「家にサラトガが来ちゃった。」
家でサラトガの動画を見ていた主人公。 翌朝、目の前に本物のサラトガがいて・・・
これは・・・夢か?
「もう少しで夕食が出来ますよ~♪」
オレは独身である・・・えっ? 今夕食が出来ると言った女性の声がしたって?
うん・・・彼女はオレの妻でなければ恋人でもない。
・・・じゃあ誰かって? ・・・誰かは分かるが・・・それ以上に・・・何で?
何で・・・何で彼女が・・・サラトガが!!
オレの家にいるんだぁ~~!!!!
・・・・・・
・・・
・
仕事から帰って来て、食事や洗濯・・・寝る準備をし、PCを開く。
艦これをやりたいけど、いつもの表示が・・・「サーバー抽選は終了しました。」・・・と。
仕事の帰りが遅いからかサーバー抽選の時間帯には帰ってこれず、PCを開いて艦これサイトを開くころには
抽選が終了している・・・運が悪い。
仕方がないからネットで各艦娘の挨拶ボイスや時報ボイスを見てプレイした気分になる。
最近気になった艦娘と言うのが・・・「サラトガ」と言う名前の海外艦の正規空母である。
時報と姿を見た時、オレの心が一瞬ときめいた・・・はっきり言ってただの妄想であるが・・・
2次元のキャラクターに恋するなんて、人間としてどうかと思うし・・・
でも、この子を見た時は本当に胸がときめいた。
まだ艦これをプレイをしたことはないが、このキャラクターはイベント海域と言う期間限定でのみドロップされると言うもの。
仮に自分が艦これをプレイできたとしても、いきなり手に入れることは不可能である。
それだったらと・・・いつもネットでこのキャラクターの時報やセリフ集を聞くようになった。
「何度聞いても可愛い・・・いや、綺麗な人だ。」
そこでまた妄想してしまう。
「彼女が・・・サラトガが・・・オレの目の前に現れないかな?」・・・と。
ただの妄想であるが・・・、
「朝起きたら、サラトガ目の前に現れないかなぁ~。」なんて・・・
時間を見たらもう寝る時間・・・PCを閉じて、電気を消して・・・最後に頭の中で「サラトガ、おやすみ~。」
と言って就寝する・・・それが毎日の日課だった。
翌朝・・・寝ているオレに誰かの声が・・・
「起きて・・・起きて下さい。」
「う・・・う~ん。」
「起きて! もう朝ですよ!」
「・・・はっ!」
朝と聞いて、オレは目覚める。
「・・・よかった、目覚めて・・・遅刻するところだった。」
どうやら、オレは寝過ごしそうになったようだ。
「・・・・・・」
それ以上に・・・
「・・・誰がオレを呼んだ?」
そう、この家にはオレ一人しかいない・・・
「・・・・・・」
気のせいかな・・・そう思った時、
「ご主人様、仕事に遅れますよ!」
また声がして、オレはリビングに向かう。
そこにいたのは・・・何と、サラトガ!!?
「やっと目が覚めましたか? ご主人様は寝坊助ですねw」
「・・・・・・」
何で? ・・・えっ・・・何でサラトガがオレの家にいるの!?
・・・こうしてオレとサラトガの生活が始まったのである。
・・・・・・
「え~っと・・・つまり?」
状況を整理する。
「・・・・・・」
と言っても、朝起きたらサラトガが朝食を作ってくれていた・・・ただそれだけである。
「そんなにのんびりしていて仕事遅れませんか?」
「あっ!? そうだった! 早く支度しないと!」
サラトガが作ってくれた朝食をすぐに平らげ、着替えを済ませると職場へ向かった。
「行ってきます!」
「はい、行ってらっしゃい♪」
サラトガが見送った。
・・・・・・
「はぁ~・・・」
オレはため息をつく。
オレにはたくさんの部下がいる・・・1人1人個性的で、対応に困る。
中にはオレの事を上司と思っていないやつもいて、事あるごとに罵声を飛ばして来る部下もいる。
本当はこの仕事を辞めたいと思っていたんだよね~・・・
「・・・・・・」
昼食の時も部下との交流はない、1人で食事をすることがほとんどだ。
慣れたと言えば慣れたのだが、やはり1人だけだと・・・寂しいかな。
今日は定時に仕事を終えて、自宅に帰る。
玄関を開けると、サラトガが「おかえりなさい。」と挨拶してきた。
「今日の夕食はシチューですよ♪」
「・・・いただきます。」
サラトガが作ってくれた夕食を食べる。
「おいしい。」
「本当ですか? 良かった♪」
彼女は喜んだ。
「・・・・・・」
元々、家に帰っても1人なので、いきなり女性が1人いるとやっぱり困惑する。
「また明日来ますね~・・・それでは、おやすみなさい。」
「・・・おやすみなさい。」
久しぶりに会話した・・・ような気がした。
「・・・・・・」
就寝時間になり、彼は眠る。
「・・・・・・」
サラトガはなぜオレの家に来たのだろう? それどころか、「また明日来る」って・・・
彼は理由がわからず、そのまま就寝するのだった。
・・・・・・
翌朝、
相変わらず、目覚ましが鳴っても彼は起きない。
「・・・・・・」
本当は起きている・・・ただ、仕事に行きたくないのだ。
「・・・・・・」
人間関係が上手くいかず、上司である自分が部下を躾ける勇気も持てず無言を貫いたまま・・・
部下は言いたい放題で、それを聞くたびにオレは心に傷を負う・・・もう鬱まっしぐらだ。
「朝ですよ! 起きて下さい!」
サラトガだった。
「!? いつの間に!?」
「・・・一応呼び鈴とノックはしましたけど・・・」
「・・・・・・」
全然気づかなかった。
「それより・・・早く起きて下さい! 朝食も用意しましたよ♪」
「・・・・・・」
オレは嫌々ながら布団から出る。
「今日はサンドイッチを作ってみました♪」
「・・・いただきます。」
無言で食べる・・・
「どうですか?」
「・・・美味いよ。」
「良かった♪ 朝はしっかり食べて頑張って仕事に行ってくださいね♪」
「・・・・・・」
サラトガにとっては応援なのだろうが、オレにとってはプレッシャーに感じる。
本当は今日仕事を休もうと思っていたのだから・・・
「? どうしたんです? 早くしないと遅れますよ?」
「・・・ごめん・・・今日は仕事を休む。」
オレは電話して職場に休む旨を伝えた。
秘書には「お体に気を付けて下さい」と言われ、「皆には昨日と同じことをやってもらいます」とだけ伝えられ、
休むことが出来た。
「・・・・・・」
オレの秘書は良くやってくれている・・・部下との交流もできるし、仕事も優秀・・・非の打ち所がない。
「・・・・・・」
それに比べ・・・オレなんか・・・
「何かお悩みがあるんですか?」
と、サラトガ心配になって聞いてきた。
「・・・・・・」
あまり気が進まなかったが、彼は彼女に打ち明けた。
・・・・・・
「そうですか・・・辛いですね。」
話を聞いて心配する彼女。
「でも、あなたならやっていけそうな気がしますよ。」
意外な答えが返って来て・・・
「まだ秘書の方があなたを心配してますよね? それなら、秘書に相談してみてはいかがですか?」
「・・・・・・」
「信じる人が1人いるのといないのでは全然違いますよ。」
「・・・・・・」
何だろう・・・サラトガに言われると、何故か「出来る気がする」と思った。
「・・・休みにしたけど・・・やっぱり仕事に行くよ。」
オレも大人・・・部下の罵声で怯んでは上司とは言えない、まずは秘書と相談して・・・もう少し、頑張ってみよう!
・・・・・・
「どうでしたか、仕事の方は?」
「うん・・・秘書と色々話し合って、オレの気持ちが少し晴れたかな。」
オレの秘書が「そこまで悩んでいたのならどうして相談してくれなかったんですか?」と怒られたけど、
何故かほっとした・・・信じてくれる人がいて初めて心に溜めていたものが吐き出せたのだ。
「まだすべてが解決したわけじゃないけど、今度から部下にも話をしてみるよ。」
「そうです、その意気です! 大丈夫、あなたならできますよ!」
「・・・・・・」
サラトガから応援されるともっと「やってみよう!」と言う気になる・・・ネットでも感じたサラトガの魅力は
いつも元気な言葉と明るい笑顔だった。
それからは、部下との交流を含めて仕事に取り組んだ。
悪口ばかりに聞こえていたけど、よくよく聞いてみると改善案だったり、一部の仕事に対する不満だったりと
自分が思い込んでいたイメージとは全然違った。
検討する旨を伝えると、部下からも「お願い」や「頼むわね」と敬語ではないものの、自分と部下の間の
壁がなくなったと感じた。
・・・・・・
「おかえりなさい・・・仕事はどうでした?」
サラトガが心配になって聞いてきて、
「うん、何とか上手くいってる・・・君のおかげでね。」
「私は何もしてませんよ~・・・ただ言ってみただけです♪」
「・・・・・・」
いや、本当にサラトガ・・・君のおかげだよ。
君があの時、応援してくれなかったらオレはずっと家に引きこもってたか鬱になっていたかもしれない・・・
君は言ったね、「信じてくれる人がいれば大丈夫」は間違ってなかった。秘書に初めて相談して
初めて対策が出すことが出来た・・・本当に君のおかげだ!
・・・・・・
それからは上司としての自信を取り戻し、部下に的確な指示を出し、
改善や不満な状態を取り除く作業を行い、作業がしやすい環境にすることができた。
今では大忙しだ・・・いつもは定時帰りだったのが今では終電が当たり前になっている。
因みに今日も終電だ・・・
・・・・・・
「ただいま。」
オレは扉を開けるが・・・サラトガの姿はない。
「・・・・・・」
リビングに行くと、テーブルに今日の夕食と手紙が添えられていて・・・
”初めてお会いした時と比べて笑顔になりましたよ、あなたはもう大丈夫・・・私は帰ります・・・さようなら。”
「・・・・・・」
ありがとう、サラトガ・・・本当に・・・ありがとう・・・サラトガ。
彼は感謝に思いつつ、最後に作ってくれた彼女の夕食を味わって食べるのだった。
・・・・・・
・・・
・
翌朝、いつもの時間に目が覚める。
朝食はいつも食べる食事・・・食べ終わるとすぐに着替えて仕事へ・・・
「おはよう、皆!」
職場へ着くなり、提督は皆に挨拶する。
「おはようございます、提督!」
秘書艦の榛名が挨拶し、いつも通りに執務室に向かう。
「今日の遠征任務と出撃海域は・・・と。」
いつも通りに編成を決め、部下である艦娘たちに指示をする。
「ここを治してほしいんだけど・・・」
「このクソ提督! 上からの報告が来たわよ!」
霞や曙・・・相変わらず彼女たちの口調は悪い。
「わかった・・・そこに置いておいてくれ。」
「すぐに明石と相談して修復しよう。」
提督は手際よく対策を講じた。
「・・・・・・」
提督の脳裏に浮かぶのはやはり彼女・・・サラトガだ。
「・・・・・・」
どうして自分の家にやってきたのかは謎だけど、そのおかげで仕事に復帰でき自信を取り戻せた。
「・・・本当にありがとう・・・サラトガ。」
彼は天井に向かってそう言った。
・・・・・・
・・・
・
「サラ、帰還しました。」
「ご苦労様、これが日給ね。」
そう言って提督が封筒を渡す。
「それにしても・・・ふふ。 提督は面白いことを考えますね。」
「そうか? サラが元々ローテーション組だったから他の提督達の気持ちを考慮して頼んだことなんだけど・・・」
サラトガは元々年に数回、他の鎮守府にローテーションで代わる艦娘の一人だったが、この鎮守府に身を置くことで
ローテーション組から外れた。 もちろん他の鎮守府の提督達からの苦情もあったが当の提督は全く気にしなかった。
中にはサラトガに一心に会いたい提督も一部いて、それだったら会わせてあげようと思いついた提督の提案にサラは賛同したのだった。
「あの提督は人間関係が上手くいかず鬱になりかかっていたが、事前にサラに憧れている情報を知ってな・・・」
「それで、私にあの提督へ会わせるために出張に行かせたんですね?」
「そういうこと・・・それで、あの提督はどうなった?」
「立ち直れましたよ・・・「ありがとう」って、お礼も言っていました。」
「そうか・・・悪くないだろう、この任務も?」
「そうですね~・・・でも私はあなたの側で働きたいかな♡」
そう言って提督に近づき、キスをした。
・・・・・・
・・・
・
サラトガの出張は評判が良く、瞬く間に広がり提督達からの要望が相次いだ。
「サラ、今日からこの鎮守府に出張を依頼したい。」
「はい、わかりました。」
サラは相変わらず元気だ。
「報酬はいつものでお願いしますね♪」
「わかった。」
そう言って、サラトガは待つ提督のためにまた出張に向かうのであった。
「家にサラトガが来ちゃった。」 終
地道に続けてればその内出るよ。
継続は力なり。焦らずに遊ぶ事が大事よ。
実をいうと、海外艦はZ1、Z3、ビスマルクの計3人しかいませんw
後の海外艦の物語は容姿と時報と想像で書いております。