零の艦隊 #5 情報交換
血湧き肉躍る大海戦の物語 その5話
キャラ崩壊注意
一航戦に追いついた後、赤城から情報交換の為潮の乗組員を我が艦に移乗させたい旨入電があった。
状況を今一つ把握しきれていないのは我々も同じであったので、要求を受け入れることにした。
海は静かであったから、我が艦の搭載艇を派遣することになった。
潮と我が艦を往復して来た搭載艇は、甲板へと引き上げられた。
半分は想定内であるが、やはり潮、いや一航戦を代表してやって来たのは、年端も行かない黒髪の少女であった。
「戦艦常盤へようこそ、我々は貴官を歓迎いたします。」
一応の挨拶を贈る。すると少女も、
「こちらこそ、お招きいただきありがとうございます。」
どこかぎこちなく、怯えているかのような声音であったが、律儀にも返答をよこしてくれた。
艦に整備された会議室に少女を招き入れ、早速情報交換と洒落込む事にした。
「私は帝国海軍、第零遊撃隊旗艦、常盤の艦長をしている者だ。よろしく頼む。」
軽く自己紹介を行う。
「特型駆逐艦…綾波型の“潮”です。…どうぞ、よろしくお願いいたします。」
少女は、“潮”と名乗った。しかしそれは彼女が乗っていた駆逐艦の名前の筈だ。あれの艦腹には確かに「ホシウ」と塗装されている。
「私達は現状をほぼ把握できていません。私達にあなた方の事情を詳しく教えていただけませんか?」
疑問は多い。しかし当事者から語られれば多少は何かわかるかもしれない。
「私達は先程の海域に正体不明の深海棲艦が多数確認されたとの報告で急行して参りました。」
「その深海棲艦とやらは?」
知らないのかと若干の驚愕を感じさせる表情を彼女は見せたが、問に事細かに答えてくれた。
深海棲艦とはかつて沈み逝った艦船の亡霊のようなもの…発生のメカニズムなどはわからないが、幽霊船のようにズタボロな艦船の中に様々な形態の本体がおり、それが操る艦船が人類に侵略をしているらしい。
一方、我々の目の前にいる少女は、艦娘と呼ばれる存在であり、艦船の魂の具現化されたような存在だという。出自は今一つ明かされていないものの、同じくどこからともなく現れた妖精と共に現代に再現された自身の片割れに乗り、深海棲艦と戦いを繰り広げているらしい。
我々からも、一次対戦後暫くして世界に突然興った帝国が世界侵略を開始し、立ち向かった列強は忽ち壊走、後がなくなった日英独米仏伊軍は指揮系統を統一、解放軍の名の下に失った領土奪還に向けて激闘を繰り広げた我々の歴史と、最後の闘いの後、転移された先であの戦闘に巻き込まれた旨を事細かに説明した。
両者の話を突き合わせるうちに、二つの世界で起こった“二度目の世界大戦”の内容が全く違う事、我々の元いた世界よりこの世界が数十年時間が進んでいる事がわかって来た。
また潮と名乗った艦娘に我々が異世界から転移して来た存在であることも認識してもらえた。
これは大きな収穫であろう。
「私達は呉鎮守府へ向かっています」
潮はやっと目的地を告げてくれた。
「私達の提督さんにお話は通してあります。到着次第事情の説明を提督にもお願いします。」
艦娘達はその提督にどうも絶大な信頼を寄せているらしく、また対深海棲艦作戦を一手に引き受けている秀才でもあるようだ。
「我々は呉港への寄港を許されたと認識して宜しいかな?」
「はい。間違いなく。」
彼女がそう告げたのを最後に取り敢えず航海中の会議はお開きとなった。
再び搭載艇に乗り込み、乗艦に戻らんとする艦娘を見送り、再び艦橋に戻ると…
「なんで同行させてくれなかったんですか!ねぇ!」
いきなり通信士が詰めかかって来た。
「お前を連れてったら“キャーカワイー!”とか騒ぎ立てて来客に迷惑をかける未来しか見えなかったもんだからなぁ…」
「そんな決めつけで!??」
「はいはい、どうどう、落ち着けー」
食い下がる通信士を副官が宥めてくれて、この一件はどうにかカタが付いた。
しばらくすると正面に陸地が確認できるようになった。それは紛う事なき日本列島。その瀬戸内海へと船を進める。
赤城に通達し許可を得たのち、我々は礼砲を発射した。
我々は艦隊の指示に従い、呉から少し離れた島陰に我々は投錨した。そこからは船を副官に任せ、ついて行くと言って聞かない通信士と共に内火艇へと移乗する。陸軍の五色護衛艇に先導され、街へと近づいていった。
許可を得て、我々はこの世の呉へと足を踏み入れた
やっと艦娘との会話がありましたが
なんとも解像度低めです
許して…
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