「暁の水平線に、しかし確かに」 艦娘「勝利を刻むのだと!」
艦これでフロム脳したいから書きますた。(オイ)
"誇り高き艦隊よ、名誉ある剣であれ。"
ブラボ以外も持ち込む予定です。
本家フロムでたまにある、救えない鬱展開は防ぎたいと思います…。
吹雪「ふあ~……。今日も志望者は来ないかぁ…」
こんばんは。私、吹雪といいます!
ここ"聖海鎮守府"の艦娘として、海を、そして国を守っています!カッコいいでしょ!!
…なんて、それらしいことは出来てないんですけどね。
なぜなら現在、鎮守府は司令官不在。所謂空き鎮守府なんです。そのため碌な行動もできず困っています…。
吹雪「仕方ない…今日はここまでにしておこ…」
志望者の方がいらっしゃった時のためと、毎日こうして正門前で見張りをしているんですけど…。
聖海鎮守府は、本土から南東に向けてとお~~い島にあるんです。ある程度の山地に、建物は鎮守府と、かつて誰かが住んでた?小屋が幾つか。
はい、殆ど孤島ですね。時々お猿さんが遊びに来るような立派な無人島です、私達を除けば。
吹雪「こんな辺境の島に来るわけが…」ハァ…
スタスタスタ…
吹雪「!?(足音…!!)」サッ
人の気配…まさか本当に志望する方が!?
…いや、それにしてもこんな夜中に…?怪しいな…。
吹雪「そこに誰かいるんですか!?いるなら返事をしてください!!」
…………スンッ
「…いる。ここだ」
吹雪「ッ!!?いつの間に背後に…!」ガシャッ
な…!明らかに人の動きじゃない…敵!?
ザッ
吹雪「うぐっ…!(か、刀…?)」
「待て。君は此処の者か?もし敵意がないのなら…その武器を降ろしてほしい。さすれば私もこんな事はやめにしよう」
「…無駄な争いは何も生まぬ。その綺麗な命を失くしてはならない」
吹雪「は、はぁ…?」
ここは仕方ないです…どうやら話の分かる人そうだし、大人しく従おう。
というか従わないと間違いなく命がありません……!
吹雪「…分かりました。ならその武器をしまってもらっても…」
「ああ、すまなかった。昔からこうでもしないと安心出来なくてね」スッ…
解放され振り返ると、そこには帽子を深く被った、黒づくめのローブ…?のような人がいました。素顔が見えない分やっぱり怪しい…。
吹雪「え、えーっと…私は特型駆逐艦、一番艦の吹雪です」
「聞き慣れない名だ…。私は………」フム…
吹雪「…?」
「すまない…名を思い出せない。"狩人"とでも呼んでくれないか。職業柄、前からそう呼ばれていたから」
吹雪「…え、ええっ?狩人…?」
記憶喪失なのかな…。身なり、いかにもな雰囲気は確かにその名前に似合うかもですけど…。
「ああ。この地について詳しく教えてくれないか。どうにも記憶が曖昧でな…場所がどこかさえも分からんのだ」
吹雪「ここは聖海鎮守府です。島は…捨て島だとか、あまり良い名前で呼ばれてません」
「捨て島?」
狩人さんは周りを見渡して、"ほう…"だの"はぁ"だの言いながら島を吟味しているようです。
「…見たところ、捨てられたにしては美しい地だ」
吹雪「もうこんな暗いのによく見えますね…」
「もう闇夜は見慣れたよ。喜ばしい事ではないが」ハハッ
吹雪「あはは…(何だか恐いなぁこの人…)」
うーん…漂流者…?でもこの辺りは漁船の通りも少ないし…。
とりあえず鎮守府に来てもらおうかな。人命救助も軍の仕事ですから!!
吹雪「あの、夜も遅いですし…鎮守府に来ます?」
「後ろの大層な建造物か」
吹雪「そうです。私と他に二人の子がここに所属してます」
「…何処かへと行く宛もない。案内してもらおう」
──────
スタスタ…
「成る程。つまり君は海軍という組織の下で国を守護する艦娘…というわけか」
吹雪「はい!狩人さん、さっきの戦闘の腕も中々でしたし…ここの司令官になって指揮を執ってほしいくらいですよ!」
「確かに武道には長けているが…、しかしそれで簡単に指揮が務まるものだろうか?」
吹雪「私達もまだまだ練度の低い艦娘ですから。そこはこれから共に学んでいきましょう!」
吹雪「…ただ、条件として妖精が見えないといけないんですよね…」
「妖精?ああ、このさっきからフワフワ着いてきている共々のことか」チラッ
妖精s『!?』ビクッ
吹雪「えっ!み、見えてるんですか!!?」
古株妖精「何だ…気づいてたんだ。こっちが逆に気づかなかったくらいだよ」
「入口辺りから見られていたと感じてな。此方に危害を加えてくるようだったら斬っていたが」ジッ
妖精s『あわわわわわ』ガタガタ
古株妖精「あんた中々怖いねぇ…」
「狩人はよく忌み嫌われるものだよ…」フッ
妖精s『なんか、カッコイイ…』
吹雪「(もしかして妖精さんと話せてる…?私でさえ聞こえないのに…すごい…)」
吹雪「着きました。ここに二人がいますので、呼びますね」
「よろしく頼む」
コンコン
吹雪「二人ともー、新しい司令官が来ましたよ!」
ガチャバターン
「ほ、ほんとにっ!?わっ!!?」ドタドタ
ドターン
「いたた~……」
吹雪「ちょっと焦りすぎだよ、"春雨"ちゃん…」アハハ
春雨「ごめん…でも、ほんとに新しい司令官が…」ウエヲミル
「……………」ゴォォ…
春雨「ひゃあぁぁぁっっ!!?」ズザザザッ
吹雪「ちょっと狩人さん!!何で春雨ちゃんをおどかすんですか!?」
「おどかす?あ…いや、そんなつもりはなかったんだが」
ガチャ
「それで、その方が新しい司令官に?」
吹雪「そう!狩人司令官です!」
不知火「そうですか。陽炎型二番艦、不知火です。その不潔な身なりで変な気を起こしたら直ちに排除しますので。では」バタン
「…………」
吹雪「(…ごめんなさい。不知火ちゃんは前いた鎮守府から事情があって逃げてきたんです。本当はいい子なんです…!厳しい目で見ないであげてください…)」ボソッ
「(構わん。こういうのは慣れている。寧ろ優しいくらいだ。外にはああやって見せているようだが、彼女の目は…優しかった)」ボソッ
吹雪「(そういうことも分かるんですね…。彼女のためにも、ありがとうございます)」ペコリ
春雨「(不知火ちゃんも吹雪ちゃんも凄いなぁ…この人、すごく怖そうなのによく平気で…)」ボー
「ところで君は…春雨だったか。よろしく」
春雨「あ、は、はいっ!!よろしく、お願いしますっ!!」ビシッ
「はは、規律がしっかりしているな。だがそう堅くならなくていい。私も此処に暗いのでな、こちらこそ世話になるよ」アクシュ
春雨「は、はいぃぃ…」プルプル…
「…ふむ。そこまで怖いか?私は…」
吹雪「私達の二回りくらいの背に、その見た目は十分に怖いですよ…」
春雨「そ、そんな人じゃないとは分かってるんです!で、でも何だか血の気がするというか…雰囲気というか…」
「あぁそれは………不快にさせたようならすまない。おそろく狩ってきた者の血のせいだ。…しかし元いた所はもっと醜く酷い奴らばかりだったから気にしていなかったよ。悪かった」
春雨「(そ、そんな恐ろしい場所が…!?そこらの深海棲艦よりも恐ろしい気がします…)」ガクブル
「(汚れた血…かつて誰かがこんなことを言っていた気がする…。堪らぬ血で誘うものだ、と…)」
「ふむ、私も新しい衣服を探すことにしようか。何か替えになるものはあるか?」
吹雪「それなら丁度軍服が何着かありますよ。正式に提督の役職を示せますし、好都合です!」
「成る程。ならば早速行こう」
春雨「えーっと…私も何かした方がいいのかな?」
吹雪「もう時間も遅いし春雨ちゃんは先に休んでて!私が狩人さんを案内するから~」
春雨「はーい。よろしくお願いします!」
───────
「ふむ…」
世話をかけ続けるのも悪かったので鎮守府内の色々を案内してもらいながら軍服を受け取った後、吹雪は帰した。
それから私は指揮官の在所…執務室とやらに。
「…………」ペラ…ペラ…
キラッ
「……む?朝日…?」
「おお………」
「(…そうか。やはり此処はあの"病の廃れ街"とは無縁の場所…。しかし何故…?)」
「何か思い出せればな…」フム…
コンコン…ガチャ
春雨「失礼します~…あ、やっぱりここにいたんですか!」
「ああ、春雨…かな?ええと…こういう時はおはよう、と言うべきだったか」
春雨「はい、おはようございます!」
春雨「まだ○五◯○ですけど…司令官、結構早起きなんですね」
「早起き?いや、一睡もしていないが」
春雨「え」
春雨「…えぇっ!!?ど、どうして…!!」
「この部屋にある書物を読み漁っていた。お陰でこの海軍についてもよく学べたよ」
「海戦というのは実に面白いな。頼れるものは砲弾や航空機。地を踏みしめる戦いほど速効性をつけられない…故に戦術と指揮が勝敗を大きく左右する。艦種やそれぞれの特技、様々を良く見ておくべきだな」
春雨「す、すごい…。もう私よりもよっぽど立派かもしれないです、はい…」
「はは、君達艦娘には及ばん。艦船の生まれ変わりとされてるんだろう?かつての猛者の意志を継ぐ者…私は尊敬するよ」
春雨「あ、ありがとうございます…」エヘヘ
春雨「それにしても何だか昨日見かけた姿よりよっぽど司令官!って感じになりましたね」
「お陰様でな。少しは雰囲気もマシになったろう。ただこの黒帽子は着けさせてくれ。私のトレードマークなんだ」スッ
春雨「(…帽子も取ってもらってお顔を見てみたいけれど、その帽子から覗き込むような姿勢。何だかカッコいいなぁ…)」
「…?どうした、やはりこれでも怖じ気づくものだったか」
春雨「あ、いや!そんなことはないです!!むしろ、カッコイイトユーカ ナンテユーカ…//」
「ならよかった。そういえば春雨は何故此処に?」
春雨「…あっ!そうです、吹雪ちゃんから司令官を呼んでくるよう頼まれたんです、はい」
「分かった。では同行しよう」
───────
吹雪「ええぇぇぇっ!!!?あれからずっと起きてたんですか!?」
「何、そこまで驚くこともないだろう。狩人は夜に馴染むもの…。それに君達の命を預かるのに、のうのうともしていれん」
春雨「司令官……」シミジミ
吹雪「それはありがたいですけど…。司令官が無理をなさって倒れでもしたら元も子もないですよ!!」
「む…狩人はそんな柔なものではないぞ」
吹雪「とにかく!今夜はしっかり寝てください。とりあえず今は大丈夫そうなので職務に入ってもらいますけど」
「任せたまえ。まずはこの鎮守府の工廠とやらに向かいたいのだが」
吹雪「鎮守府の構造まで学んできたんですか…流石です!私も工廠には向かっておくべきだとは思いますが、でもあそこには…」
春雨「はい…」
「?」
吹雪「工作艦の明石さんって方がいるんですけど、あそこを縄張りにずっと引きこもってるんですよ。ですから簡単には入れないです」
「明石…事情を話せば開けてくれるんじゃないのか?」
春雨「中々開けてくれないと思いますよ。あの人、私がここに来るずっと前からこの鎮守府に属してるらしく、何やら沢山の事を抱えてるみたいで…もう外の光にも興味がないって…」
「…………」
吹雪「初期艦として配備された私でさえ詳しくは知らないんです。まず初期艦のはずが、既にこの鎮守府にはそういった様々な痕跡があるのもおかしいですし…」
「ふむ…闇雲に出向くのも彼女に失礼だな。分かった、工廠は手がかりが見つかるまで一旦後回しにする」
春雨「そうですね…明石さんの事は春雨も情報集めておきます」
「ありがたい。して君達、艤装はあるか?演習場にて君達の戦いを見せてもらおう。不知火も呼んできてくれ」
吹雪「演習ですか!!分かりました!」
春雨「久々ですけど…頑張ります、はい!!」
──────
_演習場_
吹雪「狩人司令官!こちら三人とも準備完了しました!」
不知火「…呼び出しがあったので出撃でもするのかと思ったら演習から入るんですか?随分とゆっくりしていますね」
「指示を出すなら戦闘員の動きを見知っておくのは重要な事だからな。1vs2で行うが…この中で一番腕に覚えのある者は?」
吹雪「私は着任してからひと月程ですから…まだまだです」
春雨「不知火ちゃんが一番だと思います。…春雨は、全くそんなんじゃないです」
「…そうか。なら不知火、一人で相手してもらえるか?」
不知火「お任せします。とっととしましょう」
「分かった。では位置に着いてくれ、見届けさせてもらおうか」
サァァァァ……
春雨「不知火ちゃんが相手かぁ…頑張ろ!吹雪ちゃん!」
吹雪「うん!えーっと、司令官に合図を…」オーケーデス!
『…開始!』
吹雪「行きます!」
春雨「はいっ!」
不知火「二手に分かれる事くらい見えてます!」ドンッ!
ザパアァァァン!!
吹雪「っ!!(前方に砲撃!波しぶきでよく見えない…)」
不知火「今ッ!」ドォンッ!!
春雨「させません!!」ドォンッ!!
ドォォォォン!!
不知火「ここで当てる!!」ボォン!!!!
春雨「きゃあっ!」―大破―
吹雪「っ、春雨ちゃん!!」
不知火「不知火も暫くの間で鈍りましたが…まだまだ!!」ドンッ!
吹雪「くっ、やれることをやります!!」ドドドッ!!
ザパアァァァ!!
不知火「フッ、同じことをしたところd「そこだぁ!!」シュンッ
ズドォッ!!
不知火「ぐッ!!?」―小破―
不知火「このっ!!!」ドォォンッ!!
吹雪「うぅっ!!」―大破―
──────
「いやはや、いい戦いだったよ。久方ぶりと聞いていたが、それでも中々のものだ。書物の写真や文字で見るのとは迫力が違うな」
春雨「私、何も出来ませんでしたぁ…」シクシク
吹雪「そんなことないよ!私一人だったらもっと早くやられてたし…」
「複数行動は誰かが注目を惹き、その間に優勢に進めていくのは基本だ。その点、春雨はそれを全うした。反省するなら、これからはもっと動きを付けていけ」
春雨「は、はいっ!ありがとうございますー…」
「そして吹雪は相手の戦術を良く見ていた所がよかった。相手の動きを知り、活かせることは大切だ。それに砲撃だけじゃなく近接も可能とはな…私にとっても良いことを知れた」
吹雪「えへへ…ありがとうございます!」
「最後に不知火。複数相手によく考えていたな。片側を足止め、そしてその隙にもう片方を打ち倒すのはかなり有効な策だ。基本的な策とは言えど、実行する方法は見つけ難いものだ。よくやった」
不知火「………そうですか」スタスタ…
春雨「あ、不知火ちゃん…!」
「そうか…やはりそう簡単に、信頼は得られるものではないな」フム…
吹雪「きっと…私が近接戦に持ち込むなんて無茶なことをしたのが原因だと思います。呼び戻して来ますね」
「いや、結構だ。今日はここまでにするよ」
春雨「えっ!まだ時刻は、一○○○くらい…お昼にもなってませんよ?」
吹雪「も、もうですかー!?これってもしかしなくても私のせい…」ガーン
「心配するな、そうじゃない。私はこれから策を練る。"この鎮守府と本土を繋ぐ海路を開通"させるためにな」
春雨「ほ、本土との…!」
吹雪「か、開通ぅぅぅぅぅ!!!?」
「む…そこまで驚く事だろうか?」
吹雪「そりゃそうですよ!!!ここからどれだけ離れてると思ってるんですか!?」
春雨「私達の艤装でも真っ直ぐ向かって三時間程度はかかります、はい…」
「安心したまえ、そんな無茶なことを強いるつもりはない。これからより良い方法を探す」
吹雪「そうですね…。そういうことならやっぱり進出を円滑にするためにも、明石さんの協力は不可欠だと思います」
「ああ。何か情報があればいいんだが…」
「話は聞かせてもらったよ~」
吹雪「あっ、妖精さん!どうしてここに…?」
古株妖精「私は君らより前…この鎮守府が栄えていた頃から着任してる。狩人くん、君は私の声が聞こえるんでしょ?」
「そうだな。何か知っていることがあるなら教えてもらおうか」
春雨「(どうやらお話を進めてくれてそうです、はい)」ヒソヒソ
吹雪「(だね。私達も後で狩人司令官から聞こう)」ヒソヒソ
…
古妖「じゃあ狩人くん、まず確認したいことがあるんだけど…」
「私は此処に来たばかりだが…答えられるものなら」
古妖「きっと知っているはず。英雄、"ルドウイーク"の名を」
「!!なっ、ルドウイーク師を知っているのか!?」
古妖「あぁやっぱり。君は彼と同じ世界から来ている…そうだろうね」
「…やはりここは別世界なのか?」
古妖「きっとね。私も最初は信じられなかったよ、彼からその残酷な世界について幾つも教えてもらったから」
「…私は此方の戦乱の世も酷なものに思えるが」
古妖「確かに深海棲艦も恐ろしいし、早くこの戦いに終止符を打ちたい…。それに立ち向かう艦娘に人類、これは希望の戦いなんだ」
古妖「…でも彼の言う狩りの世界は、あまりに救いの無い物だった。君にも同情するよ」
「まあそれもそうか。あんなものは醜い、絶望だった…しかし私も希望がなかったわけではないぞ?」
「生あるものは何時しか悪夢を終わらせるのだから」
古妖「!…そっか。ごめん、勝手な事を言っちゃって」
「なに、気にすることはない。それに師が此処に来ているのなら何という幸運!今は何処に?」
古妖「……ごめんなさい。彼はもう此処には、いないんだ」
「………」
「そうか…(師よ、またしても一人で…)」
古妖「意外と驚かないんだね」
「彼は人の為、導きの為、そういう御方だ。きっと何か理由があって自身を投じたのだろう。例えば…此処の艦娘たち辺りか…」
古妖「君はほんと話の分かる人だね…。そう、ここは昔、深海棲艦の激戦区に対する前線基地として機能していたんだ。彼、ルドウイークの元でね」
「ふむ…古い書物の中にそれらしい活躍が書いてあった気がする。あの狩りの地で、師が突如姿を消したのは此方に来ていたからだったのか…」
古妖「当時彼が来てしばらくしてから、私は此処に配属されたからどうやって来たのかは分からない」
古妖「でも、一目見てはっきり分かったよ、彼の指揮と戦いのセンスは尋常ではなかった。海軍で英雄と持て囃されていただけあったね」
「ああ…!師は間違いなく強い。我々に狩りの何たるかを教えたのも師だったからな。まさか此方に来てからも師が団を率いていたとは…」
古妖「彼の率いる艦隊は少数精鋭だった。戦闘員は12人。それに補給艦、任務連絡艦、そして工作艦の計15名」
「成る程、そこに工作艦明石が…。待て、なら他の子達は今どこに?」グッ
古妖「そんな険しい顔しないで、安心して。彼女らはそれぞれ別の鎮守府へ送られた。解散したのさ、"月光部隊"はね」
「月光部隊…それが師の艦隊名か」
「…あの方の好んだそれに相応しい。しかし解散してしまったのは惜しいな。艦隊の子達だけの運営は厳しいものだったのだろうか」
古妖「どうだろうね。もし出来たとしても、ルドウイークはそれを拒んでいたろうから…」
「何と…あの師がか?一体何故」
古妖「私にも分からない。ただそれが彼の最後の命令だった。戦闘区域の最前線を捨てることになるんだから、皆最初は不服だったけど…彼が望むのならと、受け入れたんだ」
「成る程…彼女を知るのに十分な情報は手に入っただろう。ありがとう、妖精よ」
古妖「うん。元々私らもあの工廠で明石ちゃんと働いていたから早く彼女と関係を戻したいんだ。良い知らせ、待ってるよ。グッドラック」
「あぁ、期待に応えて見せよう」スタスタ…
本家ブラボの時系列や設定と異なる部分もあります。
鎮守府が全く機能してない件…相変わらずの無能大本営です。
以下、登場人物。
<狩人>
狩人司令官(提督)。ヤーナムという呪われた地で獣狩りをしていた。素性"教会の狩人"。
冷静沈着で、真面目な雰囲気であるが、堅気なものは好きではない。寧ろ酒宴のような催し物は好物らしい。
<吹雪>
聖海鎮守府に初期艦として配属。
したものの当の提督は見当たらず、同僚の春雨、不知火の三人で活動していた。
真面目な努力家。練度の高い二人に追いつこうと日々奮闘中。
<春雨>
聖海鎮守府に所属。
吹雪の次に鎮守府に来たが、彼女も何やら漂流者だとか。
ほんわかしたドジっ子っぽい。決して低くはない練度だが、どこかやり通せない自分の弱さにコンプレックスを抱えている。
<不知火>
聖海鎮守府に所属。
元は別の鎮守府に属していたが、逃亡。
鎮守府の中で最も練度が高い。
キリッとした雰囲気で、出された任務はきっちりこなす。司令官に不信感を抱いているようだが…。
<妖精's>
聖海鎮守府の妖精達。
島の管理から、鎮守府のあれこれまで…よろずの働き屋。
古株ちゃんは昔の聖海鎮守府から所属している。
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