2016-08-28 08:07:53 更新

概要

提督が着任して一ヶ月経った頃。元秘書艦兼提督の肩書きも無くなり、長門の自由な時間が増えてきたので、以前のメンバーを集めてまた息抜きを始めた…


ー期待などしていない


ー何故でしょうね?


ー…引っ掛かったな。


ーいや、違うだろ。


ー頭が悪いだろお前は!


ーお腹が空きますね。



様々な声が扉の向こうから聞こえてくる。この部屋には『執務室』と書かれた札が立て掛けてあった。

部屋の名前に似合わず騒がしいのには理由がある。今回のお話はその執務室で行われた『2回目』の出来事のお話である…




1回目の出来事↓








他愛のない話。





執務室内にて…


長門「久々にこのメンバーが集まったな!」


高雄「最近、私と赤城さんが忙しかったからですね〜」


赤城「そうですね。大食い大会の練習は本当辛いんですよ」


長門「は?」


赤城「来週の日曜日にやるんですよねー、楽しみですわー」


長門「おい、聞いていないぞそんな話!」


赤城「だって主催者は私ですし、長門さんには言ってませんし」


長門「行事を行う際は、事前に私に連絡するはずだったろ!何故連絡をしない!」


赤城「しましたよ?提督に」


長門「なんだと!?」ツカツカツカ…


バァン!!


赤城の発言を聞き、すぐに提督の作業机に詰め寄り、机を叩く長門。

まだ、提督の事は根に持っているようだ…


tips

長門と提督の溝

何故、提督と長門が不仲なのかというと、以前単冠湾には提督がおらず長門が秘書艦兼提督だったが、ある日突然提督が着任した為長門は提督の肩書きを外された。

だが、それだけだったならあまり問題は無かったが、提督はとある理由により長門に対してバックドロップを仕掛け大破まで追い込んだのである。

長門の不仲の原因は提督の事も多少はあるが、実際の所大破にさせられたのがメインなのだ。


宣伝ばかりで申し訳ないが、一応こちらも貼っておきます…

↓長門が大破した原因。





長門「貴様。赤城からそんな話を聞いたのか?」


提督「聞いたね、確かに。…あと、机を思い切り叩かないで欲しいよ。ヒビが入ったんだけど…」


長門「黙れ。いま、重要なのはその大食い大会の許可を出したかどうかだ」


提督「あー…、うん。許可したね」


長門「なんて事を…!こいつ(赤城)の食事のタチの悪さは知っているだろ!大食い大会なんて開いたら資源が枯渇するぞ!!」


赤城「私は一向に構いませんが?」


長門「構うわ!個人の問題ならともかく、単冠湾全体の問題になるんだぞ!そんなのは中止だ中止!!」


陸奥「あらあら、残念だったわね赤城さん」


赤城「ふっ…、甘いですね!最終的な決定権は提督にあるんです。提督が中止と言わない限り大食い大会は…

提督「それは困るな…、大食い大会は中止で」


赤城「あれー!?」

あっさりと中止にさせられた為、驚く赤城。…当たり前だろ。


提督「代わりに、早食い大会にするからさ」


赤城「なら良し!」


陸奥「良いのね…」



長門「ところで赤城。さっきお前は大食い大会の練習と言っていたが、具体的になにをしたんだ?」


赤城「…」シラー…


長門「目を反らすな!」


赤城「ひぃ?!怖いです!無理無理無理無理…」


陸奥「あらあら、長門。あんまり脅しちゃダメよ?」


長門「脅してはないだろ。私は練習内容を聞いているだけで…」


赤城「ボーキ…1日に…1000ずつ…」


長門「凄い不穏な事を言ったぞコイツ!ボーキサイト1000をどうした?!食ったのか!?食ったのか!!」


高雄「まぁ、それくらいにして。今日は久々にクイズをするんですよね?そういう話は後で良いじゃないですか」


長門「いや、良くはないのだが…。……ええい、後だ!後で赤城問い詰めるからな!」


赤城「うわぁ怖ぇ!!ビッグセブンとか恐ろしいわぁ!!」





提督「赤城、キャラがもはや原型留めてないから…」

こっそりとツッコミを入れる提督であった…





CASE1 診断結果



長門「では、そろそろ始めるか…。不本意ながら提督も参加する事になった」


提督「執務室でするからだよ。なんで他の部屋でしないのさ?」


長門「前々からここで息抜きをしてたからだ。あと、他の部屋でするのは気に食わん」


高雄「強情ですね!」


陸奥「長門はよく執着するのよね」


長門「陸奥。私の短所みたいに扱うな!」


陸奥「あら、ごめんなさい♪」



長門「くっ、もういい問題を出すぞ。最初の問題だから簡単な問題だ」



ある日の事。単冠湾泊地で半年に一度ある定期健康診断がありました。

血液検査、身長、体重測定、視力検査などなど…

そして、身体に異常があった場合。病院に行くのを推奨されます。


それで今回の健康診断で病院に行くのを推奨された艦娘は3名。


隼鷹、浜風、初雪だった。


隼鷹は言うまでもなく、酒の飲み過ぎによる肝臓の悪化。


浜風は磯風の料理の食べ過ぎによる胃の異常。


そして、初雪だが本人曰く「けっこう悪い症状」と言っており心配していた。


さて、初雪はどこが悪い?




高雄「ドライアイ」


長門「それは初雪の本当に病気の奴だろ」


陸奥「コミュ症」


長門「失礼だろ」



赤城「ボトr…

長門「殺すぞ…!」ガシッ!!



赤城「え、ちょ…なんで私だけ扱いが!?」


提督「赤城、それは流石に…」


高雄「引きますね…」





ガスッ…。


長門「…で。真面目に考えてくれよ?」


赤城「はい、すいませんでした!!」中破


陸奥「無言の腹パンで赤城が中破したわね」


提督「しかも、本気じゃないからね…。本気出したら僕の身体ならパーツが破損するね」


高雄「提督の装甲でも耐えられない物もあるんですね」


提督「いや、長門の力がおかしいだけだから…」



長門「そこ、聞こえてるぞ?」


高雄、提督「「はっ、失礼しました!」」



長門「何故私がこんなに疲れないといけないんだ…」


陸奥「この問題って医学的知識は必要なのかしら?」


長門「いや、別に。症状だからな。足のむくみとか、不眠症とか」



高雄「うーん…。初雪さんの生活習慣が悪いのでどうしても別の病気とかを考えてしまいますね」




提督「…」

提督は、ふと考える。…病気じゃなくて

何故症状なのだろう?

そして、恐らくヒントであろう結構悪い症状…



………ん?



提督「長門。この問題の答えの症状って大した事ない症状なんだろ?」


長門「結構悪い症状と言っているのにか?」


赤城「そうですよ提督。初雪の臺詞にはけっこう悪い症状って書いてあるじゃないですか!」


提督「そうだね」


赤城「いや、なら何故提督は大した事ない症状と質問したんですか?」


提督「多分この問題の答えが分かったからかな」


陸奥「ふーん、提督の考えを聞いてみたいわね」







………。





……。




…。






提督「まず、この問題文を見てほしいんだけど。この初雪の『けっこう悪い症状』って臺詞。少し違和感を覚えない?」


高雄「…言われてみれば少しありますね。けっこうって漢字で書いてない辺りが」


赤城「あれ、この臺詞ってそういうものじゃないですか?」


高雄「問題は初雪さんの症状ですし、ヒントがあるとしたらここくらいしかありませんしね」


陸奥「結構悪い症状でも、普通にわかるものよね」




提督「そうなんだよ。普通にわかるのにわざわざ平仮名にするなんて違和感があるよね?」


赤城「という事は、もともとこのけっこうって文字は別の漢字だったと?」


長門「…」




高雄「別の漢字…。なるほど!そう考えると答えが見えてきますね!」


提督「そろそろみんなも気づく頃かな。そう。このけっこう悪い症状って臺詞はヒントじゃなくて実は答えだったんだ」



陸奥「ヒントをすっ飛ばして答えは珍しいわね」


提督「じゃあこの臺詞の本当の意味を今から答えるね」




『血行悪い症状』





提督「…だろ長門?」



長門「…あぁ。最初に答えにたどり着いたのが提督なのが気に食わんが正解だ」



高雄「おお!提督やりましたね!」ダキッ!


提督「うわっ!?なんで急に抱きつく!」


赤城「羨ましいですね〜、高雄の胸が柔らかそうで〜」


提督「そういうのいいから!」


赤城「高雄さん、あんまりふざけると摩耶さんに膝蹴りされますよ?」


高雄「あ、それはまずいですね」さっ…


提督「ほっ、ようやく離れた…」





陸奥「最初の問題は提督に解かれちゃったわね」


長門「くっ、だが次の問題はそうはいかんぞ!」









CASE2 新素材で建造を




長門「少し難しい問題だな。ちょっとした知識がないと分からないかもしれない」


赤城「うわ、ズルいですよそれ!私そんなに知識ないんですよ?」


長門「自分で言うのか…、アルミニウムくらいは知ってるだろ?」


赤城「あー、アルミニウムですか!ちょっとほろ苦いですよねあれ」


高雄「食べたんですか!?」


赤城「はい。とりあえず口に入れましたね」


長門「味とかの知識はいらないが…、アルミニウムさえ知ってればそれで良い」



問題

ここ、単冠湾では新しい資材の運用としてアルミニウムを建造に用いようと計画されていた。発案者は夕張と明石。


明石は夕張に1000円札を握らせ、近くのアルミニウム工場から1kg買ってきてほしいと頼まれた。


だが、アルミニウム工場で事故が起きたため、アルミニウムを生産するには1週間はかかるそうだ。


明石はできるだけ早く欲しいと思っており、出来れば今日中にアルミニウム1kgを手に入れたい。そこで夕張はとある方法でアルミニウム1kgを手に入れたのだが…


さて、その方法とは?




赤城「ま、まさか密輸…!」


長門「アルミニウムを密輸する意味が分からないが」


高雄「というか、アルミニウム工場でアルミニウムを1000円で1kg買えるものですかね?」


長門「手数料込みだと知らん」


赤城「明石は意地悪、と」


長門「あくまで問題だからな」



陸奥「ヒントはないのかしら?」


長門「ヒントか。まー、単冠湾には様々な店や建物があるな。温泉、レストラン、コンビニなどなど」


提督「ボウリング場とか?」


長門「…まぁ、要するに。『読者の知る、建物、店が単冠湾にあると思ってくれ』」


高雄「ラーメン屋もですか!」


長門「食いつく所がおかしくないか?」


赤城「食べ物だけに?」


陸奥「あら、少し美味いわね。…食べ物だけに」


長門「…くだらん」



赤城「あっ、拗ねた」


陸奥「ま、私はこの問題解けたから良いけど」


高雄「私もです!」



赤城「えっ、早っ!?」




………。




……。





…。





高雄「とりあえず赤城さんに質問です。アルミニウムが使われている物や製品でなにが思いつきますか?」



赤城「えーと……、うーん………!アルミ缶ですかね?」


陸奥「長く考えた割には普通の回答ね」


赤城「良いじゃないですか普通で!普通最高!!」


高雄「あはは…、では、1000円札でアルミ缶を集めるのは非効率ですよね?というか、お金を使う意味がないですし。それなら近所の公園とかで地道に空き缶を集めればお金は要らない話です」


赤城「つまり、なるべく手早くお金を使ってアルミニウムを手に入れないといけない。1kgも」


高雄「この明石さんと夕張さんの会話内容を想像すれば案外面白いですよね」


陸奥「明石の無茶振りに逆切れする夕張…面白いわね、それ」


高雄「で、夕張は引き受けると」






幻創囘想始マリ。




明石「夕張さーん。ちょっとすぐ近くのアルミニウム工場でアルミニウム1kg買ってきてくれません?」


夕張「あ、はい。分かりましたー!…ってアルミニウム工場は事故で今、休業中ですよ!」


明石「あら、残念ですねー。あそこで頼むと1000円で買えるのに…、まぁ工場じゃなくても1kg同じ重さで『交換』できる場所があるから交換してきてよ」


夕張「はい?どこにそんな場所があるんですか?阿保らしい…」


明石「まぁ、頭もノット数も遅い君には無理ですよねぇ〜。あはは、悪かったです。今の話は忘れてください」スタスタ…


夕張「待ちなさい!」


明石「…はい?」にこぉ…



らぁ…




明石「なんですか?」


夕張「出来らぁっ!」



明石「へぇ、夕張さんが?」


夕張「1000円、同じ値段でアルミニウム1kgを交換出来るって言ったんだよ!!」



明石「ほほう、言うからにはできるんでしょうね〜。こりゃあどうしても同じ値段。1000円でアルミニウムを交換してもらうしかないですねぇ」ニヤニヤ…



夕張「えっ!?同じ値段でアルミニウムを!?」




幻創囘想終ハリ。




赤城「おい。そのネタしってるぞ。スーパー食いしん坊だろ?」


高雄「ぐぐ、流石赤城さん。料理漫画にも詳しかった…」


赤城「無理やりそういうネタを捩じ込んでもね…、誰も得しないから…」


高雄「すびばせんっ…」ぐすっ…




提督(丸め込まれちゃったよ…)



陸奥「ま、その料理ネタは良いけど。重要なヒントがあったわよね。交換って」


赤城「ああ、言ってましたねそんなこと」


陸奥「赤城だったら、1000円札でどうやって交換する?」


赤城「…ちょっと難しい質問ですねー。とりあえずコンビニで食べ物を買って…」


長門「アルミニウムを買え」ガシッ!!


赤城「あ゛っやめで!ほっへたとほっへだがマジでくっつく!!」


高雄「やれやれですね…、じゃあ大ヒントですよ赤城さん。1000円札を銀行に持って行くんですよ」


赤城「銀行…、何故?」



陸奥「まさか…」


高雄「…あれ?赤城さん。もしかして、ご存知ないのですか?」


赤城「何がですか?」



陸奥「あらら」


高雄「一円玉は何で出来ているんですかっ!!!」ばぁん!


赤城「え!?机を叩くほどの事なの?!…………銅」


高雄「あぁん?!」


赤城「ひぃっ!!………アルミニウム?」


高雄「正解です!やれば出来るじゃあないですか!!」


赤城「えっ、本当!!やった!!当たった!!!」


ワーワー!!



提督(…)


長門(…)




提督・長門((馬鹿すぎる…))




tips

1円玉について。


何故、銀行で一円玉を交換するのかというと、先程述べた通り一円玉はアルミニウムで出来ている。しかも、一円玉の重さはほぼ1g 銀行などで交換をすれば沢山手に入る。

一円玉を1000枚交換も気が遠い話と思いきや、プラスチックのカバーに100枚1セットで交換できるのだ


昔は割と行われていた。


昔、硬貨コレクターの間では毎年銀行に行き、その年度の10円玉を100枚程交換するという行為があり。その年度の硬貨次第では10円が数万円の価値になることがある。


有名なのは50円の穴あきズレ、10円の印刷ミス。

余談だが、昔のお札には福耳というプレミアがある。値段は相当高い。気になる人は検索だ!








CASE3 密室殺人改




長門「じゃあ、次はお待ちかねの推理物だ!」


赤城「私は別に待ってませんけど…」


長門「お前は待ってなくても気にしないがな。待ちかねてるのは高雄と陸奥だからな」


高雄「はい、私は推理物大好きですよ!推理小説はオチから読みます!」


提督「いや、それ酷くないかい…」


高雄「逆に考えるんです。犯人が分かるからこそ、この場面でこの行動にはこういう意図があったのかって」


陸奥「多分高雄くらいよ、そういう読み方するの」


高雄「えぇ…」



長門「高雄の推理小説へのこだわりはさておきだ、今回は少し難しいかな」






7月某日。とあるマンションの一室から1人の遺体が発見された。

被害者は女性で、外傷などが見当たらなかった。被害者の横には遺書があったが、自殺にしては不可解な点があり。しかも被害者のマンションの部屋の電話回線が切断されており、被害者の携帯は発見されなかったので、事件の方面からも捜査している。


遺体が発見をするまでに、被害者宅の玄関、窓、あらゆる出入り口は鍵がかかっており誰も入れないようになっていた。

念のため全ての部屋を捜索し、犯人が潜んでいるか確かめたが犯人は居なかった。

それはそうだろう、犯人は呪いの力で被害者を殺したのだから…





長門「という内容だ。ちなみに、犯人は存在する。被害者の自殺ってオチでもないし、事故死でもない」


高雄「マジですか…、でも情報が足りませんね、質問をします。被害者は外傷はないが、毒物などを飲まされ殺害された?」


長門「毒物とかは使われていない、呪いだからな、毒物の反応はなかったさ」


陸奥「じゃあ、被害者のマンションの部屋は壁に大きな穴が空いていて、鍵がなくても自由に出入りができた」


長門「マンションの部屋はどこも壊れていない」



提督「外傷は無いのになんで死んでいるんだろう…」


長門「何故だろうな?」


赤城「毒とか使われてないんですよね?なのに外傷も無く死んでいるなら…。分かりました!被害者は自然死ですね!」


長門「ほう、例えばどんなのだ?」


赤城「被害者の女性は急に心筋梗塞にかかって、その場で死んでしまった。そうすれば全ての場所は鍵が掛かったままになるので密室殺人事件として成立します!」


長門「発想は良いが残念だな、被害者は心筋梗塞など、急に死んだわけではない。ついでにいうなら自然死でもない」


赤城「えっ…」


長門「きちんと犯人はいる。ちゃんと人が殺したさ」


高雄「自殺でも、事故死でもない。でも、殺人にしては外傷はない…不可解すぎますね…」


提督「確かに、被害者はどんな死因で死んだんだ?」


長門「答えられないな、呪いの力は複雑だからな」


提督「答えられないって事は被害者の死に方が『特殊』だってことか…」


高雄「では自殺にしては不可解な点があると書かれていましたが、何があるんですか?」


長門「うむ、被害者が自殺だと仮定するなら、何故こんな死に方をしたのだろうか?って事になるな」


陸奥「…毒物は使われてないのよね?」


長門「ああ」


陸奥「じゃあ、睡眠薬の多量摂取は?」


赤城「なるほど!!それなら、毒物には引っかかりませんね!」


長門「被害者は睡眠薬など、薬物で殺されなかった」


赤城「はい?!最早どうやって死んだんですか!?」


提督「本当にどんな死に方をしたんだ…?」



陸奥「まだよ、アレルギーの可能性。被害者は食べ物のアレルギーを持っていて、犯人が食べ物にこっそりと仕込み被害者のマンションに行って渡して帰る。そうして、あとから被害者がその食べ物を食べアレルギーの発作で死んでしまった!」


長門「なかなかやるが、…残念だが違うな。被害者はアレルギーなどを持っていない。食べ物を食べて死んではいない!」


高雄「ほ、他の死因でいきます!お風呂での溺死。被害者は浴槽になんらかの方法で溺れてしまった!」


長門「被害者は溺死ではない。被害者の部屋の床に倒れていた。リビングと言えばいいか?」


高雄「で、では。なんらかの方法で被害者の部屋は空気が遮断され、窒息死した!」


長門「被害者は窒息死ではない」


提督「…全く見当もつかないね。一通りの死因を上げたのに…」


赤城「でも、あれですよね。犯人がいるならどうやって被害者を殺したんでしょうね…鍵は全部掛かって、窓も開いていない。しかも犯人は部屋の外から殺した…」


長門「そうだな。犯人は部屋の中には入らずに外から呪って殺したからな」


高雄「犯人は部屋の中にいないで外から殺したんですか?おかしくないですかそれ。なんで被害者は窓や玄関から逃げなかったんですか?」


長門「マンションには窓があるがそれはベランダへの窓で、逃げたとしても飛び降りないと逃げれない。ついでにいうと、飛び降りたら即死する高さだ」


赤城「犯人は被害者を殺そうと包丁を持って玄関に待機していたら、出られませんね…」


長門「何日も玄関で待機してたら不審だろ」



赤城「そうですよねー、何日も待てませんよねー」



陸奥「ん?」




被害者の女性がもし、助けも呼べずしかも部屋から出られずに死ぬとしたら…?

しかも、言ってたわね。被害者の部屋の電話回線は切られ、携帯電話はなかった。

この可能性があるかも知れない!



陸奥「長門。質問があるわ、被害者は助けを呼べる事ができたかしら?」


長門「無理だな。携帯もないし、電話回線も切られていた。部屋は防音で叫んでも聞こえない」


陸奥「なら、最後に。被害者の遺体は痩せ細っていたかしら?」


長門「………質問には答えられないな」





陸奥「じゃあ決まりね。被害者はどうやって殺されたか分かったわ」



提督、高雄、赤城「「「!?」」」






…………。



……。



…。





陸奥「これは完全な密室事件であり。このマンションの一室には被害者しか存在しなかった。ここまでは良いわね?」


赤城「えっ?完全に密室なら殺しようがないんじゃないですか?」


陸奥「いえ、逆に密室だからこそ殺されてしまったのよ」


高雄「密室だから殺された…」



陸奥「想像してみなさい。密室で部屋の外に出られなくて長い長い時間閉じ込められたらどうなるか…」


赤城「そりゃ、お腹が空きますよね。冷蔵庫から物を取り出して食べますね」


高雄「でも、何日も密室の部屋に閉じ込められたら食料がなくなりますよね…、あっ!」


提督「なるほど…『餓死』ね」



陸奥「そう、被害者は何日も食事を取れずに死んだのよ」


赤城「いやいや、被害者が餓死だとしてもですよ?マンションの一室なんだから窓くらい壊して外に助けを求めれば助かりますよね?」


高雄「そういえばそうですよね。普通そんな状況に陥ったら窓を割ってでも助けを求めますよね」



提督「でも、窓とか扉は壊されてないってことだったから。被害者にはそれが出来ない理由があるはずだよね?それはどう説明するのかな?」



陸奥「そうね。助けを求めたくても求めれない人もいるんじゃないかしら?」


赤城「というと?」





陸奥「例えば『寝たきりの人』とか」


高雄「あっ…」


陸奥「被害者のマンションの電話線が切られていたのは外への連絡を遮断するため。被害者が半身付随とかその手の人ならこの事件は成立するわね。犯人は被害者を介護していた人が介護を放棄したか、故意に数日間どこかに出掛けたりとか」


赤城「な、なるほど!餓死は考えていませんでしたね」


陸奥「長門?これで良いかしら?」


長門「ああ、大体正解だ。被害者は要介護が必要で死因は餓死だ。犯人は介護に疲れて被害者に連絡を取れなくして失踪ってのがオチだ」



高雄「こう説明されるとあっさりとしたオチですけど断片的な情報だと如何にも密室殺人っぽい話になりましたね…」



長門「そうだな。……さて、次の問題で最後にするか」








last case 仲間外れ



長門「推理物は正直時間が掛かるからな。ここで、簡単な仲間外れクイズを出そうと思う」


赤城「仲間外れクイズ?どんなことをするんですか?」


長門「例題を出すとこうだな…」


長門、陸奥、赤城、高雄、提督


この中で仲間外れなのはどれ?


赤城「どれですか?」


長門「提督だな」


提督「えっ、なんでだい?」


長門「艦娘じゃないからだ」


提督「えー…」



高雄「つまりは難しく考えずに答えて良いわけですね」


長門「そんなところだ。だが、もし正解に近いような答えを見つけた場合、違う選択肢を選んでも正解にする可能性がある」


高雄「というと?」


長門「秋津風、秋津洲、雪風この中で仲間外れは秋がついてない雪風だとする。だが、秋津洲だけ駆逐艦ではないな。よって駆逐艦ではない秋津洲も仲間外れなので正解にする」


陸奥「そうなると結構幅が広がるわね」


長門「まぁ、早々そんなことは起きないさ。じゃあ出題するぞ!」



あかぎ、きたかみ、むつ、はぐろ


この中で仲間外れはどれ?




赤城「艦娘クイズですかね?」


陸奥「でも、平仮名書きってことはなにかあるはずよね」


高雄「分かりました!赤城さん以外全員改二がある!」


長門「…お。それも正解だな」



陸奥「それもって事は他にも答えがあるのね…」


赤城「考えるのには体力が要ります。甘いもの甘いもの…」


高雄「ただオヤツをねだってるだけじゃないですか…」



提督「オヤツか…。みんな、今から果物剥くから何が良いか言ってよ」



赤城「メロン!高雄のメロン!!」


高雄「このセクハラ野郎!ぶっ飛ばしますよ!!」


陸奥「じゃあ、スイカで」




提督「…スイカはないなぁ、代わりにこの果物を…ん?これ、もしかして…」





………。




……。




…。






提督「たぶん長門はここにある果物の中のある果物を見て問題を思いついたんだろうね」


長門「…ふん」



赤城「ま、まさか。高雄のメ…」



バキッ!グシャァ!?ガラガラ…


ポイッ。




陸奥「ちょっと!?赤城をボコボコにしたのは分かるけど、窓から捨てなくて良いでしょう!!」


高雄「…はぁ…。はぁ…!」


提督「耳に入ってないね…」




陸奥「ちょっと高雄と赤城を入渠させてくるわ!」グイッ!


高雄「うがぁあああああ!!」ずるずる…



長門「高雄はモンスターかなにかか…」




提督「…」


長門「…」




提督(き、気まずい…)



長門「…で。答えを一応聞いておこうか」


提督「りんごだろ?北上とか、赤城とかりんごの品種だからね」


長門「ちっ、サイボーグの癖に生意気な…」


提督(ただ答えただけだろ!?)




長門「気に入らん。正解するのが気に入らん。だから、もう一問だそうと思う。次は本気だからな?」



提督(何故、クイズ如きで本気を出されないといけないのだろうか…)






次のうち仲間外れはどれ?





クモ、タコ、カメ




提督「なんか、どれも仲間外れっぽいけどね」


長門「うるさいな。つべこべ言わずにさっさと答えてみろ!」


提督(産みの親の明石さん、夕張さん。長門さんの当たりが強いです…)






………。



…。





提督「多分だと思うけど。仲間外れは亀じゃないかな?亀は足が4本だけど、タコとクモは足が8本。これなら仲間外れの対象になるよね」


長門「ぐっ、バカな…何故分かった!」


提督(正解だった…、思いの外簡単だったけど…)



長門「…ありえん…」


提督「じゃあさ、逆に僕が出題して良いかな?」


長門「……は?」


提督「いやいや、続けて問題出される側の身にもなってほしいよ。たまには君も考えた方が良いと思ってさ」


長門「…良いだろう。貴様の出す問題なんか考える必要もないことを教えてやる!」


提督「ははは…、じゃあ僕の出題も仲間外れクイズだね」





A,E,F,H,K,N





提督「さて、仲間外れはどれかな?」


長門「………(さっぱり分からん…!)」



提督「ヒントはいるかい?」


長門「ふ、ふん。出したいのなら好きにすれば良い」


提督「(絶対出してほしいだろその返答…)じゃあお言葉に甘えて。英語の知識は必要ないよ。曜日の頭文字とか数字の英語とかじゃなく、純粋なアルファベットだよ」



長門「そんなのはヒントじゃないだろ!!」


提督「ええっ!!?」





………。




……。




…。






長門「…むぅ」


提督「…このリンゴ甘いな」クシャッ…



長門「お前サイボーグだろうが!食べなくても生きていけるだろ!」


提督「そうだけど、食べた方がやる気がでるんだよね」


長門「…ちっ」


提督「で。結局答えは分かったのかな?」


長門「そ、それは…」




ガチャ…



陸奥「なんとか2人ともドッグ入りさせたけど、赤城さんは7時間弱入渠するとは思わなかったわ…」


長門「陸奥!ちょうど良い。お前はこの問題どう思う?」


陸奥「どう思うって言われても、問題を聞いてないんだけど…」


提督「ああ、こういう問題なんだけど」




陸奥「あら、これくらい簡単よ」


長門「なんだと!?」


陸奥「長門、もしかしてまだ分かってないのかしら?」


長門「わ、分かってるに決まってるだろ!」


陸奥「ふーん。じゃあ正解は?」


長門「E、Eだろ!」


陸奥「理由は?」


長門「乙女の勘だ!」



提督「ぶはっ!!」


長門「なんだ?」


提督「いえ、なんでもないです(乙女の勘は吹き出すに決まってるだろ!)」


陸奥「そんなのは理由にならないわよ」



提督「もういいよ、これ以上引き延ばすのはグダるよ。答えはねEだけど、理由はアルファベットの画数だよ」


長門「画数?」



提督「アルファベットにも画数があるからね。Aは3画Fも3画だよね。でもEの画数は4画なんだよだから一つだけ画数の多かったEが仲間外れってことさ」


長門「な、なるほど…」


陸奥「あら、すぐ納得したわね」


長門「割と関心したからだよ」






今回のオチ



入渠ドッグ内…


高雄残り01:53:25


高雄「…ふぅ。ようやく落ち着きを取り戻しました」



赤城残り06:24:12



赤城「落ち着きを取り戻して良かったですね。私の両腕を折るとは思いませんでしたが!」


高雄「セクハラ発言ばかりする赤城さんが悪いんですよ!!」


赤城「確かに悪いとは思ってますけど、そのお返しに両腕を折った挙句窓から投げ捨てるとか殺人未遂でしょうが!」


高雄「私はこれでも赤城さんを信頼しているんですよ。どんなに怪我をしようとも赤城さんは生き残ると」


赤城「嬉しくない信頼をありがとうございます死ね!」


高雄「それにしても…はぁ。提督も鈍感ですよね」


赤城「?」


高雄「提督に抱きついたりしているのにあまり好かれませんし」


赤城「なんですか?高雄は提督のこと好きなんですか?」


高雄「割と」


赤城「普通に言いましたね…、でも残念ですね!提督の事が好きな艦娘は沢山いるんですよ!」


高雄「そうですね。だから、積極的に近づいているんですが…」


赤城「ま、大抵とくに何もなく時間だけが過ぎますよね」


高雄「提督にプレゼントを貰ったりしますが、だいたいお菓子ですし」


赤城「良いじゃないですかお菓子!赤城お菓子大好き!お前キライ!」


高雄「どさくさに紛れて悪口を言わないでくれません?」


赤城「高雄が私をボコボコにするからでしょ!…悪口を言うのは仕方ないじゃないですか、入渠時間長いですし。話をすることくらいしか楽しみがないですよ」


高雄「確かに。長いですよね入渠時間…」





高雄・赤城「「はぁ…」」



提督の周りには様々な艦娘がいるが、彼女達の好意に気付くのはだいぶ先の話である…




おしまい。


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