2015-12-10 14:34:51 更新

概要

【はじめに!】
奴隷少女「こんにちは、どれいしょうじょ です」

人狼「よぉ、人狼だ。一話に引き続き、読みに来てくれて感謝だ感謝」

魔祓い「……」 ヒョコッ〈と登場〉
奴隷少女「!」 ビクッ

魔祓い「――さーて、今回のあらすじは!」

人狼「お前、なんか出てきたと思ったら急に話し方フランクだな」

魔祓い〈↑ガン無視〉「せっかく仲良くなれたと思ったのに、人狼から奴隷少女へと、唐突に突きつけられる別れ! 戸惑いながらも、絶たれようとする縁(よすが)にすがりつく奴隷少女が、ついに人狼へタイトルコール!? フラッと登場した人狼の仲間は猫だし、私もやっぱり貴様らを殺そうとするし、一体どうなってしまうんだ?!……そんな所だろうか?」
奴隷少女「……だいたい、あってる」
魔祓い「では、二話も楽しんでいってくれれば嬉しい」


奴隷少女「ごしゅじんさまに、なって」人狼「断る」

―――――――――――――――――――

2章《拾ったら最期まで》


奴隷少女「――……う……?」ウトウト…


奴隷少女(……あたし、ねちゃって た?)パサッ

奴隷少女(……コレ、おにーさんの うわぎなの……)


奴隷少女 キョロッ〈目だけで窺う〉(……ここ、ミドロばしの しただ……)


?「――それにしても、心配したのよ人狼? 一緒に逃げてたはずなのに、勝手にどこかへ行っちゃうんだもの」ヒソヒソ


奴隷少女(! こえ、はしの うえから する)


人狼「――すまない。だが」ヒソヒソ

奴隷少女「……あ、じんろーのこえ……」ピクッ


?「あら? 下から声が……」


…………。


奴隷少女(……あれ? しずかに なっちゃった……?)


人狼 ……スタンッ…「おおう、起きたのか奴隷少女」〈欄干から橋の下へ飛び降りて来る〉


奴隷少女 ジャラジャラ〈立ち上がって近づく〉「おにーさん。……ううん、じんろー?」


人狼 ピクッ「……結局お前も、その名で呼ぶのに落ち着いたか……」

奴隷少女 「……イヤ? なぐる?」オドオド

人狼「〈ニマッ…〉…はは、いんや、殴らねぇよ。もうバレちまったもんを、隠したところでどうしようもねぇからな」手スッ


奴隷少女 ビクッ


人狼「……言ったろ? 安心だ」ポンポン

奴隷少女「……。あんしん。」(・.・)


人狼「……好きに呼べ」


奴隷少女 〈頭の上の手のひらに手をのばしながら〉「……ふへへ、あんしん……」(,,´ω`,,)ヘニャリ


人狼(……やっぱり体に染み付いた癖はすぐには抜けないか)


奴隷少女「……じゃあ、じんろー」

人狼〈被ったフードに手をやりながら〉「ん、なんだ?」


奴隷少女「いま、はしの うえで、だれかとはな――」

「――……ニャーーオ」


奴隷少女「……ふぇ?」

人狼「……ん?」


奴隷少女 クルッ「……ねこ……」

縞猫「ニャーー」トコトコ


縞猫「ゴロゴロ…」スリスリ


奴隷少女「や、あし、くすぐったいー」

縞猫「ミャーン」

奴隷少女「ねこ、ねこ、どっからきたのー?」ナデナデニコニコ

縞猫「ニャー」ゴロゴロ


人狼 「……えらく人間になついた猫だな?」

縞猫「ミャー?」


奴隷少女「ふへ、かわいいー」ナデナデ


縞猫 ゴロゴロゴロ…〈寝転がってくねくね〉


人狼「……」〈しゃがんで奴隷少女を覗き込む〉

人狼 ジッ「お前、基本真顔なのに、動物相手だと笑ってるのな」

奴隷少女「ふぇ? そうかな……?」〈顔あげて〉


人狼「……。まあ、お前も、小動物みたいで可愛いが……//」グリグリナデナデ


奴隷少女「う…?」〈一瞬ピクリと硬直するも、〉「……ん、ふへへへ……」(*´ω`*)ヘニャリ


奴隷少女「で、ねえ、じんろー」〈縞猫抱っこ〉

縞猫「ニャーッ」


人狼「なんだ?」

奴隷少女「いま、はしの うえに だれかいた?」


人狼「……」


人狼「誰も居なかったぞ、俺一人だ」


奴隷少女「え? でも、おんなの ひとが じんろーと はなしてる こえが したの」キョトン


人狼 「聞いてたのか……」


奴隷少女「え?」


人狼「……いや」


人狼「……」〈←なにか考えるような間〉


人狼「……そうだな、お前も魔祓いから無事助け終えたし……、そろそろ潮時かもな。――……お別れだな、奴隷少女」


奴隷少女「え? えっ? おわか、れ……?」キョドッ


人狼「んな顔するなよ〈ヘラッ〉 お前と知り合えて楽しかったぞ?」スクッ


奴隷少女「……え? ま、まって じんろー。もしかして おこった? いまの、きいちゃ ダメだった? ならもう、きかないから……」

人狼「いや、そういう事じゃない」


奴隷少女「ち、ちがうの……? じゃあ、なんで そんな、いきなり……」〈戸惑いながら人狼を見上げる〉 


人狼「いや……いきなりもなにも、俺はもともと動けるようになりゃあ ここは離れる予定だったし、……やっぱり食べなきゃ駄目だな。あれっぽっちの飯でも、お前に分けて貰ってから骨折も捻挫も傷もめきめき直った。 ……お前にはホントに感謝してる」

奴隷少女「」ポカン

人狼「じゃあ、そういうことで。奴隷少女。達者でな?」クルッ


人狼 ……スタスタスタ…

奴隷少女「あっ、じんろー……?」


人狼の背中 フリフリ〈こちらを見ずに手だけ振る〉


奴隷少女(え? え? いっちゃう……?)

奴隷少女(こんな かんたんに、いっちゃうの……? もっと いっしょに いれるんじゃ ないの……?)

縞猫「ミャー?」


遠くなり出す人狼の背中 スタスタスタ…


奴隷少女(ホントに、もう おわかれ? もう、あえない……?)

縞猫「……ウミャッ!」ジタバタッ 奴隷少女「ん、あ?!」

縞猫「ニャ!」スルッ、ヒョイッ


奴隷少女「う? あれ、ねこも じんろーについてくのっ」

縞猫 テテテテッ

 

奴隷少女「」ポケッ

    (あたし、ここに ひとりだ……。じんろーも、いっちゃう。そーか、そしたらあたし……、また、ずっと ひとりぼっち なんだ……)


奴隷少女「……!」ギュッ

    (……あれ? おかしいの。しんぞうの あたりが ギュッてして くるしい)

    (……ひとりは『ふつう』なの、に、なんで……?)


【回想】

――人狼『――見ず知らずの俺にここまでしてくれて、本当に助かった。ありがとな――』ニマッ



――奴隷少女『いえも、けしきも どんどん うしろに……!』

人狼『だろ?』ニマッ



――奴隷少女『――『あん、じん』……?』グスッ

人狼『……ああ、あんしんだ』ニマッ


~~~~


奴隷少女 ギュッ…〈手を胸の前で〉


奴隷少女「じん、ろー……」

    (――また ひとりぼっち……)

    「なんで? イヤだ……あたし、さむいよ、こわいよ……」



縞猫「――ニャー!」テテテッ〈後ろから人狼に追い付く〉

人狼 テクテク〈縞猫を見下ろして〉「……何だよ、もう言ったぞ? 俺と長くいると、あぶないって……」

縞猫?「ニャニャー!!」


奴隷少女「――……まって、じんろおっ!!」バッ


人狼「…」テクテク…ピタッ…


奴隷少女「じんろー、じんろー、あたしも つれてって!」タッタッ ジャラジャラジャラッ


人狼 クルッ〈顔だけ振り向いて〉「……ダメだ、何言ってる」


奴隷少女 「ッ! ……ねえ、あ、あたし、なんでも するから……!」

縞猫「ニャー?」


奴隷少女「 じんろーが おなか すいたら ごはん ぬすんで きて あげるし、また ケガしたら かんびょう して あげるし、ほんとにね、なんでも するから」

人狼「…………悪いが――」

奴隷少女「じ、じんろーが よろこぶなら、よとぎ(夜伽)の あいても、する、から……」プルプル…


人狼 ギョッ?!

  「っお前っ、それ意味わかって使ってんのか……?!」(※意味わかんない読者さんはググれ)


――――『なんでもするから』

と、それは大人に殴られそうなとき、詰め寄られたとき……奴隷少女が今までも、決まって免罪符のように口にしてきた言葉だった。


――それで追撃の手が止むことはほとんどなかったが、それでも何かあるたび、彼女の口はまるでカラクリ人形のように、『なんでもするから』を吐き出してきたのである。


ーーでもその時の、『なんでもする』は……彼女の中でも、何か感じが違った。


――なんとなれば、本当にそう思ったのだ。


――口から勝手に出てくるのではなくて、この人狼というひとについていけるなら、痛くても怖くても、何だってするし、何だって出来ると……本当にそう思ったのである。


奴隷少女「だ、だから……、あたしを かって?」ジャラッ…

人狼「飼うって、お前何言って……」〈焦〉


奴隷少女「じんろー、ごしゅじんさまに、なって。いっしょに、つれてって……」

 

人狼「…………。ダメだ。断る」


奴隷少女「……なんで?」


人狼 フルフル「……なんでもだ。お前を飼う気もない。言ったろ、本当は昨日限りの縁のハズだったんだ。…………。……諦めてくれ」フイッ


奴隷少女「……だってあたし、じんろーと いっしょに いたら『あんしん』なの。じん、ろー、こわくない、し……、……でも もう、あた、しのこと、キライにっ、なっちゃったの……?」 …ジワッ〈絶望した顔〉

人狼「っ……いや、おい泣くなよ! そういうことじゃなくてな……!」困!


〈足下から〉?「――あーもー、なに女の子泣かしてるのよ! 男でしょ、ごちゃごちゃ言わないで連れてってあげれば良いじゃない!」


奴隷少女 「う?!」ビクッ

人狼 「あ…?」


縞猫〈人狼を見上げながら〉「もー、あんた、信じられないわホントに――」ペラペラ


奴隷少女「え、え? ねこ、しゃべって……???」キョドキョド


縞猫「――人狼もさっき言ってたじゃないのよ。 この子とんでもない生活させられてたんじゃないの。大人の汚い面なんて山ほど見てるでしょうに、あんたと居るためならなんでもするって……。あたし泣けてきちゃうわ。なのに、ここまで言わせて振るって……あんた 何様なの? 股についてるソレは、飾りなのかしら?!」

人狼 チッ…「……喋らないなら、最後まで突き通せよ魔猫」


縞猫、改め魔猫「話を反らさないで人狼。この子がどんな気持ちで付いてきたいって言ってるか考えた? ……鑑みるとこの子、あの奴隷商人のとこで育ったんでしょ? そんな子が、主従以外に赤の他人が結び付く方法なんて、知るはずもないじゃない!」 

人狼「……ソレとコレとは関係ないし、憶測でものを言うなよ……」ブスッ

魔猫「何よ、悪いかしら? まったく、このケモ耳男と来たら……」

人狼「おいうっせーよ全身もふもふの癖に」


奴隷少女(……ふ、ふつうに はなして るの……。ねこが しゃべるの、じんろー しってたの??)キョドキョド


魔猫 クルッ「――で、奴隷少女ちゃん」


奴隷少女「ひゃ、ひゃいっ!?」ビックゥ!


魔猫「奴隷少女ちゃんは、人狼のこと、好きになってくれたのね?」


奴隷少女「ふぇ?!」

魔猫「……それとも、嫌いなの?」


奴隷少女「う! ううん、〈ブンブン〉きらいじゃ ないの! なんかね、なんかね、いっしょにいると、ココがあったかいの」〈胸に掌を当て〉


魔猫「ふふ、それは好きってことね」


人狼「……」

魔猫「じゃあ人狼と……。――私たちと一緒に、行きたい?」


奴隷少女「!」ピクッ


奴隷少女「」コクコク!

奴隷少女(……。あれ? もしかして まねこは、あたしに やさしく して……くれる のかな……?)


魔猫「ふっふー、よし、じゃあ決まりね。――……一緒に行きましょ奴隷少女ちゃん!」ニコォ


奴隷少女「え……え?」(い、いいのかな? ホントにいいのかな……)


人狼「! お、おい、何勝手に――」


魔猫「だって私、この子気に入ったわ。可愛いし」ヒョイッ

奴隷少女〈魔猫に肩に乗られて〉「ひゃ?!」


魔猫「……人狼、こんな人間のゴミ溜めみたいなトコで大きくなったって、ろくな事ないわよ? 連れてってあげれば、この子の為にもなって、私は楽しい、人狼は寂しくない……一石三鳥じゃない!」ニコ

人狼「おい待て俺は別に寂しいなんて一言も言ってないぞ」


魔猫「往生際が悪いわね、肚(はら)括りなさい? そもそもあんた、この子に助けられたんじゃないの? 《恩は仇で返さない》。《子猫を拾ったら最期まで!》……道理でしょ!?」

人狼「……いや、人間の子供と子猫を一緒にされてもだな?」

魔猫 「だーかーらー細かい事は…… ――……ッ?〈ピタッ〉 ……ちょっと待って」


人狼「っ? どうした」

奴隷少女「……? ?」キョドキョド

魔猫「黙って。……屋根の上伝いに、すごい速さでこっちに向かって来る殺気が……」ヒソッ

人狼 ピクッ「……なんだと?」


魔猫「このスピード……。迷わずこっちに来てる……? 逃げても見付かるわね。ねえこれ、もしかしてあの女の、」


――リィ…ン

魔祓い「……見つけたぞ人狼おぉぉ……」ヒュオオオオ……


魔猫「っ、上!」ピクッ


魔祓い 「死ね!!」 ガチャッ!

人狼「うお?! 退避だ退避!!」ガシッ〈奴隷少女を小脇に抱え〉

奴隷少女 グンッ「ひゃいっ!?」

ピョーン!!


――ズガアァァァン!! バチュンッ!

奴隷少女「――ひ! あな(穴)、あいた……!」〈さっきまで居た場所に目を剥く〉


魔猫 「うぇ……なんて凶悪な威力かしら……」ヒラリ

人狼 チッ「~~っ! くそっ、まいたと思ってたのに諦めの悪ぃ……」

奴隷少女 プラーン「う……」


魔祓い リィ…ン「……ふふ、人狼。逢いたかったよ……。ほんの二時間ほどだったが、狂おしいほどに恋い焦がれた……」ニヤァ


魔祓い ジロリ…

魔祓い リィ…ン「ふふ。にしてもその子供。まだつれ歩く辺り……ーーやはり貴様、ソレが気に入りのようだな……?」ニヤッ


人狼「……ッ、くそ」

奴隷少女 プラーン「……う、こっち みてるの……」ビクビク


魔祓い 「〈嬉々狂々とした表情で〉ハハッ、捜した甲斐があったというものだ。やはりその奴隷、貴様の目の前で八ツ裂いてやるのが楽しみだ……!!」リィ…ン


魔猫 ヒソッ「――人狼気を付けて。さっきから、この鈴が鳴るみたいな音……あの女多分、魔術で動きが素早くなってる筈よ」ジッ

人狼「ああ……」

〈魔祓いの方を見据えたまま〉

人狼「――……。……なぁ魔猫、頼んでいいか?」ヒソッ

魔猫「何かしら」ヒソッ


人狼「アイツは、俺だけじゃない、俺と親しくする……周りのヤツまで殺しに来る……」ヒソッ

魔猫「……。知ってるわ。私は足が速くて捕まったことはないけれど」ヒソッ


人狼「さっきは、どうにか誤魔化したつもりだったが……、コレはもう、奴隷少女も目ェ付けられちまった。このままだと、こいつも例に漏れず殺される……」チッ

奴隷少女 ビクッ「こ、ころ?!」プラーン


魔猫「つまり、連れて逃げろと、言いたいのね??」ヒソッ

人狼「……俺がどうにか足止めする」ヒソッ


魔猫 キョトン

魔猫「……ふっふーん?w」

人狼「何楽しそうに笑ってる。そんな場合じゃないだろ。一時間後に、スラム東にあるゲート前で落ち合うぞ」ヒソッ


魔猫 「〈…ニマッ〉わかったわ。じゃあ、もし来なかったら……?」

人狼「そのときは、……そいつ連れて先に行け。死ななければ、また会える」

奴隷少女「じ、じんろー、あの ひとと たたかうの? いっしょにこないの?」チラチラ キョドキョド


魔祓い「――……おい、わたしを無視してもらっちゃ困るな? 何を話してるのか知らんが、貴様ら、私から逃げられると思うなよ――」


人狼 「……チッ、勘付かれた。おい、奴隷少女、話は聞いてたな? 魔猫と行け」〈奴隷少女を降ろしながら〉

奴隷少女「う、うん……?」


魔祓い「――……そこの子供も魔物もだ。追い詰めて殺してやる」ギロリ リィィィーン……



魔猫「さあ、逃げるわよ奴隷少女ちゃん!」ボボッ……

魔猫「――【チェンジバーン】!』

  ――ブワッ……!!


奴隷少女「ひゃ?! ひ(火)?!」


魔猫〈蒼い焔をまといながら〉『――ほら、早く乗って!』メラメラメラ…


奴隷少女「……ま、まねこ、すごく からだ おっきくなった! しっぽも、さんぼん」ポカーン


魔猫『ぼうっとしてないで、早く!』

奴隷少女「で、でも……」ビクビク タジッ〈燃え上がる体を見て〉


人狼「チッ、早く行け!」ヒョイッ ドサッ


奴隷少女「っ!? うああイヤ! もえちゃ!!」(>д<)

奴隷少女 メラメラ「……あれ、……熱くない……」(・.・)?

魔猫『走るわよ、掴まって!!』グッ


――リィィィィンッ!

魔祓い 〈魔猫の耳元で〉「――逃がさないと言ったんだが……聞こえなかったか?」銃口グリッ


奴隷少女「~~ひっ!?!」ビクゥッ!


魔祓い「どうした魔物? 大方、奴隷のお守りをする役を仰せつかったんだろう……?」ジャキッ!

魔猫(――! ホントに速い……! こっちは奴隷少女ちゃんを乗っけてるせいで動きが……!!)「ッ、ヤバ……っ」


人狼『……くっ、【ルーブレイド】!!」バシュッ!!〈※なんかすごい右跳び蹴り!〉


魔祓い「っ、ちっ!」リィ…ン! シュッ!


ザンッ!!


魔祓い タラッ…〈←浅く、頬に裂傷〉

   「……」ペタッ

魔祓い〈指に付いた血を見つめながら〉「貴様のその蹴撃は飛ぶんだったな。避けたつもりだったが……」ニヤッ

人狼 「――魔猫、早く行け!」


魔祓い「……ふふ。なあ人狼。貴様、やはりいつもよりムキになってるんじゃないか?」


人狼 チッ…「……ッ、言ってるだろ! 傷付けたいなら俺だけにしろよ! 他のヤツに手ェ出すんじゃねえ!」

魔祓い「ハッ!w いやだ。わたしは、お前の愛おしむもの全てを壊してやる。貴様が死ぬのはその後だ。お前が生きて逃げ続ける限り、私の復讐は終わらないさ!」


奴隷少女 「――ふく……しゅう……?」キョトン…〈思わずポソリと漏らす〉


魔猫『――背中に伏せて奴隷少女ちゃん! 疾(はし)るわ!!』グッ

  ユラッ!

奴隷少女「ひぇ?! ひゃうっ!」ガシッ!


魔祓い「いいや、逃がさないっ!」

――ジャキッ!〈奴隷少女と魔猫に向けられる銃口〉

魔祓い「【デストリュクシオン……!!」

銀銃(大口径)〈――ブォゥン……〉

人狼 ハッ「詠唱……!? ……おい、そうはさせんぞ?!」バッ!


人狼「うらァ! セイッ!」ブン、シュン!


魔祓い「バル=エペ*フエ……!!」リィン リィン!〈人狼の攻撃ををかわしながら〉

魔祓い「……*ヴェール=ヴェール……!!」


人狼「こっ、の、【ルーブレイド】!!」ギュン!

魔祓い「っ!」リィン リィン!サッ


魔祓い「――サクリフィス】! ふふ、私の勝ちだ。これで貫く!!」

銀銃〈――キュイイイイインィンィン……〉


魔祓い〈魔猫の去った方向に目をやる、が〉

   「! な、もう居ない……?! あの化け猫、逃げ足だけは速い」ペッ


人狼(ホッ…)「……残念だったな」


魔祓い リィン……スタッ「――ならこの銃弾は、貴様にくれてやろうとしようか」

人狼「……ああ? 悔し紛れか? 言っとくが、俺だって逃げ足は速ぇぞ? お前の銃弾くらいまいてやる」ニマッ


魔祓い「……ふふ、確かに悔しい。貴様の泣き喚く顔が見れないのは」


魔祓い「ーーだが、ここに貴様が残ったのもまた僥幸。僥幸だよ。 ……そっと仕込んでおいた甲斐があったな?」ニヤァッ


人狼「!」ゾワッ

  (なんだこの感覚……?!)



魔祓い「なあ、やはり貴様、いつもより冷静さに欠けている。――……私は術の展開が一つだと、何時言ったか?」


人狼「な……」


魔祓い「縛陣。【サクリフィス*アルターレ】」


――ブオンッ〈魔方陣展開〉

人狼「!! ……う!」


魔祓い「動けないか? いい気味だ。自ら飛び込んできて、魔方陣に縛られて。……なぶってくれと言わんばかりだな?」チャキッ…〈人狼に向けられる銃口〉


人狼「!」


銀銃〈……キュイィンィンィンィンィンィン…〉

魔祓い「さて、私は銃の詠唱も終わっている。縛られた羊同然のお前に…………さぁ、何ができるーー?!」グッ〈指が引き金にかけられ〉

人狼「~~?!?! クソッーー」




~~魔猫の上~~

魔猫 ――シュダダダダダダッ!


奴隷少女「……じんろー、もう みえなく なっちゃった……。…………。」ギュッ〈毛並みに顔を埋めながら〉

魔猫『……心配?』

奴隷少女 コクッ… モフッ

奴隷少女「大丈夫、人狼は強いわよ。魔祓いくらい上手くまいてくるわ」


〈と、唐突に廃墟の静寂を切り裂いて〉

――~ズガァァァン……!!


魔猫「!」


奴隷少女「ま、まねこ! いま、おんなひとの じゅうの……!」〈体を起こしかける〉

魔猫『っと、起き上がらないで奴隷少女ちゃん! その体勢を崩したら、振り落とさないで走る保証は出来ないわよ』

奴隷少女「う……で、でもじんろーが……!」オドオド

魔猫『……大丈夫、ちゃんとまた会えるわ。アイツ、ゴキブリみたいにしぶとくてね。怪我したって二、三日で治っちゃうの』

奴隷少女「ご、ごきぶり……」〈喩え方に引き気味の顔〉


奴隷少女「……。ねえ、でも、まねこ」

魔猫『何かしら?』

奴隷少女「じんろーは、どうして あんなに ケガ なおるの はやいの?」

魔猫「……それは、」


奴隷少女「あとね、どうしてあんなに、やねの うえ ぴょんぴょんとべるの? どうして まねこは しゃべるの? あの おんなの ひとは、どうして じんろーを 殺そうとするの? 『ふくしゅう』って、なあに?」


魔猫『にゃ? に?! こ、答えるから! ……子供にありがちな質問攻めはやめて……!』( ;`Д´)

奴隷少女 ピクッ「じ、じんろーと おなじ こと いってる……」

   「まねこ、おこった……?」ビクビク…


魔猫『…にゃ? ふふ、大丈夫よ、こんなんで怒るなんて、猫の額みたいな心はしてないわ。安心しなさい』

奴隷少女「……。あんしん……」キョトン


奴隷少女(……まねこは、もふもふで、あたしに ひどいこと しない。……やさしいの。じんろーが いってたの、ほんとう だった……)


奴隷少女「……ふへ…」(*´ `*)ヘニャリ

魔猫『?』



~~~スラムの北端・廃墟地区ミドロ川沿い~~~


魔祓い「――はっ……なんだそれは……」ガチャッ キュイイィンィンィンィン…〈人狼の喉元に銃を突きつけながら〉


人狼「ウグルルルルル……」ポタッ、ポタッ…〈側頭部負傷〉

〈押し倒した魔祓いにのし掛かりながら、喉に爪をかけている〉

人狼(――くそ、弾撃ち込まれる寸前でついやっちまったが……)


魔祓い「無茶苦茶だ、縛陣を引き千切る魔力など……!」


人狼(くそ、早いとこ片付けねえと、《狼》に理性を食われちまうぞ……)

人狼「ルルル…」


魔祓い「……ハッ、しかしその姿はあのとき以来だな。白狼になり言葉も喪ったか、畜生め」ニヤ〈見下すように〉


人狼(※狼形態変化中)「……。バウッ」耳パタッ

     

魔祓い イラッ「っ! 理性は有ると?! ……私をおちょくるのも大概にしろ!」グッ

人狼「!」バッ(うお、撃ってくる!)


――ズガァァアン!


人狼 スタッ「グルル…」(ーー今、何発撃った? あの魔法銃は確かリボルバーで、六発で打ち止めだったはず)


魔祓い「……この……。忌まわしき月の化身めぇぇ!!」

ガチャッ


人狼 ポタッ、ポタッ…(……ここに来てからで、確か三発か? 俺たちを見失ってた間に、弾の補充があれば残りは三発、もし無えなら、あと一発で撃ち止めだが……どっちだ、どっ……)

? 《――……ロ……イ……》

人狼(!)


魔祓い リィン!「今度は外さない!」グッ


人狼ハッ(?! しまっ!!)


ズガアァァァン!バシュッ!

人狼「キャインッ!?」(ぐあっっ!!)


魔祓い「ふふ、鈍いな、何を考えていた? あの奴隷の処へでも帰りたいか? ……しかし後脚を撃たれては、その姿でも先程のようには動けまい……」リィ…ン ニヤリ


人狼「ヴールルル……」ヒョコヒョコッ(い、痛ぇ……。骨をやったか? ……だが今っ、ッ、ソレは忘れろ……。痛みには慣れてるだろ……?)

? 《――……ィ……》

人狼(……う、ヤバい、来た! 考えろ、一発と三発、どっちだ……? 早く片付けねぇと、頭がボヤけて……)

? 《ーーコロシタィ……》

人狼(ッ! 呑まれるな、アイツは殺せねぇ! だから悩んでんだろ、どう切り抜けるか!)


魔祓い「後はーー」スッ…カポッ


人狼(! ホルスターに仕舞った! 撃ち止めか!! ならこの隙に……)


――リィン!

魔祓い ジャキンッ!「――的当てゲームと行こう。このダガーで刺し貫く。動けなくなるまでなぶってやる」ニタァ…!


人狼「……?!」(ちょ、おいおいおいおい? この後脚で避けろと? 冗談じゃねえぞ――!!)



~~魔猫の上~~


魔猫『……そうねぇ、じゃあとりあえず人狼の、……人狼属の事から答えてあげようかしら』

奴隷少女「じんろーぞく……」

奴隷少女(さっきの おじさんが、いってた ことばだ……)


魔猫『人狼属はね、人間とは違うわ。大気に漂う魔力を血肉に集めやすい体をしていて、人の形をしながら人離れした動きが出来るのも、傷の治りが早いのもそのせいよ。……それから、見た目はほとんど人間と同じだけど、頭に耳が生えてるわね』


奴隷少女「! 白くて三角のとんがり耳?」

魔猫 『あらw 見たのね』


奴隷少女「バレたーって、じんろー こまってたの」

魔猫『そうねぇ、人狼の耳は、魔術で隠したりできないから。あの眷属は、人に嫌われてるのよ。あの耳で人狼属だってバレたら、酷い目に遭う』


奴隷少女「……じんろー、わるいひとなの?」キョトン

魔猫『…………。どちらとも言えないわね』


奴隷少女「? どういうこと?」

魔猫「……それは、」〈急に口をつぐむ〉


奴隷少女「まねこ?」

魔猫『……ごめんなさい、私の口からは言えないわ』

奴隷少女「え、どうして?」


魔猫「アナタがこれを知るのを、人狼がきっと嫌がるからよ。人の嫌がる事はしない。その人が悲しむから。普通でしょ?」


奴隷少女「ふつう……」

    (……ん……。じんろーが かなしかったら、あたしも かなしい。――ホントだ。イヤなの、それは……)


魔猫『まあ、そんなとこよ。それでもどうしても知りたかったら、…………いいえ』〈以下口の中で転がすように囁く〉『いくら隠しても、いずれ知られることになるわよ人狼……?』


奴隷少女「? どうするのー?」

魔猫『いいえ、何でもないわ。そうね、人狼から聞いてごらんなさい』ニコッ


奴隷少女「ん、わかったの。じゃあね、まねこが しゃべるのは なんで?」


魔猫『! ……それ、は』〈一瞬躊躇って考えるような表情〉『……んー。私がね、普通の猫じゃないからよ』


奴隷少女「うん、マモノ なんでしょ?」

魔猫 『み、みゃ!? あ、アナタ、どうしてそれをっーー』


奴隷少女 ビクッ「き、きいちゃ ダメだった? おこる? あ、あのおんなのひとが、いってた、から……」ビクビク…


魔猫『……ふふ、ごめんなさい。少し驚いただけ』

奴隷少女「ほんとに、マモノ?」

  『……そうよ。だから話すの。普通の猫の姿をするのは、人狼と一緒に町を歩いて、後ろから人間に殺されない為、ね。――……なのに奴隷少女ちゃんは、解ってて私の背中に乗るのねぇ? ……森にいる私の他の眷族は、人を襲うわよ?』〈自嘲の笑み〉


奴隷少女「え? え? そうなの?! じゃあ、ちょっとはこわい……かも……?」


魔猫『……。〈キョトン〉……怖がり方があやふやよ?』

奴隷少女「う、だってマモノのホンモノは、みたこと ないの。よく わかんない……」アセアセ

魔猫『私は本物にカウントされないのね……w』〈複雑そうに〉


奴隷少女「ーーでも、わかったの まねこ」

魔猫『??』


奴隷少女「まねこは、あたしに やさしいの。だから、まねこは『やさしいひと』だし、こわくても、こわがるの、しなくて いいの。じんろーが いってた ひと、またふえた」ヘニャ


魔猫「? 人狼と何か話したのね? その話は聞かなかったけど、あの男、奴隷少女ちゃんに何て言ったのかしら?」


奴隷少女「えっと、それは――――」




~~【その4へ続く】~~


後書き

末尾になりましたが、どこのどなた様か、前話に評価・応援してくださり、本当にありがとうございます!!(*°ω°*) モチベアップです↑↑ 続きも頑張って書きますので、よろしくお願いいたしますねぇぇぇえ!(叫)

※あと今回から、11000字前後の、区切りのいい辺りで次に飛ぶ仕様にしていきます。ぶっちゃけめんどくさいんですよね編集のたび下スクロールしてくのとかもう本当(ry


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SS好きの名無しさんから
2015-12-06 16:15:50

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