2024-08-09 07:45:52 更新

概要

血湧き肉躍る大海戦の物語…その4話


前書き

♯3の続き


やって来た航空機部隊は、確かに日の丸を掲げていた。

 多少の緊張が走ったが、我々を空襲することはついぞなかった。

 超低空で向かってくる艦攻隊に、航空機の有用性が認識される以前の戦艦は太刀打ちできていなかった。

 十数機の艦爆隊は我が艦の上空を悠々と飛び越え、水雷戦隊の残滓へと殺到する。

「敵戦艦被雷!右舷へ傾いています!」

 扶桑型の右側からは3本の水柱が立ち上がっていた。

「追撃だ!止めを刺してやれ!」

 放たれた51センチ砲は死に体の敵艦を吹き飛ばしてしまった。

 一方、残存駆逐艦は空襲に見舞われながらも我々に肉薄しつつあった。

「取舵!敵の侵攻方向を圧迫しろぉ!」

 戦艦を沈めるまでの間に駆逐艦の二隻は爆沈していた。

 残り二隻は我々の動向に対し取舵をとって反航戦の形をとってきた。

「敵駆逐艦が魚雷発射!右側より魚雷接近中!」

撃たれてしまった。ならば!

「対潜迎撃システムを起動!機銃と高角砲を充当して魚雷を迎撃せよ!」

迎撃システム。電探で空中、音探で水中の敵を自動で捕捉し、火器管制装置によって指定した各兵装へ照準と射撃のタイミングを指示するもので、航空機やミサイル、魚雷などを的確に迎撃することができる。捕捉した魚雷は9本。設置された機銃の幾らかが発砲し、迫り来る魚雷を破壊した。

 続いて反撃。魚雷を放った艦には十四センチ砲が、後続し魚雷発射体制を整えていた艦には艦爆の250キロ爆弾が襲いかかり、両者大爆発ののち轟沈した。

「敵駆逐艦の撃沈を確認。艦長、我々の勝利です。」

 副長が静かに告げた。敵艦隊は全て深海に没したのだ。誰がどう見たって完勝だろう。

 ならば次に為すべきことがある。

 それは一航戦と名乗る艦隊との接触。

 我々の真上を飛び交う航空機は、紛うことなき我らが一航戦のものに違いなかった。

『我、戦闘により遭難中なり。貴艦隊の保護を求む。』

 我々が今どこにいるかもわからない現状、彼らの保護下に入るのが賢明だろう。同じ軍旗を掲げる艦隊に平気な顔して爆撃をかました彼らが協力的とも限らないが。

 しかし、彼らからは保護を了承する旨の入電があった。駆逐艦を護衛に派遣するからついて来いとの事だ。


暫くして迎えの駆逐艦が見えて来たので火砲を最大仰角にした上、登舷礼を行った。彼らも当然答礼を行うのだが、それは信じられない驚異的なものであった。

 近づいて来た駆逐艦“潮”の乗組員は、皆奇抜な容姿をした女子供であったのだ。

「なんだ…あれはっ!」

 副長が怒りを噛み殺した様な声で言った。

 私はここが異世界であることを確信した上で、酷いショックを受けた。


この世界の我が国は、女子供を戦場に駆り出す様な国に成り下がってしまった様だった。


 この時既に相当の嫌悪感が湧いたものだが、ここが異世界なら彼女らの厚意を受け取らないわけにはいかない。

 彼女らからの臨戦体制を保つようにとの指示に従い、火砲は射撃位置に戻された。これから我々は彼女らの艦隊の庇護下へと入り、彼女らの母港へ寄港させてもらえるらしい。

 その後合流した一航戦もまた、紛う事なき軍艦の集まりであったが、やはり全てが女子供の繰るものであった。


後書き

テンポ悪くてすいません
気が向いた時にテキトーに書いてそのまま投下してるので…


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