唯「あずにゃんが走り屋に?」
車を好きになっていく女の子たちの話です。
私も最近、車に興味をもちました。
ss書きつつ自分の勉強になればと。間違った所があれば訂正あると嬉しいです。
唯「…で走り屋ってなぁに?」
律「漫画とかであるじゃん。車で山道かっとばすやつ」
唯「なんか見たことあるかも!そういうの走り屋っていうんだあ」
律「でさ、ちょーーーっと変な噂を耳にしてさ」
唯「どんな?」
律「先輩の友達が走り屋やっててさ」
唯「ふむふむ」
律「そんで先輩はその友達に誘われて夜の山にいったらそこになんと梓がいたと」
唯「えー、ほんとにー?」
律「まあだからこうしていま私のワゴンRで確めに行ってるとこなんだけどな」ブーン
唯「私車ないもーん」
律「ちっ、前の車遅いな」ブォーン!
唯「おお!りっちゃんスピード狂!」
律「わーっはっはっは。私に敵う者は誰もいなーーい!」ブォーン‼
律「というわけでギャラリーポイントついたわけですが」
唯「ですが」
キャー‼キュギャギャギャ‼
ブォンブオン‼プァーーーー!!!バシュ!!!
律「なんか、もう、色々とこわい」ブルブルブル
唯「りっちゃんまだ着いて2分だよ!」
律「だってほら、なんかみんなチャラいもん」
唯「そ、それ関係ある?」
律「そしてなんか上のほうで色々でかい音してるし…事故ってんじゃねーの?」
唯「たしかにすごい音だねー。初めて聞いた」
ブォンブオン‼キャキャー!!
「お、くるぞー!」
律「ん、降りてくるみたいだな」
唯「もっと近くで見に行こー!」フンス
ブォーーン‼ブォンブォンキャー!
「うおっほー!ガードレールすれすれー!」
「かっけー!!」
律「す、すげえー!おい、見たか!?唯!」
唯「な、なんかくさいよりっちゃん」
律「んータイヤの焼ける匂いなのかな、これ 」
唯「私この匂いだめかもー」
「そろそろ俺も走ってくるかなー」
「あ、じゃあ俺もいくわ」
ボボボボボ
ヴォーン
律「あの人たちも走るんだな」
唯「車種わかんないけど、なんかかっこいーねー!」
律「なんだろ、あれ…」
「シルビアと180ですね」
唯「ほえ?」
律「あ、梓!?」
梓「…こんばんは」
唯「なんで私達がいるってわかったのー?」
梓「大声で叫んでりゃ誰だって気づきますよ…」
律「…あは☆」テレ
唯「あずにゃんの噂は本当だったねー」
梓「噂?」
律「梓が走り屋になったって噂」
梓「誰がそんなこと…私はまだまだ下手ですよ」
律「でも走ってんでしょ?」
梓「ええ、まあ。でも今はうまい人の独壇場ですね」
唯「どーゆーこと?」
梓「いまはギャラリーが多いんで上手い人たちが優先で走っていて、」
梓「人が少なくなってきたら私達みたいな初心者とかが走っていいんです」
律「そんな決まりがあるのか」
梓「その山ごとに違いますよ」
唯「えーじゃあ今日はあずにゃんが走るの見れないのー?」
律「そうだぞー見ーせーろー」
梓「み、見せるほどのものじゃないですよ」
律「お、じゃあ私と勝負するか!?」
梓「なんでそうなるんですか…」
唯「りっちゃんスピード狂だもんね!」
律「おお!スピード狂スピード狂!」
梓「スピード狂って言いたいだけですね」
律・唯「えへへ」
梓「律先輩は何に乗ってるんですか?」
律「ワゴンあーーーっるぅ!」ジャジャーン
律「かっこ()シルバー!」
梓「負ける気がしません」
律「なにおう!やるかあ!?」
唯「りっちゃん、やっちゃいなよ!」
梓「やめておいたほうがいいですよ。本当に死にますから」
律「いやん怖い」クネ
唯「死にたくないん」クネクネ
梓「はあ…それで、いつ帰るんですか?」
律「いやまだ来たばっかりだし…もうちょいいるかな」
唯「あずにゃんの走るの見てから帰ろーよ」
律「そうだな、せっかくだし」
梓「いいですけど余裕で12時過ぎますよ」
律「えっ」
梓「はい」
律「唯、悪いな私、明日仕事なんだ」
唯「えー!じゃあ見れないのあずにゃんの走り!」
律「12時前には帰りたいと思っててなー、あはは」
唯「そんなのってないよー!」
律「うるせー!人の車のっておいて文句いうなー!」
ギャーギャー
梓「ま、まあ帰る時間までゆっくりしましょ」
唯「見たいよう見たいよう」
律「だー!ひっつくな!暑苦しい!」
梓「唯先輩いいかげん落ち着いてください。ほらジュースおごってあげますから
」
唯「わーい、やったー!」スタコラサッサ
律(軽っ!そして後輩におごられるなんてなんて情けない奴)
ガチャ ゴロン
唯「あー自販機はすごいねえ。作った人は偉い!」
律「こんなとこにあるもんなんだな」
梓「律先輩はなに飲みます?」
律「私はいーよ、自分で買うから」
梓「いいですよ、おごります」
律「いーからいーから。後輩におごってもらうなんて情けないしさ」
唯「はう!それは言っちゃあいけないよ」
梓「わかりました、じゃあお先どうぞ」
律「ん、さんきゅ」チャリンチャリン
律「ところで梓こそなに乗ってるんだ?」
唯「あー私も気になってたー。車種わかんないけど」
律「おいおい…まあ私もだけど」
梓「私ですか?んーでも予想してる車とだいぶ違うと思います」
律「さっきのー、えーと、なんだ、あの2台」
唯「シルビアと180?」
律「そういうのは覚えられるんだな」
律「ああいう車じゃないのか?」
梓「そうですね、ちなみにあれです」
律「んー、あ、あの白のでっかいやつか?」
唯「うわーかっこいー」
梓「インプレッサじゃありません…その隣の黒のやつです 」
律「…あれは一般車じゃなくて?」
梓「し、失礼な!スポーツカーですよ!」
唯「あー、あのちっちゃいのー?」
梓「そうです」
梓「私の愛車、ミラ アバンツァートです」
律「ほんとに速いのかー?あれ」
梓「速いですよ。まあ所詮は軽ですけど…」
唯「かわいーねー。…名前つけてあげよっか?」
梓「やめてください」
唯「あずにゃんのけちー」プンプン
律「ふーん」チラッ
律「んえ!?後部座席ないじゃん!」
梓「邪魔なのでとっちゃいました。軽さは武器なので」
律「うっへえ…不便そう」
梓「助手席もそのうち取るつもりです」
唯「それじゃあ誰も乗れないよ!」
梓「私が乗れればいいです」
律「けっこうガチじゃないですか…」
梓「まだ予定ですから…」
唯「なんかシートも変な形してるねー」
梓「バケットシートっていって走行中でも体をきっちり固定させるためのシートなんですよ」
唯「へー、乗り降りしずらそー!」
律「そこかよ!」
梓「あはは…実際そうですしね」
律「あ!しかもこの車マニュアル!すっげー!」
梓「あれ、律先輩オートマ限定ですか?」
律「てかマニュアルとれる気がしない…」
唯「おーとま?」
梓「そこからですか…あれ?でも唯先輩も免許もってませんでした?」
唯「あるよー。なんかガコガコして楽しかった!」
梓「それってもしかして…」
律「唯、ちょっと免許証みせろ!」
唯「いーよー。はい」
律「AT限定って書いてない…」
梓「唯先輩マニュアル免許とってたんですか!」
唯「えー?お父さんがそれにしとけって言ってたんだよ」
律「全然気がつかなかった…」
梓「どんだけ鈍感なんですか」
律「教習所も別だし、それに唯がマニュアルとってるなんて思わないじゃん!」
梓「ま、まあそうですけど」
唯「りっちゃんと私なに違うのー?」
梓「教習所で習ったはずですよ」
梓「んー簡単にいったらエンジンが作った動力を車輪に伝えるから自動車が走れるのはわかってますよね?
動力を車輪に伝える間に変速機と言う装置が付いていて、この変速をするために
動力を一旦切断する装置をクラッチって言って……
なのでオートマと違ってペダルが1つ多いんですよ。そして切断した時に変速するタイプをマニュアルと言い
変速が車速によって自動的に変速して行くのがオートマです」クドクド
唯「え、な、あ、も、もっかい言って…」
梓「オートマは馬鹿でも運転できるってことです」
律「いやそれはいいすぎだから!」ビシッ
唯「うーん、でもりっちゃんの車に乗ってておかしいなーとは思ってた」
梓「どういうことですか?」
唯「ガコガコしないし左足は使ってないし」
梓「ATだからです。さっきいった通りですよ」
唯「でもワゴンRにもペダル3つあったよ?」
梓「ああ、あれはフットパーキングブレーキですよ」
律「サイドブレーキっていうんじゃないのか?」
梓「全体でいうとそうですね。手でひくタイプはハンドブレーキって言うんですよ」
唯「あ、私はそっちタイプだったー 」
梓「というか唯先輩マニュアル運転できるならミラ乗ってみます?」
唯「え!いいの!?」キラキラ
梓「ぶつけなければいいですよ」
唯「乗るのるー!」
梓「鍵はさしっぱなしなんでどうぞ」
律「えー!唯だけずりー!」
梓「律先輩はAT限定なんですからしょうがないです」
律「馬鹿にしたようにいうなー!」
唯「んしょ…あいた!」ガンッ
唯「頭ぶつけたー」メソメソ
梓「気をつけてくださいよ…」
唯「…あれー?この車シートベルトが変だよ?」
梓「それは四点式シートベルトっていって体をしっかり固定してくれるんです」
唯「どーやってつけるの?」
梓「ここに腕を通して…そうそう、そうです」ガチャガチャ
唯「おおー!どうりっちゃん私走り屋っぽい!?」
律「ああ!すっごく走り屋っぽいぞ!」
唯「えへへーそうかなー」テレテレ
梓「大袈裟な…あ、動かしますか?」
唯「うん!エンジンかけていい?」
梓「いいですよ」
唯「えーっと、これだね」
キュルルドゥルルーーン
ドドドドドド
唯「うわー、すごい音だねー!」
梓「えへへ、ありがとうございます」
律「なんか、こう、胸が熱くなるな!」
梓「とりあえず駐車場一週してきたらどうですか?いまは車少ないですし」
唯「うん!そうする!いくぞミー太!」
梓「変な名前つけないでください!」
ガッコン
唯「あり?」
律「だっせー!エンストこいてやんの!」
梓「サイド下ろすの忘れてますよ…」
唯「あ、そうだったそうだった。久しぶりで忘れてたよー」ガチャ
唯「よしもいっかい!」
キュルルドゥルルーーン
梓「気をつけてくださいね」
唯「大丈夫大丈夫ー♪」
ブゥンブォーーン
律「意外と発進うまいじゃん」
梓「ほんとですね。久しぶりとは思えません」
ブォーーンパシュ
律「ミラってあの低燃費のやつ?」
梓「そうです。それの古いやつです」
律「へー昔はあんな形だったんだな」
梓「もうあんなにいい車はできないと思います」
律「というかなんでミラなんだ?」
梓「私は小さいながら全力で走れる軽スポーツに魅了されました」
梓「イジれば排気量が多い車にも引けをとらないんですよ」
梓「軽にも速いのがたくさんあってですね!他にもアルトワークスとかAZ-1とか!」
律「長くなりそうだからストーップ!」
梓「あう」シュン
律「ほ、ほら、唯が帰ってくるから」
ヴゥーン キィー
唯「ただいまー」
梓「お帰りなさい。どうでした?」
唯「楽しかったよー!教習所の車と違って、なんというか素直な子だなって」
律「はあ?」
唯「自分の操作がまんま車にでるっていうか…車と1つになってる感がすごいっていうか…とにかく楽しくって…うーん表現できない」
梓「」パァ
唯「ううーん、なんて言ったらいいものか…ってあずにゃんどしたの?」
梓「唯先輩がそんなことを言ってくれるとは思いませんでした!私はいま!ものすごい感動してます!」
唯「う、うえ?!」
律「私にはなんのこっちゃ」
梓「唯先輩ー!!」ダキッ
唯「珍しくあずにゃんから抱きついてきた!?」
梓「す、すみません…興奮しちゃって」
唯「私、変なこといった?」
梓「いえ、そういうことじゃなく…」
律「楽しいって言ってくれたのが嬉しかったのか?」
梓「ええ…まあ、はあ」モジモジ
唯(かわいい)
律「でもなにが楽しいんだ?すっごく難しそうなんだが」
梓「簡単ですよ。ようは慣れです」
唯「うんうん。けっこう乗り方覚えてた」
律「口でいうのは簡単だけどなー」
唯「ふふふ!いま私はりっちゃんよりも輝いてるよ!」
律「な、なんだってー!」
唯「ビバ!マニュアル!」デデーン
梓「律先輩もマニュアルにしたらどうですか?」
律「金と時間がないからパース」
唯「ねえねえあずにゃん、もっかい乗っていい?」
梓「いいです…よ」
ブォンブォン
梓「と言いたいですが、人が戻ってきたんでダメです」
唯「あ、さっきの」
律「どっちがシルビア?」
梓「後からきた青色のほうです。あれは15ですね」
律「いちごー?」
梓「シルビアの最終型ですね」
唯「じゃあ、あの紫のが180?」
梓「そうです。15の親戚って感じですかね」
唯「あ!目つむったよ!」
梓「あれはリトラクタブルヘッドライトって言って格納時は空気抵抗をなくして速く走れるように、ああいう作りになったみたいです」
唯「へーすっごーい」
律「かっこいいな」
梓「もっとかっこいいスポーツカーはたくさんありますよ!」
律「私から見たら全部一緒に見えるんだよね、あはは…」
梓「私も最初はそうでした。車種おぼえるのは中古車雑誌買ってひたすら読んでるといいですよ」
律「そういうの苦手…」
唯「私みてみたーい」
梓「先月のでよければあげますよ」
唯「おお!あずにゃん太っ腹ー!」
律「…とと、ちょっと話し込みすぎたな。唯、帰るぞ」
唯「ええー!もうちょっといようよ!」
律「んなこといったってな…」
梓「…あの」
唯「ん?なぁにあずにゃん」
梓「私の車でよければ帰り送っていきますよ」
律「あ、その手もありか」
梓「私の走りが見たいならですけど…」
唯「うん!見たい!」キラキラ
律「…じゃあまかせちゃって大丈夫か?」
梓「はい。でも唯先輩、帰りは何時になるかわかりませんよ?」
唯「大丈夫!私は仕事休みだから!」
梓「それと私の走り、さっきのドリフトみたいなの想像してるなら検討違いですよ」
唯「ほえ?」
梓「…まあそれはいっか」
律「えーと、まかせていいんだな?」
梓「あ、はい。大丈夫です」
唯「じゃあねー、りっちゃん」
律「あいよー」
梓「明日仕事がんばってください」
律「さんきゅ。梓も気をつけて走れよ」
梓「はい!ありがとうございます」
律「じゃあなー」ブーン
梓「…さてと、まだ走れるまで時間ありますけど、どうしますか唯せんぱーーいっ!?」
「へー、あの子の知り合いなんだ」
「がんばってるよーあの子」
唯「そうなんですかー」
梓(なんか溶け込んでるー!!)
梓「な、なにしてるんですか唯せんぱい…」
唯「あ、あずにゃーん」
「あずにゃんだってw」
「ははっ、かわいー」
唯「いまねー、あずにゃんの話してたんだよー」
梓「は、恥ずかしいからあっち行きますよ!」グイ
唯「あうー、なにするのーあーずーにゃーんー」ズルズル
梓「まったく…唯先輩らしいというかなんというか」
唯「あの人たちあずにゃんのこと褒めてたよ!」
梓「な、なんて言ってました?」
唯「んーとね『まだ突っ込みは弱いけどラインは綺麗だし、あれは成長するね』って」
梓「別に物真似はしなくていいですから」
梓(そっか…あの突っ込みじゃまだ甘いんだ…)
唯「どうしたのー?あずにゃん」
梓「ふえ!?な、なんでもないです!」
唯「そんなことよりあの人たちもう帰るみたいだから走っていいよーって言ってたよ」
梓「そうみたいですね。タイヤとか荷物積み直してますから」
唯「他の人たちはいーのかな?」
梓「今日はあそこのチームの人が大半でしたからね」
唯「はいはい!あずにゃん!運転したいです!」
梓「あ、いいですよ。じゃあ上のスタートポイントまで行きますか?」
唯「そんな長距離運転していいの?」
梓「長距離ってほどじゃないですよ」
唯「いやあ、人の車だし怖いなって」
梓「さっきの運転、安心して見てられたので大丈夫ですよ…きっと」
唯「な、なんか語尾が弱くなってきてるけど大丈夫?」
梓「だ、大丈夫ですよ。さ、行きましょう!」
唯「うんじゃあお邪魔するねー」ガチャ
唯「んしょっと」ガンッ
唯「いーたーいー」メソメソ
梓「学習してくださいよ…まったくもう」
唯「えへへ~めんごめんご~」
キュルルドゥルルーーン
ドドドドドド
唯「右に出ればいいの?」
梓「はい、あとは一本道なんで大丈夫だと思います」
唯「きんちょーする!」
梓「リラックスしてください」
唯「じゃあ行くよー」
梓「…サイドブレーキ下ろしてくださいね」
唯「はっ!忘れてたよ!」
唯「ありがとーあずにゃん」ナデナデ
梓「は、はやく行ってください!」
唯「冷たいなー」
ブンブォーン
唯「」カチカチ
梓「ってすごく緊張してるじゃないですか!」
唯「公道は怖いね…」
梓「交代しますか?」
唯「いや!大丈夫!まかせて!」
梓(大丈夫かな…)
唯「お、おおー」
ブーン
梓「もう少しスピード出したらどうですか?さすがに遅いです」
唯「そ、そうかな」
梓「だって20キロも出てないですよ」
唯「あずにゃん、案外スパルタだね…」
梓「はい、もっとアクセル踏んで」
唯「あうー」アタフタ
ヴォーン!
梓「はい、2速!」
パシュ ガコ
唯「わー!速い!」
ヴォーン
梓「あ、3速に入れてください」
唯「はーい」
パシュ ガコ
唯「さっきから気になってたんだけど、このパシュって音なぁに?」
梓「これはですね…まず車には吸気と排気があるのはわかりますよね?」
唯「なんとなく…」
梓「…話を続けますね」
梓「ターボチャージャーといって、排気側にあるタービンが排気ガスによって回転して吸気側にあるコンプレッサーで圧縮する仕組みなんです」
梓「ここまで大丈夫ですか?」
唯「ナニイッテルカゼンゼンワカンナイ」
梓「ですよね。私もまだ参考書みてる程度ですから…」
梓「でも音の正体だけは教えておきますね」
唯「う、うん」
梓「その吸気が過剰にならないように、簡単にいえば抜け穴があって、そこから抜ける時の音がそれです」
唯(やっぱりわかんないや…)
唯「でもなんだかかっこいいね!」
パシュ
梓「ですよね!」
唯「うん!」
パシュ!パシュパシュ!
梓「遊ばないでください」
唯「ごめんなさい」
梓「あ、ここで停めてください」
唯「あーい」
ヴォーン ドドドドドド
唯「エンジン切る?」
梓「あ、そのままで大丈夫です」
唯「ここがスタート?」
梓「そうです。けっこう人いますね」
唯「あ、でも初心者マーク貼ってる人もいる!」
梓「大声で言わないでください!」
唯「みんなあずにゃんと一緒で初心者なの?」
梓「まあ大体はそうだと思います。いつものメンツもいますし」
唯「知り合い?」
梓「あ、そういうわけじゃなくて、走る時いつも見かける人たちなんで」
唯「そうなんだ。みんな速い?」
梓「まだ私はバトルしたことないですからわかんないです」
唯「えー、しようよー!バトル!」
梓「こ、怖いから嫌です!」
「お、一緒に走るー?」
「やめとけってw」
ワハハハ
梓「ああもう!また目立っちゃったじゃないですか!」
唯「あずにゃん怖いよう…」
「所詮、軽だし相手になんねーよ」
「それもそうだな」
梓「……」
唯「なに、あの人たち…嫌な言い方だね」
梓「気にしてたら負けです。ああいう人もいるって割りきらないとやっていけません」
唯「うん…」
梓「じゃあさっそく走ってきますけど、唯先輩はここにいてくださいね?」
唯「ええ!?一人で!?」
梓「人が隣に乗ってると本腰で走れないんで…」
唯「んーでも…」チラッ
ギャハハ ワハハハ
梓「…そうですね。軽く流す程度にするんで一緒に行きましょう!」
唯「あ…うん!ありがとあずにゃん!」
梓「それじゃあ…行きますか」
唯「やっとあずにゃんの走りが見れるね!」
梓「あまり期待しないでください。まだ初心者なんですから」
梓「それじゃあ行きますね」
唯「うん、わかったーーーよぉ!?」
シューーーパシュ‼
ヴォン‼シューーーパシュ
唯(こ、こわい!!)
梓「……」
唯(あ、あずにゃんの顔が真剣だ…!!)
梓(ここのコーナー手前から緩いカーブ…4速にいれるか迷うんだよなあ)
梓(って思ってる間にコーナー来ちゃった)
ヴォン‼パシュ!
梓(2速に落としてきっちり立ち上がる…!!)
キャキャ!ゴオオ
梓(うん、いい感じ…!)
唯(こ、こわいよお…はやくおわってえ)ガクブル
梓「すみません…なんだかんだ熱くなっちゃって自分の走りしちゃいました…」
唯「だ、だいじょぶだいじょぶ~」チーン
唯「そ、それにしてもすごいねーあずにゃん」
唯「とっても速くてびっくりしちゃったよ!」
梓「私はまだまだですよ。速い人はもっと速いですし」
唯「あれより速い…」ガクブル
唯「でも乗ってて楽しかった!」
唯「なんか私も走ってみたくなっちゃったかも!」
梓「ほんとですか!?」ズイッ
唯「ち、近いよあずにゃん」
梓「あ、ごめんなさい…」
唯「楽しそうってのはほんと!まだちょっとコワイケド…」
唯「助手席じゃなくて…私も運転してみたいって思った!」
唯「あずにゃんみたいに速く!」
梓「じゃあ車買いましょう!」
唯「話が飛びすぎてるよ、あずにゃん…」
梓「あ、また興奮してしまいました…」カァ
唯「どうどうだよ、あずにゃん」
梓「でも本当に買いませんか?車」
梓「楽しいって思う気持ちがあるなら…買って損はないと思うんですよ!」
唯「んーでも仕事場は自転車で行けるし、それに憂が車買ったから家にもう車置けないんだよね」
梓「そうなんですか…」シュン
唯「ご、ごめんねあずにゃん」
梓「唯先輩が謝ることじゃないですよ」
唯「だからこうしてたまに隣乗っていい?」
梓「はい!」
唯「じゃあもう一回いこーっ!」
梓「お、おー!(小声)」
梓「はふぅ…さすがに疲れました」
唯「おつかれーあずにゃん」
梓「ここの峠はせまくてぐねぐねしてるから神経つかいます…」
唯「最初は酔いそうだったけどもう慣れちゃった」
梓「…そういえば憂は車なに買ったんですか?」
唯「連絡とってないの?」
梓「ええまあ。お互い仕事が忙しいですし」
唯「憂はねー、たしかモコって車!」
梓「あー、なんか、らしいですね」
唯「だよねー」
唯「あ、そういえば和ちゃんも車買ったって言ってたよ」
梓「んー和先輩ですか…なに買ったんでしょう」
唯「私も仕事であんまり会えてないから実際まだ見てないんだよね」
梓「メールで言われたんですか?」
唯「うん、たぶん残ってるよー」
唯「んーどれかなー…あ、これだ」
梓「なんて書いてありました?」
唯「…ちょっと記憶違いがありました」
梓「?」
唯「いま乗ってるマーチを乗り換えるって文だった…」
梓「マーチ…まあそれもらしいというかのんというか」
唯「まあ今度聞いてみるよ!」
梓「というか家近いんですから帰りに見ましょうよ」
唯「あ、それもそっか」
梓「じゃあそろそろ帰りますか」
唯「そだね…ふああ」
梓「さすがに眠いですね。安全運転で行きましょう」
唯「よろしくねーあずにゃん」
ヴォーン ドドドドドド
梓「一回エンジン切りますね」カチッ
唯「んー!お空が明るいねー!」
梓「近所迷惑なので静かにしてください…」
唯「てへ」
梓「そうだ、和先輩の車を見に行きましょうよ」
唯「そうだったそうだった」トテトテ
梓「スイフトとか乗ってそう…」スタスタ
唯「あ、あったよ!あれあれ!」
梓「だから静かにしてくださいよ…ってあれインテグラじゃないですか!!」
唯「こ、声が大きいよあずにゃん」
梓「しかもタイプRのDC2!うわーかっこいー!」
唯「あずにゃん、しーっ!しーっ」
梓「ご、ごめんなさい」
唯「…それであれってなにかすごいの?」ヒソヒソ
梓「完成された車って感じですね。ライトウェイトスポーツの頂点にいるような存在です」ヒソヒソ
梓(個人的にEK9のほうが好きだけど)
唯「ライトウェイトスポーツ?」
梓「ま、まあ時間も時間ですしまた今度にしましょう」
唯「あ、そだね」
梓「それじゃあまた」
唯「うん、ばいばいあずにゃん」
キュルルドドドドドド ヴォーン
唯「車、かあ……ふああ。寝よ寝よ」
ガチャ バタム
つぎのひ!
ヴーンヴーン
唯「…zz」
ヴーンヴーン
唯「…ふあ…ふぁい、もしもし…」
梓『まだ寝てたんですか?もうお昼ですよ』
唯「まだ寝たりないよう…」
梓『昨日言ってた中古車雑誌もってきたんで玄関開けてもらっていいですか?』
唯「あれ、誰もいない?」
梓『みたいですね。インターホン鳴らしても誰も出てこないんで電話しちゃいました』
唯「んーいま開けるからまってー」
梓『はい』
梓(あ、インテグラいない…話聞こうと思ったけど残念)
ガチャ
唯「おはよーあずにゃん」
梓「はい、これです」
唯「おお、分厚い!」
梓「これで半日は過ごせます」
唯「読んでみるよ!あずにゃん上がってく?」
梓「いいんですか?」
唯「うん、一人だと寂しーし」
梓「じゃあ失礼します。あ、でも車ここで大丈夫ですか?」
唯「あー…うん、たぶんみんなまだ帰ってこないよ」
梓「あ、はい…」(ほんとかな…)
ヴォォンヴォォン
梓(ん、こっちにくる)
唯「どうぞどうぞーってあずにゃんどうしたの?」
梓「あ、いえ」
ヴォーン
梓「あ!」
唯「ほえ?」
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ
梓「和先輩!」
唯「あ、ほんとだー」
和(ミラ…こんな車が唯の家にあったかしら…ってあれ?)
和(梓ちゃんじゃない…もしかして)
和「よいしょっと…なにしてたの?」ヴォン
ガチャバタン
唯「前に言ってた車ってこれ?」
和「そうよ。インテグ…梓「和先輩もグリップで走ってるんですか!?」
和(ち、近い…)
和「え、ええ一応。まだ全然だけどね」
梓「どこで走ってるんですか!?いつから走ってるんですか?!なんでインテグラにしたんですか!?」
唯「あ、あずにゃん車のことになるとギターみたいに熱くなるんだよね」
和「そ、そうみたいね…」
梓「はっ。私ったらまた…」
和「話したいのは山々なんだけどいまお昼休み使って忘れ物を取りに来たからあまり時間がないのよ」
梓「そうだったんですね…」
和(あからさまに落ち込むから申し訳ない気がしてきたわ…)
和「ご、ごめんなさい。また今度ゆっくり話しましょ」
梓「は、はい!」
和「それじゃあね」
唯「ばいばーい」
唯「ささ、私たちも家にはいろー」
ガチャバタム
梓「かっこよかったですね、インテグラ」
唯「だねー。シートも真っ赤でオシャレだった!あずにゃんみたいなバケットシートだったし!」
梓「あれが純正ってのがすごいですよね」
唯「じゅんせい?」
梓「最初からあれがついてくるってことです」
唯「ええ!すごい!」
梓「だから完成された車って言われてるんです」
唯「すごい車なんだね~」
ヴォーン
唯「あ、この音」
梓「和先輩、行っちゃったみたいですね」
唯「けっこう聞こえるもんだね」
梓「今まで気がつかなかったんですか?」
唯「たまに聞こえたけどまさか和ちゃんの車の音とは思ってなかったよー」
梓「ほんと、意外ですもんね」
唯「それより~、さっそくこれ見てもいい?」
梓「はい、一緒に見ましょう!」
唯「どれどれー」パラパラ
唯「うわ!たくさんあってよくわかんない…」
梓「最初の方に車の形と車種名一覧があるんでそこから見ましょう」
唯「あ、これ?」パラパラ
梓「そうです。好きメーカーあります?」
唯「と、特には」
梓「それよりまずは軽が普通車かですね」
唯「か、買わないよ!?私買わないよあずにゃん!」
梓「わ、わかってますよ!それくらい!」
唯「だって買う前提みたいな口調するんだもん」
梓「どうせならそのくらいの勢いでもいいかなって」
唯「それはどういう…」
梓「あ、オススメがありましてね!」パラパラ
唯(無視かい!)
梓「これなんかどうですか?」
唯「あるとわーくす?」
梓「そうです!軽の中でもずば抜けて速いんですよ」
唯「お目め丸くてかわいいねー!」
梓「唯先輩似合うと思いますよ」
唯「そーお?」
梓「私のミラも負けちゃうと思います」
唯「へえー…」(想像中)
唯『ふっ…あずにゃん、まだまだだぜーい!』ヴォヴォン!キャキィー‼
梓『ふええ!唯先輩はやすぎですぅ!』ドンガシャーンドカーン‼
唯「えへへ…」
梓「どうしたんですか?」
唯「はっ!な、なんでもないよ~」
梓「たまかずも多くて安いし、チューンアップもしやすいんで楽しい車だと思います」
唯「チューンアップ?」
梓「簡単にいえば車を速くすることです」
唯「へー…あずにゃんはチューンアップしてるの?」
梓「お金なくてエアクリとマフラー交換、それと車高調だけです」
唯「えあくり…?しゃこちょう…?」
梓「さすがにマフラーはわかるんですね」
唯「馬鹿にしないでよう」
梓「あはは。それでですね、エアクリというのはエアクリーナーといいまして」
梓「エンジンは空気を吸ってガソリンを燃やして走ってるんです」
梓「エアクリは空気を吸い込む時にゴミや砂が入らないようにするフィルターの役割をしてるんですよ」
唯「へー。でもそれをチューンアップすると速くなるのはなんで?」
梓「吸気抵抗を減らしてたくさん空気をエンジンに送ることによってパワーアップに繋がるんです」
唯「えーと、つまり前よりいっぱい空気を吸えるようになったってこと?」
梓「そんな感じです。まあエンジンには悪いとかって噂は聞きますが…」
唯「じゃあなんで変えるの?」
梓「かっこいいからです」
唯「えっ」
梓「かっこいいからです」
梓「っていうのもありますが、一番はお金がかからなくて簡単でなおかつ速くなるっていうのが理由ですかね」
唯「ふーん。じゃあ車高調ってのは?」
梓「そっちは後回しで、まずはマフラーの話をしましょう」
唯「なんで?」
梓「吸気・排気は非常に繋がりのあるところなので」
唯「じゃあマフラーを交換するとどうなるの?」
梓「排気効率をあげるためです。具体的には、よりたくさん排気ガスが抜けることにより混合気…簡単に言えばガソリンが混ざった空気のことです」
梓「それがたくさん入ることで高回転域でのパワーアップが見込めます。その代わり低回転域ではトルクがなくなっちゃうっていいますね」
梓「要はいっぱい吸ってそれに合った排気をするために交換するってことです」
唯「またわからない単語が出てきたよー…」
唯「回転数はなんとなくわかるけど、トルクってなぁに?」
梓「車のタイヤを回すための力です」
梓「トルクは瞬間的な力で、大きければ大きいほど出だし…要は加速が良くなります」
梓「馬力とは継続的な力のことをいって、大きければ大きいほどスピードが出ます」
唯「へー。ミラはトルクと馬力はどれくらい?」
梓「馬力は64馬力でトルクは10.2kgですね」
唯「それってすごいの?」
梓「じゃあ和先輩のインテグラと比較してみましょう」
梓「インテグラは200馬力のトルクは19.0kgですね」
唯「え、ミラ全然馬力ないね?」
梓「排気量が違いますし…軽は64馬力までっていう規制があるんですよ」
唯「排気量?」
梓「それも説明しないといけないんですか!?」
唯「えへへー」
梓「はあ…排気量というのはですね、排気が多いか少ないかを表すものです」
梓「排気量が大きいとよりパワフルになりますね」
唯「ふんふん。ミラとインテグラの排気量は?」
梓「ミラは660ccでインテグラは1800ccです」
唯「え!3倍も違う!」
梓「軽は660ccまで、とも法律で決まっているので…」
唯「和ちゃん、すごいの乗ってるねー」
梓「見た感じ車高も下がってたしマフラーも変えてあったのでいじってるのかもしれませんね」
唯「あ、しゃこうといえば」
梓「そうですね、車高調の話をしましょう」
梓「簡単に言うと車の高さなどを好みの高さや乗り心地を調整できるショックのことを言います」
唯「ショック?」
梓「ショックアブソーバーのいいまして、路面の凹凸による衝撃を吸収している部品です。
路面の凹凸によって伸び縮みするスプリング…まあバネみたいな所の動きを収束させる役目があります。
スプリングが縮もうとすると、ショックは縮ませない方向に力が働き、スプリングが伸びようとすると、ショックは伸びない方向に力が働きます」
梓「こうしてでこぼこ道も不快なく乗れるようになってるわけです」
唯「じゃあじゃあ、車高を落とす理由は?」
梓「かっこいいからです」
唯「へっ」
梓「かっこいいからです」
唯「そのくだりすきだね、あずにゃん」
梓「こほん……車高が低いとコーナーリング、いわば車が曲がる時に重心が低いと走行が安定するメリットがあります」
唯「へー。なんか不思議」
梓「まあこんな感じで説明は以上です」
唯「よくわかったよー、ありがとあずにゃん」
梓「いえいえ。説明下手で申し訳ないです」
唯「そんなことないよ!勉強になった
!」ギュー
梓「ひゃあ!だ、抱きつかないでください」ガタッ
唯「あ…雑誌落ちちゃった…って」
梓「どうしたんですか?」
唯「……」
梓「唯先輩?」
唯「こ、これ…」
梓「この車がどうしたんですか?」
唯「か…」
梓「か?」
唯「かぅっわいいいい!」
梓「うわあ、び、びっくりした」
唯「あずにゃんあずにゃん!これかわいいよ!」
梓「あ…これなら近くのショップに置いてありましたね」
唯「ほんと!?」
梓「はい。…見に行きますか?」
唯「うんうん!見に行く見に行くー!」
梓「それじゃあ行きましょう!」
キュルルドゥルルーーン
梓「あ、お腹すいてませんか?」
唯「あ、そういえば」
梓「私もまだ食べてなくって…どうします?」
唯「んー車みてから帰りに食べよ!」
梓「わかりました。じゃあ先にショップいきますね」
唯「わくわくしてきたよー!」
梓「近くの店で見かけましたが、まだあるかわかりませんよ?」
唯「その時はその時だよ!」
梓「まさか唯先輩がカプチーノを選ぶとは…」
唯「かわいーよねえ。カプチーノっていうんだ」
梓「まあわかりますけど。名前くらい見てください」
唯「あれもスポーツカーなの?」
梓「まあ一応。軽の中でも軽くて速いですよ」
唯「え、あれって軽なの?」
梓「ちゃんと詳しく読んでくださいよ…」
唯「いやあ興奮しちゃって、つい…」テヘヘ
梓「まあ行けばショップの人が色々と教えてくれますから」
唯「楽しみだねー♪」
梓「着きましたよ」
唯「うわー!車がいっぱいあるよあずにゃん!」
梓「あたりまえです!」
唯「カプチーノどこかなー?」
梓「とりあえず店員さんに聞いてみましょう」
唯「うん、そだね」
梓「すみませーん」
「あ、はーい」
梓「ここにカプチーノあったの前に見たんですけどまだありますか?」
「あー…あれはもう売れちゃいましたね」
梓「あ、そうなんですか…」
唯「」シュン
「よければうちで探しましょうか?」
梓「あ、いえ。まだ買うとかじゃなくて実物を見たかっただけなんで」
「もうちょっとはやく来ればあったんですけど…すみません」
梓「だ、大丈夫です。他の車みていってもいいですか?」
「あ、どうぞどうぞ。聞きたいことがあったらなんなりと」
梓「ありがとうございます」
唯「売れちゃったんだねえ…」
梓「そんな気を落とさないでください。ほらあっちの車みてみましょう!」
唯「う、うん」
梓「FCにロードスター、あ、ハチロクもありますよ!」
唯「あ、なんかこれ見たことある!」
梓「たぶん有名な漫画でですかね」
唯「あー…そうだったかも」
梓「あ、内装きれい…」マジマジ
唯(他になにがあるのかな?)
梓「フルバケはいってるしスポーツ仕様なのかな。あ、このステッカー…アペックスじゃなくてGTVってことは重ステかー。とにもかくにもハチロクは一度は乗ってみたい車だなあ」ブツブツ
唯(あずにゃんも一人で楽しんでるみたいだし見て回ってきちゃお)トテトテ
唯(ううーん。どれも高いなー)
唯(パネルみたいなのに書いてある単語はわかんないのばっかりだし…)
唯(ん…?あの赤いのなんだろ)
唯(おっきい車で隠れてて気付かなかった)
唯(……わあ!)
梓「あれ?唯先輩?」
梓「どこ行っちゃったんだろ?」スタスタ
梓(あ、いた…)
梓「唯せんぱーい、なにやってるんですかー?」
唯「」ジーッ
梓「聞こえてない…」
梓「ん、あれはハイエース…興味あるのかな?」スタスタ
梓(あ、ハイエースの後ろにあるやつか…あれは…)
梓「こ、これは…」
唯「あ、あずにゃん!これかっこかわいいよー!」
梓「11万キロで45万円。ローダウンにタイミングベルト交換…フジツボマフラー…いい買い物かもしれませんね」
唯「あずにゃん………」
梓「はい?」
唯「私これ買う!!!!」
梓「………」
梓「っええええええ!?カプチーノじゃないんですか!?」
梓「それよりまず車買わないんじゃなかったんですか!?」
唯「この子が乗ってって私に言うから私は買う!!!!」
梓「は、はあ…」
唯「ところでタイミングベルトとローダウンってなぁに?」テヘ
梓「そうなりますよね…」
唯「そんでフジツボマフラーって澪ちゃんが嫌いそうだよねーあはは」
梓「なんか…想像できます」
梓「それでまずローダウンを説明する前に車高調のことは覚えてますか?」
唯「うん。車の高さを変える所のことだよね」
梓「そうです。ローダウンというのは車高を落とすことの全般のとこを言うのですがどうもこれは車高調ではなくダウンサスのようですね」
唯「ダウンサス?」
梓「ショックのことは説明しましたよね。失礼してハイエースをお借りして説明します」
梓「よいしょっと」シャガミ
唯「どれどれー?」ノゾキコミ
梓「ここからちらっと見えるここからここまでがショックアブソーバーでまたの名をダンパーといいます。そしてこのバネみたいなのがスプリングといいます」
唯「ふんふん」
梓「これをひとまとめでサスペンションというんです」
梓「車高調っていうのはこのショックとスプリングがセット交換になっていて、
高さを自由に変えられますがダウンサスはスプリングのみの交換、ショックは純正品のままなので自由に車高は変えられないんです」
唯「じゃあこのバネを短くするってこと?」
梓「そうです!唯先輩だんだんわかってきましたね」
唯「えへへー」
梓「でもやっぱりダウンサスはちゃんと調整しないと逆に車に悪くなると聞いたことがあります。やっぱり買うなら車高調に変えたいところですね」
唯「ふーん…」
梓「それでタイミングベルトのことなんですが…」
唯「どうしたの?」
梓「タイミングベルトは色々な所と繋がりがあるので一言で説明するのは難しいです」
唯「どゆこと?」
梓「難しい単語がいっぱい出てくるってことです」
唯「ま、また今度にしようかな…」
梓「エンジンの仕組みを教えながらタイミングベルトの話を今度ゆっくりしましょう」
唯「うん!」
梓「……本当に買うんですか?」
唯「お父さんにお願いしてみる!」
梓「それじゃあその時のほうがいいですね。今度お父さんときてエンジンルームとか見せてもらうといいですよ」
唯「見てもわかるかな…」
梓「わからないことは店員さんが教えてくれますから」
唯「わかった!もしあずにゃんが休みだったら付き合ってもらっていい?」
梓「いいですよ!じゃあ今日はもうお昼ご飯食べに行きましょうか」
唯「うん!ラーメンたべたい!」
梓「あ、私おいしいところ知ってますよ!」
唯「じゃあそこいきたーい!」
梓「はい、じゃあ乗ってください」
唯「はいはーい♪」
梓「あ、ありがとうございましたー」
唯「ありがとうございましたー」
「はーい、どうもー」
キュルルドゥルルーーン
梓「なんだか…嬉しいです」ボソ
唯「ほえ?なんかいった?あずにゃん」
梓「い、いえ。さ、行きましょ」ヴォーン
唯「はあ、おいしかったー♪」
梓「ここの味噌ラーメンは絶品です!」
唯「うんうん!」ヴーンヴーン
唯「あ、メールだー」
和ちゃん『さっきは時間なくてごめんね。梓ちゃんにも謝っておいて。それで提案なんだけど今日の夜でよかったら時間あるから山に集まらない?ちなみに◯◯峠ってところ』
唯「…だってさ、あずにゃん」
梓「い、いきます!明日仕事ですけど…だ、大丈夫です!」
梓「というか和先輩も◯◯峠はしってたんだ…見たことないなあ…」
唯「ねえ、私もいっていい?」
梓「あれ、唯先輩も仕事じゃないんですか?」
唯「遅番だから大丈夫!」
梓「私は朝からですけど…若さでカバーです!」
唯「うう、この歳になると若さが羨ましくなってくるよ…」
梓「まだそんな歳じゃないじゃないですか…」
唯「まあーねー。とりあえず行くって返信していい?」
梓「はい!大丈夫です!」
唯「ほいほーい…あれ?りっちゃんからもメールだ」
りっちゃん『やっぽー。昨日の梓の走りはどうだった?いま飯食いながら澪と話してたら澪も行ってみたいらしくてさ、そのうち行く予定ある?』
唯「…だってー。どうする?」
梓「私は構いませんけど…澪先輩がこういうの興味あるなんて意外ですね」
唯「そうだね。それじゃあ今日の夜に行く話してみるね」
梓「はい」
唯「……あずにゃん夜になるまでうちで遊んでいく?」
梓「え、いいんですか?」
唯「一回帰るよりは一緒にいたいなーって、えへへ」
梓「あ……じゃ、じゃあお邪魔します」
唯「うん、おいでおいでー♪憂も喜んでくれると思うし!」
梓「そうですね、憂にも久しぶりに会いたいですし」
唯「それじゃあレッツゴー!」
梓「車ここに停めていいんですか?」
唯「お父さんと憂が帰ってきたら邪魔かなあ?」
梓「とても邪魔だと思います」
唯「どうしよ?」
梓「やっぱり私帰りましょうか?」
唯「えーやだー!」
梓「わがまま言わないでください…それじゃあ近くに駐車場ないですか?」
唯「んー……あ!あそこの駐車場なら大丈夫かも!」
梓「じゃあ案内してください」
唯「んーとねー、まず真っ直ぐ行ってー…」
梓「ここですか?」ヴォーン
唯「うん!」
梓「公園の駐車場ですか…申し訳ないですけどここに停めさせてもらいましょう」
唯「ここの公園ひろくて楽しいんだよー♪」
梓「けっこう遊具もたくさんありますね」
唯「遊んでくー?」
梓「…疲れて夜に眠くなると嫌なので遠慮しときます」
唯「なんだーつまんないのー」
梓「つまんなくありません。ほら、家まで歩きますよ」ガチャ
唯「ほーーーい」ガチャ
ブーン
唯「あっ」
梓「モコ…」
唯「憂だ!」
梓「こっちに気づいてなかったですね」
唯「はやく帰ろうあずにゃん!」
梓「あ、ああ、ひっぱらないでくださいぃー!」
唯「ただいまー!」
梓「お邪魔します」
憂「お姉ちゃんおかえりー。どこ行ってた…の……わあ!」
梓「憂、久しぶりだね」
憂「久しぶりー♪あがってあがって!はい、スリッパ」
梓「ありがとっ」
憂「今日は二人でおでかけ?」
梓「うん、そう」
憂「昨日の夜もお世話になりました♪」
唯「そうだよー。あずにゃんすごいんだから!」
憂「ふふっ、よかったねお姉ちゃん」
唯「憂は今日どこ行ってたの?」
憂「休みだったんだけど仕事でミスがあったみたいで、午前中だけ職場に…」
梓「へえ、意外…。憂でもミスするんだ」
憂「あ、あたりまえだよぉ!新人だからあれしてこれしてで頼まれ事多くって…」
梓「私も。怒られてばっかり…あはは…」ズーン
憂「お互い大変だね…」ズーン
唯「…あ、お父さんとお母さんは?」
憂「二人なら買い物してくるって朝から出掛けていったよ」
唯「じゃあ帰ってくるのは遅くなりそうだなー」
憂「なにかあるの?」
唯「私、車買いたいんだ!」
憂「……」
憂「っええ!?お姉ちゃんが!?」
梓(いいリアクションだ)
憂「ど、どうして!?」
唯「えへへー私も運転に目覚めてしまいまして」
憂「そ、そうなんだあ…」チラッ
梓(一瞬こっち見た…)
憂「梓ちゃん、走り屋なの?」
梓「いやそこまで言えるレベルじゃないけど、似たようなことはやってるつもり」
憂「へえー…」
梓「そ、そういえばみんな日曜日なのに仕事とか大変だよねー!ね!唯先輩!」
唯「ほんとだよー。和ちゃんもりっちゃんたちもシフト制だからしょうがないけどさー」
梓「気分的に日曜日仕事って嫌ですよね」
憂「私、明日も仕事…」ズーン
唯「がんばって!憂!」
憂「うん!ありがとうお姉ちゃん!」パァ
梓(切り替え、はやっ…)
ヴーンヴーン
唯「ん?」
梓「先輩たちからですか?」
唯「そうみたい。あ、りっちゃんだねー」
『まじか!集合何時ー?』
唯「集合時間どうする?あずにゃん」
梓「たぶん明日は月曜なんで人すくないと思いますから9時くらいでいいと思います。集合場所は皆さん場所知ってるみたいですから現地集合でいいと思いますよ」
唯「ほーい。っと送信」
憂「今夜もいくの?お姉ちゃん」
唯「うん!楽しみだよー。憂もいく?」
憂「私はいいよぉ!明日も仕事だし」
唯「そっかー残念」
憂「気を付けてね?」
唯「大丈夫大丈夫!!」
梓「和先輩にも同じメール送っておいたらどうですか?」
唯「あ、そうだねー」
憂「梓ちゃんは一旦お家に帰るの?」
梓「ううん。唯先輩が時間までいていいよって言ってくれた」
憂「そうなんだ!晩ご飯食べていくでしょ?」
梓「手伝おうか?」
憂「ううん。大丈夫だよ!お姉ちゃんの話相手よろしくね♪」
梓「じゃあお言葉に甘えて…。ありがとう、憂」
憂「んーん。ゆっくりしていってね♪」
唯「送信っと!」
憂「じゃあ私、晩ご飯の買い出し行ってくるね」
唯「私もいくよー」
憂「一人で大丈夫だよ。梓ちゃんとお留守番お願い」
梓「本当にいいの?」
憂「まあいつも買い出しは一人のことが多いし」
唯「じゃああずにゃん、車の勉強しようよ!」
梓「あ、はい。いいですよ!」
憂「ふふ。じゃあ行ってくるね」ガチャ
唯・梓「いってらっしゃーい」
梓「勉強する前にトイレ借りていいですか?」
唯「いいよー」
梓「ありがとうございます」
ガチャ カラカラカラ ジャーー バタム
梓「唯先輩、さっきいったエンジンの話をーーー」
唯「…zz」
梓(って寝てる!?あの短時間で!?)
唯「むにゃあ…zz」
梓(まあ寝たりないって言ってたもんな…)
唯「すぴー…zz」
梓「……」
唯「すやぁ…zz」
梓(眠くなってきた…)
梓「あ、これはやばい…」ドサッ
梓「………zz」
憂「ただいまー!」
シーン
憂「あれ?お姉ちゃーん?梓ちゃん?」スタスタ
憂「ただいまー…」ガチャ
憂「あ……ふふふ」
唯・梓「……zz」
憂(かわいい……写真とっちゃお)カシャ
憂(……さて!気合いいれて晩ご飯作りますか!)
まよなか!
梓「ありがとう、ご飯とてもおいしかった」
憂「いえいえ♪はりきって作った甲斐があったよ」
梓「あと自分の家のように眠ってしまって申し訳ないです……」
憂「あはは。大丈夫だよー気にしないで」
唯「あずにゃんそろそろ行く?」
梓「あ、そうですね。行きましょうか」
唯「結局お父さんたち帰ってこなかったねー」
憂「ご飯は済ませてくるって言ってたし、まだかかるんじゃないかなあ」
唯「じゃあ車の話は明日でいいや!」
唯「行こう!あずにゃん!」
梓「じゃあ…お邪魔しました」
憂「またね、梓ちゃん」
梓「車、家の前に停めても大丈夫でしたね」
唯「ほんとだよー。歩く手間がはぶけたのにね」
梓「まあ邪魔になるよりはいいです」
唯「まあねー」ヴーンヴーン
唯「誰かな?」
和ちゃん『わかったわ。じゃあまた後で』
唯「和ちゃんも大丈夫だって」
梓「わかりました。じゃあ先に行って待ってましょう」
唯「うん!」
ヴォーンドドドドドド ガチャ
梓「やっぱりまだ誰もいませんね」
唯「まだ9時前だしねー」
梓「少し早く来すぎましたかもしれないです」
唯「あ、そうでもないみたい」
梓「え?」
ブーン
梓「あれは……」
唯「澪ちゃんだ!」
律「おーい!唯ー!梓ー!」
澪「危ないからやめろ!」
ブーン キィ
唯「澪ちゃん久しぶりー!」
澪「久しぶり。梓も」
梓「お久しぶりです」
律「なあ、梓」
梓「なんでしょう?」
律「ちょ、こっち」グイ
梓「な、なんですか?」
律「実はまだ澪に走るって言ってないんだよ」ヒソヒソ
梓「ええ!なんでですか!」
律「声がでかい!……そんなこといったら澪のやつ絶対こないじゃん。こういう怖い系も苦手だと思うし」ヒソヒソ
梓「それなら呼ばなきゃいいじゃないですか…」
律「怖がる澪を見たいじゃん?」
梓「はあ……じゃあなんで来てるんですか?」ヒソヒソ
律「みんなで花火やるって言って」
梓「なんでそんなことを……」
律「だからさ、梓から言ってくれよ」
梓「へ?なんてですか?」
律「今日走りますって」
梓「自分でいえばいいじゃないですか!」
律「だってー!絶対殴られるじゃん!」
梓(結局殴られるとおもうのは私だけ?)
唯「さっきからなんの話してるのー?」
律「たのんだぞ梓!」ドン
梓「え、ええ!」
澪「ん?どうした、梓」
梓「あ、えと、その」
澪「花火なんて久しぶりだから楽しみだよ。和も来るんだろ?」
梓「あ、はい、そうです。インテグラデ…」
澪「いん…なんだって?」
梓「ああいえ!なんでもありません!」
梓「そ、そういえば澪先輩ってあのヴィッツにまだ乗ってたんですね」
澪「うん。なんだかんだ愛着がな」
梓「最初に先輩方でドライブした車ですもんね」
澪「そうそう!道にまよって大変だったよな」
唯「澪ちゃん半泣きだったもんねー」
澪「う、うるさい!」
律「もうあれも3年前かー」
澪「…早いな」
律「だなー。バンドやってた頃が懐かしいな」
梓「もうみなさん楽器やってないんですか?」
律「んーぶっちゃけそうだな。仕事を言い訳にしたくないけど実際忙しくて叩いてない」
澪「私は趣味の範囲に収まったな」
唯「私もー。たまに憂と弾くくらい」
梓「みなさんもですか…私も新しい趣味を見つけまして」
澪「新しい趣味?」
律(お、いいぞ!梓!)
梓「っとその前に、澪先輩のヴィッツRSってことはマニュアルですよね?」
澪「ああそうだぞ。せっかくマニュアル免許を苦労して取ったからどうせならMT車に乗ろうと思って」
梓「私もマニュアルですよ」
澪「そうなのか!」
梓「はい。楽しいですよね」
澪「うんうん!自分で動かしてるなー、って感じるし」
律「また話盛り上がってるなー…こんなんなら私もマニュアルとっておけばよかった…」
澪「教習所で言ったじゃないか。お母さんがマニュアルしておきなさいって言ってたって」
律「なぜ澪のお母さんの言うこと聞かないかんのだ!」
唯「私もマニュアルだよー♪」
澪「はははっ。変な冗談はよせよー」
梓「…」
律「…」
澪「ほんとなのか!?」
梓(いい反応するなあ…)
律「残念ながら…」
唯「むー!なにその残念って!」
梓「唯先輩も親に言われてマニュアル免許とったみたいなんです」
澪「教習所が別だったからわからなかったけど、一言いってくれればよかったのに」
唯「ごめんねー、オートマとマニュアルの違いがよくわかってなくてねー」
澪「よく受かったな!?」
梓「唯先輩、けっこう運転うまいですよ」
澪「そ、そうなのか?」
梓「はい。私の車も運転してましたし」
澪「ああ、あそこの車か?」
梓「そうです。なんだかわかりますか?」
澪「あんまり車種詳しくないんだ、ごめん」
梓「ミラって言ったらわかりますか?」
澪「ミラ……低燃費のやつか?ずいぶん形が違うな」
梓「それの古いのって思ってください」
澪「へー…。ちょっと中みていいか?」
梓「いいですよ」
澪「え!?後ろの座席がないじゃないか!!」
梓「はい。取っちゃいました」
澪「と、取っちゃいましたって…!な、なんで?!」
梓「軽さは一番の武器なんで」
澪「軽さ…?武器…?」
梓「…今日ここにきた理由わかってますか?」
澪「え…みんなで花火やるんだろ?」
梓「いやそうではなくてですね…」
ヴォーン‼ヴォンヴォーン‼
澪「ひい!?」
唯「あ、和ちゃんだー」
律「え!和、あんなの乗ってんの!?」
梓「ナイスタイミングですね」
キィ--ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ ガチャ
和「あら、みんな早いわね」
唯「やっぱり何度みてもかっこいいねー!」
梓「私もエンジンかけちゃお…」ソソクサ
キュルルドゥルルーーン ドドドドドド
ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォ
律「うるせえー!」
澪「な、な、なんなんだこれは!」
梓「澪先輩、澪先輩」チョンチョン
澪「ふえ!?」
梓「◯◯峠にようこそ」ニコッ
澪「話はわかった」ゴチン
律「い、痛いっす…」
梓(やっぱり…)
和「見るだけなら平気なんじゃないの?」
澪「うーんたぶん。最初はびっくりしたけどな」
和「あ、驚かしてごめんなさい」
澪「あ、いや!全然大丈夫だから!」
唯「なんか3台並んでるのみるとかっこいいねー」
梓「そうですね」カシャ
唯「さっそく撮ってるんだ」
梓「唯先輩も車買って並べたいですね」
唯「うん!もっとかっこよくなるね!」
梓・唯「えへへへ」
澪「カースタントみたいなの想像してるんだけど、合ってる?」
和「まあそんなものよ」
律「すごいんだぜー、キュキューゴアゴア-って」
澪「見てて心配になりそうだな…」
和「でもどこか熱くなるところがあるはずよ」
澪「熱く……?」
唯「あ、でもあの匂いはまだ慣れない…」
律「タイヤの匂いか?」
梓「あれがいいんじゃないですか!」
律「とりあえず梓と和の走るの見ればいいんじゃね?」
梓「その前に私は和先輩の話を聞きたいです」
和「私の?」
梓「はい。きっかけとかいつから走ってるのかとかなんでインテグラなのかとか」
和「ああ、家の前で話したことね」
律「うんうん、私らも気になるぞ」
和「きっかけは会社の同僚にストレス発散したいって言ったのが始まりね」
和「いい場所しってるって言うからついてきたらこの峠でね」
和「友達が走り屋やってるから隣乗ってみたら?ジェットコースターみたいで楽しいよって」
和「怖かったけどせっかく来たし一回だけ乗ってみたの」
和「その時から私の心は惹かれていっていたみたいね」
和「乗ったのはシビックのEG6。見事にVTECサウンドにやられたわ…」
梓「あーわかります。燃えますよね、あの音聞くと」
和「そうなの!ついついアクセル踏んでしまうわ」
梓「でも買ったのはインテRなのはなんでですか?」
和「そのEGの人が板金屋でお店にいい車があるから安くしとくって言われて、つい、ね」
梓「それがインテグラだったんですか…いくらでした?」
和「110万のを98万にしてもらえたの。社外マフラーと無限の足回り、他はほぼ純正よ」
梓「走行距離は?」
和「9万キロちょっといったくらい」
梓「じゃあ全然ですね!まだまだ元気ですよね?」
和「うん!私を過激にしてくれる素晴らしいエンジンよ」
梓「そういえばいつから走ってるんですか?」
和「まだ3ヶ月くらいなの」
梓「ええ?見たことないですよ」
和「たぶん梓ちゃんは金曜、土曜の夜でしょ?私、月曜が休みだから日曜の夜に来てるのよ」
梓「ああ、それで…。たしかに見ないわけです」
和「梓ちゃんはどれくらい走ってるの?」
梓「私は8ヶ月くらいですかね」
和「ふふ、じゃあ今日はご教授願うわ」
梓「ええ!?わ、私なんか全然…」
律「な、なあ……なんか私達のはぶられ感すごくないか?」
唯「り、りっちゃんも思ってた?」
澪「気のせいではなかったのな…」
律「おーい、そろそろ走りを見せてくれー」
梓「あ、は、はい!」
和「私が後追いでいいかしら?」
梓「あ、大丈夫ですよ。って二人で走るんですか!?」
和「あら、せっかくだし二人で走りましょ」
梓「でも逆にいいんですか?」
和「なにが?」
梓「たぶんミラ遅くてイライラすると思いますよ?さすがにインテ相手は辛いです…」
和「やってみないとわからないわよ」
梓「そ、それに私、まだ誰かと競うってことをしたことなくって…」
和「…競うって思わなければいいじゃない。誰かと走れるってことを楽しみましょ」
梓「あ……そうですね!楽しみましょう!」
和「ふふ、よろしくね。やるならお互い今の全力で走りましょ。もちろん安全な範囲でね」
梓「はい!」
律「話、まとまった?」
和「ええ。…上りと下りどっち走る?」
梓「下りで大丈夫ですか?上りはちょっと…」
和「まあそうなるわよね。スタートラインはわかる?」
梓「はい。あ、タイヤあたためますか?」
和「そうね。3本くらい走ってからスタートラインに集まりましょう」ガチャ
ヴォンヴォーン
梓「じゃあ私もいってきますね」ガチャ
唯「気を付けてねー!」
律「動画とっておくからなー!」
澪「がんばれ梓!」
梓「はい!いってきます!」
ドドドド ヴォーン
澪「なんか……ドキドキするな」
唯「ね!私も心臓ばくばくしてる!」
律(スポーツカーかあ…)
梓(あ、和先輩いた…)
梓(Uターンしてインテの前に…)
梓(用意大丈夫かな?)
パシッパシッ
梓(和先輩からパッシング…大丈夫みたい)
梓(ハザードたいて…)カッチカッチ
梓(……)ヴォンドドドド
梓(スタート!!)ヴォーンパシュ!!!!!
梓(この峠の最初のストレート……さすがについてきますね…)ヴォーン‼パシュ‼
梓(でもここのストレート抜けたら一気に道がせまくなる…そこからが勝負です…!)
和(さすがに軽の加速にはついていけるわね…)プァアアアア‼ヴゥンプァアアアア
和(ここから道が狭くなってくる……小さな軽には有利だけどまた道が広がるポイントまで走りを見ることにしよう…)
梓(本当に3ヶ月しか走ってないの…?このせまい道でよくついてくる…!)ヴォーンパシュ‼パシュ‼キャキャ‼
和(ミラが遅くてイライラするなんて…早くて足がガクガクしてるわよ……)プァン‼キャキャ
和(怖い…でもなんでかしら。無意識にアクセルを踏んでしまう…!)プァアアアア!!!
梓(ちょっと離れたかな…?この先は道が広がるポイントだけどベタ付けされたらきつい…)
梓(今のうちに少しでも離しておきたい…! )ヴォンヴォン‼パシュ‼
和(あ!シフトミス…!すぐ立ち直してもあんなに離れて…!)プァアアアア‼プァン‼
和(くっ……)
和(道が狭くて思うように加速が…いつもより無理してるのに追い付かない…!)
和(ああ…だめ、どんどん離れていく…)
和(でも…まだ諦めない……)プァアアアア‼
梓(けっこう離れたけどもうすぐ道が広くなる…)
梓(広がった…!!ヘアピン1つ抜けるまでこの広さが続く……ここが正念場!)パシュ!!!!!
和(道が広がった…!追い付くならここしかない!)ガコップァアアアア!!!!!
梓(きてる…!でももうヘアピン…!遅いです!)ヴォン‼キャキャ‼パシュ‼
和(差は縮まったけどまだ離れすぎてる…)プァン‼キャキャ!!!プァン‼プァアアアア‼
律「お。音が近づいてきたぞ!!」
唯「ほんとだ!」
ブォーン パァーン
澪「すごい音だな…」
唯「どんどん近づいてきてる!」
律「くるぞ!」
キャリキャキャ‼パシュ‼
キィ--キャルキャルプァアアアア‼
唯「……」
律「……」
澪「…… 」
律「す、すっげー!しびれたあ!」
唯「あ、りっちゃん!動画とるの忘れてるよ!」
律「ぐああ!しまったあ!」ガビーン
澪「か、かっこいい…」キュン
梓(ヘアピン抜けてギャラリーポイント抜けたら緩いカーブ……ここでまた差が縮まる…)ヴォオオオ‼パシュ
梓(カーブを抜けてすぐのコーナーを抜けたらまた道がせまくなる……!ここでまたどれくらい引き離せるか…)パシュ‼
和(ここのカーブでなんとか差は戻したわ…でもこの先が難関…!)
和(せまいゆえに道がもっとくねりだす…ほんと厄介…!)プァアアアア
梓(和先輩、ラスト勝負です…!どこまでついてこれますか…!?)ヴォンヴォン‼
律「あ、戻ってきたぞ」
ヴォーン キィ
唯「おかえりー!二人ともどうだった!?」
和「悔しいけど私の負けね」
梓「え、えへへ」
和「お互い良い走りができたと思うわ」
梓「はい!すっごい楽しかったです!でもやっぱりもっと攻めるとなるとブレーキとか変えたいですね」
和「私もタイヤを買い換える予定なの」
梓「あ、私もです。そしたらまたやりましょう!」
和「ええ、そうね」ニコッ
唯「あずにゃん勝ったんだー!すごーい!」
梓「ま、まあお互い初心者ですし勝ち負けはなしってことで」
和「あら、あんなに飛ばしてたくせによく言うわね」
梓「まだ7割くらいですよ!さすがに前を走るときは気をつかいますから…」
和(ええ…?!)
澪「二人とも…」ガシッ
和・梓「ん?」
澪「か、かっこよかった!すごく!」キラキラ
和「あ、ありがとう…」
澪「な、なんだか私、胸の奥が熱く…!和が言ってたのはこれなのか!」
和「うん、そう。わかってもらえて嬉しいわ」
澪「こういうの全然興味なかったんだけど、知り合いが乗ってると思うと余計にかっこよく見えて…!!」
梓「飛ばしはしないで澪先輩もヴィッツで走ってみませんか?」
澪「ええ!?わ、私は無理だよ!」
律「いいじゃん、やってみろよー」
唯「楽しいとおもうよー」
梓「ゆっくりでも山道走るだけでも楽しいですよ」
和「私からもオススメするわ」
澪「そ、そうなのか?」
梓「それかミラの横に乗りますか?」
澪「あ、それなら乗ってみたい!」
梓「じゃあさっそく行きましょうか」
澪「あ、まって、心の準備が…」
律「はいはーい、お約束はいいから早くのれーい」グイグイ
唯「私、インテグラの助手席のりたい!」
和「いいわよ。でもさっきみたいに飛ばさないから」
唯「うん!ありがと!」
律「あれ?私は?」
和「後ろでいいなら乗っていいわよ」
律「うわーい!やりー!」ガチャ
梓「じゃあ上りを軽く流しますね。和先輩、先に行ってます」ヴォーン
和「わかったわ」
梓「じゃあ澪先輩、いきますね?シートベルトしました?」
澪「う、うん」
梓「それじゃあ」
ヴォンシューーパシュ!!!!!
澪(うひいいぃい!?!?)
和「じゃあ私達も行きましょうか」
唯「よろしくねー」
律「うほほーい!がんがん攻めろー♪」
プァン‼キャリップァアアアア!!!!
唯(加速、すごい…!!)
律「うわっっく!!」ゴチン
ヴォーンドドドドドド
梓「はい、終わりです」
澪「は、はひ…」
梓「だ、大丈夫ですか?」
澪「だ、だだ、大丈夫!」
梓「ならいいんですけど…どうでしたか?」
澪「やっぱりすごい!すごいよ梓!」
梓「て、照れます…///」
澪「車ってこんな動きが出来るんだな…感動したというか…」
梓「大袈裟ですよ」
澪「いやほんとに!なんていうかさあ…」
ヴォヴォヴォキィ
和「はい、終わり」
唯「早いし、それに音すごいねー!」
和「この音に私は惹かれたの」
唯「うんうん!すっごくわかる!ずっと聞いていたくなるね!」
律(きもちわる…)
和「あれ…律、大丈夫?」
律「だ、大丈夫だよ、はは…私はこういうのだめかもしんないな」
唯「一番大丈夫そうなのに」
和「ごめんなさい、私の運転が下手だから…」
律「そ、そんなことないって…乗せてくれてありがとうな」フラフラ
澪「ヴィッツでもあんな走り出来るのか?」
梓「出来ると思いますよ。あまり詳しくないですがRSっていうのはスポーツグレードなのでって…律先輩大丈夫ですか?」
澪「お前がダウンしてどうするんだよ…」
律「うるしゃーい…」サンカクスワリ
澪「…RSってのはなんの略なんだ?」
梓「ランナバウト・スポーツの略です」
澪「ランナバウト…意味は?」
梓「キビキビ活発に走るってイメージで大丈夫だと思います」
澪「じゃあフィットのRSもか?」
梓「いえ、あれはロード・セイリングです」
梓「なにが違うってわけじゃないと記憶にありますが、ただ単にメーカーのこだわった言い方みたいな感じですかね」
澪「覚えにくいから共通にしてくれればいいのに…」
梓「あはは…よくわかります」
和「ミラと比べるとどうだった?」
唯「んーそうだなー。やっぱり真っ直ぐは早いけど細い道になるとミラで感じた、こう、身体を押し付けられる感じがなかったかも」
和「そ、そう…」
唯「和ちゃん?」
和「ああ、まだまだ練習が足りないなあって思ってね」
唯「でも3ヶ月でここまで早く走れるようになるんだねー」
唯「センスがあるんだね!」フンスッ
和「まあ私には教えてくれる人がいるから」
唯「そうなの?」
梓「私も気になります!」
唯「わ!びっくりした!」
梓「あ、すみません」
唯「澪ちゃんと話してたんじゃないの?」
梓「律先輩が完全ダウンしたんで二人でヴィッツの中に」
唯「りっちゃん大丈夫かな?」
和「なんだか申し訳ないわ…」
梓「あんまり気にしちゃダメです!」
和「…ありがとう」
梓「それで、教えてくれる人はやっぱりEGの人ですか?」
和「そうよ。その人の友達にも可愛がってもらってるわ」
梓「そういうのいいですね。私なんか1人でしたから…」
和「でもこうやって仲間が出来たじゃない。今度その先輩たちも呼んでみんなで走りましょ!」
唯「いいなー。私も混ざりたい!」
和「唯は車ないじゃない…」
梓「唯先輩、車買うみたいですよ。予定ですけど」
和「え?そうなの?」
唯「うん!…お父さんに相談してからだけど」テヘテヘ
和「そうなの。なにを買うつもり?」
唯「えっとねーー」
梓「唯先輩」
唯「ん、なぁに?」
梓「買うまで秘密ってのもありますよ」
唯「あ、それいいねー!」
和「ふふふ。じゃあ楽しみに待ってようかしら」
唯「期待しちゃっていいよー♪」
梓「…律先輩もダメそうですし今日は帰りますか?」
和「そうね…梓ちゃん明日も仕事だし早いに越したことはないでしょ?」
梓「はい。助かります」
和「じゃあ今日はお開きにしましょう。唯、帰りは私の車に乗っていってね」
唯「なんで?」
和「近所の私がいるのに、わざわざ梓ちゃんに家まで送ってもらうつもり?」
唯「あ、そっか!」
梓「じゃあそうしてもらっていいですか?」
和「大丈夫よ」
唯「澪ちゃーん、りっちゃーん。もう今日は帰るってー」
澪「え?そうなのか?」
唯「あずにゃんは明日仕事なのもあるし、りっちゃんもこんな状況だし…」
律「すーまーんー…」グデ
梓「そういうことなんで今日はお疲れ様でした。律先輩、お大事に」
律「おーう…」
澪「梓」
梓「あ、はい、なんでしょう」
澪「今度詳しく車のこと聞きたいから電話していいか?」
梓「はい、大丈夫ですよ」
澪「わかった。よろしく頼む」
梓「それではまた」
こうしてこの日を境に私の身の回りが変わっていったのです。
澪先輩からはオススメの車はなにかとか、
走り方の基礎を教えてほしいなどなど…興味を持って聞いてくださいます。
和先輩の師匠にあたるEGの人ともお会いして私の腕にも研きがかかりました。
最近は色んな人と交流も増えて楽しいのですが…
悲しいのは唯先輩から連絡がないことです。
唯先輩のことだから興味がなくなったのかもしれません。
そして2週間がたったある日ーー。
ヴーンヴーン
梓(メール?)
唯『あずにゃん今週末ひまー?』
梓(なんだろ?ひまですよっと…送信)
ヴーンヴーン
梓(返信はやっ!)
唯『じゃあ会えない?土曜の夜8時に◯◯のコンビニでどう?』
梓『大丈夫ですよ。どうかしたんですか?』
唯『ピース(絵文字)』
梓(…??意味がわからない)
梓(まあ行けばわかるよね…)
どようび!
ヴォーンドドドドドド
梓(唯先輩はまだ来てないか…飲み物買ってこよう)
梓(なににしようかなー…午後ティーにしよ)
梓(あとタバコ…)
梓「あ、すみません、110番1つください」
アリャリャシター
梓(ん…?)
唯「あ、あずにゃーん!」
梓「あ!!唯先輩…それって!」
唯「えへへ!」
唯「私のーー」
唯「ヴィヴィオ!!」ピース
第1部 完
2部へ続きます。つまんなくても続きます。
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