2021-04-17 22:04:44 更新

概要

私は....何者....?

ある日、一人の少女が鎮守府に流れ着いた
何処から来たのか...何者なのか...彼女は全てを忘れていた
何もかも失っている彼女にあったもの...

ミューロック

その名前だけであった...


前書き

初のオリジナルストーリーです
こちらに出てくる鎮守府は「死亡ドッキリ」の鎮守府なので一応続編にあたる作品です
ですが前回とテイストが変わり比較的真面目な作風のストーリーとなっているのであまり続編感はありません...
今回はこちらからリクエストを求めるということはしない予定ですがもし何か要望があったら是非コメント欄へお願いします
初めて知の文を使いこちらで一から構成したオリジナルストーリーなので色々酷いですが、温かい目でご覧ください
またこのSSは多聞丸さんとK,Eさんとのコラボ作品でもあるのでお二方の要素や人物が登場します


[プロローグ]




「はぁ.....はぁ.....」


一人の少女が傷を負いながら砂上を死にもの狂いで歩き続ける


「ぐっ....」ドシャ....


しかし彼女にもう歩き続ける力は残っておらず膝から崩れ落ちる


「誰か...」


「誰か...誰か....」


今ある力を最大限に出し必死で助けを求める

しかしその微かな声はこの広大な海に無情利にもかき消される


「誰....か.....」クテッ...


最後の声を振り絞り、彼女は遂に力尽きる....


.....


(っ...)


彼女が目を覚ますと全体が白に統一されている場所だった


(ここは....)


体は動かせない為、必死にぼやけた目で辺りを見回す


(どこ....?)


その時...


アッ!メヲサマシタ!!


ハヤクアカシサンニレンラクヲ!!


(っ....?)


右側で何者かが甲高い声で話している

目がはっきりとしていないので具体的な外見は分からないが空中に浮いていて小さい見た目をしていることだけは分かった


(....天使....?)


本来は違うのだが生死をさ迷い満身創痍の彼女にとっては天使に見えてしまった


(あぁそっか....お迎えが来たんだ....)


(もう....疲れた...)


そう思って彼女は再び深い眠りについた...


.....


「....さい...!」


「...ください!」


「....っん...」


誰かが呼んでいる....


「....てください!!」


その声は必死で誰かに訴えかけているような感情がはらんでいた


「起きてください!!」


「っ...?」パチッ...


「....えっ...」


彼女が目を覚ました場所は天国....ではなかった

彼女の視界には先程と同じ光景が広がっている

視界や脳が先程よりも動くようになり、自分はベッドで寝かされていることを認識できるようになった


「良かった...目が覚めたんですね...」


「っ....?」クルッ...


そこには桃色の髪をした綺麗な女性がいた


「えっ....?」


「提督には黙っていたけど資材使って医療器具作っておいて正解だった...」


「これで提督にもこの医療器具の正当性が証明できる!」


目の前にいる私を無視するように独り言を繰り返す


「あの.....」


「あぁすみません、ついつい別の話を...」


「コホン...」


息を整え姿勢を正す


「申し遅れました、私、工作艦の明石といいます、貴方の医師、そして看護師を勤めています」


「ア...カシ...?」


明石...それが彼女の名前だった


明石「それで大丈夫ですか?体の具合とかは...」


「えっ...?」


「あ、あぁ...特には....」クルッ...


全身にあった無数の傷は消えており、入院服のようなものが着せられていた


明石「良かったてす...」


「あの...私は一体...」


明石「えっ覚えていないんですか?」


「は、はい....」


明石「もしかして、その時の記憶が...」


明石「だとしたら厄介ですね...」


「...っ?」


明石「まぁそれは後々調べますか...」


明石「それで貴方の名前は?」


「えっ?」


「な、名前....?」


明石「そうです、名前が分かれば名字から特定して貴方の家に返せると思うのですが...」


「...私の名前....」


「.....」


「.....ミュ....」


明石「ミュ?」


「ミューロック.....」


明石「ミューロック?それが貴方の名前ですか?」


ミューロック コクン....


明石「なるほど....」


明石 (ということは外国の人...?)


明石 (確かに見た目も日本人というよりハーフな感じが...)


青く光る瞳に端正な顔立ち、白く伸びる美しい長髪...純日本人とは言えない外見であった


明石「えっとミューロックさんでよろしいんですね?」


ミューロック「は、はい....」


明石 (なんかこの名前...聞いたことがあるような...)


明石「ではミューロックさん、貴方の住所や家族について教えてください」


ミューロック「ちょ、ちょっと待って!!」


明石「えっ?」


ミューロック「貴方は...一体なんなんですか....?」


ミューロック「それにここは...」


明石「あぁ....えっと...」


困惑し、頭をかく


明石 (これ言っていいのかな...いやでも言わないと彼女からしたらヤバい組織と思われそうですし....)


明石 (よしっ...!)


明石「....今から話すことは口外しないと約束出来ますか?一応あまり口外されると面倒なので...」


ミューロック「えっ?あ、はい....」


明石「ここは鎮守府という場所で海軍の基地です」


ミューロック「海軍...?」


ミューロック「っ!」ブツン...


...


「....ロック...」「はや....に....ろ....」「お...じ...う...きろ...」


...


ミューロック「ぐっ!?」


明石「えっちょ!?大丈夫ですか!?」


ミューロック「はぁ...はぁ...」


突如として彼女に謎のフラッシュバックが襲う


ミューロック (い、今のは...)


明石「ミューロックさん!?」


ミューロック「えっ?」


ミューロック「あ、あぁ大丈夫です...少し目眩がしただけで...」


明石「そ、そうですか...」


明石「それでですね、貴方はここ海軍の基地、鎮守府に流れ着いていたんです」


明石「それを私達が保護したというのが今の現状までの経緯です」


ミューロック「私が....」


明石「はい、焦りましたよ...朝になって海岸を散策していたら虫の息の血だらけの貴方を見つけて...間一髪でした」


ミューロック「じ、じゃあ、変な組織とかで実験をするとかじゃ...」


明石「えっ?いやいや!しませんよそんなこと!私達は貴方を一時的に保護してるだけです、身元が分かり次第解放しますよ」


ミューロック「そうなんですか....」


明石「それで貴方の住所や家族の名前は?」


ミューロック「.....」


明石「っ?ミューロックさん?」


ミューロック「分かりません....」


明石「えっ?」


ミューロック「何も...分かりません....」


ミューロック「分からないんです...何も...」


ミューロック「私が...何者なのか....」


明石「えっ....えぇぇぇ!?」


ミューロック...それは一人の矛盾をはらんだ少女の話....




[chapter1: 疑惑 ]




明石「えっ...覚えてないって何も!?」


ミューロック「何も....」


明石「えぇ...」(嘘でしょ....)


ー執務室ー


扉コンコンガチャ....


提督「ん?」


明石「失礼します...」


提督「おぉ明石か、って、ん?」


顔が青ざめて、声にも覇気がなかった


提督 (な、何だ...?)


明石「あの...今朝の怪我人の話なんですが....」


提督「おぉあの人か、どうだ?容態は...」


明石「幸い命に別状はなく、今はもう傷もほぼ完治しています」


提督「そうか、なら良かった...」


明石「しかし一つ問題が...」


提督「えっ?」


明石「記憶が...」


提督「えっ?」


明石「記憶が...ないんです...」


提督「はっ?」


提督「えっ...いやどういう...」


明石「ないんです...名前以外の記憶が彼女には...」


提督「そ、それって...」


明石「はい....」


明石「記憶喪失です...」


提督「えっ...えぇぇぇぇ!?」ガタッ


勢いよく椅子から立ち上がる


提督「いや何で!?」


明石「恐らく事故が原因で脳に何らかの損傷が入り記憶の一部が欠如していると...」


提督「そ、そんな...」


提督「じゃあ身元も...」


明石「はい...家族も住所も何も思い出せないと....」


提督「マジかよ....」


明石「まぁ検査の結果、完全に欠如している訳ではなくわずかに断片的に記憶が残っているので記憶を復活させることは可能ですが...」


明石「そう簡単には...なんせ彼女の記憶になっている事を見つけなきゃいけませんし...」


提督「そうか...」


提督 (記憶障害...)


提督「...分かった、とりあえず明石はその人を保護しておいてくれ」


提督「俺は青葉とかと共に記憶になるものを探すから」


明石「了解です、提督」


明石 (早く見つかるといいですが...)


ー医務室ー


ミューロック ガバッ...


あの明石という人がしてくれた治療のおかげで段々と体が動かせるようになった


ミューロック (....やっと体の意識が戻ってきた...) 


ミューロック ズキッ...


ミューロック「いっ!?」


ミューロック (いった...)


だかまだ日常で使う動きは難しく一動作ごとに痛みを伴うため、上半身を起こすのと腕を軽く動かすくらいが限界であった


ミューロック「.....」


病室の小窓から小鳥の囀ずりと共に暖かい日差しが彼女を優しく照らす


ミューロック「はぁっ....」


ミューロック (何で...何も思い出せない...)


ミューロック (私は...何者....?)


ミューロック (どうして...どうしてこんな事に....)


深いため息と共に今自分が置かれている状況を整理しようとする

だが当然、納得のいく結論は出なかった

その時...


扉ガチャ...


ミューロック「っ!」


明石「おまたせしました、ちょっと長話になって...って!ミューロックさん!」


明石「動けるようになったんですね!」


ミューロック「えっ?あっはい、まだ少しだけですが...」


明石「良かった...身体機能にも特に異常はありせんね」


明石「後、数日もすれば身体も完全に動かせるようになると思います」


ミューロック「そうですか....」


明石「ミューロックさん?」


彼女にとっては喜ぶべき報告、だが何故か浮かない表情をしていた


ミューロック「身元は....分かったんですか?」


明石「えっ...」


明石「あっ...えっとそれは...」


明石「すみません...まだ何も...」


ミューロック「そうですか...」


明石「だ、大丈夫ですよ!時期に分かります、だってこんな美人さんなんですから!、調べていけば直ぐ分かりますよ」


彼女の気を落とさない為に必死に励ます


ミューロック「明石さん....」


明石「あっそうだ、一段落したとこですし少しお茶にしません?」


明石「いい茶葉があるんです、どうですか?」


ミューロック「あっ、じゃあいただきましょうかね...」


明石「分かりました!」タッタッ...


ミューロック「....」


ミューロック (明石さんの言う通り、今は少しゆっくりしようかな...)


ミューロック (ずっとこんな事を考えてたら頭痛くなっちゃうし...)


少し安堵したのかミューロックの口元が緩む


タッタッ...  


明石「おっまたせしました!」ガチャガチャ


明石「明石特性の緑茶でs」バンッ...


明石「あっ...」


ミューロック「えっ?」


明石「きゃぁぁぁ!!」ビタァァン!!


足元を気にしなかったが故に段ボールの角に足を引っ掛け勢いよく顔から転ぶ


明石「いったた...す、すみませんよそ見してまし.....はっ!?」


ミューロック ポタッ....ポタッ....


目の前には高速修復材の液が入ったバケツが転がっている...


明石 (ま、まさか...!?)


ミューロック「あの...」ポタッ...ポタッ...


明石「ご...ごめんなさぁぁぁい!!」ダッ!


明石「大丈夫ですか!?お怪我は!?」


ミューロック「あっはい、大丈夫です...そのバケツにあった水を被っただけですから...」


明石「本当にすみません!早く代わりのお着替えを...あっそれに床拭かないと...」


ミューロック「あっ床拭きなら私も手伝いますよ」ガタッ...


ゆっくりとベッドから降りる


明石[いやいや!ミューロックさんはそこにいてください!怪我人なんですから!」


明石「まだ上半身しか動けないし....えっ?」


ミューロック「ん?」


明石「ミュ、ミューロックさん...ベッドから...」


ミューロック「えっ...?」


ミューロック「っ!?」 

 

ごく自然にとった行動が彼女に取ってはおかしい事に時間差で気づく


ミューロック 「う...動けてる...?」


試しに足を出したり腕を回したりする


ミューロック「っ!」


ミューロック「痛みが...ない....」


明石「えっ....?」


あり得ない出来事に両者共に困惑する


明石「あっ、えっ、ミュ、ミューロックさん!?身体が...!」


明石 (嘘っ...何で....全治には数日....)


明石「っ!」


....


ミューロック (あの...)ポタッ...ポタッ...


明石 (ご...ごめんなさぁぁぁい!!)ダッ!


明石 (大丈夫ですか!?お怪我は!?)


ミューロック (あっはい、大丈夫です...そのバケツにあった水を被っただけですから...)


....


明石 (あのバケツに入っていたのって...確か高速修復材の...)


明石「っ!?」


明石 (ま、まさか....) チラッ...


ミューロック「...っ?」


ー取材室ー


青葉「んー...」パラパラ...


数えきれない調査本から一つを取り出し顔をしかめながら調べ続ける


青葉「やっぱりないですね~、ここ辺りで事故が起きたという話は」


提督「そうか...」


青葉「迷子や行方不明の報告もありませんし、その人に繋がるものはないですね...」


提督「なるほど....」(青葉の調査でも分からないとは...)


青葉はジャーナリスト顔負けの情報収集力の持ち主、その彼女が分からないのだからかなりの難問である


青葉「一体誰なんですか?その人」


青葉「記憶喪失なんて滅多にあることじゃありませんし、絶対に普通じゃありません」


提督「そうなんだよな...絶対何かあるんだけど...」


提督「でもそれが分からんだよな...」


ダダダダダ!!


バァン!!


提督・青葉「うおっ!?」「きゃっ!?」ドサッ


唐突に大きな音がしたせいで調査本を落とす


明石「はぁ...はぁ....」


提督「あ、明石...?」


明石「提督、ちょっと!」グイッ!


提督「えっな、何だよ!?」ヨロッ...


乱暴に提督の腕を掴み引き連れる


扉バタン...


青葉「....」


青葉 (あの焦りよう...)


青葉 (気になりますね...)スッ...


ジャーナリスト魂に火が灯り二人を追いかける


ー廊下ー


タッタッ...


明石「....」ピタッ...


明石 (ここなら誰もいませんね...)


提督「ちょ明石!何だよいきなり!?」


明石「ふぅっ...」


明石「提督....」チラッ...


提督「あ、明石?」


いつにもまして真剣な表情で見つめる


明石「提督...落ち着いて聞いてください」


提督「お、おう...」


明石「例の彼女...」


提督「あぁミューロック...って名前の人だよな」


明石「その人...人間じゃないかもしれません...」


提督「えっ?」


明石「先程、こちらの事故で高速修復材が彼女にかかったんです...」


明石「そしたら...全治に数日かかる怪我が一瞬で治ったんです...」


提督「そ、それって...」


明石「はい....」


明石「彼女は...艦娘です」



[chapter2: 存在]




提督「はっ?艦娘?」


明石「はい....艦娘です...」


提督「えっ....えぇぇ!?」


提督「ちょ、ちょっと待て!か、艦娘だと!?」


提督「そんな馬鹿な!だってあんな娘、見たことがないぞ!?」


明石「私だって信じられませんよ!」


明石「けど...高速修復材で傷が治ってしまったんです...」


明石「あれは普通の人間が被ったところで何も起きない代物....」


提督「じゃあ...本当に....」


提督「でも...大本営からも新しい艦娘が入るなんて情報は....」


明石「あぁ...もう何が何だか...」


謎を解明するつもりが余計に深くなった謎に頭をかかえる


青葉「.....」


青葉 (新しい...艦娘!?)


片隅から覗き二人の会話をメモしていた手が止まる


....


衣笠 ツカツカ...


衣笠 (全く青葉ったら...朝は一緒に食べようって約束したのにいなくなって...)


衣笠 (またあの部屋で調べごとしてたりして...)


ピロン♪


衣笠「ん?」スッ...


軽快な音と共にスマホの通知が鳴る


<日本銀行と鉄工所で同時襲撃事件発生、目撃者の情報によると犯人は十人以上の女性グループであり外見は十代から二十代、二つの事件はこのグループの同一犯として警察は捜査を続行....>


衣笠 (物騒ね....早く捕まって欲しいわ...)


衣笠 (あっそれよりも早く青葉のとこに)


ー取材室ー


扉ガチャ...


衣笠「青葉、入るわy....えっ?」


そこには普段とは違う光景が広がっていた


衣笠「な、何これ...」


乱雑に置かれた調査本...散乱している調査書...地面に雑に置かれた多数のカメラ...

綺麗好きである青葉がここまで部屋を散らかすことはなかった、ましてや彼女にとって命とも言えるカメラをここまで雑に置くこと自体あり得ないことだった


衣笠「どういうこと...こんなに散らかって...」


その時....


青葉「....はなし....発表は.....」


衣笠「ん?」


奥の資料部屋からブツブツと見覚えのある声が聞こえる


衣笠「青葉?」スッ...


ー資料部屋ー


扉ガチャ....


衣笠「青葉...」キョロキョロ...


青葉「....報告はない....前例なし...」ウロウロ...


衣笠「っ!?」 


散らかった周りを気にも止めず、ひたすらノートと向き合い独り言を言いながら部屋をうろつく


青葉「大本営からの発表がない...記憶を失っている...」


衣笠「あ、青葉!」


青葉「ふえっ!?」ビクッ


自分に対する呼び掛けに我を取り戻す


青葉「き、衣笠...」


衣笠「ちょっとどうしたの!?あんなに散らかして...それにカメラをあんな...」


青葉「えっ?あ、あぁ何でもないよ...少し寝ぼけて散らかしただけで...」


衣笠「....」


衣笠「嘘をつくにしてももう少しマシなのをついたら?」


青葉「えっ?」


衣笠「こんな状況でそれを聞いて私が納得すると思う?それに貴方もそんな我を忘れたように集中して...」


青葉「っ....」


衣笠「ねぇ青葉教えて、何かあったんでしょ?誰にも言わないから...」


衣笠「だから...ね?」


青葉「衣笠....」


思惑のない真っ直ぐな目で見つめる


青葉「...誰にも言わないって...約束出来る?」


衣笠「もちろん、約束するわ」


青葉「....実は...」


今ある情報を全て衣笠に話す


衣笠「新しい艦娘....」


青葉「まだ確証はないけど...」


青葉「あの二人の表情...ただ事じゃなかった」


青葉「誰にも言うなと言っていたし...」


衣笠「それで青葉は、今に至るわけ?」


青葉「うん、何か彼女の手がかりになるものがないかと全て読み漁ったんだけど...何も無かった...」


青葉「ここまで情報がないのは初めて、青葉も白旗寸前...」


衣笠「なら直接聞いてみればいいじゃない!」


青葉「えっ?」


衣笠「そのミューロックって人に」


衣笠「記憶が無いにしても何かしらはあるはずよ」


衣笠「断片的でも何か記憶が」


青葉「う~ん...でも司令官と明石さんが許可してくれるかどうか...」


衣笠「大丈夫、私からもお願いするから!」


衣笠「さっ行こっ?」


青葉「....」


青葉 (一生の後悔よりも一瞬の恥...)


青葉「フフッ...そうだね」


青葉「よしっ、行こう!ミューロックさんのとこへ!」


ー執務室ー


提督・明石「話しがしたい!?」


青葉「はい!お願いします司令官!」


衣笠「私からもお願い!」


提督「えぇ...」


提督「てか、何でその事知ってるんだ!?」


青葉「あぁそれは...」


今に至る経緯を全て説明する


提督「なるほど...後をつけていたと....」(さすがジャーナリスト...)


衣笠「その後に私も青葉から聞いたってわけ」


明石「いつの間に...」


青葉「てことで司令官、ミューロックさんに取材がしたいんです!」


明石「無理ですよ!彼女は色々と大変なんです!それにまだ記憶が...」


提督「あぁ...今、彼女を刺激するのは...」


青葉「...お言葉ですが司令官、明石さん」


青葉「そんな消極的で彼女の記憶が見つかると思いますか?」


彼女にしては珍しい生真面目なトーンで話す


提督・明石「えっ?」


青葉「お二人が彼女のことを考えての結論ということは十分承知しています」


青葉「ですがそれでは前には進めません」


青葉「彼女のことを考えている、記憶を取り戻したいと思うなら、もっと彼女に踏み入らないと」


明石「し、しかし!ミューロックさんに聞く以外にも方法があるはず...」


青葉「その方法とは何ですか?」


明石「っ...そ、それは...」


青葉「少し自惚れた話をしますが....青葉の取材力と調査力はこの鎮守府でも一番だと思っています」


青葉「その青葉が何年も集めた資料の中で一つも彼女の情報がないんです」


青葉「そんな状況の中、彼女本人に聞く以外に方法はありますか?」


明石「っ....」


反論出来ない事実に唇を噛み締める


提督「...分かった」


明石「っ!提督!」


提督「だが面会の時間は30分だ、それ以上は彼女の精神状態もかねて許可出来ない」


青葉「ありがとうごさいます司令官!」


青葉「それくらいあれば十分です」


青葉「よしっじゃあ行こう衣笠!」ダッ!


衣笠「えぇ!」ダッ!


明石「あっ二人共!」


ガチャン....


明石「行っちゃった...」


明石「だ、大丈夫なんですか提督...?」


不安の眼差しで提督を見つめる


明石「青葉さんの場合...入ってはいけないとこまでズカズカと入っていきそうな...」


提督「大丈夫、そういうとこはあいつも気を付けてる」


提督「それにもし何かあったらストッパーとして衣笠がいるしな」


明石「ならいいですけど....」


ー医務室ー


ミューロック「よっと....」ススッ...


理由は分からないが急速に身体が回復していき今では手すりに寄りかかって歩ける所まできていた


ミューロック (凄い...さっきまであんなに動けなかったのに...)


ミューロック (何でこんないきなり...)


ミューロック (あのバケツのせい...?)


そう思考を巡らせていると...


扉ガチャ....


ミューロック「っ!」


「失礼します!」


ミューロック「あっ明石さん!私もう歩けるように...って...えっ?」


そこにいたのは明石ではなく薄い桃色の髪をした女子高生のような見た目をした者がいた

しかも二人である


青葉「おぉ...貴方が...」


衣笠「綺麗...ハーフの人?」


ミューロック「だ、誰...?」


青葉「あっすいません、私青葉と申します、明石さんの同僚でジャーナリストやってます」


衣笠「同じく衣笠といいます」


ミューロック「青葉さん...衣笠さん...?」


その手には手の平サイズのノートと年季の入ったボールペンが握られていた


青葉「明石さんから許可をもらい貴方に一つ取材をしようと思いまして...」


ミューロック「取材?」


衣笠「えぇ、貴方の記憶の解明について...」


ミューロック「っ!」


ミューロック「ということは何か分かったんですか!?」


青葉「いえ、まだ何も...だから貴方に取材をしにきたんです、記憶の解明の...」


ミューロック「そう...ですか...」ガタッ...


近くにあった椅子に脱力感もあって寄り掛かる


青葉「それでミューロックさん、何か覚えていることはありますか?」


ミューロック「覚えている事?」


青葉「はい、何でも構いません、些細な情報でも残っていれば...」


ミューロック「すみません...何も覚えてないです...」


青葉「そ、そうですか...」


衣笠 (何も覚えてない...)


衣笠 (っ!)


衣笠「ねぇ青葉、ワードとか言えば思い出すんじゃない?」


青葉「ワード?」ヒソッ..


衣笠「艦娘なら軍とか深海棲艦とかのワードに見覚えがあるはずよ、それが何か分からなくても...」ヒソッ..


青葉「なるほど...いい考えね」ヒソッ..


青葉「じゃあミューロックさん今から言う言葉に見覚えはありますか?」


ミューロック「言葉?」


青葉「例えば...深海棲艦」


ミューロック「....いや...特に見覚えは...」


青葉 (違うか...)


青葉「なら艤装」


ミューロック「それも....」


その後も何度か問答を繰り返す


衣笠 (今のところ情報は0....)


青葉「では次は...海軍」


ミューロック「っ!」フッ!


ミューロック「ぐあっ!?」


その言葉を言われた途端、頭の中に何かが駆け巡る


青葉・衣笠「っ!?」


ミューロック「ぐっ...!」


青葉・衣笠「ミューロックさん!?」


ミューロック「あっ...あぁ...!」


踞り頭をかかえる


ミューロック「....ロック...」「はや....に....ろ....」「お...じ...う...きろ...」


青葉「えっ...?」


衣笠「ちょっとミューロックさん!」ユサユサ


ミューロック「っ!」フッ...


ミューロック「あれ...私...」


我に返ると先程の記憶が全て消えていた


衣笠「ミューロックさん!大丈夫ですか!?」


ミューロック「えっ?」


衣笠「頭をかかえて苦しそうな声上げてましたけど...」


ミューロック「いや...私は何とも...」


青葉「....」


衣笠「そう...ならいいですけど...」


青葉「...衣笠撤収よ」パンッ...


ボールペンの芯を戻しノートを閉じる


衣笠「えっ?」


青葉「ミューロックさん、今回は青葉達の取材に協力していただきありがとうございます」ニコッ...


ミューロック「は、はい...」


青葉「帰るよ衣笠」


衣笠「ちょ、ちょっと!」


衣笠「あっすいませんミューロックさん...ここで私達は失礼しますね」


....


明石「....」


明石「大丈夫かな...」


天井のライトを見ながら不安そうな表情でつぶやく


ガチャ...


明石「っ!」


青葉「....」


明石「青葉さん!」ダッ!


青葉「...ありがとうごさいます明石さん」


明石「えっ?」


青葉「おかげでいい情報が手に入りました」ニコッ


青葉・衣笠 ツカツカ...


明石 (嘘でしょ...まだ5分しか...)


明石 (っ!まさかミューロックさんに変なことを!?)ダッ!


....


扉ガチャ!


明石「ミューロックさん!」


ミューロック「あっ、明石さん!」


明石「何かされませんでしたか!?」


不安な声で彼女に駆け寄る


ミューロック「えっ?何かって?」


明石「ほらっ今取材にきた二人に何か変なことされたとか...」


ミューロック「あぁ青葉さんと衣笠さんのことですか?」


ミューロック「いえ、何もされてませんよ、何回か質問されただけで帰っていきました」


明石「えっ....」


明石「そ、そうですか...」


明石 (嘘っ...数回質問しただけなのに青葉さんは...)


次から次へと疑問が広がっていく


...


青葉 ツカツカ...


衣笠「ちょ、ちょっと青葉!」


青葉「ん?」


衣笠「もう良かったの?まだ少ししか話してないのに...」


青葉「うん、十分な情報が手に入ったよ」


衣笠「えっ本当に?」


青葉「もちろん、大体のことは見えてきた...」ニヤッ...


彼女にとって予想以上の収穫に笑みが溢れる


衣笠「それはどういう...」


青葉「さっきうずくまっていた時があったでしょ?」


衣笠「えっ?あっあれね...」


青葉「その時にね」


「....ロック...」「はや....に....ろ....」「お...じ...う...きろ...」


青葉「この三つの言葉が彼女の口から無意識に出ていたの」


衣笠「そういえば確かに何か言ってたわね....」


衣笠「でもこれが何?」


衣笠「何かに繋がるようには思えないけど...」


青葉「いやそうでもないよ」


青葉「まず「....ロック...」ってワード、これは彼女自身ミューロックさんを表してる」


衣笠「あぁ確かにロックってことはミューロックさんになるね...」 


青葉「それと「はや....に....ろ....」「お...じ...う...きろ...」というワード...」


青葉「どちらも命令口調になってる」


青葉「まずは最初の「はや....に....ろ....」これは恐らく「早く逃げろ」と言っている」


衣笠「早く逃げろ...はや...に...ろ...あぁ!確かに!」


青葉「そして「お...じ...う...きろ...」...」


青葉「最後の「きろ」は生きろ、そして「じ...う...」は自由」


衣笠「生きろ...自由...」


青葉「これは青葉の補完もあるけど...」


青葉「「お前は自由に生きろ...」これだと思う」


衣笠「お前は自由に生きろ...」


青葉「早く逃げろ...お前は自由に生きろ...」


青葉「海軍というワードに反応...」


青葉「恐らく彼女は海軍に追われていて寸前まで誰かと一緒にいた、そして口調からしてかなり危険な状況のはず」 


衣笠「じゃあ...浜辺に傷だらけでいたというのは...」 


青葉「逃げる道中で深海棲艦にでも襲われたんでしょう、あの傷は深海棲艦でなきゃ不可能」


青葉「これが現時点での青葉の推理かな...」


衣笠 (凄い...それだけでそこまで...)


青葉「しかし...まだ具体的なことは分からない...彼女が何者なのかも...」


青葉「...やはりあそこに行くしかないね...」


衣笠「あそこ?」


青葉「大本営だよ、あそこなら色々分かるは

ず...」



[chapter3: 記憶]



...


ー医務室ー


ミューロック ツカツカ....


手すりなしで部屋の端から端を歩く


明石「特に異常はなし....」


明石「よしっ!」


明石「ミューロックさん、おめでとうございます」


ミューロック「えっ?」


明石「もう歩行なども問題なく出来て体の異常もありませんので完治の条件に十分に達しています」


ミューロック「っ!てことは...」


明石「はい、もう貴方の体は問題ありません」ニコッ


ミューロック「っ!」


ミューロック「ありがとうございます明石さん!死ぬ寸前だった記憶のない私にここまでしてくれて...」


明石「いえいえ!当然のことをしたまでですよ」


明石「あっそれと完治祝いとして...」スッ...


ミューロック「それは?」


明石の手には綺麗に折り畳まれた洋服があった


明石「ミューロックさんが浜辺で倒れていた時の服を再現したものです、まぁ損傷が激しかったので完全には再現出来ているとは限りませんが...」


ミューロック「これが私の....」


明石「早速、着替えてみてはどうですか?いつまでも入院服でいるのもあれですし」


ミューロック「そうですね」


明石の言葉に甘え、医務室のカーテン付きベッドを試着室代わりに着替え始めた


ミューロック (私...こんなの着てたんだ....)


着替えを始めてから数分後...


ミューロック シャッ..


軽快な音と同時に着替えを終えた彼女が登場する


明石「おっ着替え終わりましたか!」


第二ボタンまでが開いた白のワイシャツに紺色のネクタイ...

白のラインが入った茶を基調としたプリーツのミニスカートと大人びた黒い靴に白ニーハイ

そして赤ラインが入っている黒の上着を白い長髪を2つに分けフードを被っている


全体的に大人びたカジュアルな服装だった


https://twitter.com/SS09145314/status/1341750188453466124?s=19


明石「おぉ!似合ってますね♪」


ミューロック「そ、そうですか...?」


明石「えぇ?大人っぽさとカジュアルさがうまく混じっていてとても良いです!」


明石「それに....」チラッ...


ミューロック「っ?」


入院服の時は分からなかったが中々の胸部装甲である


明石 (おっきいですね...)


ミューロック「明石さん?」


明石「えっ?あぁすみません」


ミューロック「あの...退院したのと服をもらったのは嬉しいですけど...」


ミューロック「まだ記憶が...」 


ミューロック「それに自分が何者なのか...」


明石「っ....」


晴れやかな笑顔が退き表情が曇る


明石「それに関してなんですが...少しだけ分かったことがあります」


ミューロック「えっ!?」


ミューロック「それは一体!?」


明石「場所を変えてお話します」


明石「どうぞこちらへ...」


ミューロック「えっ?は、はい...」スッ...


ジャリ....


ミューロック「ん?」チラッ...


足に何かしらの違和感を感じる


明石「ミューロックさん?」


ミューロック「あっいえ何も」


ミューロック (何....今、砂のようなものを踏んだ感触が...)


....


明石「着きました」


ミューロック「ここは...?」


明石「執務室ですよ、提督の」


ミューロック「提督?」


明石「まぁ会ってみれば分かります、さっどうぞ」ガチャ...


明石に先導され中に入る 


ミューロック「おぉ...」


部屋はどこか古さを感じつつもモダン的な雰囲気の部屋で大型のソファーや紅茶セット、その他にも色々なものが置かれ飾られており自分が想像していた執務室とはかなり違かった


ミューロック (執務室ってこんななの...?)


明石「提督!例の人です!」


提督「おっそうか」ダッ...


奥の部屋から男性の声がする


提督 ガチャ...


その男の人は白い軍服のようなものを着ており軍帽を被っている

だが見た目のわりに硬い雰囲気は全くなくむしろ優しい、物腰が柔らかそうだと感じた


提督「あっ君が例の...」


ミューロック「えっ?あ、はい」


提督「ミューロック...だね、明石から話は聞いてるよ」


その後、彼の自己紹介が始まった


...


提督「まぁ自分の説明はこんなとこかな」 


提督「気軽に提督と読んでくれればいいよ」


ミューロック「わ、分かりました...」


ミューロック「提督....」


提督「それで早速なんだけど君に伝えなければいけないことがあるんだ」


ミューロック「伝えなきゃいけないこと?」


提督「まぁとりあえずそのソファーに座ってくれ」


ミューロック「はぁ...」スッ...


提督・ミューロック ギシッ...


提督「...君は確か記憶を失っているんだよね」


ミューロック「はい...何もかも...」


提督「その事なんだが...少しだけ分かったことがあるんだ」 


ミューロック「っ!本当ですか!?」


前のめりになり瞳孔が開く


提督「あぁ...けど少し衝撃的なことになるかもしれない...」 


ミューロック「えっ?」


提督「ふぅっ...」


二度ほど深呼吸をし息を整える


提督「君は...人間ではない」


ミューロック「....はっ?」


提督「いや語弊があるな...人間とは少し違う存在なんだ」


ミューロック「違う...存在...?」


提督「君は...艦娘なんだ」


ミューロック「艦娘...?」


彼からの話によると私は深海棲艦という敵を倒す為に太平洋戦争で活躍した艦の生まれ変わりの存在らしい

感情もあり機能なども人間と同じ

けど少し違うところは艤装という兵器を着用でき、人間よりもはるかに頑丈な体をしてる


提督「それが艦娘...君の存在なんだ」


確かに衝撃的な内容

けどそこまで私は動揺はしなかった

むしろ、自分の正体が分かり安堵という感情が私の心を覆った

それにどこか...理由も根拠もないが予感がしていた


ミューロック「じゃあ私は...その深海棲艦という敵を倒す為に生まれたんですね」


提督「あぁ簡単に言えばな」


提督「けど...分かるのはそこまで」


提督「君の前世の艦が何なのか...どこから来てどこで生まれたのか...何故あぁなっていたのか...それはまだ分からない」


ミューロック「っ....」


再び彼女の顔に陰りが出る


提督「けど安心してくれ、君については必ず俺達が解明してみせる」


ミューロック「っ!」


励ますように優しい口調で彼女に希望を持たせる


ミューロック「提督....」


断言した彼の自信...それは数十分前に遡る


.....


提督「なるほど...大本営の資料室で彼女の詳細を見つけると...」


青葉「はい司令官、あそこなら沢山の資料や文献があります」


青葉「そこなら絶対になにかは見つけられるはずです」  


提督「分かった、行ってこい」


青葉「ありがとうごさいます司令官!」


提督「けどあまり大本営に迷惑はかけるなよ」


青葉「分かってますよ、司令官」フフッ...


....


提督 (あの青葉だ...絶対に何か見つけてくれるはず....)


....


ー首都高ー


ブロロロ...


雲ひとつない青空の下、法的速度を守りながら車を走らせる


衣笠「しかしこんな車があったとはね....」


....


ー鎮守府ガレージ前ー


提督「衣笠、お前確か免許持ってたよな?」


衣笠「えっ?あぁ少し前に取得したわ、偽名使ってだけど...」


青葉「えっ!?」


衣笠「あぁそういえば青葉には言ってなかったね」


青葉「そうなんだ...」(最近よく出掛けてると思ったら...)


世間に艦娘という存在が認知されてない以上、偽名を使わないと免許などが取れなかった

また体が大人びてる駆逐艦を除外した駆逐艦や海防艦などは外見の都合上偽造が出来ず免許が取れない


提督「そうか、ならこれを出せるな」


衣笠・青葉「っ?」


バサッ....


大きめの布を勢いよく取る


衣笠・青葉「おぉ!」


そこには美しい白色をしているスポーツカー、RX-8の姿があった


提督「提督への着任祝いとかで大本営から数台車が授与されただけど、余り使ってなくてな....こいつに関しては一回も」


提督「大本営は都内だが少し距離があるからこれ使ってくれ」


....


衣笠「驚きよ...」


青葉「それよりも青葉は衣笠が免許取ってたことに驚きだよ...」


衣笠「えっそう?」


そうこう話している内にあっという間に大本営へ着く


ー関係者用駐車場前ー


憲兵「IDの提示をお願いします」


衣笠「はい」スッ...


二人分のIDカードを渡す


憲兵「少しお待ちを...」


...青海鎮守府....

青葉型一番艦 青葉 


...青海鎮守府....

青葉型二番艦 衣笠


憲兵「はい確認しました、どうぞ」


IDカードを返し駐車場へ誘導する


青葉・衣笠 ガチャ...バンッ!


青葉「よしっ...行こう衣笠」


衣笠「えぇ」


......


ー関係者用資料室前ー


女性警備員 バッバッ...


女性警備員「はい、大丈夫です」


女性警備員「ごゆっくりどうぞ」ニコッ..


女性警備員がボディチェックを済ませ笑顔と共に中へ案内する


ー関係者用資料室ー


衣笠「おぉ...!」


青葉「凄い...資料がこんなにも...」


綺麗な列を取りながら一例ごとにびっしりと置かれた文献や資料

三階にまでそれは及ぶ


青葉「...準備はいい衣笠?」


衣笠「フフッ...もちろん」


青葉「さぁ...宝探しの始まりだよ」


.... 


同時刻...


ー工房ー


ガシャン...


ミューロック「これは....?」


明石「艤装というものです、私達、艦娘だけが装着することの出来る武器のようなものですね」


明石「これは練習用のやつですが...」


ミューロック「これを私が装着するんですか?」


明石「まぁまだ艦娘としての道が決まった訳じゃありませんが...」


明石「一応艤装に慣れておこうということで...」


明石のサポートもありつつ、艤装を装着する

見た目のゴツさとは裏腹に重さなどは全く感じなかった


提督「おぉ、うまくはまったか」


ミューロック「これが艤装....」


明石「では早速、水上を滑る練習からしょうか」


ミューロック「水上を滑る...?」


三人は舟に乗り近くの安全な海面エリアへと移動する


明石「よっと!」ピョン!


ミューロック「えっちょっと!?」


勢いよく海に飛び込む


明石 タッ...


ミューロック「っ!」


その足は沈まずに海面の上に浮かんだままでいる


明石「私達はこうやって艤装をつけていれば海面の上に立つことが出来るんです」


明石「それに...」スシャ...スシャ...


明石「このように歩くことも」


ミューロック「す、凄い...」


明石「さっミューロックさんもやってみてください」


ミューロック「わ、私も!?」


感心していたのもつかの間、自らがやると知ると急に焦りだす


明石「当然ですよ、ほらっ早く!」


ミューロック「っ....」


不安にかられ一歩が踏み出せない


提督「大丈夫だミューロック」


ミューロック「っ!」クルッ...


提督「恐れる必要はない、艤装をつけた状態で海に沈むなんてことは絶対にないよ」


ミューロック「そうなんですか...?」


提督「あぁ、もちろん俺が保証する」


ミューロック「っ...」(そこまで言うなら...)


ミューロック「ふぅ...」


呼吸を整え緊張を抑える


ミューロック「はっ!」スッ!


勢いよく飛び海面につく


ミューロック「....」


ミューロック「っ...」パチッ...


再度、目を見開いた先は海中ではなく先程と同じ夕日が綺麗な光景が広がっている


ミューロック「っ!」(やった!?)


ミューロック「提督、明石さん!私、出来ました!」クルッ...


称賛の表情を期待して振り替えるが...


提督・明石「っ....」


ミューロック「えっ...」


実際は彼女の足を見て困惑した表情をしていた


明石「ど、どういうこと...?」


提督「これは...!?」


ミューロック「っ?」チラッ...


二人が凝視する足を見ると...


サァァ....


ミューロック「えっ?」


彼女がついていたのは海面ではなく....砂であった


ミューロック「な、何これ...」スッ...


サァァァ...


ミューロック「っ!」


一歩左足を退くとそれに反応するように自分の足場にある砂が移動し左足をささえる


ミューロック「なっ!?」


提督・明石「っ!?」


どれだけ歩いても、両手をつけようとしても砂の壁が邪魔をし海面に触れることが出来ない


ミューロック「何...何なの!?」


砂を掘ったり、飛び込んでどうにか海面に触れようと試みる

しかし結果は全て砂に阻まれ体力の無駄になるだけだった


ミューロック「はぁ...はぁ....」


提督「これは一体...」


明石「何で砂が...!?」


場所的に砂が発生することはまずありえず、ましてやその砂はまるで生きてるかのようにミューロックに付きまとっていた


....


青葉 パラパラ...


情報収集を始めてから三時間が経過していた


衣笠「あぁ...見つからない...」


時間は19時をまわり体力と気力の限界も近かった


衣笠「ねぇ青葉、本当にここにあるの?」


衣笠「さっきから一つもミューロックさんの情報がないけど...」 


青葉「海軍の頭脳とも言える場所だよ?絶対にあるはず...」ペラペラ...


衣笠「そう....」


衣笠 (全く...一回スイッチが入ると凄まじいほどの集中力ね...)


そう関心しながら再び目を擦りながら情報収集を始める

そして一時間後....


青葉 ペラッ....


青葉「っ!」 


青葉「衣笠!!」 


衣笠「ん?」


青葉「見つけた...彼女の情報!!」


衣笠「えっマジで!?」ダッ!


先程まで彼女を襲っていた睡魔が一瞬の内に飛び青葉の元へ駆け寄る

彼女が提示した物...それは誇りを被った古い一つの黒い本だった


青葉「ほらっここに...!」パラッ...


衣笠「っ!本当!」 

 

衣笠「あれっ...でもこれ....」


......


2100


提督「....」スッ...


神妙な面持ちで天井を見上げる


....


ー工房ー


提督「どうだ、明石何か分かったか?」


明石「いえ全く...」


明石「何故砂が発生したのか...何故砂がミューロックさんの身体に付きまとっているのか...科学的根拠が一つもありません」


あの後、ミューロックの身体を調べ謎の究明に当たったが...何一つ得れるものはなかった


提督「そうか....」


提督「何であんな能力が...」


明石「もしかしたら...前世に関係があるかもしれません」


提督「前世?」


明石「私達艦娘は生まれ変わりの際に必ず前世の艦の特性を何かしらは持っています」


提督「じゃあミューロックは砂が関係してると?」


明石「恐らくは...しかしそれがどういう経緯で関係しているのかは分かりません」


提督「青葉達を待つしかないか...」


....


提督「なるべく早く解明しないとな...」


ミューロックのことは明石、青葉、衣笠以外の艦娘には騒ぎや混乱が起きることを防ぐ為に伝えていない

その為ミューロックは明石の部屋に寝泊まりしている


提督 (いつまでも誤魔化すことは出来ない...)


とは言っても提督や明石などの不審な動きに疑問を持つ艦娘も出現している為、バレるのも時間の問題だった


提督 (あの砂の能力....一体何なんだ?)


その時...


扉コンコンガチャ...


青葉「司令官!」


提督「っ!」


衣笠「待たせたわね提督!」


提督「お前ら!!」


待ち望んだ二人の帰りに歓喜の表情を浮かべる


青葉「見つけました...彼女の前世を」


提督「本当か!?」


青葉「とりあえず明石さんとミューロックさんにここへ来るよう伝えてください」


数分後....


ミューロック「前世が分かったって本当ですか!?」


明石「一体どんな!?」


声を大きくし目を輝かせ青葉を見つめる


青葉「はい、ここに...」スッ...


提督「これは...本?」


青葉「許可を得て一週間という期間だけ借りてきました」


青葉「そして....」ペラペラ...トン...


目的のページを開き指をさす


一同「っ...」


そこには一つのモノクロ写真と箇条書きになった文章があった


青葉「ミューロック・マル....それが貴方の名前です」


ミューロック「ミューロック・マル....」


青葉「そして貴方は高雄型の五番艦でした」


提督・明石「高雄型!?」


ミューロック「っ?」


提督「た、高雄型って...あいつらは四姉妹じゃ....」


明石「というか...日本艦なんですか!?」


青葉「う~ん....ハーフって感じですね」


提督・明石「ハーフ?」


青葉「ミューロックさんは元々アメリカで作られ生まれたんです」


青葉「しかしそのモデルになったのは理由は分かりませんが高雄型...そしてアメリカ兵は飛行場の名前をいじってミューロック・マルと名付けたみたいです」


提督「だからハーフだと...」


衣笠「高雄さん達とは血の繋がらない姉妹という関係かしらね」


ミューロック「血の繋がらない...姉妹...」


青葉「そしてこれは驚いたんですが...この艦は砂漠で生まれ一度も海に入ったことがありません」


提督・明石「はっ!?」


ミューロック「っ!?」


衣笠「この艦は元々砂漠にあるアメリカ軍の攻撃演習の為に作られた模型のような存在だった」


衣笠「だから海に出たこともないし、情報もアメリカで作られたから日本には情報が全くなかったの」


ミューロック「じゃあ...海に触れると砂化するのは...」


明石「っ!まさかミューロックさんのあの砂って!?」


青葉「砂?」


先程起こった不可解な現象を青葉達に話す


青葉「なるほど...砂が邪魔をして海に触れないと...」


衣笠「多分これが原因ね」


衣笠「艦娘は何かしらの前世の特性を持ってる、ミューロックさんの前世は海に触れたことがない....」


衣笠「それがその不可解な現象を起こしているのだと思う」


ミューロック「そう...だったんですね...」


三人を悩ました疑問が遂に解決する

しかしそれはまた新たな疑問を出してしまうことになった


提督 (海に触れられないって...)


明石 (それ...艦娘として致命的では...)


青葉「...とりあえず分かったのはここまでですね」


ミューロック「えっ....あのこれまでに何があったとかは...」


青葉「すみません、そこまではまだ...」


衣笠「この本には前世の情報しかなくて....」


ミューロック「そうですか...」


青葉「...司令官」


提督「ん?」


青葉「少しご相談が....」


提督「えっ?あっおう...」


場所を提督の私室へと変える


青葉「司令官...」


青葉「クライムブレインに...行かせてください」


提督「っ!」



[chapter4: 交渉]




クライムブレイン....海軍関係が疑われる事件の資料か集約された場所


提督「なっ!クライムブレイン!?」


青葉「はい司令官」


提督「いやあそこは...てか何でそこへ?」


青葉「実は....」


取材中にミューロックが謎の単語を述べていたことを打ち明ける


提督「つまり...ミューロックの話は事件性が高いと...」


青葉「はいっ、単なる事故ではないと思います、ですからクライムブレインから資料を借りていきたいんです」

 

提督「だが....条件をクリアしないと...」


青葉「条件?」


クライムブレインに入る為には海軍トップ2の承認するくらいの相応の理由が必要、ましてやそこから資料を借りるとなると難易度はより一層上がる


提督「あの二人を認めさせない限り、クライムブレインに入る事は出来ない、簡単ではないぞ...」


青葉「なるほど...ならこちらにも考えがあります」


提督「考え?」


....


ー翌日ー


昨日と同じように雲一つない晴天が地上を照らしている


ー大本営ー


ブロロロロ...


憲兵「IDの表示をお願いします」


衣笠「はいはい~」スッ...


憲兵 カタカタ....


憲兵「あれ...お二方、昨日も来ていましたよね、何かあったんですか?」


衣笠「えっ?あぁ...」


青葉「ちょっと資料室で調べごとをしてましてね...少し時間がかかってるんですよ...」


困った微笑をしながら穏やかな口調で話す


憲兵「そうなんですね、お疲れ様です」


憲兵「どうぞ」


衣笠「ありがとうございます」ニコッ...


IDを返し駐車場へ誘導する

 

青葉・衣笠「ホッ...」


緊張から解放され心が安らぐ


青葉「もう大丈夫ですよ」


バサッ....


大きめの布を静かに取る


ミューロック「....ばれてませんか?」


衣笠「大丈夫、憲兵さんの表情的に疑いもしてなかったわ」


青葉「しかし上手くいくものだね...」


....


提督「ミューロックを連れてく!?」


青葉「はい、ミューロックさんの今ある情報と本人を連れていけば最高の交渉カードになると思います」


提督「まぁそうかもしれないが...」


提督「ミューロックは艦娘であれ大本営からは正式に認められてない...ばれたら憲兵に追い出されるぞ...」


青葉「大丈夫です、手は打ってありますよ」


提督「そうなのか...?」


青葉「えぇもちろん、少しグレーですが...」


提督「えっ...」


青葉「あぁ大丈夫です!何かあった場合はこちらで何とかしますから!」


提督「大丈夫かよ...」


....


衣笠「席のシートと同じ色の布を被せてごまかす....シンプルすぎると思ったけど案外いけるわね...」


ミューロック「でもこれ...ばれたら色々まずいんじゃ...」


青葉「大丈夫!大丈夫!交渉カードということが認められればこれくらい不問にしてくれますよ」


ミューロック「っ....」(楽観的...)


そうこう話しながら車を停める


バンッ!


青葉「よしっ....」


衣笠「大丈夫?ミューロックさん」


ミューロック「もちろん、このまま謎のまま終わらせたくはないです...!」


青葉「フフッ...分かりました」


青葉「さぁて...交渉に行きましょうか...」


青葉「海軍のトップ2...元帥と獅子丸大将の元へ...」ニヤッ...


.... 


提督「一応、獅子丸大将からは時間を頂いてる」 

              

提督「だが時間と言っても30分しか許可がおりてない...短期勝負だぞ...」   


....


青葉 (やってやりますよ...)    


ー大将室ー     


扉コンコン...


獅子丸「っ...どうぞ」      


青葉「失礼します」         


衣笠「し、失礼します!」     


獅子丸「おっ君達は...」        


青葉「◯◯鎮守府の青葉と申します、こちらは衣笠です」  


衣笠「ど、どうも....」


青葉「少し前にこちらの提督からご連絡があったと思いますが...」  


獅子丸「あぁ君たちが...」


獅子丸「ようこそ、大本営へ」ニコッ...


朗らかな笑顔で青葉達を向かい入れる


獅子丸「それで儂に話とは何かな?」


見た目とは裏腹に穏やかな口調で話す  


青葉「...クライムブレインへの入室の許可をお願いしにここに来ました」


獅子丸「...」ピクッ...


衣笠「っ!?」(えっいきなり言う!?)  


獅子丸「...何故そこに入りたいのかな?」 


先程の笑顔が消え冷徹な表情を取る


青葉「少し調べたいことがありまして...」


獅子丸「取材ということかな?」


青葉「まぁそうとも言えますね」


獅子丸 ガタッ...


ゆっくりと立ち上がり青葉達に近づく


獅子丸「あそこは海軍関係の疑われるあらゆる犯罪が集約された場所だ、君達も知っていると思う」    


獅子丸「遊びで入っていい場所ではないのだよ」ジッ...


衣笠「っ!?」ビクッ!


あまりにも威厳ある威圧的な視線...

海軍ナンバー2を示す十分な説得力がその視線にはあった


衣笠 (これが獅子丸大将...!)


衣笠 (や、やばっ...怖くて足が....)


緊張と恐怖から冷や汗をかき足が硬直する


衣笠 (青葉...ここは退いたほうが...)チラッ...


状況に耐えきれず青葉に目で訴えかけようとする

しかし....


青葉「フッ....」


衣笠「えっ...?」


獅子丸「....っ?」


彼女は笑っていた


青葉「その威厳と威圧感...さすがは伝説の三大将と呼ばれることはありますね」


青葉「けど...青葉達も退くわけにはいかないんです」


獅子丸「.....」

   

獅子丸 (少しも怯まないとは....) 


青葉「それに決して青葉達は遊びでここに来たわけではありません」


青葉「ちゃんとした理由があります」  


獅子丸「ほぅ...」           


少し息を整え獅子丸を真っ直ぐに見つめる


青葉「獅子丸大将、ミューロックという艦はご存知ですか?」


獅子丸「ミューロック?」


獅子丸「あぁ...あの幻の艦といわれるやつか、ミューロック・マル...名前は聞いたことある」


獅子丸「まだ艦娘としても存在していないはず....」


獅子丸「だがそれが何だ?」


青葉「そのミューロック・マルなんですが...」


青葉「ここにいるんです、艦娘として」


獅子丸「っ!?」


獅子丸「何を言ってる!?その艦はまだ...」


青葉「それがいるんです」


青葉「....もう入っていいですよ」


ガチャ....


獅子丸「っ!」


コツコツ....


獅子丸「君は...」


「始めまして、獅子丸大将」


深々とお辞儀をする


ミューロック「高雄型5番艦...ミューロック・マルと申します」


獅子丸「ミューロック・マル...君が....?」


ミューロック「はい、その証拠として...」


ミューロック サラサラ....


獅子丸「っ!?」


握った拳から砂がおちる


獅子丸「これは....」


ミューロック「獅子丸大将、私が前世で一度も海に出たことがなく砂漠に存在していたことはご存知ですか?」


獅子丸「あぁ、もちろん」


ミューロック「艦娘は皆、前世の特性を持っていると明石さんから聞きました」


ミューロック「そして私の特性はこれです」


砂が出現する手を見せながら話す


ミューロック「私は...海に入ることが出来ません...触れることも...」


ミューロック「その代わりこうやって砂を出せるんです...砂漠にいたからか...」 


ミューロック「これこそ、私が艦娘でありミューロック・マルということを示す証拠です」


獅子丸「.....」


獅子丸 (あの砂...何かを仕組んでるようには見えない...)


獅子丸 (つまり...この娘は本当に...)


青葉「獅子丸大将、これで分かっていただけましたでしょうか?」


獅子丸「....あぁ、認めざるを得ないな」


獅子丸「君が艦娘だと言うことを...」


一同「っ!」


全員が希望の表情を浮かべる


獅子丸「だが一つ聞きたい」


獅子丸「君とクライムブレインに何か関係性はあるのかな?」


青葉「それはですね....」


今までの経緯を全て打ち明ける


獅子丸「つまり...君は記憶を失いボロボロの姿で発見され、海軍という言葉で何かをフラッシュバックしているのか...」


青葉「はい、彼女の発した言葉からしても事件性が高いと思われます」


獅子丸「それを示すものは?」


青葉「ここに」スッ...


ポケットから小型の録音機を渡す


獅子丸「ほぉ...どれ...」カチッ...


青葉が提示した録音機を耳にあてる


獅子丸「......」


獅子丸「....なるほど」ピッ...


獅子丸「君達の言っていた事は嘘ではないようだ」


獅子丸「それに...海軍という言葉に反応...確かに事件性も考えられる....」


青葉「っ!じゃあ....」


獅子丸「うむ、君達のクライムブレイン入室の許可を認めよう、元帥にはこちらから話しておく」


一同「っ!!」パァッ!!


青葉「ありがとうございます!獅子丸大将!」


衣笠「やったわね青葉!」


ミューロック「ホッ....」


全員が歓喜に沸く


獅子丸「では早速君達を案内しよう」


獅子丸「ついてきてくれ」スッ...


そう言うと、彼はエレベーターで地下まで降り、そこにある鉄の厚い扉を自身が持つ鍵を使って開けた

彼女達が案内されたのは青が主体のライトが光るエリアであった


獅子丸「ここがクライムブレインの警備エリアだ」


天井や壁には無数の監視カメラや赤外線があり、銃を持った兵士が数名、入口と思われる場所に二人、犯罪記録や資料がある場所故か面積とはアンバランスの厳重な警備態勢が敷かれていた


衣笠「ずいぶんと厳重ね....」


青葉「そりゃまぁ犯罪資料がある場所だからね....」


兵士達「お疲れ様です、獅子丸大将!」バッ!


獅子丸「お疲れ様」バッ...


警備エリアにいる兵士全員が彼にキレのある動きで敬礼をする


獅子丸「クライムブレインに入りたいんだがいいかな?」


兵士「はい!どうぞ!」


ーパスワードを入力してくださいー


獅子丸 ピッピッ...


扉の前に提示された暗証番号を誰にも見られないように入力する


Authentication...


ー網膜認証と指紋認証を行ってくださいー


人差し指をスキャン位置にあて、網膜を赤外線センサーに当てる


Authentication completed....


ガチャ....


自動で目の前の扉があく


獅子丸「こっちだ」


中に入るとそこには無数の犯罪資料や証拠品などが綺麗に置かれていた


一同「おぉ!」


青葉 (凄い...資料室とは訳が違う...!)


獅子丸「ここがクライムブレインだ、存分に調べてくれ」


獅子丸「規則としてここに入る場合は儂か元帥が同伴することになっているが余り気にしないで欲しい」


青葉「了解です!!」


衣笠「さぁ調べるわよ青葉!ミューロックさん!」


ミューロック「はい...!」 


早速三人は一階、二階、三階と散らばり収集を開始する


...


青葉「へぇ....」パラッ...


海軍関係者の汚職事件...艦娘と思われるグループの強盗事件...ブラック鎮守府の摘発....技術開発者の無断建造...


青葉 (色々ありますね...)


青葉 (あっいけない、お目当ての情報を探さないと....)


ー1時間後ー


衣笠「ねぇ青葉、何か見つかった?」


二階から伝わるような大きさの声量で彼女に呼び掛ける


青葉「いやまだ何も...」


衣笠「そう...」


衣笠 (これはまた長丁場になるんじゃ...)


ー三階ー


ミューロック ゴソゴソ....


ミューロック「何か...何かないの...」


ミューロック ゴソッ...


ミューロック「っ!」


ミューロック「これは....」スッ...


多数ある証拠品から一つの黒いケースを取り出す


ミューロック「何だろ....」


ミューロック「青葉さん!衣笠さん!ちょっと気になるものが!」


青葉・衣笠「えっ!?」


獅子丸「っ?」


三人が急いで階段を上がる


ミューロック「これなんですけど...」


青葉「これは...ケース?」


獅子丸「それか...」


衣笠「っ?ご存知なんですか?」


獅子丸「あぁ少し前にな...」


獅子丸「二週間前、ある技術者が無断で建造装置を使った後に失踪したことが分かってな」


獅子丸「直ぐに海軍がその技術者の捜索を行ったのだが...」


獅子丸「発見した時にはもう遺体となっていた、福岡で...」


一同「えっ...」


青葉 (福岡...!?)


獅子丸「側に拳銃が置かれていたので自殺ということでこの事件は終わった」


獅子丸「だが...一つだけ問題があってな...」


獅子丸「彼の近くにそのケースが置かれていた、ロックがかかった間...」


獅子丸「どうにか解除をしようと技術者が色々試みたのだが...全て失敗に終わった」


獅子丸「唯一分かったこととすれば...」スッ...


ケース表面の指が入る程度の開閉部分を開く


ブォン!


一同「っ!」


光と共に一つの写真が投影される


青葉「これは...」


獅子丸「ここを開くとこの海を写した風景が投影される」


獅子丸「それが何を意味するかは分からないが....」


ミューロック「...青葉さん、もしかして...」


青葉「えぇ...あれが...」


青葉「獅子丸大将」


獅子丸「っ?」


青葉「そのケースとその技術者に関わる事件の資料...一週間だけこちらに貸していただけませんか?」


獅子丸「何?」


青葉「もしかしたらそれが...ミューロックさんと関係があるのかもしれません」


獅子丸「その根拠は?」


青葉「確実な根拠はまだ...けど何かしら関連があると思うんです」


青葉「ミューロックさんが発見された日とその技術者の事件、時間的にはそこまでの大差はありません、つまりこの二つが結び付く可能性もある...」


獅子丸「....」


二択に迷う表情を見せる


青葉「大丈夫です、この資料は必ず一週間後にお返しします、もしそれでも不安ならそちらの憲兵をこちらの鎮守府に来させ監視するのも構いません」


獅子丸「...分かった」


獅子丸「一週間だけ憲兵を君達の鎮守府につけることを条件に貸そう」


一同「っ!」


青葉・衣笠「ありがとうごさいます獅子丸大将!!」


ミューロック「ありがとうごさいます...!」


獅子丸「だがこの事は君達の提督以外には絶対に口外してはならないよ」


青葉「分かってますよ」ニコッ...


青葉「よしっ...じゃあこれを持ち帰って調査しましょう!」


ミューロック「はい!」  


衣笠「....」


青葉「衣笠?」


衣笠「えっ?あっ、なんでもないよ!」


青葉「っ?」


衣笠 (青葉って...本当に交渉とか上手いわよね...)


お目当てのものを手に入れた三人はクライムブレインを後にする


??「....」



[chapter5: チェイス]




ー駐車場ー


バンッ!!


ミューロック スッ...


クライムブレインから借りた資料を後部座席の左に置く


青葉「さぁて、早く帰って検証を...」


衣笠「あれっそういえば獅子丸大将が言ってた憲兵というのは?」


青葉「なんか後々鎮守府に来るらしいよ、グレーの車だって」


衣笠「そう...」


ミューロック「....」


青葉「ミューロックさん?」


ミューロック「えっ?」


ミューロック「いや何でも...」


ミューロック (何...この胸騒ぎ...)


少しの違和感を抱きながら来たときと同じように布を被る


ー駐車場ゲートー


憲兵「あぁちょっとお待ちを!」


一同「えっ?」キッ...


突然ゲートにいた憲兵に止められ、促されながら窓を開ける


衣笠「あの...どうしました?」


憲兵「実は出口ゲート付近で大規模な事故が起こりまして...」


青葉・衣笠「事故!?」 


ミューロック (事故...?)


憲兵「はい....それで交通機能が停止してしまって...」


衣笠「嘘でしょ....」


予期せぬ不幸に肩を落とす


憲兵「あっでも安心してください!」


憲兵「特別ルートがありますから」


衣笠・青葉「特別ルート...?」


ー大本営地下トンネルー


ブロロロロ....


暖色のライトが灯る一本道を走らせる


.....


青葉「地下トンネル?」


憲兵の説明によると物資や機材などを運ぶために作られた特別通路

一般公開はされておらず地図にも記載されていないが、全国の高速道路に繋がっている


青葉「そこからなら事故エリアに当たらずに高速道路に行けるということですか?」


憲兵「はい、そうです」


...


衣笠「都内にこんな地下通路があるなんてね...」


衣笠「でもおかげで早く着けるわ」


青葉「.....」


青葉「なんかおかしくない?」


衣笠「おかしい?」


スマホを怪訝な表情で見つめながら話す


青葉「今スマホアプリで交通情報見てるんだけど...大本営近くで事故が起きたなんて情報ないんだよ...」


衣笠「えっ?通知が遅れてるとかじゃないの?」


青葉「いやこのアプリ最新のだから遅れるなんてことは...」


二人は不信感を抱き始める

だがそれは今更だということをこの後、痛感することになる


ミューロック「...ん?」クルッ...


ミューロック「何か後ろから来てません?」


衣笠・青葉「えっ?」


バックミラーを見ながら後方を確認する


衣笠「本当....何か来てるわね...」


後方から黒の4Runnerが一台、自分達に近づいてくる


衣笠「あれが獅子丸大将の言ってた護衛の車?」


青葉「いや違うと思う...グレーって言ってたし....」


そうこうする内にRX-8の横に4Runnerが並ぶ


ミューロック「何....?」


4Runnerの窓が開く


カチャ....


一同「えっ?」


ダァン!!


こちらに目掛けて弾丸が放たれる


衣笠「うわっ!?」


青葉「なっ!?」


ミューロック「っ!?」


キィィィィ!!


弾丸はドアに当たり焦りからか運転が乱れる


衣笠「チッ!」グルッ!


必死のハンドル操作で何とかバランスを戻す


青葉「ちょ何なんですか一体!?」


ダァン!ダァン!!


衣笠「ぐっ!?」カァンカァン!!


彼女達の戸惑いを無視するように次々と弾丸を放つ


ミューロック「ど、どういう事ですか!?」


衣笠「分からないわよ!何でいきなり!?」


突如とした出来事にパニック状態に陥る

そしてそれを加速させるように...


4Runner ドガァ!!


一同「うわっ!?」


RX-8に近づき車体をぶつけ右側のサイドミラーを破損させる


4Runner ドガ!ドガ!!


衣笠「ぐっ...このっ!」グルッ!


キィィィ!!


ドガァァ!!


負けじと衣笠も車体をぶつける


逃げ道のない一本道

お互いに車体をぶつけ、激しいカーチェイスを繰り広げる


青葉「正気なんですかあの車!?」


衣笠「そんな訳ないでしょ!」


衣笠「確実に...私達を殺しにきてる...!」


一同「っ!」


ダァン!!


衣笠「っ!」キィィィィ!!


衣笠「くっ!このままじゃ防戦一方よ!」


衣笠「何か...何か打つ手は...!」


ミューロック「打つ手....」


サラサラ...


ミューロック「っ!」


手から溢れ落ちる砂を見て閃く


ミューロック「衣笠さん!スピードを上げて!」


衣笠「えっ?」


ミューロック「言いからスピードを!」ギッ!


青葉「っ!」(目つきが変わった...!?)


衣笠「え、えぇ!」グッ...!


ブォォォン!!


アクセルを全開で踏み4Runnerと距離をとる


??「何だ...急に加速した!?」


??「追え!奴らを逃がすな!」


逃がすまいと4Runnerも追走する

だが出遅れたのもあり中々RX-8に追い付けない


ミューロック「衣笠さん!もっと!」 


衣笠 ブォォォン!!


青葉「ミュ、ミューロックさん何を!?」


ミューロック「一矢報います!賭けですが...」


青葉「えっ...?」


衣笠「180キロ...これが限界よ!」


ミューロック「っ...」チラッ...


4Runnerとの車間距離は15M...


ミューロック (いける...!)


ミューロック「衣笠さん!あの車の進路を塞いで!!」


衣笠「塞ぐ!?」


ミューロック「hurriedly!!ここしかチャンスがない!」


青葉・衣笠「っ!」


衣笠「わ、分かったわ!」ギッ...


ミューロック カチャ....クルッ...


青葉「えっミューロックさん!?」


シートベルトを外し右腕に巻き付ける


衣笠「いくわよ!!」グルッ!!


サイドブレーキやブレーキングを使用しドリフト気味に4Runnerの進路を塞ぐ


??「っ!?」


ミューロック ガチャ!


青葉「なっ!?」


塞ぐのと同時にドアを開く


ミューロック バッ!


左手を迫ってくる4Runnerに向ける  


ミューロック サァァァ...


砂が左手に集合していき球体のようなものが生成される


青葉・衣笠「っ!」


??「何だ何して...」


??「構うな!引き殺せ!!」


??「あ、あぁ!」ブォォォン!!


ミューロック「...」サァァァ!


ミューロック「はぁぁ!!」ドグォォォン!!


青葉・衣笠「っ!?」


??「っ!?」


凄まじい速度で球体が放たれ


バジュ!!


着弾した瞬間、球体が破裂しフロントガラスが砂で覆われる


??「何っ!?み、見え!?」キィィィィィィィ!!


視界が遮断され完全にコントロールを失う


??「ぐわぁ!!」ズガァァァン!!


バランスを崩し激しく横転する


ドガドガドカドガァァァア!!


何度も車体が転がりRX-8を横切って壁に激突した


パラパラ....


横転時に割れた窓ガラスが落ちる


青葉「えぇ....」


衣笠「嘘でしょ....」


衝撃的な映像を目の当たりにし、唖然とする


ミューロック「ふぅっ....」(いけた....)


衣笠「ミュ、ミューロックさん今のどうやって...」


ミューロック「砂を扱える...」


衣笠・青葉「えっ?」


ミューロック「私の周りにはいつもこの砂が付きまとっています...生きたように意のままに操れるんです...」


ミューロック「だからこれを応用すれば一矢報いることが出来るんじゃないかと思ったんです」


青葉「それであれを....」


衣笠 (うっそ....)


咄嗟の判断力と応用力、そしてまるで魔法のように砂を操る姿に二人は感服する


青葉「っ!そ、それよりも早くあの車を確認しないと!」


我に返り扉を開け、激しく損傷した4Runnerに近づく


衣笠「一体なんなの...」


ミューロック「誰が....」


ガチャ....


一同「っ!」


??「ぐっ....」


数人のフード付きの黒服を着た男達が出てくる   


青葉「貴方達は....」


??「このっ!」ダァン!!


青葉「うわっ!?」カシュン!


間一髪で弾丸を避ける


衣笠「青葉!?」


カチャ...


ミューロック「っ!伏せて衣笠さん!」ガバッ!


ダァン!ダァン!


ミューロック バザッ!!


ザシュ...


??「何!?」


砂の壁を作り弾丸を防ぐ


ミューロック「はぁ!」ブォン!!


再度、砂の球体を生成しフード男にぶつける


??「ぐあっ!?」ドガァッ!!


??「っ!?」


腹に直撃し横転した4Runnerまで吹っ飛ばされる


??「貴様!!」カチャ!!


ミューロック「っ!」


一進一退の攻防を繰り広げていたその時...


憲兵「動くな!!」


一同「っ!」


??「っ!」


振り替えるといつの間にか軍用車数台が自分達がカーチェイスを行った道に止まっており黒服達に憲兵達が銃を向けていた

そしてそこには...


獅子丸「....」


青葉「っ!獅子丸大将!」


??「お、おいまずいぞ!あれって獅子丸大将じゃねぇか!?」


??「ぐっ...こうなったら!」チャ....カシュン...!


ナイフを取り出し給油部分に穴を開けガソリンが漏れる


??「逃げるぞ!」


??「あぁ!」ダッ!


憲兵達「っ!待て!!」


?? バァン!


4Runner ボッ....


ミューロック「っ!伏せて!」


4Runner ドガァァァァァン!!!


一同「うわっ!?」


獅子丸「っ!」


弾丸が着弾した瞬間、轟音と共に激しく爆発する


憲兵長「ぐっ!追え!」


憲兵 ダッ!!


衣笠「ば、爆発した....?」


獅子丸「大丈夫かい君達!?」


衣笠「っ!は、はい...」 


青葉「何故ここに....」


獅子丸「通信室から連絡があってな、君達を乗せた車に謎の車が接触していると...」


青葉「だからここへ...」


獅子丸「あぁ....」


獅子丸「憲兵長」


憲兵長「はい!」


獅子丸「大至急あの男二人の捜索を開始してくれ」


憲兵長「はっ!」ビシッ!


敬礼をした後、憲兵達を連れてフード男が逃げたと思われるルートを進む


獅子丸「ふぅっ...」


獅子丸「そういえば何故君達はここへ?」


一同「えっ?」


獅子丸「何故ここの地下トンネルから出ようとしたのかね?通常の出口があるというのに...」


衣笠「えっ?」 


衣笠「いや駐車場ゲートにいた憲兵から出口ルートは事故が発生して通れないからこのルートを使ってくれと言われて...」


獅子丸「っ?何を言っている?」


獅子丸「事故なんて発生しておらんぞ、ここ付近は」


一同「っ!?」


ミューロック「えっ....どういう事....」


青葉「っ!まさか...」


青葉「嘘をつかれた....」


衣笠・ミューロック「っ!」


獅子丸「嘘....?」



[chapter6: 迷走]




提督「....はっ!?ミューロック達が!?」


明石「えっ!?」


受話器を取りながら立ち上がる


提督「それで三人は!?」


提督「...あぁそうですか、分かりました...」


ガチャン...


明石「あの...提督何が?」 


提督「ミューロック達が乗車した車が何者かに襲撃されたそうだ...」


明石「襲撃!?」


提督「幸い怪我はないが...襲撃した人物は行方不明...獅子丸大将達が捜索してるらしい」


明石「そんな....」


...


2200


ー鎮守府駐車場ー


明石「....まだですかね...」


手を無意味に触りながら緊張を抑える


提督「連絡だともうこちらに向かってるらしいが....」


ブロロロロ....


提督・明石「っ!」


一台の乗用車が提督達の目の前に止まる


ガチャ...


提督「っ!皆!」


青葉「あっ司令官!」


提督「お前ら大丈夫か!?襲われたって...」


衣笠「あぁそれなら大丈夫よ、ミューロックさんのおかげで何とかなったわ、車は破損してしまったけど...」


提督 (ミューロック...?)


提督「車は大丈夫だが...ミューロックが襲撃を退けたのか?」


ミューロック「はい、少し力を使って...」サラサラ...


砂を見せ状況を考察させる


提督「あぁそういうことか...」


憲兵「遅れてしまい申し訳ごさいません、少し聴取などをしていたので...」 


申し訳なさそうに頭を下げ話す 


提督「いえいえ大丈夫ですよ、三人が無事に戻ってくれただけで本望です」  


憲兵「では私達はこれで...」バンッ...


提督「はい、ありがとうございました」


ブロロロ....


明石「ふぅっ....とりあえず戻りますか」


提督「あぁそうだな...」


ー執務室ー


三人は調子が安らいだのを機に全ての経緯を話す

黒ケースと技術者の自殺...謎の襲撃....

不可解なことが立て続けに起こったことも...


提督「そうか...」


衣笠「散々な一日よ....」


青葉「それと資料のことなんですけど」スッ...


数個のファイルそして、黒いケースを出す


提督「それがミューロックの情報なのか?」


青葉「はい、まだ可能性の範囲ですが...」


ミューロック「それにこれに関しては...」カチッ...


ブォン...


提督「うおっ!?」


ミューロック「この黒ケース、どうやら鍵やロックするものがなく、ただこの写真が流れるだけだそうです...」


提督「この写真が...」


明石「海を写したようなものですね...」


ミューロック「恐らく私に関係する可能性があるので持ち帰りましたが...解除方法は分かりません」


青葉「それと...襲撃などがあったので、貸し出し期間は本来一週間でしたが二日に縮められました...」


提督「二日!?」


青葉「安全を考慮してとのこと...身の危険もあるため長くは貸せないと獅子丸大将が...」


提督「マジか...」(二日...)


あと二日...時間にすると48時間の間にこのファイルとミューロックの関連性...そして黒ケースの解除と二つの関連性を示さなければならない


明石「さてっ...じゃあどうします?早速調べますか?」


青葉「いえ、今日は休みましょう」


一同「えっ!?」


思いがけない発言に一同が驚愕する


衣笠「や、休む!?」


ミューロック「ちょ、ちょっと青葉さん!?私達に休む暇は...!」


青葉「じゃぁその疲労した状態で調べますか?それじゃかえって気力を無駄に消費するだけですよ」


ミューロック「つ、疲れてなんか...!」


青葉「足」


ミューロック「えっ?」


青葉「たいぶ震えてますよ?」


ミューロック「っ!」


心身への連続したストレスによって彼女の体は無意識にSOSを出していた


青葉「衣笠も、手が震えてる」


衣笠「っ!」


青葉「一秒でも早く真相にたどり着きたいのは分かります、けどそれは自分の首を絞めることにもなる」


青葉「急がば回れ、いち早く調べることが最善の方法とは限りませんよ」


衣笠・ミューロック「....」


提督「...そうだな」


衣笠・ミューロック「っ!」


提督「確かに今日は三人にとって波乱続きの日だったと思う、だから今日はゆっくり休んでくれ、入渠も用意してあるからさ」


衣笠「けど...」


提督「大丈夫、お前達が休んでいる間、俺がある程度は目を通しておくから」


衣笠「....分かった」


衣笠「二人の言う通り今日は休む...」


ミューロック「衣笠さん...」


青葉「無理はいけないですよ?やる時はやる、休む時は休む、そうしないと体調を崩してしまいます」


ミューロック「っ...!」


ミューロック「...そうですね...体調なんて崩したら元もこうもない...」 


青葉「よしっ!それじゃあ早速入渠に行きましょう!」


衣笠「ついてきてミューロックさん」


ミューロック「あっはい!」ダッ!


提督「よしっ...俺もやるか...」 


明石「提督、私も手伝いますよ」


提督「えっいいのか?」


明石「はい、三人があんなに苦労してるというのに見たままではいられません!」


提督「そうか...」


ー入渠ー


ザブゥン....


一同「ふぅぅぅ....」


シャワーを浴び三人は深い息と共に大浴場へ入る


青葉「いやぁ生き返りますね~♪」


衣笠「ほんとに...」


衣笠「ってあれ?ミューロックさんお風呂大丈夫なの?砂とか...」


ミューロック「あぁ大丈夫ですよ、どうやら砂が勝手に発生するのは海に触れる時だけでこういうものには特に問題ないようです」


衣笠「良かった...」


青葉 (人口的なものには問題なく触れられるんですよね...)


青葉 (やはり海限定で...)


心地よい風呂に浸かりながら思考を整理する


衣笠「青葉...」トントン...


青葉「ん?」


だが衣笠の小声での呼び掛けにより一旦思考を止める


衣笠「大きいよね...」


青葉「大きい?」


衣笠「ほらっ...」チラッ...


青葉「えっ?....おぉ...」


水面から浮かび出る二つの綺麗な球体に釘付けになる


ミューロック「....っ?」


青葉 (これがアメリカンボディ...)


衣笠 (戦艦に勝るとも劣らずね...)


ミューロック「あの...二人共...?」(どこ見て...)


疲れを流しながら束の間の休息を取る

そして....


ー翌日ー


0700


ミューロック「っん~~~!」


背筋を伸ばし眠気を飛ばす


ミューロック「はぁ...よしっ...!」


青葉「フフッ...気合い入ってますね」


衣笠「ミューロックさんおはよう!」


ミューロック「あっ青葉さん、衣笠さん、おはようございます」ニコッ


青葉「さぁ...やりますか...」


衣笠「絶対見つけてやるわ!」


ミューロック「よしっ...行きましょう...!」


喝を入れ執務室へ歩き出す


...


ー執務室ー


大嶺誠 (34)

大本営直属の建造に関わる技術者顧問

昔から優秀な腕を持ち、大本営からの評価も高い

その反面、建造に異常なほどの熱意を向けており、周りからは変人と思われることもあった

だが二週間前、建造装置を無断で使用し、逃亡

目撃情報から新幹線で移動したと思われる

捜索の末、福岡の廃工場で遺体として発見、周りには黒いアタッシュケースがあるだけであった

無断使用の動機は建造への異常な熱意の暴走とされている


提督「...昨日資料を読み込んでその技術者の重要な要点をまとめたのがこんな感じだ」


青葉「なるほど...ずいぶんと期待されていた技術者のようですね」


ミューロック「.....っ?」ブツッ....


頭に何かが走る


青葉「ミューロックさん?」


ミューロック「あっなんでも...」


青葉「っ?」


提督「上も昇進を考えていて、彼にとって絶頂期ともいえる状況下で軍法でもかなり上の罰にあたる建造装置の無断使用をしてしまい、失踪だと...」


衣笠「そんな人生を棒に振るようなことを何で...いくら建造に熱意があったとはいえ...」


提督「そこまでは分からない...」


提督「獅子丸大将は今も襲撃犯、そして繋がっている人物の特定を急いでるそうだ」


青葉「特定出来るんですか?」


提督「あぁ、どうやら襲撃犯の一人の持ち物と思われる破損したスマホが見つかったらしい」


衣笠「っ!じゃあそれがあれば!」


明石「いえそれだけで解決とはいきません、復元出来るかすら不明ですから...」


衣笠「そう...」


微かに見えた光の不安定さに三人は肩を落とす


提督「となるとやはり...」チラッ...


提督「これだな...」ガチャ...


机の上に例のケースを置く


青葉「やはり鍵を握るのはそれですか...」


提督「恐らくな...確証とは言えないが...」


衣笠「よしっじゃあそのケースを開けましょう!」


ミューロック「どうやって?」


衣笠「それは...やりながら考える...」


青葉 (はぁっ.....)


青葉「分かりました、司令官、空き部屋ってありますか?」


提督「空き部屋か?それなら俺の自室のリビングなら大丈夫だぞ」


青葉「ありがとうごさいます、青葉達はそこでこのパンドラの箱の解除方法を探りたいと思います」


ー提督の自室ー


青葉「とは言ったものの...」


ケースを凝視しながら頭を抱える


青葉「どうすればいいか...」


衣笠「時間的に大本営に持ってく時間を含めたら...24時間ほどね」


ミューロック「それまでにこの黒ケースを開けないと....」


青葉「まぁまずは手当たり次第試してみますか...」


....


黒ケースの解除方法の模索は既に三時間経過していた


衣笠「あぁ駄目...うんともすんとも言わない...」


何処かにパスワードがあるのではないか、隠しボタンかあるのではないか、ひたすらからくりを見つける為に奔走するが、全くと言っていいほど何もない


青葉「はぁっ...何か隠されたシステムがあるわけじゃなさそうね...」


ミューロック「となると...」カチッ...


ブォン...


白い壁に海岸を撮ったであろう写真が投影される


ミューロック「やはりこれですか...」


青葉「そうなりますね」


青葉「しかし海に何の意味が...」


衣笠「まさか、ケースの解除方法が海に眠ってるとか!」


青葉「いやそれはないでしょ...」


衣笠「そうよね...」


三人「はぁ...」


光が全く見いだせない状況に肩を落とす 


ガチャ...


提督「お前ら差し入れだぞ」


青葉「っ!司令官!」


間宮のお持ち帰り弁当を手に現れる


衣笠・青葉「おぉ!」


青葉「これ間宮さんが新しく作った!」


提督「あぁお偉いさんにという理由で三人分用意させた」


ミューロック「間宮さん?」


衣笠「あぁえっと...私達の料理を作ってくれる...艦娘兼コックよ」


ミューロック「コック....」


ミューロック (だからこんないい匂いが...)


提督「それでどうだ?解除方法は」


青葉「いえまだ何も...」


提督「そうか...」


提督「あっそれと」バサッ...


ホッチキスで止められた数枚の資料を手渡す


青葉「それは?」


提督「獅子丸大将から、あの技術者に深い関わりがある者をピックアップしたらしい」


青葉「ほぉほぉ...」ペラッ...


そこには三人の海軍関係者の詳細が記されていた


大道 礼二(52)

中将の階級で海軍でも上の存在

技術チームの監督、そして海軍士官養成所の校長を勤める

大嶺 誠との関係は良好だったとの証言あり


橘 一樹(35)

技術者チーム所属、大嶺 誠の同僚

優秀な腕を持ち建造装置製作の主力

関係は良好だったと思われる


桜木 紗理奈(28)

技術者チーム所属、大嶺 誠の部下

技術者チーム最年少であり誠に憧れを抱く

深い関係はないと思われ、関係は同じく良好


提督「この三人が例の技術者と深い関わりがあるそうだ」 


衣笠「どれも関係は良好...怪しい雰囲気の人はいないわね...」


提督「破損した携帯の修復が出来ればかなり絞れると思うが....しかしそれだけじゃ証拠不十分だと」


提督「大本営もやはりそれが一番だとも...」


青葉「ケースですか...」


青葉「あれっそういえば司令官、この技術者って家族とかいないんですか?」


提督「家族?あぁそれは...」


言いずらそうに口を噛む


提督「彼には妻と4歳の娘がいたが...事故で亡くなったらしい...」


青葉・衣笠「えっ...」


ミューロック「....っ!?」ブツン...


提督「二年前に車の事故に巻き込まれたらさく...彼は助かったが他は...それに証拠不十分で犯人も見つかっていないと...」


青葉「そんな...」


ミューロック「ぐっ!?」ブツン...!


衣笠「えっ?」クルッ...


衣笠「っ!?ミューロックさん!?」


提督・青葉「っ!?」 


頭を左手で抑え苦痛の声を上げる


ミューロック「っは!」


ミューロック「はぁっ...はぁっ...」


衣笠「ちょミューロックさん大丈夫!?」


提督「ミューロック!?」


ミューロック「...は、はい...何か頭に痛みが走って....」


青葉「痛み...?」


青葉 (っ!まさかフラッシュバック...)


青葉 (家族に関係が....?)


....


青葉 (海軍...家族...)


青葉 (はぁっ...掴めない...)


更に6時間が経過し、タイムリミットは着実に迫っていた


衣笠「はぁっ...日が暮れてきた...」


青葉「まだ解除方法はゼロ...」


青葉「何を見落としてる...」


青葉 (ミューロックさんのフラッシュバックの原因も分かりませんし...どうすれば...)


青葉「...」カチッ...


ブォン...


青葉「これに何の意味が...」


衣笠「横から見たら何か変わるとか...」


衣笠「ごめん、何もなかった...」


青葉「っ...!」


青葉 (視点を変える...?)


衣笠「絶対にこの写真にヒントがあるはず何だけど....」


ミューロック「海...Sea...」


青葉「っ!」


からくりのないアタッシュケース...

投影される謎の海の画像...

Sea...

視点を変える...


青葉「はっ!」


青葉「分かった!!」


衣笠・ミューロック「えっ!?」


衣笠「分かったの!?一体答えは何なの!?」


食いつくように青葉に質問責めをする


青葉「このケースのヒント...それはあれ!」ビシッ!


投影された海の画像をさす


ミューロック「あれが?」


青葉「だけど、見るのはそれじゃない!」


衣笠・ミューロック「えっ!?」


青葉「見る必要があるのは...こっち...」


黒ケースに目をやる


衣笠「黒ケース?でもそれに目をやるって...」


青葉「何故パスワードの解除方法がなかったのか...何故一つも仕掛けのようなものが見当たらなかったのか...」


青葉「それはただ一つ...この投影部分こそ、解除方法だったから...」


衣笠「これが!?」


青葉「そして...海の画像の意味...」


青葉「海は英語にするとSea...他に同じ発音をするものは?」


ミューロック「同じ発音...」


ミューロック「Sea....See...」


ミューロック「っ!見る!」


青葉「そう!それです!」


青葉「つまり、これはこの投影部分に目を当てろと言うことです!!」


衣笠「それなら早速!」


青葉「ミューロックさん、この部分に目を当ててもらえませんか?」


ミューロック「ここに...分かりました...!」


一度投影部分を閉じミューロックを投影部分の目の前に移動させる


青葉「いいですかミューロックさん...」


ミューロック「はい...!」


パカッ...


ジィィィ!


ミューロック「っ!!」


Retina authentication ...


青葉・衣笠「っ!」


ミューロックの右目に緑の光が当たり謎の音声がケースから流れる

それと同時に...


ミューロック「がっ!?」ブツン!!


....


....ロック....

逃げろ....!


ミューロック (はぁっ!はぁっ!)

 

お前は艦娘...

自由に生きろ....

すまなかった....


ミューロック (はぁっ!はぁっ!)


マコト...無事でいて!

違う...娘だ...


ミューロック (はぁっ!はぁっ!)


逃げるんだ....

私が...絶対...!



6h6r59965bgj16rwv199rzzr9r964zrzwr

6i6r6p6245¥4"i5q6rSEA3i66rzpzp9

.@5r3r6rz6rMAKOTO3r6rzzrs

KANrrr61jr6r@69rw@MUSUME3ir66rgmw8s


ミューロック (っ....!!)





















































ミューロック....





































....


Authentication complete ... unlock case...


ガチャ....


青葉・衣笠「っ!!」


青葉「開いた....」


衣笠「やった....!」


青葉・衣笠「やったぁぁぁ!!」


歓喜に湧き抱擁しあう


衣笠「凄い青葉!解除方法を見つけるなんて!」


青葉「衣笠とミューロックさんのおかげだよ!」


青葉「ねっミューロックさん!」


ミューロック ガクッ...


青葉・衣笠「えっ...?」


頭を抱え、意識が朦朧としたようにふらつく


ミューロック ドサッ...


青葉・衣笠「っ!?」


壁に背中をつけゆっくりと落ちる


青葉・衣笠「ミューロックさん!?」ダッ!


青葉「ちょっとミューロックさん大丈夫ですか!?」


衣笠「何があったの!?」


ミューロック「....」


ミューロック スッ...


ゆっくりと顔を上げる...


ミューロック ツー......


青葉・衣笠「えっ...?」


上げた顔には一粒の涙が彼女の頬を美しくこぼれていた


青葉「ミューロックさん...?」


ミューロック「.....分かった....」


衣笠「えっ?」


ミューロック「全て...思い出した...」


青葉・衣笠「っ!」


ミューロック「マコト....」


天を見上げ哀れむような声でその名を発した...




[chapter7:真実 ]





ー大本営ー


ツカツカ....


スッ..


はや歩きをし、大将室向かいながらスマホをながら見する



ケースの解除が出来ました

今日獅子丸大将は主張でいません

大将室で待っています

そこで取引をしましょう



画面にはそう記されていた


「見つかったのか...」ツカツカ...


ー大将室ー


ガチャ...


「待たせたな、例のものh「かかったわね...」」


「えっ...?」スッ...


顔を見上げる、そこには...


「っ!誰だ!?」


フードを被り白を主体とした長髪の美女が目の前のデスクに寄りかかっていた


「何者....?分からないんですか?」


「知らん!貴様は何者だ!何故部外者がここにいr「はっ?」」


「部外者?それでここにいると思う?」


「はっ...?」


スッ.....


フードを取り目元が明らかになる


「私は艦娘.....」


「艦娘...!?」


「そう...」


「高雄型5番艦...」


「っ!」


ミューロック「ミューロック・マル...!!」


「ミューロックだと!?何故だ...何故存在している!?」


ミューロック「...貴女だったのね...マコトを死に追いやった張本人は...」


ミューロック「大道 礼二...!!」


礼二「何だと...」


礼二「フッ...急に何を言うかと思えば...訳のわからぬ事を...」


ミューロック「分からない...?」


ミューロック「冗談もいい加減にしたらどう?」


礼二「何...?」


ミューロック「気づかないの?これに...」スッ...


礼二「っ!?それは...!」


一つのスマホを見せる

返信先には大道礼二の名前が記載されていた


ミューロック「そう...貴方の協力者のスマホよ...あの車から見つかった...」


礼二「何...!?」


ミューロック「まぬけね、こんなものを落とすなんて...」


ミューロック「中を覗くと...」


[結構日は木曜日だ、そこで白いRX-8が出てきたら強襲し殺せ]


[了解しました]


[あの...これで本当に提督になれるのでしょうか?]


[もちろんだ、権限で士官学校をトップで行かせてやるよ]


礼二「っ!」


ミューロック「こういう通知は残しとくべきではない...協力者にそう伝えなさい」


礼二「あいつら....!」ボソッ...


ミューロック「さてっ...これはどう説明する?」


礼二「ハッ...知らんそんなもの!」


礼二「名前に私の名前が使われているだけで私が関与した証拠とはならない」


礼二「私の名前を勝手に利用して、そいつらが勝手に行ったことであろう」


ミューロック「何?」


礼二「なんなら私のスマホを調べてみるか?まぁ何もないがな、関与していないのだから....」ニヤッ...


ミューロック「...」


礼二「そもそもそれだけの根拠で海軍の幹部である私に容疑をかけるとは...覚悟は出来ているだろうな...」ギロッ....


ミューロック「....」


ミューロック「フッ...アッハハ!!」


無表情から一変、彼を見下した表情をしながら嘲笑をする


礼二「っ...何だ...何がおかしい...!」


ミューロック「そう...少しくらい同情の余地はあるのかと思ったけど....とんだゴミね...」


礼二「っ!?ゴミだと!!」


ミューロック バッ...


礼二「っ!それは...!」 


彼女の手には彼が喉から手に入れたかったもの...黒のアタッシュケースがあった


礼二「貴様!何故それを!?」


礼二「返せ!!」ダッ!


彼女に近づきケースを奪おうとする

だが...


ミューロック サァァァ...


ミューロック ドグォォォン!!


礼二「ぐぶぁ!?」ドガァッ!


砂の球体が彼の腹部を襲い壁までふっ飛ばされる


礼二「ぐっ...!き、貴様!」


ミューロック「今から見せてあげる...」


礼二「はっ...?」


ミューロック「全ての真実...貴方の悪行を!!」


カチャ....


そう叫ぶと同時にケースを解錠する


礼二「なっ!?何故開けている!?」


ミューロック バサッ...


礼二「っ!」


彼女が取り出した紙...そこにら...


[ミューロック計画]


礼二「その紙....!」


ミューロック「貴方は見覚えがあるんじゃない?」


ミューロック「ミューロック計画...マコトが考案していた新たな艦娘建造の計画書...」


礼二「...それが何だというのだ...」


ミューロック「はっ?まだシラを切るつもり?」


礼二「当然だ!!そんな計画書、上司である私

も初めて見たこt「嘘ね」」


ミューロック スッ...カチッ...


ブォン!!


礼二「っ!?」


ケースのスイッチが押され彼の後方に映像が写し出される


礼二「な、何だこれは!?」


....


ー研究室ー


誠[なっ...!?計画書の考案者を変えろ!?]


礼二[そうだ、私名義でな]


誠[そんな事、させる訳が!]


誠[あんたはいつも私のやった事を!!]


礼二[ほう...なら昔の事故の事を打ち明けてもよいという事かな...?]


誠[っ!]


礼二[君が犯した過失を揉み消してやったのは誰だと思う....?普通なら解雇ものだ]


誠[あれは....相手の責任で!!]


礼二[だが貴様も不注意があったのは確かだろう?なら貴様の妻も子供も死ぬことはなかった...]


誠[っ!あんた...!!]ガシッ!


激情に任せ胸ぐらを掴む


礼二[ふんっ!]ドカッ!


誠[ぐはっ!]ドサッ!


礼二[恩人にその態度とは...マナーがなっていないな...]


誠[ぐっ...!]


礼二[まぁいい、早くそれの考案者の記載を来週の幹部会議までに変更してもらおうか...]


誠[....断る]


礼二[はっ...?] 


誠[これは...私にとって命とも言える存在だ!!あんたに渡すくらいなら...死ぬ方がマシだ....]


礼二[ほう...では....]


カチャ....


誠[っ!]


懐にしまっていた銃を向ける


礼二[力づくで貰おうか...]


礼二[君は優秀だ、考案したものは100%といって良いほど通るはず...]


礼二[しかもこれは新艦娘という大きな考案...これを出せば...私は確実に昇進することが出来る...]


誠[その為だけに...!?]


礼二[悪いか?]


誠[私を殺せば...貴方に殺人の罪が...!]


礼二[フンッ...そんなもの隠蔽すればいいだけのこと...]


誠[っ!]


礼二[そういうことだ、まぁ心配はするな、遺体はしっかり埋葬してやる、事故死ということでな...]


誠[...そうか...]ニヤッ....


礼二[っ?何を笑っている....]


誠 ドガッ!


礼二[ぐおっ!?]


勢いよく突進し体当たりでぶつける


礼二[チッ!貴様!!]ダァン!!


誠[ぐっ!]カキィン!!


礼二[待て!!]


誠 カシャ!!


誠が隠しカメラを手に取る


...


礼二「なっ...なっ...!」


ミューロック「これはどう説明するつもり?大道礼二....!!」


...


礼二「なっ...なっ...!」


ミューロック「これはどう説明する?大道礼二....!!」


礼二「あいつ....こんな小細工を...!!」


ミューロック「貴方がマコトを殺害しようとした直後...彼は建造ルームへ向かった...」


ミューロック「彼の最後の願いを叶える為に...」


礼二「最後の願い.....?」


礼二「っ!まさかそれでお前が!?」


ミューロック「....」


....


誠「はぁっ!はぁっ!!」ガチャ!


必死の逃走劇を続け相手を振り切り建造ルームへとたどり着く


誠 (....もう...私に退路はない....)


誠 (ならば...!)


決意を固め部屋の鍵を閉じ準備を始める


誠 ガチャ...バッ...


物置からある一つのケースを取り出し隠しカメラやその他因縁の相手の決定打となる物を手際よくいれ始める

そして...


誠 バサッ...


[ミューロック計画]


誠 (いけるはずだ...やってみせる!)


計画書を持ちながら建造装置にプログラムを入れ始める


誠 (いける...!いける!)


一心不乱にありとあらゆる感情を捨てただ黙々と建造装置にプログラムを入れ続ける

数十分が経ったその時...


6pr6h6rz64wnjgcic...

Brtr3vrzr3ifk?rzr/...

66@.3p69r258p9i69q9r...

Wi66i6KAN5r6rr9MUSUME3i69r9...


Mulock....


誠「っ!」


ー建造が完了しましたー


誠「来てくれ...!」


カシュ...


?? トンッ...


誠「っ...!」


??「私は...」


辺りを見回しながら何も分からない状況に困惑する...


誠「来てくれたか...」


??「っ!あ、貴方は...」


誠「私は大嶺誠という者...生みの親にあたるのかな...」


??「生みの親...?」


誠「そう...君を艦娘として復活させた...」


??「艦...娘...?」


誠「そう....そして君の名前は...」


誠「ミューロック・マルだ...」


...


ミューロック「そこで私は生まれた...マコトによって....」


ミューロック「けど何故かしら?」 


礼二「えっ?」


ミューロック「あの計画書はマコトしか知らない、それなのに「何故ここにいる!?」なんて言ったのかしら?」


礼二「はっ!」


失言に気付き口元を押さえる


礼二「そ、それは...!」


ミューロック「フンッ....」


ミューロック「もういいよね?獅子丸大将...」


礼二「はっ?」


扉 バァン!!


礼二「っ!」クルッ...


憲兵長「動くな!!」


憲兵 カチャ!


礼二「何!?」


数十名の憲兵が彼に銃を向け隊列を組む


礼二「なっ!どういうことだこれは!?」


ミューロック「私が読んだ」


礼二「っ!」


ミューロック「貴方の悪事を暴くのに...まさか一人で来るわけないでしょ?」


礼二「貴様!!」


憲兵長「動くな!!」


憲兵 ガチャガチャ!


礼二「ぐっ...!」


憲兵長「大道礼二、器物破損、証拠隠蔽、殺人未遂の容疑で逮捕する!!」


礼二「何だと...」


礼二「ふざけるな!私を誰だと思っている!」


礼二「中将だぞ!!貴様のような下っ端が、私を逮捕する権利はない!!」


憲兵長「フッ...呆れた...」


礼二「何...」


憲兵長 バサッ!


礼二「っ!」


憲兵が出したのは彼を逮捕するという証明となる逮捕状

そこに記されていたのは...


礼二「っ!?」


礼二「し、獅子丸大将!?」


憲兵長「そうだ、これは獅子丸大将が承認した、貴様を逮捕するに値するものだ!!」


礼二「馬鹿な!?彼は今出張に...!」 


「儂が何だと...?」


礼二「っ!?」


歴戦の壮絶なる戦いを物語る眼帯...

威圧感ある目線...


礼二「し、し...!」


礼二「獅子丸海軍大将!?」


獅子丸「儂が留守の間に随分賑やかになっているではないか」


礼二「何故...何故...!」


ミューロック「これが分からないんですか?」スッ...


彼女が見せたスマホ...


礼二「そ、それは奴らの...!」


ミューロック「そう...復元して貴方を誘導したという訳、大将室で待ってると....」


礼二「っ....!!」


ミューロック「そして...」


憲兵 ドサッ!!


士官学生達「.....」


礼二「なっ...!?!?」


手錠で拘束され虚ろな表情を向ける


獅子丸「彼らが全て話してくれたよ」


獅子丸「君から指示されたとな...」


礼二「何!?き、貴様ら!!」


士官学生1「なりたかったんです...提督に...」


士官学生2「けど俺達...成績が悪くてなるのは絶望的でした...」


士官学生1「けどそんな時に校長でもある大道中将が話を持ちかけてきて...」


士官学生1「白いRX-8に乗った三人を殺してケースを回収すれば提督にしてやると...」


士官学生2「その時の俺達は提督になれると思って悪いことだと言うことを考えずに...」


士官学生2「ごめんなさい...本当にごめんなさい!!」


士官学生1「申し訳....ごさいませんでした...」


礼二「っ!...」


礼二「貴様らぁぁぁ!!」ダッ!


怒りに支配され彼らを殴りかかろうとする


獅子丸 パシッ!


獅子丸「はぁ!」ドガァ!


礼二「ぐはっ!?」


それを冷静に受け取り背負い投げで無力化する


礼二「ぐっ....がはっ!!」


獅子丸「大道礼二」


獅子丸「君は中将として....いや人間として失格だ」


獅子丸「相手を恐怖で押さえ込もうとし...彼の手柄を横取り...そして彼女達を危険な目にあわせた....」


獅子丸「恥を知れ!!」


礼二「っ!」ビクッ!


獅子丸「君はもうここに戻って来ることはないだろう、牢獄の中でじっくりと反省するんだな」


礼二「くっ...」


憲兵「ほらっ行くぞ!!」ガシッ!


強引に引き上げ憔悴した彼を連行する


獅子丸「さてっ...」


士官学生達「ひっ!?」ビクッ!


士官学生1「も、申し訳ありませんでした!!このような事....もう絶対にしません!!」


士官学生2「甘い言葉に踊らされて...最低の行いを俺達は...!!」


獅子丸 ザッ....


士官学生達「っ!」ビクッ!


獅子丸「君達がやって来たことは決して許される行為ではない、士官としての資格は剥奪、取り調べ後、警察の刑務所でしばらく反省してもらう」


士官学生達「はい....」


獅子丸「だか永久追放ではない」 


士官学生達「えっ...?」


獅子丸「君達が士官学校で頑張っていたことは私も知っている、結果が出なくとも全力で取り組んでいた」


士官学生達「っ!」


獅子丸「だからこそ、君達があのような行いをしてしまった事を遺憾に思う....」


士官学生達「....」


獅子丸「....覚悟はあるか?」


士官学生達「えっ?」


獅子丸「これまでの行いを刑務所で反省し、一から海軍に携わる者として自分を見つめ直しもう二度とあのような事は行わない...」


獅子丸「それを胸に誓い続け、もう一度ここに戻ってくる覚悟はあるか?」


士官学生達「っ!はい!!」


士官学生「もう二度このような事はしません!!反省をし...もう一度自分自身を見つめ直します!!」


士官学生「何年も刑務所で暮らし続け前科がつき、相当難しい事は熟知しています...けど!またここに来たいんです!!提督に...なりたいんです!!」


獅子丸「そうか...なら戻ってこい、もう一度ここへ...」


士官学生達「はいっ!!」


憲兵「...いくぞ」


ガチャ...


獅子丸「ふぅっ...」


ミューロック「っ....」


ミューロック「これで...終わったの?」


獅子丸「あぁ...終わりだ...」


獅子丸「君を苦しめていた呪縛はもう存在しない...」


ミューロック「そう...」スッ...


ミューロック「マコト...やったよ...」


顔を見上げ、全てを終わらせた事を彼に届ける...


獅子丸「それと...」


ミューロック「えっ?」


獅子丸「すまなかった...」


ミューロック「えっ?」


帽子を取り深々とお辞儀をする


獅子丸「儂が直ぐに気づけなかったせいで君を苦しめてしまい、彼を救えなかった...」


獅子丸「本当にすまない...」


ミューロック「....」


ミューロック「顔を上げて...」


ミューロック「貴方は謝る必要はない...むしろ感謝するほど...」


ミューロック「貴方が艦娘を....私を信じてくれたからこの事件は解決出来た...」


ミューロック「ありがとう...獅子丸大将...」 

獅子丸「っ....」


にこやかに彼女がお辞儀をする

だがお辞儀をする瞬間、彼女が一粒の涙を流していた事を彼は見逃さなかった....


...




[chapter8:刹那]






ー執務室ー


ガチャ...


提督「っ!」


ミューロック「っ....」


提督「ミューロック...」


ミューロック バサッ...


一枚の紙を彼に出す


提督「それは...」


ミューロック「解体して普通の人間として生きる選択肢も出されたけど...私は艦娘として生きることを決めた...」


ミューロック「そしつ獅子丸大将から、新艦娘ということを正式に認めるという証明書よ」


提督「っ!じゃあ!」


ミューロック「えぇ...計画犯と実行犯...それに金で雇われた憲兵達も全員捕まったし解決ってことかしら...」


提督「そうか...良かった...」


提督「...ってお前...」


ミューロック「ん?」


提督「口調が...」


今までの礼儀正しい口調とは打って変わりカジュアルでフレンドリーな口調へと変貌していた


ミューロック「あぁ...そういえば言ってなかったわね...」


ミューロック「改めて初めまして...」


ミューロック「ミューロック・マル...これが本来の私よ」ニコッ...


提督「なるほど...それが本来のお前なのか...」


ミューロック「フフッ...前のほうが良かった?」


いたずらな笑みで彼を挑発する


提督「っ!」ドキッ...


提督「....いや、今のほうが俺はいいな」


ミューロック「そう...」


提督「ミューロック...」


提督「改めてようこそ、鎮守府へ...」


提督「これからよろしくなミューロック...」


ミューロック「えぇ、よろしくね提督...」


穏やかな笑みで彼の歓迎を受けとる


提督「...そういえば...」


ミューロック「ん?」


提督「一つだけ疑問がある...」


ミューロック「疑問?」


提督「事件の経緯は分かった...けど何故お前の生みの親である人が福岡で遺体として見つかったんだ?」


ミューロック「っ....」


提督「ミューロック...?」


ミューロック「...少し長くなるけどいい?」


提督「えっ?あ、あぁ...」


ミューロック「あの後...色々あったのよ...」


....


ー建造ルームー


誠「ミューロック....」スッ...


ミューロック「っ!」サッ...!


近づこうとする彼を警戒し後ずさる


誠「っ...」


誠「そうか...それはそうだよな...」


彼女からすれば、何もかも不可解な状況、そして目の前には見知らぬ男が生みの親と話す

警戒して当然の状況だった


ドンドン!


ミューロック・誠「っ!」


憲兵「開けろ!憲兵だ!籠城しても無駄だ!!」


逃亡してから数十分...遂に追っ手が扉の向かい側まで迫っていた


誠「ぐっ...!」


唇を噛みしめやりきれない感情を出す


誠 (いずれは破られる...ならこの娘だけでも...!)


誠「ミューロック、聞いてくれ」


ミューロック「えっ?」


誠「ここを少し進むと非常扉がある、私はここで奴らを引き付けるから、君はそこから逃げてくれ」


ミューロック「逃げる!?」


誠「そうだ...そして階段を降り駐車場の場所まで着いたらエレベーターを使って30階まで上がれ...」


誠「出て直ぐに大将室という部屋がある、そこに獅子丸という人がいるからその人に匿ってもらってくれ、大嶺誠が建造した艦娘だと...」


ミューロック「艦娘....」


誠「あの人は艦娘を娘のように接する人だ...地位も高い...必ず保護してくれるはずだ...」


ミューロック「ちょ、ちょっと待って!何がどうなってるの!?私は...!」


誠「すまない...君には悪いが話してる時間はない...代わりにこれを...」ガチャ...


ミューロック「これは...」


彼女に例のケースをさし出す


誠「そこに君のことについて...私のこと...これまでの経緯がすべてある、これもついでに獅子丸大将に届けてくれ...」


ミューロック「あ、貴方は...貴方はどうするの...?」


誠「ここで時間を稼ぐ...死ぬかもしれんが...君がたどり着くまでの時間は稼げるはずだ...」


ミューロック「死ぬ...!?」 


誠「それに...」チラッ...


ミューロック「っ!」


彼の左足から鮮血の血が流れる


ミューロック「なっ!?貴方、怪我を!?」


誠「ハハッ...奴の撃ってきた弾丸が一発足にかすったらしくてな...」


誠「だが安心しろ、軽症だ、時間は稼げる...」


ドカッドカッ!!


誠「っ!」


器具を使い扉を少しずつ破壊していく


誠 (まずい!!)


誠「さぁ早く行け!!」


ミューロック「....」


逃げるように誘導する

だが彼女は下を向き動こうとしない


誠「何をしてる!早く逃げろ!ここにいたら!!」


ミューロック バッ!!


誠「えっ!?」


ミューロック ガシッ...


彼の意向とは正反対の行動をとり、彼の肩を担ぎ非常扉に向かう


誠「何しているんだ!?私はおいてけ!!二人では!!」


ミューロック「黙って!!」


誠「っ!」


ミューロック「ほっとけるわけないでしょ...貴方みたいな怪我人をその場に置いて...」


ミューロック「それに貴方の口から聞きたい...こんなものじゃなくて...だから助ける...」


誠「何...?」


ミューロック「私が何者か...そして...」


ミューロック「貴方のことを...」


誠「何...?」


ミューロック「私が何者か...そして...」


ミューロック「貴方のことを...」


誠「私の事...?」


ミューロック「貴方は悪い人じゃない...直感だけど...本能がそう言ってる...」


ミューロック「だから知りたいの...どうしてこうなったか貴方の口から...」


誠「っ!」


誠「....フッ...そっくりだな...」


ミューロック「えっ...?」


誠「非常扉から駐車場に向かってくれ」


ミューロック「っ!わ、分かった!」グッ!


ガンッ!ガンッ!


ミューロック「っ!」


着実に...少しずつだか扉が破壊されていく


ミューロック「やっば...」


誠「....耳を塞いでくれ」


ミューロック「えっ?」


誠 カチッ...


懐から手榴弾のようなものを投げる


カラン....


誠「塞げ!」


ミューロック「っ!」スッ...


パァァァン!!キィィィィィン!!


憲兵「ぐわっ!?」


破裂と共に耳を裂くような高音がなる


ミューロック「い、今のは...」


誠「護身用として持っていてな...」


誠「鼓膜は破かないが人にとってはかなり不快な音を鳴らす、憲兵達はしばらく悶えてるだろうな、高音に苦しんで...」


ミューロック「凄い...」


誠「さぁ、早く駐車場へ!」


ミューロック「え、えぇ!!」


担ぎながらゆっくりと階段を下りていく


ー駐車場ー


憲兵「どうだ、いたか?」


憲兵「いやこっちはまだ見てない」


誠「ぐっ...!」


物陰から彼らの様子を伺う


ある程度はいることは予想していたが、それを上回るほど憲兵達が駐車場、特にエレベーター付近を警備していた


ミューロック「ヤバいんじゃない...?かなりの

数いるけど...」


誠「あぁ...強行突破して獅子丸大将の部屋まで行くしか...」


衝突を覚悟でエレベーター付近に行こうと計画を立てる

だがその時...


憲兵1「...そういえば何があったんだ?」


憲兵2「何って?」


憲兵1「この騒ぎだよ」


エレベーター付近の憲兵達が会話を始める


憲兵2「あぁ、どうやらここの技術者が幹部クラスの人間を銃で殺害しようとしたらしい」


憲兵1「マジか!?何故....」


憲兵2「さぁな...理由は分かってない...」


誠「何...!?」


ミューロック「ねぇ...あれって...」


誠「クソッ!あいつ...でたらめ言いやがって...!!」


憲兵2「それともう一つ...」


憲兵2「先程建造ルームに突入した部隊が建造装置が勝手に使われていると報告が」


憲兵1「えっそれって...」


憲兵2「あぁ、無断で建造を行うのは重大な違反だ、獅子丸大将も怒ってるらしいぞ」


憲兵1「うわっ....マジかよ...」


誠「っ...!!」


何気ない一言...だが彼にとっては唯一あった希望が消えてしまった瞬間であった


誠「そうだ.....」


ミューロック「えっ?」


誠「建造を上の許可なしで行うのは重大な違反...テロ行為と見なされ下手したら銃殺刑...」


ミューロック「なっ!?嘘でしょ...!?」 


誠「最悪だ...私としたことがそんなミスを...」


ミューロック「えっじゃあ大将室には...」


誠「無理だ...状況的にも私は完全に黒...見つかったら終わる...獅子丸大将も頼りにならない...」


ミューロック「で、でもそのケースがあれば!」


誠「....駄目だ」


誠「私の因縁の相手はトップ5に入るほどの権力者......」


ミューロック「因縁の相手...?」


誠「私を陥れ、この状況に追い込んだ張本人だ...」


ミューロック「何ですって!?」


誠「それに対抗するために獅子丸大将を頼ろうとしたが....」


誠「彼も私を疑っている...言いくるめられて、これ自体破棄されることも...」


ミューロック「そんな....」


ミューロック「じゃあどうすれば...」


誠「っ.....」


数分間...下を向きながら神妙な面持ちで思考する  

静かに....時が止まったように....

そして...


誠「ミューロック....」


ミューロック「っ....」


誠「私の...最後の旅行に..付き合ってくれないか...」


ミューロック「旅行....?」


誠「あぁ...そこで全てを教えたい...私の口から...」


ミューロック「っ!」


ミューロック「....」


ミューロック「....分かった」


誠「いいのか....?」


ミューロック「フッ...貴方から言い出したことでしょ?」


ミューロック「それに...聞かせてくれるんでしょ?私...貴方の全てを...」


誠「....ありがとうミューロック...」


....


憲兵1「...ん?」チラッ...


憲兵2「どうした?」


ブロロロ...


運搬用のトラックが走り出す


憲兵1「あのトラック...」


憲兵2「トラックがどうかしたのか?」


憲兵1「あっいや...今日ってどっかに物資を運搬する予定あったけなって....」


憲兵2「急用だろ、よくあることだ、予定になくても急遽物資が欲しいっていう連絡は日常茶飯事」


憲兵1「そうか...」


憲兵2「さっ警備に戻るぞ」


憲兵1「あぁ...」


憲兵1 (運転していた人...凄く若く見えたが...)


憲兵1「いや気のせいか...」


....


ー首都高ー


ブロロロ...


ゆったりとしたスピードで一直線の首都高を渡る


ミューロック「っ...」チラッ..


ミューロック「もう大丈夫じゃない?追っ手のような車をいないわ」


誠「そうか...」ファサ...


大きい布を取り助手席に座る


ミューロック「それで?どうするの?行き先とかは?」


誠「福岡...」


ミューロック「えっ?」


誠「福岡に行ってくれないか?」


ミューロック「福岡...分かったわ」ピッ...


ナビに目的地を検索させルート案内を促す


ミューロック「でも何で福岡?そこに何かあるというの?」


誠「あぁ....」


誠「俺の家族がそこにいる...」


ミューロック「っ!家族!?」


誠「もうあの世だがな...」


ミューロック「えっ...」


誠「....すまない、話は後でする」


誠「少しだけ...寝かせてくれ..」


ミューロック「分かった....」


誠 ファサ...


再び布を身体にかけおちるように眠りにつく


ブロロロ...


ミューロック「家族....」


...


誠「俺の家族がそこにいる...」


誠「もうあの世だがな...」


...


ミューロック「何があったというの....」チラッ...


哀れむような目で彼を見つめる


...


二人は逃避行を続けた

彼のクレジットを使い、服を買い揃え、運搬用トラックからレンタカーに乗り換えたりするなどをしてカモフラージュを図った

そして....


ー福岡県ー


誠「着いたか...」


ミューロック「えぇ...あれを見ればわかる...」


高速道路の標識が彼らに場所を伝える


誠「ふぅっ...良かった...」


ミューロック「それで?どうするの?」


誠「....とりあえずどこかに泊まろう」


時間は既に午後18時を回っており、朝から動きっぱなしの二人の気力も限界に近かった


ミューロック「それもそうね...少し疲れた...」


誠「すまない...ずっと運転させてしまって」


ミューロック「いいのよ、貴方疲れてたし、それくらいやるわ」  


ミューロック「無免許だけど...」


誠「あっ...そういえばそうだった...」


誠「まぁ大丈夫だろう...」


誠「バレなきゃ犯罪じゃない」


ミューロック「その台詞、結構危ないんじゃない?」


誠「大丈夫だよ、誰も聞いてない」


ミューロック「それもそうね...」


ミューロック「プッ...」


誠「フッ...」


余裕が出来たおかげか、二人に笑顔が戻る


ブロロロ...


誠「あそこにしよう...」


ミューロック「えっ、あれ?何か高そうだけど...」


彼がさした先には高級感あるホテルであった


誠「いいさ、最後だからな」


ミューロック「っ...」


誠「それにここは色々と思い出があるんだ」


ミューロック「そう...なんだ...」


誠「さっ行こう」


ミューロック「えぇ...」


....


ーエントランスー


誠「すみません、空きで二部屋ありますか?」


店員「少々お待ちを...」カタカタ...


店員「あぁ...申し訳ごさいません、一部屋しか空いてないですね...」 


誠「えっ...あっそうですか...」


誠 (どうするか...同じ部屋にする訳にも...)


艦娘とはいえ年頃の女性、自分と同じ部屋にするのは嫌がるだろうと思い彼の配慮から別部屋にしようと思っていたが...


誠 (仕方ない...)


誠「すみません、やっぱりキャンセr「いいよ」」


誠「えっ?」


ミューロック「私はいい」


ミューロック「すみません、空き部屋一つでお願いします」


店員「かしこまりました」カタカタ...


誠「えっいやまてミューロック!?嫌じゃないのか...?」


ミューロック「嫌って何が?」


誠「いやだからお前も年頃の娘だしこんな30代の男と同部屋なんて嫌なんじゃないかと...」


ミューロック「フフッ...別にいいよ、私嫌悪感なんてないし」


ミューロック「むしろ同部屋の方がマコトの話をじっくり聞けそうだしね♪」


誠「っ....」


誠 (フッ...全く...警戒心がないのか...)


店員「あのお客様?」


誠「っ!はい?」


店員「ご予約が完了したのでマスターキーを...」


誠「あぁ!ありがとうごさいます」


誠「よしっいくぞミューロック」


ミューロック「えぇ」


ーホテル部屋ー


ミューロック「わぁぁ!凄い!」


高級ホテルということで装飾や家具は綺麗で広さも二人ではもったいない程であった


ミューロック「綺麗!それにベッドが深々!」


大人びた行動を続けていた彼女が初めて年相応の愛らしい反応を見せた


...


「わぁぁ!綺麗ね!」 


「ベッド柔かぁい!!」


「凄いわここ!ねっ?あなた!」


...


誠 (フッ...懐かしいな...)


誠「ミューロック」


ミューロック「ん?」


誠「疲れてるだろう、温泉に入ってこい」


ミューロック「えっ温泉!?」


誠「あぁ、ここの温泉は凄いぞ、疲れなんか一気に吹き飛ぶ」


ミューロック「っ!分かったわ!行ってくる!」ダッ!


着替えとタオルを持ち、急ぎ足で上機嫌に向かう


バタン!


誠「ふぅっ...」トサッ...


誠「本当に...懐かしいな...」


微笑しながら過去の思い出にふける


...


ー着替え部屋ー


ミューロック「フッフフン♪」ヌギヌギ...


上機嫌に鼻歌を交えながら衣服を脱ぎ始める


ヒソヒソ...


女性1「綺麗ねあの人...ハーフ?」


女性2「モデルとか...スタイル凄いし...」


女性3「可愛い...」


女性4「胸大きい...」


本人は気づいていないが...彼女の美しさは一級品であり周りの人の目を釘付けにする程の美貌を誇っていた


ー大浴場ー


ザブゥゥゥン...


ミューロック「あぁぁ...生き返る....」


温泉には疲労回復に効果があり、彼女にたまった疲れを次々と取っていく


ミューロック (いいわね...マコトも言ってたけどそれ以上に最高だわ、温泉って...)


ミューロック (ストレスも吹っ飛ぶ!)バシャ!


心身ともに癒されていく彼女

だが一つだけ心残りがあった


....


誠 (私の...最後の旅行に..付き合ってくれないか...)


誠 (いいさ、最後だからな)


....


ミューロック「っ....」


ミューロック (最後って....本当に最後なの....?)


ミューロック (マコト...)


...


しばらくして温泉を上がり、同じく温泉を上がった誠もディナーへと向かう

至福の時間だった、追われの身だがこの時は観光をしている気分になれたのだ


ミューロック パクッ...


ミューロック「っ!美味しい!」


ミューロック「この料理美味しいわ!」


誠「フフッ...それなら良かった」


ミューロック「最高!こんな美味しいものが食べれるなんて!」


....


「パパ!ハンバーグ美味しい!」


「そうか、美味しいか...」


「こらこら、頬っぺたについてるわよ?」


...


誠「っ...」


ミューロック「っ?マコト?」


誠「...何でもない、さっ食事を進めよう」


ミューロック「え、えぇ...」


店員「お待たせしました、ロブスターのスープです」


ミューロック「おぉ!」


こうして彼にとっては最後の晩餐と言えるディナーを楽しみ、二人は部屋へと戻る


ーホテル部屋ー


誠「さてっ...私は少しやることがあるから、ミューロックはくつろいでいてくれ」


ミューロック「やること?」


誠「あぁ、少しな...」


ミューロック「そう...」


少し不満げな表情を持ちつつ、ベッドの近くにあるテレビを見ながら時間を潰していた


ー2300ー


誠「よしっ...終わった...」


誠「ってもうこの時間か...」


ミューロック「どうする?」


誠「早いが寝よう...明日は朝早く出るしな」


ミューロック「朝早く?」


誠 (さすがに気づいてるはずだ...捜索も考えて午前中が限界か...)


誠「...あぁ、出掛けたい場所があるからな、お前と....」


ミューロック「私と...?」


誠「あぁ、そうだ」カチッ...


部屋の電気を消し2つある内の右側のベッドに入ろうとする


ミューロック「あっ待って!」


寝床につこうとする彼を左側のベッドにいる彼女が静止するよう呼び掛ける


誠「何だ...?」


ミューロック「まだ聞いてない...貴方のことも、私のことも...」


誠「っ!」


誠「そういえば...そうだったな...」


ミューロック「で、教えてくれるんでしょ?」


誠「...分かった」


ミューロック「っ!」パァァ!


誠「じゃあ先にお前のことから...」


ミューロック「うん...」


誠「ミューロック...お前は人間ではないんだ」


ミューロック「えっ?」


誠「いや人間とは少し違うと言ったほうがいいな...」


誠「お前は艦娘というんだ」


ミューロック「艦娘....?」


誠「そうだ...」


艦娘.....突如出現した深海棲艦に対抗する為に生まれた存在...

とは言うものの人間の性質とはほぼ変わらず、感情、欲求、体の造形、機能、全て同じ

違うとすれば身体が頑丈なのと、艤装という兵器を装着でき海を自在に移動出来るくらいと彼は言う...


ミューロック「じゃあ私は...人間じゃないの...?」


誠「いやそうじゃない、深海棲艦と戦うことが出来る...それ以外は人間の女性となんら変わりはない」


誠「違う種類ではあるが...私は人間...というより海軍のほとんどはお前や他の艦娘を兵器とは思っていない、人間として接してる」


ミューロック「そう...なんだ...」


誠「...すまない...少し刺激が強い話を...」


ミューロック「ううん大丈夫、予感はしてたし...」


誠「えっ?」


ミューロック「私が目覚めた時点で普通じゃないとは思ってた、艦娘という存在とは分からなかったけど...」


誠「そうか...」


ミューロック「でも何で?」


ミューロック「何でマコトは私を生み出したの?」


誠「それは...」


ミューロック「...私、海に入れないんでしょ?」


誠「っ!?何故そのことを...」


ミューロック「ごめん、先に謝っておく...」 


ミューロック「見ちゃったんだ、マコトがトイレに行ってた間にそれを...」スッ...


机に置かれたケースの中にある書類を指差す


誠「っ....」


ミューロック「本来艦娘って海の上を歩くんでしょ?」


ミューロック「けど私は歩けない...触れることすら...その資料に書いてあった...」


ミューロック「私の前世の内容も見た、砂漠にずっといて、一度も海に触れてない...だから私も...」


誠「....」


ミューロック「ねぇ教えて、何故貴方は私を...」


誠「海に触れられることが艦娘の全てじゃない...」


ミューロック「えっ?」


誠 バサッ...


ケース内から一枚の資料を持ち出す


誠「見てくれ」スッ....


ミューロック「っ?」


誠「確かにお前は海を歩けない...その代わりに別の能力があるんだ」


ミューロック「別の能力?」


誠「砂を操る...それがお前の...お前にしかない唯一無二の能力だ」


ミューロック「砂...」


誠「海上に砂を発生させて歩くことも、砂を潜ることも、壁を作って盾にすることも、砂弾を作って攻撃など...ありとあらゆることが出来る...」


誠「たとえ、海に触れられなくても...それをカバー出来るほどの素質を持ってる...」


ミューロック「だから私を....」


誠「あぁ...だがその道中で手柄を横取りされかけて今に至るが...」


誠「いつもなら、唇を噛んで我慢してただろうが...今回ばかりは譲れない....」


ミューロック「それほどそれに大切な思いがあるの?」


誠「あぁ...」


誠「ミューロック...」


ミューロック「ん?」


誠「実は...これは表向きの理由なんだ...」


ミューロック「えっ?」


誠「お前を生み出した理由はもう一つある...」


誠「私の私情でな...」


ミューロック「何....?」


誠「お前のもとになった者...」


誠「それは私の妻と娘だ...」


ミューロック「はっ!?」


ミューロック「えっ、マコトの奥さんと子供!?」


ミューロック「な、何でそんなことを!?というか貴方の家族は...」


誠「死んだよ、二年前の交通事故でな...」


ミューロック「えっ....」


誠「突然の事故だった...まだ娘は4歳....」


誠「やりきれなかった....受け入れられなかった...家族が死んだことが...」


誠「けど事実は事実、納得せざるを得なかった...途端にとてつもない罪悪感に支配されたよ...」


誠「だから私は...表向きの理由を口実に...」


ミューロック「それで...私が...」


誠「ただ側にいてほしかった...模倣でも...私の心の穴を埋めたかった...」


誠「だから私は...」


ミューロック「マコト....」


誠「すまない.....」


ミューロック「っ!」


誠「こんな自分勝手な私情で...お前を生み出し...こんな危険な目に...」


ミューロック「私はいいよ....」


ミューロック「辛い思いをしてたのも分かる...心の穴を埋めたい...それも分かる...」


ミューロック「だから非難しない、貴方を...」


誠「ミューロック...」


ミューロック「...もう寝ましょう...明日早いんだしょ?」


誠「っ!そうだったな....」


既に一時間ほど経過しており二人はついに寝床につく


ミューロック「....ねぇマコト...」


誠「っ?」


ミューロック「これが...最後なの?」


ミューロック「他の選択肢はないの...?」


誠「....もうないさ...」


誠「私にはな...」


ミューロック「マコト...」


....


ー大本営ー


礼二「クソッ...!!」


礼二 (あいつ...何処へ行きやがった...)


礼二 (まぁいい...建造ルームの調べで何も建造していないことは分かったが...無断で使うだけても重罪...奴を捕まえる正当な理由が出来た...)


そう密かにほくそ笑んでいたその時...


憲兵「大道中将!!」


礼二「っ?」


一人の憲兵が必死の形相で息を切らせながら彼の元に来る


礼二「何だ...何があった?」


憲兵「大嶺誠の件なのですが!」


礼二「っ!見つかったのか!?」


憲兵「いえ...10時間前に脱走を行っていました!」


礼二「な、何だと!?」


憲兵「午後2時頃、駐車場付近を警備していた憲兵が不審な輸送トラックを発見したらしく...その時は緊急の件として放置していたのですが...」


憲兵「どの鎮守府に問い合わせても緊急で要請した覚えはないと!」


礼二「なっ!?つまりそのトラックに!?」


憲兵「恐らく...」


礼二「な、何をしている!何故そこまで発見が遅れたんだ!!」


憲兵「も、申し訳ごさいません!!」


憲兵「確認の為に全ての鎮守府に問い合わせた際、ある鎮守府の電話の回線が故障していたらしく確認が取れるまで時間が...」


礼二「ぐっ!」


礼二「大至急、捜索隊を集めろ!!奴を追え!!」


礼二「そして一刻も早く捕まえろ!!」


憲兵「は、はい!!」ダッ!!


礼二 (大嶺誠....!!)


....


0600


ミューロック「っん...」


白く光る朝日が彼女の眠気をかき消す


ミューロック「あぁ....もう朝...」 


誠「おはようミューロック」


ミューロック「あっマコトおはよう...ふわぁぁ...」


既に彼は服を着替え、身支度を整えていた


ミューロック「ずいぶんと早起きだね...」 


誠「職業柄でな、いつでも目覚める身体なんだよ、自慢出来ることではないが...」


ミューロック「科学者だから?」


誠「まぁそうだな...」


誠「さっ、もう行くぞ」


ミューロック「えぇ....もう少し寝ない?」 


誠「すまないな、安全を持ってだ...」


ミューロック「...分かった」


眠気を圧し殺し、身支度に入る

二人は朝食を取り、早めのチェックアウトを済ませる


ーホテル外ー


ミューロック「そろそろ教えてくれない?」


ミューロック「マコトが何処に行きたいのか...」


誠「...もう言っていいか...」


誠「まずは海だな....」 


ミューロック「海...?」


誠「あぁ海だ」


二人は車を出し走り出す....


....


憲兵長「礼二中将!輸送用トラックを発見しました!」


礼二「何!」ダッ!


彼率いる捜索隊は監視カメラ、証言を元にトラックが乗り捨てある場所までたどり着いていた


憲兵長「ただ、憲兵達の捜索によると既に乗り捨てられており、また30代と10代の男女がレンタカーを借りたとの証言が...」


礼二「なるほど...乗り継いでカモフラージュした訳か...」


礼二 (あいつ...馬鹿ではないな...)


礼二「直ぐに防犯カメラの検証をし、奴らの行方を追え!」


憲兵長「はっ!」


...


ーとある海岸ー


ザァ...


美しい朝日が海を照らし幻想的な風景が広がる


ミューロック「わぁぁ...!」


ミューロック「綺麗...」


初めて見る海に圧巻される


誠「凄いだろ?海は...」


ミューロック「えぇ!本当に!」


ミューロック「あっでも...」


誠「っ?」


ミューロック「触れられないんでしょ...?」


誠「っ...」


ミューロック「私って...」


誠「確かに触れられない...」


誠「けど別の能力...お前にしかないものがある」


誠「そしてここに来た理由はそれを試すためにきた...」


ミューロック「試す...?」


誠「お前の能力をな...」


ミューロック「能力...ね...」


誠「ミューロック飛び込んでみろ」


ミューロック「えっ?」


ミューロック「飛び込む...?」


誠「あぁそうだ、この海にな」


ミューロック「い、いやいやちょっと!?何のパワハラ!?」


ミューロック「私...艤装着けてないのよ!?確か艤装ないと海にはドボォォン...って...」


誠「あぁそうだな」


誠「普通の艦娘なら...」


ミューロック「普通...?」


誠「お前だけは出来るんだよ、艤装がなくても海の上を歩く方法が...」


彼女の足を見ながら訴えるように言う


ミューロック「まさか...砂の力...?」


誠「あぁそれだ...」


ミューロック「って言われても...」


季節は冬...雪はなく気温もそこまで寒くはないが、早朝の海は極寒といえる状況だった


ミューロック (ここに落ちたら...)


ミューロック (いやでもマコトは...)


ミューロック (いやだとしても...)


誠「信じろ」


ミューロック「えっ?」


誠「自分を信じろミューロック、お前には力がある、私が保証する」


誠「だから後はお前の一歩踏み出す勇気だけだ...そうすれば必ず成功する...」


ミューロック「勇気....」


ミューロック (....そうよ...ここで躊躇ってどうするの!マコトに比べたら私なんて...!)


ミューロック「よしっ...」


ミューロック「ふぅ....」


息を整え覚悟を決める 


ミューロック「はぁぁ!」バッ!


勢いよく走りながら飛び、海面に向かう


ミューロック「.....」


ミューロック パチッ...


ミューロック「えっ...?」


足は極寒の海に吸い込まれる事はなく、再び開いた目には先程と同じ美しい朝日があった


ミューロック「やっ....た....?」


成功か確認するために足場を見る

そこには...


ミューロック「っ!?」


足は海面に着いておらず「砂」のようなものが彼女の足場となっていた


ミューロック「これは...」スッ...


サァァァ...


ミューロック「っ!」


彼女が右足を前に出すことに反応したかのよう、足場の「砂」が移動し、右足を支える


ミューロック「これは...!」


前に歩きジャンプをしても、飛び込んでも、手を触れても、「砂」は生きてるかのようにミューロックに付きまとった


ミューロック「これが...まさか...」


ミューロック (マコトの言ってた...!)


誠「あぁそうだ」


誠「これがお前の力...「砂」を操る...」


誠「その「砂」はお前の守り神とも言える存在....そして自在に操る事が出来る」


ミューロック「この砂が...!」


誠「ミューロック、試しに右手を勢いよく前にかざしてみろ」


ミューロック「右手を?わ、分かった...」


ミューロック バッ!


ブァァァン!!


ミューロック「っ!」


彼女がかざした方向に「砂」が波しぶきのように撒かれる


ミューロック「す、凄い...」


誠「まだ発現したばかりだが...慣れれば応用に沢山使える...」


誠「これが...お前だけの力だ」


ミューロック「っ!」


ミューロック「私だけの...力...!」


誠「そうお前にしかない...唯一の力...」


ミューロック「これがあるからマコトは私を...」


誠「あぁそうだな」


誠 (能力が発現したか...あの調子なら直ぐに...)


誠「ミューロック、戻るぞ」


ミューロック「えっもう?」


誠「あぁ、次に行く場所があるからな....」


ミューロック「それってどこなの?」


誠「私の家族の場所だ...」


暗い表情をしながら次の場所を伝える


ミューロック「っ...!」


ミューロック「そう...分かった」


....


憲兵長「大道中将!奴らの行き先が分かりました!」


礼二「何!?何処だ!!」


憲兵長「監視カメラ...パーキングエリアでの目撃証言から...福岡に逃亡していると...」


礼二「福岡...」


礼二 (そこまで行っていたのか...)


礼二「よしっ...直ぐに捜索隊を福岡に回せ、恐らく何処かに泊まっているはずだ、近くのホテルや民泊を探し、特定を急げ」


憲兵長「了解しました!!」


...


二人は海を後にし、レンタカーに乗る


ミューロック「....」


誠「どうした?」


ミューロック「いや...何でもない...」 


ミューロック (嫌な空気がする...)


誠「さてっ...いくか」


ミューロック「えぇ....」


小一時間ほどだろうか...二人は気持ちいい朝日に照らされながら車を走らせる


....


ブロロロ...


誠「....着いたぞ」


ミューロック「ここ?」


誠「あぁそうだ」


着いた先は日本中のどこにでもありそうな至って普通のトンネルだった


ガチャ...バンッ...!


誠 ガサッ...


道中で買った、お花を車から取り出す


ミューロック「まさか....ここが...」


誠「あぁ...」


誠「私の家族が...亡くなった場所だ」


ミューロック「っ....」


誠「真っ最中だった...旅行のな...」


誠「久しぶりに休暇が取れて...家族と仕事を忘れて楽しめると思って...浮かれていたんだろう...」


誠「もう少し...私がしっかりしていれば...」


ミューロック「マコト...」


誠「妻の名前はジェシカ...ハーフでな...とても綺麗な人だった...ユーモアがあって...頼りになって...最愛と呼べる人だった...」


誠「それにもう一人の最愛の人...」


ミューロック「娘さん...?」


誠「あぁ...名前をユイナ...まだ4歳で笑顔とても可愛かった...もう見れないがな...」


ミューロック「....聞かせてくれない...?あの時何があったのか...」


...


ー二年前ー


ブロロロ...


ジェシカ「さてっ...次は何処にいくの?」


誠「そうだな...海にでも行くか」


ユイナ「海!?」


誠「あぁ海だ、砂遊びがたくさん出来るぞ...」


ユイナ「やったぁぁぁ!!」


ジェシカ「良かったわねユイナ!」


ユイナ「あたし、砂のお城作る!」


誠「おっ、面白そうだな!」


誠「じゃあ俺は、もっと凄いお城作ろうかな」


ユイナ「むぅ!じゃああたしはもっと凄いお城作るもん!」


誠「ハハッ、じゃあパパと勝負するか?どっちが凄いお城作れるか」


ユイナ「うん!やるー!」


ジェシカ「パパに負けないように大きいお城作りましょう!レイナ!」


誠「おいおい、2対1かよ...」


ジェシカ「いいじゃない、貴方は大人なんだから子供相手に1対1はねぇ...」ニヤッ...


ユイナ「ねぇー!」


誠「フッ...まぁそうだな」


ユイナ「パパ!早く早く!」


誠「よしっ少し飛ばすか!」ブロロロ!


最高の時間だった、家族と一緒にいれて...

だからこそ...浮かれていた...


ー◯◯トンネルー


[目的地まで残り2キロ]


誠「おっそろそろだな」


ジェシカ「そろそろ海が見えるわよ~!」


ユイナ「海ー!」


誠「フフッ...」


娘の可愛らしい掛け声をする姿を見たいと思い少しだけ前方から視線を外した...

まさにその時だった...


キィィィィィ!!


誠「えっ...?」


再び振り替えるとそこには一台のトラックが横転してこちらにつっこんでくる


誠「なっ!?」


ドガシャァァァァン!!


誠「うわぁぁぁぁ!!!」 


二台の車は激しく衝突し破片などが飛び散る...


...


誠「.....っ....」


誠 (な、何が...起きて...)


目がぼんやりとしており耳も騒音が鳴っていた


誠 (ジェシカ...?ユイナ...?)


誠 (何処にいる...?)


段々と視界がはっきりとしていき、脳も正常に働き始める


誠「っ!」


遂に意識がはっきりと戻る


誠「私は...」


地面に寝そべり、腕あたりを切ったのか鮮血の血が流れていた


誠「いっつ...」ムクッ...


ふらつきながら体を起き上がらせる


誠「ジェシカ...ユイナ...?どこだ?」


誠「何処....?」スッ...


二人を探しゆっくりと歩き始める...




















































グチャ....



























誠「っ...」


足に不快な感触がくる

恐る恐る不快な感触がした方向に目をやる


誠「えっ....?」


無機質な黒で塗装されていた道路は赤く変色しており、体の部位であろう部分が四方八方に飛び散っていた...


誠「ジェシカ....?ユイナ....?」


誠「えっ.....?えっ.....?」


思考が追い付かなかった

いや拒否していたのかもしれない

二人がこの道路に飛び散っている事実を...


誠「....そ、そんな訳ない...二人は何処かに...」


最悪の結末を避ける為に必死になって二人を探す....

しかし、事実からは逃れられなかった


グチャ...


誠 チラッ...


誠「っ!!??」


肉片の一つの左手の薬指が反射によって光る...

形、造形...全て彼女に送った指輪と同じ形をしていた


誠 「ジェシカ....?」スッ...


手元が血だらけになるのを構わず左手を広い上げる

そしてその先には...


誠「っ...!」


娘....ユイナが服についていたリボンがあった...

見るに絶えない形となった生首と共に...


誠「あっ....」ドサッ...


残酷な事実を目の当たりにし、膝から崩れ落ちる 


誠「そんな...そんな....」


誠「ジェシカ...ユイナ....」


手元が震え、全身に身の毛がよだつ


...


ジェシカ (そろそろ海が見えるわよ~!)


ユイナ (海ー!)


...


彼女達の最後の声がフラッシュバックされる...


誠「ウソだ...ウソだ...」


誠「ウソだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


頭を抱え、彼の悲痛な絶叫が無機質なトンネルに響き渡る....


...


ミューロック「....嘘でしょ....!?」


ミューロック「そんな...」


誠「私もその時は信じれなかったよ...」


誠「けど...これが現実....認めなくちゃいけなかった...」


誠「...あの時は冬場でスリップが原因だったらしい....」


誠「トラックの運転手は死亡...私の家族も...即死...」


誠「生き残った者は...私だけだった...」


誠 ガサッ...


事故現場に花束を置く


誠「やっと...花束を置ける...」


ミューロック「...受け入れられなかったから...置けなかったの...?」


誠「そうだな...葬式も私は欠席...遺品を受けとることすら拒絶していた....生きてるって思って...」


誠「けど...ようやく自覚出来た...妻と子供は亡くなったんだって...」


誠「ごめんな...二年も待たせて....」


膝を下ろし手をあわせ二人の魂に合掌をする...


ミューロック スッ...


彼にあわせ彼女も合掌を行う


誠「....」


ミューロック「...これが貴方がしたかったこと....?」


誠「...そうだな...何もせずにあの世に行くことは出来ないからな...」


ミューロック「えっ....?」


ブロロロロ!!


一同「っ!」


遠方から幾つものエンジン音が鳴る


誠「っ!あれは...軍用車!」


ミューロック「えっ!?ま、まさか!」


誠「追っ手だ....グッ...もう来たのか...」


ミューロック「なら早く逃げないと!!」


レンタカーに乗るよう誘導する


誠「っ....」


ミューロック「マコト...?」


誠「無理だ...奴らの捜索能力は一級品...逃げることは不可能...」


ミューロック「な、何言ってるの!?そんなの逃げてみなきゃ!」


誠「無理だ...」


ミューロック「諦めちゃ駄目マコト!貴方はここで死ぬような人じゃ!」


誠「無理なんだよ...!」


ミューロック「っ!」


今まで落ち着いていた優しい声に怒気のようなものが入る


誠「ミューロック...言っただろ?これが最期だって....」


ミューロック「っ...!」


誠「けど...まだ死ねない...」


誠「まだお前に言うことがあるから...」


ミューロック「えっ...?」


ガシッ!


ミューロック「っ!」


誠「行くぞ!」


レンタカーを捨て、彼女の腕を掴み走り出す


...


憲兵1「.....ん?」


憲兵2「どうした?」


憲兵1「いや...いま人影が...」


憲兵2「人影?」


タッタッ...!!


二つの動く陰...一人はフードを被っており視認出来なかったが、もう一人ははっきりと確認できた


憲兵達「っ!!」


憲兵1「あれって大嶺誠!」


憲兵2「間違いない!」


憲兵2「CP!CP!こちら第4チーム!対象の人物を発見!市街地に逃走を図っている!!オーバー!」


『こちらCP了解、直ちに確保せよ!アウト!』


憲兵2「よしっ追うぞ!」


憲兵1「あぁ!!」


...


憲兵長「大道中将!第4チームが大嶺誠を発見した模様、只今追跡を開始しています!」


礼二「よしっ...直ちに捕まえろ!」


礼二「もしこちら側に被害が出た場合は...射殺も許可する...」


憲兵長「えっ!?ちょお待ちください!彼は今市街地に!ここで撃てば!」


礼二「構うな!!」


憲兵長「っ!」


礼二「そんなこと気にしている場合か!?奴は重罪人!銃も所持している可能性がある!一般市民に被害が出てもいいのか!?」


憲兵長「しかし...」


礼二「つべこべ言わずにやれ!!上官命令だ!!」


憲兵長「は、はい!」


憲兵長「全チーム聞こえるか!もし対象の人物が抵抗を図った場合射殺を許可する!市街地でも撃っても構わん!これは上官の命令だ!」


礼ニ「フッ...」


礼二 (終わりだ...大嶺誠...)


ー市街地ー 


憲兵「いたぞ!」ダッ!


誠「ぐっ!」


真昼の商店街に似合わない光景が繰り広げられる


「なんだなんだ?」


「何かの番組?」


異様な状況に道行く人々も注目する


誠「ミューロックこっちだ!」


ミューロック「えぇ!」バッ!


憲兵「っ!何処へ...」


憲兵「くっそ!」ダッ!


路地裏をうまく使い、追走を振り切る


誠「はぁ...はぁ....」ドサッ...


ミューロック「大丈夫マコト....?」


誠「あぁ...何とか...」


1日の大半を研究室で過ごす日々を繰り返していた彼にとって、体力を使うのはかなり苦であることだった


誠「はぁ...日頃から運動しておけば良かったな...」


ミューロック「どうするのマコト....さすがに数が多い...ここに長くいるのも...」


誠「分かってる...」


誠  (捕まるのも時間の問題...どうにか彼女を脱出させなければ...)


誠「ミューロック...」


ミューロック「っ?」


誠「海にいくぞ...」


ミューロック「えっまた海!?」


誠「あぁ...そこからならお前は脱出出来る...」


艤装はないが彼女の能力を使えば海からの脱出は容易であった


ミューロック「えっちょっと待って!マコトは!?」


誠「おびき寄せる...時間稼ぎになれる...」


ミューロック「それって貴方を囮にするってこと!?」


誠「あぁ...」


ミューロック「なっ!そんな事出来るわけが!貴方も一緒に!私の力ならどうにか!」


誠「仮にここから逃げたとこで...私はいわば指名手配犯...捕まる運命だ...」


誠「それに...私は罪を犯した...許される行為ではない...」


ミューロック「でもマコトがしたことは!」


誠「いいんだ!」


ミューロック「っ!」


誠「事情がなんであれ犯した罪は消えない...正当化される理由はない...」


ミューロック「マコト...」


誠「お願いだ...お前も犠牲になってほしくない...お前だけは自由に生きて欲しいんだ...」


誠「だから頼む...言うことを聞いてくれ...これが私の最後の頼みだ...!」


ミューロック「.....」


ミューロック「それが...マコトの望むことなら...」


ミューロック「分かった...」


ミューロック「けど一つだけ約束して!」


誠「っ?」


ミューロック「貴方にはしばらく会えないかもしれない...けど貴方が全てを償った時...また貴方と会いたい...」


ミューロック「何年かかってもいい...」


ミューロック「だから...絶対に生きて...!」


ミューロック「生きて...また会いましょう!」


誠「ミューロック....」


誠「っ....分かった...」


ミューロック「っ!」


誠「また会おう...いつか...」


ミューロック「えぇ...!」


彼は一つの優しい嘘をついた

また会おう...それが出来たらどれほど良かったことか...

彼にはもう....生き残る道が残されていない

だが彼女はそれを知る由もなかった...


誠「よしっ...途中までは一緒に行く、海岸が近づいたら...そこでお別れだ...」


ミューロック「....分かった...」


....


二人は憲兵を振り切りながら海岸へと向かう


ー廃工場ー


誠「こっちだ!」タッタッ!!


うまく逃げ切り海岸まで500Mという位置にまで迫っていた


ミューロック「うまく振り切ってるみたいね...」


誠「だな...だがここも長くは持たない...」


誠「そして...」


ミューロック「っ?」


誠「ミューロック...ここでお別れだ...」


ミューロック「っ!」


ミューロック「.....そう...分かった...」


遂に訪れる二人の別れ...

ミューロックは悔やみきれない感情を押し殺し彼の言葉に肯定の言葉を返す


誠「...海を出たら、周りながら本州へ進め」


誠「上陸したら海岸付近に鎮守府があるはず....そこにかくまってもらってくれ、獅子丸大将の名義でな」


ミューロック「でも方角とかが...」


誠「それなら...」スッ...


ミューロック「これは...?」


誠「高度な磁石機能を持ち、ナビゲートしてくれるスマホだ、少し改造したやつでな...」


ミューロック「これがあれば本州にいけるということ?」


誠「あぁ...」


ミューロック「分かった...」パシッ...


スマホを取り起動させる


誠「すまない...」


ミューロック「えっ?」


唐突に彼が謝罪の言葉を口にする


誠「お前にはたくさん迷惑をかけた...」


誠「勝手に生み出して...こんな逃走に巻き込んで...挙げ句の果てには過酷なことをやらせて...」


誠「謝って済むことじゃない...けど...申し訳ない...」


ミューロック「っ...」スッ...


彼の元に近づき、座っている彼に目線を合わせる


ミューロック ポンッ...


誠「っ!」


ぶたれるくらいの事を覚悟していたが、彼女は優しく彼の肩に手を置いた 


ミューロック「私は何も貴方に恨みなんてない....むしろ感謝してる...」


誠「感謝...?」


ミューロック「本来だったら...幻の存在のままだった私をこうやって生み出してこの世界を見せてくれた...本当にありがとう...」


ミューロック「だから...そう気を落とさないで...」


ミューロック「貴方は凄い人なんだから...」


誠「ミューロック...」


ブロロロ....


誠・ミューロック「っ!」


遠方からエンジン音が聞こえる


誠「もう迫ってきたか...」


ミューロック「そうね...」


ミューロック「マコト...」


ミューロック「必ず戻ってきて...私...ずっと待ってるから...」


誠「あぁ...もちろん...」


ミューロック「じゃあ...」ギュ...


ミューロック「さよなら...マコト...」


誠「あぁ...ミューロック...」


ブロロロ...!


誠「さぁ早く!」


ミューロック「えぇ...!」ダッ!


惜しみながら彼女は走り出す


...


誠 (行け...ミューロック...)


「こっちだ!」「そっちで目撃証言があったぞ!」「逃がすか...!」


誠「っ!」


ゆっくり...だが着実に奴らの声が近づいてくる


誠 (来たか....)


誠「捕まれば暗殺...抵抗すれば射殺...」


誠「ハハッ...詰むってこういうことか...」


絶望的な状況に笑いながら、独り言を呟く


誠 チラッ...


全ての情報が入ったケースに座りなから目をやる


誠 (うまく作動すれば...まだ希望はある...)


誠 (あいつ次第だが...ミューロック....)


「どこだ!」「探せ!!」


さっきよりも声が近づく


誠「っ....」


誠 スッ...


内ポケットから一枚の写真を取り出す

それは彼の家族全員で撮られた幸せを象徴するような写真であった


誠 (ごめんな...ジェシカ...ユイナ...)


誠 (私のせいで...お前たちの人生を壊してしまって....)


誠 (ユイナ...お前は私の自慢の娘....もっと色々なことを見せて...体験させたかった...)


誠 (ジェシカ...お前は私が今までに愛した唯一の人...私みたいな研究オタクをこうやって支えて、幸せを教えてくれてありがとう....)


誠 (ミューロック....) 


誠 (勝手に生み出して勝手に巻き込んで...けどお前は嫌な顔一つせずついてきてくれた...私を信じてくれた...)


誠 (最後に...光を与えてくれて...本当にありがとう....)


「こっちだ!」「ここら辺にいるはずだ!」


誠 スッ...


....懐から一丁の拳銃と一発の弾丸を出す 


誠 カチッ...


淡々と弾を積め...


カチャ...


額に拳銃を傾ける


誠 グッ....


誠「っ...」


誠 (ジェシカ...ユイナ...私もそっちに行くよ...)


誠 (ミューロック...約束守れなくてすまない...お前は...自由に...ありのまま生きてくれ...見守ってるから....)


カチッ....


誠「さよなら.....」























ダァァン!!





























憲兵達「っ!?」


憲兵長「っ!」


礼二「っ...!」


真昼の平和な町に一発の銃声が鳴る...


....


ミューロック ザァ...ザァ...


ミューロック「っ...!」


スマホを頼りに本州へ向かい始める彼女の足が止まる


ミューロック「何....」


ミューロック (この胸騒ぎ....)


銃声は聞こえないが何か不穏な予感が彼女の脳に走る


ミューロック「まさか....」


ミューロック (....いや...違う....!)


ミューロック (マコトは...約束した...生きてまた会うって!)


ミューロック パチッ!


頬を叩き気を取り直して再び本州に向かう


.... 


憲兵達「っ.....」


脳天が撃ち抜かれ血の海と化した場所に絶句する.....

そして彼の手には一枚の血に濡れた写真が握られていた...


....


ー海上ー


ザァ....ザァ...


ミューロック (何処を見ても海...)


スマホのマップを頼りひたすら海を進んでいく

目印があるだけマシだが、この狂気に近いほどの広大な海に気が少し動転していた

マップがなければ狂乱していたとこだろう


ミューロック (急がないと...)


心を落ち着かせながら本州へ向けて進み続ける


....


海を出てから二時間ほど経過した頃...


??「ッ....?」


??「アレハ....」


ミューロック ザッ...ザッ...


?? (艤装ヲシテナイ....?ケド海ノ上ヲ歩イテル....)


?? (....奴ラカ....)


彼女に不穏な影が近づく...


.....


ミューロック (よしっ...半分を切った...)


ミューロック「ん...?」


前方から何かが飛んでくる


ミューロック「何...?」


バシャァァァァン!!


ミューロック「っ!?」


目の前に着弾し、激しい水しぶきを上げる


ミューロック「ちょえっ!?」


ミューロック (何!?どこから!?)


唐突な襲撃に動揺を隠せない


??「....」 


ミューロック「っ!」


??「オ前カ...」


ミューロック「貴女は....」


戦艦棲姫「....艤装ヲ着ケズ...海ヲ歩イテイタ者ハ...」


ミューロック「っ!?」


戦艦棲姫....深海棲艦の中でもトップクラスに位置する敵....姫クラスと言われ艦娘達からも恐れられている存在


ミューロック (あれって...まさかマコトが言ってた姫クラスのやつ!?)


ミューロック (それに...)


彼女の耳元が光る


ミューロック (あれは...イヤリング...?)


彼女の耳元が光り深く凝視すると十字架のような模様のイヤリングを装着していた


ミューロック (あれは...)


戦艦棲姫 ガコン...


ミューロック「っ!」


彼女の背中に装備された砲台が向けられる


ミューロック「ま、待って!私は戦いをしに来たわけじゃ!」


戦艦棲姫「戦イデハナイ...?」


ミューロック「そ、そうよ...私は少し行く場所があって...その道中で...」


戦艦棲姫「ナラ...戦ウ意思ハナイト...?」


ミューロック「そう!戦おうだなんて微塵も思ってない!」


ミューロック「だから...ね?ここを通してくれないかな...」


戦艦棲姫「分カッタ...」


ミューロック「っ!」


戦艦棲姫「トデモ言ウトオモッタカ?」


ミューロック「えっ?」


ドォォォン!!


ミューロック「うわっ!?」バシャァァン!


すれすれの位置に着弾する


戦艦棲姫「私タチハオ前達艦娘ヲ一人残ラズ排除スルノガ目的デナ...」


戦艦棲姫「悪イガ...ココデ沈ンデモラオウ...」


ミューロック (くっ...!)


ミューロック (どうする...これじゃ...)


ミューロック「っ!」


....


誠 (「砂」を操る...)


誠 (その「砂」はお前の守り神とも言える存在....そして自在に操る事が出来る)


誠 (それが...お前だけの唯一の力だ...)


....


ミューロック (そうだ...私には...!)


サァァァ....


戦艦棲姫「...ッ?」


右手に砂が集合し始める


戦艦棲姫 (何ダ...砂...?)


ミューロック「話し合いで終わらせたかった...」


ミューロック「けど戦うのであれば...!!」


サァァァ.....!


球体が作られていく


ミューロック「はぁぁ!!」ドゴォォォン!!


戦艦棲姫「!?」


ズゴォォォン!!


戦艦棲姫「グアッ!?」


球体は目にも止まらぬ速度で発射され、彼女が追い付く暇もなく腹部に直撃する


戦艦棲姫「グッ....!」ヨロッ...


溝に入り膝から崩れる


戦艦棲姫 (何ダ今ノハ...!?)


内臓が抉られるような感覚が彼女を襲う


戦艦棲姫 (アレハ...砂...!?)


戦艦棲姫 (馬鹿ナ...砂ヲ使ウ奴ナンテ聞イタコトガ...マサカ新シイ奴...!?)


戦艦棲姫 (ナラ辻褄ガアウ...)


戦艦棲姫 (ダガ...)ニヤッ...


ミューロック「いける...これなら!」サァァァァ!


再び砂を集結させ砂弾を形成する


ミューロック「はっ!!」ドゴォォン!ドゴォォン!


戦艦棲姫 バッ!!


攻撃を間一髪で避け


戦艦棲姫 ガコン...


ミューロック「っ!」


直ぐ様反撃に転ずる


ドォォォン!!


ミューロック「ぐっ!」バシャァァン!!


砲弾は彼女の目の前に着弾し水しぶきが上がる 


ミューロック (しまっ!視界が!)


高さ数メートルにも及ぶ水しぶきに完全に視界がシャットアウトされる


スッ....


ミューロック「えっ?」


ドゴォォン!!


ミューロック「ぐわっ!?」ドジャァァ!!


いつの間にかゼロ距離まで近づかれ、腰部に被弾し吹っ飛ばされる


ミューロック「ぐふっ...かはっ...!」


クリィティカルではないものの相当なダメージを食らい彼女の口から少量ほど吐血する


ミューロック (これが...姫の力....!)


姫の圧倒的な力やスピードに驚愕を隠せない


戦艦棲姫 (威力ハ高ク、戦イ方モ斬新....)


戦艦棲姫 (ダガ技量ト経験ハ素人同然ノ腕前....)


戦艦棲姫 (コチラノ敵デハナイ...)


再度弾を装填し、倒れる彼女に砲台を向ける  


ミューロック「っ...!」


相手からくる圧倒的なプレッシャー...強メンタルで弱腰になることがなかった彼女が初めて恐怖を感じた 


ミューロック (強い...それに怖い...)


ミューロック (ここで死ぬかもしれない...)


ミューロック (けど...ここで死ぬ訳にはいかない!)


恐怖を押し潰し、覚悟を固めた目で見つめながら再度立ち上がる


戦艦棲姫「ッ!」  


戦艦棲姫 (アレヲ食ラッテコンナ短時間デ起キ上ガルトハ...) 


ミューロックがただ者ではないと感じたように彼女も相手の事をただ者ではないと感じる


戦艦棲姫 (面白イ....) ガコン...


ミューロック「さぁ...」サァァァァ...


ミューロック「第2ラウンドよ!!」


サァァァァ...ブァァン!!


戦艦棲姫「!!」


目の前に砂の柱のようなものが6本そびえ立ち戦艦棲姫を囲い混む


戦艦棲姫「ナンノマネダ.....」


ミューロック「はぁぁ...」サァァァァ!


ミューロック「はぁっ!」ドゴォン!!


驚異的速度で砂弾が発射される


戦艦棲姫「無駄ダ...」


戦艦棲姫 (速度ハ速イガ直線...簡単ダ...)


バッ!!


その自信の通り直線で突っ込んできた弾を寸前で避ける


戦艦棲姫「フッ....」


攻略法を見つけ完全に油断したその時...


ボゥゥ!!


戦艦棲姫「ッ!?」


突如として6本の砂の柱の間に砂の壁が作られ彼女を閉じ込める形となる


戦艦棲姫「ッ!コレハ...!?」


ドグォォン!!


戦艦棲姫「グアッ!?」


ドグォォン!ドグォォン!!


戦艦棲姫「グッ!?」


砂の壁から神出鬼没で砂弾が彼女を襲う


ドグォォン!ドグォォン!ドグォォン!


戦艦棲姫「グフッ!?グワァァァ!!」ドシャァァァ!!


どこから来るか分からない状況に対処が追い付かず遂にその身を海につける


サァァァ....


戦艦棲姫「今ノハ...何ダ...!?」


砂の壁が消滅していく


ミューロック「デザートウォール」


戦艦棲姫「ッ!」


ミューロック「今、編み出した応用技...」


ミューロック「弾道が直線だとしても壁に潜めてタイミングよく全方位から連続で放てば対処は出来ない!!」


ミューロック「終わりよ...!!」


戦艦棲姫「チッ...!」


素人同然であった彼女の成長と応用力の高さに驚きと苛立ちが隠せない


戦艦棲姫 ユラッ...


戦艦棲姫「ッ!」


艤装の損傷が激しく、身体も悲鳴をあげ始めていた


戦艦棲姫 (中破ホドイッタカ....)


戦艦棲姫 ガコン!!


ミューロック「無駄よ...デザートウォール...!!」


ブォォ!!


再び砂の壁が彼女を包む


戦艦棲姫「確カニ見エナイ...ソレニ対処スルニハ無理ガアル...」


戦艦棲姫「ナラバ...」ガコン...


放題を空中に向ける


戦艦棲姫「上サエ空イテイレバ...!!」


ミューロック サァァァ...!


戦艦棲姫 ドォン!!


ミューロック「っ!?」


壁の上から放たれた砲弾が彼女目掛けて着弾する


ミューロック「危なっ!?」


ミューロック (まさか...視認なしで距離を捕らえた!?)


ミューロック「なら!!」ザシュ!!


位置を変えるために素早く移動する


戦艦棲姫 バッ...


耳元に手をやる


サァァァァ.....


戦艦棲姫 (聞コエル....微カダガ、砂ノ音ガ!)


戦艦棲姫「ソコダ!!」ドォン!!


ミューロック「ぐっ!?」バシャァァン!!


ドォン!!ドォン!!


ミューロック「くっ!がぁっ!!」


必死に砲弾を避けるものの怒涛の連続攻撃により遂に被弾する


サァァァ....


能力が解除され砂の壁が崩れ始め...


ミューロック「....」


その場に倒れこみピクリとも動かなくなった


戦艦棲姫 (終ワッタカ...)


戦艦棲姫 (中々面白イ奴ダッタガ...ココマデノヨウダナ...)


戦艦棲姫「....グッ....」


戦艦棲姫 (サスガニ堪エルナ...身体モ限界ガ近イカ....)


勝利を確信し身体の限界を考慮しその場から撤退しようとする


ミューロック スッ...


戦艦棲姫「ッ!」クルッ....


彼女は立ち上がった...

再び立ち、相手に凄まじい形相を見せる


ミューロック「はぁ...はぁっ...!」


服はボロボロになり全身から血が流れる立っているのもやっとの状況であった


戦艦棲姫「マダ...生キテイタノカ...!」


ミューロック「死ねない...死んでたまるか...!!」


身体はとっくに限界を迎えていたが彼女の生への執着の思いが力を与え再度立ち上がる



戦艦棲姫「何故ソコマデシテ立チ上ガル!!何ガ貴様ヲ!!」


ミューロック「フッ...決まってるでしょ...」


ミューロック「彼に....また会うためよ!!」


ミューロック「だから...こんなとこで死にはしない!!」


戦艦棲姫「ソレガ貴様ノ...!!」


ミューロック ゾワッ...


戦艦棲姫「!?」


彼女から狂気的なオーラが放たれ


戦艦棲姫 ゾクッ...


彼女は初めて恐怖という感情を抱いた


戦艦棲姫 (何ダ...コレハ...!?)


ミューロック バシュン!!


戦艦棲姫「ッ!」


オーラに気をとられてる瞬間に彼女は砂のカーテンを作り視界を遮る


戦艦棲姫「クッ...コノ!!」ブォン!!


戦艦棲姫「ッ!」


振り払ったその時、既に彼女はいなかった


戦艦棲姫「ドコヘ...逃ゲタノカ....」


戦艦棲姫「....」


結果的には自分の勝利...だが彼女の心を覆っていたのは恐怖という二文字であった


戦艦棲姫 (怯エタ...奴ノ迫力ニ...)


戦艦棲姫 (一体...何者ダ....)


追おうとも考えたが先程の出来事が頭を過り足を止まらせた


戦艦棲姫「.....恐ロシイ奴....」


この広い大海原で一人小さく弱音を呟いた...


...


ミューロック「はぁ...はぁっ...」


どれほど歩いただろうか....

スマホはあの戦闘で破損

身体も悲鳴を上げ視界もくらみ始めていた


ミューロック「生きるんだ...絶対...!!」


地図を失い、ゴールの見えない大海原を何日も歩き続ける

いつ気が狂ってもおかしくない状況

だが彼女の生への意思が何とか彼女の理性を保たせていた


ミューロック「はぁっ...はぁっ...!」


進む...何度倒れようとも、とにかく進み陸地を目指す...


....

.....

........


数日が経った...


ミューロック「っ....!!」


海岸に光る一つの建物...

視界はぼやけいていたが、彼女の直感が訴えかけていた


ミューロック「鎮守府....!!」


遂にたどり着いた...

何度も被害にあいながら遠回りを続けようやく見つけた希望の場所...


ミューロック「やった...!」ザシュ...


ボロボロの身体に鞭を打ち鎮守府に近づく


ミューロック (あと...少し...!)


ミューロック (あと...!)


だが...


ミューロック「っ...!」ユラッ...


緊張感と絶望感から解放させた反動か砂が落ちるように力が抜けその場に倒れ込む


ミューロック (なん...で...!?)


ミューロック (動け....!動けよ..!私の身体...!!)


必死に鞭を入れるもののもう一度力が入ることはなかった


ミューロック (ぐっ...!)


意識も遠のき始める...


ミューロック「誰か....誰....か...」


振り絞った声を放った直後...


ミューロック「だ.....れ...」クテッ....


彼女の意識は暗闇に閉ざされた...


.....


提督「.....それが...」


ミューロック「そう...」


ミューロック「これが私の過去...これまでの全ての話....」


....


バサッ!!


礼二「っは!!」


顔を覆っていた袋が取られる


礼二「ここは...っ!」


全身が椅子に固定され、身動きが一切取れない


礼二「何だこれは!?」


鍛え上げられている彼の肉体を持ってしてもびくともしなかった


??「無駄ですよ」


礼二「っ!」


??「それは人間では絶対に外せませんから」


礼二「貴様....何者だ!私を誰だと思っている!!」


??「知っていますよ大道礼二中将」


??「名前は言えませんが...私は研究チームの職員です」


礼二「研究チームだと....」


??「貴方は捕まったとしても地位を利用すれば釈放なんて容易...」


??「でもそれでは被害者が救われない」


礼二「何...」


??「だからこうするんです」ガラッ...


礼二「っ!?」


運ばれた荷台に無数の注射器が置かれる


礼二「そ、それは!?」


??「これはある幻覚作用を持った薬でねぇ...5分程度で1ヶ月程の時間を過ごすことになる」


??「拷問されまくる幻覚ですがね...」ニヤッ...


礼二「なっ!?」


??「裁判までは20日ある...それまで貴方はこの苦痛を体験続けてもらいましょう」


??「少なくとも...100年以上はありますね」


礼二「はっ!?」


コツコツ...


礼二「っ!ま、待て!!」


注射器と共に彼に近づく


礼二「こんなことが許させると思っているのか!?こんな非道なことが!!」


??「はっ?」


ガシッ!!


礼二「ぐっ!?」


頭を乱暴に強く掴む


??「あれだけ非道なことをしてきた癖によく言いますね」


礼二「ぐっ...!だ、誰の命令だ!!こんなの獅子丸大将が許すはずが!」


??「独断ですよ、こちらの」


礼二「なっ!?!?」


??「彼も信頼されていたんですね...研究チームは盤上一致でした」


??「この幻覚剤を使い、貴方を廃人にさせる案に」


??「獅子丸大将には留置所に収容していると、あちら側の人間にもワイロも送ったのでばれることはずありません」


礼二「ふ、ふざけるな!!こ、こんなこと!」


??「はいはい、黙ってください」スッ...


針が彼の二の腕に近づく


礼二「や、やめてくれ....何だ金か!?それならいくらでもやる!?それとも階級か!?なら私の推薦で!!」


??「ハッ....」


醜い命乞いを繰り返す彼に見下しの嘲笑をする


??「違いますよ、こちらが欲しているのは...」


??「偉大なる研究者だった彼を死に追いやった貴方が」


??「地獄に堕ちるとこですよ...」ニヤッ...


礼二「やめろ...やめろ....」


礼二「やめろぉぉぉぉぉぉぉ!!!」


ブスッ....!


...


20日後、彼の裁判が行われる

弁護側、検察側、裁判側...

どの立場の人間も彼の変わり果てた姿に驚愕の言葉を隠せなかった

彼は脳を壊され、髪の毛が白髪になり全身の筋肉は衰え、ろれつが回らず植物人間のような醜い姿へと変貌していた...


.....


提督「そんな体験をしていたんだな...」


ミューロック「えぇ...」


ミューロック ポロッ...


提督「っ...!」


それまで笑顔を見せていた彼女から一粒の涙が溢れた


提督「み、ミューロック....」


ミューロック「...私の親みたいな存在だった...」


ミューロック「幻だった私に...海を見せてくれた...空を見せてくれた...」


ミューロック「私を...この世に生み出してくれた....」


ミューロック「....最後に...」


ミューロック「最後にもう一回だけ...話したかった...」


ミューロック「私は元気って....伝え....たかった...」


涙が止まらず声が震える


提督「ミューロック...」ギュッ...


ミューロック「っ!」


提督「俺なんかがとも思うけど...」


提督「今は泣いとけ...我慢するな...」


提督「よく頑張ったよ....彼も見てくれてるはずさ....」


ミューロック「提督....」


美しい夕日が照らす日に、彼女は彼の胸で一人静かに泣いた...




[chapter9 新たな光]




ー翌日ー



ガチャ....


提督「っ...!」


ミューロック「おはよう提督」ニコッ...


提督「ミューロック...」


提督「もう大丈夫なのか...?」


ミューロック「えぇ...整理がついた...」


ミューロック「もう大丈夫よ...」


提督「そうか...」


提督「そうだミューロック」


ミューロック「っ?」


提督「今日、着任式をやろうと思ってるんだ」


ミューロック「着任式?」


提督「あぁ、正式に艦娘として認められたことだしな、皆にも伝えようと思って...」


ミューロック「そう...」


提督「っ?ミューロック?」


不安そうな表情でこちらを見つめる


ミューロック「受け入れてくれるかしら...私を...」


提督「だいじょうb「大丈夫ですよ!!」」


提督・ミューロック「っ!?」ビクッ!


青葉「ここにいる人は皆いい人ですから!」


提督「あ、青葉いつの間に!?」


衣笠「こんなに美人だもの受け入れてくれるに決まってるわ」ニコッ..


提督「衣笠!」


明石「もし何か言われたら私が全力で守るだけですけどね!」


提督「明石まで....」


ミューロック「み、皆....」


青葉「大丈夫ですよ」ポンッ...


強く彼女の肩に手を置く


青葉「能力は違えど青葉達とミューロックさんは同じ艦娘です、それに変わりはありません」 


青葉「胸を張っていきましょう!」


ミューロック「っ...!」


ミューロック「フフッ...そうね...」


ミューロック「何不安がってるのよ私!しっかりしなくちゃ!」


不安から一変、いつもの明るい笑顔に戻る


青葉「その調子ですよミューロックさん!」


提督「フッ...」(ほんと、人を鼓舞させるのがうまいな青葉は...)


提督「さてっ...そうとなれば...」ガタッ...


提督「明石、全員をグラウンドに集めてくれ」


明石「了解です!」ダッ!!


提督「さぁミューロック、準備はいいか?」


ミューロック「えぇもちろん、むしろワクワクしてるわ!」ニコッ...


提督「そうか...」


提督「よしっ行こう...」


ミューロック「えぇ...!!」



幻だった存在....本来はこの世にいることはなかった彼女...


だがこうして彼女は尊い犠牲を出しながらも、この世界を知り、生きる理由を掴んだ...



ミューロック (マコト...私は元気だよ...貴方が言ったように...私は私の意思で自由に生きることが出来てる...)


ミューロック (ありがとう...幻だった私に光をくれて...この世界を知るチャンスをくれて....)


ミューロック (貴方のこと...ずっと忘れない...)


衣笠「ミューロックさん?どうしたの?早く行かないと!」


ミューロック「あっごめんなさい、直ぐに行くわ!」ダッ!


彼女は歩き出す、新たな人生へと....


















番外編<某コラボ>


提督「えっ獅子丸大将の所に挨拶にいきたい!?」


いきなりの衝撃の提案に思わず席から立ち上がる


ミューロック「そうよ、まだちゃんとしたお礼も言えてなかったから...」


提督「いや...そういわれてもな...」


ミューロック「お願い!どうしてもお礼がしたいの!」


提督「....分かった」


ミューロック「本当!?」


提督「あぁ、あの人には色々お世話になったからな...」


提督「よしっ、後で湯原鎮守府に連絡しておくよ、お前がお礼したいってな」


ミューロック「ありがとう提督!」


歓喜を抑えきれず身体を少し上下に揺らし喜びを表現する


ー数日後ー


ミューロック「じゃあ提督、いってくるわね!」


提督「あぁ迷惑のないようにな」


ミューロック「分かってるって!」ガチャ!


提督「....」


提督 (あれっ...何か忘れてるような...)


...


彼から貰った偽物の証明書と湯原と往き来するほどの予算を貰い湯原へと向かう


ーバス内ー


ミューロック (....空気が美味しそうなとこね...)


[次は湯原~次は湯原~]


ミューロック「あっ...」


外の風景を眺めている内に目的別へと到達する


ミューロック「よしっ...」


彼と会うというほんの少しの緊張を深呼吸をしながら落ち着かせバックを持ち出口へと踏み出す


ー湯原ー


ミューロック「ここが湯原....」


岡山県湯原、湯原温泉や湯原ダムなど自然を名一杯に感じることが出来る場所は彼女のこれまでのストレスを安らげる効果があった


ミューロック (落ち着く...)


ミューロック (ってそんなこと考えてる場合じゃなかった...)


スマホのマップを開き目的地への道を示す


ミューロック「あっちか...よしっ...」 


ー湯原鎮守府前ー


ミューロック「ここね...でっか....」


ミューロック (やっぱりナンバー2がいる場所は違うわね...)


鎮守府の大きさに彼女なりの解釈を含め自分で納得させる    


ー門前ー


ミューロック ツカツカ...


憲兵1「あぁちょっと!」


ミューロック「えっ?」


門に入ろうとした瞬間慌てた兵士らしき二人が慌てて自分を止めに入る


憲兵2「ここは海軍が在住する鎮守府です、一般人は入ることは出来ません」


ミューロック「あぁ...」


ミューロック (それもそうか...でも...)


ミューロック「なら大丈夫、私は海軍関係者、そちらに連絡がいっているはずよ?」


憲兵1「えっ?いや...連絡なんてありませんでしたが...」


ミューロック「へっ?」


ミューロック「いやいやいや!!そんなはずないわよ!!そっちに連絡が言ってるはず!」


憲兵1「いえ...来てません」


ミューロック「どういうことよ!?何で!?」


憲兵1「ということなのでお引き取りを...」


ミューロック「ちょ待って!!ここまで来て戻れないわよ!」


憲兵2「お引き取りを...」


ミューロック「どうして!?獅子丸大将に会いたいだけなの!!」


憲兵1「と言われても...」


ミューロック「あぁ!どうすれば...」


憲兵1「っ!」スッ...


憲兵1「はい...はい...了解しました...」


憲兵2「えぇ只今獅子丸大将から連絡がありまして....通してよいとの許可が出ました」


ミューロック「えっそうなの?」


憲兵2「はい」


ミューロック「はぁ...良かった...」


ミューロック (ようやくね...)


憲兵に誘導され息を整えながら門を通る


ミューロック (おぉ...やっぱり広っ...)


艦娘の他にも自衛隊のような部隊が訓練をしている場面を目撃する


ミューロック (異質ね...)


そう感化しているその時


「ほぉ...これはこれは...」


ミューロック「っ!」


ミューロック「フッ...やっと会えた...」


ミューロック「久しぶりね...獅子丸大将...」


獅子丸「本当に久しぶりだなミューロック」


ミューロック「えぇ...」


大淀「提督?お知り合いですか?」


獅子丸「儂が大本営にいた頃少しな...」


ミューロック「っ...」


当然と言えばそうだが、見張り兵の他にもランニングをする隊員達、近くにいる艦娘などが全員自分を物珍しそうな目で見つめる


ミューロック (まだ知れ渡ってはないのね...)


獅子丸「あれからどうだ?」


ミューロック「えぇうまくやってるわよ、皆も良くしてくれるし、満足って感じ」


ミューロック「それに能力も少しばかりだけど慣れてきたわ」


獅子丸「そうか...なら少しばかりその力見せてもらおうかな」


ミューロック「...いいの?」


獅子丸「あぁもちろん」


ミューロック「そう....」


獅子丸「大淀、面白いことが起きるぞ」


大淀「えっ?」


大淀の他にも誰問わず彼女に注目する


ミューロック バッ...


ミューロック (彼から言ったのなら...いいわよね提督...)


サァァァ....


憲兵「何だあれ?砂...?」


大淀「砂が集まって...」


ザワザワ...


ミューロック サァァァ!!


右手に砂のようなモノが結集し長く鋭利なモノに変形していき...


大淀「え...えぇ!?」


中世の騎士が使うよな槍が完成する


獅子丸 (これは中々...)


艦娘「えっ何あれ!?」


艦娘「マジック!?」


憲兵「何だあれは...」


全員が先程起きた現象に驚愕し、唖然に近い状態となる


ミューロック「....」ダッ!


大淀「えっ!?」


一同「っ!?」


ミューロック ズバッ!!


獅子丸「っ...」


素早い動きで彼に近づき喉元に槍を向ける


憲兵「貴様何をしている!!」


近場にいた憲兵5~6名が彼女の頭部に銃を向ける


獅子丸「よせっ...銃を下げろ」


憲兵達「っ!」


彼の命令に従い全員が一斉に頭部に向けられた銃を下ろす


ミューロック「....お言葉ですが」


ミューロック「獅子丸大将、能力が見たい気持ちも分かりますが少し無用心では?」


煽りを含めた忠告を彼に放つ


獅子丸「中々の腕前 能力をしっかり使いこなしているな」


ミューロック「...そう、ありがとう」


獅子丸「だが...世界の広さをまだ知らない」


ミューロック「えっ?」


スパン...


ミューロック「へっ?」


先が真っ二つに切られた直後、六等分に彼女が作り出した槍が切り刻まれる


ミューロック「うっそ!?」


獅子丸「まぁ、これからが楽しみだな」


ミューロック (い、いつ切ったというの...)


余裕をこいた状況から一変彼の業に驚きを隠せない


ミューロック (やはり...強いわねこの人...)


サァァァ...


切り刻まれた砂の槍は形を液状化させ彼女の足元に集結し影に消える


ミューロック (まだ...成長が足りないわね...)


圧倒的な実力差を前にし自分の非力さを自覚しながらこれからの成長に決意を固める


その時...


「おい...待てよ...」


ミューロック「えっ?」クルッ...


ガシッ!


ミューロック「っ!」


ドスの効いた声に体を振り替えった途端、乱暴に胸ぐらを捕まれる


一同「っ!?」


大淀「ま、摩耶さん!?」


摩耶「てめぇ、あたしらの提督に手を出すなんていい度胸してるなぁ あぁ!」


ミューロック「ぐっ...!」


怒気をはらんだ声と共に腕に力が加わる


ミューロック「っ!」(この見た目...まさか湯原の...!)


大淀「ちょっと!? 摩耶さん!」


鳥海「摩耶やめて!」


高雄「やめなさい摩耶! こんなところで問題起こさないで!」


ミューロック「っ...!」


摩耶「けどよ!」


愛宕「高雄の言うとおりよ こんなことしたらただじゃすまないわ!」


摩耶「っ....」


姉妹からの必死の説得に若干力が緩む


獅子丸「摩耶やめろ 儂の客人だぞ」


摩耶「けど...こいつはさっき提督を!」


獅子丸「今なら目をつぶる すぐにやめなさい」


摩耶「....わかったよ」


彼の命令に従い遂に胸ぐらから手を放し解放する


ミューロック「....」


獅子丸「すまんな ミューロック」


ミューロック「いえ、大丈夫よ 手を出したのは事実ですし...」


寛容な態度を見せつつ、乱れた服装を片手で直す


高雄「妹がごめんなさい 私からも謝らせて...」


ミューロック「いえ大丈夫よ、私も失礼なことをした訳だし...」


ミューロック(...この見た目...やっぱり...)


獅子丸「摩耶 気持ちはわかるが押さえろ ”妹の前で失礼だろ”」


摩耶「妹? 鳥海ならここに...」


獅子丸「違う 目の前にいるだろ」


高雄型「えっ?」


何を言いたいのかを掴めず姉妹全員が彼に疑問の眼差しを向ける


獅子丸「鳥海 お前の妹だ」


鳥海「えっ?」


鳥海「いやあの...お言葉ですが私に妹なんていませんよ...?」


愛宕「そうよ!私達は四人姉妹で...」


獅子丸「あぁ四人だけだぞ...日本の記録上はな」


高雄「それはどう言うことですか?」


獅子丸「この娘は、アメリカで作られた高雄型五番艦”ミューロック”だ」


高雄型「えっ?」


獅子丸「つまりお前達とは”血の繋がりのない姉妹”だ」


高雄型「っ...」


高雄型「えっ...」


高雄型「えぇぇぇぇぇ!?」


数秒の沈黙の後、衝撃的な告白に一斉に動揺する


ミューロック「....そうよ」


ミューロック「私が高雄型五番艦ミューロック・マル...」


ミューロック「幻の艦娘とも言われてる」


鳥海「ま、幻...?」


ミューロック「初めまして、お姉さん方...」ニコッ...


摩耶「お、お前が...」


愛宕「私たちの妹...!?」


水本大佐「...思い出した そういえば、聞いたことがある」


水本大佐「理由はわからないが、アメリカ陸軍の対艦船用の標的艦として砂漠のど真ん中に建てられた木造の船 名前はミューロック・マル...」


水本大佐「確か、アメリカ海軍が入手していた高雄、愛宕の見取り図をモデルにして作られたと聞いたことがあります」


愛宕「わ、私達を...?」


水本大佐「はい、しかし資料がほぼなくまさに幻とも言われた艦...」


水本大佐「まさか艦娘として実在してたなんて...」


ミューロック「色々あってね...ここにいるってことよ」


水本大佐「い、色々....」


獅子丸「彼女は少し他の艦娘とは違い特殊な存在だ、だが他は普通の艦娘とは変わりはない」


鳥海「特殊?」


獅子丸「彼女は...」


ミューロック「海に触れることが出来ない...」


一同「えっ?」


獅子丸「そう、君たちが先程見たであろうあの砂...彼女の場合、海に触れるとこの砂が遮り触れることを許さない」


一同「なっ!?」


摩耶「海に触れられないだと...!?」


ミューロック「そうね...確かに私は海に触れることは出来ない、矛盾した艦娘なのよ...」


高雄型「っ....」


一同全員が彼女の告白に返す言葉が出来ず、下を向き黙り混む


獅子丸「皆、持ち場に戻ってくれ、これから色々案内しなくてはならないのでな」


憲兵「はっ!」


高雄「....分かりました...」


ゾロゾロ...


摩耶「...」クルッ...


ミューロック「っ?」


突然振り返りこちらに疑念の目を向ける


愛宕「摩耶ちゃん?どうしたの?」


摩耶「....いや」


獅子丸「よしっ...」


獅子丸「では行こうか、案内するぞ」


ミューロック「えぇ...」


何から何まで凄まじいかった

設備は最新式、巨大な演習場に、各舞台の訓練所、ガレージには自衛隊車両が数多く


ミューロック「すっご....」


ミューロック (これがナンバー2の鎮守府...か...)


その後も彼の説明をありながら湯原鎮守府の大半の情報を認識する


獅子丸「さてっ...ここら辺かな、次は執務室に案内しよう」


ー執務室ー


ミューロック「おぉ...」


ミューロック (ここも広...)


獅子丸「まぁ座ってくれ」


恐らく高級である年代物のソファーに恐る恐る彼のタイミングを見計らってゆっくりと座る


提督「さて、今日はなにかご用かな?」


ミューロック「その前に...」


獅子丸「っ?」


ミューロック「そっちに私が来るって連絡は来たかしら?」


獅子丸「いや、儂は聞いておらんが...」


ミューロック「...そう、分かった」


ミューロック (後でシバく...)


彼に悟られぬよう静かに怒りを燃やす


獅子丸「どうした?」


ミューロック「いえ、何でも...」


獅子丸「そうか…」


ミューロック「それよりも用件よね?」


獅子丸「あぁ」


深呼吸をし、姿勢を正して裏表のない真っ直ぐな目を向ける


獅子丸「っ....!」


ミューロック「獅子丸大将、あの時は本当にありがとう...貴方の協力が無かったら解決できなかったわ...」


獅子丸「...」


獅子丸「...あの時の事か...なぁに、儂は当たり前の事をやっただけだ お礼を言われることではない」


ミューロック「けど...貴方の力がなければ...」


獅子丸「気にしなくても良い、君達が無事で本当に良かった、今は幸せそうだしな、 君を見ていればわかる」


ミューロック「...そう」


ミューロック (どこまでも寛容的ね...)


改めて懐の大きさに感服をしていた所...


獅子丸「...ゴホッゴホッ...」


ミューロック「っ!ちょ!?」


突如彼が姿勢を崩し激しく咳き込む


ミューロック「ちょっと!大丈夫!?」


獅子丸「あぁ...儂も歳だからな、体調を崩しやすくなってしまった、若い時は健康が自慢だったんだがな...」


獅子丸「君のところの提督はまだまだ若いからな こういう心配は必要ないだろう」


ミューロック「...」


獅子丸「さて、君の提督も心配しているだろう、送っていこう」


ミューロック「...分かったわ...」


獅子丸「さっ送っていくぞ」


ミューロック「あっ...そうだ」


突如思い出し彼に質問を投げ掛ける


獅子丸「っ?どうした?」


ミューロック「ここら辺の海域に”イヤリングを付けた戦艦棲姫”を見たって話しはない?」


獅子丸「イヤリングを付けた? 聞いたことないな」


ミューロック「そう...」


獅子丸「何かあったのか?」


ミューロック「ううん こっちの話...」


ミューロック (やはり目撃情報はなしか...)


獅子丸「そ、そうか...」


ガチャ!


獅子丸・ミューロック「っ!」


突如、乱暴に執務室の扉が開く


大淀「提督!」


獅子丸「大淀何事だ?」


大淀「高雄さん達から救難要請です!」


獅子丸「要請だと...状況は?」


大淀「はい...帰還途中深海棲艦の群れに遭遇、応戦を開始しましたが、不意を突かれたため瑞鳳さんが中破と弥生ちゃんが大破 戦闘は今も継続中です...」


獅子丸「...わかった 救援の艦隊の編成を行う」


獅子丸「司令室に行く」


大淀「はい!」


ミューロック「wait!!」


獅子丸・大淀「っ!」


獅子丸「ミューロック...?」


ミューロック「...行かせて...」


獅子丸「えっ?」


ミューロック「私に行かせて!」


提督「何を言って...」


獅子丸「状況はかなり深刻だ、危険性が...」


ミューロック「だからこそよ!、危険性が高いなら直ぐに助けに行く!!」


獅子丸「っ!」


ミューロック「ほぉっておくことは私には出来ない...!少し自惚れることを言うけど...私ならやれる...!!」


獅子丸「...」


獅子丸「...何が起こってるかわからんぞ 覚悟はいいか?」


ミューロック「なきゃ、こんな事言ってないわよ!!」


ミューロック「それに...私は地獄を見た...これくらいで怯む私じゃない!!」


獅子丸「っ...!」


獅子丸「分かった...」


獅子丸「...大淀 直ぐに金剛、比叡、榛名、霧島、島風に出動要請 ミューロックはその五人と共に高雄達の救援に向かってくれ」


獅子丸「バックアップ基地航空隊を出す 基地航空隊に出動待機命令を出せ」


大淀「はい!」


獅子丸「準備はいいな?」


ミューロック「もちろん、寧ろ身体が少し鈍ってたからいい運動にもなるわ...」


-港-


先程のアナウンスで呼ばれた者達が手慣れたように艤装の点検を行う


獅子丸「...すまんな皆、非常事態なものでな」


金剛「せっかくティータイムの時間だったのに...テートク!責任とって貰うデス!」


獅子丸「そうだな...それではこれが終わったらティータイムの続きをしていても構わん」


金剛「テートクも一緒デスカ?」


獅子丸「四人が許してくれるならな」


金剛「Oh!yes!」


霧島「それで司令...状況は?」


獅子丸「あぁ、偵察UAVによると天候のせいか空母は確認されてないがル級、ネ級、リ級や、その他小型艦が多数確認された」


獅子丸「数で言えば...圧倒的劣勢だ」


榛名「劣勢...」


その言葉に全員が息を飲む


提督「さらに、うちの鎮守府にはいない艦娘も確認されている 恐らく、ドロップ艦いる...」


比叡「その娘達を守りながら戦っているってことですよね?」


獅子丸「そうだ、だから急いで行って欲しい」


島風「わかった!でもその前に...」


獅子丸「っ?」


島風「このお姉さん誰?」


目の前にいる見慣れない美女を指差し疑問を投げ掛ける


ミューロック「....」


ミューロック「えっ私?」


島風「お姉さん以外に誰がいるの!」


ミューロック「あぁ...それもそうね...」


獅子丸「彼女はミューロックという、ここの来訪者だ、どうしても同行したいと願い出たんだ」


榛名「つまり艦娘ということですか?」


獅子丸「そうだな、彼女も君達と同じ艦娘だ」


榛名 (ミューロック...そんな名前の人見たことも聞いたことも...)


艦娘ということに妥協はするものの、今まで見たことも聞いたこともない彼女に対する疑問は拭えなかった


霧島「そういえば、今日正門で揉め事があったと護衛官の方々から聞きましたけど...」


金剛「揉め事?」


霧島「はい、少しトラブルがあったと...」


榛名「その人の事ですか?」


ミューロック「まぁそうね...」


獅子丸「話しはここまでだ 出撃してくれ」


ミューロック「Stop」


一同「っ!」


ミューロック「獅子丸大将、提案があるんだけどいいかしら?」


獅子丸「提案?」


ミューロック「えぇ...海を渡るよりもショートカット出来る...」


獅子丸「何...」


サァァァ....


一同「なっ!?」 


榛名「こ、これは!?」


霧島「砂!?」


彼女の周辺に大量の砂が出現し時計周りに自身の体を囲む


ミューロック「"アンリアルアクティブ"」


獅子丸「っ!」


一同「うわっ!?」


比叡「ちょえっ!?」


金剛「これは何デース!?」


島風「おぉ凄い!!」


砂は彼女達の身体を容易に持ち上げまるでアラジンの絨毯のような状態となる


ミューロック「さぁ...準備は?Are you ready?」


霧島「えっ準備って...」


ミューロック「しっかり捕まっててよ!!」


一同「ぐわっ!?」


突如、砂が動きだし凄まじい速度で加速を始める


比叡「ちょ!?振り落とされる!?」


島風「凄い!速いー!!」


....


獅子丸「.....」


獅子丸 (全く...)


獅子丸 (どこまでも例外で...未知数だな...)


-XX海域-


日が落ち始め夕焼けが美しく照らす光景に似合わずそこでは血塗られた死闘が繰り広げられていた


イ級「グギャァァァ!!!」


摩耶「っ!てめぇ... どきやがれ!」


負傷した仲間を必死に庇いながら敵の猛攻を防ぎ切る


瑞鳳「弥生ちゃんしっかりして!」


弥生「ぐっ....!」


天龍「ドロップしていきなり戦闘かよ!!」


龍田「くっ...」(艤装がないせいで十分に戦えない...!)


だが防戦一方の展開はいつまでも続かず次第に押され始めてる


鳥海「っ!摩耶後ろ!!」


摩耶「えっ?」


摩耶「あっ...」


リ級「堕チロ...!!」


摩耶 (まずい!回避が!!)


直撃を覚悟し身構えたその時...


リ級「.....ハッ....?」


摩耶「.....っ?...」


摩耶「っ!?これは....」


彼女の前に突如砂の壁が出現し、間一髪の所で砂を絡めつかせ直撃を防ぐ


リ級「ナ...何ダコレハ!?」


摩耶「砂....だと...?」


ミューロック「I finally found it!」


鳥海「っ!この声は...」


一同が流暢な英語を発する少女へと視線を向ける


一同「っ!?」


高雄「なっ!?」


愛宕「あ、あれは!?」


彼女は艤装をつけ海を渡る....訳ではなく砂のようなモノを踏み台にし高速でこちらに迫ってくるという異質かつ前代未聞な光景に敵味方問わずあ然を隠せない


ミューロック「ずいぶんとやってくれてるわね...!」


リ級「アレハ...」(何ダアイツ...アンナノ聞イタコトガ!?)


ミューロック「よっと...」スタッ...


金剛姉妹「っ!」


島風「おぉ!」


彼女らの身体をサポートしながら全員が決戦地に足をつける


ミューロック「金剛!」


金剛「っ!」


ミューロック「貴女達姉妹で負傷者の手当てと安全圏への脱出」


ミューロック「島風はイ級クラスの雑魚を引き付けて、自慢の足でね」


霧島「あ、貴女は?」


ミューロック「一人で片付ける」


金剛姉妹「っ!?」


比叡「な、何を言って!?」


金剛「いくら何でも一人で行くのは無謀デース!私たちがサポートに!!」


ミューロック「do not worry....」


金剛「っ!」


余裕を持った笑みで彼女達の必死の説得をあしらう  


ミューロック「これくらい慣れてる、心配しないで」


ミューロック (あの戦艦棲姫に比べれば...)


ミューロック「それよりも早く負傷者達を、犠牲者を増やさないで」


榛名「で、でも...」


金剛「...分かりましタ...」


金剛「比叡!榛名!霧島!全員で負傷者を安全圏に移動させマス!」


金剛「....ミューロック...本当にいいんですカ...?」


ミューロック「もちろん、強がってこんなこと言わないわ」


金剛「....武運を...!!」


激励の言葉をかけ彼女達は負傷者を連れ安全圏に移動を始める


ミューロック「....」


ミューロック「さてっ...」


首を鳴らしながら軽く体を動かす


ミューロック「やるか...」


リ級「クソガ...」


ル級F ガコン...


彼女に目もくれず撤退を始める彼女に砲台を向ける


ミューロック「あらっ、無視?」


ル級F「ッ!?」


ミューロック「私を無視できるほどの存在かしら?貴女は」


知らぬ内に彼女の後スレスレまで近づき、挑発的な言動を放つ


ル級F「チッ!!」


咄嗟に距離を取り直ぐ様攻撃を行う


ミューロック ザシュ....


ル級F「ッ!?」


だがいとも容易く砂に絡められ攻撃を無力化去れる


ル級F (ナンダ...何故砲弾ヲ!?)


ミューロック「さてっ...もう終わりかしら?」


ミューロック「ならいかせてもらうよ...Ready ?」


ズバァァァァァン!!


ル級F「ッ!?」


周りに六本の柱が出来コロシアムのように壁が作られ彼女を閉じ込め


ル級F「ナ、ナンダコレハ!?」


ミューロック「"デザートウォール"」


ル級F「ッ!!」


....


摩耶「っ....!!」


鳥海「摩耶?」


摩耶「あ、あれ...」


一同「っ?」


一同「!?」


少し遠くからでも分かるほどの巨大な砂の壁を彼女ミューロックが自在に操っている光景に目を離せない


榛名「あ、あれは!?」


愛宕「何が始まるの!?」


鳥海(というかなんで海上で砂の壁なんて出来るの!?)


....


ル級F「グッ!?何故壊レナイ!?」


出来る限りの手段を使いどうにか砂の壁から脱出しようとするが体力を無駄に使うだけの意味なき行動であった


ミューロック サァァァ...


ミューロック「finish....」


ミューロック「ハァァァァァァ!!」ドグォォン!!


ル級F「ッ!?」


ル級F「ナ、ナンダ!?」


ドグォォン!! ドグォォン!!


ル級F「グフッ!?ガッ!?」


彼女から放たれた無数の弾丸は四方八方から彼女の身体を抉っていく


ドグォォォン!!ドグォォォン!!ドグォォォン!!


ル級F「ブハッ!?グァァァァァァ!!!」


ル級F「ガハッ...!」


ル級F「ナ、ナゼ...コンナ力...ガ...」


怒濤の攻撃を食らい続け凄まじい断末魔と共に彼女は海の藻屑となり消える


リ級「ナッ...!?」


ミューロック ザッ...


リ級「ッ!!」


ミューロック「まだやる?」


リ級「....チッ...!!」


畏怖と苛立ちの感情が混じったやるせない感情を押し殺し彼女達は敢え無く撤退をする


ミューロック「....」


....


榛名「ル級F...沈黙...」


霧島「敵艦隊...ひ、引き上げていきます...」


瑞鳳「えっ...終わったの?」


高雄「そう...みたいね...」


愛宕「嘘でしょ....まだ一分も!?」


大艦隊をわずか一分ほどで蹴散らし全員を撤退させた完全なる勝利に全員が驚愕の反応を見せる


摩耶「....」


鳥海「....摩耶」


摩耶「えっ....?」


鳥海「あの時...やりすぎなくて良かったわね...」


摩耶「...勘弁してくれ...」


圧倒的な力を目の当たりにし、先程のいざこざに激しい恐怖心を覚える


...


ミューロック「Game over....」


-湯原鎮守府-


榎本軍曹「....そうですか....分かりました」


榎本軍曹「こちらの勝利で戦闘終了だと...」


黒田曹長「なっ!?まだ数分しか...」


榎本軍曹「どうやら例の彼女が大活躍だったらしい、指示をおかげもあって、全員が無事帰投だとのことです」


黒田曹長「そうか....」


榎本軍曹「もしもの時の為に準備していましたが...不必要だったみたいですね」


黒田曹長「まぁそれが一番だろ」


榎本軍曹「それもそうですね」


彼女達の無事を確認しながら武装していたモノを取り外しし始める


黒田曹長「さぁて...一件落着だし一服でも...」


パシャ...


黒田曹長「ん?」


榎本軍曹「っ?どうしました?」


約一キロ先から不自然な発光が起きたのを確認する


黒田曹長「...」


黒田曹長『プレデター(UAV) こちらホークアイ』


UAVパイロット『こちらプレデター どうぞ』


黒田曹長『不審な光を見た 場所は港から約一キロから一.五キロ程 偵察を頼む』


UAVパイロット『了解 これより、付近上空から偵察する』


黒田曹長「....」


榎本軍曹「黒田曹長?」


黒田曹長「....不自然な光がしてな...もしかすると誰かが...」


榎本軍曹「湯原にですか?まさか、この警備態勢で入り込むなんて...」


....


?「これいい...おっこれもよく撮れてる...」


日差しが当たる屋上にあぐらをかきながら、気分上々に自ら撮った写真を褒め称える


?「デザートウォール....中々ユーモアある技術ね....」


?「これは"王"にいい報告が出来そう♪」


?「....ん?」


....


パイロット『こちらプレデター 付近を飛行したが特に怪しい者はない』


黒田曹長『...了解 ありがとう』


黒田曹長(気のせいか....いやまさかな...)


...


?「ふぅ...危ない危ない...」


? (写真に気を取られ過ぎてやらかすとこだった...)


? (まっバレても問題はないけど....)


?「フフッ♪」


撮った写真から最も彼女が美しく撮られている写真を見ながら不適かつ上機嫌を表す笑みを浮かべる


?「ミューロック・マル....いいねぇ...最高だよ♪」


...


ミューロック「っ!!」


ミューロック「.....」


ミューロック (何....今の...)


-執務室-


獅子丸「....弥生と瑞鳳は直ぐに入渠した もう心配はない」


ミューロック「....」


獅子丸「ミューロック?」


ミューロック「えっ?あっごめんなさい少し考え事を....それよりも皆が無事で良かったわ」


獅子丸「そうだな...それに今回はお前に助けられた」


獅子丸「今度は儂がお礼を言わないとな」


獅子丸「娘達を救ってくれてありがとう 感謝する」


ミューロック「っ....」


ミューロック「.....受け止めておく、でもお礼を言われる事のほどはしていない、それに彼女達が的確に動いてたから私は自由に戦えた、感謝されるべきなのは追い詰められても冷静さを失わずに動いていた彼女達よ」


獅子丸「フッ...寛大だな」


ミューロック「あなたがそれを言う?」


お互いに称賛の軽口を叩き合い、二人を包んでいる空気は和やかで暖かった


-沖堤防前ー


ミューロック「それじゃ...そろそろお別れね」


獅子丸「折角の往復券を使わなくて良いのか?」


ミューロック「いいわ、海の上にいたい気分なの、寧ろ海で進んだ方が早いしね」


本来であれば彼が用意したチケットで帰る予定だったが気が変わり戦場に出た時と同じように砂を使って帰路することを選択した


獅子丸「そうか...元気でな」


ミューロック「そっちこそ、では...」


?「待って!」


獅子丸・ミューロック「っ?」


高雄「待って...!!」


獅子丸「っ!お前ら...」


帰ろうと砂を加速させようした瞬間、彼女の...血の繋がらない姉達四人に呼び止められる


高雄型「...」


高雄「提督...申し訳ありませんが、彼女とお話をしたいのですが...」


獅子丸「ミューロックとか?」


鳥海「はい、お願いします!」


摩耶「私からもよろしく頼む!」


獅子丸「....」


獅子丸「いいかミューロック?」


ミューロック「えっ?あ、あぁ別にいいけど...」


獅子丸「....だそうだ」


愛宕「ありがとう....」


高雄「じゃあ...ちょっとこっちに来てくれないかしら?」


ミューロック「っ?」


....


ミューロック (何...?)


高雄「えっと...ミューロック...さん?」


ミューロック「えっ?あぁ...別に呼び捨てでもいいわよ、妹なんだし....」


高雄「そう...じゃあミューロック」


愛宕「こっちへ来てくれない?」


ミューロック「っ?」


ギュゥ...


ミューロック「うぉっ!?」


不振がりながら近づいた途端、唐突に抱擁され、二人の豊満な身体を全身に感じる


高雄「私達と貴女は繋がりはない...けど同じ意思を感じる...貴女も私達の誇るべき一人の姉妹よ...」


愛宕「甘えたくなったらいつでもおいで...」


ミューロック「....」


ミューロック「フッ....」


ミューロック「そう...分かった」


微笑と共にゆっくりと彼女から離れる


ミューロック「何かあったら...相談させてもらうわ、お姉さん達」ニコッ...


高雄「ミューロック....」


摩耶「あぁ....ちょっと私からもいいか?」


ミューロック「っ!貴女は...」


申し訳なさそうに弱腰の声で彼女に話を持ち掛ける


摩耶「その...悪かったな、急に喧嘩吹っ掛けて...」


摩耶「つい頭よりも身体が動いちまってな...本当にすまない...」


ミューロック「フフッ...別に何とも思ってないわ、私もあれは悪いし」


摩耶「ミ、ミューロック...」


ミューロック「だからほら、ここで仲直り!水に流しましょ」


摩耶「...そうだな」


彼女の寛大な対応に安心し、自然と笑みが溢れる


摩耶「じゃあこれからよろしくな!もし何かあったらまたここに来いよ!!」


ミューロック「of course、また会いましょ...」


摩耶「約束だぞ!」


ミューロック「っ?」


摩耶「グータッチだよ、ほらっ!」


ミューロック「フッ...えぇ!」


蟠りを消し二人は硬い絆を育む誓いをする


鳥海「えっと...こっちもいいかしら?」


鳥海「ミューロック...貴女に会えて良かった...また会う時も仲良くしてくれる...?」


ミューロック「当然...仲良くするのに何も問題なんてないわ」


鳥海「....一つお願い聞いて貰っていい?」


ミューロック「ん?お願い?」


鳥海「”お姉ちゃん”って呼んで貰っていい?」


ミューロック「お姉ちゃん?」


鳥海「私ってずっと末っ子だったからお姉ちゃんって呼ばれる瞬間がなくて...お願い...出来るかしら...?」


ミューロック「....」


鳥海「あっ...嫌なら言わなくても...」


ミューロック「いいよ」


鳥海「えっいいの!?」


ミューロック「もちろん♪、鳥海お姉ちゃん♪」


鳥海「っ...!!」ドキッ...


鳥海 (こ、これがお姉ちゃん...!!)


摩耶「ち、鳥海...?」


鳥海「はっ!」


鳥海「ゴホン...あ、ありがとう!ミューロック!」


ミューロック「別に礼を言われることなんてないわ、だって姉妹じゃない」


ミューロック「また会う時があったら色々よろしくね、お姉さん達」ニコッ...


....


ミューロック「じゃ、今度こそ...また会いましょう!」


摩耶「元気にやれよー!!」


獅子丸「フッ...」


獅子丸 (どこまでも可能性に満ち...面白い娘だったな....)


獅子丸 (ミューロック...)


??『本当に面白い娘ですよねぇ』


獅子丸「っ!!」


獅子丸「っ....」


背後から聞き覚えのない声を察知し、咄嗟に振り替えるが既にその声の主は姿を消していた


鳥海「司令官さん?」


獅子丸「....いや、何でもない」


獅子丸 (何だ...今のは...)


ーXX海域ー


ミューロック (フフッ...楽しかったな...)


鼻歌を混じらせながら上機嫌に海をステップするように歩く


ミューロック (あの人に育てられてるだけあって皆良い人達....捨てたもんじゃないわね...)


ミューロック (...また逢いに行こうかな...)


....


湯原を去って一時間ほど経ち、彼女がいる青海まであと半分という場所まで来ていた


ミューロック (さてっ...提督も心配してそうだし、速力上げて帰りますか...)


Agjgjgkgmp6pwpdw....


ミューロック「っ!?」


日が暮れ始め、更に加速しようとした瞬間、本能的に得体のしれない殺気を全身に感じとる


ミューロック(なに...殺気...?)


サァァァ...


ミューロック「っ!」


ミューロック (鳴いてる....?)


感じ取った殺気に反応するように砂が彼女の意向を無視し突如として鳴き始める


ミューロック「何が...」


....


サァァァ...


ミューロック「こっちか...」


ミューロック「.....えっ?」


ミューロック「なっ!?」


彼女の目に映ったのは全身を切り裂かれ、原型を止めていない深海棲艦の凄惨な死体だった


ミューロック「ぐっ...!!」


吐き気を促す匂いと、見るに耐えない光景はまるで地獄を現しているような様であった


ミューロック (何なの...これは...!?)


ミューロック「っ!」


再び先程の殺気を感じ、咄嗟に振り替えった際に移った光景は


仮面「....」


ミューロック (か...仮面....?)


ミューロック (何持ってるの....)


仮面「愚かな...」


ミューロック「っ!?」


目を凝視すると、右手に深海棲艦の首を鷲掴みにし、顔面を握り潰すという気が狂ってもおかしくない場面を目撃する


ミューロック「嘘でしょ...!?」


仮面「...」バッ...


ミューロック「ちょ!まっ!!」


その場を去ろうとする仮面の男を呼び止めようと声を上げるが、既に遅く一瞬の内に奴は姿を消した


ミューロック (消えた....)


ミューロック「あ、あれは....」


??「仮面という集団ですよ」


ミューロック「っ!」


ミューロック (なっ!?いつ背後に...!?)


仮面とは違い、何も気配を感じることが出来ずに容易に背後を取られる


ミューロック「誰....貴方は!?」


彼女よりも深くフードを被っており、また日が暗くなっていた為、女性的な声という特徴しか掴めない


??「....まだ言う時ではありません、来るべき時が来たらお教えしますよ、ミューロック・マル」


ミューロック「っ!」


??「それよりもまず...少し警戒していてください、彼は仮面、艦娘、深海棲艦問わずテロ行為を繰り返す、極秘かつ少々危険なグループの一人です」


ミューロック「テ、テロ!?」


??「そう、まぁ貴女にはそこまで関係はありませんが...」


??「でも念のためです、一応気をつけておいてください、貴女に危害を加えられるのは少しばかり厄介なので」


ミューロック「ちょ、ちょっと待って!!」


??「っ?何ですか?」


ミューロック「聞きたいことは色々あるけど...まず何で私の名前を知っているの!?それに極秘の情報も何故...」


??「申し訳ありませんが、まだそれは貴女にお伝えすることは出来ません」


??「けど近いうちに伝えるかもしれませんね....」


ミューロック「なっ...!」


肯定でもなく否定でもないどっち付かずの返答に多少の苛立ちを覚える


ミューロック「貴女...!!」


??「あぁ待ってください、別に私は敵ではありません、同じ艦娘ですしね」


ミューロック「えっ...?」


ミューロック「艦...娘...!?」


??「もちろん、貴女と同じ」


臨戦体勢を取った彼女に対し、落ち着いた様子で彼女を自身のカミングアウトを添えて嗜めさせる


ミューロック「あ、貴女一体....」


??「フッ....」


??「それは...近い未来訪れるアポカリプスの時にお伝えしますよ」


ミューロック「ア、アポカリプス...?」


??「そう、全世界終末への扉です」


ミューロック「終末...?」


??「その日までは...しばしのお別れです」


??「また会いましょう....アポカリプス...Xデーでの日に...」


ミューロック「っ!待ちなさい!!」


カチッ...


ミューロック「ぐわっ!?」 


ミューロック「っ!!」


引き留めようとした瞬間、目がくらむほどの一瞬の閃光は彼女が消えるまでには十分なほどの時間であった 


ミューロック「....」


....


(また会いましょう....アポカリプス...Xデーでの日に...)


....


ミューロック「Xデー....」


ミューロック (一体何が起きているというの...この世界に...)


To a new story....

















3月下旬...ミューロックⅡ始動....



後書き

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このSSへの評価

15件評価されています


3代目SLKさんから
2022-12-12 19:40:43

スリの銀次さんから
2021-05-14 07:47:14

あだっちさんから
2021-02-23 17:44:45

SS好きの名無しさんから
2021-02-09 10:13:42

SS好きの名無しさんから
2021-02-06 20:41:50

seiさんから
2021-01-26 22:48:55

SS好きの名無しさんから
2021-01-24 10:26:44

セロリさんから
2021-01-11 21:41:42

多聞丸さんから
2020-12-28 23:33:22

蒼天さんから
2020-12-23 21:36:43

昌一さんから
2020-12-20 20:42:33

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S.L.KⅡさんから
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たぴおさんさんから
2020-12-19 11:09:16

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3代目SLKさんから
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SS好きの名無しさんから
2021-02-09 10:06:29

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SS好きの名無しさんから
2021-01-24 10:26:29

多聞丸さんから
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昌一さんから
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S.L.KⅡさんから
2020-12-19 14:55:30

たぴおさんさんから
2020-12-19 11:09:17

Right さんから
2020-12-19 09:24:47

このSSへのコメント

13件コメントされています

1: 蒼天 2020-12-23 21:37:08 ID: S:TImjml

どう持って行くのかが非常に楽しみです。

2: 嵐山 2020-12-23 22:53:14 ID: S:tomz5x

蒼天さん、コメントありがとうございます!
ご期待にそえるよう頑張っていきます

3: S.L.KⅡ 2020-12-24 19:21:25 ID: S:umGvOB

ワクワクが止まりませんなワクワク
頑張ってくださいね!( ´∀`)bグッ!

4: 嵐山 2020-12-24 19:25:53 ID: S:93BIL8

S.L.K Ⅱさんコメントありがとうごさいます!
それを励みに頑張ります!

5: S.L.KⅡ 2020-12-25 20:15:31 ID: S:NNQAfX

砂の謎が気になってしょうがない(笑)

6: 嵐山 2020-12-26 00:44:40 ID: S:UTRffe

S.L.K Ⅱさんコメントありがとうございます!
砂の謎はこれから解明されていくのでご期待ください

7: SS好きの名無しさん 2020-12-28 01:14:49 ID: S:ALhKzg

獅子丸大将?コラボですか?

8: 嵐山 2020-12-28 01:37:02 ID: S:Ukn1oa

7さん、コメントありがとうございます
そうですね、この作品は多聞丸さんとK,Eさんとのコラボ作品でもあります
こちらで前々から話をしていて三人の世界線を共通にしようという事が決まり、今回は三人の世界線が同じだと言うことを示す為にK,Eさんから許可を貰い断片的なコラボSSとなっています

9: S.L.KⅡ 2021-01-01 01:10:58 ID: S:Bdj0dl

特別ルート...ワクワク

10: sei 2021-01-26 22:48:44 ID: S:f6Pit-

礼二というやつはどうしようもないな。死刑でも生温い。

よってハッピーランド送りだ。

11: 嵐山 2021-01-26 23:12:46 ID: S:_GVAnB

Seiさん、コメントありがとうございます
そうですね、礼二というクズはかなり厳しい罰を与える予定です、恐らく死刑よりもえぐいと思います

12: たぴおさん 2021-01-31 23:02:30 ID: S:P5ffMZ

強引と思うかもしれないけど、過去を乗り越えて次へと向かっていく。第一部の完結のさせかたとしては正直言って完璧です。名作といっても差し支えないでしょう、第二部期待してます

13: 【二航戦】佐藤一飛曹 2021-05-19 13:14:45 ID: S:19SihX

しおり挟んだ辺りまでですが…

ミューロックの記憶について、青葉が質問するシーン。

写真とか見せたなら「見覚え」でもいかもですが、言葉で質問しているようなので「聞き覚え」の方がしっくりくるのかなと。

あと、地下通路でのカーチェイスシーン後の何気ない一言

「嘘をつかれた」

と言うセリフ。

間違っちゃいないんだけど、

「誘導された」「罠だった」

とかにすればもっとあのシーンの深みが増すのかなと。

稚拙乱文なうえに、粗探しのようなコメント申し訳ありません。


このSSへのオススメ

2件オススメされています

1: S.L.KⅡ 2020-12-24 19:22:00 ID: S:uvZcin

オラぁワァーックワクすっぞ!
この物語はワクワクいっぱいです。

2: SS好きの名無しさん 2020-12-27 11:24:16 ID: S:X3WJKa

期待しています!


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