2016-04-22 21:56:28 更新

概要

そろそろ、もう一つの世界の真実を暴こうか――(11/7更新)

もうひとつの世界(RPGみたいな場所)に行けるようになってしまった「ことり」と、2つの世界それぞれの「海未」のお話です。
やっぱり百合あり、いろんなCPあります。
※途中男体化あり、微エロあり、モブキャラ登場予定※


前書き

今回は「ことうみ」「RPG」「百合」をテーマに書いていきたいと思います。
途中、微エロありになりそうです。あらかじめレーティングをR-15に設定しています。
また、一部登場人物が男体化しています。

※追加※もうひとつの世界のミューズメンバーの名前は、分かりやすいようにカタカナ表記になっています。
「ことうみ」以外のCPも出てきます。モブもでます

補足説明等はあとがきにて。


海未「――では、ことり。おやすみなさい」


ことり「うん。おやすみ」



海未ちゃんはこうして毎日、ことりを自宅前まで送ってくれる。

そして、いつもことりが扉を閉める瞬間まで帰らずに待ってくれるのだ。



それはことりにとって、嬉しくもあり悲しくもある行為だった。



別に何てことない。ただ幼馴染として海未ちゃんは当然のことをしているだけだろう。


だからこそだ。「当然」の行為は「特別」ではない。


私は、海未ちゃんの「特別」ではないという証拠。



あぁ・・・胸が張り裂けそうだ。今にも声をあげて泣いてしまいたい。


だって、私は・・・・・・






海未ちゃんが好きだから。








――――――




私は鞄を放り投げると、制服のままベットに寝転がった。


今日はお母さんは仕事で帰ってこない。この今にも泣きそうな顔を見られて心配をかけずに済んだ。


ことり「――海未ちゃんのバカ」


枕を抱きしめ、静かに涙を流す。


毎日、私がつらい気持ちでいる事を海未ちゃんは気づいているのだろうか。知っているのだろうか。


いや、気づいていないだろうし知らないだろう。

だってね、海未ちゃんは毎日、ミューズの練習に生徒会のお仕事に弓道部の練習。帰ってからは日舞に励んで作詞をして勉強しているんだよ?


ことりの気持ちなんて考える暇もないよ・・・・・・。


少しは私のことを考えて欲しい、というのは本心。

でも、それで海未ちゃんの負担が増えてしまうならそれは違う。


この気持ちは、一生言えずに片思いで終わってしまうのかな・・・・・・




・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・zzz




泣き疲れてしまったのか、はたまた練習で疲れていたのかもしれない。

夕飯を食べずに私は深い眠りへと落ちていった。








――――――





・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・ゆさゆさ



???「・・・・・・・・・・・・」



まどろみの中で誰かが私の体を揺らし、何かを言っている。


ことり「もうちょっと~・・・・・・」


私は目を瞑ったまま、手の傍にあったモフモフを抱きしめた。


ん?モフモフ・・・・・・?




???「・・・・・・ことり!!」


ことり「は、はいっ!!!?」


声の主は怒ったように荒げた声でことりを呼んだ。



文字通り飛び起きた。

びっくりして声のしたほうを見ると・・・・・・





ことり「海未ちゃん・・・・・・?」


ことりの目に映ったのは白い肌をシーツで隠した海未ちゃんと、

海未ちゃんの後ろで揺れている尻尾でした。



ことり「海未ちゃん・・・・・・それ・・・・・・」


ウミ「もしかして、コレのことですか?」


海未ちゃんは自身の尻尾を持ち上げて見せた。

どうやらことりの言わんとしている事が分かったらしい。


というか、よく見れば頭にピンと立った犬耳もある・・・。


そんな海未ちゃんの姿をまじまじと見ていたらしく、海未ちゃんの表情が見る見る真剣そのものになっていた。


海未「その前に、いいですか、ことり。これから言う事を笑わずに聞いてくださいね」


私は海未ちゃんの迫力に押され、頷くしかなかった。









ことり「――つまり簡単にいうと、ここは私が居た世界とは違う異世界」


服を着て、正座をするウミちゃんに習って、ことりもちょこんと正座をする。


ウミ「はい。もっと正確に言えばパラレルワールドと言ったところでしょうか。異世界ではなく、もうひとつの可能性です。

なのでミューズも存在しますよ?ただ、こちらではずっと一緒に居るわけではありませんが・・・」


ことり「なんか難しいね・・・(あ、でもこっちのミューズのメンバーにも会ってみたいな♪)」


ウミ「また、時間軸は同じなので、こちらの世界の時刻とあちらの世界の時刻は一致します。

こちらの世界で過ごした時間分、あちらの世界でも同じだけ時間が進んでいますよ」


ことり「それだと私、行方不明になってないかな・・・。あ、でも帰ってすぐ寝ちゃったし・・・お母さんまだ帰ってきてないし大丈夫かな?」


ウミ「すみません。これだけはどうしても貴方に話を聞いてもらいたかったのです」


ことり「大丈夫だよ、だってウミちゃんのお願いだし」


ウミ「ことり・・・ありがとうございます」



話を聞く限り、こっちの世界のウミちゃんも元の世界の海未ちゃんと性格的な意味では大きな変化はないみたい。

ただ、こっちのウミちゃんは犬耳があるように他のメンバーにも外見的・身体的には何かしら変化はありそう。



ことり「――そして、こっちの世界のことりは何者かによって連れ去られてしまった、と」


ウミ「・・・はい。ことりを取り返すためには、あちらの世界のことり・・・貴方の力が必要なんです・・・!」


勢いよく頭を下げる。犬耳が垂れていた。


きっと、私をこっちの世界に呼ぶまで、ウミちゃんは必死だったのだろう。


じゃなきゃ、体中あんなに怪我だって負っていないはずだもん・・・。


頭を下げるウミちゃんの肩が震えていた。拳を強く握り締め、歯も食いしばっている。

その震えは悲しみから来ているのか、怒りから来ているのか。



その答えは私は知らない。けど、



けど、私は震えるウミちゃんを優しく抱きしめてあげた。


ことり「大丈夫だよ、ウミちゃん」


ウミ「私は・・・・・・ことりを守れなかった・・・私が弱いから・・・・・・」


ことり「ううん。ウミちゃんは強いよ、誰よりも・・・」


ウミ「違うんです・・・私の心が弱いから、忙しさに感けてコトリを一人にしたから・・・!コトリに寂しい思いをさせたから・・・!」


ことり「――私の世界の海未ちゃんも、毎日忙しいみたいだよ」


ウミ「・・・・・・」


ことり「でもね、毎日必ず私を家まで送ってくれるの。貴方は・・・ウミちゃんはこっちのコトリに何かしてあげてたんじゃないの?」


ウミ「私は――」



ことり「えっ!!!?何コレ!!!?」



ウミちゃんの言葉を遮るように声を上げた。


どんどんことりの体が薄くなっていたのだ。

ウミちゃんの体すら通り抜けてしまうほどに。


ウミ「ことり!時間です!元の世界に帰る時間になっただけです!!」


ことり「えっ!!?すぐ帰れるの!!?」


大体こういう展開だと、解決しない限り帰れないのがセオリーじゃ・・・?


ウミ「いいですか、よく聞いてください。1回こちらの世界に来てから12時間空けないともう一度こちらの世界に来ることはできません。

なので、次来れるのは・・・・・・」


時計を一瞥する。時刻は朝の8時ちょうど。


ウミ「夜の8時以降です。こちらの世界に居られるのも1回で最大12時間。

今回はことりがほとんど寝ていたため、時間が短いように感じているだけです」


ことり「お、起こしてよぉ!!」


ウミ「こ、ことりの寝顔に見とれてしまいました・・・///」


ことり「////」


ウミ「ともかく!時間がありません。あともう一つ。こちらの世界に来る方法です。

目を瞑って強く念じてください。ことりの世界の座標軸と同じところで、こちらの世界に来れるはずです。

あとこれを」


ことり「?」


投げてきたものをキャッチする。渡されたのは小さなお守り。


ウミ「その中に笛が入っています。その場に私が居なくとも、

その笛を吹いていただければ何処へでも馳せ参じます」


ことり「ありがとう、ウミちゃん♪」


ウミ「では、ことり。返事はあとで聞かせてください。

もし手伝ってくれるならもう一度この世界に来てください・・・・・・」





ねぇ、何でお願いするのにそんな寂しそうな顔をするの、ことりはいつだって”海未”ちゃんの味方だよ

そう言おうとした私の意識はまた暗闇へと落ちていった。








――――――





・・・・・・

・・・・・・・・・

・・・・・・・・・・・・ゆさゆさ



???「・・・・・・・・・・・・」



まどろみの中で誰かが私の体を揺らし、何かを言っている。


ことり「もうちょっと~・・・・・・」


私は目を瞑ったまま、手の傍にあった手を握り締めた。


・・・・・・ん?デジャビュ?


???「ことり、起きてください、ことり」


ことり「ぅん~~~~」


海未「おはようございます、ことり。連絡しても繋がらないのでお邪魔させていただきました」


私は海未ちゃんの顔を見る。


海未「?」


ことり「あれ?尻尾は?」


海未「えっ!!寝ぼけているのですか?」


ことり「え、じゃあ、夢・・・?」


体を起こすと、寝ていた場所にお守りが落ちていた。

向こうの世界のウミちゃんからもらったお守りが。


やっぱり、夢じゃなかったんだ・・・。


海未「?ことり・・・?」


ことり「ううん。大丈夫だよ、それより早く練習に行こう?」


私は海未ちゃんの手を引っ張って本日のミューズの土日練習へと向かうのだった。







ミューズの練習中、私の頭を離れなかったのは犬耳ウミちゃんの別れ際の顔。

こっちの世界の海未ちゃんと、向こうの世界の犬耳ウミちゃん。厳密には違うかもしれないけど、やっぱり”海未”ちゃんには笑っていてほしい。

いつものキリッとしたかっこいい姿で居てほしいと思うのは惚れているからかなぁ。


好きな人にはいつでも笑っていて欲しいと思うし、かっこよくあって欲しいと思う。


犬耳ウミちゃんにもらったお守りは首からさげることにした。いつ使うか分からないし。

でも、もう決めたんだ。向こうの世界のことり自身を助けるために私は犬耳ウミちゃんに協力するって。


そう心に決め、水分補給をしながら、汗を拭く海未ちゃんの横顔を何となく眺める。

ふぅ、と息を吐く海未ちゃんの真剣さの中に少し気が緩んだ瞬間を見つけ、思わず笑みが零れてしまった。



絵里「ことり、もしかして海未のこと見てたんでしょー?」


希「ことりちゃんは海未ちゃんにゾッコンやなぁ」



少しからかう様な口調で絵里ちゃんと希ちゃんが隣に座ってきた。


絵里「で、ことり、どこまで進展したの?」


ことり「進展も何も、付き合ってないし・・・」


絵里「嘘!!?てっきり付き合ってるのかと・・・」


ことり「何でそんなに驚くの?ただの幼馴染なだけだよー」


絵里「てっきり付き合っているのかと思ったわ」


ことり「えぇー」


私から見たら穂乃果ちゃんと絵里ちゃんのほうがよっぽどカップルしてると思うよ。痴話喧嘩してるくらいだし・・・。



希「あ、そういえば、ことりちゃん。その首からさげているものって?」



不意に首から下げているお守りを指差した。


ことり「あぁ、これね。人から貰ったものなの」


絵里「お守りかぁ。素敵ね」


希「・・・・・・」


ことり「希ちゃん?」


希「・・・・・・きっとことりちゃんを助けてくれるはずだから大切にしなきゃね♪」


こういうときの希は聡い。もしかしたら”色々”気づいているのかもしれない。

もしかしから、この先に起こることを理解しているのかもしれない。


ことり「うん・・・大切にするよ絶対に!」


大切にするよ、海未ちゃんを。


お守りを握り締め、改めて向こうの犬耳海未ちゃんに協力することを誓ったのだった。









今日も練習後、海未ちゃんは私のことを自宅まで送ってくれた。

やっぱり海未ちゃんは私の気持ちには気づいていないのだろうか・・・・・・。


海未ちゃんの話が頭に入ってこない感覚。

頷いてはいるけれど、聞かれたら答えられないレベル。


そうこうしているうちにいつの間にかことりの家の前に着いた。

海未ちゃんと別れるのは惜しいけど、今日はこれから犬耳海未ちゃんに会うのです!寂しくなんか、ないもん・・・


海未「ことり」


自宅の扉を開けようと背を向けた私に、いつもより低い声で呼んだ。


ことり「・・・え?」


振り返るとすぐそこに海未ちゃんの顔が目の前にあった。




息ができず苦しくなったことで、海未ちゃんにキスされたのだと気づく。



ことり「はぁっ・・・・・・!」


やっと唇が解放され、息を吸う。


ちらっと海未ちゃんを一瞥すると、手で口元を拭うように隠しているがその顔は真っ赤に染まっていた。


海未「ことりが悪いのです!ことりが今日、私のことを見ているから・・・つい」


海未ちゃんに指摘され、気づく。

確かに今日、海未ちゃんのことをいつも以上に目で追っていたのかもしれない。


それに気づいてから、ことりの顔も赤くなるのは時間の問題でした。









海未「それではことり、おやすみなさい」


ことり「海未ちゃん、おやすみ」





私は扉を閉め、階段を駆け上がり、自室に飛び込むと同時に鞄を放り投げ念じた。


時刻は夜の8時15分。


南ことり、もう一つの世界のことりを救いにいきます!!!










――――――





次に目が覚めた場所は、多分こっちの世界のことりの家・・・・・・だと思う。


だって、初めてきた時こっちの世界の犬耳ウミちゃんが座標軸が同じ場所って言っていたしね。


だとしたら・・・・・・。


今、目の前で起こっている状況をどう説明すべきか。


ウミ「ことり・・・・・・来てくれたのですね・・・・・/////」


ことり「う、うん・・・・・・///」


目の前に居るのはウミちゃん。しかも上半身裸の――。


思わず恥ずかしくなって目を背ける。


ウミ「す、すみません///服を着ますから待っていてください///」


無言で静かになった部屋の中で、自分の心臓の鼓動が大きくなる。

ウミちゃんに私の心臓の音が聞こえるのではないかと思うくらい大きく。



思わず目を背けてしまったが、ちらっと見えたのはウミちゃんの体に新しい傷ができていた。

中には今でも血が滲んでいるものもあった。



ことり「・・・ウミちゃん、」


目を背けたまま呼びかける。


ことり「・・・その怪我、もしかして、こっちの世界のことりを探してくれてたの?」


ウミ「!!!?」


ウミちゃんが驚いたような顔をした、気がした。


こっちのウミちゃんとは出会って間もないけど、元の世界の海未ちゃんとは十何年も幼馴染をやっているからね?

大体のことはなんでも分かっちゃうんだから。


ウミ「・・・えぇ。今日はエリと共に隣国へと脚を運びました」


ことり「え・・・国・・・?」


日本は島国だ。隣国といえど12時間でで帰ってこれる時間はないはず・・・。


ウミ「あぁ、ことりの世界とは少し事情が違うのですよ。

この列島にいくつもの国があり・・・・・・簡単に言えば県がそれぞれの国になっていると思ってください」


ことり「47も国があるのか・・・・・・」


ウミ「・・・いえ、現在は47もありません。そのほとんどをA-RISEが統一してしまいました。

残っているのは抵抗しているほんのわずかな国と、ここ音ノ木坂地域だけです」


壮大すぎて、正直分からない。というかA-RISE有能すぎるでしょう。


ウミ「まぁ、こちらの世界の事情にことりは関係ありませんから大丈夫ですよ。

いずれ、音ノ木坂も戦渦へ巻き込まれてしまうでしょう・・・」


ウミちゃんの顔は、こっちの世界のことりが連れ去られたことによる”ひどい顔”とまた違う、”ひどい顔”をしていた。



この世界に廃校問題などなかった。いや、廃校問題よりも深刻な問題が起きていた。




ウミ「・・・心配しないでください。ことりは、貴方は私が必ず守りますから」


力強い、確かなウミちゃんの声。どんなにひどい顔をしていてもウミちゃんの決意は変わらない表れ。

それは、ことりの世界でもこの世界でも、海未ちゃんは海未ちゃんだということ。


その声に私も答えたい。



ことり「私ね、ウミちゃんに会ったときから決めてたよ。協力するって。一緒にことりを連れ戻しに行こう」


ウミ「・・・・・ありがとう、ございます!」


ウミちゃんは私の手を握り、大粒の涙を流して喜んだ。


何で喜んでるか分かるかって?だってね、尻尾を嬉しそうに振ってるんだもん。






ことり「・・・・・・落ち着いた?」


ウミ「はい。では、これから、コトリを探すにあたり色々お話しなければいけないことがありますね。

立ち話もなんですので、夕食を用意しておきました。食べながらお話しましょう」


ことり「やったぁ!ありがとう、ウミちゃん」






ことり「んー!!すごく美味しいよ!」


テーブルの上には沢山の料理が並べられていた。2人では食べきらないくらいの量。


ウミ「ことりのために頑張って用意した甲斐がありました///」


食事を頬張る私を見て、ウミちゃんが笑う。でも、やっぱり寂しそう。


ことりはことりだけど、”こっちの世界の”ことりじゃないから。




そういえば、気になっていたことがひとつ。


ことり「ウミちゃん、私さ、自分の家で念じてこっちに来たけど・・・ここ、もしかして私の家?」


前回の帰り際、言われたことを思い出す。同じ座標軸に移動する、と。

つまり、ことりの家、ことりの部屋で念じたわけだからこっちの世界のことりの家に移動するわけだが。




今日は上半身裸のウミちゃんがいるし・・・もしかして、もしかして?




ウミ「/////」




顔を赤らめ、尻尾が動いている。もしかして、やっぱり?




ウミ「・・・・・・えぇ、ここはコトリの家です」



ウミちゃんの指には綺麗なシルバーの指輪が嵌っていた。




ウミ「こちらの世界のコトリと私は婚約しています///」






ことり「ええええええええええエーーーーーーーーーー!!!!!!!!!」
















――――――






???「はぁっ・・・はぁ・・・」



どうやら”敵”は撒けたようだ。それにしても、遠くまで来てしまった。


多分、今、私が居るとことはA-RISEが統治する地域に隣接する別国――音ノ木坂とはA-RISEが統治する地域を挟んで反対側にある国――のほうに抜ける森の中だろう。


あっちの世界のことりを迎えに行くと言うウミと別れてから、私は再びA-RISEが統治する地域に潜入した。


ニコが偶然聞いた”噂”の真偽を確かめるためだった。



なのに、どうして――



どうして――





結論から言えば、噂は本当だった。



コトリはA-RISEのところにいた・・・!捕らえられていた・・・!



しかし、音ノ木坂地域はA-RISEとは協定を結んでいる。


諸刃の協定ではある。いずれ戦争になるのも時間の問題。



それをこんなに早く協定を反故にするなんて――



”噂”についてはウミに伝えていない。いや、伝えられるはずのないものだった。



早くコトリを取り返さなければ、大変なことになる・・・・・・。




早くミューズのメンバーに伝えなくては――

















ガガガガガガガガガガ!!!!!!!!!











木々を倒し、地響きのような轟音が聞こえた。


???「そんな・・・・・・もうそこまで・・・・・・?!」








私の得た情報だけでもどう伝えるか、賢いといわれた頭をフル回転させたのだった。










――――――

















ことりはとてもビックリしています。


だってもうひとりの私とウミちゃんが婚約していたなんて///


とーってもビックリしたし、うらやましいなぁ・・・なんて。



あれからウミちゃんから詳しく事情を聞き

向こうの世界から帰ってきてから学校に来ました。


無意識に海未ちゃんの姿を目で追ってしまいます。



海未「・・・・・・」


穂乃果「・・・・・・」


今は体育の授業で剣道をやっています。

ちょうど海未ちゃんと穂乃果ちゃんの試合が始まるところす。


他のクラスメイトの試合の喧騒の中で、

海未ちゃんの竹刀がぶつかる音、海未ちゃんと穂乃果ちゃんの掛け声しか私の耳には入ってきませんでした。


空気を切り、穂乃果ちゃんにあたらない竹刀ですら

その太刀筋はぶれることなく綺麗に空間を裂く。


まるで竹刀すら海未ちゃんの体の一部であるかのように。


一方の穂乃果ちゃんの太刀筋も、穂乃果ちゃんの性格を体現したかのような真っ直ぐなもの。



そういえば、向こうの世界のウミちゃんと私の家にも磨かれた剣が立てかけてあったような。


きっと、ウミちゃんも綺麗な太刀筋なんだろうなぁ・・・。


まだ向こうの世界の穂乃果ちゃんには会ってないし、次行ったら会わせて貰おう♪















――――――





ウミ「向こうの世界の私も剣術を習っているのですか」


ことり「そうだよ。海未ちゃんは日舞の家元だからね、なんでも習っているの♪」



学校、練習が終わり夜にはまたもうひとつの世界のウミちゃんに会いに来ました。

時間は深夜の12時。次の日を長く過ごすために遅めに来たのです。



ウミ「で、結局試合はどっちが勝ったのですか?」


ウミちゃんは目を輝かせて聞いてきた。


ことり「引き分けだったよ。穂乃果ちゃんの攻撃が想像できなかったみたいで」


ウミ「なるほど。向こうの世界の穂乃果もそんな方ですか」


ウミちゃんは顎に手を添えた。


ことり「穂乃果ちゃんがどうかした?」




ウミ「・・・ことり、」


ウミちゃんの声色が替わった。思わず姿勢を正して唾を飲み込んだ。




ウミ「ことりはまだ、こちらの世界のホノカとはあっていませんよね?」




ことり「まだウミちゃんとしか・・・」



やけに真剣な眼差しのウミちゃん。まるでその眼差しは研ぎ澄まされた刃物のような。












ウミ「明日、」























ウミ「ホノカと決着をつけます」






















ことり「・・・・・・はい?」















~~










翌日、私は馬に跨るウミちゃんに抱えられるようにホノカちゃんがいる屯所を訪れた。




どうやらホノカちゃんは騎士団に入っているそうで。

でも実家は和菓子屋さん。饅頭屋さんじゃないあたり、ホノカちゃんにも若干の違いはあるみたい。





???「あれ?ウミちゃん?」




私の知っている声よりも少し低い声が後ろから聞こえた。



ウミ「ホノカ・・・」




え?ホノカちゃん?!



期待と不安を抱き、後ろに振り返る。






大空のような空色の瞳、人懐っこい笑顔、活発なオレンジ色の髪――







見慣れているはずのソレに違和感しかなかった。






見慣れたオレンジ色の髪は短く、背もなんだか高くなっているし・・・



これじゃあ、まるで男性のよう。




ホノカ「えっ?嘘・・・・・・コトリちゃん・・・?」




驚いた顔をしたホノカちゃんは早足で私の目の前に駆け寄った。


近くで見れば見るほど、男の子にしか見えない。



ウミ「こちらは違う世界から来た「ことり」です。コトリを救うため協力して頂いているのです」


ホノカ「なるほどねぇ」



優しい笑みを浮かべるホノカちゃん。


ホノカ「じゃあ、はじめまして!俺はホノカだよ」



ウミ「ことりの世界の「ホノカ」とは違い、こちらの世界のホノカは男性なのです」



ホノカ「えっ!俺、向こうの世界だと女の子なの?!えっスカートとか履いちゃってるの?!」



ウミ「えっ!気になるところそこですか!!?」



こっちの世界のホノカちゃんも、多少の違い・・・たとえ男の子でも私の知っている穂乃果ちゃんでした。








ウミ「早速ですが、ホノカ。私と手合わせ願います」


ウミちゃんは刀を構える。剣先は真っ直ぐホノカちゃんに向けて。


ホノカ「・・・・・・。」


ウミ「私が勝ったら、コトリを奪い返すのを手伝って貰います!」




ことり「えっ!ちょっとウミちゃ――」




ホノカ「いいよ。ホノカのところに、ことりちゃんを連れて来た時点で何となく予想はついてた」


ウミちゃんの剣先に自らの剣を交えるホノカちゃん。




ホノカ「もしホノカが勝ったら諦めてね、ウミちゃん」




まさかこんな展開になろうとは・・・。






ホノカちゃんもウミちゃんも間合いを取り、お互い剣先を向けた。



ウミ「ことり、合図をお願いします」


ことり「あ、合図・・・?」


ホノカ「掛け声でも何でも。ことりちゃんのペースでお願い」



私は声を出さず、頷くことで了承した。

何となく声を発してはいけない気がしたから。


ポケットからコインを出し、手に乗せる。

それはまるで西部劇を真似したかのような・・・事実、二人の間にはそんな空気が漂っていた。




ヒリヒリと肌を刺すような殺気。息を殺す。


離れているのに大きく聞こえる心臓の鼓動。呼吸音すら響くほどの静寂。




――全て邪魔だ。



二人の勝負に要らないもの。












――ピンッ





指で弾かれたコインは綺麗に空中へと飛んだ。










――――キィン!!



先に仕掛けたのはホノカちゃん。目にも留まらぬ速さで一気に間合いをつめ切りかかる。


ウミ「甘いッツ!!」


ウミちゃんはウミちゃんでホノカちゃんの剣を受け流す。


ウミ「ホノカ、貴方の剣は真っ直ぐで私は好きですよ。でも、その一直線に突っ込んでくるのは読まれやすいですよ?」


後ろに三歩後退し、間合いを取る。


ホノカ「・・・・・・、」


劣勢に思われるホノカちゃんは笑っていた。

剣先と視線は外さずに。


ホノカ「ウミちゃん、今まで決着ついたことなかったよね?」


ウミ「はい。いつも引き分けのままです」





ホノカ「・・・・・・そろそろ、必殺技といこうか」



急にホノカちゃんが纏っていた気配が変わった。





ホノカ「はぁっつ!!」



高く飛び上がり、剣を大きく振りかぶる!


ウミ「そんな隙だらけの攻撃なんて無駄です!」




キィン!!


刃が交わる音。火花が散った。


ウミちゃんは剣で、ホノカちゃんの剣を牽制するが足元の土が抉れるほど押させていた。






ウミ「う・・・ぐっ!がぁっ・・・!」





ホノカ「・・・ウミちゃん、いい加減あきらめてよ」




――真っ直ぐな視線。




ウミ「嫌です!」




――優しい笑顔で。




ホノカ「俺だってつらいよ。でもね」





――貴方の名前を呼ぶように。



ホノカ「コトリちゃんだけじゃなくて、エリちゃんも居なくなっちゃったんだ・・・」



ウミ「えっ・・・・・・」








――敗北に祝福を。




ホノカ「必殺・・・・」














ゴォォォォォォォォォ!!!



耳鳴りのような轟音と共に、私の目の前に大きな土煙が立ち込めた。

ウミちゃんとホノカちゃんの姿が見えなくなってしまった。




ことり「ウミちゃーーーーん!!ホノカちゃーーーーん!!」


大きな声で名前を呼ぶ。


どうか、無事で・・・・・・・・・・・・・・。







ホノカ「・・・・・」




ことり「ホノカちゃん!?」


土埃が少しずつ晴れ、私の目に映ったのは立っているホノカちゃん。


血が滴って入るが、背筋を伸ばし立っている。





ホノカ「今のを食らって立っていられない。コトリちゃんを諦めてよ、ウミちゃん」

















ウミ「――甘いですよ、ホノカ」








ホノカちゃんのうしろ、土埃がまだ濃いところからウミちゃんは猛スピードで現れた。



ホノカ「――――ッツ!!」



ウミ「はぁっつ!!!!!!!!!」


ホノカ「がぁっ!!?」


ホノカちゃんが振り返るよりも先に、ウミちゃんの斬撃はホノカちゃんを襲う。



そのまま防御する隙を与えずに吹き飛ばしたッツ!




ガッシャァァァァン!!!!!




屯所の壁を突き破り、十数メートル先の塀に打ち付けられるホノカちゃん。



ウミ「――ホノカ、あなたの負けです」


ホノカちゃんを吹き飛ばしたウミちゃんは、至るところから出血していて息も荒い。

左腕を押さえている。





ホノカ「・・・へへっ、負けちゃった」


ホノカちゃんは笑いながら涙を流していた。



ウミ「ホノカ・・・エリがいなくなったってどういうことですか・・・?」


塀に寄りかかっているホノカちゃんに近づいたウミちゃんは聞いた。



ことり「え・・・?」



ウミちゃんの世界のエリちゃんが、居なくなった・・・?


ホノカ「言葉のとおりだよ・・・エリちゃんはコトリちゃんを探している途中で行方不明になったんだ・・・」


ウミ「そんな・・・!つい2日くらい前まで私は一緒に居ました・・・!」


ホノカ「ウミちゃんが、そこにいることりちゃんを迎えにいくために分かれた直後だよ・・・。

大量の出血痕とエリちゃんのレイピアが残ってた・・・。たぶん、偵察中に・・・・・・!」



ウミ「・・・・・・。」


ホノカ「だから俺は反対したんだッツ!コトリちゃんだけじゃなく、エリちゃんも――!!

俺は・・・みんなが居なくなるのが怖い!!」


ウミ「・・・・・」




ウミちゃんは何も言えずに立っていた。



ホノカにとってエリがどれだけ大切か知っていたから――。



ホノカ「・・・・・・ごめん、分かっているよ。ウミちゃんにとってのコトリちゃんはホノカにとってのエリちゃんと同じだって」


ウミ「ホノカ・・・・・・」


ホノカ「俺が言っていることは自分勝手だって分かってる。

でも、それでウミちゃんまで失うのは怖い・・・・・・!!」


ウミ「・・・・・・」



ホノカちゃんが言っていることは分からなくもない。


大切な人が居なくなったときの気持ちは計り知れない。



しかも二人も――。



二人の間に沈黙が流れる。


体が動かない。どう声をかけたらいいのか、果たして私が声をかけていいものだろうか・・・。





二人に駆け寄り、二人を抱きしめた。

私は耐えられず、二人に声をかけることを選んだのだ。



ことり「二人とも、ありがとう・・・」



私の口から出たのは感謝の言葉。何を伝えたらいいのか分からない。


ホノウミ「ことり(ちゃん)・・・!!?」


――でも。


ことり「ありがとう、二人とも・・・もう一人の私のことを大切に思ってくれて・・・」


二人が愛おしくて仕方ない。

私は知らず知らずのうちに泣いていた。



ウミ「ことり・・・私はことりも、コトリも大切です。大好きです。守りますから――連れ戻しますから――」


ホノカ「ことりちゃん・・・俺はコトリちゃんもエリちゃんも見つけだす。ウミちゃんまで居なくならせはしない――」





私は幼馴染に似た二人に抱きしめられながら、元の世界へと戻った――。












――――――









穂乃果「えー!今日も絵里ちゃん、練習これないのー?!」




私は元の世界に戻ってきました。どうやら、今日の練習には絵里ちゃんは来れないみたい。


希「家のほうで用事があるみたいなんよ。近いうちにもう一回ロシアに帰るみたいだし」


穂乃果「ぅえりちゃーーーーん」



部室の机に突っ伏すような姿勢の穂乃果ちゃんを横目に

私は静かに本を読んでいる海未ちゃんを見た。


海未ちゃんを視界に入れると窓の外の景色も目に映る。



それが私たちが部室に居る理由。



外は雨が降っているのだ。




凛「雨、やまないねぇ・・・」


穂乃果「外で練習はできないし、絵里ちゃんはいないし・・・」


凛「かよちんもいないにゃー・・・」



ほのりん「はぁ・・・」



穂乃果ちゃんと凛ちゃんはまるで兄弟猫のように同じ格好で「しょぼーん(´・ω・`)」とした。



穂乃果「凛ちゃん!!一緒にゲームセンターでダンスゲームやろう!!体が鈍っちゃうよ!!」


凛「賛成にゃ!!早速行くよ、穂乃果ちゃん!!」


 「おー!」という掛け声と共に音速のスピードで部室を飛び出していきました。




海未「あ!穂乃果!凛!傘忘れてますよ!!!」



すぐに忘れ物に気づいた海未ちゃんが傘を手に取り、廊下へ出る頃には

すでに傘をささずに雨の中を全力疾走する穂乃果ちゃんと凛ちゃんが窓から見えました。



海未「全く・・・穂乃果はだらしがないんですから・・・。ましてや凛も居るんですよ」


ことり「あの二人・・・風邪、引かないといいね・・・」アハハ・・・


海未「まぁ、ナントカは風邪を引かないといいますから」ハハ・・・


何か・・・会話が続かないような空気。私の胸が締め付けられた。





希「あの二人なら大丈夫やろ。それより、もう私たちしか残ってないから帰らへん?」


突然、女神のような声が。


横を見ると希ちゃんはチラッと私と視線を合わせた。



希「そのうち雨が強くなるみたいだし、早めに帰ろう」


海未「そうですね、では私は弓道部のほうに顔を――」


希「いやいや、海未ちゃん。寄らずにそのままことりちゃんと帰ったほうがええって」


海未「?希は一緒に帰らないのですか?」


希「ウチはにこっちを探さなきゃいけないんよ」


海未「そうだったのですね、」


希「じゃぁ、海未ちゃん。しっかりことりちゃんをエスコートするんよ!」



海未ちゃんに見えないように希ちゃんは指を立てた。


希 b


ことり(希ちゃん・・・!ありがとう・・・!)



部室を去っていく希ちゃんを見送ってから、私と海未ちゃんは部室をあとにした――。















――――――











ホノカ「・・・へっくちゅ!!」


ウミ「・・・風邪ですか?」



あれから海未ちゃんと帰った私は、家に帰るなりすぐさま異世界へと移動しました。


今はウミちゃん(と、異世界の私)の家に、ウミちゃん、ホノカちゃん、私の三人で居ます。


どうやらこちらの世界のホノカちゃん。風邪を引いてしまったようです。



ホノカ「雨の中、走り回っちゃったのが原因かなぁ・・・」ズビーッ


ウミ「いっつもいっているじゃないですか!!全く・・・騎士団の仕事用にコトリにコート作って貰ったもの、どうしましたか?」


ホノカ「じ、じつは・・・リンちゃんとの組み手で破けちゃって・・・」


ウミ「ホノカァ!!!!!!!」







ことり(え・・・・・?)




家の中で追いかけっこを始める二人を見つめ、私は考え込んでしまう。





こっちの――自分の元居た世界の穂乃果ちゃんと凛ちゃんも雨の中を走っていった・・・。






何か、感じる違和感。












そういえば。



元の世界で剣道の試合をやったときも、こっちの異世界のホノカちゃんとウミちゃんは剣術で勝負した。



エリちゃんが行方不明と聞いてから、むこうの絵里ちゃんも家の用事で練習にはこない。













もしかして、もしかしてだけど。










この二つの世界、シンクロしてる・・・・・・?













ウミ「そんな訳ないじゃないですか」










ことり「え?」



今・・・・?




ウミ「大体、ホノカがそんなことばかりするから!!」


ホノカ「ごめんって!!」


ウミちゃんの方を見ると、まだホノカちゃんと言い争いをしていた。




ことり「あ」


時間なのか私の体が透け始めてきた。


ことり「ウミちゃん!ホノカちゃん!」


ウミ「! もう帰る時間ですか!」


ことり「じゃあねっ!ウミちゃん、ホノカちゃん!」




なにか引っかかるような、気になるような・・・そんな気が拭えなかった。
















――――――










花陽「――近所のおじいちゃんが新米くれてね、これすごいでしょ!!」




部室に花陽ちゃんが新米20kgをかついできました。


穂乃果「ほえーーーっ、立派だねぇ」


海未「というか、花陽はこれを自宅から・・・?」


花陽「そうだよ~~」


呆れ顔の海未ちゃんをみながら、”2つの世界がシンクロしているのではないか”という仮説を考えていた。





もし――シンクロしている”ならば”向こうの世界の私は何処へ消えてしまったのか。


もし――シンクロしている”ならば”向こうの世界のウミちゃんは私を呼んだのか。



考えれば考えるだけ分からなくなってきた。





あー、もう。どうしたらいいの?









にこ「ことり?聞いてる?」



ことり「に、にこちゃん!!?」


にこ「さっきからどうしたのよ。上の空じゃない」


ことり「なんでもない!なんでもない」


にこ「ふーーーん、そ」


明らかに疑いの目を向けるにこちゃん。


私、何も疑われるようなことしてないのに~~!!





にこ「・・・海未と喧嘩でもしたの?」


ことり「はい?」


にこ「見てるこっちが恥ずかしくなるくらいべったりだったのに、最近ご無沙汰じゃない!!」


ことり「!!!!!!!!!!!!????」



ことり「え・・・ちょ・・・にこちゃん・・・?」


にこ「前のデートからよね?海未の家に泊まってか――」


ことり「ああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!」




ほのうみぱな「!!!!!!!????」



穂乃果「ことりちゃんっ!!?」


ことり「なんでもないの!!本当!!!」





もー!!にこちゃんのせいで慌てちゃったじゃないっ!!















~~






その日の帰りはいつもとは違いました。


どちらかというと、ミューズのメンバーが私と海未ちゃんを囲うように歩いています。


まるでみんなが打ち合わせをしたかのようなきれいなフォーメーションです。



にこ(いい、ことり。このまま海未を持ち帰るのよ・・・!)



にこちゃんが目で訴えてくる。

この先輩は本当に面倒見がいい。私たちの行く末を気にしたのだろう。


花陽(ことりちゃん・・・、頑張って・・・!)


この後輩も本当によくできた後輩だ。今度凛ちゃんと二人っきりでデートいけるように斡旋してあげよう。




ことり(にしても・・・)




ことり(これじゃあ、海未ちゃんに”何か”しないとみんなに申し訳ないよ~・・・はぁ)


みんなの気遣いが恐ろしいくらい。有り難迷惑なくらい。




と、いうかね。


みんなが近すぎて仕掛けるのも恥ずかしいんだって。


誰だって、仲のいい友達の前で恋人に仕掛けたりしないでしょう?


さすがに、恥ずかしいよ。




絵里(ことり!女を”み”せるときよ!)


見せないよ!いや、魅せる?どっちだろう・・・


穂乃果(ファイトだよっ!)


ファイトだよ!じゃねぇっつーの!!って言いたいくらい。


凛(ことりちゃん、凜たちにお構いなく)


うーん、こっちが気にするよ?お構いなくじゃないからね?


希(今日のラッキーアイテムは(自主規制)やで)ニヤニヤ


!!!!!!?????



みんながからかってくるよ~~~!!




海未「・・・ところで、ことり」


ことり「! なに、海未ちゃん?」


突然、海未ちゃんが声を上げた。


海未「気になっていたのですが・・・・」







海未「何でみなさん、私たちを囲うようにしているんでしょう?」






8人「・・・・・・・・・・・・。」




若干の間。




穂乃果(風が生ぬるいなぁ・・・)





9人の間に微妙な空気が流れる。



変わらず西日が9人を照らす。




真姫(明日は晴れそうね・・・)







ことり「今更っ!!!??」





にこ(前途多難ね)



凛(ラーメン食べたいにゃ)




















~~~







海未「・・・ことり、」


ことり「海未ちゃん・・・」



私たちはベットに腰を掛ける。


沈みかけた夕日が、窓から差し込ませた光で私たちを照らした。


汗でべた付くシャツに更に汗がにじんだ。



道中――結局あのあとはみんな無言になってしまい、

重くなった空気に堪えられなくなった穂乃果ちゃんと凛ちゃんが突然の猛ダッシュでどこかへ消えてしまったり

いきなり希ちゃんにタライが直撃して「スピリチュアルやね・・・」と言い残して倒れたり、

正直なんかよく分からない事態に遭遇しました。


そしてやっとの思いで、恐ろしいくらい鈍感な海未ちゃん(褒め言葉)をつれて帰路についたのでした。



海未「あの・・・」


私の手に海未ちゃんの手が重なる。


海未「申し上げにくいのですが、」


夕日に照らされて赤く見える顔が、本当に赤くなっていった。



ことり「ふふっ♪」



自然と笑みが零れた。


望んでも得られなかったものが、


今日は簡単に手に入りそうだったから。




ことり「ことりもね、海未ちゃんと同じなんだよ」



重なった手を両手で掬い上げる。







ことり「――大好き」




顔を近づけ、唇を重ねた。




長くはない、本当に短いキス。





海未「私もです」





沈みかけていた夕日が完全に沈んだ・・・。













・・・・・・。


・・・・・・・・・。




「はぁ・・・はぁ・・・」


どちらとも区別の付かない浅い呼吸音と、衣擦れの音が静かな空間を支配していた。


手を伸ばせば海未ちゃんに届く。


逆もまた然り。細い海未ちゃんの指が私の顔をなぞる。


言葉なんて必要ない。お互いがそこに居ることが、手を伸ばせば届くところに居ることが、何よりも幸せだった。




汗で顔に張り付く髪を海未ちゃんは丁寧に払いのける。


海未「ことり、大丈夫でしたか?」


起きる気力もなく、寝っ転がったまま尋ねる。


不安を滲ませた海未ちゃんの表情に、ちょっとした意地悪したくなるような気持ちが芽生えた。



ことり「大丈夫だよ。ただ、ちょっとだるいかな」


海未「す、すみませんっ!!」


ことり「何が~~♪」


海未「最近ご無沙汰でしたし・・・ことりが可愛すぎるのです!ですから・・・」



ことり「――ねぇ、海未ちゃん、」


海未ちゃんの言葉を遮るように。



伸ばした腕で、海未ちゃんの頬をなぞる。



ことり「ことりはね、別に嫌じゃないんだよ?」



「誘惑」をはらんだ瞳で、真っ直ぐに射抜く。



ことり「嬉しいの。海未ちゃんとこうしていられることが」



海未「ことり・・・」



ことり「だからね、」






脳裏によぎったウミちゃんと、目の前の海未ちゃんが重なる。






ことり「守ってね、私の王子様」







海未ちゃんの返答を聞く前に私はまどろみの中へと落ちていった。













――――――













――いっそ夢でもよかったのかもしれない。


海未ちゃんに「好き」って伝えられて、照れながらも「私もです」って返してくれる時間が。

海未ちゃんが私に触れてくれる時間が。

海未ちゃんを独り占めできる時間が。


夢ならば、冷めるまで永遠に続くのだから――。




ウミ「ことり・・・」




いや、そりゃあ海未ちゃんと濃厚な(意味深)時間をすごしましたけれども・・・!!

こっちの異世界のウミちゃんもなんで・・・


ことり「ウミちゃん!服着てっ!!」


全裸(※シーツを巻いているため、下は履いているかは不明)でした。







~10分後~


ウミ「申し訳ありませんでした。ことりを慌てさせてしまうなんて」


ことり「あっ!うん・・・気にしないで、違うの!」




ことり(ウミちゃんの裸を見て、さっきの出来事を思い出したなんて言えないよ・・・)





恥ずかしくてウミちゃんの顔を直視できないが、そうとも言っていられない。

できるだけ平然を保とうと真顔でウミちゃんと向き合う。


ウミ「あ、それはともかく。今日はリンたちのところへ向かいましょう」


ことり「凛ちゃんたちのところ?」


ウミ「はい。リンとハナヨです。二人はコトリ探しに協力してもらっていますので」



凛と花陽――。元の世界だと二人とも1つ年下のかわいい後輩だ。

こっちの世界だとどんな変容がみられるのか。



ウミ「早いですけど、ことりがこちらの世界にいられる時間も限られていますので出発しますよ」



どうやらこっちの世界のリンちゃんとハナヨちゃんの住んでいるところはここから結構な距離があるらしい。


私がこっちの世界についてからものの30分程度で馬に跨り、ウミちゃんの家を出発した。








~~




馬に跨り野原をかけるウミちゃんの腰に手を回し、落ちないように力を込めた。



ことり「ねぇ、ウミちゃん。こっちの世界のリンちゃんとハナヨちゃんはどんな人なの?」


ウミ「そうですね・・・リンはハナヨと一緒に農業をやっています。ハナヨの作ったお米はとても美味しいと評判なんですよ。

   それを売って生計を立てられるくらいですから」


ことり「予想通りというか・・・」


ウミ「えぇ、かなりいい値がするんですがいっつも送ってくれるので助かってます。

   いつも食事のときに出すご飯はハナヨのところのお米ですよ」


ことり「うそっ!!」



あんな美味しいお米が?

・・・まぁ、花陽ちゃんならありえるか。





ウミ「――それ、と」




一瞬でウミちゃんの表情が青ざめていく。


ことり「???」




ウミ「ことり、しっかり捕まっていてくださいね。くれぐれも、振り落とされないようっ!!」


ことり「きゃぁっ!!?」



突然、ウミちゃんが従える馬が大きく横へ倒れ掛かった。

手綱を引っ張り、倒れまいと大きく起き上がる!



刹那、とても速い黒い影が馬の下を通り抜けた。

同時に血飛沫が上がる。


ウミ「! ことりッツ!!」


ウミちゃんが私を抱きかかえ、馬から飛び跳ねる。




若干の浮遊時間、馬に目をむけると――



ことり「あ・・・あ・・・」




とても目の当てられない惨劇。いったい誰が?どうして?




ウミ「私から離れないでくださいね」



ウミちゃんの額には冷や汗が滲んでいる。

これだけウミちゃんが動揺する相手って・・・?




ことり「ウミちゃんっ!」



見えない、黒い影が一瞬私たちの後ろに影を作ったのが見えた。



ウミ「はああああああああああああっ!!!!!」



腰に携えた剣を一気に引き抜く。

私もウミちゃんも敵の姿は見えなかった。が、



カキィィィィィン!


金属がぶつかる音がした。




???「おっとっと」


ウミ「やはり、貴方でしたか」











ウミ「リン」





ことり「リンちゃん!!!?」






リン「ニャ?」








~~





とりあえず詳しい話はあとニャー、と軽い口調でナイフを弄りながらリンちゃんとハナヨちゃんの家に案内されました。


私の姿をみたハナヨちゃんが、こっちの異世界のコトリと勘違いして号泣してしまったのを落ち着かせたり、

リンちゃんがウミちゃんの馬に”大変な”ことをしてしまったことをハナヨちゃんにこっ酷く叱られたりと大変でした。




ハナヨ「じゃあ、コトリちゃんを助けるためにことりちゃんがこっちの世界に来たんだね」


ことり「そうだよ」


ウミ「コトリさがしをことりに手伝ってもらっているのです」


なんかややこしい。今更だけど。


お茶を啜りながら他愛もない話をする。

たまに聞こえる庭の鹿威しの音にここは本当に異世界なのかと疑問に思っちゃいます。


ことり「でも、びっくりしちゃったよ。こっちの世界のリンちゃんが男の子なんて」


リン「もうホノカちゃんにはあったの?」


ウミ「ええ。先日会ってきましたよ」


リン「リンもホノカちゃんに会いたいよ~~」


ハナヨ「今度、お米をホノカちゃんのところに届けに行く予定があるから一緒に行こう?」


リン「行く行く!!」


元の世界より背の大きなリンちゃんが嬉しそうにハナヨちゃんに抱き着く。




ウミ「それはそうと、リン」




お茶を啜り、机に湯呑を置いた。


ウミ「先ほど襲撃した理由を早く教えてはくれませんか?」


リン「ウミちゃん・・・怖いにゃ・・・」


リンちゃんが体を震わせておびえる。


あぁ、ウミちゃん、怒ってるな・・・。目が笑ってないもん。




リン「じつは、このあたりに騎士たちがあらわれるようになって・・・」


ウミ「騎士?ホノカたちではなく?」


ハナヨ「ちがうの・・・違う国の騎士たちが、田んぼを荒らしたり、村人たちを襲うの・・・」




ことウミ「!!!!!???」




リン「それで・・・かよちんの作ったお米を盗むやつらが許せなくて・・・

   剣を携えて馬に跨ってやってくるやつを片っ端から襲ってたんだ。」



なるほど、だからリンちゃんは私たちを敵だと認識したんだ。




ウミ「仲間を敵と見間違える人間がいますか!!」


リン「ギブ!!しむ!!」


キン●マンがやりそうなプロレス技を仕掛けるウミちゃん。


リン「関節技はやめて!!!!」


ウミ「ことりにもしものことがあったらどうするきだったのですか?」


リン「ごめんなさい!ごめんなさい!!!」



リン「にゃああああああああああああ!!!!!!!」


リンちゃんの悲鳴が響き渡ったのでした。






リン「ウミちゃんひどいにゃ~~~」


畳にうつ伏せの状態に倒れこむリンちゃん。対してウミちゃんは襟を正すが、全く着崩れしていない。


ウミ「全く・・・」


ことり「あはは・・・」


ウミ「そんな体たらくでは私やホノカを倒すどころか、ハナヨを守れませんよ?」


リン「・・・・・・・っ!」


リンちゃんの表情が翳る。


ウミ「ですが・・・筋は悪くありません。精進あるのみです」


ウミちゃんは一気にお茶を飲みほした。


ウミ「さて、リンとハナヨに協力を仰げましたし・・・ことりが帰る前に次はニコのところへいきますよ」







~~~




リンちゃん、ハナヨちゃんたちのところへ行くとき同様、

馬(ウミちゃんの馬はリンちゃんに傷つけられてしまったのでハナヨちゃんから借りた)に跨ってニコちゃんのところへ急ぎます。


ことり「ねぇ、ウミちゃん、こっちのニコちゃんってどんな人なの?」


ウミ「・・・・・・」


ことり「ねぇ、ウミちゃんってば」


ウミ「・・・! ことり、どうしましたか?」


さっきからこんな調子です。馬を走らせる早さも早ければ、ウミちゃん自身も怖い顔をしています。


それは、さっき帰り際にハナヨちゃんから貰った情報のせいでした。







ハナヨ「エリちゃんが行方不明になったと思われる場所に・・・人間の倍以上の大きな足跡があったんだって・・・」


ウミ「!!? それを、どこで・・・?」


ハナヨ「ニコちゃんからだよ」


ことり「?!」


リン「ニコちゃん、エリちゃんに教えた”噂”のせいでエリちゃんが行方不明になったんじゃないかって悩んでた・・・」


ウミ「噂?」


ハナヨ「その足跡・・・それと同じ”足跡をもつ生物”がA-RISEの統治する国に出没するようになったんだって。

でね、問題がそのあと。そのバケモノ、どこかの国で造られているんじゃないかって」


ことり「バケモノを・・・造る・・・」


ハナヨ「私たちもここまでしか聞いてないの。詳しくはニコちゃんから直接聞いた方がいいかも」







ハナヨちゃんから聞いた噂(あくまで噂の一部だけれども)はにわかに信じがたい物でした。


ウミ「・・・バケモノだろうと、命あるものを造るなど・・・」


ウミちゃんはまるで苦虫を噛んだような表情をしています。


ことり「こっちでは魔法とか錬金術とかあるの?」


まるでお話の世界のような。


ウミ「あるわけないじゃないですか。私だって見たことありません」


魔法を否定するウミちゃんの頭部の犬耳に目がいってしまったのは秘密にしておこう♪


ことり「ねぇ、こっちの世界の私を探すはずが何かすごいことになっちゃったね・・・」


ウミ「えぇ・・・それだけ、ことりを危険な目に晒してしまう恐れが増えるわけですが」


ことり「・・・守ってくれるんでしょ?」


驚いたようにウミちゃんは私を見ました。


ウミ「えぇ」


優しく笑って。


ウミ「絶対に、ことりをッツ!!」





ウミちゃんが華麗に私を抱きかかえ、馬から飛び降りる。


ことり「また!!!?」


馬が倒れる。


ことりたちを囲うように黄金の騎士たちが剣や弓を向けてきた。



兵士1「大人しく着いてくるか、大人しくころされるか好きな方を選べ」


ウミ「選ばせる気ないですね・・・」


兵士2「いいからついてこい!」




ウミ(ことり、)ヒソヒソ


ことり(?)


ウミ(流れ的に逃げましょう)ヒソヒソ


ことり(流れ的に、)ヒソヒソ



兵士3「俺たちを馬鹿にしているな!!?」


ウミ「あぁ、ありがちなモブ台詞ですか」


兵士4「かかれ!!」


ワッ!!っと黄金の兵士たちが一斉に襲い掛かってきた。



ウミ「・・・はぁ、」


ふぅっと息を吸って、止める。その間一秒。


ウミ「――一閃、」


ウミちゃんの剣撃であっという間に兵士たちがなぎ倒されてしまいました。


兵士100「くっ・・・!なんて強さだ!」


ウミ「私たちを捕まえようなど10年早いです」


兵士101「ミューズのメンバー・・・ソノダウミはやはり、アヤセエリ同様殺しておくべきだ・・・!!」


ウミ&ことり「!!!?」



ウミ「ことり、危ないッツ!!!」


ことり「ウミちゃん、危ないっ!」


兵士の言葉よりも先に私に向けられた弓にウミちゃんが反応する。


そして一瞬遅れて、私も別方向からウミちゃんに向けられた弓に気づいた―――






時には、遅く、



ウミ「がはっ!」


ウミちゃんの体に弓が、私の体を弓が通り抜けた。


ことり「ウミちゃんっ!!?」


その場に倒れ込むウミちゃん。土が赤く染まっていく。


急いでウミちゃんに駆け寄る。


ウミ「うっ・・・ことり・・・無事で何よりです。貴方を守れて、そしてタイミングよく帰る時間で・・・」


ことり「!!?」


私が無傷なのはもう、帰る時間だからだった。体を淡い光が包んでいた。


ことり「いやっ・・・!ウミちゃん!!」


もうウミちゃんを触っても通り抜けてしまうほどの時間が迫ってる。


ウミ「ことり、」


力なく伸ばす手が私の頬を通り抜けた・・・。


ウミ「私はことりも、コトリも・・・守りたい・・・」


ことり「いやぁっ!!」


ウミ「暫しお別れですね・・・ゆっくり休んできてください」




ウミ「私の・・・お 姫     さ    m      



悲鳴すらも届かぬまま、私の体は完全に元の世界に戻るために消えた――。












――――――







失意、というか。無気力というか。


あのあと、向こうの世界から戻ってきた私は、”隣で”寝ている海未ちゃんの髪を撫でた。


ことり「海未ちゃん・・・」


自分の頬が濡れていることに気づく。


ウミちゃんが、守ってくれた――。でも、私はそのウミちゃんを守ってあげられなかった。


海未ちゃんの手を握りながら涙を零した・・・。



海未「・・・・ん、ことり?」


ことり「あっ、ごめん。起こしちゃった?」


海未「いえ・・・大丈夫ですよ」


大丈夫と言いつつも目をこする海未ちゃん。やっぱり眠いみたい。


身体を起こした海未ちゃんを見て、びっくりした。



だって、海未ちゃんのシャツがはだけていて、綺麗な肌が見えて・・・!!!?


走馬灯のように向こうの世界に行く前までの出来事を思い出す。

学校でにこちゃんにからかわれて、みんなに囲われるようにして帰って、それから海未ちゃんが私の家にきて、それから、それから何か雰囲気的にベッドに―――!!!!!!!


ああああああああああああああああああ!!!!!!!!!


思い出しただけで顔から火が出そうなくらい恥ずかしい!!!



恥ずかしいけど、それよりも矢が、向こうのウミちゃんを貫いた場所を見る。



・・・・・・あれ?


少し、「傷」があるような気が・・・・


海未「あぁ、もうこんな時間でしたか」


海未ちゃんはさっと、ボタンを留める。




その仕草はまるで、私からその「傷」を隠すような――



海未「早くことり”は”帰った方がいいですよ」


夕日を背に受けた海未ちゃんの顔は逆光で見えない。

壁に伸びた影には、不思議と違和感があった。


海未「理事長が心配します」


ドクドクと血液が流れる感覚がする。


ことり「ねぇ、海未ちゃん」



確信はないけど、聞きたい。


貴方のその影にある、頭の上の「とんがり」は何、と――。


後書き

早めの更新頑張ります。

【補足①:もう一つの世界へと元の世界の説明】

・時間軸は同じである。もう一つの世界が朝8時なら、元の世界も朝8時。
同じスピードで時間は進んでいる。

・時間軸だけではなく、座標軸も同じである。イメージとしては全く同じ地球がある感じ。
(そこに住む人たち、物、建物などは若干相違する点はある)

・念じるだけで行き来が可能。もう一つの世界へは元の世界と座標軸が同じ場所に移動することとなる。
(例えば音ノ木坂学院で念じれば、もう一つの世界の音ノ木坂学院がある場所へ移動する)

・もう一つの世界に居られる時間は最大12時間。時間が経過すると強制的送還される。
また、念じれば途中でも帰れるが、前回の移動から12時間以上経過しなければもう一つの世界には行けない。

・この列島にはいくつかの国が存在する。



【補足②:もう一つの世界のミューズ】

ウミ・・・人狼族の長の娘。コトリと付き合っている。

コトリ・・・何者かによって連れ去られ中。

ホノカ・・・騎士団団長。異世界では男性。

エリ・・・(行方不明)。ホノカの恋人

リン・・・忍者のような身のこなしで暗殺家業をする。ハナヨと同居している。異世界では男性。

ハナヨ・・・農業で生計を立てる。農業のプロ。

ニコ・・・情報屋兼何でも屋。異世界では男性。

ノゾミ・・・占い師、情報屋補佐、踊り子・・・etc ニコと同居中


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1: SS好きの名無しさん 2015-06-25 01:34:44 ID: 9TeKMxE1

続きが気になるから
早く、更新して書き終えなさい

2: SS好きの名無しさん 2016-04-17 06:05:53 ID: ZdZF-Has

カタカナ表記の名前だとまた違った印象になりますね!先が気になります


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