2020-06-29 00:47:47 更新

前書き

LOVE勢との絡みを描くだけのssです。
出涸らしの茶です。




大淀「そうなんじゃないですか」シラーッ



提督「おいおい、露骨に興味ないな大淀…」



大淀「だって急に呼び出されてこんな話を聞かされて…興味なんて湧きませんよ」



提督「まあ聞いてくれないか。最初の方こそ俺も自惚てんじゃねぇやとか。有り得ないーとか、ただの社交辞令だ、なんて思っていたんだが…」



提督「ずっと同じ鎮守府で暮らしていてもそういった嫌悪とかも見えないし、尚且つずっとああいう良い態度は崩さないし」



提督「で、本日…バレンタインデーでも晴れて多くのチヨコレイトを貰えたわけだ。これはもう好かれてるって確信しても構わないんじゃないか!

…待ってくれ、帰らないでくれ大淀」



大淀「上司の自慢話を聞かされてどうしろって言うんですか。帰りますよ私は」



大淀(というか、ようやく気づいたかこの朴念仁としか思えませんよ)



提督「分かった、部屋に戻ってもいいぞ。だからせめて、俺の認識は間違ってないか、それだけ答えてくれないか?」



大淀「…まあ、間違ってないと思いますよ。

実際かなりの娘が提督に好意を持っているでしょうし。…私も結構、好きですし」



提督「そうかそうか!いやー、良かった。

勘違いじゃなかったんだな、嬉しい限りだ」



大淀「…それで、その確認をしてどうするんです?誰かに告白でもしてくるんですか」



提督「?告白?」



大淀「そこ惚けてどうするんですか。

皆が提督を好きなハーレム状態だと知って喜んでいるんでしょう?だったら…」



提督「…ふ」



提督「ぷっははは!何言ってんだ大淀!ハーレムなんて、何トンチンカンな事言っているんだ!」



大淀「…んん?」



提督「ああ、ひょっとして好かれてるって…

『皆が俺を男として愛してる』って事だと思ってたのか?はは、そりゃあ大淀も馬鹿を見る目で俺を見るワケだ!」



大淀「…!?ま、待ってください。じゃあさっきの、皆に好かれてるっていうのは…?」



提督「クク、やっぱりちゃんと伝わってなかったんだな。俺を上司として、且ついい友人として慕ってくれてる、て意味だよ」



提督「こんな甲斐性なしのオッさんが皆を侍らす、なんて妄想を…はは、よりにもよって生真面目な大淀がするなんてなぁ」



大淀(…妄想なんかじゃなく、現状を言っただけなのにこんなに馬鹿にされるとは)



大淀(…ちょっとムカつく)



提督「おっと、すまんすまん。

気を悪くさせてしまったな。で、わざわざ確認したのはな、このチヨコレイトのお返しを皆にしてもいいかな?って思っていてな」



提督「好きでもない者から貰うお返しなんざ煩わしいだけだろう?だから迷ってたんだが、どうやら杞憂だったみたいだな」



大淀「な、成る程…?」



大淀(万が一お返しが無かったら士気がとんでもなく下がってたわね、これ…)



提督「で、もう一つ。前まで自発的に俺と職務以外のコミュニケーションを取ってくれる娘とは、嫌々やってる可能性も考慮してあまり長く話さないようにしてたんだが…」



提督「が、最早その必要も無い!という事で、これからは積極的に君らと関わって行こうと思う!」



大淀「…え、本当ですか!?」ガタッ



提督「ああ。勿論無理矢理とか、姉妹同士の語らいを邪魔はしないがな」



提督「いやー、しかし前から心苦しかったんだよ、立ち去る旨を伝えた時とか…」




大淀(…)←既に聞いてない



大淀(…これまで。積極的に提督にスキンシップを取る、所謂『提督LOVE勢』は、提督からあまり相手にされていないという点で不遇な扱いを受けていました)



大淀(だからこそ、他の…こっそり懸想している娘も安心していられた。でもこれからは違う。提督はLOVE勢のスキンシップに積極的に反応していく事を決めてるわ)



大淀(…これは)




大淀「…荒れそうですね」



提督「ん?海か?妖精さん曰く凪ぐそうだぞ?」



大淀「荒れる原因がなんて能天気な…」



提督「?」




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金剛「ヘーイ!提督!」



提督「おう!今日も元気そうで何よりだ!」



金剛「私はいつも元気ですヨ!何故なら…提督が私の側にいてくれるからデース!!」



提督「嬉しい事言ってくれるじゃないか、全く。可愛いヤツめ!」



金剛「えへへー、そんな可愛いなんて!

…もっと言って欲しいデース♪」



提督「ははは!んで、どうしたんだ?何か用事か?」



金剛「…用が無ければ提督に逢いに来ては行けませんカ?」



提督「まさか。お前みたいな美女が逢いに来てくれるのを、喜びこそすれ疎ましくは思わんさ!」



金剛「きゃー!お上手なんですかラ!」




ボーン




提督「おっと、時報…もう午後か」



金剛「という事はもうすぐTea Timeネー!

提督、ご一緒しませんカ?」



提督「ん、ティータイムにか?」



金剛(…といっても、いつも断られてしまうけどネ。どうやらまだまだ提督のハートは掴めてないみたいデス…)



金剛(でも!いつかは提督のハートを掴んで!Tea Time も二人で一緒にするようになっテ!ゆくゆくは…)




提督「そうだな、誘いに乗らせてもらおう」



金剛「ハーイ、okデ… What 's!?」



提督「?どうした面白い反応して」



金剛「い、イエ…その、ホントにいいんですか?」



提督「ああ、休憩取ろうと思ってたしな。何か不都合でもあったか?それとも俺が来るのが嫌か」



金剛「それはありえまセン!!」バァン



提督「はっはは、元気だなぁ。じゃあさっきの面白い反応は何だったんだ?」



金剛「これまではお誘いをしても断られてしまってたので驚いちゃったのですヨ!」



提督「あー…そうだな。たしかに今迄は断ってたもんなぁ。申し訳ない事してたな」



提督「これまでは…こう、リップサービスというか。そういうので誘ってくれてるもんだと思っててな。そのお誘いに乗るのは図々しいじゃないかと思ってたんだ」



提督「が、俺は最近、ようやくお前らの気持ちに気付いてな。そうしたら断るなんてのは寧ろ申し訳なく感じてよ」



提督「だから、お前たちの…お前のその気持ちを受け取る事にしたんだ」



金剛「私の、気持ち…?」



金剛(!!まさか、ようやく私のBurning Loveが伝わって…!)」



金剛(…いや、朴念仁な提督はきっとまた変な勘違いしてしまってるに違いないデス…)



金剛(…いやでも、ひょっとしたらひょっとするかもしれない…ッ!)



金剛「…その、私たちから気付いた気持ちって一言で言うならどんなものですカ?」



提督「ん?そうだな。一言で表すなら…」



提督(何度厚意で誘っても断る、俺のようなノリの悪い、冴えないオッサンへ何度でも誘いをかけてくれるその優しさ、思いやり、感情…)



提督(それを一言で表すなら、そうだな…

それは間違いなく…)



提督「お前たちの(無償の)愛だ」



金剛「!! その通り(恋する人への)愛デス!」



金剛(ついに!ついに伝わったデース!!

伝わってましタ!!)



金剛(嗚呼、以前の勘違いから幾星霜!ようやく私のLoveが通じる日が来た!こんなに嬉しい事は無いデス!)



提督「んじゃ早速、ティータイムと洒落込もうか」



金剛「!は、ハイ!気合い入れていきまース!」



提督「オイオイ、比叡の真似か?流石に姉妹だな、そっくりだ!」




キャッキャ ウフフ




金剛(まさか本当に私の提督への愛が通じる時が来るなんて…ぎゃ、逆に心の準備が!)



金剛(というか私の気持ちを知った上で二人きりのティータイム…)



金剛(ひょっとしたら良い雰囲気になって…告白やプロポーズもされて、それからそれから…!)



金剛(キャーッ!ワクワクが止まらないデース!私、これから何をされちゃうんデスカー!?)///




提督(金剛、顔赤いな…風邪かな?)




【当然何事も無く ティータイムは終了した】




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???「ま、まさか…まさかあの提督が!金剛さん達の好意に気づいて、しかもそれを受け止めるなんて事を宣誓するなんて!」



???「こうなるとこれまでアピールしてきた娘はさらに積極的になるし、負けじと引っ込み思案だった娘もアピールせざるを得なくなる…凄い転機ですね!」



???「うーん…とんでもないスクープの現場、見ちゃいました!」




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大淀「て、提督!」



提督「どうした大淀?そんなに慌てて。

そんなに俺に会いたかったか?」ハハハ



大淀「ふざけてる場合ですか!見てくださいコレ!」



提督「おお、青葉が出版してる新聞か。

どれどれ…んん?」




『提督、熱愛秒読みか」



『先日未明、

提督が愛を受け止めるとの発言』



『いよいよ提督の妻が決まる時が来たか』





提督「何だこりゃ。ていうか何故話の内容を青葉は知っているんだ」



大淀「そんな事よりも!どうするんですか!この新聞は鎮守府中にばら撒かれてます!このままじゃ内戦が始まりますよ!」



提督「内戦なんて大袈裟な…

ていうか何をそんなに焦っているんだ。」



大淀「この唐変木!つまり大勢の、貴方を異性として好きな娘が殺到してくるって事なんですよ!?何平然としてるんですか!」



提督「…なあ、大淀よ。この記事といい、お前の発言といい。俺が皆に異性として愛されているっていうのって…」




大淀(…ようやく気づいたみたいね)




提督「ひょっとして流行りのジョークか?」



大淀「大馬鹿野郎ッ!!」ビシィ



提督「痛った!いきなり何するんだ!

上司を叩くんじゃあない!」



大淀「上司もクソもあるものですか!

…しまった、こうしてる間にもどんどん取り返しのつかない事になっていってるわ」



大淀「提督!私はこれから青葉さんの所に行って、事態の収束させる為、新聞がガセである旨を書かせます!その間、貴方はここに…執務室にいて下さい!」



大淀「そして!誰もこの部屋に入れないでください!わかりましたか?」



提督「あ、ああ…眉間に皺よってるぞ?」



大淀「誰のせいですか、誰の!

…それでは、行ってきます!」



バァン




提督「…何だか、まるで嵐か何かみたいに去って行ったな。何をあんなに焦ってるんだ?」




コンコン




提督「ん、誰だ?」




「私です、司令官。入ってもいいですか?」




提督(…『誰も入れるな』か)



提督(…本当に誰も入れなかったら執務が成り立たないしなぁ。大淀には悪いが)



提督「ああ、どうぞ」




「はい、失礼します♪」




提督「どうしたんだ?何か用か?」




「ええ、ちょっと、ね?」




提督「そうか。まあ、取り敢えず一息ついたらどうだ?顔が赤いぞ。走ってきたのか?」



提督「茶を入れてくるよ。

少し待っててくれ、如月」





如月「…ええ。待ってるわ、司令官…♥︎」




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提督「で、用って何だ?小遣いでも欲しいのか?」



如月「ううん、用っていってもそんな大それたものじゃないんだけど…」



如月「ねえ、司令官」



提督「何だ?」



如月「私ね、司令官の事、好きよ?」



提督「おう、ありがとな。俺もお前らが大好きだぞー」



如月「『お前ら』じゃあなくって、私がって言って欲しいわ」



提督「おうよ、大好きだぞ如月!」ナデナデ



如月「きゃっ…もう、また子供扱いして」



提督「ハハハ、すまんすまん。で、何か用か?まさかそれを言いに来たって事も無いだろうし」



如月(…それを言いに来たんだけれど…

やっぱり、私みたいなお子様ボディな娘には司令官は反応してくれないのかしら)シュン…



如月(…いや、落ち込んでる場合じゃないわ。司令官があの記事の通りの事を本当に言っていたなら、これから先、魅力的な人からも声を掛けられちゃう…!)



如月(なら運良く誰も居ない時に此処に来れた私が、先に司令官を悩殺しちゃえば…!)



如月「皆、司令官の事が好きだけど、私は違うの」



提督「何、嫌いなのか!?」



如月「ううん、違うわ。…大好きなのよ」



提督「はは、嬉しい事言ってくれるじゃないか。不安になったのが馬鹿みたいだな」



如月「うふ、私が司令官の事が嫌いな筈が無いでしょ?…それでね、話を戻すと。私のその好きって感情のベクトルは、他の娘と多分違うの」



如月「それは、友愛とかじゃなくって…」



ダキッ



如月「こうやって抱きついて」



スリスリ



如月「ん…♥︎こういう事をする様な愛なのよ?」



提督「ははは。なぁに、そんな事言われなくとも知っていたさ」



如月「…!?」



提督「俺もお前みたいな年頃の時はそうだったしなぁ」



如月「!! 年頃とか、一時的な気の迷いなんかじゃないわ!私は…」



提督「ああ、すまんすまん!そういう意味で言ったんじゃないんだ。ただ、俺もそんな時期があったなぁってだけでな」



提督「意味もなく抱きついて甘えてみたり、一緒に寝て欲しくて寝床に勝手に入ったり…ハハ、恥ずかしいがな」



如月「ね、寝るって…!」



提督「あれ、違うか?」



如月「…間違って、ないですけど…!」///




提督(…そうだなぁ。急に、わざわざここの部屋まで来て話をするって事は多分…)




提督「そうだ、今夜あたり一緒に寝るか?」



如月「……ええ、ええ!?」



提督「何をそんなに驚いてるんだ?



如月「だって、そんな急に…!」



提督「まあ別に断ってもいいぞ。如月の都合もあるだろうし」



如月「つ、都合…?」



如月(都合…うん、今日は大丈夫な日…だけどそんな急に求められても…こ、心の準備が…)



提督「おーい、どうした。大丈夫か?」



如月「!だ、大丈夫です…」



如月(…いや!今はもうそんな悠長な事を言ってる場合じゃないわ!今は攻めて攻めて攻める時!ましてや司令官本人が…さ、誘ってくれるなら…)



提督「で、どうする?」



如月「え、えっと……」



如月(…覚悟を決めたわ)



如月「…分かりました。今夜、身体を清めてから来ます」



提督「お、そうか?じゃあまた今夜にな」



如月「ええ。…司令官?」



提督「ん」



如月「忘れられない夜にしてくださいね♥

…それじゃ、失礼します!」





バタン





提督「ハ、相変わらずませた事ばっかり言う娘だなぁ、まったく…」



提督(…ま、あれくらいの年頃の俺も、言葉こそ無くともそんな事を思ってたのかもな)



提督(あれくらいの時の俺も『親の愛』には飢えていたからなぁ…保父さんに意味もなくイタズラしたり昼寝しているところに潜り込んだりしたもんだ)シミジミ



提督(わざわざここまで来て話をするって事は、寂しかったんだろう。姉妹との会話では埋めきれない寂しさがあったんだ)



提督(なら、ちゃんと大人がそれを埋めてやんないとな)



提督(…しかし)



提督「…如月もやけに顔赤かったが…

風邪、流行ってンのかな」




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ギィ バタン





加賀「……」



提督「おい、ノックぐらいしろ…って加賀?

どうした急に」



加賀「…いえ、すみません。

…不躾ながら、提督に質問をしても?」



提督「おうおう、これまた急だな。何だ?」



加賀「いえ、その…今、執務室からとても嬉しそうな駆逐艦の娘が出てきたのだけれど…」



加賀「…何か、しましたか?」



提督「?いや、特に何もしてないぞ。

頭撫でて、好きだって言って…」




加賀「…」




提督「あぁ、そうだ。

後で一緒に寝ようとも言ったっけか?」




加賀「!!」



加賀「……そう。

やっぱり提督には小児性愛者の気があったのね」



提督「何また馬鹿な事言ってんだ。…まさかそんな事だけを聞きに来たんじゃないだろうな?もしそうなら、おじさんは時間を無駄にしてると思うぞ」



加賀「…ええ、そうね。こんな事をしている暇があったら赤城さん達と作戦会議をしてきます。…失礼します」



提督「?作戦ったって、お前今日オフじゃ…

…っておい!…行っちまった」



提督「ったく、なんかヤケにせっかちだな。

いつもはちゃんとノックもするのに」



提督「……」



提督(…何か…さっきから…気の所為か?

何だか…)



提督「なーんか、話が噛み合って無いような気がすんなぁ…」



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提督「……」



提督(ていうか今の会話ヤバくないか?

加賀が俺の事を少児性愛者…ロリコンだと思っちまって…)



提督(もしアイツがその事を言いふらしたりとかしちまったら)



提督(…うん、誤解を解こう)



提督「おい、加賀?…ってもう居ねぇ!」



提督(…こりゃあマズイか?)




翔鶴「あら、提督。どうなさいましたか?」



提督「!翔鶴か。いや、加賀を探しててな。ちょっと話したい事があって」



翔鶴「…話したい事?」



提督「ああ。彼女と…ちと、二人きりで話しておきたい事がある」



翔鶴「!! 話って、もしかして––––」



翔鶴(まさか…まさか、加賀さんに…?)



翔鶴(…あの新聞…与太話だと思って本気にはしてなかったけど…)


翔鶴(…いやいや、まさかそんな)



翔鶴「…すみません、ええと…そのお話の内容についてお聴きしても…?」




提督「すまん、言いたくない」




翔鶴「ーーッ!そう、ですか」




提督(ロリコン疑惑の弁明なんて情けなくって言えやしないしな)




翔鶴「…それは、提督と加賀さんのお二人にとって大事な話だからですか?」



提督「…?まあ、そうだな」


提督(随分含みがある言い方をするもんだ)




翔鶴「成る程…」



翔鶴「…」



翔鶴「……」ガクッ



提督「!?」ギョッ



提督「ど、どうした!?貧血か?それとも傷が治ってなかったとか!?」




翔鶴(まさかとは思っていたけれど…加賀さんがまさかこんなにも強いとは…!


翔鶴(…手遅れね。もう私には何も出来は…)




提督「とりあえず鶴姉妹の部屋に…うーん、救護室か?いや、ドックに行こう!」



提督「よし、立てるか?行くぞ」



翔鶴「…へ?あ!い、いえ!これは体調不良と言うか、何といいますか…」



提督「遠慮するな!ほら、肩貸すぞ?」



翔鶴「遠慮という訳では…そ、それに、提督は加賀さんを探しているのでは?」



提督「お前に万が一があったらどうするんだ!」



翔鶴「!!」



提督「…もしこれで何かあったら悔やんでも悔やみきれん。だからほら、行くぞ!」



翔鶴「は…はい…」



翔鶴(……)



翔鶴(…いえ。まだ、出来ることはある…!)





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【ドック、脱衣所前】





提督「うし、着いた。他に使ってる娘は…居ないみたいだな。さあ、ここからは一人で行けるか?」



翔鶴(…ッ、勇気を、勇気を出すのよ翔鶴。

騙すみたいで気がひけるけど…)



翔鶴(…でも、ここでやらなければ、私は…!)



翔鶴「いえ…そ…その。やはり、一人では難しいみたい、です」



提督「!!そうか。なら誰か他に助けを呼b」



翔鶴「ですので…!…あの…提督に…」



翔鶴「…お着替えと、入渠を手伝っていただけたら…と…」




提督「ああ、お安い御よ…」



提督「…」



提督「…!?」




翔鶴「…嫌、でしょうか」



提督「いやいや、嫌っていうか」



翔鶴「!それならお願いします!」




提督「ま、待った待った!俺はその…男だし。お前みたいな可愛子ちゃんに触ったり何なりってのは吝かじゃないが…」


提督「ただ、問題は君だ。こんな野郎に見られるなり触られたりするのはそれこそ恥ずかしいし、翔鶴も嫌だろう」



翔鶴「…私は提督なら構いません」



提督「!?いやいや、体調不良で頭が回らないのかもしれないがよく考えてみろって!他の娘が来て変な噂が立っちまうかもしれないぞ?そうしたら嫌だろ!」



翔鶴「…構い、ません。

そういう噂が立ったら嬉しいくらいですから」




提督「…?どういう…」



翔鶴「…お願い致します、提督。だから–––」




スルリ




翔鶴「…どうか私に。

御情けをくださいませんか?」




提督「なッ…!しょ、翔か–––」






瑞鶴「あーーっ!翔鶴姉ぇーー!」





提督・翔鶴「!!!」ビクゥ




翔鶴「ず、瑞鶴…」



提督「ほら!瑞鶴も来たことだし、入渠はアイツに手伝ってもらいな!姉妹水入らずでな!」



翔鶴「あ、待っ…」




スタコラサッサー




翔鶴「…あ…」




瑞鶴「ちょっと、翔鶴姉ぇ!今、提督さんをユーワクしてたでしょ!」



翔鶴「!ゆ、誘惑なんてして無いわよ!」



瑞鶴「…頬を染めて服を脱がしてもらって、一緒にお風呂に入ろうって言ってたのに?」



翔鶴「!そ、それは、その…!」



翔鶴「……ごめんなさい」




瑞鶴「全く…提督さんをユーワクする時は私と一緒にって約束したじゃない、提督さんは二人のモノって!抜け駆けは駄目なんだからね!」



翔鶴「…うん、そうね。そうだったわ。二人のものに、だもんね。…例え加賀さんにも…」




翔鶴「…ねえ、瑞鶴。作戦会議しましょう」



瑞鶴「へ?作戦会議?」




翔鶴「ええ。提督を、私達に溺れて、身動きが取れなくなるくらいまでに耽溺させる方法を考えましょ」



翔鶴「…なんとしても私たち姉妹が、提督をモノにするのよ!」



瑞鶴「…しょ、翔鶴姉ぇ?目が怖いよ?」



翔鶴「き、気のせいよ、気のせい」



瑞鶴「言ってることも怖かったんだけど…」





−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−





提督「……」




(御情けを、くださいませんか?)




提督「俺は一体何を!

何を考えた!!まさか一瞬でも俺は!」



提督「落ち着け…落ち着け俺。

今のは…多分、翔鶴の気の迷いとかそんなだ。だからそういう勘違いは赦されない」



提督「…よし、もう大丈夫。

落ち着いた、落ち着いたぞ。これで良い…」



提督「ただ、あれだな。大淀の言う通りあんまりウロチョロしない方が良いかもな…」



提督「…うん、加賀に会えて弁解したらすぐ執務室に戻る事にしよう。そうしよう」




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−




提督「……」



提督「…ふーっ、いかんな。心が乱れてる。

精神統一もかねてあの場所に行くか」



提督(…大淀との約束どころかさっきの自分の言葉にも背くが…まあ多少の寄り道程度ならば良いだろう)





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





叢雲「……」



提督「おっと、先客が居たか」



叢雲「!あんた…

ひょっとして、私を探しに?」



提督「?違うが」



叢雲「あっそ」ゲシッ



提督「痛っ、なぜ蹴る」



叢雲「知ーらない」



提督「まったく…

…一人だと思ったが、まあ変わらないか」



叢雲「お邪魔だった?

それはどーもすみません」ストン



提督「ハハ、そんな臍を曲げるなよ。

…隣いいか?」



叢雲「ご自由に」



提督「んじゃ遠慮なく。

…うむ、やっぱここの景色は心が落ち着く」



叢雲「そう?私はそうは思わないけど。

教えてもらった日から、ここの景色で落ち着いた事なんて無いわ」



提督「ま、そりゃあ人それぞれだろうしな。

…?それじゃお前は何でここに居たんだ?」



叢雲「……」



提督「あーいや、答えたくないなら勿論」



叢雲「ここに居れば。

あんたが来るような気がしたから」



提督「〜〜ッ!

…またそういう、勘違いしそうな事を言うなぁ」



叢雲「勘違い、ねぇ」



提督「ああ。その勘違いの内容は…

言われなくってもわかるだろ?」



叢雲「…ねえ、あんた。

これって本当?この新聞記事」



提督「へ?随分と急に話を変えるな。まあ、いつもみたいに大袈裟に騒ぎ立ててるだけよ。気にする事は無い」



叢雲「そ。残念ね」



提督「おいおい、残念って…

そんなにゴシップ好きだったか、お前?」



叢雲「ゴシップはそんなじゃない。

私が好きなのはあんたよ」



提督「…おい、どうしたんだ今日は?そういう事はあまりみだらに言うんじゃない。というか言わないだろうよ。ドッキリか?」



叢雲「…どうして、言っちゃいけないの?」



提督「勘違いする人も出るだろう。

それに、周りがお前を誤解する」



叢雲「…」



提督「まあそれでも良いってんなら話は別だが、お前だって嫌だろう?だから…」



叢雲「…この景色を見て。

落ち着いた事なんて無いわ」



提督「…?」



叢雲「最初に。あんたに教えて貰った時は心が躍った。何て綺麗なんだろうって」


叢雲「それで、それに慣れてきたら。今度は胸が高鳴って落ち着けなんてしない。…この場所を教えてくれた人を思い出すせいで」



提督「…!」



叢雲「勘違い?されても良いわよ。

どうせそんな事言うのあんたにだけだから」



提督「おい、叢雲…」



叢雲「私が誰にでも、そういう事を言ってると思った?違う、私は…」



提督「…叢雲、もういい。涙を流すほど辛いなら、言わなくていいんだ」



叢雲「…ッ!」



叢雲「…辛いんじゃないわよ、バカ」



提督「そう、か」



叢雲「……勘違いすればいいじゃない。

勘違いでもいいから、想ってよ」



提督「……」



叢雲「…」



提督「…冗談て訳じゃ、無いんだよな」



叢雲「その質問、最低よ」



提督「…だな。悪い」



叢雲「…」



提督「…どうして、言う気に?」



叢雲「…焦ったのよ。

ずっと側に居てくれると思ってた。でも、そうじゃなくなるかも。そう思って」



提督「ずっと側に、か。

…悪いな。その答えは今は出せん」



叢雲「…」



提督「でも、きっと答えは出す。

だから頼む、ほんの少しだけ待っててくれ」



叢雲「…はあ、仕方ないわね。

ほんと昔からあんたは肝心な所で優柔不断ね」



提督「…悪い」



叢雲「いいわよ、許してあげる。

…そんなに待たせないならね」



提督「ああ、すぐに答えてやるとも」



叢雲「…楽しみにしてる」



提督「ああ」



叢雲「…」






提督「アッーー!!忘れてた!!

黄昏てる場合じゃなかった!!」



叢雲「うわっ!!な、何よ急に!」



提督「俺は加賀の誤解を解きに行く途中だったんだ!ほんの少し寄る…予定だったのに!ついつい長居しちまった!!」



叢雲「ひょっとしなくても馬鹿でしょアンタ」



提督「罵倒は後で聞く!つーことで又な!」



叢雲「はいはい、それじゃ」



提督「応!」







叢雲「…はぁ、言っちゃった。

まあ、どちらにせよ待つしかないか」





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伊19「ていとくー!」



提督「うおっと!ハハ、なんだ19。

いつもより一層元気いいじゃないか?」



伊19「そりゃ、あんな記事を見たら平静じゃいられないのね!」



提督「おっと、お前も俺が好きだってか?

全く、嬉しいこ……」



提督「…」



提督(……もしかして、もしかしてだが。

この『好意』って、そういう…)


提督(いや、まさか…だが…)



伊19「?どうしたのね?

何か用事でもあったの?」



提督「あ!?ああいや、用事…は確かにあるんだがそれじゃあなくってだな」



伊19「…ははーん、さては逢瀬なのね?」



提督「おう?」



伊19「うんうん、イクにはお見通しなのね。そうじゃなきゃそんなに先を急いだりはしないの!」



提督「…おう。それについちゃあお前の勘違いだと胸張って言えるぞ」



伊19「相手は誰なの?ひょっとしたら、誰も思いもよらないダークホースだったり?」



提督「話を聞けよ」



伊19「むっふっふ〜、考察が捗るのね」



提督「…まあ、取り敢えず離してくれねぇかい。ちと先を急いでてな」



伊19「ダメ」



提督「ええ?」



伊19「離したら何処かの誰かの所に行くつもりなの。だから、離さないのー」



提督「…また、なんというか」



伊19「…冗談だと思ってるのね?」



提督「いや冗談とはいかないが」



伊19「提督は、皆の想いを見くびってるのね。そんなにじゃない、自分はそんなにじゃないって」



提督「いやいや、俺は十分皆から愛されてもらってるし、それの自覚も…」



伊19「んーん!『十分』って付けてる所からもうダメなの!イクの想いだって伝わってないの!」



提督「うむ。好きだってのは伝わってる…

と思ってるが…違うのか、多分」



伊19「間違ってないけど間違えてるのね。

好きは好きでも、ラブなの!

エル、オー、ブイ、イーなの!」



提督「……成る程。そうか、そうか…」



提督(…ふうむ、ここまで言われて目を逸らす訳には行かないな。イクと叢雲は、俺の事を一人の男として認識し好いてくれてる)



提督(……)


提督(…年甲斐もなく嬉しいな)デレッ




提督(いやいや浮かれてる場合か!

しっかりしろ、帝国軍人!)



提督(さて、考えなけりゃならない事は取り敢えず二つ。彼女らの想いにどう答えるかって事と…)


提督(…おう。これはどっちなんだ?

想ってくれているのは、叢雲とイクだけであってあくまで他は親愛なのか。それとも…」



伊19「途中から口に出てるのねー」



提督「は!すまん、つい」



伊19(……むぅ。既に一人想いは伝えちゃってるみたいなのね。全員が全員そうだって教えてもいいけど…)


伊19(…ぶっちゃけこれ以上ライバル増やしたくないのね。)



伊19「…うーん、他の子はわからないの。

ごめんなさい」



提督「あははは!

イクは正直者だな!可愛い奴め!」ナデナデ



伊19「う…な、なんなのね?

嬉しいけど、急に…」



提督「目が泳いでるし、申し訳なさそーに顔が歪んでるぞ。嘘を吐くなんて優しいお前には向いてないみたいだぞ」



伊19「!」



提督「本当に心が真っ直ぐだな。

俺は、お前のそういうところが大好きだぞ」



伊19「…わ、ワザとなのね、絶対。そうやって、イクたちの想いだけ募らせて…」



提督「?ワザと?」



伊19「…ズルいの。そうやって、どんどん好きにならせるだけならせて、大好きにさせておいて知らんぷりなんて…」



提督「…気づいて無かった事、本当に申し訳ない。今更ながら俺は今、気付く事が出来た。もし愛想が尽きていないのなら、俺は一人の男として君と向き合うつもりで居る」



伊19「…」



提督「だから。もし言いたい事があるのなら言ってくれ、今でも、いつでも」


提督「これ以上、知らんぷりはせん。

今度こそ、不学な俺に教えてくれ給え」



伊19「…言いたい事、一つだけあるのね」




バッ


ダキッ



伊19「好きーっ!好き、好き!愛してるのね!」




提督「痛ッ、いたたた!急に飛び込むのは勘弁してくれ!腰が悪いんだ!」



伊19「もー我慢できないのね!

提督、イクの部屋に来てなのね!

今夜は寝かせないのね!!」ハァハァ



提督「…すまん、本当にすまん。その申し出は本気で嬉しいんだが。今だけは本当にダメなんだ…」



伊19「んあー!

来てー!来てなのねー!」ズルズル




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜




提督(ふぅ、なんとか説得して抜けてくる事が出来たが…しかし、本当に俺の事を…)



提督(…いかんいかん、この流れはもうやっただろ!弛んでいる場合か!)ブンブン



提督(問題は、既に二人以上に俺は想いを告げられている事…浮気など言語道断。故に選ばなければ…)



提督(…それについて頭を悩ませるのもいいが!まずは目先の問題解決だ!加賀はどこだ!)




−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−







後書き

今シリーズを再開したは良いもののスランプです。今しばらくお待ちいただけたら幸いです。


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1: SS好きの名無しさん 2018-09-03 00:29:08 ID: LusS2fX2

これは楽しみ。更新待ってます

2: 芝犬 2018-09-03 11:58:48 ID: lKI-zTBH

すこ

3: SS好きの名無しさん 2018-09-06 01:53:58 ID: ll_VFwZP

つづきがきになる

4: SS好きの名無しさん 2018-09-07 00:09:54 ID: tFGjopq_

金剛は可愛いなぁ。すき

5: SS好きの名無しさん 2018-09-07 01:25:04 ID: z2c2R-9B

つづき楽しみにしてます

6: SS好きの名無しさん 2018-09-08 02:59:56 ID: F1L9UuO_

エタら無いことを切に願ってます

-: - 2018-10-08 00:12:51 ID: -

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-: - 2018-10-08 08:34:21 ID: -

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-: - 2018-10-08 12:32:05 ID: -

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10: SS好きの名無しさん 2019-05-30 22:20:35 ID: S:4K78qg

待ってます。

11: eisenkagura 2019-05-31 16:54:34 ID: S:9dsf5r

朴念仁系は飽きた

12: ムフロン 2019-05-31 20:59:44 ID: S:JhFC3z

お淀さんのキレのあるツッコミに爽快感すら感じる(笑)頑張って下さい!

13: SS好きの名無しさん 2019-06-02 11:58:37 ID: S:WXx71Q

オモロイ

14: ウラァー!!ハラショー!! 2019-07-09 08:37:44 ID: S:13Bi71

クッ!リア充が!

15: SS好きの名無しさん 2019-08-07 10:59:05 ID: S:7bZ7Uc

本命は叢雲だったのか


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1: 陽炎型駆逐艦万歳!! 2018-09-17 01:37:50 ID: ajjIoAcy

期待!

-: - 2018-10-08 00:11:54 ID: -

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