復したわ!ってあの補給挺荒れてる所に突っ込んだわ!」




滝本提督「逃がすか!」




山雲「司令さん!」




朝雲「ああもう!ついてくわよ!」




ミキ「満潮サンガスデニオイカケテマス!」




残りの補給挺を追い荒れた海に突っ込む飛鳥、それについていく満潮。直ぐに補給挺を捉えてたのだが




滝本提督「ったく、波が高いね!」




荒れて波が高く、そして視界も悪くなっており飛鳥は狙いが着けずらく苦戦していた。




満潮「司令官!」




滝本提督「満潮、狙える?」




満潮「時化ぐらいなら跳べば大丈夫。視界が悪いわ」




滝本提督「明るくなればいいかな?」




満潮「お願い」カチャ




満潮は砲塔を改良された艤装のレールガンに切り替え飛鳥に向かって速力を上げ跳躍。そして




滝本提督「今!」




ピカッ!




すると強い光と共に雷が落ち飛鳥の後ろにいた深海棲艦に直撃、そして飛鳥を飛び越えた満潮は光った瞬間に補給挺を捉え




満潮「貰った!」カチン




レールガンの引き金を引き補給挺に直撃し




ドォォォォォン!




朝雲「凄い爆発だったわね!でもなんとか終わったわ」




シエルウイユ『ターゲットの撃沈を確認した!』




滝本提督「こちらボルツリーダー、補給挺の撃沈成功しました」




大川提督『ご苦労だ。飛鳥』




ミズキ『龍生君、今どこかしら?こっちもトラックがあるから負傷者の回収私達も手伝うわ』




敷島提督『こっちは今ガラパンです。それなら夕さんが行って取り残されてるタナパグをお願いします、にしても』




敷島提督『発煙筒を持って戦車に飛び出した大馬鹿野郎は誰です?あんな大馬鹿野郎が何人かいればましになったんじゃないっすか?』




ミズキ『大馬鹿野郎、気に入ったわ。あの子は一番の大馬鹿野郎よ』フフッ




敷島提督『本当に相変わらずだ』




大川提督『修介、そちらはどうだ?』




佐倉提督『こちらは状況終了。空母艤装兵は殲滅しました。それと揚陸艦から揚陸挺を1つ借りてます』




大川提督『私と龍生で牽引しよう。各隊引き上げるぞ』




古鷹『あの、提督』




大川提督『分かっている。帰ったら皆に説明しよう。だがまだやることがある』




古鷹『やること?』




大川提督『説明するにあたり一番重要な人物がいる』




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大川提督「これがサイパンで起こったことだ」




天霧「三笠の部隊の独断行動…」




野分「それ故の略奪に虐殺…」




江風「胸糞悪ぃ」




阿武隈「……」




大川提督「その後私達は第3鎮守府に帰投、直ぐに前元帥を救出した」




鬼怒「前元帥の救出?どうやって?」




大川提督「輸送中の護衛艦に龍生達と襲撃し、奪還した」




嵐「やることが派手だなぁ」




加古「なあ、提督」




大川提督「なんだ?」




加古「なんで提督はミズキさんを、人類が深海棲艦を確認する前に知ってたんだ?」




大川提督「そうだな、話そう」




そして夕禅からこんな言葉が出た

























大川提督「この中に幻想郷と言う言葉を聞いたことがある者はいるか?」




瑞鳳「幻想郷?」




イリス「ナニソレ?」




照月「あの、都市伝説のですか?」




神州丸「都市伝説?」




照月「はい、誰からも忘れられたり、神隠しにあったりしたら、って言ってたのを秋月姉に聞いてます」




大川提督「私はそこでミズキさん達や前元帥や龍生達と出会い。大堂艦長や蓮次と再会した」




瑞鳳「えっ!?」




加古「なあ、提督。じゃあ第3鎮守府にいた提督達ってのは……!」




大川提督「全員幻想郷帰りの人間だ」




照月「あの、その幻想郷で何があったんですか?」




大川提督「それを話す前にお前達に聞きたい、それはな深海棲艦のことだ」




嵐「へっ?」




天霧「深海棲艦、かつての戦争で死んだ者の怨念…」




野分「負の感情の集合体…」




大川提督「まあ、当たりだそして深海棲艦達のリーダーであり総大将がハワイにいる中枢棲姫」




江風「中枢棲姫?」




大川提督「この中枢棲姫は人間を殲滅するにあたりあるものとあるものを使い6体の部下を作った」




瑞鳳「あるものとあるもの?」




大川提督「まず1つ、深海側にあるオリジナルの艤装だ」




嵐「はあぁ!?」




野分「深海側の艤装!?」




大川提督「艤装はな2つあるんだ。艦娘側と深海棲艦側にな。だがこれだけでは出来なかった。だからここでもう1つのあるものだ、それは」




鬼怒「それは?」




大川提督「純粋で強力な負の感情だ」




阿武隈「えっと、なんですかそれ?」




大川提督「お前達は負の感情と聞いて何を想像する?」




江風「えっ?う~ん怒ったり?」




瑞鳳「他人を羨んだり?」




加古「他人を憎んだりか?」




大川提督「大体正解だな。負の感情と言ってもいろいろあるだろう?一口で言っても答えはたくさんある。その中でも戦争で生まれた負の感情を使った」




神州丸「戦争で、生まれた?」




大川提督「怒り、憎しみ、恨み、苦しみ、悲しみ、過剰な攻撃性。これらを艤装与えて使命を与えた。人間を滅ぼせとな」




この言葉に阿武隈達は強ばった、しかしその中で1つ疑問が生まれた




鬼怒「でも、なんで提督はそんなこと知ってるの?」




大川提督「そのうちの1人がミズキさんだ。彼女は純粋な悲しみの感情と深海側の翔鶴型装甲空母一番艦翔鶴の艤装を使って産み出された」




加古「なっ……!」




この言葉で再度衝撃が走った阿武隈達。しかし疑問が残る。




野分「ですがなんでミズキさんは人類に味方を?その中枢棲姫に使命を与えられていたのでは?」




大川提督「いい質問だ。ミズキさんは産み出されて使命を与えられる前に幻想郷入りしてしまったんだ。そこで」




江風「そこで?」




大川提督「前元帥と恋におちた」




「へっ?」




古鷹「あはは、まあそうなっちゃうよね」(^_^;)




皆があっけに取られるなか夕禅がこう続けた。




大川提督「使命を与えられていない状態は真っ白な状態だったそうだ。そしてミズキさんは人の悲しみに寄り添おうとしていた。恐らく悲しみの感情を元に産み出されたのが関係しているからだろう。それを見た前元帥が一目惚れをした」




イリス「エッ?」




大川提督「あの人は若い頃に妻を亡くしていてな、海軍のトップに立とうとしたのも息子や生まれてくる孫に平穏な明日を生きて欲しい願いで生きていた。接していくうちにその中の悲しみにミズキさんは反応した」




瑞鳳「それってお互いに」




大川提督「引かれ逢っていったということだ。そこでミズキさんは『悲しみは押し付けるものではない、共に分かち合い互いに理解し合うこと』と学んだ。それはミズキさんが産み出した深海棲艦達にも受け継がれている」




天霧「ちょっと待ってくれよ提督。じゃあ穏健派の深海棲艦って…」




大川提督「全てミズキさんのデータから産み出された。ミズキさんの子供達だ」




加古「…成る程、だから『お母さん』なのか」




大川提督「そうだ。幻想郷から帰還後ミズキさんは中枢棲姫に使命を与えられたが従ったふりをし深海側にあったオリジナルの艤装のいくつかを気付かれないようナツキ達に運び出させ自身の影武者を作り雲隠れした」




イリス「影武者?マサカソレッテ」




大川提督「カインが父と言っていた深海棲艦だ。その事が功を奏し他の深海棲艦達に気付かれる事が無く自分は死んだことにされ、潜伏していたということだ」




嵐「つまり、海軍棲艦の深海棲艦はミズキさんが人類に敵対する意志が無いから共存が出来るってことか、でもな司令俺気になることがあるんだけど」




大川提督「なんだ?嵐」




嵐「単純だよ。司令ってなんでそんなに強いんだ?やっぱり幻想郷ってとこで強くなったのか?」




大川提督「そうだな。そこで修行をしていたし刀の使い方も教わった」ピラッ




そう言った夕禅は阿武隈達に一枚の写真を渡した。その写真には今より若く着物を着た夕禅と水色の着物の女性と銀髪で刀を携えた少女、同じ銀髪で刀を携えた老人が写っていた。




大川提督「水色の着物の方は西行寺幽々子殿、私が世話になっていた白玉楼の主だ。銀髪の老人は魂魄妖忌殿、私の師匠だ。その隣にいるのが孫娘の魂魄妖夢、私の兄弟子に当たる」




加古「これがこの間言ってたのか」




鬼怒「この間って?」




加古「ほら、衣笠のやつで言ってた『主』っての。ってあれ?」




鬼怒「どしたの?」




加古「あたしの記憶が正しいなら古鷹達も会ったって言ってなかったっけ?」




古鷹「うん、そうだよ。8ヶ月前だけど」




「は!?」




五月雨「あはは、驚いちゃいますよね…」




瑞鳳「どういうことなの?」




祥鳳「私達が沖ノ鳥島海戦から第7鎮守府に着任するまでの間で何か聞いたことありますか?」




嵐「えっ?」




野分「そういえば秘匿作戦としか聞いていないような…」




大川提督「沖ノ鳥島海戦後の私達はまず戦後処理から始まり次にサイパン島で犠牲になった島民と陸軍兵士達の弔い、海軍の再編、亡命する深海棲艦達の保護で2ヶ月が過ぎた頃だ。幻想郷の管理者、八雲紫女史からの急を要する依頼だった」




天霧「急を要する依頼?」




大川提督「幻想郷に沖ノ鳥島海戦で死んだ好戦派兵士が怨念となり深海棲艦と化して出現した。それが冥界と旧地獄地域を中心に出没したため私達第3部隊と龍生率いる第4部隊が幻想郷に出向し鎮圧することになった」




江風「死んでんのにまだ迷惑かけてたのかよ」




加古「死んだ、ね。なあ提督、その中に」




大川提督「加古、お前が想像している通りだ。そのリーダー格は死んだ三笠中将を始め、戦死した部下で艦娘の大和、摩耶、霧島も深海棲艦と化していた。まあ、数が想定していたより多かったから結局第1部隊から第6部隊全隊出向することになったがな」




天霧「第3鎮守府総出かよ……」




照月「なんで総出だったんですか?その、幻想郷にも戦力はあるんじゃ……」




大川提督「確かにあるにはあるが、その戦力は本来幻想郷で起こったことに対しての戦力でな、この時も向こうで同時に事件が起きてしまったんだ。それに深海棲艦はこの世界の者、だから私達が対応することになっている」




加古「まあ、よそに迷惑かけてんなら仕方ねぇのか」




阿武隈「それでお姉ちゃんや古鷹さん達も一緒に行ったんですか?」




名取「そうだよ。結構大変だったけど」




祥鳳「そうですね」




瑞鳳「どうしたのお姉ちゃん?」




祥鳳「いやね、行くと人間だとか艦娘だとか深海棲艦だとかって些細なことなんだなってだけよ」




江風「どういうことだ?」




大川提督「向こうでは人間のほうが多い訳ではないからな。実際にこの3人も人間ではない。幽々子殿は亡霊、妖忌殿と妖夢は半人半霊という種族だ」




イリス「エッ?」




大川提督「それに妖怪やら河童やら天狗やらはては鬼も吸血鬼もいるからな。その中で過ごしていくうちに対して気にならなくなる」




こう夕禅が言うと古鷹達はウンウンと頷いていた。




加古「…古鷹もだけど五月雨達がなんか達観してるのも分かる気がしてきたぞ」




古鷹「あはは…」




初霜「古鷹さんはそれどころじゃなかったですもんね」




照月「どういうこと?」




涼風「妖夢さんにライバル認定されて帰る迄の間に何回も真剣で斬り合いしてたんだよ」




鬼怒「は?真剣で?」




大川提督「妖忌殿の教えは『真実は眼では見えない、耳では聴こえない、真実は斬って知る』というものでな、要は斬れば解ると言うのもだ。妖夢はそれを忠実に行い、守っている」




野分「それただの辻斬りなのでは…?」




古鷹「でも、刀の稽古や斬り合い以外はとてもいい人ですよ。お料理も上手で皆教えて貰いましたし、リコちゃんの友達の面倒見もいいですし」




ハク「エッ?リコチャンノ友達ッテ、アノトキノ?」




リコ「ハイ、4人共白玉楼デオ手伝イサンヲシテマシタ」




大川提督「今回の幻想郷遠征で皆良い刺激になったのは確かだ。勿論私にもな、私も修行不足を感じたよ」フフッ




初霜「だからってあんな修行ありですか?」




阿武隈「あんな修行?」




名取「なんて説明したらいいかな?」




大川提督「幻想郷の管理者、八雲紫女史の能力で『境界を操る程度の能力』というものがあってな、その応用で特殊な空間を作って貰いその中で修行をした。その空間は時間の流れが極端で外ではたった1日だが中では100年流れているというものだ」




鬼怒「は?」




大川提督「つまり私達はそこで100年分修行を行い力を付けたということだ。因みにその中では老いないし死にかけることはあっても死ぬこともない、その境界もいじってあるからある意味不変の状態も修行のうちということだ」




天霧「もう無茶苦茶だな…」




江風「ちょっと待てよ、もしかして古鷹さん達も」




古鷹「やりましたよ、提督と一緒に」




「はっ!?」




五月雨「大変でしたねー」

名取「死なないからって無茶苦茶やったね」

祥鳳「その状態で何十回も本気で演習もしましたし」

初霜「撃っては撃たれて、殴っては殴られての応酬でしたもんね」

涼風「いい力比べになったからよくね?」

リコ「私モ『井の中の蛙』ノ意味ヲ痛感シマシタ」

大川提督「私は二回目だったがな」




神州丸「……第3鎮守府の艦娘が強い理由が分かりました」




嵐「こんなのやりゃ確かに強くなるな」フム




江風「人外レベルの提督に鍛えられてんだからな。深海棲艦よりも強い理由がわかった」




大川提督「これが7ヶ月前の出来事だ。後の第7鎮守府配属までの出来事だが…」




ここに来て夕禅は深刻そうに切り出した。それに緊張が走るが




大川提督「沖久保前元帥とミズキさんの結婚式準備だ」スッ




そう言うと夕禅は一冊の本を阿武隈達に手渡した。




阿武隈「提督、これなんですか?」




照月「アルバム?」ピラッ




開くとあったのはチャペルで式を挙げている2人の写真やブーケを取った翼がミズキさんとの2ショット写真、披露宴を始め様々なスナップ写真があるアルバムだった。




大川提督「御二人の結婚式の写真と披露宴の写真だ。あの時が一番大変だったよ」




鬼怒「何が大変だったのさ?」




大川提督「幻想郷から帰還してみると式まで1週間しかなくてな、古鷹達の衣装や余興の準備でバタバタしていたんだ」




加古「ああ、成る程…」




大川提督「あの時程時間に追われたのは中々なかったな。いくら武蔵や翼達が中心になって準備したと言っても余興の練習時間が取れなかったからな」




江風「この写真か?提督達がマイク持ってるの」




野分「提督達?」




江風の言葉で阿武隈達が見た写真は夕禅と龍生、飛鳥、修介、蓮次の5人が歌っている写真だった。




加古「これどういう状況だ?」




イリス「コレネ、スゴカッタワヨ」




ハク「スゴイノリノリナ曲デシタ!」




鬼怒「なに歌ったの?」




涼風「ココロオドル」




瑞鳳「イメージ出来ないんだけど!?」




大川提督「南鳥島海戦での祝勝会で前元帥に無茶ぶりされて即興で歌ったんだ、どうせならまたやれと言われてやった」




嵐「すっげー聞いてみてぇんだけど」




天霧「だよなー、ってこれ提督だよな?」




照月「この提督と写ってるのは誰ですか?」




ナツキ「エッ!コノ方ハ……!」




イリス「ミーシャ抜ケ駆ケシタワネ!」




皆が見た写真に写っていたのは夕禅に寄り添うように照れながら腕に抱きついていて、白い大きなベレー帽を被った黒メッシュを入れた綺麗な白髪にドレスを着た、満面の笑みの女性だった。




照月「ミーシャ、さん。ですか?イリスさんお知り合いですか?」




イリス「彼女ハ水母水姫ノミーシャヨ。私ヤコニー達トヨーロッパカラ一緒二合流シタ娘ヨ」




鬼怒「水母水姫なんて初めて聞いたよ。この人は?」




イリス「ミズキ様曰クミーシャハフランスノ水母コマンダン・テストノ艤装カラト言ッテタカラ多分フランスジャナイカシラ?ニシテモ夕禅様ト2ショットナンテ……!」




ハク「エッ?イリスサン撮ッテモラッテナインデスカ?」




イリス「エッ?」




加古「あっ、ホントだ。次のページに古鷹達やナツキさん達と2ショットで撮ってるや」




加古が見たページには品のあるドレスやワンピース姿の古鷹達と夕禅の2ショット写真がページいっぱいに納められていた。




イリス「チョット!私ハッ!?」




ナツキ「ダッテ貴女、ミンナデ飲ミマクッテ酔ッパラッテタジャナイ」




ハク「酔ッパラッテ寝テシマイ夕禅様始メ提督サン達トノ2ショットヲ撮ル時間二ナッテモ寝テマシタカラ」




イリス「一生ノ不覚ダワ……」○| ̄|_




阿武隈「あはは…」(;゚∇゚)




嵐「にしてもいっぱいいるんだな、これは萩のとこの滝本司令だな、隣のは」




リコ「ソノ人ハヴィアサンデスネ」




野分「ヴィアさん?」




ハク「バタビア沖棲姫ノヴィアチャン。確カアメリカノ重巡ノーザンプトン級ノ艤装ノ娘デ社交的デオ世話ガ好キナ人デス」




天霧「ホントたくさんいるな」(^_^;)




江風「じゃぁこっちのは?時雨姉と夕立姉のとこの敷島提督にひっついて写ってるちっこいの」ユビサシ




リコ「ソノ娘ハアンツォイ沖棲姫ノアンチャンデスネ。イギリスノ駆逐級艤装ノ娘デ龍生少将ニスッカリナツイテテダーリンッテ抱キツイテル娘デス」




鬼怒「マジで?でも凄い笑顔だからそうなんだろうね」




瑞鳳「みんな幸せそうだね」




大川提督「ああ、その時は皆で祝い、皆で喜びあい、杯を交わした。その様子を見たミズキさんは「私の信じた明日は、未来は間違ってなかった」と言っていたよ」




感慨深そうに語る夕禅、しかしここまでの話で神州丸には1つ引っ掛かったままだった。




神州丸「提督殿。先程になりますがよろしいですか?」




大川提督「なんだ神州丸」




神州丸「先程の話の中に出てきた中枢棲姫という深海棲艦とは何なのでしょうか?」




大川提督「中枢棲姫とは、深海棲艦達の総大将であり人類最大の敵であり、戦争の怨念の塊」




阿武隈「怨念の、塊?」




大川提督「そうだ。奴の目的は人類に対し過去の戦争で死んだ人間達の意趣返しとして人類を滅ぼす事。死んだ人間達の様に苦しめる事だ」




神州丸「なぜ提督殿はご存知なのですか?目的まで?」




大川提督「奴とは幻想郷の地で交戦し幻想郷から撃退した」




神州丸「!?」




加古「戦ったから知ってるってことか」




大川提督「奴まで幻想郷に来た理由はわからん、ただ幻想郷は怨念や亡霊が留まり易い事が理由だろうとされているから引き寄せられたのではだそうだ。当時は私を含めた6人が奴と戦い深手を負わせた所で幻想郷の巫女が強制的に送還させたんだ」




江風「送還?倒せなかったのかよ?」




大川提督「奴が幻想郷の地で能力に目覚めた為不覚にもな」




天霧「能力?」




大川提督「『近代兵器を無力化する程度の能力』と言うものを目覚めさせたようでな、あの時の我々では深手を負わせるのが精一杯だった」




嵐「えっ、ちょっと待てよ」




江風「嵐?」




阿武隈「あの、提督。深海棲艦に核兵器が効かないのはもしかして……」




大川提督「その能力の効力だ。奴の能力は深海棲艦全てに付加されている。核だけではない、従来の兵器では深海棲艦には満足に太刀打ちが出来なくなってしまった」




嵐「マジかよ…」




大川提督「深海棲艦に対抗するには相対する艦娘の力と妖精の効力を持った兵装ともう1つ、同じような『~程度の能力』を持った人間だけだ」




江風「ン?」




野分「と言うことは司令もその能力を持っていると言うことですか?」




大川提督「私の能力は『全てを斬り拓く程度の能力』というものになる」




イリス「全テヲ斬リ拓ク程度ノ能力?」




大川提督「道無き道だろうと強固な装甲だろうと目の前に立ち塞がるものを斬り、後に続く者達の道を作る能力。らしい」




鬼怒「らしい?」




大川提督「あまり使わなくてな、使わなくても深海棲艦や艦娘相手でも問題無く斬れるから使う事を意識していない」




加古「うん、ただの化け物だ」




天霧「流石としか言えねぇよ、提督」




瑞鳳「でも凄そう!」キャッキャッ




大川提督「能力は私達にそれぞれ何かしらある、そしてカインにもな」




イリス「エッ?」




ハク「カイン様ニモデスカ?」




大川提督「カインが持っているのは『自分と同調した者の潜在能力を解放する程度の能力』というものでそれが同調現象の正体だ」




ナツキ「ソウダッタノデスネ」




大川提督「深海棲艦はミズキさんの話では負の思念だけでも産み出せると言っていた。だがその場合、まともな意志疎通が出来ず命令を聞く機械、もしくは感情が暴走し狂暴になると言っていた」




鬼怒「えっ?そうなの?」




大川提督「そこでミズキさんは思念と持ち出した深海側の艤装を一部使って産み出すことを考えた」




瑞鳳「艤装の一部を?」




大川提督「皆に例えるなら、一部がオリジナルで残りが量産型艤装というふうにイメージしてもらうと分かりやすいか?」




天霧「ああ、なんかわかるわ」




野分「成る程」




大川提督「そうした結果意志疎通が可能で自分で物事を考えることが出来る深海棲艦を産み出す事に成功した。そしてあることに気づいた」




加古「あること?」




大川提督「艤装になった軍艦の最後の場所で艤装を使って産み出すとその個体は姫級にも引けを取らない程強くなる事だ」




照月「えっと、つまり…」




神州丸「場合によっては鬼級や姫級以上の深海棲艦が出来ると言うことだと思われます」




大川提督「その過程で産み出された海上型の深海棲艦の特徴は瞳の色が青色になる」




夕禅の言葉で阿武隈達全員はある人物に視線を集めた




リコ「ア、アノ皆サン…」(^^;)




嵐「なあ司令、じゃあリコちゃんって」




大川提督「ミズキさんはリコはサボ島沖で深海側の古鷹の艤装の半分を使って産み出したと言っていた」




阿武隈「え……!?」




加古「古鷹の艤装だぁ!?」




大川提督「ミズキさんはかなり持ち出したみたいでな、実験的な試みだったと言っていた。そして艤装を使う割合で鬼級にも姫級にもなる。現に飛鳥の所にいる駆逐水鬼のミキだが、ベラ湾で陽炎型駆逐艦の萩風の艤装を使ったと言っていた」




嵐「マジか…萩の艤装……」




野分「だからあんなに容姿が似ていたんでしょうか…?」




イリス「ソンナニ萩風ッテ娘ミキチャン二似テルノ?」




嵐「瓜二つだな。萩とおんなじ色の髪のかつらしたら見分けつくかな?」




大川提督「ふむ、ならこれを見て欲しい」ピラッ




夕禅は一枚のある写真を阿武隈達に見せた




阿武隈「これは春雨ちゃんですか?あれ?二人?」




大川提督「片方はクーだ。変装でカラコンやウィッグをしているが見分けがつくか?」




加古「見分けって…」




瑞鳳「すごいねぇ、そっくり~」




鬼怒「カラコンとウィッグでここまで似るんだねぇ~」




イリス「スゴイワネェ。私デモ全クワカラナイワ」




野分「でも、ここまで似るものでしょうか?」




江風「ン?どーした野分?」




野分「いや、萩風もですが春雨さんもどうして似てるんでしょうか……?」




大川提督「その疑問に答えるなら艤装が人を選んでいるらしい」




照月「艤装が選んでる?」




大川提督「正確には艤装の中の魂だ。魂には意思がありその魂が選んでいる。おそらくその艦娘側の艤装の影響が深海側の艤装にも反映されているのだろうと私は考えている」




加古「まだ、わかってないってことか?」




大川提督「私にもまだまだ知らないことがあるさ。だからこそ一つずつ潰さねばな。先日も修介経由で青い瞳の鬼級がヨーロッパで確認された」




イリス「青イ瞳ノ鬼級?」




大川提督「中枢棲姫から産み出された鬼級の特徴だ。6体とも瞳が青く、個体としても他の鬼級はおろか姫級もを凌駕している」




瑞鳳「提督、その鬼級ってミズキさん以外で確認されてないんですか?」




大川提督「2体確認された、だが内1体、離島棲鬼は人類にも深海棲艦にも関与しないとして何処かに消えた」




鬼怒「消えた?」




大川提督「ミズキさんの説得の結果でな、何処に行ったのかはミズキさんと前元帥、大本営にいる大堂元帥しか知らんよ」




嵐「じゃあ戦う必要はないんだな?それならそれでいいな」




江風「提督もう1体は?」




大川提督「あとは戦艦水鬼だが、これは南鳥島海戦でリコ達が撃沈した」




照月「そうなの?」




リコ「ハイ、アノ時ハ死ニカケマシタ」(^^;)




瑞鳳「リコ達?古鷹さんや五月雨ちゃん達じゃないの?」




大川提督「戦艦水鬼を討ち取ったはリコとセン、ミキとミヲとクーの5人だ」




嵐「は?」




加古「確かそーだったなー」




野分「リコさん達がその戦艦水鬼を倒したということですか?」




大川提督「そうだ、過剰な攻撃性と深海側の大和型戦艦一番艦大和の艤装を使って産み出された戦艦水鬼。その過剰な攻撃性は慢心となり一人で勝てると思い上がった結果、海底へ沈んだ」




阿武隈「慢心…」




大川提督「戦争は、戦いは1人で勝てるものではない。1人で出来る事などたかが知れている。奴には驕りがあった。ただそれだけだ」




神州丸「驕り、でありますか?」




大川提督「そうだ。大和型艤装から産みだされた戦艦水鬼はその圧倒的な火力で海軍に多大な被害を与え我が物顔で戦争を楽しんでいた。それに立ちはだかったのがリコ達5人。奴はそれを見て嘲笑った」




照月「え…?」




大川提督「裏切者の空母水鬼から産み出された深海棲艦、何よりも尖兵と扱っていたヲ級とリ級含めた5人に奴はただ笑った『ガラクタ共』とな」




阿武隈「……!」




天霧「自分以外見下してる奴だったのかよ」




大川提督「そうだ。だからこそ奴はリコ達の力量を量れなかった。必要がないと考えたのだろう、奴は本来の46センチ3連装主砲4門と超大和型に搭載される51センチ3連装主砲2門を搭載し立ちはだかる者の薙ぎ払っていた」




イリス「調子二乗ッテイタノネ」




大川提督「だがそれもクーの機転で阻害され満足に反撃を許されず5人からの猛攻にあいリコを道連れにしようとしても逆に致命傷を負わされミキに止めを刺された」




鬼怒「はえー…」




大川提督「敵の力は強い、だからこそ我々は仲間との連携を密に取り敵を討ち倒すことに赴きを置いている。訓練でもそうだろう?」




加古「そうだな、今までの鎮守府とは違ってるよ。訓練でも単調な射撃訓練で連携ってのはなかったな。戦艦とか空母のやつのお膳立て扱いだったし」




大川提督「第3鎮守府にいた艦娘には教え方は違えど皆に仲間との信頼の大切さを教えた」




イリス「信頼ノ大切サ?」




大川提督「人1人の力などたかが知れている。特に艦娘はな」




一瞬場の空気が張りつめる感覚になるがその中で夕禅は続ける。




大川提督「艦娘。深海棲艦に対抗出来る存在。人類の希望などと呼ばれている。が私から言わせてもらうと体よく女子供に武器を持たせて戦わせているだけ。そして男大人は後ろで何もせず騒ぐだけだ。それを踏まえて皆に聞きたい。平和とはなんだ?」




鬼怒「え?」




照月「平和、ですか?」




加古「なんでいきなりそんな事を聞くんだ?」




大川提督「これはな、半年前ここに着任した日の夜に古鷹達が話していたことでな」




ナツキ「古鷹様達ガデスカ?」




名取「えっと、それって」




涼風「あー、祥鳳さん会議か」




瑞鳳「えっ?お姉ちゃん会議?」




嵐「なんだそりゃ?」




五月雨「第3鎮守府から私達がやってる事です」




初霜「突拍子も無く祥鳳さんが疑問になってる事を皆に質問してそのまま議論することで最近はリコちゃんも参加してます」




古鷹「えっと、確かあの時は祥鳳さんが」




祥鳳「平和って何なんだろうね?」




古鷹「っていきなり言い出して私が『どうしてそう思ったんですか?』って聞いた所から始まって、初霜ちゃんが」




初霜「争いが無い一時的な期間、もしくは争いが終わった一時的な期間って私は答えました」




名取「私は出来るなら争いたくはありませんから上の人達がキチンと話し合いで解決することを希望してます」




五月雨「私は名取さんの意見よりですが皆仲良くがいいですね」




古鷹「私は反対的な意見で、宗教や人種の問題もありますから共存に拘らず生活環境の確立と相互理解、それらを問題無く行き行き出来る方法作りでしょうかね」




涼風「あたいは古鷹さんの意見よりかな?その辺りをちゃんとルール決めてやれると良いんじゃねえかと思うよ」




祥鳳「私はそこまで考えてませんでしたけど皆が同じ方向を向いて考えれば争いは無くなるんじゃないかなって思いますよ」




阿武隈「…」(゚д゚)




野分「皆さん意見バラバラですね…」




五月雨「祥鳳さん会議は大体が哲学みたいになりますから」(^^;)




古鷹「この時も答えが出なかったね」(^^;)




リコ「デモ皆サン仲良シデス!」




加古「だからこそ仲が良いのか」




天霧「どうしてっすか?普通皆同じ考えのほうが話も早くて楽なんじゃ」




加古「天霧、お前なら話の流れで分かるだろ?」




天霧「えっ?」




鬼怒「ねぇ加古さんどういう事?」




ハク「ツマリ古鷹サン達ハ自分ノ足リナイモノ自覚シテイテソノ上デ相手ヲ理解シテ互イニ尊重シアエルトイウコトカト」




大川提督「大体正解だ。この時は皆が自分の意見を持ちながら相手の意見を聞き、その上で皆で結論を出そうとしている。一見当たり前の事だが直ぐに出来る事ではないよ」




野分「ですがそれだけじゃないんですよね?」




大川提督「そうだ。皆意見も考えていることもバラバラだ。古鷹達は『自分に足りない物』を持っている仲間に対して素直に感心を持ち自分達から信頼関係を作っていった」




神州丸「提督殿が促したりせずにと言うことですか?」




大川提督「そうだ。私はきっかけを与えただけだよ。結果は私が求めた以上だったがね」




初霜「勿論、その信頼関係の中にお義父さんもいますよ」フンス




祥鳳「今は信頼関係以上に繋がっていますが」ポッ///




古鷹「祥鳳さん?事実ですが茶化さないで下さいね?」ニッゴリ




祥鳳「ご、ごめんなさい…」




涼風「祥鳳さんは相変わらずだねぇ」ヤレヤレ




五月雨「でも事実だよ?」




涼風「んなこたぁわかってるよ五月雨」




リコ「皆仲良シ、良イコトデス」




名取「うん。良いことだね」




このやり取りを見ていた阿武隈達。そして阿武隈達が前々から気になっていた事を夕禅に聞いた。




瑞鳳「あの、提督いいですか?」




大川提督「どうした?瑞鳳」




瑞鳳「提督って、なんで古鷹さん達とケッコンカッコカリをしたんですか?しかもなんで何人も?」




阿武隈「!」

イリス「アラ」

加古「とうとう切り出したか」




大川提督「その事か。時間も時間だから最後に話すとしよう」




1つ咳払いをした夕禅は改めて阿武隈達に向き直した。




大川提督「お前達は好戦派閥や深海棲艦との戦いが終わったぐらいで、平和になったぐらいで私達の『戦い』が終わると思うか?」




神州丸「え?」

天霧「は?」

ハク「!」




大川提督「この戦争が終わった後。今の人類は次に何を敵として見なすと思う?」




野分「司令待って下さい」


江風「ど、どうした野分?」


嵐「俺達って言いたいのか……!」


照月「え……?」


鬼怒「は?なんで……」




大川提督「現にテロリストの中にも艦娘がいるだろう。それを見て艦娘を人類の脅威と見なす者も出てくるだろうな」




この夕禅の言葉に言葉を無くす阿武隈達、人類の為に戦っている自分達がその人類に排除される存在になる。こんな理不尽が許されていいのか?と


しかしそれが夕禅がカッコカリをする理由がわからない




加古「それで、なんで夕禅提督はカッコカリしてるんだ?」




大川提督「なに、簡単な事だよ」




ハク「エ?」




大川提督「仮にそうなった時、『私の女』だと言ったほうが早いだろ?」




「えっ?」




この夕禅の一言に唖然とし、古鷹達は




古鷹「まあ、そうなっちゃうよね」(^^)




照月「あの、古鷹さんどういう事ですか?」




古鷹「答えになるかはわからないから質問を質問で返しちゃうけど、皆ってユウのことどう思う?」




照月「提督の事ですか?うーん、あっ!優しくてかっこいいです!」


瑞鳳「はい!イケメン強い人格者!」


加古「気の合う飲み友達」


神州丸「仲間達の命の恩人です」


嵐天江鬼「「「「頼れるオヤジ」」」」


野分「鬼怒さんまで…、私は尊敬する司令です」


イリス「素敵ナ方ヨ」


ハク「素晴ラシイ殿方デス」


ナツキ「愛シイ男性デスワ」ポッ///


阿武隈「私は、目標です」




名取「皆、提督さんにはいいイメージって事だね」




鬼怒「そうだね~名取姉。でもそれが?」




祥鳳「提督や敷島少将達は最初の艦娘、大和を始め武蔵さんや加賀さんなどが現れるまで深海棲艦の侵攻を水際で食い止めていました」




涼風「つまり日本の守護者って言葉は艦娘だけじゃなく提督達も含まれるんだよ」




五月雨「当然、提督に命を救われた民間人や軍人は沢山いますよ」




加古「ははーん成る程ねぇ」ニヤッ




古鷹「加古は分かったみたいだね」




加古「ああ」




ハク「夕禅様…」

野分「司令…!」

天霧「そういう事か」

江風「あたいも読めたぞ」

神州丸「私も分かりました」




瑞鳳「えっ?えっ?」




初霜「つまり私達を迫害しようものならお義父さんはなんの躊躇も無く人類の敵になって私達の味方になってくれると言うことです」




鬼怒「はっ!?」




照月「そうなんですか提督!?」




大川提督「ああ、そうなったら、私の女に手を出したらこの大川夕禅の敵になったらどれだけ割に合わないかをしっかり教えるつもりだ」




不敵に笑い語る夕禅。そして続けてこう答えた。




大川提督「私が斬った三笠も戦争後の事でこの考えに至っていたようでな。だが奴は自分達と選ばれた艦娘が人の上に立ち選ばれなかった人類を支配するとほざいていた」




阿武隈「それって…」




鬼怒「あの艦娘至上主義の事?」




天霧「あのオバサン、外面は良かったみたいだからなぁ」




リコ「デスガ、ソレヲ許シテシマウト私達ノ居場所ガナクナッテシマイマス」




野分「艦娘だけでなく深海棲艦とも共存を計ろうとしていた前元帥や司令とは相容れないことですね」




五月雨「でもそれだけではありませんでしたが」

涼風「五月雨言うなよ!」




照月「涼風ちゃん?」




野分「聞かないほうがよさそうですね…」




嵐「ああ、五月雨がなにか言おうとした時、司令雰囲気変わったからな」




大川提督「…」ゴゴゴゴ




加古「ああ、あの噂本当だったんだな」




阿武隈「あの噂?」




加古「言わねえぞ?初霜もご立腹みたいだからな」




初霜「ご、ごめんなさい…思い出しただけでもう鳥肌が」




古鷹「あの人達がらみは私達にもユウにも害悪でしかありませんでしたから。このお話はここまででお願いしますね」




「はーい」




大川提督「話を戻そう。深海棲艦が現れた時、その対になる存在も現れるとミズキさんは話していた。そして私達は後に現れた艦娘達を導く為提督として指揮を執り共に戦う道を選んだ」




神州丸「成る程」




大川提督「だが、それには大きな問題がいくつも出てしまった」




瑞鳳「問題?」




加古「ブラック鎮守府って奴か」




大川提督「そうだ。艦娘を人ではなく兵器として奴隷の様に酷使した者共がいたこと、それを経験した者の中に人間に不信感を抱く者もいた」




天霧「まあ、気持ちはわからなくもないけどな…」




大川提督「もう1つ、艦娘に選ばれた者の中に選民意識を持つ者が出てきた事。そして三笠に唆され人間を見下した者が現れたこと」




野分「艦娘至上主義に感化されたと」




大川提督「多くの艦娘はこちらでアフターケアをし今でも共に戦ってくれているが三笠傘下の艦娘達のほとんどはもう手の施しようがなかった」




江風「だからってよ、テロリストになってまで戦うのは違うだろーが」




大川提督「その通りだ。奴らを野放しにしたらヒトの為に戦っているお前達皆の障害でしかない。私や大堂元帥、龍生達はそれらを許す訳にはいかない。報われない戦いはお前達艦娘のする事ではない、私の様な軍人がする事だ」




阿武隈「提督… 」




加古「『戦争は大人が勝手な理由で始めて煽りを食ってるのは子供、だからそれを護れるなら使える手段はなんでも使う』だったけ?」




大川提督「む…?」




天霧「初霜が言ってたやつっすね。その使える手段がカッコカリってことか」




大川提督「そうだ。艦娘は不老長寿、それは深海棲艦も同じだそうだ。幽々子殿の話では艦娘、深海棲艦例外なく半身半霊に近い存在でその寿命は最低でも500年はあるそうだ」




嵐「ご、500年!?」




大川提督「そうだ。私は、こんな事の為に戦ってきたのではない」




ナツキ「ユ、夕禅様…?」




大川提督「何も知らぬ子供に武器を持たせ化け物と戦わせる為に戦ってきたのではない!」




ビクッ!




夕禅にも思う事はあったのだろう、夕禅は書類上だけだが初霜を養子として引き取っていると

皆聞いていた。加古が言った台詞の最たる例だろう




ナツキ「夕禅様…」




勿論ナツキもこの事は聞いている。ナツキは恐らく夕禅は亡くした娘面影を初霜に見たのだろうと感じている。




娘を亡くした夕禅、親の顔を知らず独りぼっちだった初霜。皆失った悲しみがありそれらに敏感に感じる事が出来るナツキには胸が詰まる思いだった。




大川提督「…すまんな、少々感情的になってしまった」




神州丸「いえ、提督殿のその意見には私も同意です。深海棲艦出現前から国の為に戦ってきた提督殿には到底許せる事ではないはずです」




阿武隈「神州丸さん」




神州丸「私も元は軍人であります。私は最初から戦う覚悟がありますが艦娘の皆が皆そうではありません」




その言葉を皆静かに聞いていた。暫しの沈黙の後に夕禅が口を開く




大川提督「それにな、私はこの中の者が誰一人欠ける事無く戦争を終える事の方が大切だと思っている」




「え?」




大川提督「全ての艦娘、そしてミズキさんから産み出され深海棲艦はこのケッコンカッコカリをすると艤装の魂の制限を解除することが出来るようになる」




鬼怒「それが俗に言う限界以上の力って奴なの?」




大川提督「そうだ。それは何を意味するか。単純だ、その分その者の生存率が上がる」




「!」




天霧「そうか、そういう考え方もあるか」




大川提督「戦争は、自分が死んでは意味がない。生きて終戦を迎えなければならない。そして私は皆と終戦を迎えたいと思う」




イリス「夕禅様…」




大川提督「それに、法など戦争が終わった後で変えてしまえばいいしな」ニッ




「は?」




まさかの夕禅の発言で、呆気に取られる面々、その中で




加古「ぷっ、くくく…」




加古が察したのか笑いだしていた。




神州丸「加古さん?」




加古「あっはっはっはっ!さらっととんでもねぇ事言うよな夕禅提督って!」




天霧「全くっすよね!ホントここに来て良かったぜ!」




嵐「ああ、最高だぜ…!」




鬼怒「ホントだよねぇ、マジパナイよ」




神州丸「提督殿はもう覚悟が決まってるのですね」




古鷹「ユウだけではありませんよ。私達もです」ニコッ




祥鳳「ええ、もう覚悟は出来てますよ」




リコ「一蓮托生、デス!」




イリス「リコ、ソレドウイウ意味?」




瑞鳳「一蓮托生、良い結果でも悪い結果でも行動、運命を共にするという言葉です。一蓮とは1つの蓮の花という意味で生まれ変わったら同じ蓮の花でお逢いしましょうと意味です」フンス




イリス「成程、デモ何デ蓮ノ花ナノ?」




瑞鳳「蓮の花は仏教では神聖なお花として考えられています。一蓮托生の蓮もここから来ているといわれています」




嵐「瑞鳳さん詳しいですね。以外っす」




瑞鳳「こーみえても私は実家がお寺なのです」フンス




イリス「ダカラ瑞鳳ハソンナニ純日本人体型ナノネ!」




瑞鳳「そうそう、だからこんなに着物が似合う寸胴体型って、誰がAAAのまな板じゃぁぁーーー!!」




鬼怒「おお、ノリ突っ込み」




加古「いやいやお前が勝手にいったんだろうがよ」




涼風「五月雨並みのシリアスブレイカーだねぇ。瑞鳳さん」




瑞鳳「ぷぅ~」




大川提督「皆の答えは改めて聞くことにしているから考えてくれ。私の話は以上にしよう、今夜は付き合ってくれてすまないな。皆ありがとう」





加古「おう!じゃこれからの為に飲むとしますか!」




天霧「賛成!」

江風「意義なーし!」

嵐「飲も飲も!」

瑞鳳「私も飲むーー!」

イリス「皆デ飲ミマショー!」




野分「やれやれ」


ハク「モウ、イリスマデ」


野分「苦労しますね」フフ


ハク「オ互イニネ」ウフフ




皆で酒を飲む準備をしているなかそれを少し離れて見る形になった夕禅と古鷹。それを見て古鷹が口を開いた。



古鷹「話ても大丈夫でしたね」




大川提督「ああ、私の考え過ぎだったかもしれんな」




古鷹「仕方ありませんよ。ことがことですから。でも慎重なことは悪いことではないですよ」




大川提督「そう言って貰えるとありがたいな、古鷹」




古鷹「いえいえ」ウフフ




加古「おーい!お二人さんも来いよー!」




古鷹「はーい、行きましょうか。ユウ」




大川提督「ああ」




ナツキ「皆様、グラスハオ持チニナリマシタカ?」




神州丸「持ちましたがこれは?」




鬼怒「ジャックダニエルのジェントルマンジャックだよ。節目の乾杯の時は皆で飲むんだー」




初霜「じゃあ提督!どうぞ!」




大川提督「うむ、それでは我らの新しい明日を願い、乾杯」




「乾杯!」




皆で飲む酒は上手いな。誰一人欠ける事無くまた皆で酒を飲める事を願いつつ夕禅はグラスを煽った。




______________________




おまけ






夕禅が今までの事、これからの事を話していた同時刻のこと




サイパン島 スーサイドクリフ




武蔵「総員!黙祷!」




灯籠流しが行われていたそこには第3鎮守府の沖久保翼提督と秘書官の武蔵、そして第3鎮守府に所属しているドレイク隊の隊員達、そして島にいた深海棲艦達が武蔵の号令で黙祷を捧げていた。




武蔵「直れ。以上を持ってサイパン島での慰問を終わる。明日朝0630に立つ、それまでは自由とする」




ドレイク隊隊員「はっ!」




ドレイク隊の隊員達は各々足早に島中に散っていった。それを見ていた翼は




翼提督「皆さん…」




武蔵「仕方あるまい相棒」




翼提督「武蔵」




武蔵「ドレイク隊の連中は皆、ここに取り残されていた陸軍兵士の生き残りだ。遺体の処理は提督達がしてくれて自分達がここに来るのは初めてだからな」




翼提督「ねぇ武蔵。なんで、なんで人間って自分達の都合で争うのかな…?」




武蔵「私もわからん。ただ、自分の持つ思想や理想を相手に無理矢理押し付けたことで軋轢だとか争うきっかけを作ってしまうからだと私は考えている」




シュウ「マア、多種多様性ノ暴走ッテトコジャナイノ?」




翼提督「シュウさん」




武蔵「相棒よ。お前はまだ若い、それにまだ時間はある。じっくり考えて答えを探すといい。私はいつでもお前なりの答えを聞いてやる」




翼提督「ありがとう、武蔵」




翼は海に流れて遠さがっていく灯籠を見てまた考えていた。自分に出来る事と為すべきことを、自分に納得が出来る答えまで、そして戻ってきたミズキさんからある情報を聞くことになる。







後書き

読んで頂いて誠にありがとうございました!!
この構図は最初からありましたが、リアルでの仕事がピークだったのと艦これイベント攻略で全然更新が出来なくて申し訳ありませんでした。今やっと落ち着きました。元々酷かった文章力がまた酷くなりましたが、物語を作ることは好きなのでまた続きを書いていきたいと思いますのでよろしくお願いします。


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