2023-11-06 11:55:32 更新

概要

秋深し、セトロニン墓地の裏で幽霊たちの運動会と妖怪たちの文化祭が衝突。夜な夜なの騒動に、セロトニン満ちる季節の中、祭りの行方は?ドラキュラの反対、幽霊の危機、そして「文化祭禁止霊」の出現で運命の夜が動く!


前書き

秋の一葉が色づき始める頃、人々が日暮れと共に家路に着くその時間、世界は別の顔を見せ始める。廃校の裏手に広がる古い墓地では、日中の静寂を打ち破り、夜になると異界の住人たちがひっそりと集まる。彼らはこの世のものではない。幽霊たち、妖怪たち、そしてその他多くの夜の住人たちが、月明かりの下で自らのコミュニティーを形成していた。

幽霊たちは、かつての栄光を取り戻すため、そして自らの存在を世に示すため、伝統的な運動会を企画していた。彼らにとっては、一年に一度の大イベントであり、生前の記憶を辿りながら、彼らは透明な足でレースをし、声なき声で励まし合う。しかし、この年は違った。妖怪たちが同じ夜に文化祭を開くと宣言したのだ。彼らは、廃校の古びた体育館を舞台に、妖しい光を灯し、世界各地から集まった同類たちと文化の祭典を楽しもうとしていた。

幽霊たちの代表である白いシーツを纏ったスピリットは、妖怪たちの代表、貴族のような風格を持つドラキュラに交渉を持ちかけた。彼らの議論は夜通し続き、どちらも一歩も譲らない。ドラキュラは、昼間の開催には同意できないと主張し、彼の招待客である妖怪たちには夜が似合うと語った。文化祭は彼らにとって、自らの芸術性を表現する場であり、毎年恒例のボジョレーヌーボーも楽しみの一つだった。

一方、幽霊たちは自分たちの存在が薄れつつあることを危惧していた。彼らは何かをすることでのみ、この世界に留まることができるのだ。スタミナをつけるため、そしてもう一度この世に自らの痕跡を残すため、運動会は彼らにとって必要不可欠なのだった。

争いは一触即発となり、幽霊たちは最後の切り札、「文化祭禁止霊」を召喚する。その存在は謎に包まれていた。呼び出された本人でさえ、自分の目的が何なのか混乱していた。しかし、彼女が持つ力は、この夜の行方を決定づけるものだった。秋の夜長に漂うセロトニンの香りの中で、墓地はかつてない騒動に包まれる。

そんな中、ある猫が墓地の裏手に現れた。彼は人間の言葉を理解し、その冷静な観察眼で事態を見守っていた。彼には、幽霊でも妖怪でもない、独自の視点がある。


吾輩は猫で秋の夜、廃校の裏に広がる墓地には、ひっそりと幽霊たちが住み着いていた。

彼らは夜な夜な活気づくレクレーションを楽しんでいたのだ。

しかし、この墓地では幽霊たちと妖怪たちの間で、一つの問題が勃発していた。

それは、墓地の使用権を巡る争いだった。

幽霊たちは墓場で運動会を開きたいと願っており、夜行性の彼らにとっては最適なイベントだった。

一方、妖怪たちは文化祭を開催したいと主張していた。

幽霊たちは妖怪たちに譲歩を求めるが、妖怪一族の代表であるドラキュラは昼間の開催に異議を唱えた。

彼はボジョレーヌーボーをふるまうために世界中から妖怪を招待しており、文化祭を開催することに固執していたのだ。

しかし、幽霊たちには深刻な事情があった。

彼らは影が薄すぎてこのままでは消えてしまうのではないかと危惧していたのだ。

運動でもしてスタミナをつけなければならない。

そこで、幽霊たちは最後の切り札として「文化祭禁止霊」を繰り出し、妖怪たちにけしかけることにしたのだ。

だが、「文化祭禁止霊」とは一体なんなのか。

その正体は。

それは呼び出された本人にもよくわからない。


「私はどうしてここにいるの?」 体育館裏の枯れ柳に少女が佇んでいた。

秋も深まり、空気が澄み渡ってきたある晩のこと。

俺は夜の散歩に出かけていた。

動画を見飽きて何だか寝付けなくて暇を持て余していたところ、ふと思い立って外に出かけたのだった。

空を見上げると雲一つない満天の星空が広がっていた。

こんなにも綺麗な星を見たのは初めてかもしれない。

そういえば子供の頃、夏休みになると祖母の家に行って一緒に田舎の夜空を眺めていたことを思い出した。

都会育ちの俺にとってそこはまるで別世界のようであり、いつもワクワクしながら祖母の話を聞いていたものだ。

しばらく歩いていると、少し先の方で何かが動く気配を感じた。

誰かいるのかと思って目を凝らすと、そこには一人の女性が佇んでいた。

真っ暗なので顔はよく見えなかったが、黒い水着らしきに半そでシャツを羽織って赤いバンダナを巻いている。

季節外れの服装に動画配信者の雰囲気を察した。

どこのチャンネルだろう。

俺はカメラ探した。

しかし気配はない。

彼女は両手を地面につけ、何かをしている様子だったが、よく見るとどうやら土下座をしているらしいことがわかった。

一瞬、変質者かと思ったものの、さすがにこの状況を見て見ぬふりはできない。

俺は女性に声をかけてみることにした。


「あの……大丈夫ですか?」 女性はビクッとしてこちらを振り向くと、ゆっくりと立ち上がった。


「あぁ……びっくりした」 声の主を確認するなり女性は胸を撫で下ろしていたが、すぐに申し訳なさそうな表情を浮かべると再び頭を下げた。


「すみません!お邪魔するつもりはなかったんですけど……」 「いえ、別にいいんですよ。

それよりどうかされたんですか?」 「えっと……実はですね……。

私、どうしても叶えたい願い事があってここに来たんです。

それでお願い事をしているうちに眠ってしまったみたいで……。

気付いたらここで土下座をしていたというわけです」 「よくわからない。

罰ゲーム配信か何かなの?」 なんだそんなことか。

俺は思わず笑ってしまいそうになったが、何とか堪えることに成功した。


「そっか、なるほどね。

それじゃあ俺も同じことをしようかな。

せっかくだし、二人でお願いしたら叶うかもよ? 何を祈ってるの?」 彼女は顔を赤らめ寄せてきた。

なんなんだ。

いきなり。

俺は身を引き締めた。

心臓がバクバクする。

そんなことおかまいなしに彼女は耳元でささやいた。

聞いて驚いた。

俄に信じられない話だ。

だが現に|彼《・》|女《・》は隣にいるのだ。

協力するか否か。

左右に腕を振って「神様の言う通り」に決めた。


「本当ですか!?ありがとうございます!」 女性は嬉しそうに笑うと、俺の隣に立って手を合わせた。


「それじゃあいくよ?せーのっ!」 「「神様仏様観音様」どうか」 「文化祭禁止霊さんたち、どうか私たちの学校に来てください!」 女性の放った言葉を聞いた瞬間、俺は唖然としてしまった。

まさかこの人も俺の学校に幽霊が出るという噂を信じているのか?

「あの……どうしてそんなことを言うんですか?」 恐る恐る尋ねると、女性は笑顔のまま答えてくれた。


「それはもちろん私の願いを叶えてもらうためですよ!だって、もし本当に幽霊がいるなら私の願い事も聞いてくれるかもしれないじゃないですか。

だからあなたと一緒に来たんですよ」 なんだよ、そういうことだったのか。

だったら最初からそう言ってくれればいいものを……。

それにしてもこの人は一体何者なんだろうか。

俺と同じように噂を聞いてここにやって来たんだろうか。

それとも……。


「ところであなたはどんな願い事をするつもりだったんですか?」 「えっと、それは……秘密です」 「えぇ~教えてくださいよぉ」 俺がしつこく食い下がると、女性は恥ずかしげに口を開いた。


「……内緒にしてもらえますか?」 「うん、わかった。

誰にも言わないよ」 俺は真面目な顔をして答えると、女性は小さく息を吐いて話し始めた。


「私は今年の文化祭を最後に転校することになったんです。

それで、最後の文化祭だけはみんなと同じ場所で楽しみたくて……」 女性はどこか寂しげな目をしながら遠くを見つめていた。

もしかしたら彼女は自分の学校で最後の文化祭を迎えられなかったのかもしれない。

だからこそ文化祭をやりたかったんだろう。

俺は彼女の気持ちを考えると、何だか胸が締め付けられるような思いがした。

きっと俺よりもずっと辛かったに違いない。

そう思うと無性に目の前にいる女性のことを抱きしめてあげたくなったが、俺は必死の理性を振り絞ってそれを抑え込んだ。

こんなことをしてしまえば不審者に思われてしまう。

今はただ隣で話をすることしかできないが、いつか彼女が心から文化祭を楽しむことができたらと思う。

そのためにも俺ができることは一つだけだ。

俺は彼女に優しく微笑みかけると、明るい声で言った。


「ねぇ知ってる?ハロウィンの夜には仮装をして近所の家を訪ね歩くっていう風習があるんだけど、それは悪い精霊や魔女たちから身を守るために行われるものなんだ。

そしてその時に『トリック・オア・トリート』という言葉をかけるとお菓子をもらえるんだよ。

これは子供だけの特権だけど、大人になった今でも大切な人と共有したい思い出になるはずだ。

だから来年、もし良かったら一緒にハロウィンの行事に参加してみないかい?その時までにお互いの夢をかなえられたらいいな」 俺の言葉に女性は目を輝かせると、「約束します!」と言って右手を差し出してきた。

俺はその手をしっかり握りしめると、「よろしくね!」と笑いかけた。


後書き

秋の夜長にぴったりの暖かくて心を落ち着かせるものが良いでしょう。以下のレシピは、幽霊と妖怪たちが共に楽しめる、ミステリアスでユニークな一品です。

幽霊のヴェールに包まれたカボチャスープ

材料:

カボチャ: 1/2個(中くらいのサイズ)
玉ねぎ: 1個
ニンニク: 2片
チキンブイヨン: 500ml
生クリーム: 100ml
ナツメグ: 小さじ1/4
塩: 適量
黒コショウ: 適量
オリーブオイル: 大さじ1
パンの耳: 数枚(幽霊の形に切り抜く)
パセリ(仕上げ用): 少々
手順:

カボチャは種と皮を取り除き、一口大に切る。玉ねぎとニンニクはみじん切りにする。
鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎとニンニクを炒める。香りが立ってきたらカボチャを加え、さらに炒める。
チキンブイヨンを注ぎ、カボチャが柔らかくなるまで煮る。
ミキサーで滑らかになるまでピューレ状にし、鍋に戻す。生クリームを加えて温め、ナツメグ、塩、黒コショウで味を調える。
パンの耳は幽霊の形に切り抜き、オーブントースターでカリカリに焼く。
スープを器に注ぎ、仕上げに焼いたパンの耳を幽霊の形に浮かべ、パセリを散らす。
このカボチャスープは、ハロウィンや秋の夜に楽しむのに最適で、幽霊の形をしたパンの耳がユニークなポイントです。温かくて落ち着く味わいで、幽霊や妖怪のキャラクターたちも満足することでしょう。


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