「提督の大切なもの」
提督が大事にしていた食器を秋月が割ってしまい・・・
注:思いつきで書いた「超短文」です。
ガッシャーーン!!
執務室で響く音・・・何事かと思った村雨が扉を開けると、
「・・・・・・」
割れた食器を見て、わなわなと震えながら泣いている秋月さんの姿がありました。
しかも、割ってしまった食器が・・・提督のお気に入りのお皿!!
「ああ~~」
村雨も思わず焦ってしまう。
「とりあえず、掃除しましょ!」
2人で協力して何事もなかったかの状態まで片づけることができた・・・
「う~ん・・・」
村雨が悩む。
「どうしたらいいものか・・・」
・・・・・・
実は以前に、村雨は提督のお気に入りの食器を割っていた。
素直に提督に謝ったが、その後の言い訳に提督が怒ってしまう。
「本当に申し訳ありません。」
「・・・・・・」
「でも、私だってわざとやったわけではないんです。」
「・・・・・・」
「掃除していたら、手が滑ったというか・・・まぁ棚から落ちてしまったというか。」
「・・・・・・」
村雨は焦りつつ、笑いながら、
「ほら、こんな言葉があるでしょ? ”形あるものはいつか壊れる”って・・・」
「・・・・・・」
「・・・申し訳ありません。」
提督の真面目な顔に村雨はそれ以降口が聞けなかった・・・
・・・・・・
「・・・・・・」
秋月はまだ落ち込んでいる。
「秋月さん・・・」
村雨は肩に手をやって、
「素直に謝りましょ?」
「・・・はい。」
村雨に連れられて、秋月は提督がいる食堂へ向かった。
「司令! ご・・・ごめんなさい!」
秋月は提督に深々と頭を下げる。
「? どうしたの?」
状況が理解できない提督に、
「司令が大事にしていたお皿を・・・執務室に飾ってあったお皿を・・・割ってしまいました!!」
「・・・・・・」
「本当に・・・本当に・・・申し訳ありません!!」
「・・・・・・」
それを聞いて提督は秋月に近づく。
「・・・・・・」
秋月も怒られる覚悟はしていた・・・が、
「ケガはないか?」
「え・・・」
予想外の言葉に、
「だから、ケガはなかったか?」
「・・・はい、大丈夫です。」
「そうか・・・なら良かった。」
それだけ確認すると、提督は食堂から去っていった。
「・・・・・・」
秋月はしばらく提督の後姿を見つめていた。
・・・・・・
「あの、司令・・・。」
執務室で仕事をしていた、提督に秋月が言い寄った。
「ごめんなさい・・・」
「ああ、もういいよ。 ケガをしなかっただけ良かった。」
「司令?」
「あくまで大事なのは秋月だから・・・1枚の皿位で怒ったりはしないよ。」
「・・・・・・」
「わかったなら、もう遅いからさっさと寝なさい、 明日は早いんだろう?」
「・・・は、はい。」
秋月はそのまま執務室から出て行った。
「あまり怒らなかったわね・・・提督。」
その光景を見ていた村雨は・・・
「何で私の時はあんなに怒ったのかしら・・・」
村雨は考えていると・・・
「謝るだけでいいのに、その後弁解(言い訳)したからだ。」
「!?」
提督に聞かれてしまったのか、村雨は驚く。
「確かにそうだね・・・”形あるものはいつか壊れる”だね?」
「・・・・・・」
「でも、次やったら2人とも容赦しないぞ?」
提督の真顔に・・・
「は、はい! 気を付けます!」
村雨が返事をした。
「・・・・・・」
とは言っても・・・まだ提督に正直に話していないことがあるのよね・・・
明日以降なら、提督は機嫌を直してくれるかしら?
明日以降なら・・・
うん、明日素直に謝ろう・・・なるべく言い訳しないように・・・
・・・・・・
翌日、
村雨は残りの隠し事を素直に白状した。
当然のことながら、提督の逆鱗に触れたのは・・・言うまでもない。
「提督と大切なもの」 終
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