2017-03-14 13:09:58 更新

概要

P×佐久間まゆ バレンタインSS
オリジナル設定をコージーコーナーのショートケーキの苺のようにふんだんに含むので注意。


前書き

原作執筆時期
2017年2月14日


年が明け一月が過ぎ去ったことを告げる2月の到来。凍てつくような早朝。

その上旬のとある一日に少女が寝ぼけ眼を擦りながら外に出るために着替えていた。

「ふぁー・・・予定していた時間より早く目が覚めちゃったけど、

今から二度寝したらちゃんと起きれる自信ないし・・・・。まあきらりのことだから

定時より結構前から準備してたりするんじゃないのかなー」

(自称)自宅警備員妖精系アイドル、双葉杏である。

本日は来週に控えた"イベント"の為に同僚のきらりと約束をしていたのだった。

逆沖縄県民現象と言ったら沖縄県民に怒られるかもしれないが、

東京出身の彼女は約束の時間の30分前や1時間前から待機していたりすることもある。

杏的にもそれは申し訳無いため、結局予定より早く集まって

買い物したりすることが多いのである。

「まあでも少し時間は潰さないとなー・・・。あそうだ、他の皆も揃々

考え出したりしてる頃だよね。面白そうだから色々回ってみようっと」

そう。2月の上旬・・・つまりおよそ一週間後はバレンタインなのだった。

とは言ったもののアイドルの為あまり事務所には浮わついた話は入って来ず、

女子同士の友チョコやスタッフさんへの差し入れ、そしていつもの感謝の印に

プロデューサーへ贈るためのプレゼントなのだが。

しかし勿論手を抜くことなど考えないアイドルも多数存在する。

杏の見立てでは少なくとも20人が義理以上の想いを込めてチョコを作り

プロデューサーに渡しているだろう。そうでなくとも毎年200個近い菓子を

一つ一つ味わって食べるのは大変だとは思う。生チョコはあまり保たないのだ。

「うーん・・・どうしよっかなあ。いつもみたいにチョコ味の飴でもいいけど

今年は普通に・・・ってのもありだし。でも前回仕事で渡しちゃったし・・・」

お仕事で渡すのと私的に渡すのは別の話だろう。

やはり一人では中々思考が纏まらないのは明白である。というわけで、

杏は現在もしかしたら正念場(モーメント)と化しているかもしれない女子寮に

Let's Goしたわけなのであった。



辿り着いたが事務所の所有する女子寮。改築を重ねた末にマンションレベルに

なっている感じの施設である。家が遠いアイドルや、仕事が連日で入っている場合などに

利用し、一応全員分の個室が用意されていたりする。

優しい色合いのグレーのコンクリート床を杏はぼちぼちと踏み歩く。

予定時刻までの時間潰し・・・に加え、チョコを作るに当たっての

ちょっとした刺激が欲しいところである。ここの事務所のアイドルは自他共に認めるような

個性豊かな者達が集まっている。適当に触れてみるだけでも得るものはありそうだ。


『ふっふー♪今年はどんなモノを入れてみようかなー。

志希ちゃん特製の元気になる栄養ドリンクとか・・・あとはアレとか?

はたまた・・・コレとか?色々試行錯誤して実験しなくちゃ完成しないよね~♪』


・・・早速何だか聞き逃してはいけないような単語を愉しそうに謳う、

風変わりギフテッドの声が耳に入ってきたがスルーを決め込むことにした。

触らぬ神になんとやらである。プロデューサーの無事を祈っておけばいい。

女子寮の廊下は突き当たりに辿り着くまででも結構な時間がかかる。この建物自体、

外観を眺めてもちょっとした団地ほどの長さはあるのだ。特に行く宛もない為

無軌道に歩いていればそこそこの時間は自動的に消費されるだろう。


『む~りぃー.....』


今度は彼方へ吸い込まれて消え入りそうなか細い声が聞こえてきた。聞き間違えることはないであろう、

その小動物のような声の主の様子を窺うため、静かに扉へと忍び寄る。

昼前の女子寮の部屋に鍵をかけている場合なんて殆どない。予想通りドアは簡単に通してくれた。

「乃々かぁ・・・うんうん、分かるよ。わざわざ型から取らなくても

既製品を溶かしてもう一回固めれば手作りチョコになるんじゃないかなーって思うし」

アイドルになってから微妙にそういうビジネス的な知識を得てしまった杏である。

まあ知ってはいたが乃々はキッチンにいた。杏は自身の低身長を活かして、

台所付近の物陰に隠れるようにして動向を見守る。

リビングにまで充満している甘ったるい匂いは正にチョコレートのそれだった。

どうやらチョコを作成中らしく、若干憂鬱そうな顔でチョコレートの鍋をかき混ぜている。

「あぁ~....やっぱりこのお菓子を作っている瞬間がもりくぼの一番の幸せ....。

ずっとまぜまぜしてこねこねする係でもいいんですけど....」

穏やかな笑顔で嬉しそうにヘラを動かす乃々。しかしその表情はすぐ涙目に変わっていった。

「あぅ...プロデューサーさんはいぢわるです...。この間のSweetchesでも視線は合わせられなかったのに

間髪入れずに目を合わせてのバレンタインのお渡し会なって....。

もりくぼ、まだプロデューサーさんにもちゃんと目を合わせてチョコ渡したことないですし...」

するとそこで、森久保はチョコの入った容器を一旦置いてキッチンラックの上に鎮座していた

ラップがけされたハート型のチョコを持ち上げた。

────思案するように森久保がチョコを真剣な目で見つめる。そして。

「プ、プロデューサーさん....あの、チョコです。もりくぼの手作りです。

食べてくれたら嬉しいですけど...別に、無理して食べなくてもいいですし....そそっ、それだけですから...!」

誰もいない虚空を相手にチョコを渡す練習をしたのだった。勿論杏の耳にはバッチリ届いて

何なら一字一句違えずMP3プレイヤーの如く再生することも余裕な感じである。

「(・・・乃々も大分絆されて来たなあ。昔はメーデー同盟でも発足しようかと思ってたけど

最近は結構、お仕事に乗り気だったりするもんねー...)」

なんて、誰かさんを棚に上げたような独白を小声で漏らす妖精なのだった。

これ以上は特にないかなと中座で立ち上がり、のそのそと撤退を決める杏。

が、足が引っ掛かってしまったらしく離れるときに滑車つきのラックが

ガシャンッと音をたてて揺れた。

「ひぃぃあ!?だ、誰ですか・・・・!?

そこに誰か、居るんですか・・・・!?」

だが帰ってきたのはシンと静まり返った沈黙だけであった。

ラックの角度と己の身長に助けられ、杏は見つからずに森久保の悲鳴を振り切って

廊下への脱出に成功していたのだ。そうとは知らず、訝しげに森久保が音の方角を確認する。

近付いて見ても特に誰かが居る様子はない。だが確かに物音と共に動いたのである。

「もりくぼ...今の、誰かに聞かれて....?あぅ...そんなの絶対にダメですし....。

立ち直れなくなりそうなんですけど.....」

「どうしたの、乃々ちゃん....何かあった?」

と(乃々の心臓に)悪い意味で距離の近い小梅が首を傾げていた。

気配遮断スキルでも持っているのか、時折背後から忍び寄って抱き付かれたりすると

森久保の心臓はバクバク言いすぎて止まりそうになるのだった。

今日ばかりは同じ共同スペースにて別のキッチンで一緒にチョコを作ろうという

話をしていたので心構えが出来ていて気絶せずに済んだところであったのだが。

「さっき・・・誰か来てました?もしくは、この部屋に誰か居たり・・・しました?」

「この部屋....?ううん、私あっちの部屋でチョコ作ってて、今ここに来たばかりだから

分かんないけど・・・でもこの部屋には誰も居ない、よ・・・?」

シーンと静まり返った部屋の空気が嫌な感触を乃々に与えてくる。

まだ明るい昼間だというのに、暖房をつけているのにそこだけ妙に温度が下がっているような。

「『あの子』は今何処にいるんですか...:?も、もしかしてここに居たりとかは....」

「『あの子』は...今、ここには居ないけど乃々ちゃんの後ろにもう一人....」

その時。ピトッ・・・と冷たいものが首の後ろを掠めた。そこそこの重量を感じた

肩を見るとそこには─────不健康なほど白い人間の腕のようなものが乗っていた。

「も、ももももりくぼは食べても美味しくないですから!!保証します!

チョコ食べてもいいので、もりくぼは逃げますけど~~!!」

全速前進でなりふり構わずダッシュし、涙目の少女はドアをぶち破りそうな勢いで

(でもちゃんとドアノブは優しく回す)対岸の部屋まで逃げ込んでいった。

取り残されたのは小梅と、もう一人。

「あ...ボノノちゃん、行っちゃった....。

ずっと立ちっぱなしも疲れるだろうから...差し入れしようかと、思ってたんだけど...」

「大丈夫だよ...あとで私が、ちゃんと渡しておくから」

「そうか...じゃあ、小梅ちゃん頼んだぞ。

私は...まだ、手作りに苦戦中...だ...」

余談だが、この後森久保は逃げ入った小梅の部屋に落ちていた目玉チョコを踏み潰し、

靴下に付着した赤い液体(クランベリーソース)を見て口から心臓が飛び出るような思いをしたという。



「ふー・・・危ない危ない。もう少しで見つかるところだったよ。面倒なことになるのは御免だし、

あんまり踏み込みすぎるのもあれかなー・・・・」

外から誰かが戻ってきてしまったら一発でアウトになる可能性も有り得る。

基本的な部屋の割り振りは覚えているが、誰かが遊びに入っていることも普通にあるため

100%の安全圏と呼べる場所はない。だったら談話室とかの方がいいかなと

全アイドルに開放されている共通の談話室へと歩を進める。だがやはり輪に入っていくのは

億劫である。幸い廊下に人通りはないので聞き耳を立てることにしてみた。

首だけを動かしてこっそりと部屋の中の人影を探す。

「あれは・・・智絵里とまゆ、かな子・・・それに李衣菜かな?」

彼女達四人は全員一度は共演したことのある身である。まあ一緒に居たとしても

何ら不思議はないだろうが・・・ちょっぴり不思議な組み合わせである。

テーブルにはいくつかのお菓子が並んでおり女子会と言った雰囲気だろうか。

「それで、今年のバレンタインなんですけど。毎年プロデューサーさんにまゆだけのオンリーなチョコを

味わってもらいたくて隠し味をアクセントとして入れてたんですが・・・今年はどうしようか迷ってて」

「隠し味・・・ちょっとロックっぽい!それでそれで、どんなのを入れたりするの?」

ロックの定義とは何ぞやと心の内ですかさず突っ込んでおく杏。

教えてくれと誰かに頼んでもゼロは何も言ってはくれない。

「この前はまゆの血を混ぜたんですが・・・被ってしまうのもどうかなって。

でも、髪の毛とか爪だと見た目も悪いですし衛生上も良くないですよねぇ....どうしましょう」

「(んん!?)」

突っ込むべきはこっちであったか。いや、どう突っ込めばいいのか分からない。

流石に聞き流せない感じの発言が混ざっていた気がする。

どう反応したものかと迷っていると李衣菜が期待通りの返しをしてくれた。

「えっ・・・まゆちゃん、それは・・・・」

「・・・・?どうかしましたか、李衣菜ちゃん」

若干引き気味に困惑している李衣菜にまゆが逆にきょとんと不思議そうに問いかける。

そこで杏は違和感を覚えた。『あれ?他の二人の様子がおかしくない?』と。

「いやだってほら・・・そういうのってあんま良くないじゃん。

いくらプロデューサーさんだって・・・・。智絵里ちゃんはどう思う?」

「えっ?えっとその・・・それって、そんなにダメなことですか?」

「(智絵里ぃぃぃぃぃぃぃぃ!!?)」

純真無垢に黄昏空を見ているような目で質問に質問で返す智絵里であった。

まゆと顔を見合わせて一緒になって疑問符を浮かべる二人に、

李衣菜が居たたまれない感じに苦笑いして自分の中の常識を見つめ直していた。

「まゆさん、凄いと思います。自分の愛のためにとっても真っ直ぐで・・・

プロデューサーさんもまゆさんの想い、汲み取ってくれていると思います」

「ふふっ、ありがとう智絵里ちゃん♪智絵里ちゃんはどうしたいとかあるの?」

「私....あの、私はクローバーを混ぜてみようかなって。

勿論、その辺に生えてるものじゃなくてちゃんと食用のものを。

趣味で私が家で育ててるクローバーを、私の象徴にして欲しいなって思ってます」

そう言えば摘菜としてクローバーを食べる文化を聞いたことがある。

野草でなく、しっかり智絵里が管理している物なら健康的にも問題ないだろう。

「育てたクローバーには智絵里ちゃんの愛情がたっぷり込められていますもんね。

智絵里ちゃんだけの、素敵な一品になると思いますよ」

「あ、ありがとうございますっ。だから私、まゆさんも自分の道を

いつも通り躊躇わずに進んでいけばいいんじゃないかなって。

その...ごめんなさい...具体的な案じゃなくて」

何だか智絵里もまゆに似てきたなあと感慨深いんだか浅いんだか

分からない、しみじみとした気持ちになる杏。

思った以上に二人は似た者同士なのかもしれないとも思う。

「自分の道・・・そうですよね。

....まゆが、本当にしたいこと....作りたいチョコ....」

そっかあそれもロックなのかあと思考放棄を始めたロックアイドル。いいのかそれで。

ヴィンチ村のレオナルドもびっくりの万能ワードになりつつある。

「(いや、まだ後門のかな子が残ってる。

根が真面目な彼女ならきっと指摘してくれるはず─────!)」

視線を横に逸らすとそこには多分自分の手で作って持ち込んだのであろう

マカロンを美味しそうに頬張るかな子がいる。そしてそれを食べ終えると、

「うんうん、美味しければ大丈夫だよ~♪(モグモグ」

再び、オレンジ色のマカロンへと手を伸ばした。

「(お前食ってるだけじゃねぇかァァァァァァかな子ォ!!!)」

心が叫びたがっているんだ。飽くまで聞こえないように心の中でシャウトする。

魔法少女同士で殺し合わない感じで叫びたい気持ちを抑えていると、

部屋の奥の方からまさかの第四者が現れた。

「まあまあ、まだ当日まで時間はありますさかい、

ゆっくりお茶でも飲んで考えてみるのもいいと思いますえー」

人数分のお茶をお盆に乗せて運んできた京娘アイドル、紗枝である。

彼女は中々観察力が鋭く、また判断能力にも優れているため

杏にとっては少々警戒のいる相手である。照れ隠しを見抜いてきたりとかは勘弁なのだ。

「おっ、サンキュー紗枝ちゃん。んじゃ遠慮なくいただくねー。

・・・・・ッ!?ゴフッ・・・!」

そこに、一つの屍が築かれつつあった。熱かったとかそう言うレベルではない。

お茶を口に含んだ瞬間、李衣菜の顔が小刻みに痙攣して椅子から転げ落ちていった。

何とか噴き出さずに二次災害は防げたものの、そのまま李衣菜が項垂れて起き上がらない。

どうやら負ったダメージは深刻な模様である。

「え、ええっ李衣菜ちゃん大丈夫!?」

慌てて智絵里が駆け寄ると、李衣菜の顔はひどく真っ青であった。

小言でにゃー...にゃー...と呟いてるのを見るとちょっと危ない人にしか見えない。

「ふふー♪李衣菜はん、いきなり当たりを引くなんて芸人の才能あるんとちゃいます~?

ほんでも、まだ一口しか飲んでまへんし飲み干すまでおきばりやす~♪」

「(鬼畜和菓子!?)」

どうやらロシアンルーレット(お茶)だったらしい。その口ぶりでは

残りの3つは外れでつまり普通の緑茶らしいが・・・・、

安心はできないため手はつけないでおこうと思う智絵里とまゆであった。

「さ、紗枝ちゃん・・・もしかして、酔ってません?」

「まゆはん、うちは15の娘どすえ。酔ってるわけあらしまへんやろ~♪

まあでもー、確かにふわふわして良い気分やわぁ♪」

いつぞやの悪夢再来である。

悪酔いする性質なのか、酔うと精神的な方向で攻撃的になるから

紗枝は恐ろしいのだ。自分のお茶に一切手をつけないことから

まだ此方を嵌めようとしている可能性すら存在する。

「でも、どうしてこんなことに・・・・

いくらなんでも、事務所内でアルコール物なんて・・・?」

ふと、まゆの目に談話室のゴミ箱からはみ出さんという感じの箱が入ってきた。

シックな色で飾られた個包装式のチョコレート。箱の表にはこう書いてある。

"チョコレートボンボン"と。

「えぇ....まゆも人のことを言えた義理ではないですけど、

ウィスキーボンボンで酔うってどんだけ耐性ないんですか紗枝ちゃん・・・」

一応、統計によれば関東人よりも関西人の方がアルコールの耐性は全体的に低いらしいが。

京の和菓子にはお酒が含まれてないものが多いため今まで助かっていたが

この分ではラム酒を使ったケーキとかでも危ないかもしれない。

取り敢えずどうすればこの暴走機関車を止められるものかと考えていると、

外から意外な闖入者が入ってきた。

「お邪魔しましま~☆若い者同士の女子会に乱入とか、いやーんはぁと

フレッシュな空気に触れて若返っちゃう~♪なんて、おいそこ反応に困んなぁ☆

ガチで引かれるのは一笑に付されるよりもキツいんで☆」

若干パッションすぎるテンションに乗れずにいた三人だったが、

すぐに不思議な来客の応対を始める。マニュアル対応である。

「心さん、どうしたんですか?あ、マカロンならありますけど・・・」

「はぁとって呼んでいいんだぞ☆そこの酒乱の原因がね、まあ・・・はぁと達に

責任があるかなーって感じだから回収しに来てあげたんだぞ☆喜べ☆

ダメな大人たち....あ、はぁとは入ってないぞ☆が、チョコに一番合う

ワインはどれかって飲み比べ始めちゃったせいでちょっとした宴会が起きてね~。

その後に余ったチョコを皆に配ってて、こういう事態になったってわけなんだぞ☆」

多分その酒好きの誰かが用意していたのがそこのチョコなんだと思うぞ、という

心の説明に納得がいったまゆ達である。

因みに未だに李衣菜はグロッキー状態だったりする。あげるべきは水だった。

「え、でも私誰からも貰ってませんよ・・・?」

「まあ、別に先着だったしそんな余ってなかったし。

ハブってるとかそういうわけじゃないから気にすんなぁ☆

というわけで大人が不始末つけるぞ☆紗枝ちゃんこっちこっちぃ~♪」

陽気になっているのもあってか、何の疑いもなくふらふらと心に近付く紗枝。

肩を担ぐ要領で捕縛し、そのまま二人が部屋を出ようとする。

「心はん、うちを何処に連れていくつもりなんどす~?

うちの皮膚を採取したところで肌年齢は若返りまへんよー?」

「はぁとは心がピュアだからそんなバイオレンスなことしないぞ☆

というかそれで若返るんだったらマジでやりたいけどガマンガマン♪

じゃあ皆さんあとよろしく!ばいならー☆」

幸運にも(?)酔いどれ紗枝はんは殆ど抵抗を見せないため、

連れていくのは容易である。理性がかっ飛んだその口は止まることを知らずに

耳を塞ぎたくなるような爆弾発言を飛ばしてくることもあるのだが。

「・・・・あ」

そんな心が隠れていた隅にしゃがみこんでいた杏を発見する。

どう説明していいものやら杏が必死に頭を巡らせていると。

「分かってる分かってる、別に説明しなくてもいいんだぞ☆

人はきっと他人が気になって偵察したくなるもの・・・プロデューサーを

巡って愛の攻防・・・やーんスウィーティー♪フラグ建築も大変だな☆」

「ちょっ・・・・」

「ここではぁとが見たことは黙っててあげるから安心しとけ☆

じゃあ、頑張れよ☆命短し恋せよ乙女ー♪」

・・・・なんて、どうやら誤解した様子でそのまま去っていってしまった。

まあでもその対応には余裕というか大人の貫禄が見受けられる。

ああ見えて案外夫の三歩後ろを歩く系の良妻賢母なのかもしれない。

とは言え、長居は無用である。智絵里達の女子会も終わりつつあるようだし

次の散策場所は何処にしようか迷っていると。


「にょっわーー☆杏ちゃん、捕ったにぃーーー!」

奇っ怪な雄叫びが聞こえた瞬間、世界が回ったのかと錯覚するほど

視界がブレて目線の高さが一気に上がった。

誰に何をされたかは問うまでもないことだが、驚愕は隠せなかった。

「うおわぁ!?き、きらり!?どうしてここに!?」

「杏ちゃんの家に行ったらお留守だったから、もしかしてPちゃんだったら

杏ちゃんの場所知ってるんじゃないかなーと思って、電話かけてみたのー☆

そしたらぁ、もうとっくのとうに女子寮に来てるって教えてもらったから

何処かなーって探してたところだにぃ♪」

その言葉に思わずハッとする。そう言えば仕事に真面目なアイドル杏(※本人評)は

一応、何かあった時のためにプロデューサーには自身の居所を教えていたのだった。

「そっか...今度からはプロデューサーに口止めしたりすることも考えなきゃか...」

「うゆ?杏ちゃん、何か言ったー?」

「何でもない、ていうかわざわざ迎えに来なくたって

ちゃんと定時には向かうつもりだったのに。きらりは本当にせっかちだなあ」

天井まで届きそうな高さから下ろされ定位置に収まったまま

きらりと杏が廊下を闊歩する。自分で歩かないから疲れずに楽なのだが、

少しの気恥ずかしさはある。最早慣れっこの行為ではあるが。

「杏ちゃん、今年はPちゃんに手作りするんでしょ?

Pちゃん、きっと喜ぶと思うゆー♪」

「・・・・まあ、プロデューサーにはいつも世話になってるし。

そのくらい、やる気出してもいいかなーって」

と、きらりが露骨にニコニコした笑顔で此方を見てきていた。

経験則上、きらりがこういう顔をする時は大抵保護者的な目線になっている時である。

「なんだよー・・・黙ってないで何か言えよー」

「うぇへへ♪うんうん、Pちゃんの分も、事務所の皆の分もいーっぱい作ろうにぃ☆」

二つの対照的な小さな影と大きな影が楽しげに揺れる。

最後にふんわりとした笑顔を見せ合って駆け出した。



「失礼します。志希さん、居ますか?」

コンコン、とノックをしてドアノブを回す。

不用心・・・でもないのだろうか。基本的に志希の個室はドアに鍵はかかっていない。

ただそれは、中でどんな実験が行われていてそれに巻き込まれても自己責任で

宜しくという悪魔みたいな誘いのため、積極的に入ろうとする子は少ないのだが。

「あれ、まゆちゃんだ。どうしたの、珍しいねー?

にゃははー♪まあ、ヒマだし適当にくつろいでいってよ。

プロデューサーの匂いだったらあの棚の二列目の一番左に・・・」

「いえ、今日はその逆を求めてここに来ました」

「・・・・逆?」

そう語るまゆの瞳は穏やかなのだが・・・何処か固い覚悟のようなものを決めた

強い意思が籠っていた為、志希の声のトーンも真面目なものに切り替わる。

「はい、志希さん。端的に言いますと、"まゆの匂い"が欲しいんです。

志希さんは色々な物から香りだけを抽出して保存してますよね?

どうやったらまゆの匂いを閉じ込められるのか、知りたいんです」

「まゆちゃんの匂いねー。いや、まあ方法は簡単だよ?

獣脂...まあ牛の脂とか?それをバスタブいっぱいに浸してそのまま

まゆちゃんが湯槽に浸かればいい。大体そんなに時間はかかんないで香り成分は抽出される。

あとはそれを掬って容器に入れればいい。

ステーキとか肉を焼くときに使うものだから、食用としてもオッケー。

まあ入れすぎると油がしつこくなっちゃうから生クリームとかと併用するのは良くないかな。

あ、獣脂だけどあたしのストックでよければこれあげるからね。

そんな感じ、あとはなんか質問あるー?」

息をつく暇もなく単語を羅列していく志希。パズルのピースが嵌まっていくみたいに

そのどれもがまゆの欲しかった解答となっていく。

質問と用途を完全に理解していなければまず出来ない芸当である。

まゆが一つずつ理論立てて話そうとしていた質問は志希の中では既に終わっていたものらしい。

改めて目の前の少女の異才さに目を見張った。だが、それに圧倒されるまゆではない。

頭の中で理路整然と噛み砕いて理解する。教えられたその手順を。

「ありがとうございました、志希さん。

絶対に最高のチョコを完成させてみます」

まゆが小さくお礼を述べて部屋を後にしようとすると、

─────いつものふざけた様子の笑顔は消え去り何処か冷たく

冷めきったような目をした志希がそこには立っていた。

「あたしはまゆちゃんのこと応援してるよ。

あたしもキライなんだよね、正直じゃないこの世界。

決められていることをねじ曲げ利用し揉み消して。

定められていていないことを勝手に決めて塗り潰して。

だから、こう言うんだ・・・・明日はあたしの風が吹くってね」

背中に突き刺さった殺人的な冷気に足が縫い止められ、振り返る。

そのブルーサファイアの宝石は妖しい眩光を放っていた。

「んー?どうして知ってるのかって顔してるのかな?

あははー、もしかしたらプロデューサーさんにも言われたかもしれないけど。

・・・・『目』だよ、目でこっち側の人間だってすぐ分かる」

「・・・・・。志希さんは・・・・」

「天才は凡人より楽して生きていると思った?

残念、この世界はそんな単純には出来ていないんだよねー♪

あたし達にはあたし達なりの苦悩がある。まあそんなこと、わざわざ言うまでもないけどね。

だから何だって思うかもしれないけど。自分を殺すのは愉しくないなあって

─────そう思うでしょ?まゆちゃん」

意味深長な言葉をまるで試しているかのように投げかけてくる志希。

まゆにはその意図は読めない。元々誰かと関わるような性格でもなかったまゆには

誰かの心を読むというスキルが人並み以上に欠落している。

だからあれこれと深く詮索して読みをするのは止めた。素直な答えを出せばいい。

「・・・・そうですね、まゆも・・・・そう思います」

それだけ答えて、志希の私室をあとにした。



期日は一週間に迫った、2月7日。都内のデパートでは連日のように

バレンタインセールを実施している。まだ当日まで七日あると言うのに

流石に東京と言うべきか凄い盛況ぶりなのであった。

とは言ったものの、お忍び衣装で慣れないデパートを練り歩く少女の目当ては

それら既製品のチョコレートではなかった。

「型とかはあるから・・・あとは容器と飾り。

うーん・・・・どのリボンがいいかしら・・・・」

まゆがプロデューサーから貰った物は包み紙に至るまで保管して大事に持っていると

言ったところ、あの人は真剣な眼差しで謝った後これからは俺も全部

記念に残しておくとすると誓ったのである。別にそんなことを求めて言ったわけではないと

弁解したところ、『自分が自分で立てた方針なんだ』と頑固に言い張ったのである。

実にあの人らしい、それでいて嬉しくなる一言だった。

二人の関係にあまり着飾った物は要らない。両者は共にそういった趣味ではない。

だが、どうせ記念に残してもらえるならばやはり行きつけの小物屋ではなく

こういった新天地で探して見るべきだろう。

「あ、これも可愛いですねぇ...でもちょっと包装するには短いかも。

毛糸のなんてのもあるんですか...ふぅん....?」

此方へ上京してきて真っ先に思ったことだがやはり都内の品揃えは豊富である。

今まで生きてきた中で一回も目にしたことのない商品がズラリと並んでいる。

ふと顔を上げると大きな買い物袋を提げたスーツ姿のOLにまゆのバッグがぶつかり、

反射的に謝るまゆだったが、どうやら向こうは全く気に留めてないらしく、そのまま歩き去っていってしまった。

その時、意識を外に向けたのもあって同じ雑貨屋に居た二人の会話が丁度まゆの耳に入ってきた。

「彼に渡すバレンタインチョコ、これに決めたの。

3000円したし・・・・本命としては十分でしょ♪」

「えーまだ14日まで日にちあるよー?こういうのって生チョコだから保たないじゃんどうすんの?」

「少し早めのバレンタイン。いいのいいの、こういうのは日程の問題じゃないの。

わざわざ予定合わせるのって大変だしもう渡しちゃえばいいのよ」

「手作りの方が良いんじゃないの?ほら、彼氏さんも愛情がたっぷりこもったチョコ食べたいんじゃないー?」

「やだよ、手作りなんて。昨今では手作りのチョコにおまじないとか称して

自分の血を混ぜるメンヘラ女どもがいるじゃん?あたしまでそんなのと一緒だと思われたら嫌だもん。

潔癖性の人も増えてるって聞くし今時手作りなんて流行んないよねー」


何でもない、ありふれた普通の日常の通り一遍の風景。

笑いながら雑貨屋から離れていくその影に。『─────。』いつか見た誰かの姿が重なって。

少し頭痛を覚えた。忌まわしい記憶。けれども決して拭いきれない"わたし"。

今の私を構成する昔。わたしの一部。


『佐久間!普通にやれば出来るだろう!』

『うーわ、冷めるわ。普通はこうするとこでしょ。本当、まゆちゃんって空気読めないよねー』


立っていられない程のものではない。頭を押さえていれば楽になる・・・気がする。

吐き気は催さない。視界は回らない。それでも、五臓六腑の何処かが抉られたように痛む。

・・・・頭痛はすぐに収まった。しかし不快感は残っている。忘れることは出来ない。

捨て去ることなど許されない。背負わなくては生きていけない。

切り離すことなど出来ないマイナス────。

「・・・・・・・」



2月14日、バレンタイン当日の深夜。


「プロデューサーさん♪」

ガラッと扉を開けてふわふわとした髪が両肩で揺れるリボンの少女、佐久間まゆが入って来た。

本日もバレンタインのお渡し会のイベントを順調に終えたまゆはもう仕事がなくとも

ずっと事務所に残り続けていたのだった。────この、時のために。

「おっ、まゆ。いつもは誰よりも早く渡しに来てくれるのに今日は中々来なかったから

もしかして失敗したんじゃないかって心配していたよ」

「毎回一番最初でしたから、今年は一番最後にしてみようかなって思いまして。

プロデューサーさん、仕事は終わりましたか?」

深夜の事務室にはプロデューサーの他には誰も居らず、デスクトップのパソコンは

画面をブラックアウトさせている。正に一日の終わりを感じさせる風景だった。

「悪いな、あとこの辺の書類にサインしたら終わりだから・・・・

適当にそこら辺の椅子に座っててくれないか?」

「はぁい♪」

と、そこまで迷わずプロデューサーの隣の席に移動して座るまゆなのだった。

そして当然のごとくそのまま迷いなき瞳で此方をじっと見つめて来る。

堂々とし過ぎていて、それが逆に若干の照れくささに繋がっている。

彼女の視線が気になるところではあるが、ここで見つめ合ってしまっては仕事が進まない。

横のまゆを感じながらも意識と腕は書類に向けて数少ない残りの業務を遂行する。

まゆは何も言ってこない。ただ黙々と俺の作業している姿を嬉しそうに眺めているのが

横目でちらりと覗ける。いや、覗いてたら仕事にならないので視線を戻す。

書類の日付が間違っていることに気付き、二重線で消して訂正しその証明に判子を押す。

内容に誤りがないかもう一度じっくりと目を通して確認し、自らの名前を書く。

改めて冷静に考えてみると不思議な感覚だった。あの時、養子に入ることもせずに

父親と母親の姓のどっちを名乗るかと聞かれた時、俺は恐らく何も考えずに答えただろう。

何かを考えられるような余裕はなかった筈なのだから。だから、自分の名前に関して

誇りを持つこともなければそれが自身の確固たる証明だとも到底信じられなかった。

その俺が、こうして自分の名前を彼女達の為に使用できていることを嬉しく思っている。

あれだけ、嫌っていた名前だったというのに。

「・・・・終わった」

そんなことを考えている内に、連なっていた書類の束は全て捌けていた。

それぞれを然るべき場所にファイリングして収納する。これで全工程はクリアだった。

「お疲れ様です、プロデューサーさん。いつも遅くまで・・・本当にお疲れ様」

「いやいや、これでも楽な方さ。お前らと遊びに行けるだけの時間はちゃんともらえてるし

居残りもほとんどない。世のサラリーマン達から見たらきっと嫉妬と羨望の的さ」

実際、痛いほどの非難を浴びることもある。だがそれが事実なのだから

俺は受け止めるしかない。受け止めなければならないのだ。

それが幸せに生きられている者の使命。幸せを掴んだ者の宿命─────

「プロデューサーさん」

ふと、無意識に力が入ってしまっていた体を背後からまゆが優しく抱き止めてくれた。

華奢な腕で包み込むようにして腕を交差させる。互いの温度が伝わる距離まで密着する。

「一人じゃないと私に教えてくれたのは・・・・プロデューサーさんですよ?」

それは、いつか交わした約束。双の手首に刻まれた仇花のシルシが結んだ一つの縁。

未来永劫現し世に於いて残り続けよと契った永遠の誓い。

「・・・・ああ、そうだったな」

「そうです。プロデューサーさんが一人で背負い込むことはありません」

背もたれごしの優しい抱擁に甘えて身を委ねる。お互いにこの距離が好きなのだ。

双方とも切り出さぬまま時間は過ぎ去っていく。いつだって時間は平等だ。

それが残酷な時間でも、優しい時間でも等しく無くなってしまうものだ。

壁の時計は音を刻まない。ゆっくりと針を回す仕組みになっている。

だから聞こえてくるのは互いの呼吸の音だけ。生を意味する存在証明だけ。

「プロデューサーさん、チョコ完成しました」

「ああ、知ってる」

先に切り出したのは、まゆだった。

まゆが座っていた机の上には、リボンで綺麗に彩られた

真っ赤なハート型の箱が置いてある。何処までも真っ赤でまゆらしい。

「....プロデューサーさん。まゆは嬉しかったんです。

まゆは貴方の為なら、愛の力があれば自分を曲げることなんて簡単だって思って

貴方好みに変えてほしいと思っていました。・・・でも、プロデューサーさんは

私の色を塗り替えることはせず、まゆの色のままで良いんだって言ってくれました」

「・・・まゆの色を変える必要性が見つからない」

「それでも。私はとっても嬉しかった。・・・・私はずっと、苦しんでいました。

生まれるべき世界を間違えたんじゃないかって。言いたいことも言えなくて、

考えは周りと外れていて、誰にも理解されなくて。

きっとそんな錘は捨てた方がもっと綺麗で美しい人間になれたのに、

プロデューサーさんはそんな私でも好きになって愛してくれて」

ここは鉛色のセカイ。灰色の街。舞台装置の役者が踊る三流悲劇。

自分もまゆも、『世界』に傷つけられた側の人間だ。

その波長の交わりから巡り会った二人だ。

「私は、自分では純粋な赤だと思ってますけど世界から見たら違うのかもしれません。

自分の中では普通だと思っていることが、皆から見たら普通じゃないかもしれません。

綺麗じゃないかもしれないけど。普通には絶対になれないかもしれないけれど。

そんなまゆでも・・・・プロデューサーさんは、愛してくれますか?」

長く、長いとても複雑で多くの感情が込められた問い掛け。

まゆにとって非常に大切な問い。

だが、静寂はすぐに終わりを告げた。解答に時間は要らなかった。

「当たり前だ。俺はどんなまゆであっても愛してる。

例え・・・誰に理解されなくたって俺は理解者で居続ける」

その即答が、何よりもまゆの心を暖めてくれる熱量だった。

雪は降らない、それでも凍りつくような寒さのホワイトウィンター。

太陽よりもその身を熱くさせる一縷の感情。

「うふふ・・・・プロデューサーさん。バレンタインは大切な日。

この日に食べてもらえなければ意味がないって思ってる子も居るでしょうね」

「勿論、分かっているさ」

今日だけでもかなりの量のチョコを食べた。健康的なレシピを考えてきてくれた

アイドルは居たが、やはり大食いでもない自分には限界があった。

想いを優先などという言葉で無視してはいけないがやはり保たないものから

一つ一つ、渡してくれたアイドルのことを考えながら味わっている。

一日中チョコまみれな苦甘い一日だった。

「でも、まゆのチョコは今すぐじゃなくてもいいんです。

それより先に・・・・したいことがあるから。

まゆと、プロデューサーさんだけの・・・・ね」

そう言って、まゆは渡しに来たはずのチョコレートをそのまま

隣のデスクの上に置き去った。そして椅子に座ったままの俺の背後に直った。

再び伸ばしてきた手を今度は優しく繋いで調和させる。

「もうすぐ、今日は終わってしまう・・・・。明日へと、時を刻んでしまいます。

でも、暫くこのままで居させて・・・・?ねぇ、プロデューサーさん...良いですか?」

「・・・・ああ」

もうすぐ24時を回る。"バレンタインデー"は終わりを告げる。

それでも、まだ終わることのない甘い余韻に二人は浸っていく。

二人は静かに抱き合って互いの温度を確かめ合う。その絆を確かめ合う。

ブラックチョコのような・・・・夜が更けるまで。


後書き

初めましての方は初めまして、お前...見たことあるぞ!な方はごこで会ったが百年目
欠星光月です。今回は完全新作なのですが復元出来てないSSが多過ぎて時系列が飛びっ飛びになってますね、ハイ。
手元にプロットしか残ってないのでスローペースにはなりそうですが追い追い復元していきたいです
今回からTwitterの方でちょっとした裏話とか語ったりすることがあると思うので興味のある方は是非。
疑問・意見・感想などもお待ちしております Twitter→@moongazer_ccc


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金属製の餅さんから
2017-02-15 06:20:41

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