放課後　部室

穂乃果「みんなお待たせー！」ｶﾞﾗｯ

ことり「あれっ、まだ誰も来てないね」

穂乃果「それじゃあ、穂乃果たちが一番乗りだね！」

ことり「準備しながら待ってようか」

穂乃果「ねぇ、ことりちゃ～ん」ｷﾞｭｯ

ことり「ｷｬｯ、ﾎﾉｶﾁｬﾝ！？」ﾄﾞｷｯ

――

穂乃果「私たち…いま部室で二人っきりだよね？」

ことり「そ、そうだね」ﾄﾞｷﾄﾞｷ

穂乃果「まだみんな来ないだろうし…一緒にしよ？」ｻﾜｯ

ことり「ふえっ！？こ、こんな所で…」

穂乃果「ことりちゃん…穂乃果とじゃ、いや？」

ことり「そ、そんなことないよ！穂乃果ちゃんのことは大好きだよ！」

――

穂乃果「だよねー。穂乃果もことりちゃんのことが大好き！」

ことり「えへへ…」

穂乃果「それじゃ、楽しもっか？」ｷﾞｭｯ

ことり「穂乃果ちゃん…優しくしてね？」ﾁｭﾝ

穂乃果「プロレスごっこを！」

ことり「え？」

――

穂乃果「そりゃあっ！」ｽﾞﾝｯ

ことり「ガッ…！穂乃果ちゃん、苦しい…」ｸﾞｸﾞｯ

穂乃果「それそれっ！」ｸﾞｲｯ

ことり「ぐがッ…」ｼﾞﾀﾊﾞﾀ

穂乃果「えいっ！」

ことり「ち…ちゅんっ…」ｶﾞｸｯ

――

穂乃果「やったー！極まったー！」ｷｬｯｷｬｯ

ことり「」

花陽「こんにち…ﾋﾟｬｱ！穂乃果ちゃんがことりちゃんに魔性のスリーパーを！？」

凛「穂乃果ちゃん、何してるにゃー？」

穂乃果「プロレスごっこだよ！凛ちゃんも一緒にやろう！」

凛「望むところだにゃー！」

穂乃果「ふっふ～ん。音ノ木坂最強の座は誰にも渡さないよ！」ﾎﾟｲｯ

ことり「」ﾄﾞｻｯ

――

凛「これでもくらうにゃ！」ｸﾞｵｯ

花陽「凛ちゃんが身軽さを活かしたドロップキックを！」

穂乃果「ぐはっ！」ﾄﾞｺﾞｫ

凛「決まったにゃー！」

花陽「速い…いや、迅いッ！これなら穂乃果ちゃんもよけられない！」

――

穂乃果「ふふふ…この程度で倒れる高坂穂乃果じゃないよ」ﾕﾗﾘ

凛「効いてない！？」

花陽「よけられなかったんじゃない…よけなかったんだ！」

穂乃果「受け切るのはレスラーとしての礼儀だもんね」ﾆｺﾘ

凛「さすがだね、穂乃果ちゃん…」ｺﾞｸﾘ

穂乃果「凛ちゃん…決闘（ファイト）だよっ！」

――

凛「スピードなら負けないよ！」ﾀﾞｯ

花陽「凛ちゃんが突っ込んだ！」

凛「てぇいッ！」ｶﾞｯ

穂乃果「おっと」

凛「隙ありッ！」ﾌﾞﾝｯ

穂乃果「おふッ！」ｺﾞｯ

花陽「下段蹴りで注意を引いて…ローリングソバット！」

凛「そこだッ！」ｼｭｯ

パシーンッ

――

穂乃果「っ…！」

花陽「と、トラース・キックがまともに…！」

凛「まだまだっ！」

穂乃果「くっ…！」

凛「せいっ！」ｷﾞﾝｯ

穂乃果「うぐっ！」

――

花陽「ああっ！アームロックが完璧に…」

凛「穂乃果ちゃん、早くタップした方が身のためにゃー」ｸﾞｸﾞｸﾞｯ

穂乃果「ふふふ…凛ちゃんはテクニシャンだね」ｸﾞｯ

花陽「これは勝負あったかー！？」

穂乃果「…ふんっ！」ｸﾞｫｯ

凛「にゃ！？」ｸﾞﾙｯ

――

花陽「ま、まさかあの体勢からフェイントを挟んで切り返すなんて…！」

穂乃果「詰めが甘いよ、凛ちゃん」ｶﾞｼｯ

凛「しまったにゃ！？」

穂乃果「そうりゃあぁあああぁーッツッ！！」ｸﾞｵｵｯ

凛「にゃああああぁあー！？」

穂乃果「せぇいっ！」

ズドォン

――

凛「り…凛の負けにゃあ…」ﾌﾟｽﾌﾟｽ

花陽「ゆ、床に穴が開くほどのパワーボム…。すごい、穂乃果ちゃんにこれほどの実力があったなんて！」

穂乃果「アイドルたるもの、プロレスも嗜まないとね！」

花陽「すごいよ穂乃果ちゃん！パワー、技術、そして勝負勘…どれをとってもこの学院一だよ！」

穂乃果「えへへ、それほどでも」

にこ「ちょっと待ちなさい！」ｶﾞﾗｯ

――

穂乃果「あっ、にこちゃん。ちょうどいいや、一緒にプロレスごっこしよう！」

にこ「甘く見られたものだわ。この音ノ木坂プロレス研究会部長の矢澤にこに勝負を挑むとはね…」

真姫「ちょっと、にこちゃん。大丈夫なの？」

にこ「穂乃果ごときに負ける私じゃないわよ。快勝してにこにーダンスを決めてやるわ」

花陽「おぉーっと、両者早くも火花を散らしている！今年のμ’sJAPAN CUPは大荒れ必至の模様！」

真姫「…なんであんたがリングアナやってるのよ」

――

にこ「いいわ。その勝負…受けてやろうじゃないの！」ﾊﾟｼｯ

花陽「張ったー！矢澤選手、挨拶代りの平手打ちだーッ！」

穂乃果「そうこなっくちゃ♪」

ドゴッ

にこ「ぐがっ…！？」

花陽「高坂選手、張り合いと思わせていきなりの頭突きぃーッ！」

――

にこ「こ、こんなの聞いてないにこ…」ﾊﾞﾀｯ

穂乃果「わーん、つー、すりー♪」

花陽「秒殺！まさに秒殺ッ！高坂選手、頭突きから片エビ固めであっさりフォール！」

真姫「言わんこっちゃないわ」

穂乃果「にこちゃん…もう少し粘ると思ったのに、がっかりだよ」ﾌｩ

――

絵里「あらあら、ずいぶんと盛り上がってるようじゃない」

希「なんや、ことりちゃんと凛ちゃんとにこちゃんがノビてるで。スピリチュアルやね」

穂乃果「絵里ちゃ～ん。にこちゃんが弱すぎて話にならないよ。一緒にプロレスごっこしようよ！」

絵里「ふふふ、手加減しないわよ」

花陽「キターッ！レスリング大国、ロシアからの刺客！賢い、かわいいエリーチカがリングに上がったー！」

真姫「というか、練習もしないで遊んでていいの？海未に怒られても知らないわよ」

穂乃果「海未ちゃんなら今日は弓道部の練習でお休みだよ！というわけで、思う存分プロレスごっこしよう！」

絵里「負けないチカー！」

――

穂乃果「そぅれっ、一撃必殺だよ！」ﾌﾞﾝｯ

花陽「強烈なラリアット！かわせるか、絢瀬選手…！」

絵里「甘いわ。軌道が単調ね」ｽｯ

希「速いっ！さすがえりちや！」

絵里「はあッ！」ｼｭｯ

穂乃果「くっ！」ｶﾞｸｯ

花陽「突き刺すような低空ドロップキック！高坂選手、たまらず膝を着く！」

絵里「いただきよ！」ｶﾞｯ

――

花陽「渾身のタックル！本場のグラウンドテクニックだーッ！」

穂乃果「ぐぬぬ…そう簡単には関節にはいかせないよ！」

絵里「あら、ならこれはどうかしら？」

穂乃果「ぐっ…！」

花陽「絢瀬選手の長い手足が蛇のように絡みつく！高坂選手、逃げ切れるか！？」

絵里「無駄よ。あいにくここにはロープはないわ」

穂乃果「そ、そういえばそうだった！」

――

花陽「高坂選手、ここが部室だということをすっかり忘れていたー！」

絵里「さてと、そろそろ極めさせてもらうわ」

穂乃果「うぐっ！か、かはっ！」

花陽「極まったー！キャメルクラッチ！」

絵里「勝負あったわね」

――

穂乃果「ふ、ふふふ…」

花陽「おぉーっと。高坂選手、この状況で笑っている！脳に酸素が届かず発狂したかー！？」

絵里「意地を張らずに降参することね」ｸﾞｸﾞｯ

穂乃果「いいね。いいよ、絵里ちゃん。久しぶりに楽しめそうだよ」ｽｯ

絵里「えっ！？」

――

花陽「な、なんと高坂選手！首に極まっているにもかかわらず、立ち上がったー！」

絵里「う、嘘でしょ！？どうしてこの状況から…」

穂乃果「でぇええぇいッ！」ﾌﾞﾝｯ

絵里「きゃっ！？」ﾄﾞﾀｯ

花陽「な、投げ飛ばしたーッ！」

穂乃果「ふんっ！」ｸﾞｵｩ

ドスッ

絵里「あうっ！」

花陽「間髪入れずにエルボードロップ！」

――

穂乃果「さぁ、行くよ～」ｶﾞｼｯ

絵里「きゃあああぁ！」

穂乃果「でやぁああああぁあッ！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

絵里「チカー！！」

穂乃果「だっしゃあああぁああッッッ！！」ｸﾞｵｯ

ガシャーン

絵里「チカァ…」ｶﾞｸｯ

花陽「勝負あり！ジャイアントスイングで絢瀬選手リングアウトォー！」

希「えりち…見事な散り際やったで」ﾎﾛﾘ

真姫「ていうかこれ、部室がめちゃくちゃじゃない…」

にこ「に、にこのコレクションが…」

――

夜　穂乃果の部屋

穂乃果「いやー、今日は楽しかったなー」

海未「それは良かったですね」

穂乃果「う、海未ちゃん！？どこから入ってきたの！？」

海未「聞きましたよ、穂乃果。練習もせずにプロレスごっこをして楽しんでいたようですね」

穂乃果「あ、あはは…」

海未「部室もめちゃくちゃだそうですが」

穂乃果「ち、ちょっとはしゃぎすぎたかなー？」

海未「穂乃果」ｶﾞｼｯ

穂乃果「ひぃっ！眼が怖いよ、海未ちゃん！」

海未「いいですよ。そんなにプロレスが好きなら、私と夜のプロレスごっこをしてもらいましょうか」ｶﾞﾊﾞｯ

穂乃果「ﾀﾞ、ﾀﾞﾚｶﾀｽｹﾃｰ！」

おわり