大川提督「我ら」古鷹「第7鎮守府遊撃班です!」8話
阿武隈「彼女が提督を慕う訳」
皆さんこんにちは!初めましての方は初めましてメットールです。
今回からタイトルはこれでやっていきます!スピンオフではなく主軸の方でこの物語の大川提督とナツキこと港湾夏姫のちょっとしたお話をお酒を飲みながらお喋りします。誤字脱字や変換ミスはありますがどうぞ宜しくお願いします。
夕食も終わり、加古は食堂の一区域でいつもの準備をしていた。この日は週に3回開けてるウィスキーバー、加古は夕禅から貰ったコレクションのジャックダニエルを出す準備をしていた。
中でも加古が時間をかけて準備するのが氷。今では夕禅と飲み友達同然となった加古が自分なりにウィスキーを美味しく飲む為に調べた結果に至ってのことだった。
その中でも加古はランプ・オブ・アイス、丸く製氷されたものをいたく気に入りバーの準備でもこちらの確認を入念に行っていた。
2100。バーを開くと早速カウンターに座ったのが初霜と天霧だった。
加古「おう、初霜は珍しいな。一番に来るなんてよ」
初霜「たまにはお邪魔しようかと」
加古「勿論歓迎さ、大抵一番に来るのが天霧と江風だからな」
天霧「あの様子だと江風の奴は来ないっすよ。名取さんに見事に返り討ちにされてまだ寝てますわ」ケラケラ
と天霧が意地の悪そうに笑いながら話した。が
加古「あれは笑い事じゃねえよ……」アキレ
話は今日の午後、自由時間に起こった。得物の組み手での事で江風が名取に相手を頼み各々の得物の模造品で訓練をした時だった。
最近自分の得物、大鎌の扱いにも慣れ、戦果も挙げている江風。そこで調子に乗ってしまった。
江風「おらぁっ!!どうだい名取さん!こんなもんすかっ!?」ガキンガキン
その調子に乗った態度に名取は少々イラッと来た様でわざと鍔迫り合いに持ち込みそこから
江風「へっ?」
片腕の力を抜き江風の態勢を崩したかにみえた瞬間だった。
加古野分嵐天霧鬼怒照月「「「「「「「えっ?」」」」」」」
その瞬間に片手で模造品の斬馬刀を瞬時に叩き付ける様に振り抜き江風を一撃で沈黙させた。艤装のバックアップがあったとは言え一連の動作が異様に速かった為加古達は唖然としていた。その中名取が我に返ったようで
名取「ご、ごめんなさ~い!!」
江風「きゅ~……」(@_@)
大川提督「名取、やり過ぎだ。五月雨、涼風担架ー」
五月雨「はーい」
涼風「あいよっ!」
江風が医務室送りの中阿武隈と瑞鳳はと言うと……
阿武隈(名取お姉ちゃんの目が……)(((・・;)
瑞鳳(一瞬あの時の目だったよぅ……)(;;)
特に瑞鳳は初めて会った時の事を思い出し(5幕目の話)涙目になっていた。それをしり目に
古鷹「名取ちゃん。私と久しぶりに手合わせいいかな?」
名取「えっ!?あっはい!古鷹さんお願いします」ペコリ
直に古鷹と名取の手合わせが始まった。そのレベルの高さに加古達が呆然とし、お茶の時間で呼びに来ていたナツキが興奮して観戦していた。
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天霧「いやぁ、あれは凄かったすねぇ」(  ̄- ̄)
加古「おんなじ艦娘かよって思っちまったな」ガリガリ
加古がウィスキー用の氷のブロックをアイスピックでクラック・ド・アイスを作りながら天霧に相づちを打ち座っていた初霜に聞いてみた。
加古「なあ初霜、夕禅提督とこに就いてるのってみんなああなの?」
初霜「ああとは、強いってことですか?」
加古「ああ」
初霜「うーん、そこまで客観的には考えたことありませんが古鷹さんや名取さんと互角に戦える位なら私達やリコちゃんも出来ますよ」
加古「練度とかの問題でもねぇ、次元がちがうわ」アハハ
天霧「なんでそんなに強いんだ?」
初霜「うーんと、今は秘密です」
加古「ま、取り敢えずそれはいいか、ほれ御二人さん注文は?」
天霧「あたしはNo.7のクラック」
初霜「テネシーハニーのランプ・オブ・アイスで」
加古「あいよ!なんかつまむかい?」
天霧「あたしはいらねっす」
初霜「私も大丈夫ですよ」
それを聞いた加古は手際よくロックグラスを棚から出し天霧のグラスに先程削っていた砕いた氷を、初霜のグラスには冷凍庫から球体の氷を出してそれぞれグラスに入れのウィスキーを注いだ。
加古「お待ちどうさん。どうぞ」
2人にウィスキーを渡し終わった時に何人かが食堂へと入って来た。その人物はというと
名取「ご迷惑を御掛けして、ごめんなさい……」
(;つД`)
大川提督「もう気にしなくていいぞ名取」ナデナデ
古鷹「そうですよ、それに迷惑だなんて思ってないよ」
鬼怒「でもあれは凄かったなあ」
と夕禅を含む4人だった。この4人もバーカウンターの席に着いた。どうやら飲むようだ
加古「夕禅提督いらっしゃい。今日はどうしたんだい」
大川提督「名取がこんな感じだからな。少し気分転換にと思って誘ってみた」
加古「成る程、で何飲む?」
大川提督「シングルバレルをロックで、ランプ・オブ・アイスで頂こう」
加古「あいよ!古鷹達は?」
古鷹「じゃあ、レッドドックサルーンのロックで、氷はクラック」
名取「私はシナモンファイアのロック。氷は提督さんと同じで」
鬼怒「鬼怒はねー、テネシーハニーのロック。氷はクラックでお願い」
加古「おう!ちゃっちゃっと準備するからな。でさ~夕禅提督」
大川提督「構わんよ」
加古「ありがとうございます!」
そうすると加古はグラスを5つ用意し注文のグラスを作り夕禅達に渡すがシングルバレルのランプ・オブ・アイスを2人分作っておりその内の1つを自分の手元に置いた。
加古「いやぁシングルバレルあんま飲まないからさぁラッキー♪」グビッ
と言い4人よりも先に飲み始めた。
鬼怒「なんか飲み屋みたいなテンションだねw」アハハ
大川提督「厳密な決まりはないから問題はないだろう。そもそも飲みたくてやってる奴だからとやかくは言うつもりはない」
古鷹「まあ、調子に乗ったり度が過ぎるとユウはお灸据えるだけだから大丈夫だよ」
大川提督「まあ最近の江風はその内灸を据える予定にしてたからな。正直名取のおかげで手間が省けた」
天霧「マジかよ、まあ最近アイツ艤装改二にもなったし、ガンガン深海棲艦も倒してるしな、頼もしい分調子に乗ることもあったからなぁ」
大川提督「頼もしい分は大いに結構、だが増長するとろくなことにならん。さっき様子を見に行った時目が覚ましてな、看病してた名取を見るやいなや即座に土下座をしていた」
加古「なんか想像出来るなw」
名取「ビックリしました……」
古鷹「まあ江風ちゃんも自分で思うところがあったみたいだからユウも悟すように言っただけだし後腐れはないと思うよ」
天霧「大丈夫っすよ、江風はああですけど自分が悪いと思ったらちゃんと省みれる奴ですから」グビッ
鬼怒「へえ、よく知ってるね」
天霧「まあ、アイツとはこんなかだと一番付き合い長いっすからね、ある程度は分かるつもりっすよ。すいません提督。あたしも……」
大川提督「クラックでよかったか?」ニコッ
天霧「ありがとうございます!加古さん!シングルバレル一杯!」
古鷹「ふふふ、あれ?」
ふと古鷹はさっきから会話に入っていない初霜のことが気になった。
古鷹「初霜ちゃん。どうしたの?」
初霜「……ズルいです」
古鷹「?」
初霜「名取さんだけズルいです。お義父さん私にも頭ナデナデしてください」
鬼怒「あれ?初霜ちゃん?」
名取「ロック、飲み慣れてないから酔っちゃってるね。目も据わってるし」アハハ(^^;)
初霜「ナデナデしてください」
大川提督「ああ、わかった。初霜おいで」
そう言われた初霜は夕禅の膝の上に乗り……
大川提督「いつも我慢ばかりさせてしまってすまない」ナデナデ
初霜「~♪」ニコニコ
鬼怒「端から見ると本当に親子だねぇ」
初霜「血は繋がってありませんが義親子ですー♪」ゴクッ
加古「まあ、確かに本当に親子なら並んでウィスキーなんて飲まないわなww」ケラケラ
大川提督「だが初霜の酔いが少し早いな、加古すまないが摘まめるものはないか?」
加古「ちょっと待って、えっと……」
と、加古がつまみを確認した時に
ナツキ「アラ、皆サンデオ飲ミニナッテルンデスカ?」
名取「あっ、ナツキさん。それに阿武隈ちゃんとリコちゃん」
リコ「アレ?初霜サン酔ッテマスカ?」
夕食の片付けと明日の朝の仕込みが終わったリコとナツキ、それに手伝いをしていた阿武隈がバーへ来ていた。
加古「おお、丁度いいとこにリコちゃんなんかおつまみない?今こっちチョコしかなくてさ」
リコ「エット、確カ今日ノ配給デナッツ類ガアッタハズナノデチョット確認シテキマスネ」トテトテ
加古「悪いねぇ」
ナツキ「皆サン私モゴ一緒サセテ頂イテモヨロシイデショウカ?」
鬼怒「もちろん!阿武隈はどーする?一緒に飲む?」
阿武隈「じゃあちょっとだけなら」
リコ「ナッツ持ッテ来マシタヨー」
リコが持ってきた袋を見るとクルミやアーモンドなどが入ったオードソックスなものでつまみとしては最適だった。
加古「ありがとー!袋のままだと味気ないから今取り分けるねー、リコちゃん達も席着いた着いた」
ナツキ「夕禅様、古鷹様失礼致シマス」
阿武隈「名取お姉ちゃん隣いい?」
リコ「鬼怒サン失礼シマス」
と、3人が空いている席に着き丁度満席となった。
加古「はいどうぞ2人1皿ねー喧嘩すんなよー」コトッ
加古が取り分けたナッツの皿をテーブルに並べた。それはナッツ特有のほのかに香ばし香りがあり鼻腔を丁度良く刺激した。
天霧「あれ?あたしは1皿いいんすか?」
加古「お前はあたしとだよ。あたしの分まで分けんの面倒くさい」ヒョイ
加古はそう言うと皿にあったナッツを適当に摘まみ咀嚼しグラスを煽った。
加古「ん~♪このナッツ類は当たりだね~♪良く合う」
加古がそう言う傍ら初霜が皿によそってあるナッツをボリボリと食べていた。
大川提督「初霜、食べ過ぎると鼻血が出るぞ」
鬼怒「あ~なんか言われてるね、それ」
名取「実際どうなんでしょう?」
古鷹「う~ん、ポリフェノールの過剰摂取?」
リコ「血行ガ良クナリスギルト言ウ点デハ当タッテルトハオモイマスガ…」
加古「なんでも適量ってことか」グビッ
皆がそう話している時、ナツキも楽しそうに聞いていたが、次の言葉に場の空気が変わった。
鬼怒「ねえねえナツキさん」
ナツキ「鬼怒サン、イカガ致シマシタカ?」
鬼怒「ナツキさんは提督とどういう関係なの?」
鬼怒の言葉に飲んでいた加古は吹き出しそうになったり、阿武隈がいの一番に反応したりした。
鬼怒「えっ?気になんないの?だって提督のこと『様』付けだし、古鷹さん達とも親しいしなんかあったのかなーって」
天霧「そりゃ、そうっすね」
ナツキ「夕禅様ハ私ノ命ノ恩人デスワ」
鬼怒達の疑問に答える様にナツキは一言で言いきった。
阿武隈「命の恩人…ですか?」
ナツキ「ハイ、私ハ夕禅様二危ウイ所ヲ3度助ケテ頂イテマスワ。デスカラ助ケテ頂イタ夕禅様二ゴ恩ヲオ返シシタイノデス」
加古「へぇ~、じゃあナツキさんその話聞いてもいいかい?」
ナツキ「オ話、デスカ?」
加古の言葉を聞いてナツキは隣に座っている夕禅に周りに聞こえないように相談し始めた。
ナツキ(アノ、話シテモ大丈夫ナノデショウカ?)
大川提督(『あの部分』のことは暈してくれ、話してもいいがこの話は他言無用で頼む)
ナツキ(分カリマシタ)
阿武隈「あの…、お話出来ないことなら……」
ナツキ「イエ、夕禅様ノゴ許可ヲ頂キマシタノデ大丈夫デスワ」
ここでナツキは咳払いをして続けた。
ナツキ「只、夕禅様モ仰ラレマシタガココダケノオ話ト言ウコトデオ願イシマス」
加古「了解~。お客様の個人情報情報だからね~他言にはしないよ」
古鷹「私と名取ちゃんと初霜ちゃんとリコちゃんは前に聞いてますから、私の事は気にしないで下さい」
天霧「OK」
阿武隈「わ、分かりました」
鬼怒「了解~」
ナツキ「アリガトウゴザイマス、ソレデハオ話シマスネ。アレハ8年前ノ事デスワ」
加古「は?8年前!?」
ナツキの言葉に加古は思わず耳を疑った。勿論状況を理解した天霧や鬼怒を驚きを隠すことが出来なかったのだが唯一阿武隈はなんで加古達が驚いているのかが分からなかった。
阿武隈「えっ?どうしたんですか加古さん?」
加古「……阿武隈、深海棲艦が確認されたのは何年前かわかるな?」
阿武隈「えっと、確か3年と8ヶ月前で……えっ?」
鬼怒「そうだよ。その話が本当なら提督は深海棲艦の存在を人類が確認する前に知ってた事になるよね」
大川提督「ああ、そうだ。最も当時は深海棲艦などの名称がなかったがな」
天霧「その話は勿論……」
古鷹「うん、私達はもう教えてもらってますよ」
加古「そうなのかよ、ってああごめんナツキさん話の腰折っちまって」
ナツキ「イエイエ、デハ続キヲオ話シマスワ」
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あれは、良く晴れた日の夕暮れでしたわ。私とミズキ様や後はハク達もいましたね。その時今で言う深海棲艦の好戦派が私達や現地の方々に対して戦いを起こしていました。その中でもおよそ100を越える部隊が防衛線の穴を通って進行してました。当然私達も黙っているわけもなく戦いの準備をし迎え討とうとしました。
ミズキ「みんなここにいたのね」
沖久保大将「どうしたんだミズキ?そんなに慌てて…」
ミズキ「深海棲艦の部隊が接近してるわ、早く逃げて下さい。もうすぐここも戦場になります」
大堂艦長「他の連中はどうしたんだ?」
ミズキ「駄目です。今いる娘達じゃとても対応出来ないわ」
大堂艦長「戦線の穴を突かれたか……!」
ミズキ「みんな早く逃げてね、私達は準備があるから……」
そう仰ったミズキ様は足早に準備をしているハク達の元へ向かいました。私も向かおうとしたのですが沖久保大将達の会話が気になり隠れて盗み聞きをしました。
沖久保大将「大堂、何か策はあるか?」
大堂艦長「連携が執れてるからな、後一手あれば……」
大堂元帥も考えあぐねていたその時でした。
大川夕禅「艦長、連中はこの南側ですね。艦長は大将や他の皆を連れて避難して下さい」
ナツキ「!」
私は耳を疑いました。あの話し方が意味することが分かってしまったからです。
大堂艦長「まて夕禅。お前、また死に急ぐつもりか?」
大川夕禅「ヤバくなったら尻尾巻いて逃げますよ。少し足止めをしてくるだけです。艦長達に迷惑をかけてしまいましたからそのお詫びですよ。それでは行ってきます」
と、夕禅様は刀を携えて南に進軍していた深海棲艦の部隊へ向かって行きました。勿論私もすぐにミズキ様に伝え私達もその部隊の所へ向かいました。夕禅様に追い付いたのはもう日も落ちていた時です。
ミズキ「夕禅さん!あなた何を……!!」
ナツキ「エッ……?」
……あれを見た時、私達は自分たちの目を疑い言葉を失いました。
大川夕禅「……もう50は斬ったか。日も完全に落ちてしまったし、もう戻るか」
そこには、100を越える深海棲艦がいました。
いたはずでした。
それが私達が駆けつけた時にはその半分が物言わぬ骸と化し地に伏していました。夕禅様は私達が駆けつけたのに気付き、
大川夕禅「おや、ギャラリーが来てしまったか」ニコッ
私達に向かって笑みを浮かべすぐに残りの深海棲艦達に向き直りました。
大川夕禅「さて、少しは良いところを見せる為にもうひと頑張りといこうか。『鬼兵大川』はくれてやる。私からの餞別だ。あの世で仲良く殺し合うといい」
深海棲艦A「ナ、ナニモノダコイツ……」
深海棲艦B「アイテハタッタヒトリダ!ウテ!コロセ!」
大川夕禅「悪いが『大川夕禅』は死なん、見たい明日が出来た。『ヒト』の心を持ったヒト成らざる者達がどのような明日を迎えるのか、この目で見たい」
そう言った夕禅様は不敵な笑みをして
大川夕禅「だが、お前達は1人残らず斬ることにしよう」
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ナツキ「ソウ言ッテ夕禅様ハソノ後深海棲艦達ヲ御一人デ殲滅、私達ヲ助ケテ下サイマシタ」
天霧「マジで…?」
鬼怒「深海棲艦100人斬りって、マジパナイね…」
ナツキ「ソノ時一本ノ道ガ出来テオリマシタ」
阿武隈「道…?」
ナツキ「ハイ、ソノ道ダケ深海棲艦達ノ骸モナク、言ウナレバ『斬り拓かれた』道。マルデ私達ヲ導イテ下サルカノヨウニ私ハ感ジテオリマシタ」
加古「斬り拓く、ねぇ…。もしかして夕禅提督の『斬拓の志士』って異名は…」
ナツキ「ハイ、ミズキ様ガ」
リコ「ソノオ話ハオ母サンカラ聞キマシタ。私モ助ケラレタ時ハミヲトビックリシマシタ」
加古「これが一回目ってことか、ナツキさん二回目っていつ頃なんだ?」
ナツキ「二回目ハ3年前デスワ」
天霧「3年前?」
ナツキ「実ハ、人ノ営ミト言ウモノヲ見タクテ沿岸部ノ街へ遊ビ二行ッタ時デスワ」
鬼怒「それ大丈夫なのっ!?」
ナツキ「ハイ、当時ノ人類ハマダ人型ノ深海棲艦ヲ認知シテイマセンデシタカラ以外ト行ケマシタワ」ウフフッ
阿武隈(お姉ちゃん、ナツキさんって…)ヒソヒソ
名取(うん、意外と行動的だよ。おしとやかなんだけど好奇心旺盛)ヒソヒソ
阿武隈(……凄いギャップだね)ヒソヒソ
天霧「人の営みって深海棲艦と戦争状態になってる時だろ?もう避難してるんじゃ……」
大川提督「普通はそう思うな」
加古「どゆこと?」
大川提督「ナツキが遊びに行ってた街と言うのが当時では活気があり、尚且つ当時の軍本部に程よく近い街だからな」
鬼怒「はぁ!?」
加古「なんでよりによって…?」
ナツキ「灯台元暗シト言ウジャアリマセンカ、以外ト人ガ多イ場所ナラトミズキ様ガ」(^^)
と、ナツキはあっけらかんに話していた。
阿武隈「その様子だとミズキさんも?」
大川提督「ああ、遊びに行っていたな。ちょくちょく報告されてた」
天霧「警備どうなってんだよ!?」
大川提督「街の警備は軍の管轄ではないからな、それにミズキさんはああ見えて強かで口が回る。なによりもな……」
阿武隈「?なによりも?」
大川提督「ふふっ、あの人の悪運はおかしい」
リコナツキ「「激シク同意」」
リコ「オ母サンハ悪運ガ強スギマス」
ナツキ「本当二、ミズキ様ガ仰ッテマシタワ『こういう状況になると決まって誰かしらと出くわすのよ?例えば夕禅さんとか龍生君とかに』ト」
鬼怒「なにそれ?」
ナツキ「コノ間ノサイパン島ノ時ノヨウニピンチノ時ニ夕禅様ヤ龍生少将ナドニ再会スルトカ、デスワ」
天霧「一種の勝ちフラグかよ!?」
初霜「お義父さんは強いですからー♪」///
ナツキ「私トシテハソノミズキ様ノ悪運デ夕禅様ト再会デキマシタカラ感謝シカアリマセンワ!」
(≧▽≦)
加古「本当に嬉しそうだ。良かったな夕禅提督、好かれてて」ニヤニヤ
大川提督「敢えて言わせて貰おう。ありがとう」
加古「どういたしまして。でさ~夕禅提督お一つお願いが…」
大川提督「明日起きれるなら構わんよ」
加古「ありがとうございます!」
そう言った加古はシングルバレル二杯目に突入し上機嫌に飲みだした。
古鷹「もう、ユウも少し甘いですよ。起きなかったら私が『起こす』事になるんですよ」
古鷹のその言葉を聞いた加古は煽っていたグラスをピタッっと止めた。
加古「だ、大丈夫だよ~古鷹。古鷹の手は煩わせないって~」(^^;
古鷹「ならいいんだけど」フフッ
名取「古鷹さんも提督さんに似てきたなぁ」
鬼怒「ねぇねぇ、話がもこみちに逸れてるよ。ナツキさん続き続き」
阿武隈「横道ね!なんで出てきた」
リコ「モコミチ?」
大川提督「鬼怒、好きあらばボケをいれるな。ナツキ続きを話してやれ」
ナツキ「カシコマリマシタワ夕禅様!」
______________________
あの時も天気が良く、雲一つない空が広がっていましたわね。季節としては初夏?と言うものでした。私は今の港湾夏姫の個体に確認されている格好に青い薄手のジャケットを羽織り、要はワンピースにジャケットですわね。街を散策してました。
ナツキ「活気ガアリマスワネ」
確かに活気があったのですが深海棲艦との戦いが始まったと言うのにまるで無関係、まるで切り離されたかのように感じました。
逆に言えばそれが平和ということなのだと思いました。それ程までに感じることが出来たからです。そうして私はショッピングモールを見て周り、それから海沿いの公園まで来ました。
ナツキ「本当二平和デスワ…」
あの海の向こうでどれだけの命が散り、海へ沈むと考えると少し気が沈んでしまいました。すると私の足元にコロコロと小さなボールが転がって来ました。
ナツキ「アラ?」
私はそのボールを拾うとボールの持ち主であろう小さな女の子が駆け寄って来ました。
ナツキ「エット…確カ……」
ふと私は街へ出る時にミズキ様にいろいろと教わった内の一つで小さな子供と話をするときは目線を合わせる様にすると良いということを思い出しました。ので私はその女の子と目線を合わせる為屈み
ナツキ「コレ、貴女ノ?」
と私が訪ねると女の子はコクンと首を縦に振りました。
ナツキ「ハイ、ドウゾ」
女の子「お姉さんありがとう」
と、女の子は私に手を振りその子の母親の所へと向かって行きました。
ナツキ「コレガ、ヒトノ営ミト言ウモノナノデスネ」
一通り見て回り満足した私はもう帰ろうとした時でした。
通行人「おい?なんだあれ?」
通行人の男性が海を見て指を指しており気がついた方々が野次馬の如く集まり海を見ていました。私が見た光景は
ナツキ「戦闘……!?」
深海棲艦達が海軍と戦闘をしていたのです。見た所海軍が後手にまわって防衛戦に陥っているようで恐らく察知が遅れたのだと思いました。しかし、
ナツキ「駆逐級……!?」
駆逐級の深海棲艦が突破しすでに街の近くまで接近していたのです。
「きゃあ!?」
「逃げろぉ!?」
公園にいた方々がまるで蜘蛛の子を散らすように逃げ始めましたが、私はその駆逐級の深海棲艦達の兵装を見て戦慄したのを覚えてます。なぜなら
「うわぁ!飛んできた!?」
飛来した駆逐級が公園へ上陸するや否や
「へっ?」
近くにいた男性を巻き込み爆発したのです。
ナツキ「マ、マサカ……特攻兵装?」
かつてこの国に存在していた特攻兵器、魚雷の回天や戦闘機の桜花などを彷彿とさせる兵器を戦闘能力の低い駆逐級に装備させ人間達を道連れにする兵器。噂でしか私は聞いたことがありませんでした。
ナツキ「ナンテ惨イ事ヲ……」
好戦派の深海棲艦にとってはこの上ない兵器だと思いました。駆逐級は短時間で大量に『産み出す』ことが出来、且つ代用が効く事、そして何よりも
ナツキ「コンナノ、タダノ怨念返シヨ……」
深海棲艦はかつての戦争で死んだ人間達の負の集合体と言われています。当然国の為と言われ特攻兵器に乗せられた若い兵士達の怨念も。
私にはまるでその死んだ怨念達が生きている人間達を自分達の所へ引き摺り込もうとしているように見えてしまいました。
女の子「お母さん!お母さん!」
聞き覚えのある声が聞こえました。見てみると先程のボールの女の子とその母親でした。
駆逐達の特攻に巻き込まれ母親は重傷を負っており女の子が必死に呼び掛けていました。
女の子「お母さん!返事してよぉ!」ポロポロ
母親はまだ息があるようでしたが返事も出来るような状態ではありませんでした。
そこへ……
ナツキ「危ナイ!!」
特攻部隊の第2波が来てしまったのです。勿論女の子は気付くことが出来ません。
ナツキ(ソレナラ……!)
私はその親子を庇い、爆発を受けようとしました。私も深海棲艦。例え艤装も無いとしても人間よりかは耐えられる。何よりもこの親子に悲しい別れなんてさせたくはありませんでした。
私は覚悟を決め親子を庇いました。が、
ナツキ「……?」
爆発が起きませんでした。上陸して直ぐに爆発したはずなのにと思い恐る恐る顔を上げました。すると
「無事か?」
私の前に1人の海軍軍服を纏った男性が立っていました。そしてその手には見覚えのある刀が有り駆逐級が全て真っ二つに斬り捨てられておりました。
私はその男性を知っていました。
ナツキ「貴方様ハ……!」
間違うはずも忘れたこともありません。私の憧れの方でした。
大川夕禅「ここは危険だ、早く逃げろ」
ナツキ「ソ、ソレガ…」
私は言い澱み、つい目を親子にやってしまった。母親は重傷で下手に動かすことが出来ず女の子も母親から離れようとしない為動けませんでした。夕禅様はそれに気が付かれたようで
大川夕禅「……頭を伏せていろ」
刀を抜き腰を据え、霞の構えに似た体制を取り飛んできた駆逐級達の迎撃を開始しました。
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ナツキ「ソウシテ夕禅様ハ、特攻部隊ノ進行ヲ食イ止メ街ヲ守ッタノデシタ」
鬼怒「何?もう提督なんでも有りに感じてきた」
阿武隈「ナツキさん、そのお母さんって助かったんですか?」
ナツキ「エエ、夕禅様ガ特攻部隊ヲ殲滅シタコトニヨリ深海棲艦ノ部隊ハ撤退、ソノ後直グニ救助隊ガ来テクダサイマシテ一命ヲトリトメタソウデスワ」
阿武隈「良かった……」
ナツキ「デスガ……ソノ、続キガアリマシテ」
加古「続き?」
ナツキ「私ノ正体ガバレカケテ住民ノ皆様ニ囲マレテシマイマシタノ」(^^;)
天霧「は?」
阿武隈「それ、大丈夫だったんですか!?」
ナツキ「夕禅様ガイナカッタラ危ナカッタデスワネ」ウフフッ
古鷹「ユウはどうやって切り抜けたの?」
大川提督「ナツキをある海軍少将の箱入り娘にしたてた。屋敷から抜け出した事にして事が大きくなる前に秘密裏に捜索している体にしてな、それなら海軍軍人の私が単独で動いてもおかしくはない」
加古「でもそれって無茶だろ?第一肌の色で…」
大川提督「ああ、だからナツキはアルビノという事にした。そうしてしまえば箱入り娘の説明が出来、証拠がない限り否定が出来ないからな」
初霜「アルビノ?」(・_・)?
リコ「アッ、私知ッテマス!確カ『先天性白皮症』ッテ言ッテ産マレタ時カラ肌ガ白クナッテシマウ遺伝子障害デス」
大川提督「その通りだリコ、良く覚えていたな」
リコ「ハイ!アリガトウゴザイマス!」ニコニコ
加古「成る程ね、確かにアルビノって言っちゃえばいいし、第一この国じゃアルビノなんて認知度無いし誤魔化せるね」
鬼怒「えっ、そうなの?」
加古「この国じゃ事例が少ないせいで大きく取り上げられないからな」
大川提督「現にミズキさんの誤魔化しかたもアルビノのゴリ押しだったからな」
リコ「笑顔デゴリ押シシテルノガ想像デキマス、加古サンオカワリ」
加古「またシナモンかい?」
リコ「オ願イシマス」ニコニコ
ナツキ「フフッ、スイマセン古鷹様、私モ同ジモノヲ頂イテモヨロシイデスカ?」
古鷹「構いませんよ、加古ーナツキさんにレッドお願いー」
加古「はいよー」
阿武隈「ナツキさん、3回目っていつ頃なんですか?」
ナツキ「3回目ハサイパン島デスワ」
その言葉を聞いた古鷹や名取、リコは神妙な面持ちになり初霜に至っては不機嫌気味にナッツをボリボリ食べていた。加古、天霧、鬼怒の3人はやはり顔が強張ったようだった。聞いた阿武隈は皆の態度が気になってしまったようだ。
阿武隈「あれ?私なにか不味いこと……?」
天霧「阿武隈さん、マジっすか?」
加古「天霧、阿武隈にも事情があんだよ。聞いてやるな」
大川提督「…阿武隈には私がタイミングを見て私から話をしよう」
阿武隈「?はい、分かりました」
加古「リコちゃん、ナツキさんどうぞ。さてと飲み直しといこうじゃないの!」
大川提督「そうしようか。ならば少々弾くとしよう」
そうして私はグラスを持ったままピアノに行き弾く事にした。曲はこの場に合う落ち着いた曲を選ぶ。
ナツキ「古鷹様」
古鷹「どうしました?ナツキさん」
ナツキ「改メテ、ヨロシクオ願イ致シマスネ」フフッ
古鷹「はい、こちらこそよろしくお願いします」フフッ
現時刻2330今日も終わる。また明日、皆といられることを私は胸の中に願う。
読んで頂いてありがとうございました!!
うーん、どうも自分閉め方で悩んでしまうようです。閉め方が雑になってしまい申し訳ありません!!また次もよろしくお願いします!
バーカウンターは8席の最終の席順
左から阿武隈、名取、天霧、古鷹、ナツキ、夕禅+膝の上初霜、鬼怒、リコ
第8話待っていたぜΣ(・ω・ノ)ノ!
これからも更新頑張ってください!
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読んで頂いてありがとうございます!少しずつ続き書いていますのでどうぞよろしくお願いします。
今更読み終わりました。あ、白州のハイボールを薄目でおねがいします