2021-05-18 20:17:57 更新

概要

ミューロック事件から数日...ようやく前に進みだした彼女の物語
だがそれは更なる波乱の幕開けでもあった


前書き

ミューロックの正当続編です
前作を見なくてもそこまで支障はありませんが前作を御覧になるほうが話が分かりやすくなると思います
相変わらず駄文ですがもし興味を持ってくれたなら見ていただけると幸いです
※また前作と同じくミューロックⅡでもK,Eさんの作品や多聞丸さんの作品とシンクロする場面があります


chapter0 ??



「はい...はい、数日以内にはコンタクトを取るつもりです」


『抜カリハナイナ...』


「えぇもちろん、常に最悪を考えて適切なプランを立てていますよ」


『頼ンダゾ...デュピュイ・ド・ローム』


ローム「仰せのままに、王...」ピッ...


ローム「ん~....」


美しい光景が広がる東京を見据えながらゆっくりと伸びを始める


ローム「はぁっ...」


ローム「さてっ...見つけますか...」


ローム「待っててくださいよ...ミューロック...」





chapterⅠ New meeting





2021 ー4月12日青海鎮守府ー


冬の終わりを告げるように心地よい潮風が鎮守府に吹いていた


ー講義室裏ー 


ミューロック「ふぅ...」


多少ある緊張を抑える為に少し乱れたネクタイを綺麗に締める


青葉「ミュ~ロックさん!」


ミューロック「うおっ!?」


唐突なバックハグにせっかく締めていたネクタイが再び乱れる


ミューロック「あ、青葉....」


青葉「どうしたんですか~そんな緊張しちゃって!ほらっリラックスリラックス!」


ミューロック「そ、そうね...」


ミューロック (と言っても...私を受け入れてくれるか...)


青葉「私を受け入れてくれるか心配...なんて思ってます?」


ミューロック「っ!」


青葉「フフッ...大丈夫ですよ、こんな美人さんを蔑ろにする人なんていませんから!」


ミューロック「それ...根拠になってる...?」


青葉「はい!もちろん!」


ミューロック「っ...」


ミューロック「...フフッ...」


理論で考えることが多い彼女が、らしくない暴論をぶつけることに呆れを感じたが、同時に強ばっていた感情が柔らかくなり始め彼女から笑みが溢れる


ミューロック「そうね...シャキっとしないと!」


ー大講義室ー


「ねぇこれって何の集まり?」


「大規模任務とか...」


「いやそれはないでしょ、大本営から何も言われてないし」


「じゃあ何?」


「さぁ...」


先程提督の放送によって呼び集められた艦娘達が疑問を解消する為に様々な考察をぶつけ合う


摩耶「全く...提督も急に何なんだよ、全員をここに集合って...」 


鳥海「まぁ何かあるのよ、多分...」


摩耶「嫌な話じゃなければいいがな...」


愛宕「高雄、何か聞いてる?」


高雄「いえ何も...」


大淀「皆さん静かにしてください!これから臨時集会を始めます!」


艦娘達「っ!」


アナウンスに応じるように個々に話していた面々は服を正し姿勢を整える


大淀「では提督...」


提督「あぁ...」


提督「皆、オフの時間を奪ってしまい申し訳ない、ただ少しだけどうしても伝えたいことがあって全員を集めた」


長門「伝えたいこと?」


提督「あぁ、艦娘の着任だ」


提督「それも...大本営からも発表されていない極秘の新しい艦娘のな...」


艦娘達「っ!?」


「えっ艦娘!?」


「一体誰なの!?大本営からも発表されてないって...」  


大淀「皆さん静かに!」


彼の衝撃の発言に数々のどよめきが広がる雰囲気を鶴の一声のように一蹴する


提督「その娘は色々事情があってな...大本営からのアナウンスも出来ない状況だ、なんせこの世に一人しかいない存在だからな」


艦娘達「っ!?」


摩耶「一人...!?」


赤城「ちょ、ちょっと提督!」


赤城「一人というのは一体...」


加賀「そうです、私達艦娘は量産されています、一人なんて聞いたことが...」


提督「あぁだから大本営もアナウンス出来ないんだ、設計図も既に焼失してしまい...」


吹雪「焼失...?」


提督「これから先は余り伝えられないが...まぁとりあえず紹介したいと思う」


提督「入ってきてくれ」 


ガチャ...


艦娘達「っ...!」


高雄型「っ!」


コツコツ...


後ろの扉が開き一人の少女が壇上へと歩き出す


「な、何あれ...」


「綺麗...」


摩耶「あれは...」


愛宕「美しい娘ね...」


卓越した容姿と結晶のような美しい髪をたなびかせながら歩く彼女に全員が目を奪われる


コツコツ...


提督「...いけるか...」


「もちろん...」


最後の確認の後、彼からマイクを渡され壇上へと上がる


「Hello everyone...」


「初めまして...私の名前は...」


ミューロック「ミューロック・マル」


ミューロック「ミューロックと呼んで、これからよろしくね」ニコッ...


艦娘達 ザワザワ...


「ミューロック・マル...?」


「そんな名前の艦いたっけ...」


ミューロック「あぁ...多分ここにいる大半が知らないと思う、なんせ幻の艦と言われるほどだからね」


龍驤「幻やて...?」


ミューロック「私はアメリカの砂漠で育ち、一度も海に触れることなく役目を終えた...まさに矛盾した艦娘よ」


神通「さ、砂漠...!?」


ミューロック「そう、そしてその証拠として...私は海に触れることが出来ない、こいつのせいでね...」


サァァァ...


彼女の発言と同時に辺りに砂が生成され始める


艦娘達「!?」


ミューロック「貴女達にも見えるはず...生まれた時からずっと付きまとわれていてね」


ミューロック「この『砂』これが私の能力、私はこれを使って戦う」


ミューロック「その代わり海に触れることが出来ない、まぁ...一言で言えば面倒な艦娘ってこと...」


艦娘達「っ...」


ミューロック「あぁえっと...よろしくね...」


艦娘達「.....」


ミューロック「...」


ミューロック (やっぱり...異端児扱いよね...)


沈黙が支配する世界に諦めの感情を持ち始める


艦娘達 ワァァァ!!


ミューロック「っ!?」


だがその感情は歓声と共に彼方へと追いやられた


「凄い!どうやって今のやったの!?」


「魔法みたい!」


なだれ込むようにその場にいた、特に駆逐艦などが彼女に近づき好意的な興味を示す


ミューロック「えっちょ...」


大淀「ちょ、ちょっと皆さん落ち着いて!ミューロックさんが困ってますよ!」


衣笠「...やっぱりうまく言ったわね」


青葉「うん...まっ分かりきってたことだけど」


ひと騒ぎの後、ようやく興奮していた者が落ち着きを取り戻し始める


大淀「ふぅ...ようやく収まった...」


長門「大淀、少しいいか?」


大淀「えっ?あっはい」


長門「ミューロック...と言ったな」


長門「ようこそ青海鎮守府へ、何があったのかは知らないが...だがお前も私達と同じ艦娘だ、これからよろしく頼む」


ミューロック「っ...」


ミューロック「...えぇ、よろしく...!」


差し出された彼女の手に嘘偽りはない、真っ直ぐな心を彼女は感じる


長門「さてっ...そういえばなんだが...」


ミューロック「っ?」


長門「ミューロック、お前に姉妹艦などはいるのか?すまないアメリカの事はそこまで詳しくなくてな....」


サラトガ「フレッチャーもしかして貴女の姉妹?」


フレッチャー「いえ...私の妹達は170隻いますけど、ミューロックなんて名前の娘は...」


ミューロック「あぁ...えっと...そこにはいないわ」


ミューロック「何だって...私は高雄型の5番艦だから」


艦娘達「えっ....!?」


高雄型「っ!?」


高雄「た...高雄型...!?」


鳥海「ちょ、ちょっと待ってください!私達は四人のはずじゃ...」


提督「あぁ確かに四人だ、日本の記録ではな」


提督「本当はもう一人いたんだ、アメリカで高雄型の設計図を元に作られたいわば血の繋がらない姉妹が...」


摩耶「そ、それが...」


愛宕「あの娘...?」


ミューロック「....そう、私は...貴女達と同じ、けど少し違う、五人目の姉妹...」


ミューロック「それが私よ」


高雄型「っ....」


提督「まぁとりあえず皆、今日の夜ミューロックの歓迎会を行う、各自準備を頼む」


艦娘達「はい!」


提督「よしっ...皆解散」


「ねぇねぇミューロックさん!一緒に写真撮りませんか!?」


「砂の力教えて!!」


彼の解散の合図と共に再び彼女の周りには人だかりが出来、あらゆる方向から呼び止められる


衣笠「人気だねミューロックさん.」


青葉「うん...一部を抜いては...」


衣笠「っ?」


高雄型「.....」


衣笠「あっ...」


素直に喜べず、しかし拒絶してる訳でもない困惑した表情を浮かべていた


青葉「無理もないけどね、自分達とは外見がまるで違う者がいきなり五人目の姉妹として現れるんだから、理解するのも簡単じゃない」


青葉 (うまく進めばいいてすが...)


ミューロック「.....」


人だかりを自然にどけ困惑する彼女達へと近づく


高雄型「っ!」


ミューロック「....まだ姉妹として受け入れられない気持ちも分かる」


ミューロック「今すぐに受け入れて欲しいとは思わない、けど...私はれっきとした貴女達の姉妹、血が繋がらなくても...」


ミューロック「だから...いつかは姉妹として受け入れてくれることを願ってる」


ミューロック「それだけは覚えておいて、それじゃ...」


愛宕「あっまっ....」


愛宕「.....」


....


ー都内ビル屋上ー


ローム「仮面...獅子丸...月...小川...幸光....」


数々の写真を満足そうに見つめながら独り言を呪文のように呟く


ローム (ずいぶんと荒れてますね)


ローム (この世界の海軍は...)


ローム (まぁ...人間ごときのお遊戯に過ぎないが...)


Dgjgjgdmg.....


ローム「早く見つけてあげないとね...姫様...」


.....


ー工房ー


(今すぐに受け入れて欲しいとは思わない、けど...私はれっきとした貴女達の姉妹、血が繋がらなくても...)


(だから...いつかは姉妹として受け入れてくれることを願ってる)


....


ミューロック (とは言ったけど...あの人達が受け入れてくれるか...)


「さん...?ミューロックさん?」


ミューロック「えっ?」


明石「どうしました?さっきからぼぉっとして...」


ミューロック「えっあっいや...何でもないわ、少し眠くて...」


明石「そうですか...」


明石「あっ!それよりも...」


明石「ミューロックさん...出来たんですよ貴女専用の艤装が!」


ミューロック「えっ本当!?」


明石「これです!」


近くにあった大きめの白い袋を豪快に取る


ミューロック「こ、これは...」


明石「専用高機動艤装ヘリオポリス:セト装備...」


明石「これが...ミューロックさん貴女だけの艤装です」


明石「防御面は砂の能力を考慮し削り軽量化そして脚部には電磁加速補助装置...」


明石「砲弾は小さい穴を開けることによって砂の能力との接触を避けることに成功」


明石「まだまだ改良点はありますが....しかし私の中でもかなりの傑作です!」


ミューロック「これが...」


ミューロック「...ありがとう明石、これがあれば...私はまた強くなれる...!!」


....


高雄「.....」


愛宕「...ねぇ」 


愛宕「本当に...あの娘が私達の姉妹なの...?」


高雄「...」


思考を凝らせ明確な答えを導き出そうとするが無駄な努力に終わることを自覚する


高雄「分からない....でも提督も言っているし青葉達も本当だと言っている...」


高雄「多分...姉妹なんだと思う...」


摩耶「っ....」


鳥海「でも...何で...」


新たな妹がいるという事実に喜びの感情がない訳ではなかった

ただ何年も四人と思っていた彼女達にとっての常識を破壊されたことによる困惑が勝っていたため彼女を受け入れるのに否定的な感情が存在していた


青葉「....」


衣笠「どう?あの四人は?」


物陰から神妙な面持ちで監視するように見つめる


青葉「何を言っているかは分からないけど、表情的にまだ受け入れられてはいないと思う...」


衣笠「やっぱり...」


衣笠「どうする?一週間の演習期間を終えたらミューロックさんは正式な艦娘となる」


衣笠「姉妹ということもあるし高雄型の人たちと組まれることも大いにあるはず、その時にあんな状態じゃ連携も...」


青葉「...あの人達次第かな、いくら私達がミューロックさんの良さを伝えたとこで最後に決めるのは自分自身の気持ち」


青葉「心から受け入れてない姉妹なんて...姉妹じゃない」


衣笠「そうね...」


衣笠「あっそういえば青葉、聞いてる?おとといの神室町が襲撃された事件」


青葉「あぁあれ?確か幸光という元海軍の提督達が起こしたっていう...」


衣笠「それなんだけど...もしかしたら艦娘が起こしたって噂があるの...」


青葉「艦娘が...?」


衣笠「えぇ...ガゼの可能性もあるんだけど目撃者の証言だと少女の姿をしていたって...」


青葉「少女の...なるほど...」


青葉 (後で調べてみるか...)


....


ー4月19日ー


ー仮想演習場ー


ミューロック「ウォラァァ!!」


Completed annihilation of all potential enemies


Training completed, full score....


明石「凄い...パーフェクト....」


ミューロック「ふぅっ...」


倒されたも敵のプログラムが消え海上を模倣した仮想空間が解除される


明石「お疲れ様ですミューロックさん!パーフェクトですよ!」


ミューロック「そう...良かった...」


明石「これほど動けるならもう文句なしですね、今すぐにでも実戦で戦えます!」


ミューロック「でも私がやったのはVR訓練であって実用に使えるかどうか...」


明石「大丈夫ですよ!リアルに限りなく近い状態に設定したので自信を持ってください!」


ミューロック「....そうね!いけないいけない、いつものネガティブ思考が...」


彼女に励まされ自分の悪い癖を直そうと改めて思ったその時...


Warning!!! Warning!!!


ミューロック・明石「っ!?」


明石「これは...!」


ppppp


明石「っ!」


不安を煽る警告音と共に彼女の軽快な着信音が鳴る


提督『明石緊急事態だ!演習へ向かった高雄型が深海棲艦の襲撃にあってるとの報告が来た!直ぐに全員の艤装の最終メンテナンスをしてくれ!編成は直ぐに作る!』


明石「っ!分かりました!」


ミューロック「な、何があったの!?」


明石「高雄型の皆さんが襲撃にあったそうです!」


ミューロック「っ!!」


明石「よしっ...急いで全員の「待って!」」


明石「っ...!」


ミューロック「...私が出る!」



ーXX海域ー


鳥海「ぐぁっ!?」


横からの砲撃に直撃し体勢が崩れる


愛宕「鳥海ちゃん!」


摩耶「ぐっ...何でこの海域に...」


駆逐棲姫「....」


摩耶「姫がいるんだよ...!?」


高雄「皆!一度退く!安全海域まで撤退を...」


愛宕「っ!高雄後ろ!」


高雄「えっ...?」


駆逐棲姫「遅イヨ」


高雄「ぐわぁ!?」


一瞬目を離した隙に接近を許しゼロ距離射撃で砲弾を食らう


高雄「ぐっ...がっ...!」


摩耶「お前...!!」


摩耶 (くっそ!!姉貴は動けない...鳥海も中破...)


摩耶 (万事休すか...!)


逆転不可能な状況に強気である彼女も心の中で弱音を吐く


駆逐棲姫 (脆イ...哀レスラ感ジル...)


駆逐棲姫 (ケド...可哀想デモ敵デアルコトニ変ワリハナイ...) 


ザッ...


高雄型「っ!」


駆逐棲姫「サヨナラ」


鳥海「ぐっ...!」


歯を食い縛り全員が死を覚悟したその時


駆逐棲姫「ン...?」


駆逐棲姫 (何....何カガ向カッテ来テ...) 


「ハァァァ!!」


駆逐棲姫「グアッ!?」


瞬きする隙もなく強烈なドロップキックを顔面に叩き込まれ数メートル程体勢を崩し吹き飛ばされる


高雄型「えっ...?」


「はぁっ...間に合った...」


摩耶「っ!お、お前は....」


駆逐棲姫「グッ...」


駆逐棲姫「何...者ダ...!」


「....ミューロック」


駆逐棲姫「エッ...?」


「私は...この人達の妹...高雄型五番艦...」


ミューロック「ミューロック・マル...!」


ミューロック「それが私の名前よ!!」


駆逐棲姫「ミューロック...マル...?」


駆逐棲姫 (誰ダ...ソンナ名前見タコトモ聞イタコトモ...)


駆逐棲姫 (ケド...アレノ姉妹トイウナラ...敵ニ変ワリハナイ!!)  


駆逐棲姫「ココデ消...」


駆逐棲姫「エッ...?」


ミューロック「ウォラァァ!!」ドガァァァ!!


駆逐棲姫「グブッ!?」


高雄型「っ!?」


瞬時に後ろを取られ彼女の強烈な回し蹴りが腹部に直撃し内臓を抉られる感覚に耐えきれず思わず体勢を崩す


愛宕「嘘でしょ...!?」


駆逐棲姫「速イ...!?」


駆逐棲姫「チッ!!」


砲台を彼女に向け直ぐ様反撃に転じるための砲撃を開始するが


ミューロック (やはり...VR訓練の通り...!)


いとも簡単に高速移動により全てを回避される


摩耶「なっ!?避けた...!?」


ミューロック「ならこっちも...!」


サァァァ...


駆逐棲姫「ッ...!」


駆逐棲姫 (アレハ砂...?)


ドグォォォォン!!!


駆逐棲姫「ッ!?グァァッ!?」


鋭利に変化した砂槍が轟音と共に起こしながら彼女の肩部を貫く


駆逐棲姫「ギッ...ガァッ...!?」


駆逐棲姫 (今ノハ...!?)


ミューロック「ヘブンドライブ...」


ミューロック (思い付きでやったけど...いけるものね...)


駆逐棲姫「貴様...!グッ...!」


肩に力が入らず反撃に転じようとするが痛みで身体が思うように動かずその場に倒れ込む


ミューロック「さぁ...まだやる気...?」


駆逐棲姫「ッ...!」


駆逐棲姫「チッ!!」ドゴォォン!!


ミューロック「っ!」


最後の力で砲弾を真下に撃ち巨大な波しぶきを上げる


ミューロック「あっ...!」


彼女が少しの間目を瞑っていた時間は負傷しながらも逃げ出すには十分な時間であった


ミューロック「いない....」


高雄「ぐっ...」


鳥海「ゲホッ...!」


ミューロック「っ!姉さん!」


追撃も考えたが彼女達の負傷の重さを見て想定していたプランを放棄する


....


駆逐棲姫「ハァッ...ハァッ...」


駆逐棲姫 (グッ....何ダ...アイツハ...!?)


駆逐棲姫 (私ガ...少シモ捉エラレナカッタ...)


「あらあらずいぶんと派手にやられたわね」


駆逐棲姫「ッ!貴女...何デココニ...!?」


「はいこれ、結構傷が深いでしょ?」


駆逐棲姫「ッ...」


問い掛けを無視する彼女から差し出された注射器のようなものを無言で受け取り腕に迷いなく刺す


駆逐棲姫「イッ...!」


駆逐棲姫「ッハ...!ハァッ...」


傷口に消毒するような激痛が数秒間走り激痛の終わりと共に身体の負傷も消え緊張と痛みから解放された事からか深く安堵の息を漏らす


「まさか...とか思ってるでしょ?姫の私が少しも捉えきれなかったって」


駆逐棲姫「...」


「無言は肯定と見なすよ?」


駆逐棲姫「何者ナノ...ヤツハ...」


「ミューロック・マル...少し変わった脅威というべきかな」


「しかも恐らくはまだ...覚醒前...」


駆逐棲姫「覚醒...?」


「...貴女は知らなくていいわ、ここからは私達の問題」


「けど...これだけは私達の同類に伝えといて」


「これから先...「怠慢は死」ということをね...」


駆逐棲姫「怠慢ハ...死...?」


「じゃそういうことだから、じゃあね♪」


駆逐棲姫「エッチョ!?マッ!」


一方的に話を切り彼女の呼び掛けを無視してその場を去る


駆逐棲姫 (何ナノヨ...)


...


「あの娘が例のね...」


「フンッ...面白そうじゃん」


「"レイ"が一目置くだけのことはある...」



....


ー治療室ー


高雄「....」


鳥海「....」


明石「....かなり深い傷をおっていますが...幸い命に別状はありませんし修復材の効果も順調に進んでいるので今日中には回復できると思います」


愛宕「そう....良かった...」


摩耶「全く...心配したぜ...」


愛宕・摩耶「.....」


ー数時間後ー


ー沖堤防付近ー


彼女の戦いを讃えるような美しい夕陽が彼女に向けられていた


ミューロック「ん~....」


身体を鳴らしリラックスの体勢をとる


ミューロック「はぁっ...疲れた...」


VRとはいえ実戦は今回が初めてであった為疲労感が残る


ミューロック (さっきは不意を突いて偶然勝てたけど...まだ身体が思うように動かせてないし砂の扱いもまだまだ...)


ミューロック (早く修正しないと...本気でぶつかれば負ける...あの駆逐棲姫にも...)


「あの!」


ミューロック「ん?」


ミューロック「っ...!」


高雄型「....」


全員が何とも言えない感情をしておりどう捉えればよいのかいまいち掴めなかった


ミューロック「あ、貴女達は...」


ミューロック (あっ....そういえば...)


...


ミューロック「姉さん!!」


...


ミューロック (やばっ...私ずいぶん馴れ馴れしいことを...!?)


高雄型「....」


ミューロック「あぁえっと...」


ミューロック「ごめんなさい...あれは反射的に言ってしまっただけであっt「ありがとう!」」


ミューロック「えっ?」


肩透かしを食らった気分

私に向けられた言葉は想定していた怒りの声ではなく感謝の声であった


愛宕「私達を助けてくれて!」


高雄「貴女がいなかったら...私達は終わっていた...」


鳥海「それと...ごめんなさい!」


鳥海「理解が追い付かなくて...貴女のことが姉妹だってことを...」


摩耶「その...受け入れられないでずっと冷たくして...本当にすまない!!」


ミューロック「....」


高雄型「...」


ミューロック「別に怒ってないわ」


高雄型「えっ...?」


ミューロック「いきなり血の繋がらない姉妹がいるなんて伝えられたら困惑するもの無理はない」


ミューロック「私だって貴女達の立場だったら同じ事を思う」


高雄型「っ....」


ミューロック「だからさ、ここで終わりにしない?このわだかまり」


高雄型「えっ?」


ミューロック「....」


ミューロック「私は高雄型五番艦ミューロック・マル、血は繋がらなくても...貴女達と同じ姉妹よ」


ミューロック「だから...これから貴女達のことを姉さんと呼ばせてくれる?」


愛宕「っ!もちろんよ!!えっと...」


ミューロック「ミューロックでも何でもいいわよ」


愛宕「なら...ミューロックちゃん!それはどう!?」


高雄「じゃあ私は...ミューロック!」


鳥海「お、同じく!」


摩耶「わ、私も!」


高雄「えっとじゃあ...本当に遅れてしまったけど...」


高雄「これからよろしくお願いするわ!私達の妹...ミューロック・マル!」


ミューロック「っ...!」


ミューロック「えぇ...よろしく頼むわ!」


青葉「....」


衣笠「どうやら余計な心配だったみたいね」


青葉「そうだね...まっとりあえず仲が修復されて良かったよ...」


青葉 (これでここは一段落と...)


衣笠「あっそういえばあれは?」


青葉「あれ?」


衣笠「ほらっ神室町襲撃の...」


青葉「あぁあれね、一応クライムブレインで調べたんだけど...」


青葉「どうやらその噂は本当みたい、監視カメラにも明らかに女性のフォルムをした者を数人見掛けたし」


衣笠「ということは...あの人の指示で動いていたってこと?」


青葉「さぁまだ分からない、けどあくまで評判だけだと艦娘との関係は良好」

 

青葉「それを利用したとも考えられるけど...でも彼が関与しているとは考えづらい、警察は幸光が犯人ということで捜査を進めてるらしいけど....」


衣笠「なるほど...結果はどうであれ直ぐに終わって欲しいわね...」


青葉「....ん?」クルッ...


衣笠「ん?青葉?」


青葉「あっいや何でも...」


青葉 (何...何か気配が...)


....


ー鎮守府屋上ー


ローム「....ここにいたんですね」


ローム「姫様....」




chapterⅡ逆説的平穏の価値



ー4月28日ー


ー執務室ー


提督「....」


ミューロック「....」


提督「よし...特に問題はない、いいぞミューロック」


ミューロック「本当!良かったぁ...」


オーバーリアクションで喜びを体現し安心感からか天を仰ぐ仕草をする


ミューロック「報告書なんて初めて作るから緊張したわ...」


提督「その割にはよく出来てるぞ、文句なしだ」


提督「お疲れ様ミューロック、ゆっくり休んでくれ」


ミューロック「分かったわ!じゃあこれでSee you!!」


ー廊下ー


ミューロック ツカツカ...


ここに来て約1ヶ月...全員とも友好的な信頼を獲得でき、業務もそつなくこなせるようになったと自分では評価をする


ミューロック (ようやく...馴染めてきた...)


ミューロック (あっそうだ!余裕も出来たし獅子丸大将のとこへでも...)


...


ー資料室ー


コンコン...ガチャ...


衣笠「青葉いる?」


青葉「ん?あっ衣笠、どうしたの?」


衣笠「ミューロックさん何処にいるかは分かる?編成の提案をしたかったんだけど...」


青葉「あぁえっと...ミューロックさんなら今出掛けてて湯原の獅子丸大将のとこに行ってる、お礼ということで」


衣笠「えっあそこに行ったの!?」


衣笠 (す、凄いわね...あそこに行くなんて相当の肝が座ってないと...)


青葉「あっそういえば衣笠、ちょっと噂があるんだけど...」


衣笠「噂?」


青葉「....」


彼女を近づけ誰もいないことを確認した直後に囁きに近い声で話し始める


衣笠「な、何...」


青葉「幸光とはまた別の話でね...」


青葉「最近呉の鎮守府が壊滅したということは知ってる?」


衣笠「呉が壊滅...!?」


衣笠「あっ...そういえば何処かで...」


青葉「大本営からは不慮の事故と記載されてるけど...あれ誰かが故意にやったって情報があるの...」


衣笠「っ!?そ、それって...」


青葉「クーデター...と言ってもおかしくない」


衣笠「で、でもそれが事実として一体誰が...艦娘だとしてもあの呉を壊滅させるなんて...」


青葉「それが...人間って噂があるの」


衣笠「人間!?」


青葉「どうやら艦娘を凌駕する能力を持っていて海軍も手が負えない存在...」


青葉「特長的な見た目から海軍では...」


「『仮面』と言われてますね」


青葉・衣笠「っ!?」


あり得ないことだった

この部屋には二人しかいないはず...

だが振り替えた先には机の上に足を組みながら見下すように座る少女の姿があった


青葉「だ、誰ですか!?」


衣笠「下がって青葉!!」


咄嗟に青葉を自分の後ろに下げると同時に腰部の拳銃を取り出し彼女に向ける


衣笠「誰...一体何処から...」


学生服の上に深い赤のコートの服装の彼女の美しい黒髪のポニーテールの中にある紫の瞳はこちらの心を見透かしているようで不安を煽るものだった


「あぁ落ち着いてください、私は敵ではありませんし攻撃する気持ちもありません」


衣笠「そんなこと言われても信用出来るわけないでしょ...!」


「なら...何故貴女達が後ろを向いてる時に攻撃しなかったのでしょう?仮に私が殺し屋であればそれは絶好のチャンスであり逃がす訳がありません」


衣笠「っ...」


「それに...私は貴女達と同じ艦娘ですよ、青葉、そして衣笠」


青葉・衣笠「えっ?」


「よっと...」


「姫様はいないのか....まぁ後でいいや」


「Comment allez-vous」


「私の名前はデュピュイ・ド・ローム...」


ローム「以後...お見知りおきを」


青葉「デュピュイ・ド....ローム....?」


衣笠「知ってるの...?」


青葉「いや...そんな艦娘聞いたことが...」


ローム「そりゃいませんよ、大本営は知りませんからね」


青葉「知らない...?」


ローム「トップシークレット...そういうことです」


ローム「ですから今は私のことは詳しくは言えません」


ローム「ですが...近いうちに明かせるとは思います、姫様がいればね...」


衣笠「ひ、姫様...?」


ローム「ミューロック・マル」


青葉・衣笠「っ!」


ローム「私にとってはお姫様...まずは彼女に会わなくては」


ローム「では...挨拶はこれくらいで」


ローム「あっ一つだけ教えておきましょう」


ローム「貴方が噂している仮面の話、あれは事実です」


青葉・衣笠「っ!?」


青葉「事実...!?」


青葉「何を根拠に...」


ローム「後日お教えしますよ、まぁ...私にすれば『仮面』などは下らないお遊戯ごっこでしかありませんが」


ローム「ということなのでまた近い内に会いましょう」


衣笠「っ!まっ!」


パチン...


青葉・衣笠「うわっ!?」


軽快な指ならしと共に強烈な閃光が目に入り一瞬の怯みの内に彼女は跡形もなく姿を消していた


青葉「っ!いない...」


...


ーXX海域ー


仮面「.....」


ミューロック「っ!待ちなさい!!」


ミューロック「あっ!」


ミューロック (消えた...)


※ミューロックⅠ 番外編参照


ミューロック「何だと言うの...」


「『仮面』それが彼らの名前です」


ミューロック「っ!?誰!!」


「あぁ落ち着いてください、別に貴女を攻撃するつもりもありません、同じ艦娘ですしね...」


ミューロック「えっ...?艦娘...?」


「では...そういうことで」


「また会いましょうアポカリプスの...貴女にとってのXデーの日にね、姫様....」


ミューロック「えっ?」


カチッ...


ミューロック「うわっ!?」


眩い閃光と共に突然現れた彼女は姿を消す


ミューロック「いない...?」


ミューロック (Xデー...姫様...?)


...


ローム「コンタクト...成功しました」


『ドウダ...』


ローム「彼女自身には特に何もありませんが...まだ覚醒が起きていません恐らく...」


『覚醒ガ...』


ローム「覚醒が起きていれば問題はありませんでしたが...どうもそうはいかないみたいです」


ローム「ここの世界の海軍は少々問題ありなので...タイミング良く死なない程度に確保しようかと思います」


『承知シタ...失敗ダケハ避ケロ...』


ローム「はい、分かっていますよ」


『ソレト...ドーリアヲココニ集メロ』


ローム「えっドーリアをですか?彼女は今イタリアで...」


『...ヤツラガ現レタ...』


ローム「っ!」


それまで気の緩んでいた顔から一変、顔は強ばり表情も冷酷に変貌する


ローム「...承知しました、直ぐに召集をかけます」


『抜カルナ....』


その言葉と共に彼女との会話の手段を遮断する


ローム (....これは...)


ローム (少しばかり面倒になりましたね...)


....


ー4月29日ー


ー執務室ー


提督「デュピュイ・ド・ローム...?」


提督「聞いたことないな...」


青葉「そうですこ...」


提督「てかその艦がどうしたんだ?」


青葉「....いえ何でも...」


彼に悟られないように昨日の出来事を推理しようとしたが、大本営にも知られていない以上クライムブレインも使い物にならず頭を悩ませる


青葉 (大本営にも認知されてない艦娘....)


青葉 (一体何者....)


コンコン...


提督・青葉「っ!」


ミューロック「失礼するわ」


青葉「あっミューロックさん」


提督「ミューロックどうした?今日の出撃の話か?」


ミューロック「いや...それとは別で...」


ミューロック「仮面について...」


青葉「っ!?」


提督「仮面...?」


提督「仮面って...」


ミューロック「えっ....?」


青葉「ミューロックさん...ちょっと...」


ー廊下ー


青葉「何故仮面のことを!?」


ミューロック「えっ...いや昨日湯原から帰る際に深海棲艦を惨殺している人間が...」


青葉「遭遇したんですか!?」


ミューロック「えぇ...直ぐに消えてしまったけど...」


青葉「.....」


ミューロック「青葉?」


彼女の肩を掴み本心から訴えかけるように伝える


青葉「ミューロックさん...このことは口外しないでください...」


ミューロック「えっ?」


青葉「奴らは...仮面というグループであり艦娘や深海棲艦を殺害している集団です...」


ミューロック「っ!?艦娘も!?」


青葉「目的は不明です....ただ海軍もそのことを公にしてない、つまり...相当の危険性がある...混乱を避ける為に情報を隠蔽してるんです...」


ミューロック「っ....」


青葉「今日獅子丸大将に掛け合ってみます、その時までは...シークレットで...」


ミューロック「...分かった」


ミューロック「それと....」 


青葉「っ?」


ミューロック「その仮面が去った後...もう一人私の前に...」


ミューロック「姿は見えなかったけど自分のことを艦娘と言っていてそいつが私に仮面の情報を...」


青葉「っ....!?」


青葉「まさか...あの人が!?」


ミューロック「あの人...?」


Warning!!Warning!!Warning!!


ミューロック・青葉「っ!」


ミューロック「この警告音...」


青葉「深海棲艦出現の合図です...」


ミューロック「...ごめん青葉、私行ってくる」


ミューロック「詳しくは任務後話しましょう」


青葉「は、はい!」


青葉「...ミューロックさん!」


ミューロック「ん?」


青葉「必ず戻って来てください...」


ミューロック「分かってる、必ず戻る」


....


ー東京付近海域ー


(ここが日本...)


(やはり神話の国...ロームから聞いた通り....)


(美しく...そして脆い...)


青天の空の下、風にたなびく上品で高級なドレスを身につけ海上の上で東京を眺める

右手には自らの身長を超えるほどの派手な袋に包められた筒のようなものを肩に乗せていた


(いい潮風の匂い...イタリアとはまた別の風情ある匂い...)


(しばらくはここでお茶でもしたい気分...)


だか彼女ののどかな希望をこの海が聞いてくれる訳がなく徐々に平穏を潰す脅威が迫り来る


空母棲鬼「.....ッ!」


空母棲鬼 (見タコトガナイ...ダガ海ニ浮イテイル...)


空母棲鬼 (....敵カ....)


...


空母棲鬼「....」


息を殺し着実に彼女へと近づく

未だに背を向けている彼女に接近するのは容易であり既に射程圏内まで近づいていた


空母棲鬼 (...馬鹿ナ奴ダ...コノ海ニテ油断ハ死...)


空母棲鬼 (ソシテ...ソレニ当テハマルオ前ハ...)


「...死ぬべき運命だと?」


空母棲鬼「ッ!?」


見透かされている

何が原因でバレたのかは分からない

だが振り返った彼女の瞳を見た瞬間...私は恐怖に包まれた


空母棲鬼「ナ、何故....!?」


空母棲鬼 (イツダ...完璧ニ身ヲ潜メテ...!?)


「分かりますよ、いくら息を殺しても...風が私に伝えてくれます」


空母棲鬼「オ前....何者ダ...艦娘ナノカ...?」


「えぇもちろん、還元をすればですが...」


空母棲鬼「ナニ...?」


「ドーリア...」


ドーリア「アンドレア・ドーリア...」


ドーリア「それが私の名前です」


空母棲鬼「アンドレア・ドーリア...?」


ドーリア「さて...空母棲鬼さん」


ドーリア「少しダンスでもどうですか?」


空母棲鬼「ハッ...?」


空母棲鬼「ダンスダト...フザケルナッ!!」


舐められた言動に怒りが増幅され感情に身を任せ砲撃をぶつけるが


空母棲鬼「ナッ!?」


まるでダンスを踊るように砲撃を軽やかに回避する


ドーリア「私は暴力は苦手です、もっと友好にいきましょう」


空母棲鬼「ナメヤガッテ...!!」


....


鳥仮面「....っ!」


風を感じる

殺意や怒りはない、寧ろ温かさを感じる

だが確実といえる強者の匂い

いつもと違う...今まで感じたことのない匂いを感じだ


鳥仮面 (何だ...この感覚...)


...


鳥仮面「っ...!」


空母棲鬼「グッ...クソガ!!」


異様な光景

その彼女は全く相手に殺意を向けず寧ろ楽しんでいるように見える

だが相手の攻撃を最低限の動きで避け徐々に相手の体力をすり減らしている


空母棲鬼「ハァッ...ハァッ...!」


空母棲鬼 (何故ダ...何故当タラナイ...!?)


空母棲鬼「グッ!!」


空母棲鬼「ッ!」


彼女に夢中になる間にいつの間にか砲弾を全て使いきり体力も限界が近づいていた


空母棲鬼 (馬鹿ナ...弾切レ...!?)


ドーリア「....不殺」


空母棲鬼「ハッ...?」


ドーリア「不殺主義...出来る限りは相手を殺さない...それが私の主義です」


空母棲鬼「...ハッ....」


空母棲鬼「アッハハハハッ!!」


彼女の宣言を見下すような高笑いを彼女に対しぶつける


空母棲鬼「急ニ何ヲ言ウカト思エバ...不殺ダト?笑ワセルナ!!」


空母棲鬼「コレハ戦争ダ、勝者ガ頂点ニ立チ敗者ハ滅ボサレル」


空母棲鬼「脅威トナルモノハ全テ殺ス!!ソシテ私ハ殺サレル覚悟ヲ持ッテイル!!」


空母棲鬼「ソレガ戦争ダ...不殺ナドマヤカシデシカナイ!!」


ドーリア「....」


ドーリア「...そうかもしれませんね、その意見も間違ってはいない」


ドーリア「しかし...私は今でも信じています、私と貴女達、お互いに共存出来る世界を」


鳥仮面「っ...」


空母棲鬼「共存ダト...!?」


空母棲鬼「フザケルノモ大概ニシロ!!誰ガオ前ラト!!」


ドーリア「本心でなければこんなことは言いません」


空母棲鬼「ッ...!」


その瞳に映るものは確かなる野心と覚悟を感じさせる


ドーリア「ですから私は貴女に攻撃をすることはない、私は信じています、貴女を含む全員が私達と和解し、平和的共存の道を歩いてくれることを...」


空母棲鬼「....」


何かが揺れている...

ちっぽけだが...確かに感じる温かい感情

だがそれを認めることは自らのプライドと意思に反するものであった


空母棲鬼「....チッ....」


彼女の言葉に感化された訳ではない

ただ自身の立場的に不利と判断した為の撤退

そう自分の心を必死に正当化させる

いや、正当化しなくては自分が自分でなくなる気がしてならなかった


空母棲鬼 (何ナンダアイツハ...)


空母棲鬼「気持チ悪イ...」


空母棲鬼「....」


.....


ドーリア「....」


ドーリア (いつでも待ってますよ...貴女が武器を捨てるその日まで...)


ドーリア (そして...)


ドーリア「そんな遠くから見つめて、何か私にご用でしょうか?」


ドーリア「鳥仮面さん」


鳥仮面「っ!!」


鳥仮面「驚いた...まさか見つけるとは...」


ドーリア「気色悪いと思われるかもしれませんが...私は色々敏感で人の気配は特に分かるんです」


ドーリア「貴方の心の汚れをね」


鳥仮面「汚れ?」


ドーリア「まぁいいでしょう、それで?私に何かご用がありまして?」


鳥仮面「いや...少し通りすがりでね...少し散歩を」


ドーリア「殺戮集団が言う言葉ではありませんわね」


鳥仮面「っ...」


鳥仮面 (待て...何故こちらのことを知っている...しかも一発で場所を見抜いた...)


ドーリア「何故知っているのか...」


鳥仮面「っ!」


ドーリア「風が教えてくれます、貴方がどんな人でどんな罪を犯して生きてきたのか」


鳥仮面「罪...?」


ドーリア「どの生き物でも罪なきモノは存在しない、皆何かしらの罪を持って生きている、もちろん私も貴方も」


ドーリア「貴方は過去に艦娘に酷い憎悪を覚えた、貴方のプライドの為、細かくは言いませんが」


ドーリア「そして艦娘が貴方に犯した罪を貴方は償わせる為に艦娘、そして深海棲艦を魂を天に返す」


ドーリア「それが貴方の罪でもあります」


鳥仮面「私は艦娘を殺してはいない、確かに艦娘に怒りはあるが敬意もある」


ドーリア「獲物としてのですか?」


鳥仮面「...」


ドーリア「自分は殺してないから違う...それは少し疑問に思います」


ドーリア「仲間が殺戮を繰り返しているのをただ何もせずに彼女達の生への叫びを黙認した貴方も」


ドーリア「彼らと同じ殺戮者の同類です」


真実を抉る痛烈な言葉の凶器を容赦なく彼に次々と刺し続ける


鳥仮面「....」


鳥仮面「....フッ...」


鳥仮面「あはははっ!」


ドーリア「何かおかしくて...?」


鳥仮面「いやいや、艦娘に論破されるとは思ってなくてね....」


鳥仮面「面白いねお嬢さん」


鳥仮面「手合わせをと思ったけどやめた...君は今までの娘とは違う」


ドーリア「....」


ドーリア「プッ...」


鳥仮面「...?」


ドーリア「手合わせ?」


冷徹な目線と小馬鹿にした嘲笑

まるで無謀にも虎に挑む蟻を哀れむような相手を下に見て軽蔑しているオーラが漂いを隠せない


ドーリア「一つだけ...教えておきますわ」


鳥仮面「っ?」


ドーリア「貴方が見てる世界はまだ狭い」


ドーリア「故に...」


ドーリア「私をただの艦娘とは思わないことです」


ドーリア「hai capito? Mammoni」

    (解りましたか?大きな赤ちゃん)


ドーリア「Buona giornata」

     (素敵な1日を)


鳥仮面「っ!」


一瞬の瞬きの隙に彼の耳元で囁く

振り返った瞬間、彼女は風のように消えた


鳥仮面「っ....」


鳥仮面 (消えただと....)


.....


ドーリア「....」


ドーリア (仲間が殺戮を繰り返しているのをただ何もせずに彼女達の生への叫びを黙認した貴方も)


ドーリア (彼らと同じ殺戮者の同類です)


ドーリア「私が言うセリフではありませんね...」


ドーリア「っ...!」


自身の発言の矛盾点に憤りを感じ一人懺悔の時間に介入しようとする

だがそのような私情はおかまないなしにスマホのクラシック音は華やかになり続ける


『はいはい♪調子はどうですかな?貴婦人』


ドーリア「ローム....」


『まぁ冗談はさておき...無事に着きましたか?東京へ』


ドーリア「えぇ、一つ面白いことがありましたが」


『面白いこと?』


ドーリア「貴女が言っていた仮面...その一人である鳥仮面と出会いましたわ」


『あぁあの"駒"達ですか、何かしたんですか?』


ドーリア「少し意見交換を...」


ドーリア「自身の立場を過剰に評価...見えてる世界がまだまだ狭いMammoniと感じましたわ」


ドーリア「それに...私とは正反対でした」


『ほぉ...』


『て...まぁた貴女の綺麗事を話したんですか....?下らない...』


ドーリア「どう捉えるかは自由ですよ、組織の前に私は一人の意思を持つ命なので」


『はぁ...まぁいいでしょう』


『姫様は捉えました、覚醒への実行プランに移ります』


ドーリア「...どうする気ですの?」


『後でお教えします』


『簡単に言えば...貴女が会った仮面...彼らを少々利用させてもらいます』


ドーリア「利用...?」


『面白いものが見れますよ...少々エグくなりますが...♪』


...


-同時刻 XX海域-


ミューロック「はぁぁぁ!!」


イ級F「グァァァ!!」


龍驤「....終わりやな」


球磨「しかし少し肩透かしクマ...まさかこんな雑魚しかいないなんて...」


能代「まぁ"姫"がいるよりいいじゃない」


飛鷹「そうね...もうすぐ日も落ちるし早めに戻りましょう」


ミューロック「....」


初霜「ミューロックさん?」


ミューロック「...いや、何でもない」


ミューロック (おかしい..."砂"はもっと反応してたはず...)


砂の警告と海域の矛盾

どうにもそれが拭えずに不快に近い心だけか残る


...


仮面「...」


仮面「...また何も知らない愚かな奴らがやってきたか...」


仮面「ちょうどいい...」


仮面「狩りを始めるとしよう」


先程までの憂鬱そうな目から一変、まるで獲物を食らうかの如く鋭い視線を放ち姿を海へと疑似的に消す


....


ミューロック「....っ!」


鳴いている

いつもよりも大きく...悲鳴のように


ミューロック (この反応....)


ミューロック「龍驤、飛鷹...艦載機を出して周囲を警戒して」


龍驤「は? いきなりどないした?ミューロックはん」


飛鷹「何言ってるの?敵はもう残滅して...」


ミューロック「いいから早く!」


龍驤・飛鷹「っ....」


冗談とあしらおうとしたが、彼女の真剣かつ必死な目に嘘偽りはないと本能で察知する


龍驤「しゃあないな...悪い、もう少し頼むわ!!」


-数十分後-


龍驤「....」


飛鷹「....」


ミューロック「どう?」


龍驤「いや...特に何かあるとかはないで?何もいない平和な海や...」


ミューロック「っ...!」


ミューロック (勘違い...?いやそんなはずは...)


球磨「もぉさっきから何してるクマ!?早く帰って間宮さんでm」


球磨「えっ....?」


一同「っ!?」


一瞬の出来事

放たれた弾丸はソニックブームを起こし彼女の艤装の一部を一瞬にて破壊する


球磨「なっ!?」


初霜「球磨さん!?」


能代「なっどこから!?」


初霜「ぐわっ!?」


一同「っ!?」


間髪入れずに再び凶弾が彼女達を襲う


初霜「ぐっ.....」


何とか体勢を保つが艤装は半壊し、すれた右腕は鮮血の色が支配していた


能代「どこにいるの!? 電探にも反応がないのに!?」


ミューロック(電探にも反応しない...!?)


ミューロック (何...一体誰が...)


ミューロック「っ....!」


ミューロック「そこォ!!」


一同「っ!」


唐突に砂の槍を生成し誰もいないであろう方向へ轟音を放ちながら射出する


龍驤「ちょなんや!?」


「ほぉ...まさか見破るとはな...」


一同「っ!」


仮面「....」


彼はカメレオンのように姿を現す

手には先程の砂の槍を握っておりまもなく自身の力で粉砕する


龍驤「な、なんやこいつ!?」


能代「何で...何故人間なのに海に...」


球磨「何者だクマ....!」


仮面「...お前達に喋る事はない」


飛鷹「はっ!?」


ミューロック「....」


ミューロック「あいつ...見たことある...」


一同「えっ...?」


ミューロック「湯原に訪問した際に一度見たの...深海棲艦を惨殺するやつを...」


ミューロック「さっきまでは幻かとも何処かで思ってた...けど...今事実に変わった...」


能代「嘘でしょ...」


ミューロック (それに...あの階級章...)


ミューロック (大佐クラスと少佐クラスの階級章...何故二つも...)


仮面「...」


懐から葉巻を取り出し彼女達がいることをもろともせずに一服を行う


一同「っ!」


龍驤「なんや...タバコか!?」


仮面「戦う前の一服だ それにこれは”タバコ”じゃない ”葉巻”だ」


仮面「全く、これも区別もつかないなんて 馬鹿だな」


龍驤「っ!」


龍驤「なんやと...!」


ミューロック「Stop...」


龍驤「えっ?」


ミューロック「乗っては駄目...ここは私が...」


ミューロック「仮面...だっけ?」


ミューロック「タバコだろうが葉巻だろうがどうでもいいけど、一つだけ分かったことがある」


仮面「....っ?」


ミューロック「そんな下らないことでしかマウントが取れない小物ということをね...」


仮面「何だと...」


ミューロック「だってそうでしょ」


ミューロック「見た感じ年齢は40~50ほど、そして恐らく海軍関係者」


ミューロック「そんな人物がタバコなんかでマウント取って優越そうな満足顔を浮かべる」


ミューロック「ガキがやることね」


ミューロック「海軍学校でそれくらいの常識学ぶはずでしょ?」


ミューロック「それがこんな少女に色々言われて...恥ずかしくないの?」


ミューロック「まだママのミルクが欲しいお年頃かしら?仮面さん」


仮面「.....」


葉巻を持つ手に力が入り、顔は険しく怒りを示す表情をしていた


仮面「艦娘ごときが...」


ミューロック (耐性の低さからして...メンタルが脆くプライドが高い...)


ミューロック (もしくは私達艦娘達に何かしらの憎悪を抱いているか...)


ミューロック (つけ込むとしたらそこか...)


仮面「面白い奴だな...殺すには持って来いだ...」


仮面「だがまだ葉巻を吸い終わってない、それまではこいつらが相手だ」


仮面「”口寄せ...穢土転生”」


目の前に印らしきものを作り始める


ミューロック「何...?」


一同「っ!?」


"棺"

突如として6つの棺なるものが出現し鈍い音を立てながら徐々に開き始める


ミューロック「えっ...?」


艦娘達「...」


初霜「か、艦娘…?」


赤城、加賀、蒼龍、飛龍、翔鶴、惴鶴

見た目は酷似していたが生気はなくまるで骸のような姿で目に光は存在しなかった


仮面「精々楽しませてくれよ」


仮面「さて、高みの見物と行かせて貰おう」ジジジジ


龍驤「赤城!?どうしたんや!」


赤城・加賀「....」


聞こえぬかのように弓を殺意と共にこちらに向け艦載機を問答無用で射ち放つ


球磨「ちょ!?」


ミューロック「っ!!」


正確性はあいまいなおかげか全員が間一髪無傷で済むが落ち着く暇もなく無駄のない動きで次の矢を取り出す


龍驤「なにするねん!! 危ないやろが!!」


ミューロック「ぐっ!!」


ミューロック「ヘブンドライブ...!!」


放たれる寸前に全員の右腕に砂弾を放ち体勢を崩させるが


一同「!?」


まるで砂のように負傷した部分がゆっくりと再生され生気無き目でこちらを見つめる


能代「攻撃されたところが治ってる...」


球磨「ど、どうなってるクマ!?」


ミューロック (どういうこと...ゾンビとでも言うの!?)


能代「くっ... ミューロックさん!」


能代「ここは私に任せてあの仮面の人を何とかしてください!」


ミューロック「!? what!?」


ミューロック「待って能代!あんな未知数の敵を前にして私が離れる訳には!!」


能代「大丈夫です、今の攻撃が通用するところや精密性の荒さ的に倒せず共負けることはない!!」


能代「恐らくあの仮面を倒せばこの艦娘も消えるはず...推測だけど...」


能代「でもやってみる価値はあります!」


ミューロック「...わかったわ」


ミューロック「Good lack...!」


....


仮面「...」


ミューロック「...」


仮面「...来るなら君だと思ったよ」


ミューロック「っ!」


達観したような表情でこちらが来ることを待ち望んでいたような態度


ミューロック「そう...」


仮面「では...早速始めよう...」


ミューロック「その前に...」


仮面「っ?」


ミューロック「何故貴方は艦娘達を狙う?」


ミューロック「正気の人間がやることじゃない、貴方はイカれてる...」


仮面「....」


ミューロック「けど生まれつきイカれてる人間はいない...何かがトリガーになった...貴方の過去に...」


仮面「トリガー...か...」


仮面「確かにそうだな...」


仮面「俺は...ある部隊に所属していた 国のため 正義のため 身を粉にして深海棲艦と戦い続けた」


仮面「だが、ある作戦の時に俺達は仲間のはずの艦娘達に背後から攻撃を受けた」


仮面「背後からは艦娘の砲撃 前からは深海棲艦の砲撃 逃げ道が無く、仲間達は次々と命を落とした」


仮面「ある者は砲撃で体がバラバラにされ、ある者は瀕死のところ深海棲艦に食われたり、なぶり殺しにされた」


ミューロック「....」


仮面「俺はその時両目を失明したが、手術でなんとか回復した」


仮面「後でわかったが、俺達は捨て駒にされたってわかった それと同時に何もかもどうでも良くなって海軍を抜けた」


ミューロック「艦娘を殺す動機は...その出来事がトリガーになったと?」


仮面「簡単に言えばな」


ミューロック「...」 









ダカラナニ?クダラナ....









ミューロック「っ!」


ミューロック (何...今の...)


仮面「...」


仮面「...なんで俺はお前なんかにこんな話しているんだろうな」


憂鬱そうな顔をしながら葉巻を携帯灰皿にしまい同時に彼の瞳が緋色に発光する


仮面「さて...一服の時間は終わりだ」


仮面「楽しませてくれよ」


ミューロック(っ!目が赤く....)


仮面「さぁ...来い!」


...


ー湯原周辺海域ー


ローム「....」


ローム「いいですね...その調子です姫様...」


ローム「....っ?」


満悦の笑みで双眼鏡から見つめる彼女のことを知らず携帯の着信はなり続ける 


ローム「はい?」


『ローム』


ローム「ドーリア?何ですか、今いい所なんですが...」


『私もリアルタイムで見てますよ』


ローム「っ!その言い方...まさか貴女も?」


『えぇ...少し貴女の作戦が気になるので...少々湯原に』


ローム「はぁ...また貴女のお人好しが動機の行動ですか?毎回困るんですけどね...」


『どの口が言うんですか...いつも過激なことばかりして...』


ローム「それくらいしないと真実には辿り着けません、良心に感化され真実を隠蔽するのとは正義ですか?」


『......』


ローム「まっ、とりあえず見ててください、面白ものが見えますから♪」


『ちょまt』


まだ納得いかない彼女の声を無視するかのごとく通話を遮断する


ローム「さてっ..."裏"と対面する時ですよ姫様...」  


.....


ミューロック「Fire!!」


仮面「...フンッ」


放たれた砲弾を意図も容易く回避し体を捻らせ直ぐ様反撃へと移行し抜刀された刃が夕日の色を纏い彼女の背後から切りつける


仮面「貰った!」


ミューロック「甘い!」


仮面「っ!!」


だが彼女の守護の砂が罪深い刀を包み込み込められたら殺意を無力化する


仮面「...やるな」


仮面 (あれを察知するとは...一筋縄ではいかないな...)


彼女の予想外の奮戦に感化され気の抜けた身体に鞭を打ち臨戦を整える


ミューロック (動きなら何となく分かる...)


ミューロック (けど攻撃が当たらない...!これじゃ体力を使うだけ...)


ミューロック (見透かしてるとでも言うの...?)


仮面「動きが読まれていると感じるのか?」


ミューロック「っ!!」


仮面「その反応、図星か」


ミューロック「....」


仮面「無言は肯定と受け取ろう」


仮面「経験さ、何度も戦えばある程度の予測はつく」


仮面「その産物がこの瞳だ、洞察力に優れ相手の動きとかを観察するにはもってこいだ」


仮面「だが、お前は今まで戦った艦娘とは違う 読みにくい奴だったな...」


ミューロック「そんなに手の内を見せびらかして大丈夫かしら...?」


ミューロック「もう今までのようにはいかないわよ...」


仮面「構わないさ、ここで殺すのだから」


仮面「”水遁 水龍弾”」


ミューロック「!?」


"龍"

印が描かれた部分は巨大な竜巻を生成し次第に巨大な龍へと変貌する


ミューロック (こんな隠し玉があったなんて...!!)


仮面「終わりだ」


上空に舞う水龍は彼女に目掛けて鋭い刃を見せながら彼女を食らいつく 

凄まじいほどの水しぶきが上がり衝撃波が走る


仮面「....」


仮面「死んだか...」


仮面「面白い奴だったぞ...」


仮面「....ん?」


何かがおかしい

何処からか生きるという確実なる意思を感じる


「それで...終わりとでも...!!」


仮面「!!」


ミューロック「残念だったわね...私との相性最悪だったみたい...!」


巨大な水龍は砂に分解され巨大な砂が彼女を包み込んでいた


仮面「ほぉ...防ぐとは...」


ミューロック「今度はこっち...」


ミューロック「デザートウォール....」


仮面「!?」


突如として砂の巨大な六つの柱が彼を囲い込む

状況に理解できず動きが静止する


仮面「これは....」


ミューロック「少しチクッとするわよ...!」


ドグォォォン!!という轟音と共に突如として砂弾が彼の脊髄を襲う


仮面「ぐぁっ!?」 


仮面 (何だ!?何処から!?)


ミューロック「さぁ...反撃といこうか...!」


仮面「がっ!?ぐぁぁぁぁ!!」


ガトリングのような打撃音と共に彼の身体に連続でダメージを食らわせる

取り囲む砂の牢獄が彼に防御の手段を与えない


仮面 (これは...!?何だ!?)


ドグォォォン!!


仮面「ぐっ!!」


ミューロック「Checkmate...」


ミューロック「Game over!!!!」


"神の鉄槌"

彼女の手の合図と共に無数の砂槍が砂の監獄の上空から降り注ぐ



ーーーーーーーーーーー



ミューロック「.....」


ミューロック「倒した...か....」


解かれた砂の監獄には砂を被った一つの身体が戦場の海に浮かび続ける

脈はなく恐らく絶命している


ミューロック「過去はどうであれ...復讐の為に無害なる者を傷つけるのは狂ってる...」


ミューロック「ただの逆怨み...いい迷惑だわ...」


「逆怨み...?偉そうに...!」


ミューロック「っ!」


「これは...正義だ!!」


ミューロック「なっ....!?」


あり得ない 

確実に撃破したはず

だが...彼は再び私に刃を向けている


ミューロック「何故...どうやって...っ!!」


ミューロック (まさか...あれは変わり身!!)


身体には傷...

恐らく途中までは私の攻撃を食らっていた

だが...致命傷となる寸前に身代わりと切り替え命を拾った...そう考えるのが妥当だろう


仮面「艦娘ごときが!!」


ミューロック「チッ!!」


自尊心やプライドを破壊された怒りに震える彼の刃は凄まじく防戦することしか出来ず反撃の機会を伺えない


ミューロック (速い...!どうする...!)


仮面「これならどうだ!!」


仮面「”火遁 灰積焼”」


ミューロック「っ!」


ミューロック (何...これ...)


周囲にはチャクラが巻かれており半径2~3Mは灰色の煙に包まれる

砂との相性が悪く個体でないため振り払うことも難しい


ミューロック「目眩ましか...!」


仮面「違う、これさ」


ミューロック「!!」


奥歯から出現した火打石の摩擦によるかすかな火柱はまたたく間に凄まじい"業火"へと変貌し灼熱が彼女を包み込む

生気は感じず確実に絶命したことを認識する


仮面「こざかしいやつが....」


仮面「まさか...ここまでとはな...」


HEAVEND-LIVE...


仮面「えっ?」


仮面「ぐあっ!!」


何故だ....

絶命したはずだ...もうあの忌々しい砂は見ることはない...

だが現実は灼熱を纏った砂の槍が彼の肩を鮮血

を流しながら貫いていた


仮面「...馬鹿な...!」


ミューロック「...今のは...危なかったわね」


服装と艤装の一部は焦げている...

ダメージはあったのだろう

だが自分が思う以上に彼女は軽傷かつ、彼女にある精神的余裕を崩すことが出来ない


仮面「あれも防御するか...!」


仮面「なら...」


仮面「”火遁 豪火球の術”」


仮面「これで!!」


ミューロック「そんなもの通用しない...」


ミューロック「”キングクロウ”」


放たれた巨大の火球は海上から出現した鋭利な砂の爪によって無効果される


ミューロック「っ....!」


仮面「もらった」


ミューロック「... 同じ手が通じると思ってるの?」


ミューロック「ウォラァァ!!」 


仮面「ぐあっ!?」

 

不意打ちとしては上出来

だが...彼女にとってデジャヴ

二度も同じ手にかかることはなく彼の刀が降られる前に腰部への回し蹴り、そして連続して顔面に蹴りを叩き込む


仮面「チッ...!がっ...!」


ミューロック「....」


ミューロック「そろそろ...終わらせてあげる」


ミューロック「天使が来るといいわね」


仮面「...あっ...!」


ミューロック「"ヘブンドライブ"」


倒れ込む彼を冷徹な目で見下し、再び砂の雨を彼の上空に出現させる


仮面 (しまっ...!!)


ミューロック「さよなら....」


ミューロック「仮面」


仮面「っ!」


夕日に照らされた砂の槍はまるで彼が殺していった艦娘達の怨念が込められてるかのごとく明確な殺意があると自らは認識した


仮面 (ここが....死地なのか...)


全てが終わる、決着する

勝者も敗者も全員がそれを確信した


ミューロック「はぁぁぁぁぁ!!!!」



ーTIME IS DAYSー


ーーーーーーーー


ミューロック「」


仮面「」


ローム「....フフッ...」


ローム「...貴女の予想を超える動きは...何処までも私を楽しませてくれる...」


ローム「けどね姫様」


ローム「それは私のプランにはない」


ローム「貴女が勝ってしまったら...全てが狂う」


ローム「だからごめんね?姫様....」


ローム「それが貴女の進むべきルートだから」



ーーーーーーー


ミューロック「ぐあっ!?」


仮面「っ!?」


何が起きたかは分からない

だが目の前にいた彼女は"衝撃"によって吹き飛ばされる


ミューロック (な、何!?)


ミューロック「....っ!」


ミューロック (何...身体が...!?)


仮面 (な、何が起きた....) 


仮面 (だが今なら...!)


仮面「"月読"」


仮面「闇に彷徨うがいい」


ミューロック「っ!!」


傷ついた身体に鞭を打ち仮面を外した先の瞳

赤い閃光に吸い込まれるかのように意識が奪われる


そして...再び彼女が意識を認識した世界


ーーーーーーー


ミューロック「っ!」


ミューロック「何...」


見たことがある...

私の...大切な場所...


ミューロック (廃工場...?しかもここってマコトと別れた...)  


「....ミューロック」


ミューロック「っ!」


ミューロック「....えっ?」


ミューロック「マコト....?」


誠「...何故だ」  


ミューロック「えっ?」


誠「何故見捨てた...」 


誠「何故...見殺した...!!」


ミューロック「はっ...?」


誠「貴様...!!」


ミューロック「っ!?」


彼の手に持たれているモノ

それは彼がこの世界から飛び立ったあの銃であった


ミューロック「ちょ!?どうしたのマコト!?」


誠「産みの親である私を見捨て...のうのうと生きやがって...!」


誠「勝手に幸せになりやがって...!」


ミューロック「...何言ってるの...?」


ミューロック「貴方は私に自由になれって...」


誠「ふざけるな!!」


誠「私は生きたかった!もっと海軍に携わり深海棲艦を討伐するために研究を続けたかった!!」


誠「こんなとこで死にたくなかったんだ!!」


誠「それを貴様は...この人殺しが!!」


ミューロック「っ!」


ミューロック「人...殺し...?」


ミューロック「私が...マコトを...?」


誠「そうだ...お前が私を!!」


ミューロック「....嘘...」


誠「...はっ?」


ミューロック「マコトはそんなこと言わない...」


ミューロック「あの人は私に世界を教えてくれた...喜びを教えてくれた...悲しみを教えてくれた...」


ミューロック「そして...私に生きろと言ってくれた...」


ミューロック「胸に刻んでる...ここでの出来事を...今も忘れてはいない...!」


誠「違う!!私は!!」


ミューロック「...戯れ言はいい加減にしなさい...この偽物!!」


ミューロック「私の記憶から...消えろォ!!」


誠「ちかapmgm..わたdgd.dしはまはほま」


誠「なたはさまは-』』a.dpm.wm.」


誠「a.a.jgj....」


世界が崩壊する

偽りの記憶が消滅する




ーーーーーーーー



ミューロック「っ!!」


"海"

先程まで死闘を繰り広げた夕日の海上

静かなる波しぶきが耳に伝わる


ミューロック「戻っ...た....?」


ミューロック「っ!まさか...」


思考を整理する

最後に見たのは彼のあの瞳

途端に私は...あの世界に迷い混んだ...


ミューロック (精神攻撃か...) 


ミューロック「クソ...!!」


ミューロック「ゲスが...」


ミューロック (姑息なマネを...!)


卑劣極まりない攻撃

ましてや自らの親とも言える存在を侮辱した

正々堂々と戦わず姑息な手を使った彼に対し怒りの感情が増幅する


ミューロック (三流が...そんな攻撃が通用するとでも....)


ミューロック (ふぅ...いや落ち着け私...)


ミューロック (理性を忘れるな...恐らく彼は龍驤達の元に向かっているはず...)


ミューロック (早く向かわないと...)


艤装を再び再起動させ砂の力を頼りにあの仮面の捜索を始める

だが一つ...新たな違和感が彼女を襲う


ミューロック (....あれ?)


ミューロック「反応がない...?」


ミューロック (何故...まだそう遠くには...)


"静寂"

不気味なほどの静けさと彼女の不安を煽る閉鎖感が身体に染み込む


ミューロック (どうなってる...)


ミューロック (奴の精神世界からは解放されたはずじゃ...)


Front and back...

(表と裏...)


ミューロック「っ!?」


It seems distant and close...

(遠いようで近い...)


ミューロック「何!?何処から!?」


耳に伝う

響き渡るエコーが彼女に襲いかかる


ミューロック (何だ...まさかこれもあいつの...!)


No ... this is my own world

(違う...これは私自身の世界)


ミューロック「っ!」


ミューロック「私だけの...世界...?」 


Nice to meet you

(初めまして)

Another me...

(もう一人の私)


Finally found me...

(ようやく見つけてくれた...)


ミューロック「っ....!?」


鏡を見ているよう...

目の前には私が一番知る...いや知らざるを得ないモノがある

白い髪...黒いフード...青色の瞳...

間違えることはなかった、その正体は








"私"なのだから




ミューロック「私...?」


ミューロック?「見つけた...!」


ミューロック?「貴女を!!」


A.jglp6g6wgwh.xg...


ミューロック「えっ...?」


ミューロック「ぐっ!?」


目の前にいた"私"は闇に包まれ煙となり私の全てに介入を始める


ミューロック「ぐあ...!がぁっ....!」


激しい嘔吐感が襲い脳内を弄られる

拒絶反応を無視し"私"は強引にも私を支配していく


A.6gwg9wpgxgwgwmg6m

Ei3.69r9r ...


ミューロック?「ワタシは貴女...貴女はワタシ...」


D.3mpjg2jij.j@@dgm.m.ngmg

M.egmgmpwmp6ptpwpwp

Jpdgmgmpkglpapkr22i2q36r6r9y...


ミューロック?「受け入れてワタシを...そして一つに...」


A.agnp5wp6pw

Dpmgjg6mgxgwg

Dpmpwpxpmpdp6q6pxp,p

A.b@emg3g9gwpwpnpmpmp...










 












「一つになりましょう...?」



ーーーーーーーーーーーーー



龍驤「ぐあっ!!」


能代「り、龍驤!」


仮面「....フンッ...」


龍驤「くそっ...!」


龍驤 (傷一つ付けられず...全員大破やと!?)


龍驤 (何者なんや奴は!!)


球磨「ぐっ...!」


仮面 (やはり...愚かで醜い存在...)


仮面「次で終わらせる...眠れ...」


一同「っ!」


圧倒的な差で相手を蹴散らし最期の止めを刺す

その為の体制を取った瞬間...


HEAVEN-DRIVE


仮面「っ!!」


咄嗟に掴んだ砂の槍は今まで以上に殺意が含まれていた


仮面 (これは...まさか!?)


A.jpkpmgngngmgmdgmg

Dgmgkgmgnpdpj

Dgd.agagj


一同「っ!!」


ミューロック「....」


初霜「ミュ、ミューロックさん....?」


HEAVEN-DRIVE


一同「えっ?」


仮面「はっ...?」


ミューロック「a.jpjdgmgwg」


仮面「おわっ!?」


一同「きゃぁ!?」


先程とはまるで別人の顔をしている

目から生気は消え正気ではない雰囲気を醸し出しながら砂の槍を味方を巻き込み攻撃を行う


仮面 (こいつ!仲間がいるというのに!?)


初霜「ちょミューロックさん!?」


龍驤「どうしたんや!?」


HEAVEN-DRIVE...HEAVEN-DRIVE...!!!


艦娘達「うわっ!?」


仮面「ぐっ...!!」


彼女達の呼び掛けは届かず、なりふり構わず砂の槍を放つ


仮面「正気かあいつ!?」



ーーーーーーーーーーーー


ミeュagjーロッdgdク「アッハハハハッ!!」


ミnp9ューロegックdga「消えろ....消えろォ!!」


「やめて....やめて!!」


@ミeュepーfgd ロックa.j 「チッ...」


「があっ!?」


心臓を握りつぶされる感覚が襲い息は続かず地獄のような激痛か続く


Egミfgdg ューe ロッaク「黙って見てなさいよ....私...」


ミegd.mzューロdgmpックgjg「ワタシに身を任せればいいのよ...」


ミ5ュdーロbcqwック@「そうすれば...貴女は苦しまない...そして強くなれる」


「何...を...!」


Emg ミュzーdmpnpロックd.jg「いいわこの身体...!最高....!!」


ミopmpューロemp,ックdgj「ハハハハハハハハハハハッ!!」


「や...め...」


「やめ...ろ...!」



ーーーーーーーーーーー



ミューロック「ag5gwg9」


仮面「っ!?」


仮面 (完全に目がイってる...)


ミューロック「agd.6.mw@@@」HEAVEN-DRIVE


艦娘達「うわぁ!!」


仮面「っ!!」


止まらぬ彼女の暴走

自身の能力とは違う...

また別の何かが要因してる

だが、それを考察する時間はなく無差別攻撃を続ける


球磨「ミューロック!どうしたクマ!?」


飛鷹「私達が分からないというの!?」


能代「ぐっ...!」


能代「ここはまずい...全員待避を...」


龍驤「はっ!能代!上!!」


能代「えっ?」


ミューロック「agajgj.n.wg」


能代「ぐぁぁぁ!!」


一瞬目を離した隙をつかれ疲労した身体に強烈な蹴りを叩き込まれ吹き飛ばされる


仮面「.....」


初霜「能代さん!!」


初霜「っ!!」


ミューロック「a.jhmdg」


初霜「い、いや....やめて...」


迫る

一歩一歩

狂気に満たされた彼女の殺意を感じる

恐怖に支配され足はすくみ呂律が回らなくなる


ミューロック「jg5gt.gxgmgmg」


ミューロック「@@@@@@」


初霜「っ!」


HEAVEN-DRIVE


初霜「ヒッ...!」


龍驤「っ!初霜!!」


鋭利な砂の槍が彼女の心臓を貫く











"天照"




初霜「っ!?」


だが...貫こうとした砂は黒い炎を包まれ間一髪で難を逃れる


ミューロック「a?gjg?jtp??wp..????」


仮面「チッ...」


仮面「見てられないな...」



"吸佐能乎"



一同「っ!?」


一瞬怯んだ隙を逃がさず直ぐ様反撃の"印"を示す

巨大な漆黒の"拳"が出現し彼女の身体全体にストレートを叩き込み数メートルぶっ飛ばす


ミューロック「egjl.d.w.w....」


初霜「えっ....?」


能代「な、何故....」


仮面「お前らなんて簡単に殺せる」


仮面「だが...それ以上に俺にとって脅威が存在してる今、お前らは戦闘の邪魔だ」


仮面「すっこんでろ」


龍驤「あ、あんた....」


飛鷹「と、とりあえず皆を避難させて!!」


球磨「わ、分かったクマ!!」


彼の大雑把な指示の通りに全員は彼女の凶行の被害に合わない距離まで安全圏へ移動する


仮面「....」


仮面「チッ...」


"不本意"

自分が最も恨んでいる艦娘に今後、再び手を貸すことはないだろう、あいつを除き...

だが...今はそんなことを言っている場合ではない

本気を出さなければならない状況の中、彼女達に構ったり怨みを向ける余裕はない


仮面「さて...」


仮面「化け物退治と行くか...」



ーーーーーーーーーー



ミューロック「.....」


ミューロック「a.a.jmgmpm...!,!!!mgmg」


仮面「っ....!」


クリティカルを決め並大抵の艦娘であれば一撃であの世にいくほどの攻撃

だが彼女は、もろともせず、再び不安定な機械のように声質を変えず呂律が回らない口調で意味のない文字を並べる



仮面 (やはり...死んではいなかったか...)


ミューロック「a.agkpjpjwgw.」


仮面「っ!!」


仮面「チッ!!」


ミューロック「!!zz@3wg!」


再び彼に襲いかかる、彼女の砂の連撃

どうにか度重なる攻撃を防ぐが、反撃に切り替える機会はなく防戦が続く


仮面 (速い...)


仮面 (こいつ...幸光以上に強い...!)


自らの油断と彼の能力に悩まされ彼には苦戦をしてしまう

だが彼は能力依存、素の能力ではこちらが上

本気を出せば彼も"月"も容易に倒すことが出来る


しかし彼女は違う

能力の強さにプラスし素の戦闘センスも自分達や幸光、いやそれ以上に高く"艦娘"という域を超えた存在だと痛感する


仮面 (まさか一番の脅威が...艦娘だとはな...)


仮面 (だが...!)


仮面「はぁっ!!」


ミューロック「d.j.twp,p????」


間合いを取り、砂を避け彼女の懐に刀を叩き込む

結局は砂によって防がれたが、恐らく本気の彼女に対して初めて攻撃を成功させる


仮面 (スピードも攻撃力も化け物...)


仮面 (だが...技一つ一つに精密性はなく荒い...)


仮面 (そこを漬け込めば....!)



ーーーーーーーー


ミmg3mgュogーロdmック「チッ...邪魔すんなよ」


「がぁぁぁ!?」


ミegdgm ューmロックj.jg「手元が狂う」


再び心臓を握り潰されたような激痛が走る


ミlgューbbロmgック「そろそろ大人しくなりなよ私...」


Eミepュdmーロックa.「身を預けてればいいのよ....そうすれば貴女は確実なる強さを手に入れる」


Dミfpwュfp ーロックdgm 「最高じゃない?誰も寄せ付けない圧倒的な象徴の力というのは...!!」


「そんな...力...私は望んでない!!」


Apミュdーロd3zzックdg「いや望んでる、だからワタシが存在する...」


「えっ...?」


.@ミ88ュep ーロックd「ワタシと貴女は同じ....ワタシであり私」


A.mミffffューdmpロック@「一心同体、だからこそお互いが真実である...立場が違うだけで...」


D.mwgミュdmpwーロックd.6p「故にこのワタシも真実!!貴女は心の底では力を求めている!他者を寄せ付けないほどの!!」


Egwミュdp,ーロックdg「それをワタシは思い出させてるだけ!!これは新たな感情ではない...貴女が生まれたその時からあるモノ!!」


「ある...モノ...!?」


受け入れられない

目の前にいる自分の皮を被った悪魔が私自身であることに

こんな残虐で人を陥れる性格なんて私が一番嫌っているモノ

それが...それ自体が...私...?


「違う...違う!!」


ミmwpュdーロックu!!「受け入れなさい、これが貴女!!これが真実だ!!」


「っ...!」













真実.....?













これが...私....?















それが本当の......?
























違う....

























こんなの...私じゃない....



























「こんなの...私じゃない!!!!」


Mgjmgm.mpxpopjp,p

MptpwpW!!!mgmgwpw

Jlg3gkgkgdgegdgpmgwpwdp

6mpmpjpmgwmwpwPwpwp

Bcrcpjz66p3oOLVydpapjpfq


Jg@ミュ!!?!?ーロック@!,!!!?「っ!?」


ミomp,ュー!!?-p9ppロック!!!「馬鹿な...拒絶してる!?何故だ!?」


「アァァァァァァァ!!!」


A.wミz!!!!!!ュー!!?!?ロックm.mg!!?「っ!?」


融合した私とワタシ

だが...私はワタシを否定しワタシはワタシでいられなくなる

プログラムが犯され徐々に二人は分離を始める


!!.@@@!??!ミュー!!!?ロック@@「馬鹿な!?クソッ...!やめろ!!ワタシに戻れェ!!」


「無理なことね...貴女を私は受け入れない!!」


「これは私じゃない!!」


「本物の自分は...」


ミューロック「私だ!!」


!?!ミュ!?!ー!?ロ!!ック!?!?!?「グッ!!」



ーーーーーーーーーー



ミューロック「ag..m」


仮面「っ....!」


仮面 (何だ...動きが止まった...?)


先程まで誰も止められないほど大暴れしていた彼女は一転してまるで電源を切られたロボットのようにピクリとも動かなくなってしまった


ミューロック「....」


仮面 (何だ...何が起きてる...!?)


仮面 (だが...何かが要因で封じられているというのなら...!)


これ以上のないチャンスと判断した彼は再び刀を持ち替える


仮面 (今は心臓ががら空き...狙うならそこだ!!)


仮面「ふぅ...」


震える息を整え素早い"印"を描く


"天照"


彼女の目の前に黒き炎が出現し...


仮面「はぁぁぁぁ!!」


黒炎を纏い彼女の心臓目掛けて、改心の一撃を放つ


ミューロック「....」


仮面「.....」


彼女から砂がこぼれ落ちるのと刀には確実な感触があり、直感的に勝利を確信する


仮面 (終わった...か...)


仮面 (ここまで苦戦したのは初めてだが...所詮はこの程度だ...)


仮面「....ん?」


何かがおかしい

引き抜こうとするも刀はまるで何かに縛られたように固定される


仮面「何だ...何故抜けない...?」


仮面「....はっ....?」


"砂"だ

砂が刀を絡め犯すように支配していく

黒炎は砂に浄化され刀には次第にヒビが入る


仮面「なっ!?」


仮面 (馬鹿な!?砂だと!?)


「A.k4mp!!!!!!」


仮面「っ....!」


彼女の心臓を突き刺したと思われた改心の一撃

だがそれは彼が勝手に錯覚していたまやかし

突き刺した部分は徐々に砂へと変貌しフェイクだということが判明する


仮面 (砂の囮...!?では本体は...)


「@@@@@@g6g!!!!!!!!」


仮面「っ!」


殺気を感じる

咄嗟に後ろを向き対処しようとするも既に遅く


仮面「ぐあっ!?」


再び砂槍の雨の餌食となり装甲を傷つけられながら吹き飛ばされる


仮面「ぐっ...!」


仮面「ば、馬鹿な...!!」


ミューロック「......」


仮面「こんなことが...!」


仮面 (どうする....要請するか...)


仮面 (駄目だ!その時間は...)


ザッ....


仮面「っ!」


ミューロック「gajgjpmpmpdiediediemqxp」


ほんの僅かな思考の時間

だがその僅かは彼女が彼に近づくのには容易な秒数であった


仮面「しまっ...!」


再び振り上げられる彼女の手

上空には巨大な殺意の砂が彼をいまかいまかと押し潰そうとしている

全ては振り上げられた彼女の右手に掛かっている、だが答えは明白であった


ミューロック「mgmgkg END dmgz!!!!!」


END その言葉と共に再び彼女の右腕は振り下ろされる


ローム「っ...!」


ローム (何だ...まさか暴走が終わってない...?)


ローム (敗れたというのか...?)


ローム「.....」


ローム「...仕方ない」


常に浮かべていた不適な笑みが彼女から消え「....仕方ない」の言葉と共に右腕を上げプランの修正を図る   



ーーーーーーーーー




プランは修正された

彼女の計画とは全く違う結果で




ミューロック「!!!?!vg6g9g,!???」


一同「っ!?」


仮面「なっ...!?」


ローム「っ...!」


彼女を貫いたのは二つの深緑に閃光する弾丸

腕と足に被弾したちまち彼女はその場へ崩れ込み無力化される



仮面 (馬鹿な狙撃か!?)


仮面 (一体何処から...!?)


ローム (あの弾丸....)


ローム  (っ!まさか...!)



ーーーーーーーーーー



ー湯原鎮守府 屋上ー


ドーリア「.....」


日が沈みかけている夕日をバックに彼女は風を感じる


ドーリア (穏やかじゃない....泣いている...)


ドーリア (....うまく行ってないのね)


その言葉と同時に、彼女は右腕に担がれたモノから高級な布を勢いよく剥がす

剥がされた布の中にはボルトアクションに似たスナイパーライフルが一丁存在した


ドーリア (久々に使うわね....)


彼女がポケットから取り出した黒を基調としたケースには1ダースの綺麗に並べられた深緑の弾丸

そこから二発を抜き取りライフルへの装填を始める


サウンドサプレッサーやスコープを慣れた手つきで組み立て数秒で狙撃態勢に入る


ドーリア「ふぅ....」


息を吐き神経を尖らせ目標に目掛けて照準を合わせる


ドーリア「.....ごめんなさい」


数秒の沈黙の後、その言葉と共に二発の弾丸が彼女に目掛けて発射される




後書き

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このSSへの評価

11件評価されています


S.L.KⅡさんから
2021-05-10 21:02:17

あだっちさんから
2021-05-10 00:48:45

伝説の加治屋さんから
2021-05-03 02:03:07

艦との希望さんから
2021-04-20 01:44:48

K,Eさんから
2021-03-30 07:37:00

多聞丸さんから
2021-03-29 23:23:28

SS好きの名無しさんから
2021-03-25 16:44:23

seiさんから
2021-03-21 10:13:17

Right さんから
2021-03-19 20:35:33

セロリさんから
2021-03-19 15:56:09

SS好きの名無しさんから
2021-03-19 14:44:48

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3代目SLKさんから
2022-12-12 20:44:13

S.L.KⅡさんから
2021-05-10 21:02:18

あだっちさんから
2021-05-10 00:48:47

伝説の加治屋さんから
2021-05-03 02:03:05

艦との希望さんから
2021-04-20 01:44:49

K,Eさんから
2021-03-30 07:37:00

多聞丸さんから
2021-03-29 23:23:28

SS好きの名無しさんから
2021-03-25 16:44:25

seiさんから
2021-03-21 10:13:19

セロリさんから
2021-03-20 13:20:39

Right さんから
2021-03-19 20:35:30

SS好きの名無しさんから
2021-03-19 14:44:49

このSSへのコメント

1件コメントされています

1: sei 2021-03-21 10:14:31 ID: S:TzPRhc

明石辺りが興味津々にミューロック独自の兵装を開発しそう


このSSへのオススメ

5件オススメされています

1: Right 2021-03-19 20:35:58 ID: S:Tx5_GA

続編期待しています!

2: sei 2021-03-21 20:23:01 ID: S:n4e2nN

続編wktk

3: SS好きの名無しさん 2021-03-25 16:44:38 ID: S:R8AQof

コラボ楽しみにしてます!

4: 多聞丸 2021-03-29 23:24:08 ID: S:WjENZ-

この度、逃亡提督の話題を出してくれてありがとうございます。コラボよろしくお願いします。

5: K,E 2021-03-30 07:37:10 ID: S:6GezSO

ファイトです!


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