ラストオブアス×艦これ 後編
この作品は吹雪を中心とした艦娘達が無法地帯となった世界で生き抜くサバイバルホラーになります。またグロテスクな表現が若干ありますのでご注意下さい。
※前編を読んでない方には世界観や内容を理解していただくために前編を読むことを強くおすすめします。
こんにちは!いちごオレです!
後編もよろしくお願いいたします!
概要でも書いてある通り前編を読んでない方は世界観や内容を理解していただくために前編を読むことを強くおすすめします!
主な登場人物
吹雪
特型駆逐艦の長女、とても妹思いで真面目だが何処か抜けている、またかなりの努力家で常に努力し「皆の役に立ちたい」と目標を作っている、バイオハザード発生後大きく成長する
川内
川内型軽巡洋艦の長女、とても活発で夜戦の話になると手に終えなくなるなど問題だがバイオハザード発生後「頼りになる先輩」になる
白雪
吹雪型駆逐艦の二番艦、吹雪の足りないところを補う、とても心配性で真面目、生徒会長とでも言うぐらい真面目
深雪
吹雪型駆逐艦の四番艦、語尾に「だぜ」や「~だよな」と言い、とても活気がが溢れており吹雪とは仲がいい
睦月
睦月型駆逐艦の一番艦、吹雪とは鎮守府着任以来の親友、吹雪と違いふわふわとしている、駆逐艦「夕立」とは吹雪が着任する前から親友
夕立
白露型駆逐艦の四番艦、語尾に「ポイッ!」をつけているため色々な艦娘に好かれている、駆逐艦「睦月」とは親友、またかなりおっちょこちょい
赤城
艦娘時代、第一航空戦隊、通称一航戦に所属していた、引退後は加賀と一緒にとある家族に引き取られた
加賀
同じく一航戦に所属、数々の戦いに勝利し国のために尽くした、退役後は赤城と共に保護された
※登場人物は更新します
それではラストオブアス×艦これ 後編
始まります!
午後9時30分 通信塔の室内
この頃吹雪達は無事に通信塔にたどり着き一段落していた。辺りには感染者はいなくとても静かだった。吹雪達は摩耶の言った捜索隊を待っていたが二時間過ぎても戻ってこなかった。
深雪「あはははっ!それほんと!?ヤバイ!腹痛い!」アハハハッ
吹雪「そ、そんなに笑わないでよ!本当に怖かったんだらか!」
赤城「それで吹雪さんはそのまま気絶したと?」
吹雪「しかないじゃないですか!怖いテレビを見たあとですよ!?」
加賀「ぷっ…」クスクス
摩耶「あ、滅多に笑わない加賀さんが笑った!」
響「確か暁も同じ体験をしたらしいね」
深雪「ああ!あの日ね!あれは印象に残ったわ!確か響をお化けと勘違いして叫んだやつだろ?」
吹雪「あれとこれは別でしょ!」
冗談が飛び交う中。時計の針を確認した赤城が顔を暗くした
赤城「…来ませんね…捜索隊…」
摩耶「仕方ないっすよ…でも時間は時間です。幸い車が置いてあったのでそれで移動できます。何もなければこのまま明日の朝…出発です」
吹雪「残念ですね」
深雪「うん」
吹雪達は目の前のガスコンロの火を見つめた。コンロの上には鍋がありレトルトのカレーが煮てあった
摩耶「…今日はもう遅い。夜飯を食べたら皆明日に備えてもう寝よう。寝袋なら人数分あるから」
吹雪「そうですね。あ、もう三分たちましたね」
深雪「お腹ペコペコだよもう」
そう言うと吹雪達は缶詰めのご飯をお皿に盛るとレトルトのカレーをかけた
赤城「とてもいい匂いですね…早く食べましょう!」ジュル
加賀「赤城さん。そう焦らなくともカレーは逃げませんよ」ジュル
摩耶「…よし。みんなに行き渡ったかな…でわ!手を合わせて!」
摩耶の合図で吹雪達が手を合わせる
「「「「「いただきます!」」」」
数時間後
吹雪達は1つの部屋に集まって寝袋に入って寝ていた。しかし近くで寝ていた吹雪と深雪だけは起きていて何やら話をしていた
吹雪「深雪ちゃん」
深雪「なに?」
吹雪「今私達は発電所に向かっているけど…本来の目的を忘れていたような気がするの」
深雪「…大丈夫だよ。ついてから考えれば。時間はたっぷりとあるんだしさ。なんだったら朝車の時に聞く?」
吹雪「そうだね…そうしよう…」
深雪「ふわあぁぁ…もうそろそろ寝ようか…」
吹雪「うん。そうだね…おやすみ深雪ちゃん」
深雪「おやすみ…吹雪…」
しばらくすると直ぐに深雪は寝てしまった
吹雪(これでいいんだよね…お兄ちゃん…私…しっかりと人の役にたつからね…)
すると吹雪は深い眠りについた
次の日の朝 午前7時頃
吹雪達は支度を済ませ車に必要な物を積むと通信等を後にした。通信等から発電所まではかなりの時間がかかり車でも30分はかかるそうだ
車内にて
赤城がハンドルを握り隣には加賀が座っていた。
辺りには乗り捨てられた車や残骸があるがすでに道は確保していたためそう問題にはならなかった
吹雪「…赤城先輩。質問いいですか?」
吹雪が質問すると赤城が前を見ながら返事をした
赤城「どうぞ?」
吹雪「その…今は発電所にむかっているんですよね?」
赤城「ええ」
吹雪「それで…今はどういう状況なんですか?他の人は?」
赤城「…そうですね…まず発電所のすぐ近くに小さな町があるんですよ。もう二十世帯もいます。しかし電力が無ければなにも出来ません。町にすんで約3ヶ月はたちましたがいまだに電気がつかないんです。発電所は普通の発電所と同じで高い塀にか困れて安全です。町も大きなフェンスを自作で作りましたから外部の侵入はありません。しかし感染者や盗賊は毎日のようにやって来ます。あ、ちなみに警備や物資の調達は元艦娘の我々が担当していますよ」
吹雪は元艦娘と言う言葉を耳にした瞬間驚いた
吹雪「え!皆がいるんですか!?」
すると隣で二人の話を聞いていた摩耶が口を開く
摩耶「残念だが全員ではないんだ。まだ30人も満たない程しかいないんだ。警備や物資の調達で足りない人手は志願してくれた男や女に手伝ってもらってるんだ。皆無事だといいんだけどな…」
深雪「大丈夫っすよ!必ず生きてますって!」
しばらくすると車は山道に入っていった
吹雪「…あれ?山の方なんですか?」
響「そうだよ。だから感染者は少ないんだけど町や発電所の噂を聞き付けた盗賊達が多いんだ」
摩耶「もちろんこっちも黙っちゃいないさ。物資の中には自衛隊の装備もあるからもちろん活用してるさ。でもほとんど政府が回収しちゃったから警備にわたりきるには少し足りないんだ。でも小銃が数十丁。拳銃が数十丁あれば盗賊には十分対抗できる。装甲車もあるしな!」
加賀「でも弾には限りがあるし装甲車もガソリンが無ければ動かない。無駄ずかいは駄目なの」
吹雪「と言うことは町の防衛は完全じゃないってことですね?」
赤城「ええ…電気が使えれば電気柵や探照灯が使えるんですけどね…」
しばらく会話をしていると車は獣道から舗装された道路に入り発電所の入り口にたどり着いた。赤城はゲートの前に車を停めるとクラクションを何回か鳴らした。すると塀の上の見張り台から男が数人銃を持って覗きこんだ。すると男達は相手が赤城だと気づいたのか直ぐにゲートを開けて迎い入れた
吹雪は車の中から発電所をみて呆然とした。駐車場には数台の装甲車と戦車のような装甲車もあった。こんな戦力のどこが足りないのだろうか…と吹雪は心の中で呟くと摩耶が話しかけた
摩耶「お、多分何が戦力が足りないだとか思ったでしょ?」
吹雪「あ、いえ!全然!」
しかし吹雪の声は裏返ってしまった。摩耶が答える
摩耶「足りないんだよ。私たちの練度が…盗賊達が来るにしたがって必ず死者がでる。志願した男達の中には子持ちの者もいる。言いたいことはわかるな?」
吹雪「はい…すいません…」
摩耶「いいんだよ…全然…アタシもここに来たときはそう思ったさ」
吹雪達を乗せた車はそのまま駐車場に停まると数人の武装した男と見覚えのある女性が出迎えた
赤城「お疲れ様でした…長門」
長門「なに…これくらいなんでもないさ…」
吹雪「あ!長門さん!?」
深雪「え!うそ!」
長門「うむ。情報通りだな。吹雪…深雪…よくここまできた。ようこそ我が家へ」
すると隣にいた数人の武装した男達は敬礼した。まるで軍隊だ
吹雪と深雪は思わず敬礼した。すると長門は敬礼をやめさせる
長門「まったく…やめろと言っただろう…まあ指揮を高めるにはこれがちょうどいいがな…我々は軍隊ではない。一部の独立組織だ。感染者や盗賊から町と町の住民を守るために銃を手にしている」
長門はしばらくすると笑顔で喋りだした
長門「私はこの町と発電所を統括している…いわば鎮守府の提督てきな存在だ」
赤城「そして私は生活関係」
加賀「私は防衛関係の指揮をとっているわ」
摩耶「私は物資の調達や支援関連の指揮をとっているぞ」
吹雪と深雪は思わず固まってしまった
長門「気を楽にしてくれ。我々はもう軍隊ではないのだからな」
吹雪「は、はい。わかりました」
すると長門の後ろから陸奥が現れる
陸奥「あらあら。吹雪ちゃんに深雪ちゃんじゃない♪お久しぶりね」
吹雪「陸奥さん!お久しぶりです!」
深雪「うっす!」
陸奥「さあ。立ち話もなんだからついてきて…あ、お腹すいた?」
そう言えば朝は食べてなかったような気がする
吹雪「私はあまり…」
深雪「そう?私は腹へったけどな」
陸奥「じゃあ姉さん。二人ともつれてくね?」
長門「ああ、頼む」
吹雪「あれ?赤城先輩達は?」
赤城「私達はほったらかしにした仕事を片付けないといけないから」
摩耶「私はなんにもないからついてくよ」
陸奥「良いわよ」
しばらく吹雪達は歩くと吹雪はとある物をみてビックリした
吹雪「馬だ!」
深雪「本当だ!すげぇ!」
ちょうど二体の馬が手入れされていたのだ
陸奥「さわってみる?」
吹雪は頷くと馬の首をさわった案外さらさらしていた
吹雪「もっとざらざらしてるかと思った」
深雪「本当だ…」
陸奥「さ、こっちよ」
陸奥は建物の入り口に案内すると一人の男に声をかけた
陸奥「あら…もう交代の時間じゃないの?」
男「山口の奴を待ってるんだよ」
陸奥「もういいわ。子供達が待ってるでしょ?」
男「あと少しだし…頑張るよ」
陸奥「そう、なら無理はしないでね?」
男「ああ…」
そのまま吹雪達は入り口に到着し中を案内していると陸奥の腰に掛けていた無線が陸奥を呼んだ
男‐すいません陸奥さん。タービンを動かすので来てくれませんか?‐
陸奥「わかったわ。すぐ行く…あー
悪いんだけど…」
摩耶「あ、じゃあ飯は私が案内します!」
吹雪「私は大丈夫なので陸奥さんについていきたいです…ダメですか?」
陸奥「全然構わないわ。じゃあ摩耶…深雪ちゃんをよろしくね?」
摩耶「うっす。じゃあ深雪。行くか?」
深雪「わかりました!じゃあな吹雪!」
吹雪「またあとでね!」
すると摩耶と深雪はそのまま扉の向こうに消えてしまった。吹雪と陸奥はタービンを確認するために中庭を渡る
吹雪「広いですね…ここ」
陸奥「まだまだよ…子供達が遊ぶには安全じゃないわ…まず発電所で遊ぶ時点でダメだけどね」
吹雪「あはは……ん?あれは…」
吹雪は山と山の間から見える町のようなものに目をつける
陸奥「…ああ…あれが町よ。あそこに沢山人が暮らしてるのよ」
吹雪「確か二十世帯でしたっけ?」
陸奥「赤城達から聞いたのね?ええ…二十世帯よ?今だと守るものができて私からしたらやりがいがあるわ…こっちよ」
陸奥に案内され吹雪は制御室のような所に案内された。そこには定規で何かを書いてる者とそれを指示してる者。制御板とにらめっこしてる者など様々だ
陸奥「電気を復活させる天才達よ」
男A「お、きたな陸奥さん…今度は成功するぜ?」
陸奥「はいはーい」
男B「信じてないな?20万かけてやるさ」
陸奥「なら期待するわね?」
そのまま吹雪と陸奥はとある見張り台からタービンが見える位置まで移動する
陸奥「実はこれで十回目なのよ」
吹雪「そ、そうなんですか…」
とちょうどカバーを下ろすところだった
男A「よーし、もうちょっとだ!気おつけろ!」
男B「少し右寄りだ!左に寄せろ!」
そのままカバーはタービンの上にのると男達がボルトを締める
男C「うっし…電源いれるぞ!」
ガッチャン ウイイィィィィン
制御室から男が電源を入れるとタービンは大きな機械音とともに勢いよく回りだした。成功だ
辺りからは歓声が沸き上がる。陸奥もついガッツポーズをしてしまう
吹雪「あ…すいません…陸奥さん…ちょっと話出来ませんか?」
陸奥「そうね…私も代表で話がしたかったの…こっちよ」
陸奥はそう言うとタービン室を抜けてとある小さな部屋に案内した。休憩所のような所だ
陸奥「たまたま物資の調達チームが貴女の家に入って探っていたの…それで…これ」サッ
陸奥はそう言うと吹雪にとある写真を見せた
吹雪「…これ…」
その写真には吹雪と吹雪兄が笑顔で写っていた
吹雪「そう言えば…遊園地に行ったときこんなの撮ったなぁ…」
陸奥「勝手に家に入ったことは謝るわ。知らなかったから…」
吹雪「大丈夫ですよ。そんなの皆してきましたから…この写真。もらっておきますね?」サッ
陸奥「ええ…そう言えば貴女のお兄さんだけど…」
吹雪「死んじゃいました…私を守るために…」
陸奥「やっぱりね…軽く話は聞いてたけど本当だったのね。変なこと思い出させて悪かったわ」
吹雪「いいんです。けじめをつけましたから」
陸奥「そう…それで…これからどうする?私達と生活すれば?ここには食糧も武器も電気もあるし…」
陸奥が話していると吹雪は思い出したかのように陸奥に振り替える
吹雪「陸奥さん!」
陸奥「わっ!…な、なに?」
吹雪「その…本来の目的があって…噂なんですけど…陸奥さんってファイアフライのメンバーでしたよね?」
陸奥「ええ…でもそれはもうやめたわ」
吹雪「じ、じゃあ…あの…陸奥さんってファイアフライがワクチンを研究してるのは知ってますか?」
陸奥「ええ知ってるわ。それがどうしたの?」
吹雪「あの…実はですね…私免疫を持ってるんです」
それを聞いた陸奥は一瞬目が丸になると元に戻った
陸奥「そんなはずないでしょ?」
吹雪「私も最初は終わったと思いました。でも…噛まれても胞子を吸っても何も…何もないんです」
そう言いながら吹雪は右側の二の腕を出すと陸に見せた
吹雪「ここです。この小さな跡なんですけど…歯形がわかります?」
陸奥「ええ…これはいつ噛まれたの?」
吹雪「これは…えーと…なん十年も前です」
陸奥「そんなに前なの?まあ…跡を見る限りそんなものよね…」
吹雪はまくっていた袖を元に戻すと本題に入った
吹雪「陸奥さん…ファイアフライの元メンバーなら研究所まで分かりますよね?連れてってくれませんか」
陸奥「…ごめんなさい。それはできないわ」
吹雪「そ、そんな…」
陸奥「実は私ね…結婚して一児の母なのよ」
吹雪は陸奥の手を見ると指輪があるのに気づいた
吹雪「じゃあ長門さん達は…?」
陸奥「姉さんももう結婚して子供もいるわ」
吹雪「そんな…どうにか出来ませんか!?」
陸奥「ごめんなさい…力に…」
バァァァンッ
吹雪「っ!今のは!」
陸奥「くっ!盗賊よ!」サッ
陸奥はそう言うと壁に掛けてあった小銃を取り出すと無線に話しかけた
陸奥「誰か!応答して!」
しばらくすると男が応答した
男「こ、こちらタービン室!現在敵の攻撃で被害甚大!…がして…を…する…繰りか…」
陸奥「何!?よく聞こえないわ!」
男「…第一防衛ラインはすでに突発された!現在第三防衛ラインで耐えているが時間の問題だ!グワアッ!」ブチッ
途中で男の無線が途切れる。すると吹雪達のいた部屋の窓に流れ弾が飛んでくる
吹雪「わっ!ここまで来たの!?」
吹雪と陸奥は部屋に出てタービン室に向かうと直ぐに銃撃戦が始まった
陸奥「くっ!敵の抵抗が激しい!奴ら素人じゃないわね!吹雪!手伝って!」ダダダンッ!ダダンッ!
吹雪「は、はい!」ガチャ…バンッ!
バンッバンッダダダンッ!
ダンッダンッダンッ!…ババババンッ!
吹雪「そこっ!」バンッ!
吹雪の撃った弾は一人の盗賊の頭を撃ち抜く
吹雪「やっ…やった!うわっ!」
吹雪が油断すると頭の真横を弾丸がすり抜ける
吹雪「あわわ…」
すると奥から新しい銃声が聞こえてくると辺りは静かになった
陸奥「銃声が止んだ…」
吹雪「……」スチャッ
吹雪は猟銃のスコープで奥を確認してると何者かが現れる。瞬間吹雪は引き金を引きかけたが直ぐにやめた……深雪だ
深雪「あ、あぶねぇ!もう少しで撃たれる所だったよ!」
吹雪「あ!ご、ごめん!」
深雪「奴らは少人数だ!今は長門さん達の所に行ってる!奴ら心臓部を破壊しようとしてる!」
すると摩耶が息を切らしながら追い付く
摩耶「はぁ…はぁ…ん…陸奥さん!タービン室は私達が守ります!陸奥さん達は長門さんを!」
陸奥「わかったわ!吹雪!援護を!」
吹雪「はい!」
吹雪「……」スチャッ…バンッ
陸奥「これで全部…っ!姉さん!」
陸奥が長門のいる部屋の扉をあけると長門が無線で各場所の状況を確認していた
長門「…ああ…陸奥と吹雪か。無事で何よりだ」
陸奥「姉さん…よかった…」
長門「なに…心配はいらんよ。こんなので屈する我々ではないからな。所でそちらの状況を知らせ」
陸奥「こっちは最悪よ。一部の部隊を残し被害甚大。死者が数名でたわ」
長門「…どこも同じか…」
陸奥「あのね…こんなときに言うのもあれなんだけれども…」
陸奥は長門を発電所の外まで呼び出すと吹雪のワクチンの話をしだした
。その頃吹雪は深雪を呼んで物影からそっと話を聞いていた
長門「なんだと!…それは本当か!?」
陸奥「ええ。それで吹雪をその…研究施設まで送れないかなって」
しばらくの沈黙のうち長門が口を開く
長門「それは無理だ」
陸奥「……」
長門「…きっと吹雪に相談されたんだろう?私にも家族がいる。それに私じゃないとしても皆にも家族がいる。元駆逐艦娘の彼女らにも家族がいる。これは仕方ないんだ」
陸奥「そうよね…あの子になんて言えばいいんだろう」
二人がそう考えていると吹雪と深雪が現れた
吹雪「長門さん。陸奥さん。話は聞きました……無理を言ってすいませんでした」
陸奥「あ、ええ…大丈夫だわ。こちらこそ期待に応えられなくてごめんね」
吹雪「…大丈夫ですよ!いざとなれば二人でも行けますし!ね!?」
深雪「え、うん…」
陸奥「東大」
吹雪「え?」
陸奥「東京大学よ。そこの研究所でワクチンの研究してるわ」
吹雪「東京大学…遠いですね…」
ここから東京大学はかなりの距離がある。吹雪達は心はほぼ大人だが身体は子供のまま。心が前に進めても身体がついてこれないのだ
長門「そうだな…役に立てず申し訳ない」
そう言いながら長門は頭を下げた
吹雪「そ、そんな!頭を上げてください!勝手に聞いた私が悪いんです!」
陸奥「…姉さん。何か手助けは出来ないの?」
長門「…そうだな…ああ。吹雪。深雪。少しこっちに来てくれ」
そう言うと長門は吹雪と深雪を倉庫のような所まで案内された
吹雪「……ここは?」
深雪「馬がいるぐらいだよね」
長門「陸奥。5番のゲージを開けてくれ」
陸奥「少しまっててね」トコトコ
ガチャンッ
陸奥がボタンを押すとゲージの扉ががゆっくりと開いた。するとそこから一頭の茶色の毛並みのスラッとした馬が出てくる
長門「車は…無理だからな。せめて馬だけでも使ってくれ。こいつは大人しいから吹雪でも手なずけれるだろう」
陸奥「あと馬の腰辺りに物入れでも着けておくから食料でもいれてって」
吹雪「い、いいんですか?」
長門「もちろんだ。我々にはこれぐらいしか出せないからな。他にもいるものがあったら言ってくれ。あるものならいくらでも出そう」
深雪「わ、悪いですよ!馬に食料に沢山もらっちゃいましたから!」
すると陸奥が吹雪と深雪の腰に掛けてあるナイフを見て口を開く
陸奥「姉さん。最近武器でナイフとか支給されてない?」
吹雪「ナイフ?」
長門「…ああ。少し待て…」トコトコ
数分後長門は二つのナイフの入ったケースを持ってきた
長門「吹雪達はそのナイフをこれと変えるんだ。錆びてるだろ?」
吹雪と深雪はすでに持っていた古いナイフを捨てて長門から新しいナイフをもらった
吹雪「これは…?」
深雪「なんかミリタリーな感じだね…」
長門「これはサバイバルナイフだ。そこらのナイフと違って頑丈で鋭いから使い道は幅広いと思う。ほら…ケースの横に取り付けてあるこの棒をナイフで勢いよく削ると…」
長門がそう言って小さな黒い棒をナイフで削るも大きな火花が出た
長門「これで火がつく訳だ。ナイフも普段はケースに閉まっておけよ?。ナイフをしまうとロックがかかるからひっくり返しても取れないからな。安全なわけだ」
吹雪「あ、ありがとうございます…」
陸奥「あらあら。吹雪ちゃん達困ってるじゃない。姉さんって趣味の話になると話が長くなるんだから」
深雪「え?趣味?」
長門「し、趣味ではない。しかし注意しておかないとだな…」
陸奥「はいはい♪じゃあ吹雪ちゃん。深雪ちゃん。頑張ってね?」
吹雪「はい!お二人もご無事で!」
深雪「ありがとうございました!」
すると吹雪と深雪は馬に乗ると発電所のゲートの外にでた
長門「吹雪!深雪!」
吹雪「わっ!…は、はい?」
長門「死ぬなよ」
吹雪「はい!」
吹雪は海軍式の敬礼をすると長門も敬礼した
しばらくの移動していると後ろに座っていた深雪が吹雪に話しかける
深雪「ねえねえ。この馬名前つけようよ?」
吹雪「いいよ。でもなんて名前にするの?」
深雪「……うーん…」
吹雪「じゃあサラブレッドのサラはどうかな…?」
深雪「いいね!…でもこいつは…あ、メスだった。なら可愛いじゃん!」
吹雪「ふふーん…サラ~今日からあなたの名前はサラだよ~」
深雪「…可愛いな…」
吹雪「だよね…毛並みもいいし…」
深雪「…あ、ああ!うん!そうだな!毛並みもいいしね!」
深雪はなぜか動揺すると顔を赤くして吹雪の背中に隠れた
吹雪「どうしたの?」
深雪「いや!別に!ってほら!サラを誘導しないと!」
吹雪「あ、わ!ダメ!サラ!もっと左!」
深雪(やっぱり私は幸運艦だな…いや…幸福者?)
時間は午後の4時頃だった。今日は空が曇っていて少し肌寒かった
約2時間後
この頃吹雪達はちょうどいい寝床を見つけていた。と言っても他人の家だが。吹雪はサラを車庫に誘導して深雪は車庫の真ん中で焚き火をしようと薪をくんでいた
深雪「さて…これ使ってみるかな…」シュッシュッ
深雪はナイフを使って火花を起こす
。すると火花が新聞紙に引火してそこから薪に火が移る
深雪「おお…すげぇ…」
吹雪「感想それだけ?」フフッ
深雪「それぐらいしかないじゃんw」
吹雪「まあねw」
深雪は火を着けたことに満足すると馬の腰に掛けてあるカバンをあさる
深雪「あー…サラ…動かないでね…うーん…あっ…あったあった」
吹雪「なにが?」
深雪「それはですね…じゃあーん!」ガバッ
深雪はカバンから缶詰を取り出した
吹雪「あっ!」
その缶詰には牛角の缶詰だった
吹雪「かなり豪華だね」
深雪「ご飯の缶詰もちゃんとあるからさ…で…感じんのこれ。確か吹雪好きだったでしょ?」
深雪は何も書いてない缶詰を差し出した
吹雪「私が好きなもの…?」
吹雪が缶詰の蓋をあけると中にはうずらの玉子の薫製が入っていた
吹雪「おお!なんで知ってるの?」
深雪「艦娘のころ司令官と酒場に言ったとき食べたじゃん」
吹雪「あ、ああ!あれね!お酒は無理だったけど玉子食べたときのあの味はやばかったんだよね…なんかはっまっちゃったかんじ…」
深雪「それで確か司令官がうずら型駆逐艦吹雪とか言ってたよね」
吹雪「懐かしいなぁ…今ごろ司令官どうしてるんだろうね…」
深雪「さあね?それよりご飯食べたらババ抜きしない?」
吹雪「ちょっと待って…」
吹雪は腕時計を見た。電波時計のためほぼ正確だ。日本ではいまだに電波時計が機能するからそう言うところはしっかりしてると思う所だ
吹雪「…今は8時半だから…三十分で終わっちゃうけどいい?」
深雪「全然いいよ。て言うか薫製の匂いが凄い」
吹雪「この匂いがいいんですよ」
深雪「ははっ!誰の物真似!?」
吹雪「自作」
深雪「やばい!っつぼった!」アハハハッ
吹雪「いやいや…受けないでしょw」
深雪「あー腹痛かったw…て言うか焚き火の煙大丈夫なの?」ゴチソウサマ
吹雪「あ、うん。大丈夫だよ。しっかり換気してるから」ゴチソウサマ
その後吹雪と深雪はババ抜きをして予定どうり焚き火を消して寝袋に入った
この日はお互い疲れたのか何も喋らずそのまま寝てしまった
次の日の朝
ザアアァァァァァ…
吹雪「……うーん…うっ…寒い…」
吹雪は体を起こすと雨が降ってることに気づく
吹雪「…ふああぁ…深雪ちゃん…起きて…うおーい…」
深雪「う、うん…」ムクッ
深雪は起き上がると雨が降ってることに気づく
深雪「すげえ降ってるね」
吹雪「うん…サラ起きてるかな」
吹雪は後ろを振り返るとサラと目が合う
吹雪「あ、起きてたね」
深雪「ねえ…この家の風呂使えないの?」
吹雪「残念ながら水しか出ません」
深雪「がーん…まあそうなるな」
吹雪「日向さんの物真似?」
深雪「正解」
吹雪と深雪は冗談混じりの会話をしながら古い服を脱いで新しい服を着る
ザアアァァァァァ…
吹雪「どうしよう…雨止まないね…て言うかやむ気配がない」
深雪「はは…まあご飯食べよ?」
吹雪「そだね…」
数分後
吹雪「ご馳走さまでした」
深雪「よし…吹雪ちょっと待っててね」
吹雪「ちょっと!どこ行くの?」
深雪「こうしてても仕方ないし出掛けるためにカッパ持ってくる。多分家にもあるでしょ」
吹雪「まって!私も行く!」
深雪「大丈夫だって!もし感染者が出てきても直ぐにやっつけちゃうからさ」
そう言うと深雪は車庫から家に繋がる扉を開けると中に入っていった
それから約10分ぐらいだろうか。吹雪はあまりの長さに猟銃を持って扉を開けようとする。そして同時に深雪が勢いよく扉を開けたため吹雪に扉がぶつかった
深雪「たっだいまぁ!」バッ
吹雪「あうっ!」ドサッ
深雪「あっ!ごめん!」
吹雪「いたた…大丈夫。ってそれよりカッパあったの?」
深雪「あったよ!一つ!」
吹雪「……」
深雪「そんな顔しないでよ!」
吹雪「まあ…だよね…いいよ。今日は大人しくゴロゴロしてよ…」
深雪「あいあいさー」
午後2時
車庫にて
吹雪「よし!深雪ちゃん。車庫の扉開けて」
深雪「ほい」カチッ
ウイイィィン
深雪がシャッターの横のボタンを押すと車庫のシャッターがゆっくりと開く
吹雪「ありがとう、じゃあ深雪ちゃんも乗って?」
深雪「うんしょっと…いいよ」
吹雪「じゃあ行こっか。サラ。行くよ」
するとサラは車庫を出て道の真ん中を進み始めた
吹雪「この子本当に大人しいね。言うことも直ぐに聞いてくれるし」
深雪「さあね?っ!……吹雪。止まって…道の脇から感染者だ」スチャッ
そう言うと深雪はホルスターから拳銃を取り出すと構えた
吹雪「深雪ちゃん。大丈夫だよ。こっちが先に逃げればいいんだし。それっ!」
吹雪がサラに前に進むように指示を出すとサラは前に進んだ
それから約2週間程がすぎた
吹雪と深雪は大学に向かうため沢山の障害物に遭遇した。感染者や盗賊。その他色々な天候と地形。吹雪と深雪はひたすら前に進みようやく…やっと大学にたどりついたのだった。季節は秋の終わりを知らすように紅葉の木がそこらじゅうにたち、地面にも沢山の紅葉が散乱していた
カツッカツッカツッ
馬の足音がコンクリートに入るとカツッと良い音を響かせる
吹雪「…やっと着いたね…」
深雪「うん…でも、その研究所って何処なの?」
吹雪と深雪は辺りを見渡す
吹雪「確か陸奥さんが全体的に窓ガラスがはってあるから鏡のように見えるって…」
しかし吹雪と深雪の見渡す限りどこにもそれらしき建物はなかった
深雪「ここ本当に東大?」
吹雪「う、うん…ひとまずグラウンドに行ってみよう。キャンパスが見渡せるはずだよ」
パカラッパカラッパカラッ…
吹雪達は小道を通ってグラウンドに向かう。途中で何度かバリケードを見かけたが恐らくここの大学生たちが立てこもったのだろう。他にも膝までのバリケードを見かけたが馬で簡単に飛び越えられるためさほど問題ではなかった
吹雪「…あっ!」
深雪「わっ!…な、なに…?」
吹雪「ファイアフライのマークだ…」
吹雪の目線の先には壁がありそこに大きくファイアフライのマークがスプレーで書かれていた
吹雪「でも全く人に出くわさないね…ほんとにいるのかな…」
深雪「ちょっと…不安になるようなこと言わないでよ…」
パカラッパカラッパカラッ…
そうすると吹雪と深雪はグラウンドにでた。すると吹雪は近くで手にいれた大学の見取り図を取り出した
吹雪「…化学棟は…あっちのゲートを抜ければ見えるはずだけど…」
吹雪はサラをゲートまで進ませて吹雪が馬から降りるとボタンを押した。しかしあることに気づく
吹雪「…あれ?……ゲートが開かない…」
カチッカチッカチッ…
何度も何度も押しても全く反応がない
吹雪「電気が来てない…ん?、あれは…」
吹雪はゲートの向こうに発電機が置いてあるのに気づく
吹雪「…よし…深雪ちゃん」
深雪「うん?どした?」
吹雪「ちょっとサラを見ててね。私はゲートの向こうから発電機で電気を起こしてくるから。あ、大丈夫大丈夫。直ぐに戻ってくるから」
深雪「おう。無事に戻って来てよね?」
吹雪「うん」トコトコ…
すると吹雪はサラを深雪に任せると一人で建物の中に入っていった
吹雪は建物に入るとさっそく二階に上がった。一階の通路が崩れていたからである。どうやらこの棟は大学生達が寝泊まりする宿舎のような場所だった
吹雪「…汚ない…」トコトコ
横からは夕日が差し込んできて通路が全体的に明るい
吹雪「この扉…向こうにも…ここが部屋なのかな…」ガチャッ
吹雪からして左側の扉は全部大学生の部屋だった。部屋の中に入るととても散乱していた
吹雪「…ここでみんな暮らしていたのかな…大学か…行ったことないなぁ…あ、引き出しの中に包帯が…まだ綺麗…もらっとこっと」サッ
吹雪は部屋を出て通路に戻った。その他にも部屋ではライトの電池や医療品など少しだけだったが入手できた
吹雪はそのまま通路を進むと大きな穴が目の前に空いていた。どうやら床が崩れて一階に通じるようだ。しかしそこからは胞子が出てきている
吹雪「胞子があるってことは…クリッカーもいるのかな…。でも先に進まないとゲートが開けれないし…仕方ない。ちょっと怖いけど行こうかな…」
吹雪はその大きな穴に入り一階にうまく着地すると直ぐに辺りを確認する。吹雪の予想どうりクリッカーが四体。見間違いかと思ったがブローターも一体だけいた
吹雪「音をたてなければ問題ない…大丈夫…」トコ…トコ…
吹雪は床に散らばったガラスの破片や木片を避けながらそっと…静かに進む。吹雪は一体のクリッカーの真横を中腰のまま静かに移動した。これまでにない緊張感と恐怖が吹雪を襲う。吹雪の額にはすでに汗をかいていた
吹雪「…う…ん…はぁ…大丈夫…大丈夫…」トコ…トコ…
なんとかクリッカーのいるエリアは逃れたが吹雪の目の前に新たな敵が現れていた
吹雪「ブローター…こいつに捕まっちゃったらおしまい…」トコ…トコ…
吹雪はあらかじめホルスターから拳銃を抜くとブローターに構えながらブローターの横を進む。あまりの恐怖に照準がぶれて息が乱れる
吹雪「はぁ…はぁ…はぁ……」トコ…
とうとう吹雪はブローターの真横をすり抜ける。吹雪は一瞬脱力仕掛けたが油断は禁物。ブローターは高い防御力と怪力を備えている。捕まって逃げれたものは吹雪の記憶の中にはない。しかもブローターはクリッカーより耳が良いため少しの油断が死に繋がる
吹雪「あれは…あそこから行けば…」トコトコ…
廊下の奥に扉が見えた。どうやらそこから二階に戻れるようだ
吹雪「やった…これで…」ガチャッ…
ガチャッ…ガチャッ…
吹雪「あれ…?なっ!」
吹雪はショックを受けた。なんと扉の向こうからロッカーの様なものが倒れていて扉が開かなかったのだ
吹雪「ふんっ!」ギシッ
吹雪が力を込めて扉が開きかける
吹雪「静かに…いや…時間がかかるからここは一か八か…それっ!」ガシッ!ドンッ!
吹雪は扉を何度も強く押した。扉も少しずつ開いていく。しかし吹雪の後ろからクリッカーとブローターが近づいてくる
吹雪「お願い!開いてっ!」ドガッ!
感染者達は吹雪のいる方を探知したのか行きおきよく走ってくる。吹雪と感染者達の間は約14m程しかなく走られると直ぐに詰められてしまう
吹雪「は、早く!開いてよっ!」バキッ!ドンッ!
そのとき扉が吹雪が通れるぐらいの幅まで開いた。吹雪はそこに勢いよく飛び込んだ。一瞬クリッカーの手が吹雪の体に触れかけたがなんとか逃げれた
吹雪は直ぐに半開きの扉を閉めて先程のロッカーを元の位置に戻した。
その後何度かクリッカーとブローターが扉を何度も体当たりをしていたが諦めたのか奥にこもっていく
吹雪「はあはあ…あーよかった!死ぬかと思った!あー!」
吹雪はしばらく達成感に浸っていると気合いを入れ直し直ぐに本来の目的を思い出した
吹雪「ここの階段を上れば二階に上がれるね…」トコトコ
吹雪は階段を上ると日の光が体に当たる。どうやら無事に二階に上がれたようだ。そのまま吹雪ははしごを使って下に降りると直ぐに発電機を移動させに行った
吹雪「深雪ちゃん!お待たせ!」タッ
吹雪はゲート越しに深雪に声をかけた
深雪「サラ~ってうおっ!吹雪!無事だった!」
吹雪「待っててね。今電源いれるから…」クルクルクル…
吹雪は発電機が乗った荷台をゲートの近くまで運ぶと配線と配線をうまく繋ぎ会わせて電源を入れる。エンジン音と共にゲートのランプが緑色に光る
吹雪「それじゃあ深雪ちゃん。ボタンを押して?」
深雪「おっけー」カチッ
ウイイィィン
深雪がボタンを押すとゲートが上に開く。吹雪はサラに乗るとグラウンドに向かって移動した
グラウンド
吹雪「……鏡のような建物…あっ!」
すると吹雪は陸奥の言っていた鏡のような建物を見つけた。直ぐに吹雪はサラを建物に移動させた
吹雪達は建物の駐車場に移動した。そこには車の代わりに沢山のテントが張ってあった。が、誰もいなかった
深雪「見張りもいない…誰もいない…」
吹雪「うん…誰かはいるかと思ったんだけど…とりあえず中にはいってみよう」
深雪「うん」
吹雪と深雪は馬から降りると研究所を見渡した
深雪「…あ、あそこから入れそう…」
吹雪は深雪の指差した方を見ると研究所の壁に穴が空いていた。恐らく崩れたんだろう
吹雪「あそこから行けそうだね…よし…深雪ちゃん。あそこから入ろう!」
深雪「オッケー…よいしょっと…」
吹雪と深雪はごみ箱のようなものからトラックの荷台へ。そのまま大きな穴の開いた場所から研究所に侵入する
吹雪「それっ!」ガシッ
吹雪「ふんっ…くっ…よいしょっと…さあ。深雪ちゃん。手を貸して」
吹雪は高くジャンプして研究所に開いた穴に入ると深雪に手を差し出した
深雪「行くよ…それっ!」ガシッ
深雪は吹雪の手をつかむとそのまま研究所の中に侵入する
深雪「ありがと…さて…辺りを探そう…」トコトコ
吹雪「うん…」トコトコ
そのまま吹雪と深雪は研究所を探索しだした。どうやらこの研究所は電気が来てるらしく一部の照明が光りっぱなしだ。しかしどこを探してもファイアフライの人どころか誰にも出くわさない。辺りがもぬけのからだった
深雪「おーい!ファイアフライ!救世主が来たよ!居ないのー!?」
吹雪「状況がわかるまで静かにしよう…」トコトコ
深雪「でもさ…誰もいないよ?」トコトコ
深雪の言うとうりこの階には誰一人いなかった
吹雪「とにかく進んでみよう」
そう言いかけたそのとき
ガチャンっ!
吹雪「…っ!」
深雪「なんだ…?」
どうやら上の階で物音がしたようだ。吹雪と深雪は音の発生源を探るために上の階に上がる
吹雪「…この階もクリア…」スチャッ
深雪「…誰かいるのか…?」
吹雪と深雪は部屋の奥まで進む一つの扉を見つけた
吹雪「…だめだ…向こうからおさえられてる…」
深雪「二人でやればなんとかなるでしょ…行くよ?それっ!」ググッ
吹雪「くっ!」ググッ
ガシャーンッ
キイイイィィィィッ!キキイィィィッ!
吹雪「わっ!猿!?」
吹雪と深雪は力よく押して急に勢いよく開いてそのまま吹雪と深雪はバランスを崩してこけてしまった。そのときその部屋には猿が五匹程いた。もちろん扉を勢いよく開いたことに驚いた猿はどこかに逃げ出した
吹雪「ここにもいたんだ…」
深雪「どっかで見たの?」
吹雪「うん、グラウンドの所でね…」
しばらく部屋を探索してると吹雪があるものを見つける。どうやらこれは感染者の頭のレントゲン写真のようだ
吹雪「こんなのになってるんだ…」ポイッ
吹雪と深雪は部屋の奥に進むと小さな小部屋にたどり着く。そこには椅子に座ったまま死んだファイアフライの腕章をつけた男がいた
吹雪「…あ、これは…録音機だ…」ヒョイッ
吹雪は小さな録音機を手に取るとスイッチを押して音声を再生した
男「この録音を聞いていると言うことはもう私は死んだか死にかけているだろう」
男「残念だがもうこの施設にファイアフライはいない…」
深雪「知ってるよ」
男「なんでこんなことになったのか…」
再生してる途中で吹雪はスキップを繰り返した。そのとき男がなにかを話していることに吹雪は気づく
男「ファイアフライは恐らくここから西の方角にある大病院に拠点を移している。多分そこで人類を救う研究を続けているだろう。ま、せいぜい頑張れ」ブチッ
音声が終わると深雪が口を開く
深雪「…大病院って遠いの?」
吹雪「うん…あまり近くはないね…大病院か…」
そのとき窓の向こう側の寮でなにかが光っている。ライトの光だろうか
深雪「何あれ…」
吹雪「伏せて!」ガシッ
バリーンッ!
吹雪が深雪を伏せさせると同時に窓ガラスに弾丸が当たり砕け散る
吹雪「誰なの!?もう!」
深雪「多分ファイアフライの連中ではないな…多分盗賊だろう!」
吹雪「…なら!早くここから脱出しよう!」
吹雪の言葉に深雪は強くうなずくと来た道を戻りだした
吹雪「はぁ!はぁ!はぁ!早く馬のところに戻らないと!」
そのとき角で出会い頭に盗賊と遭遇する。相手は素人だったのか一瞬動作が遅れた。しかし吹雪は素早く猟銃を肩に掛け直し腰に取り付けてあったナイフをケースから引き抜くと盗賊の脇腹を一突き、そのあと直ぐに首をさして無力化した
吹雪「はぁ!はぁ!もうこの階まで来てたの!?」スチャッ
吹雪はナイフをケースに納めると猟銃を取り出して構えた
深雪「結構いるな…」スチャッ
あちらからは見えてないがこちらからはしっかりと盗賊の姿を確認できる
吹雪「…避けられないね…深雪ちゃん…準備を」スチャッ…ガチャッ…
吹雪は猟銃のボルトを引いて弾丸を薬室に装填する
深雪「大丈夫…行こう!」スチャッ
吹雪と深雪はダッシュで通路を突き進む。途中で盗賊の一人を見つけたが吹雪が腰撃ちで倒す。この銃声のお陰で盗賊が集まってくる
吹雪「次ッ!」ガチャ…バンッ!
吹雪は何度もボルトを引いて排莢と装填を繰り返す
深雪「素人すぎる!」バンッ!バンッ!
深雪は部屋から出てきた盗賊の二人を倒すとマガジンを交換した。そのとき通路の曲がり角で盗賊と鉢合わせする。吹雪はナイフを取ろうとしたが遅く盗賊は持っていたショットガンのストックで吹雪を殴った。その衝撃で吹雪は体勢を崩す
深雪「このっ!」バンッ!バンッ!
深雪は盗賊を倒すと吹雪に駆け寄った
深雪「吹雪!大丈夫!?立てる?」
吹雪「こんなのかすり傷程度だよ…それより早く脱出しよう!もう少しで出口だよ!」ダッ
深雪「よし!」ダッ
その後も何度も盗賊に遭遇したが吹雪と深雪は無事にくぐり抜けていく。そして吹雪と深雪は二階まで降りて大きなホールが一望できるテラスのような所に出た。吹雪は下を見ると口を開く
吹雪「…ここから一気に下に降りれば良いけど…階段で行こう!」
深雪「ならこの扉の先だよ!」スッ
深雪が扉のドアノブに手をかけたとき向こうから思いっきり扉を開けられて吹雪と深雪は吹き飛ばされる。深雪は先に立ったがそのまま押されてテラスの手すりまで押されるとそのまま深雪を一階に突き落とされそうになる
深雪「…ぐぐっ…このっ!」ガシッ
盗賊A「中々力があるじゃないか!だがっ!」ググッ
盗賊は力を込めると深雪の足が床から離れる。深雪は必死にもがき腰からナイフを取り出すと盗賊の腕を刺した。しかしその拍子で深雪と深雪を襲っていた盗賊はテラスの下に。一階に落ちてしまう
ブスッ
深雪「うぐっ!…あ、くっ!や、ばい……」
深雪は落ちた拍子に床からむき出しだった鉄筋が深雪の腹を貫通する。傷口辺りの服は段々と赤くなってくる
吹雪「……はっ!深雪ちゃん!」
吹雪は目を覚ますとテラスにいたはずの深雪の姿が無いことに気づく。そしてそのテラスの下で深雪のうめき声が聞こえる
吹雪「まさかっ!」
吹雪は手すりにもたれると下を確認する。深雪が倒れているのを確認するやいなや吹雪は垂れ下がっていた電源ケーブルをロープがわりに使って下に降りる。そのまま吹雪は深雪のもとに駆け寄る
吹雪「深雪ちゃん!どうしよう…だ、大丈夫!?」
深雪「…抜いて…」
吹雪「え……?」
深雪「早くッ!」ググッ
深雪は拳銃を取り出すと後ろから近づいていた盗賊を倒す
吹雪はそんなところに盗賊ごいたのかと気になったがそれよりも深雪を助けることに集中した
吹雪「わ、わかった…い、行くよ!?せーの!」グググッ
深雪「ぐあぁあぁぁ!」ビチャビチャ
深雪は鉄筋から引き抜かれるとそのまま四つん這いになった。傷口からは抜いた拍子で大量の血が吹き出す
深雪「はあはあはあはあ…ぐはっ!」ビチャ
深雪は吐血すると吹雪の力を借りて起き上がった
吹雪「だ、大丈夫!?」ガシッ
深雪「はぁ…はぁ…馬の所に行こう…」トコ…トコ…
吹雪は先に通路に出ると辺りを確認した。後ろからゆっくりと深雪がついてくる
吹雪「ここ越えられる?」グッ
吹雪は窓を越えると深雪を誘導する
深雪「う、うん…」トコトコ…
深雪は窓枠に手を置いたが乗り越える途中で脱力してしまう
吹雪「ああ!ほら!動いて!」ググッ
吹雪が深雪をたたせようとすると部屋の奥からショットガンをもった盗賊がやって来るのに気づくと近くの物影まで誘導する
盗賊「見えてるぞ…」スチャッ…バンッ
吹雪「私が回り込む…深雪ちゃんはそこにいて」ダッ
深雪「吹雪…はぁ…はぁ…」
盗賊「俺の仲間を殺しやがって…出てこい!じゃなきゃ力ずくだ!」
吹雪「このっ!」バンッ
吹雪の撃った弾は盗賊の頭をかすめる
盗賊「ぅあ!このクソガキが!」バンッ!バンッ!バンッ!
盗賊は満足したのか深雪の方に振り返る。その瞬間盗賊の頭が吹き飛ぶ
しばらくすると吹雪が駆け寄る
吹雪「ああもう…早く脱出しなきゃ…大丈夫!?」
深雪「大丈夫…がはっ…」
吹雪「大丈夫じゃないでしょ!行くよ!」
吹雪は部屋の窓から辺りを覗くと安全だと確認した
吹雪「大丈夫…誰もいないよ…急ごう!」ダッ
深雪も吹雪の後を追いかける
吹雪「その調子!頑張って!」
深雪はついてくるが急の立ち眩みで近くの机にもたれる
吹雪「っ!大丈夫!?ほら、掴まって!」
深雪「大丈夫…吹雪は…前を…お願い!…はぁ…はぁ…」ヨロッ
吹雪「ならちゃんとついてきて!」
少し進むと光が差し込んでくる
吹雪「ほら!……出口だ!あともうちょっとだよ!ほら!」
吹雪の言うとうり目の前に出口が見える
吹雪は必死に励ます。深雪も吹雪を心配させないように必死についてくく。そのとき
深雪「うっ…」グラッ…ドサッ
深雪は倒れてしまった
吹雪「ねえ!深雪ちゃん!?」
深雪「後ろだ…」
吹雪「え!?」クルッ
盗賊A「銃を持ってるぞ!気おつけろ!」ダッ
吹雪「こっちに来ないで!」バンッ!ッバッ!バンッ!
すると吹雪の拳銃が弾づまりした
吹雪「ああもう!もうっ!」ガチカチッガチャンッ
吹雪は拳銃を直すも構えたしかし遅かった。盗賊の一人がバールで吹雪の頭を殴る
吹雪「ぐあっ!くそっ!」バンッ!バンッ!
吹雪「はぁ…はぁ…深雪ちゃん!」ガシッ
深雪「うっ!…くっ…」トコトコ…
吹雪は深雪の肩を持つと出口に向かう
吹雪「扉を開ける…ここで待ってて!」ガチャ
吹雪「さあ早く!」
深雪「…はぁ…はぁ…わっ」ドカッ
深雪は階段を踏み外して外にでる。するとちょうど馬と馬を調べている盗賊と目があった
盗賊「なんだっ!」スチャッ
吹雪「まずいっ!」バンッ!バンッ!
吹雪は出会い頭に盗賊を撃ち殺す
吹雪「深雪ちゃん!大丈夫!?」
深雪「…大丈夫…早く…馬に…」
吹雪「わかった!」
吹雪は先に馬に乗ると深雪を後ろに乗せる。そのまま吹雪は研究所から離れていった
それから数分後
吹雪「…もう誰も来ないね…」
そのとき後ろに座っていた深雪が地面にこらがり落ちる
吹雪「深雪ちゃん!?大丈夫!?どうしよう…深雪ちゃん!」
しかし深雪から返事はない。ただ息はしていた。時間は午後の6時ぐらいだった。曇りで小さな粉雪が降っていた
それから数十分後
吹雪は深雪を担架に乗せてそれを馬で引きずって移動していた。吹雪は深雪を治療するために近くのショッピングモールに向かった。その後なんとか深雪を安全に寝かせる場所を手に入れるとさっそく治療の準備をしていた
吹雪「なにか…なにか無いの!?」ガチカチッ
吹雪は部屋中を探して次々と棚の引き出しを開けていく。すると最後の引き出しでビニールテープを手に入れる
吹雪「よし!」ダッ
吹雪はビニールテープを手に持つと深雪の元に向かった
吹雪「…息は…してるね…よかった…深雪ちゃん。体を横にするよ?」ググッ
吹雪は深雪の体を横にすると服をめくった。傷口がはっきりと見える
吹雪「ああ…ひどい…」ガサッ
吹雪は深雪の腹に布を巻くと先ほど持ってきたビニールテープで固定するとめくった服を元に戻し体を元に戻す
吹雪「これで少しは…深雪ちゃん…少し待っててね…なにか傷口を縫うものを探すから…」
吹雪「サラ…深雪ちゃんをお願い」
そう言うと吹雪は閉じていた店のシャッターを開く
吹雪「必ず戻って来るから…絶対」
ガラガラガラガラ…ガシャン…
吹雪はシャッターを閉めると鍵をかけた
吹雪「これで大丈夫…さて…ショッピングモールなら薬局位はあるでしょ…」トコトコ
吹雪は薬局を探すため一階を探した。しかしあるのは服屋だったりファーストフード店位しかなかった。吹雪はエスカレーターを使って二階に上がる
吹雪「無い…どこだろう…」トコトコ
吹雪は二階を探索していると薬局を見つける
吹雪「ヤマダ薬局…何かあるかな……」トコトコ
吹雪は薬局逃げ出した向かうと半開きのシャッターをくぐって店内に入る
吹雪「これは…」カチャ
吹雪は棚の上に置いてある瓶を取り出す…しかし中には何も入ってない
吹雪「もう!なかだけとって置いたの?悪質…」カランッ
吹雪は薬局の回りの棚を探して思った
吹雪「もう略奪された後かな…そうだ!」ダッ
吹雪はカウンターに入るとカウンターの後ろにある扉を開けようとする
吹雪「鍵がかかってる…あれは…」
吹雪は扉についてる小窓から扉の向こう側を探っていると赤白の救急箱を見つける
吹雪「なんとか入れないのかな…ん?…これは…」
吹雪はカウンターのレジに落ちていた一枚のメモを拾う
メモ内容
薬剤師の奴が狂乱になって襲ってきやがった。俺は全力で殴ったら薬剤師の奴が気絶しやがった。隣の人形ショップに閉じ込めたからこれを見たやつは助けを呼んでやってくれ。
解錠の番号 35-45-55
吹雪「薬剤師…鍵を持ってるかも……隣の人形ショップね…よし」
吹雪は薬局を出ると隣の人形ショップに向かった
吹雪「35…45…55…開けちゃった」ガラガラ…
吹雪がシャッターを少し開けるとそこから胞子が出てきた
吹雪「うわっ…胞子だ…」トコトコ
吹雪はショップ内に入ると薬剤師を探した
吹雪「…感染しないと分かっても…やっぱり吸いたくないな…あ、いたいた」
吹雪は白衣姿の薬剤師を見つけた。感染してから時間がたったのだろう…すでに薬剤師は動かず身体中にキノコの様なものが生えていた
吹雪「気持ち悪い…」ガサッゴソッ
吹雪は薬剤師のポケットを念入りに探す
吹雪「お願いだから生き返らないで…あった…」チャリッ
すると吹雪が鍵をポケットに入れた瞬間薬剤師の頭がガクッと動く
吹雪「うわっ!……ビックリした…早く薬局に戻らないと…」トコトコ
吹雪はショップからでようとしたとき聞いたことのあるうめき声が聞こえる
吹雪「…まずい…クリッカーだ…」
吹雪はシャッターを半開きの状態で入ったため感染者の足しか見えなかったが独特なクリック音で直ぐにクリッカーだと分かった
吹雪「…無駄な戦闘は避けるべきだね…それッ」ヒョイッ
ガシャーン…
吹雪は薬局とは反対方向にガラス瓶を投げる。するとクリッカーは音のした方向に走っていく
吹雪「これで大丈夫…さて…薬局に向かおう…」
吹雪は薬局に向かうと直ぐに鍵を使って扉を開けて中に入ると救急箱を開けた
吹雪「……そんな…空だ…もう!」ガッ
吹雪は救急箱を蹴ると辺りを見渡した。すると外にヘリコプターが墜落しているのが分かる。そのヘリコプターの機体には赤十字のマークがある
吹雪「軍のヘリコプターだ…あそこなら何かあるかも…」ダッ
吹雪はヘリコプターに向かった。モール内は天井が崩れており雪が中に積もっており不思議な気分だった
吹雪は回り込んでヘリの所に向かうとヘリの中に入る。バランスが悪いのか吹雪が乗るとグラッとした
吹雪「…やっぱり何にもないかな…あ、あった!」
吹雪は救急キットを手にすると直ぐに中を確認した
吹雪「…よし…全部ある…待っててね…絶対に死なせないから…」カチャ
救急キットの中にはアルコールの他にも針や糸など縫う道具。ガーゼやテープなどもある。吹雪はそれをリュックの中に入れて立ち上がった瞬間ヘリが大きく傾く
吹雪「きゃっ!……ビックリした…ゆっくりと行こう…」ギシッギシッ
吹雪はヘリから出ると深雪のいるお店へダッシュで向かった
吹雪「はぁはぁ…もうすぐで…」タッタッ
吹雪が通路に差し掛かったときに何か人の声が聞こえた。吹雪は近くの瓦礫に身を潜めると辺りを確認する
盗賊A「う、うわぁぁ!」ドサッ
クリッカー「ギヤアァァァッ!」ガブッ
盗賊B「この野郎!」バシュッ
盗賊C「くそっ!…おいB…ガキ二人にこんなことすることねえだろ…しかも女なんだろ?」
盗賊B「なめるなよ…奴等は手強いからな…それよりも辺りをくまなく探せ…まだいるはずだ」トコトコ…
吹雪「……ここまで来てたの…?」
吹雪は盗賊の落とした弓矢を回収すると銃の代わりに弓矢を持ち替えた
吹雪「…よしっ…まだ使える…無駄な戦闘は避けよう…それよりも早く深雪ちゃんを…」トコトコ…
吹雪は軽く準備を整えると近道の通気孔に入っていった。吹雪は余裕で通気孔をすり抜けると服屋に入った
そこには偶然にもクリッカーとそれに気づいて静かに移動する盗賊がいた
吹雪「いいこと思い付いた…それッ」
ガシャーン
吹雪は盗賊の近くにガラス瓶を投げるとクリッカー達がそこに向かう。盗賊達はもちろんクリッカーの強さを知っている。銃を何発も撃ちまくり大きな音をたててクリッカーと殺しあいをした
吹雪「…そう…殺し合えばいいんだ…」トコトコ…
吹雪はそのまま吹雪の外に出ると深雪を寝かせている店へと近づいてきた
吹雪「もう少し…ん?」ピタッ
吹雪はエスカレーターの近くに行く盗賊達が深雪を隠している店のシャッターをこじ開けようとしていた
吹雪「まずいっ!それッ」ヒョイッ
ガシャーン
盗賊達は突然ガラスが割れる音に驚くと辺りを警戒した
盗賊A「くそっ…なんだ…おいB早く鍵を壊せよ。後はここだけなんだからよ…」
盗賊B「ああ…もう少しだ…」カチャカチャカチャ
吹雪「……」スチャッ…ガチャ…
吹雪は瞬間的に猟銃のボルトを引いて弾丸を装填すると照準をこじ開けようとしている盗賊の頭を狙った
バァンッ!
吹雪の射撃で盗賊Bの頭が吹き飛ぶ。すかさず盗賊達は警戒体制に入った。吹雪は回り込みながら警戒ながらじっとしている盗賊を一人ずつナイフで無力化していった
流石に盗賊の半分を無力化すると残りの盗賊達が気づきはじめる
盗賊A「おい!…おかしいな…左側の奴らからの返事が無いな…どうゆうことだ…さっきの銃声といい…まさかっ!」ダッ
吹雪はその盗賊達があたふたしている様子を二階から覗きながら笑う
吹雪「…遅すぎだよ…」フッ
吹雪はそう言うと弓矢をリュックから取りだし反対側の盗賊の一人を殺した
吹雪「…人って脆いんだね…」ハッ
吹雪「いけない…なんてこと考えるの…だめだよ…絶対…」スチャッ
バンッ!バンッ!
吹雪は自分に叱ると立て続けに二人の盗賊を猟銃で無力化する。銃声を聞いた盗賊達は直ぐにエスカレーターをあがって吹雪のスナイピングエリアに向かった。と言っても吹雪の攻撃で盗賊はほぼ壊滅状態で残りは二人か三人程だった
盗賊A「どこだガキ!」ダッ
盗賊達は吹雪がいたはずの店に入ると店内を捜索した
しかしどこを探しても吹雪は見当たらない。盗賊達は次第に恐怖感に襲われる
盗賊B「なあ…やべぇって…もう帰ろうぜ」
盗賊A「ここまで来て下がれるかよ…このまま帰ったら殺されるぜ」
盗賊C「おい…なんかキッチン辺りで黒いのが動かなかったか?ちょっと見てくる」トコトコ
盗賊の一人がキッチンに向かった。その後一瞬の叫び声となにかが落ちる音がキッチンの奥で響く
盗賊B「なんだ!?」
盗賊A「キッチンの奥だ!行くぞ!」ダッ
二人の盗賊はキッチンの奥に向かうと床が何となく滑るのに気付く
吹雪「遅かったよ…お兄さん達」
盗賊A「うわっ!」スチャッ
バンッ!
ドサッ
盗賊B「ひ、ひいっ!わ、悪かった!」
吹雪は銃を構えようとした盗賊の一人を撃ち殺すと銃口を最後の一人に向ける
吹雪「床が滑るでしょ?それは油なの…本当は3人とも火で焼き殺そうかと思ったんだけどあまりにもむごいから撃ち殺すことにしたの」スチャッ
盗賊B「す、すまなかった…俺が悪かったよ…な、なあ…命だけは助けてくれないか…?」
吹雪「許せない…」
盗賊B「へ?」
吹雪「許せない…深雪ちゃんを殺そうとしたくせに…」
盗賊B「深雪…?何それ…」
バンッ!バンッ!
盗賊B「…ぐはっ…」ドチャッ…
吹雪「……は、深雪ちゃん!」ダッ
吹雪は深雪のいる店へ向かうと鍵を外して店内に入る
吹雪「深雪ちゃん!」ダッ
吹雪はシャッターを閉めると深雪の元に向かった。そして息をしていることを確認すると安心する暇もなく治療の準備をしだした
吹雪「だ、大丈夫…艦娘時代の時に習ったもん…大丈夫だよ…」スッ
吹雪はキットから針と糸などを取り出すと傷口を確認した
吹雪「…絶対に助けるから…絶対」
数時間後
吹雪は無事に深雪を治療すると担架に深雪を乗せてそれを馬で引きずった。吹雪は外の扉を開けるとかなりの風と雪が飛んでくる
吹雪「…寒い…でも…諦めない」
吹雪はサラの首辺りをさすり覚悟を決めると吹雪の中に消えていった
それからやく一週間が過ぎた頃。吹雪は安全な山奥の村に身を隠した。
辺りは雪が降ったお陰で真っ白だ。
吹雪は村のとある家を隠れ家にして生活をした。吹雪の本来の目的は大病院に向かうことだが吹雪はそれ以上に重要なことがあった
吹雪「深雪ちゃん…」
深雪が負傷している今はそう遠くに行けない。吹雪は今日も狩りの支度をするために武器を手に取る
吹雪「銃は…猟銃と弓矢でいいかな…拳銃は…やっぱりもってこっと…」ガサゴソ
吹雪は置いていた拳銃をホルスターに戻すと車庫の扉に指を掛けた
吹雪「じゃあいってくるね」ガラガラガラガラ…
ガシャン
とある山奥
吹雪「……」キリキリキリキリ…バシュッ!
ストンッ!
吹雪「……よかった当たって…でもウサギか…こんな山に野うさぎなんていたんだ…まあいいや…」ザッザッ
吹雪は馬の所に行くとウサギを縄で馬にくくりつけた。その時吹雪の視界内で何かが動くのを感じた。吹雪は直ぐにその方に向かうと一匹の大きな野生の鹿がいたのだ
吹雪「…やるしかないね…」ザッザッ
バキッ
吹雪は弓の有効射程まで鹿に近づこうとしたとき地面に落ちていた枝を踏んでしまった。甲高い音が一瞬鳴ると鹿はそれに気づいて奥に行ってしまった
吹雪「長くなりそう…」ザッザッザッ
吹雪「見つけた…今度こそ…」キリキリキリキリ…バシュッ!
ブスッ ヒイイイィィィ…
吹雪が飛ばした矢が鹿の腰辺りに命中すると鹿はそれに驚き更に奥に行ってしまう
吹雪「あの傷で生きてるなんて…」ザッザッザッ
吹雪は鹿の傷口から落ちる血痕を追って鹿のいる場所に向かった。地面は真っ白で鹿の血痕はとても分かりやすかった
間もなくすると吹雪は鹿の場所に到着した。そこはなぜか辺りに村が存在していた
吹雪「こんなところに村があったんだ…」ザッザッ
吹雪が鹿に近づこうとしたとき吹雪は人の気配を察知した
吹雪「…っ!…誰!?」スチャッ
吹雪は瞬間的に弓矢より射程も威力も高い猟銃を構えるととある木の影に照準を定めた
??A「おうおう…よく気づいたな…待ってくれよ。敵じゃない」
木の影から二人の男が出てきた。そのうち一人は拳銃を…もう一人は猟銃を持っていた
吹雪「っ銃を捨てて!」スチャッ
??B「なに!?」スチャッ
??A「おいおい!…やめろ…彼女の言うとうりにしろ…」
そう言うと二人の男は銃を吹雪の足元に落とす。吹雪は猟銃と拳銃の弾だけをとって直ぐに構え直した
吹雪「あなたたち誰!?」スチャッ
??A「まあ落ち着けよ?俺たちは悪い奴等じゃないからさ…」
吹雪「ふざけないで!…こう見えて私は元艦娘なんですよ!?」スチャッ
??A「ほう…艦娘に小さな女の子…そう言うことか…」
吹雪「何を言ってるの!」
??A「いやいや…何でもない…それよりも勘弁してくれないか?鹿も俺たちにくれないか?俺たちの隠れ家には女子供もいるんだよ…」
吹雪「私達も女子供だけど?」
??A「私達?達ってことは他にもいるのか?」
吹雪「あ…」
??A「もしかしてそいつは怪我してるんじゃないのか?」
吹雪「っどうしてそれを!?」スチャッ
??A「おっと…かんだよ…何かがいるんだろ?モルヒネか?それとも消毒液か?ガーゼもこっちにはあるぞ?」
吹雪「…友達が怪我をしてるの…お腹を貫通しちゃって…」
??A「そうか…なら取引をしないか?」
吹雪「取引…?」
??A「ああ…俺達は欲しいものをやる代わりにその鹿を俺達にくれないか?」
吹雪はしばらくの沈黙のうちに口を開く
吹雪「…分かった…でも!薬が先だから!」
吹雪はすこし威嚇するように構えながら言った
男は落ち着いた感じで横の男に命令して薬を取りに行かせた
吹雪はその落ち着いた感じが女だから…子供だからと油断しているように見えて怒りを感じた
佐藤「それよりも名前を教えてくれないか?俺は佐藤って言うんだ」
吹雪「………吹雪…」
佐藤「吹雪…聞いたことあるよ…艦娘ね…」
男は吹雪の身体をじっ見る
吹雪「…な、なに…」スッ
吹雪はすこし警戒して猟銃のグリップをぎゅっと握った
佐藤「なあ…落ちつけよ…なんにもしないさ」
吹雪(何が落ちつけなの…無理に決まってるでしょ…さっきから私の足ばっかりみて…気持ち悪い…)
吹雪はそう思うとすこし身が震えた。辺りはすこし寒かったからだ。まだ軽くではあるが粉雪が少しだけ降っていた
佐藤「ああ…寒いだろ?あそこに建物があるんだ。焚き火をして薬が届くのを待ってないか?」
吹雪「…分かった…先に進んで…」スッ
佐藤「はいはい…」ザッザッ
吹雪は男に前を歩かせながらその建物に向かった。その時吹雪はなにやら嫌な予感がしていた。目の前の男から殺気のような何かを
しばらく歩くと吹雪と男はとある倉庫のような所に行くとたどり着いて焚き火で薬が届くのを待っていた
パチッ…パチッ…パチッ…
しばらく焚き火の音しか聞こえていなかったが急に男が口を開いた
佐藤「な、なあ…別に何も悪いことはしないさ…だろ?」
吹雪「……信用できない…」スッ
吹雪は猟銃の引き金に指を掛けたまま男の一つ一つの動きをうかがう
するとどこからか声が聞こえる。それは何年もこんな世界に生きていると嫌でも分かる声だ
吹雪「感染者…!そんな!この辺りにはいないはずじゃ!」ダッ
吹雪が割れた窓口から外を覗くと色んな所から感染者が走ってくる
佐藤「くそっ!何でだ!」スチャッ
吹雪「なっ!」スチャッ
吹雪は驚いた。男は脇から銀色に光る拳銃を取り出したのだ。そのまま男は感染者と交戦する
吹雪「ど、どうして!銃なんか!」ガチャ…バンッ!ガチャ…バンッ!
吹雪は感染者と交戦しながら男に質問する
佐藤「そんなことより先ずは戦闘に集中しろ!来るぞ!」バンッ!バンッ!
吹雪「くっ!」ガチャ…バンッ!
吹雪は立て続けに三体の感染者を撃ち殺す。男も時々吹雪を見ながら感染者を撃ち殺す
バンッ!…バンッ!…バンッ!…バンッ!
ガチャ…バンッ!ガチャ…バンッ!ガチャ…バンッ!
数分間撃ち続けると感染者は全くやって来なくなった
吹雪「…イタイ…」スッ
吹雪は立て続けに何度も猟銃を撃ったせい猟銃を支えていた脇と肩がじんじんと痛む
吹雪「はぁ…今すぐ銃を捨ろ!」スチャッ
吹雪は猟銃を構えて男を脅すと男は拳銃を吹雪の足元に落とす。同時に吹雪は男をうつ伏せの状態にして身体検査を行ったが股の部分はチェックしなかった。それに男がちょっかいをだす
佐藤「いいのか?もしかしたらそこにマグナムがあるかもしれないぜ?もしかして…触れない?」
吹雪「…からかわないで気持ち悪い…それに貴方に喋る権利はない」スチャッ
しばらくするとまた男が口を開く
佐藤「でも助かったろ?」
吹雪「運が良かっただけ」
佐藤「運だって?いやいや…」
男は軽く笑うと話続けた
佐藤「俺が思うに運は存在しない。すべてはな…運命なんだよ」
吹雪「運命?」
佐藤「ああ…少し話をしよう…俺は…食料を探しにチームを街に送ったんだ…結局帰ってきたのは数人だけ…で、そいつらはとある二人の…女の子立ったそうだ…」
吹雪はしばらく考えると直ぐに自分等の事だと気づいた。そんな女の子二人組で大人の男たちを殺すなんて吹雪と深雪いないじゃないかと。吹雪は直ぐに猟銃を構えて男から距離をとった
吹雪「やっぱり!」スチャッ
佐藤「おいおい…お前は悪くない…少し…ガキなだけだ」
佐藤「おい、山田。銃を下ろせ」
吹雪は振り替えると自分に銃口を向けた男が扉の前にたっていた
山田「断る!生かしておけるかこんな女!」
佐藤「いいから…」
そう言うと山田は銃を下ろして佐藤の横にたった
佐藤「薬を渡してやれ」
山田「こんなのみんな納得しないぞ…」ポイッ
佐藤「お前は気にするな」
吹雪はその場に落ちている男が持ってきた薬のセットをリュックに入れると猟銃を構えたまま出口を出た。すると佐藤は吹雪に話す
佐藤「冬の寒さはきびしい…」
佐藤「守ってやろうか?」
吹雪「…余計なお世話」ダッ
吹雪はしばらく来た道を戻ると馬の所にもどって直ぐに深雪の元に戻った
しばらく馬を走らすと深雪のいる車庫にたどり着いた。吹雪は馬から降りて馬を中に入れると車庫のシャッターを下ろした
吹雪「深雪ちゃん…」
吹雪が深雪の名前を呼ぶと深雪は口から白い吐息をだした
吹雪「良かった…ごめん…食べ物は少なかったけど…これ…」
吹雪はリュックから薬を取り出すと注射器を取りだしモルヒネの様なものを取り出した
吹雪「ちょっと痛いけど我慢してね…」ブスッ
深雪「うっ……」
吹雪「ごめんね…でも直ぐに良くなるから…」スッ
吹雪はリュックを枕がわりにして深雪の隣に横になった
吹雪「大丈夫だから…」
すると吹雪は眠りについた
吹雪「………ん?」
吹雪は何かに起こされるように目を開いた。外を覗くとすっかり雪は止んでいたがまさかと思う光景が目に飛び込む
吹雪「…あの人たち!…やっぱり尾行されてたんだ!」ダッ
吹雪はリュックを背負い猟銃や弓矢ショットガンを肩に掛けた。そしてホルスターに拳銃を突き刺すと静かにシャッターを開けて馬に乗った
吹雪「こっちを見ないで…」カツカツッ
吹雪は右側の盗賊達に気を配りながらゆっくりと村を抜けようとする。目視で何十人もいそうだ
吹雪は走りだそうと馬に指示を出そうとしたとき反対側から盗賊が襲ってきた
吹雪「わっ!」グラッ
盗賊「このやろう!馬から降りやがれ!このっ!」ググッ
吹雪は一瞬ひるんたが直ぐに体勢を立て直し腰につけていたナイフを盗賊の首元に突き刺す
吹雪「はぁはぁ…しまった!」ダッ
吹雪は盗賊達のいた方向を見ると直ぐに走り出した。盗賊達が先程の騒動を聞き付けてやって来たのだ。あるものはバットを片手に…あるものは猟銃で吹雪に狙いを定めていた
吹雪「走って!もっと早く!」ダッ
バンッ…ピシュッ!
遠くから一発の銃声が聞こえたかと思うと弾丸が吹雪の顔をすれすれを通過した
吹雪「あ、危ない!…早く!もっと!」ダッ
吹雪は村の端に…出来るだけ深雪の場所から離れたところまで盗賊達を誘導した
吹雪「危ない危ない!」
バンッ!バンッ!バンッ!バンッ!
バシュッ!
盗賊達の放った弾丸乗ったうちに一発が馬の腰に命中すると馬は体勢を崩して近くの崖に転げ落ちてしまった
吹雪「…痛たた…サ、サラ!」ダッ
吹雪はギリギリ無事だったが馬のほうはもうだめのようだ
その時崖の上の方から盗賊達の声が聞こえる
盗賊A「おい!みんな!崖から落ちたぞ!」
盗賊B「どこだ!死んだか!?」ダッ
盗賊A「いや!見えなかった!今から確認する!」ダッ
吹雪「まずい!どこかに隠れないと…」ダッ
吹雪は目の前にある建物に身を潜めると装備を確認した
吹雪「ショットガンの弾は…少ない…盗賊から盗むかな…猟銃は大丈夫…拳銃も…うん。大丈夫…」ガサッ
吹雪は進むと崖とは反対側にある窓を乗り越えて外に出た。すると盗賊達の会話が聞こえる。吹雪は身を潜めた
盗賊A「くまなく探せ!必ずここを通ったはずだ!見つけ次第殺せ!」スチャッ
盗賊B「ちょっと待てよ!佐藤さんは殺すなって…生け捕りにしろって…」
盗賊A「ふん、奴の命令なんて知るか。その女は俺らの仲間を散々殺したんだぞ?それを生け捕りなんて…その場で殺してやる」
盗賊B「それは許せねえな…殺しちまおう」スチャッ
吹雪「気づいてないね…良かった。よし…私ならやれる…」ザッザッ
吹雪は建物の辺りを巡回する盗賊達を避けながら進むとホテルのような建物に入った
吹雪「ここを抜ければなんとかなるよね…」トコトコ…
吹雪はホルスターから拳銃を抜くと辺りを見渡しながら少しずつ出口に近づいていく
すると奥から二人の盗賊がやって来る
盗賊A「おい。あの女がここにいるってのは本当か?」トコトコ
盗賊B「ああ…だがどこにもいやしねえ…」トコトコ
バンッ!バンッ!
ドサッ…
吹雪「のろすぎ…早くここを脱出しよう…」トコトコ
吹雪はホテルの外に繋がる扉を開けようとしたが向こうの物が邪魔をして扉を開けない。吹雪は勢いよく何度も押すと扉が開いた
吹雪「やった!これで外に出られ…ぐあっ!」ググッ
吹雪は真後ろから来ている人物に首を絞められる
吹雪「ぐぅ…うっ…がぁ!」ググッ
吹雪は腰からナイフを取りだしその男に突き刺そうとするがその腕も防がれる
するとどこかで聞いたことのある声がその男から発せられる
佐藤「頼む…殺したくないんだ…頼む…」ググッ
吹雪「うっ…ぐっ…」グ…グッ…
吹雪は次第に力が抜けていき手に持っていたナイフを落とすと気を失ってしまった
ダンッ…ザクッザクッ…ダンッダンッ…ザクッ…ダンッ…
吹雪「…ん…う……」ムクッ
吹雪は謎の音に目を覚ますと目の前にはフェンスの扉を挟んで奥で男が肉をさばいていた。どうやらここは建物の部屋の一角のようだ。辺りはコンクリートで囲まれ息苦しさをも感じさせる
吹雪「…うっ…く…」
吹雪は頭を押さえながらフェンスの金網に手を掛けた。すると手を掛けた音に気づいたのか男が握っていた中華包丁を調理台に突き刺すと舌打ちをして部屋の奥に行ってしまった
吹雪「ふんっ!このっ!くっ!」ガシャガシャ!
吹雪はフェンスの扉をこじ開けようとしたが南京錠で繋がれてびくともしない
吹雪は苦戦していると聞いたことのある声が聞こえ吹雪は顔をあげる
佐藤「調子はどうだ?」トコトコ
その男はお盆に食事をのせながら近づいてくる
吹雪「ふんっ…最高だよ…」
佐藤「ほら…食べなさい…」ガチャ
男は食べ物ののったお盆をフェンスの下の隙間から差し出す
吹雪「……何の肉なの……?」
男は目をそらして頭をかくと答える
佐藤「鹿だよ…ほら…この前の…」
吹雪「…他の肉も混ざってるでしょ…」
佐藤「…いや…鹿だけだ…約束するよ…」
吹雪「このけだもの…」サッ
吹雪はその場に座ると食べ始めた
佐藤「…なあ…決めつけるのは早いぞ。君と友達だって何人殺した?」
吹雪「他に方法がなかった」
佐藤「ああ…俺らだって同じだ…だろ?」
佐藤「殺すから…生きられる」
佐藤「みんなそうさ…生きるためには何でも…やっていくしかないんだよ」
吹雪「だからなに?……生きるために私を切り刻む?」
佐藤「いや…やめておこう…名前を教えてくれ」
吹雪「…は?昨日教えたはずだけど?」
佐藤「…いや…忘れてしまってな…」
すると吹雪は地面にあった食器を蹴りあげてフェンスの向こうに飛ばす
吹雪「あんたは最低だ…」
佐藤「いや…これは誤解だよ…俺は正直なだけだ…お前も正直になれよ!他の奴らを説得できなくなる」
吹雪「説得ってなに…?」
佐藤「仲間になるって…わからせる…君は…特別だと…」サッ
すると男はフェンスに手を掛けていた吹雪の手を触る
吹雪「ああ…そう…」スッ
吹雪はもうひとつの手を男の手を触る…と、瞬間的にその男の指の1本を逆側にへし折る
佐藤「ぐあぁぁっ!」
吹雪は右手で男の腕を掴みもう片方で男の腰にぶら下げてあった鍵を取ろうとする…が…もちろん男の力に勝てずにそのまま何度も扉に叩きつけられ吹雪は腕を離して地面に転がる
佐藤「はぁ…はぁ…この!バカなクソガキめ!」ハァハァ…
佐藤「お前を生かしておくのが実に難しくなったぞ!」
佐藤「仲間になんて言えばいいんだ!」
男は折れた指を押さえると悶えた
吹雪「…吹雪」ハァハァ
佐藤「何?」ハァ
吹雪「こう言って…女の子の名は吹雪で指をぶち折られたってね!」
しばらくすると男は喋りだした
佐藤「…何て言ったかな…そう…」
佐藤「切り刻むだ…明日の朝会おう…」サッ
男はそう言い残すと奥の部屋に消えてしまった
吹雪「…くっ…」サッ
吹雪は脱力すると部屋の角に体操座りした
車庫にて
深雪「………うぐっ…はぁはぁ…ふ、吹雪…」ムクッ
ズキッ…
深雪「うっ……吹雪…どこに…吹雪…吹雪!」ググッ
深雪は立ち上がると直ぐに近くの椅子に座り込んだ
深雪「病み上がりは寝てろってか?……吹雪のやつ…私の事気にして傷口を縫ったね…あんまり傷が目立ってないや…ふふ…」
深雪は落ち着くとリュックを背負い武器を肩に掛ける
深雪「……あれ?ショットガンがない…吹雪が持っていったのか…うっ……」グラッ
深雪は何とか体勢を立て直して立ち上がると玄関の扉を開けた
深雪「…ふ、吹雪ぃ!……はぁはぁ…いない…」ザッザッ
深雪はそのまま村を進むといきなり銃声が鳴り響く。かと思えば弾丸が深雪の頬をかすめる
深雪「うおっ!痛い…くそっ!」バンッ!バンッ!
深雪は拳銃を取り出すと盗賊達に目掛けて撃ちまくった
深雪「…何とかとうざけたかな…いいリハビリだよ全く…」トコトコ…
深雪「…吹雪…大丈夫か…どこだ…」ザッザッ
深雪「…ん?……ここから行けば近いな…よし…」ザッザッ
深雪は建物に入って近道をしようとした。そして深雪が窓枠を越えたとき真横から急に首を絞められ深雪は慌てる
深雪「うぐっ!がぁっ!」ググッ
盗賊A「へへっ!捕まえたぜ!」ググッ
盗賊B「よし…そのまま捕まえてろよ。俺が一突きで殺してやる」シャキン…
すると男は深雪の前に立つとナイフを構えた。そしてナイフが飛んでくる。深雪はギリギリのやつ所で男の股を蹴りあげるとその男はあまりの痛さにその場にうずくまる
盗賊B「うぐっ…うう…」ドサッ
深雪「次っ!」ガッ
深雪は自分のかかとで後ろの男のすねを削る。男が怯むと深雪はその男に股蹴りをお見舞いする
深雪「さあっ!はぁはぁ…ちょっと来てもらおうか!」ハァハァ…
深雪はそう言うと二人を順番に近くの物置小屋に連れ出して拘束する
深雪は一人を椅子に縛りつけてもう一人をその場にしゃがませる。もちろん拘束してだが
深雪「…さてと…」ガガッ
深雪はもうひとつの椅子を持ってくると椅子に縛り付けた男の前に座り込む
深雪「女の子だ…生きてるか?」
盗賊A「女の子だ?そんなの知らねえよ!」
すると深雪は片手に持っていたナイフを男の膝に突き刺す
盗賊A「ぐあぁぁっ!…ああっ!」ググッ
深雪「いいかよく聞くんだ…このままお前の膝を割る…どうだ?」ググッ
すると男は耐えながらも激しく頷き答える
盗賊A「い、生きてる!がはっ…佐藤のペットにされてるっ!」ググッ
深雪は男の耳元でささやく
深雪「どこだ…」バキッ
盗賊A「ぐあぁぁぁぁっ!?」ガクガクッ
深雪「喘いでないでなんかいってよ!?」ググッ
盗賊A「町だ!町にいる!」ウグッ
深雪は男の膝に刺したナイフを引き抜くと男に噛ませて深雪はこの辺りの地図を取り出す
深雪「地図に印をつけろ。嘘つくなよ。仲間にも同じ質問をするつもりだからな…」
男は震えながらも地図に印をつける…ナイフについた自分の血で
男はナイフを地面に捨てると喋りだす
盗賊A「ここだよ!間違いない!あいつにも聞け!本当だよ!」
深雪は立ち上がり男の後ろに回ると行きなり深雪は男の首を締め始めた
。深雪は絞め続けて首をへし折り椅子ごと男を倒す
盗賊B「なんだよ!ちゃんと教えたじゃないか!お、俺は喋らないぞ…」
深雪「そう…ならしょうがないね」カランッ
深雪はそう言うと近くに落ちていた鉄の棒で男の頭をかち割った
深雪「待ってて吹雪…絶対助けるから…」トコトコ…
深雪は荷物を整えて車庫からでると地図に印された場所に向かった
トコトコトコトコトコトコ…ガチャ
吹雪「……うあっ!」ググッ
吹雪は目を覚ますと同時に二人の男に拘束されながら調理台まで運ばれる
男「おら…来いっ!」ググッ
吹雪「は、離して! いやっ!」ググッ
吹雪は懸命に男二人から逃げようとするが大人に敵うはずもなく調理台の前まで連れてこられた
吹雪は二人のうちの一人…佐藤の腕を思いきり噛んだ
佐藤「ぐあっ!このっ!」ガッ
吹雪「うぐっ…」グラッ
吹雪は佐藤に腹を蹴られて怯むとそのまま調理台の上に寝かせられる
そのまま佐藤は包丁を振り上げて喋る
佐藤「だから言ったろう!」スッ
すると吹雪はこう叫んだ
吹雪「感染してる!感染者なの!」
佐藤「ははっ…そうか…」
吹雪「はぁ…はぁ…アンタもね…」
すると佐藤はへへへっと笑う
吹雪「二の腕だよ!袖めくって!見なよっ!」
佐藤「はっ…面白い…」ガッ
佐藤は振り上げていた包丁を吹雪の顔の真横の調理台に突き刺す
吹雪「ひっ…」ビクッ
スッ
佐藤「……なんだこれ…」
しばらくの沈黙のうち吹雪が喋る
吹雪「…なんだっけ…すべての出来事は運命だ」
男「なんだよそれっ…」
男は動揺したように話しかける
佐藤「う…嘘だ…もう発症するはずだろ!」
男「どう見たってそれ本物だろう!」
すると吹雪は隙を見て刺してあった包丁を引き抜き男の首めがけて叩き刺す
男「ぐえっ!…」グラッ
吹雪「くっ!」サッ
吹雪はとっさに調理台の影に身を隠した。佐藤は拳銃を取りだし構えた
吹雪「今だ!」ダッ
バンッバンッ!
銃弾が吹雪の体をかすめると吹雪はつまずいて地面に倒れたが直ぐに体勢を立て直して奥の部屋に隠れた
吹雪「はぁ…はぁ…よしっ」スッ
吹雪は近くに落ちていたナイフを引き抜くと扉を開けて外に逃げ出した
―うわっ…凄い吹雪…前がまったく見えない…
辺りには雪が積もり道さえもわからない。それに凄い音だ。しかしこれはこれでチャンスだ
吹雪の音で多少の音なら誤魔化せるし視界が最悪のためステルス行動にはもってこいの状況だ
吹雪「くっ…寒い…」ザッザッザッ
吹雪は小走りで商店街に逃げ込む。するとうしろで佐藤とおぼしき人物の声が聞こえた
―さっきの声だ…やばい…早く逃げないと…
吹雪は右手にナイフを握りしめると縮こまりながら進む
しばらくすると吹雪はとある店に侵入していた。そして外をうろつく盗賊達を発見すると商品棚に隠れて様子を見た。すると巡回の一人が店内に入ってきたではないか
―マジか…静かに…そう…そーと…
吹雪は上手く盗賊の後に回り込むと背中に抱きつきその男の首を切り裂く
吹雪「何か飛び道具は…あったぁ…」スチャ
吹雪は盗賊の持っていたリボルバーを手に取ると弾数を確認した
―3発か…まぁ無いよりはましかな…
吹雪はリボルバーをお尻のポケットにしまうと崩れた店の壁から外にでた
―早く深雪ちゃんに合流しないと…
それから吹雪は深雪のいる隠れ家に向かうため北に移動した。もちろん猛吹雪の中一人で盗賊達から逃げながらだ。そして吹雪はとあるレストランの店内に浸入した
吹雪「…ここであってるはず…」トコトコ…
吹雪は嫌な予感がした。店内には電気が通っており店内は明るく照らさせれていた。つまり何者かがここを使っていたことになる
―でも…ここを通らないと深雪ちゃんの所に行けない…大丈夫、なんかあったら殺せばいい…
吹雪はナイフをポケットにしまうとお尻のポケットにしまってあったリボルバーを取り出す
吹雪「店内は…誰もいない…罠?」トコトコ…
吹雪はそう呟くと店の出入口に近づき扉を開けた瞬間
ガッ
吹雪「わあっ!」ガバッ
吹雪は急に現れた男に拘束されかけると必死に抵抗して男の顔を確認した
佐藤「見つけたぞ」ガッ
―…なんで…
吹雪「うわっ!」バキッ
吹雪は男に振り回されて床に叩きつけられる
―痛ったぁ…最悪…
佐藤「つけやすかったぞ?」
吹雪「くっ!」ダッ
吹雪は四つん這いになりながらも男の視界から隠れようとして机に隠れる
佐藤「おっと…まぁいい。ここから出たいか?なら鍵を探せ!ほら?どうした?鍵はここだ!」
すると男は腰に掛けてある鍵をじゃらじゃらと見せつけるとライターで店に火をつけた。その火は少しずつ広がる
吹雪「どうやって…」サッ
吹雪はリボルバーを取り上げられ後はナイフしか無い
―上手く後に回り込んでナイフで刺すしか…よし
吹雪はとあるカウンターに身を潜めてチャンスを伺った
佐藤「あのときはびびったよ…傷の話だ…感染してないな。感染していたらこんなに生きようとしない」トコトコ…
―あ、やばい…ここだとあいつに見つかる…移動しないと…
吹雪は横に移動しようとしたとき割れた皿を踏んでまう
ガシャンッ
吹雪「あっ…」
佐藤「見つけたぞ!」サッ
ヒュンッ!
男はナイフを勢いよく振ると吹雪の頬をかすった
吹雪「うわっ!」ダッ
吹雪はあともう少し反応が遅れていたらと思うとゾッとする。そして全力で逃げる
佐藤「まてっ!」ダッ
吹雪に続いて男も走る
―やばいやばい!
吹雪は走りながら後ろを振り返ると
男がニヤニヤしながらナイフを振り上げて走ってくる
―ああ…腰が抜けそう…
吹雪はなんとか男の索敵から逃れると息を整えた
―私…震えてる…なんで…
ここで殺さないと殺される。殺られる前に殺れだ
吹雪はナイフをしっかり握ると男の隙を伺う
そして男が吹雪から背中を向けた瞬間
吹雪「やあぁあぁぁあぁっ!」ダッ
吹雪は男の背中に飛び乗るとそのまま反動を利用してナイフを腹に突き刺す
佐藤「うぐぅ!」ガシッ
吹雪「うあっ!」ガンッ
吹雪は男に投げられ壁に頭を打って気絶する。男も悶えながら失神した
深雪「はぁはぁ…どこだよ…吹雪…」ザッザッ…
深雪は猛吹雪の中吹雪を探していた
深雪「ここか?」ガチャ
深雪はとある貯蔵庫に浸入すると吹雪のリュックを見つける
深雪「どうして吹雪のリュックがここに…」サッ
深雪は吹雪のリュックを方に掛けるとさらに奥に進む
深雪「うわっ………何てこった…ここの連中は狂ってるよ…」
そこには五人の男女が首吊りをされていた
深雪はよからぬ想像をする
―まさか吹雪のリュック…そしてこの死体…吹雪は…そんな…嫌だ…絶対見つける…まだわからないじゃん…
深雪は出口を探して明かりのあるところに向かう。そして扉を開けると猛吹雪が深雪を襲う
深雪「くっ…凍え死んじゃうよ………」
すると深雪はある建物に目がつく
―なんであのレストラン燃えてんだ…まさか…
バチッ…パチッ…パチッ…
炎の燃えるなか吹雪は目を覚ます
吹雪「…うっ…あっ…はぁ…はぁ……」ググッ
吹雪はなんとか四つん這いになると隣をみた
―あの男まだ生きてる…
吹雪はそう思うと辺りを見渡した
するとちょうど三メートル先に大きな包丁が落ちていた
吹雪は止めを刺すためその包丁に向かって進み始める
意識がもうろうとするなか四つん這いでゆっくり移動するしかなかった
少しずつ…少しずつ…あと1メートル…あと50センチ…
そのときいつの間にか追い付いた男が吹雪の腹を蹴る
吹雪「うあっ!」ドサッ
佐藤「はぁ…はぁ…諦めたっていいんだぞ…」
吹雪は渾身の力を込めて進む少しずつ…あと30センチ…
そしてまた吹雪は腹に蹴りをくらう
吹雪「ああっ!はぁはぁはぁ…」ズズッ
男は懲りないの吹雪の上に乗り掛かると頭を押さえ込んだ
吹雪「うぐっ…クソ野郎!」ググッ
佐藤「あ?なんだって?」ググッ
男は吹雪を仰向けにさせるとそのまま吹雪の首を締める
吹雪「ひっ、うっ!」ググッ
佐藤「俺を分かったつもりか?あっ?」ググッ
吹雪は必死に手を伸ばして包丁をとるとそのまま…
吹雪「はぁっ!」ザシュッ!
吹雪は男の首を切り裂くとそのまま男の上に乗りかかりなんども男の頭を包丁で叩き斬る
何度も何度も何度も何度も何度も…
深雪「はっ!吹雪!やめろ!吹雪!吹雪!」ダッ
深雪は吹雪を見つけるとそのまま吹雪をすでに息絶えた男から引き離して話しかける
吹雪「いやぁっ!離して!来ないで!」ググッ
深雪「吹雪!私だよ!深雪だ!吹雪!」
吹雪「…はぁ…はぁ…み…深雪…?」
深雪「そう!深雪!吹雪!大丈夫か?」
吹雪は無言でうなずく
それから深雪は軽く混乱状態の吹雪に肩をかすとそのままレストランを後にした
吹雪と深雪はすでに破棄され使われなくなった高速道路を進み病院を目指した
高速道路には乗り捨てられた車やバスがあちこちに散らばっていた。もちろん高速道路の下、普通道路もだ
。吹雪は高速道路の壁に描かれた壁画を見ていた
…き…ふぶ…吹雪!
吹雪「あ、うん。なに?」
深雪「さっきの話聞いてたの?」
吹雪「あ、ごめん…なに?」
深雪「見て…病院だよ。高速はここで降りよう」
吹雪「うん」トコトコ…
吹雪は深雪についていく
深雪「いい風だなぁ…こんな日には隊の皆でピクニックでも行きたいよね…椅子に座って…サンドイッチ食べて…あ、家に帰ったら教えてあげるよ。色々ピクニックに必要なもの」
深雪「うん、絶対楽しめるよ」トコトコ
深雪「ねえ…聞いてる?」
吹雪が少し遅れて返事する
吹雪「あ…ああ…うん…いいと思うよ」トコトコ…
深雪は何となく吹雪の様子がおかしいのに気がつく
深雪「どうしたの?吹雪」トコトコ…
吹雪「あ、いや…なんでもないよ?それより乗り換えここじゃない?」
吹雪が指差すと深雪は驚く
深雪「あちゃ!よし…行こっか」
吹雪「…うん」トコトコ…
それから吹雪と深雪は乗り換えを使って降りると地面に足をついた。道路のアスファルトの割れ目からは雑草が生い茂っており都会が半分ジャングルに見えてくる
深雪「見てみて…この街も…隔離されて捨てられたんだ」
吹雪は顔を上げて確認する。確かに見るところにゲートが設置されたりガードがあったりと隔離されていたのは確認できる
深雪「ここを通っていこう」サッ
深雪は建物を指差すと進み始めた
吹雪「うん」トコトコ…
深雪は病院のある方向に壁にあいた穴を見つけるとそこへ向かった
深雪「ああ…この高さは二人で上らないと無理かな…吹雪!手伝っ…吹雪?」
吹雪を見ると少し離れた椅子に座っていた
深雪「吹雪…大丈夫?」
吹雪「うん?うん…大丈夫だよ」
深雪「吹雪今日はやけに静かだね…」
吹雪「あ…ごめん…」
深雪「あ…別に…気にしないで…さぁ…行こ?」
吹雪「うん…」
すると深雪は土台となって吹雪を上に持ち上げる
吹雪「今はしご渡すから…って何あれ!」ガシャ
吹雪はぱっとはしごを深雪の所に置くと一人で穴の外にでた
深雪「まってよ!」カタカタカタ…
深雪がはしごを登り終えた頃には吹雪はすでに隣の部屋に移動したいた
奥から吹雪の声が聞こえる
吹雪「こっちこっち!早く!」タッタッタ…
深雪「ふ、吹雪!ちょっとまってよ!」タッタッタ…
そして深雪は目撃する。吹雪が驚いていたもの…それは
深雪「キリンだ…」トコトコ…
吹雪「やばい!むちゃくちゃいる!群れで行動してるんだ…」
すると深雪はちょうどキリンの首の辺りの階にいることに感謝してキリンに近付く
吹雪「え…深雪ちゃん…?」
深雪がキリンの首に触る
深雪「どうしたの?ほら?触ってごらん」
吹雪「え…でも…」オロオロ…
深雪「いいからっ!」ガシッ
深雪は吹雪の腕をつかむとそのままキリンの首に触らせる
吹雪「わっ!……凄い…サラサラ…て言うかキリンの首に触ったの初めて…」
深雪「私も…すげ…」
深雪はじろっと吹雪を見る。吹雪は目を輝かせてキリンの首に触っている
するとキリンは奥に行ってしまい触れなくなった
吹雪「あ!行っちゃう!深雪ちゃん!こっちだよ!早く!」ダッ
深雪「もう!待ってって!」ダッ
吹雪と深雪は建物の屋上に上がり扉を開けた。するとそこには誰も想像しない世界が広がっていた
吹雪「凄い…」トコトコ…
深雪「うっわぁぁ…」トコトコ…
そこに広がる景色は街が緑に包まれキリンの群れがいた。水溜まりが太陽に反射してとても眩しく…美しかった
深雪が下に降りる扉に手を掛けると吹雪の事が目についた
吹雪は視線に気づいたのか深雪のもとに戻る
深雪「その…やめてもいいんだよ?
その…わかってるよね?」
吹雪「あ…やめてどうするの?」
深雪「川内先輩に行って赤城先輩達の所に戻る…旅はここでおしまい」
吹雪「やっとここまで来た……これまでのすべてを…無駄には出来ないよ……」トコトコ…ガチャ
すると吹雪は一人扉を開けると奥に進んだ。後から深雪も続く
しばらく階段を下りていると吹雪が口を出す
吹雪「ねぇ…私のためなのは分かる…でもこれは終わらせないと…」
吹雪「そしたら好きなところに行こうよ……ね?」トコトコ…
深雪「…うん、行こう。こいつを片づけてね」トコトコ…
そして建物を抜けて外に出るともう破棄された避難所に入った
吹雪「はぁ…昔を想いだしちゃう…」
深雪「なんで?」
吹雪「感染が広まった直後…こんな場所につれてこられたの…」
吹雪「引き裂かれた家族が…そこらじゅうにいた…一瞬で世界が変わってしまったの…」
深雪「…お兄さんが亡くなったあと…?」
吹雪「うん…」
深雪「私…そんなに大事な人を失うなんて…あまり想像できないよ…」
吹雪「いいんだよ…気にしないで…」
なおも会話をしながらテントの中を漁ったりして残ったガーゼやアルコールを回収する
吹雪「ふぅ…こんなものかな…」ガサッ
深雪「こっちも終わったよ?」
吹雪「…さて…よし!病院まで後少し!頑張ろう!」
深雪「おう!」
そして吹雪と深雪は地下道路を進む
吹雪「こんどはきっと違う」トコトコ
深雪「なにが?」トコトコ
吹雪「ファイアフライは絶対いる…分かるんだ…」トコトコ
深雪「そうだね…」
そして薄暗い道路を進むと深雪が聞いたことのある喘ぎ声に気づく
深雪「くそっ!…吹雪!隠れて!」サッ
吹雪「えっ!なに!?」サッ
深雪は吹雪からスコープ付きの猟銃を借りると道路の奥を確認した
スコープにははっきりクリッカーやランナーが写し出されていた
深雪「吹雪…見て…」カチャッ
吹雪は猟銃を受けとると構えて確認した。確かにいる…やつらが
吹雪「…クリッカーはともかくランナーが厄介だね…」ガチャン
吹雪は猟銃の薬室にボルトを引いて弾薬を装填すると戦闘の準備を整えた
深雪もショットガンにショットシェルを装填する
吹雪「行こう…深雪ちゃん…」
深雪「お、おう…」カチャ
吹雪と深雪は道路の端をゆっくりと移動する。足元に気をつけてながらゆっくりと…
しかし事態は起こるものだ。吹雪は足音をたてまいと足元を真剣に見つめすぎたせいで頭上のチェックをおろそかにしていた。そして背中に掛けていた猟銃が壁に当たる
コンクリートに猟銃の金属部分が当たり道路に甲高い音が響き渡る
吹雪「しまったっ!」
吹雪はまず最初にクリッカー達がいた所を見る。振り返った時にはもう間を詰められていた
深雪「やばいっ!逃げろっ!」ダッ
吹雪「くっ!」ダッ
吹雪と深雪は猛ダッシュで道路の出口を目指すするとトンネル独特の暗さの向こうから光が見えた。その手前には道を遮るかのような形でバスが乗り捨てられている
吹雪「み、深雪ちゃん!あのバスの上登ろつ!」ハァハァッ!
深雪「もちろんっ!」ハァハァッ!
吹雪と深雪は変わらず猛ダッシュでバスを目指す。しかしそこで吹雪は自分の横腹に激痛が走るのに気がつく。走っていると起こるあれだ
吹雪「や…もうっ…無理かも…」ハァハァ
吹雪は深雪のスピードについていけなくなりだんだん吹雪と深雪の間に空間が出来る
深雪「はぁはぁっ…吹雪っ!」バッ
深雪は吹雪の事に気がつくと吹雪の手を握って走る。吹雪は一瞬びっくりするが直ぐに深雪の手を握るとダッシュで走った。そしてバスに到着するなり近くの瓦礫を使ってバスの上に上がる
しばらくすると感染者達も無駄だとわかったのかどうなのかバスから遠ざかりついには見えなくなってしまった
吹雪「はぁはぁ…んっ…はぁはぁ…」ガクッ
深雪「はぁはぁっ本当に体力無いよな…はぁはぁ…吹雪って…」
吹雪は一瞬イラッとした。そんな事言うなら手なんて繋がなければよかったのに…と。しかし深雪に助けてもらったのは本当だしなにゆえ自分の体力の無さには気づいていた。そう思うと心の中のイライラが息が整うと共におさまっていく
吹雪「うん…ちゃんと運動しないとだね…さっきは手を引っ張ってくれてありがとう」
吹雪はそう言うと立ち上がって深雪の目を見た
すると深雪は目をそらして先を歩き始めた
深雪「早くいこっ置いてくよ」スタスタ
吹雪「あ、待ってよお!」スタッスタッ
吹雪も後についていく
辺りはこの前まで雨が降っていたのかかなり湿っていた。気にするほどでもないが背中が少し気持ち悪い
しばらくすると開けた場所にでた
吹雪「ねえっ!あそこ!」
深雪「うん…もう少しだね」
吹雪と深雪はさらに進むと大きな難関に差し掛かった
そこはまるで川のように道路を流れる水で先を防がれていたのだ
吹雪「うーん…どうしよう…」
深雪「仕方ない…危ないけど浮いてるトラックの荷台を飛び写りながら行くしかないね…大丈夫だよ。ほら向こうにエアダクトがあるからあとはあそこから行こう」
吹雪「オッケー」スッ
すると吹雪は深雪を置いてどんどん先に行く
深雪「危なっ!…もう」スッ
吹雪と深雪はトラックの荷台を上手く使ってどんどん先に行くそしてエアダクトに到着するが足場とエアダクトがかなり離れていた
吹雪「あうう…落ちそう」
深雪「それっ」ダッ
深雪は小さな掛け声と共にエアダクトに飛び写る
吹雪「えっ!ちょっと!えっ」オロオロ
深雪「大丈夫!来て!」
吹雪「受け止めてくれる?」
深雪「もちろんっ!」
すると吹雪は助走をつけて深雪に飛び付いた
深雪「ね?一人で飛べた」
吹雪「もうっ子供扱いしないで」
深雪「めんご」
吹雪「行こっ深雪ちゃん」
すると吹雪と深雪はエアダクトの上を小走りに走る
そして向かいの足場に行くために間に横転したバスを足場にしてそこへ向かう
深雪もバスを足場にしようと足をおろした瞬間
ガキィッンッ
バスは大きく音を立てて揺れたあとゆっくりと水の流れに乗って移動していく
深雪「しまったっ!吹雪!走れ!」
吹雪「っ!」
吹雪は言われるがまま向こう側の足場に飛び写った
深雪ももう少しの所だった…があと少しの所で突然足下のバスの扉が衝撃で開いてしまい深雪はバスの中に落ちてしまう
吹雪「深雪ちゃ…」
深雪の耳にはもう吹雪の声は届かない。代わりに聞こえるのは水の濁流の音とバスの軋む音だけだ
―まずいまずい!
深雪はとっさに近くの棒に捕まりゆっくりと前に進む。水の勢いが前から来るため上手く前に進めない
そしてさらに深雪を襲う事態が起きる
さっきまで捕まっていた取っ手が大きな軋みと共にとれてしまう。そのため深雪はバランスを崩し水の勢い押されてバスの後ろまで流されそのまま後部座席まで叩きつけられる
深雪「ぐふっ」ガクッ
またしても偶然なとこにこのバスは後部にも扉が取り付けられていた
深雪は確認するやいなや扉越しに吹雪が扉に飛び降りようとする姿を目撃する
深雪が止めようと口を開けた頃にはすでに吹雪は扉に飛んでいた
バキッ
吹雪「み、深雪ちゃん!」
深雪「吹雪!」
吹雪は深雪の生存を確認すると同時に扉をこじ開けようとする。
深雪もそれに加わり二人で扉をこじ開ける。
そして扉が大きな音を立てて開くと同時に吹雪の手が伸ばされた
深雪はそれに捕まろうとてを伸ばしたが次の瞬間バスが何かに引っ掛かりその衝撃の弾みで吹雪はバスから滑り落ちて川のようにように流れる激流の水の中へと消えてしまった
深雪「吹雪っ!うわっ!」ガチャン
そのままバスは水の一番深い所に引っ掛かり静止する。しかしバスの…車内は水で満水だ
深雪は息をとめて扉を通って外に出ると水の勢いに乗って流される。そしてその先の光の見える場所を見るとそこには全く動かないままの吹雪を見つけた
―吹雪っ!
深雪はスピードを上げて泳ぐと水中で漂っていた吹雪を捕まえてそのまま水面に出る
深雪「ぶはっ!…はぁ…はぁ…」バシャッバシャッバシャッ
深雪は片手に吹雪を抱き抱えてそのまま水の無いところに吹雪を寝かせる
深雪「ふ、吹雪…!」
深雪は吹雪の息を確認すると艦娘の頃教えられた救命救急の人口呼吸と心臓マッサージを施す…が息一つしない
深雪「吹雪っ!吹雪っ!そんなっ!」
男「おい!そこのお前!手を上げろ!」
深雪「助けて!吹雪が!」
男「手を上げろ!」
深雪は男の声を無視して心臓マッサージを繰り返す。
するとその男は手に持っていた自動小銃のストックで深雪の頭を思い切り殴る
その瞬間深雪の意識は次第にぼやけていきついには気絶してしまった
………………………………………………………………………
深雪「……っ……んんっ…あ…」
深雪が目を覚ますとよく見る病院の天井が目に入る。そのあと横の視界にうつりこんでいた人物を見る
深雪「あんた…」
そこにはかつて共に行く予定で出発間際に被弾し共に行けなくなったあの女だった
女「悪かったわね…知らなかったんだ…」
深雪「…ふ、吹雪は…うっ…」
女「吹雪は無事よ。蘇生したわ」
一息つくと女は質問した
女「よくここまで来たわね…どうやったの?」
深雪「…私じゃない…吹雪が頑張ったんだ…よいしょっ」ググッ
深雪は軋む痛みに耐えながら上体を起こす
女「これまでの旅で仲間は死んだ…何もかも…失ったの」
女「そこに突然…あの子を連れてあんたが現れた…」
深雪「…会わせてよっ」
深雪はベッドから立ち上がるとベッドに腰かけた
女「もう心配しなくていい…私たちが―」
深雪「いやっ…まず吹雪に会わせて」
女「…無理ね…手術の準備があるの」
深雪「…?…一体何の手術だ」
女「医者によるとあの子の感染した寄生菌は突然変異なの…だから免疫がある」
女「それを切り取ったら解析出来るのよ…ワクチンが」
女「ワクチンよ!」
深雪「そんなっ!菌は能と同化してるっ」
女「そうよ」
その言葉を聞いた瞬間深雪は頭の中が真っ白になった
―菌は能と同化してる…菌を切り取る…吹雪には死ぬ…吹雪には会えない
女「ほかにはいないの」
深雪「おい今すぐ吹雪の場所を―」
その瞬間警備の兵士から突き飛ばさせれ深雪は床に倒れた
女「わかるわ…でもあんたの感じてる辛さより私の方がずっと辛いの」
深雪「くそがっ…最初会ったときそんな奴だと思ったよ」
女「外に出して…もし、抵抗したら…撃ちなさい」
女「馬鹿な真似はしないでね深雪…」
ガチャ…
女が部屋を出てからすぐに近くにいた警備兵に銃口を突きつけられる
警備兵「おら、さっさと立て」
深雪「ちっ…」ガサッ
深雪はそのまま警備兵の誘導に従う…訳がない
しばらく歩いて深雪は病院で言う待合室にたどり着いた。
―あれは私のリュック…吹雪っ!
そう思うのが一瞬深雪は立ち止まる。それに気がついた警備兵は深雪の小さな背中に銃口を突きつける
警備兵「おい!早く進っうあっ!」ガッ
深雪「くっ!」ガシッ
深雪は右肘で警備兵の持っている自動拳銃を突き上げそのまま流れるように拳銃を取り上げ壁に警備兵を叩きつけて銃口を警備兵の腹より下に…急所を外して質問する
深雪「吹雪はどこだ…」バンッ!
警備兵「うっ…ぐっ…」
深雪「どこにいる!」バンッ!
バンッ!
すると警備兵がやっとしゃべった
警備兵「最上階の…奥だっ」ドサッ
深雪「最上階の奥…」
深雪は近くにあった病院の見取り図を見る
深雪「…あ、ここだ…集中治療室…急がないと!」ダッ
それと同時に銃声を聞き付けた兵士が音を立てながら捜索にやって来た。深雪は深呼吸すると姿を消した
深雪の神経は研ぎ澄まされていた。まるで現役の艦娘の頃のように
深雪「ふんっ!」ザクッ
兵士「んぐっ!ぐえっ…」ズルズル
深雪「あと少し…待ってて吹雪…」
深雪は数多の障害をすり抜けてやっと最上階にたどり着いた
深雪「さっそく敵のお出ましか…」スッ
深雪は先程敵から回収した自動小銃を取りだしフルオートモードにして見張りの兵士達に威嚇射撃した
兵士A「うわっ!敵だ!さっきの小娘だぞ!誰か応援を!」
兵士B「くそったれが!」バンッ!バンッ!
ピシュンッ…ガンッ…
深雪「うっひゃー…跳弾とは恐いね本当に」
深雪「痛たた…流石に連射は肩にくるね…」バンッ!バンッ!
兵士A「ぐぁっ!被弾した!メディック!」ドクドク
兵士B「おい!しっかりしろ!メディックが来るまで持ちこたえろ!今すぐ増援を…」ブスッ
兵士A「お、おい!どうした…!早…くっ!」
すると兵士Bの喉元にナイフが突き立てられていた。そこから見える少女の手と腕…深雪だ
兵士A「あぁ…ああああ!」ガクッ
すると深雪は肩を被弾した兵士の体に股がった
深雪「ねぇおじさん…こんな女の子に滅茶苦茶にされて興奮する?」
兵士A「な、なにを!さっさと離れろ糞ガキ!」
深雪「あはは…下は正直なのにねー本当にこれだから男って奴は…くっ!」
深雪はナイフを兵士の喉元に突き刺そうとした瞬間後ろから来た一人の増援に羽交い締めにされる
深雪「くっ離せよ!」グッ
兵士C「ははっ…本当に無垢な子供だなぁ」
すると兵士は深雪のシャツの下から手を入れる
深雪「や…やめ…」ググッ
兵士C「おいおい…さっきまでの強気はどこに行ったんだぁ?胸も小さいなっ…こんなんで元気になっちまうとはお前もロリコンだな」
兵士Cは兵士Aに声をかけたが返事がない。恐らく出血大量でショック死したのだろう
兵士C「はっ…まあいい…さて…俺はもう少し楽しもうかな…」
深雪「いやっ…やめて…うっ…」
兵士C「こんなに肌がすべすべとは…さっきの吹雪と言ったか…アイツもなかなかだったぞ…ぐぁっ!」
深雪「ふんっ!」ガンッ
深雪は一瞬の隙を突いて後頭部で兵士の鼻を激突した。兵士がよろめいた所で深雪は飛び蹴りをして拘束した
深雪「ははっおっさんもバカだね?私があんたなんかにヤられるとでも思った?」ザクッ
深雪はナイフを兵士の腕に突き刺す
兵士C「ぐああああっ!!」
深雪「女の子舐めちゃダメだよ?あと…吹雪もってどういうことだ」
兵士C「ふーふー…へへっ…アイツならもう今ごろ手術中だろうよ…安心しな…身体は触らせてもらったが最高だったぞ」
深雪「くそったれが!」バキッ
兵士C「ぬあっ!?」ベキッ
深雪は力を込めて自分の倍の太さある腕の骨をへし折った
兵士C「うぐぐぐっ…」
もう兵士はボロボロだ
深雪「てめえは絶対に許さない…死んで後悔しろ」
すると深雪は拳銃を取り出すと兵士の股を狙った
兵士C「な、なにする!」
深雪「最高の痛みだ」バンッ!バンッ!バンッ!
深雪は兵士の股めがけて銃を乱射した
撃たれる度に悲鳴をあげる兵士。帰り血が深雪の脚につく
一マガジンを使って撃ったためもう股はボロボロだ。回りには血の海と化している
深雪「このクズが…」タッタッタッ
深雪は最上階の奥…集中治療室の目の前にやって来た
深雪は止まらず治療室の扉を開ける。そしてカーテンを開けると嗅いだことのある薬品の匂いがした。そして中央のベットには薄着姿の吹雪が寝ていた。しかし感動も束の間。ちょうど麻酔が終わって手術を始めようとした医師達が目の前に立ちはだかる
深雪「ふ、吹雪!」
しかし吹雪からの返事はない
医師「お、おい…今すぐ立ち去れ!さもないと切るぞ!」
医師はメスを片手に持ち威嚇している
深雪「邪魔だ!」バンッ!バンッ!
深雪は医師を撃ち殺すと吹雪の寝ているベットには駆け寄った
深雪「吹雪!吹雪!起きて!」
しかし吹雪から返事はない。恐らく麻酔がかなり強いのだろう
深雪は吹雪を抱っこすると急いで駐車場に急いだ
数々の難関を切り抜けながら深雪はエレベーターにつき一階の駐車場に急いだすると吹雪が薄目を開けている
深雪「吹雪!目が覚めたの?」
深雪は抱っこした状態からしゃがんで支える状態になった
吹雪「ん…うっ…ん…深雪…ちゃん…」
深雪「大丈夫?立てる?」
吹雪「う…うん…」スッ
吹雪「よいしょっ…うあっ…」グラッ
吹雪は起き上がった瞬間脚から脱力した
深雪はとっさに支えて吹雪を抱っこした
吹雪「ごめんね…まだ麻酔が効いてるみたい…」
深雪「…いいよそんなの…車に乗せるからちょっと待ってね」
吹雪「車って…誰が運転するの?」
深雪は少し黙ったあと口を開く
深雪「あのさ…実は私…車の免許とってるんだよね…さ!それより助手席に乗せるからちょっと頭引っ込めて」
吹雪「あ、うん…」ストン
バタン…ガチャ…バタン…
深雪は刺しっぱなしの鍵を回すとエンジンの音がしっかりした
深雪「ってそんな不安な目をしないでよ!大丈夫だって!本当に!」
吹雪「う、うん…」
そうして吹雪と深雪はシートベルトをして病院の敷地を出た
ブーーーン…
ガタンッ
吹雪「イタッ!…」
深雪「あ!大丈夫?ごめんね、今ちょっと凸凹が多いからさ…」
吹雪「あ、うん…というか良く運転出来るよね」
深雪「あっ…まあね…麻酔まだ効いてる?」
吹雪は深雪の問いかけに答えるように全身を動かした
吹雪「ほらね?大丈夫だよ…ってま、前見て運転して!」ギシッ
深雪「大丈夫だって!信じてよー」
パチパチッパチパチッパチッ
ザーーー…
深雪「あ、雨だ…」
吹雪「……深雪ちゃん…」
深雪「すげー向こうの雲真っ黒だ」
吹雪「…深雪ちゃん…!」
深雪「うえあっ!な、なに?」
深雪は吹雪を見ると後部座席に寝転んでしまった
吹雪「うっ…ちょっとはしゃぎすぎた…気持ち悪い…」
深雪「あー車酔いか…じゃあちょっと車止めるね」
そういうと深雪は丁度近くのパーキングエリアに車を止めた
吹雪「ごめんね…さっきから迷惑ばっかり…」
吹雪(お姉ちゃんなのに…はぁ…)
深雪「いいよー気にしなくて…あとお姉ちゃんだからとか関係ないよ。これくらい」
吹雪「え…聞こえて…」
深雪「顔みればわかるよ」
吹雪「ご、ごめん」
深雪「あと謝りすぎ」
吹雪「うん…」
吹雪「ねえ深雪ちゃん」
深雪「ん?」
吹雪「私さ…唯一の抗体を持った貴重な体なのに…病院抜け出して良かったの?」
深雪(そっか…あの銃撃戦は見てないのか…)
深雪「…ああ…えっと…うーん…病院にはね?他にも沢山の抗体を持った人達が居たんだ…それに吹雪場合は脳に直接的に感染してるから…まあとにかく大丈夫だったよ」
吹雪「…そっか」
深雪「うん…」
吹雪(深雪ちゃんって本当に…いや…考えるのはよそう…今はいいんだこれで)
吹雪「これからどうするの?」
深雪「赤城先輩達の所に行く。あそこで暮らそう…あと川内さん達には後で移動を伝えよう」
吹雪「そだね」
それから吹雪と深雪は無事に発電所へ到着した。沢山の仲間達に出迎えられ脱力した深雪
久しぶりの顔をみれ涙をこぼす吹雪
そこにはなんと川内達の顔もあった
吹雪「川内さん!」
川内「あはは…まあ色々あって来ちゃった…あーわかってる…なんでわかったか?でしょ?」
吹雪「はい…なにもいってないので…」
川内「こんなの噂になるさ。少女二人組の情報…恐ろしいもんだよ」
吹雪「い…いえ…それほどでもないんです…私は全然…」
赤城「吹雪さん?」
吹雪「あ、あえ…赤城さん!?」
吹雪の後ろから突然赤城が抱き締めてきた
吹雪(あわわ…赤城先輩にハグされてる…幸せ)
吹雪「あ、赤城先輩…ここはちょっと恥ずかしいです…よ」
赤城「あら!吹雪さんったら甘えッ子さんですね」
気がついたら吹雪の方から赤城に抱きついていた
吹雪「あぁあ!違うんです!これは…」
深雪「あー赤城先輩!吹雪のやつね赤城先輩の事大好きらしいんですよ」
赤城「あらあら…ふふっ」
吹雪「み、深雪ちゃーん!あ、赤城先輩!違います!尊敬してるんです!…////」
赤城「顔真っ赤にして説得力ないですね…」
吹雪「違いますぅー!」
沸き上がる笑い…潤む視界…聞いたことのある声に見たことのある顔…
そう。やっと帰ってこれたんだ。我が家に
雑談20
皆さん…ようやく完結しました…これでやりきりました…
大変長らくお待たせしました。
満足ですw見てくれている人はあまりいないかも知れません…しかし
吹雪の…艦これのSSが書けてとても楽しかったです。皆様も今まで応援並びにコメントアドバイス感想ありがとうございました!
ちょっと暇だったらおまけを書こうとおもっております…多分w
改めまして…今までありがとうございました(´;ω;`)
※この作品に登場する人物 場所 団体は全てフィクションです。
いつも愛読させていただいてます。これからも頑張ってください!応援してます
いつもご愛読いただきありがとうございます!
はい!しっかり頑張りますますのでどうぞよろしくお願いします!(`ー´)ゞ
川内達はどうなっちゃってるのか、
気になりますわ
コメントありがとうございます!
そうなんですよ(´・ω・`)
悩んで悩んだ結果一応最後で合流させようと思っています!
で、そのあとに続編でラスオブアス2とか書き出したりして…
自分の体力が持てばの話ですがね…(;´д`)
早く更新してくれ〜!楽しみに待ってるゾ
はわわっ!
すいません!最近忙しくて手がつけれませんでした!
了解です!更新をします!
楽しみにしてくださってありがとうございます!
前編から後編まで見させていただきました。
素晴らしい作品でした!
あまりにも凄すぎて見いってしまいました!
これからも頑張って下さい!
ありがとうございます!
そのような評価をしていただけると嬉しい限りです!
最近現実でも忙しくて…流石に見てくれていた方々も少なくなったのではないのかと今現在思っていた所です(つД`)
時々更新しますのでご覧いただけると嬉しい限りです…