渚~another sea~ 1-1
※・本作は艦隊これくしょんの二次創作作品です。
・原作と異なる設定を含む可能性があります。
・本作に登場する“潮田渚”は暗殺教室に登場する潮田渚の姿をしています。しかし、原
作のキャラ設定は一切存在しません。お先に潮田渚の容姿を調べることをお勧めしま
す。
・執筆スピードは遅めです。
1-1『ファーストコンタクト』
潮の匂いがする。
とても懐かしい、でも、とても不安になる匂い。
名も無き少年は目を覚ます。
外は暗い、どうやら自分が寝ていたのはソファの上らしい。
豪華な家具、広い部屋、そのどれもが自分には不釣り合いに思える。
??「ここは・・・?」
何もわからない。
なぜ自分がここにいるのか、ここはどこなのか、自分は・・・誰なのか。
ガチャッ。
??「!」
ノックも無しにドアが開く。
女提督「目が覚めたのね。」
そこには美しい黒の長髪の若い女性が立っていた。
??「すみません、どなたですか?」
少年は身体を起こしながら質問した。
零理「私は倉里零理、この鎮守府の提督よ。」
??「鎮守府・・・。」
鎮守府、ここはどうやら軍の施設らしい。
??「あの、一つしつも・・・。」
彼の言葉は零理の一言によって遮られる。
零理「以後、貴方の質問に答えることはできないわ。」
??「え?」
零理が自分の前まで歩いてくる。
零理「貴方の名前は“潮田渚”、そうこれからは呼称されることになる。」
「そして、もう一つ、現時刻をもって貴方を、佐世保海軍付きの“特殊予備兵”に任命する。」
「拒否権の行使は認められません。」
渚「え、え?」
脳の処理が追いつかない。
零理「以上、後の詳細は明日の朝に説明するわ。」
「この部屋を出なければ、部屋の設備は自由に使用してかまわない。」
「何か用件があったら、部屋の前の者に伝えて。」
零理は淡々と用件を述べていく。
渚「え、ちょっと、待ってください!」
渚はソファから立ち上がる。
零理「では。」
バタン。
零理は部屋を出て行ってしまった。
渚「・・・。」
渚はその場に立ち尽くした。
訳がわからなかった。
特殊予備兵とか言うのに任命された。
ということは、元々自分は軍人だったのだろうか。
それに、
渚「名前・・・。」
“潮田渚”という名前。
これは・・・自分の本当の名前なのだろうか。
記憶のない渚には、こんな簡単な問いですら難題だ。
窓から入る潮風が渚の髪を撫でる。
・・・きっと、今考えても仕方の無いことなのだろう。
潮風の入る窓を閉める。
渚「・・・寝よう。」
渚は再び眠ることにした。
誰のものともわからないその名を抱いて。
-続く-
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