「ある艦娘たちの日々」2
「ある艦娘たちの日々」の続編で、
再び出張依頼を出された提督・・・そこで見た物は・・・そして、提督がある決意をする。
注:閲覧注意です。 血や虫やら出てきます。
また上から出張依頼が来た・・・いい加減にして欲しいものである。
例に漏れず、詳細を教えてくれず「行ってみればわかる、今回は流石に貴君でも無理だろうがな。」と何故か挑発してくる始末。
「・・・・・・」
場所は近海にある鎮守府・・・着任している艦娘は駆逐艦のみで、提督は失踪・・・それだけが上から得た情報だった。
「・・・・・・」
鎮守府に着いた・・・
「さっさと済ませて帰るか。」と、そんな気持ちで鎮守府の前に立つ提督、しかし・・・
この鎮守府で提督の今後の運命を左右する事態になることを本人は知る由もない。
・・・・・・
扉を開けていきなり感じる異常な光景・・・
「!? この匂いは・・・血か?」
開けた瞬間に漂う血のような匂い・・・壁には所々褐色を帯びた光景があった。
「・・・・・・」
艦娘の姿が見えない・・・上からの情報では「駆逐艦のみの着任」と聞いていたのだが・・・
「・・・・・・」
提督は鎮守府内を探索した。
・・・・・・
褐色(血が固まって変色したもの)の壁や床が永遠に続く光景に、
「恐らく艦娘たちの血なんだろうけど・・・一体この鎮守府で何があったんだ?」
海上で戦い、帰還後に負傷して血を流す艦娘は何度も見たことはある・・・でも、こんな床や壁一面に
血がこびりつき、長期間のためか変色している光景は明らかに異常である。
「鎮守府内に深海棲艦が襲ってきたのか?」
提督は考えられる問題を予想するが、
「いや、深海棲艦が来た痕跡が全くない・・・それに襲撃が起きたなら、そこらじゅうに弾倉や撃ち尽くした弾の残骸があるはず・・・」
確かに床にはそれらしき痕跡も弾の残骸もない・・・つまり深海棲艦の襲撃ではない?
「・・・・・・」
結局答えが見つからず、提督は駆逐艦娘を探すことにした。
・・・・・・
更に探索を続けていくと・・・
「・・・トイレは壊れていて、使えない。 それでも使用していたのか、そこらじゅうに汚物が垂れている。」
トイレは見るに見れない程に不潔で、開けた瞬間に異臭がした。
・・・・・・
食堂について・・・
「・・・冷蔵庫が壊れている・・・中身は・・・全て腐っているな。」
しかも、最後に稼働した日付を見ると約1年前・・・この鎮守府に一体何が・・・
「!?」
人の気配がして提督が振り向いた、そこには・・・
「・・・・・・」
中破・・・いや、大破したのだろうか? 服も体も極度に負傷している駆逐艦娘がそこに立っていた。
「新しい提督にゃしぃ~?」
体こそボロボロなのだが、受け答えはしっかりしているようで、
「・・・この鎮守府に出張で来た者だ、今いる艦娘の人数と状況を教えて欲しい。」
「わかりました・・・ついてきてください。」
彼女は提督を案内した。
・・・・・・
「ここで一体何があったんだ?」
鎮守府内のおびただしい血痕の後、トイレや食堂の設備の破損・・・そして、まだ1人しか見ていないが・・・
大破したまま行動している艦娘の光景・・・この鎮守府に一体何が・・・
「私は捨て艦にゃしぃ~・・・」
「・・・・・・」
聞くことはないと思っていたその言葉・・・「捨て艦」。 彼女ははっきりと言った。
「私・・・私たちは練度も低くて、とある海域攻略に被害専門の「捨て艦」として、出撃をさせられ・・・
辛うじて生還しても、「用済み」として修復もされないままこの鎮守府に放置されてしまったにゃしぃ~・・・」
「・・・・・・」
「他の皆も・・・手が無かったり・・・両目に包帯巻いていたりして・・・治療も出来なくて・・・壁や床に血が飛び散ったりしたり・・・」
「・・・・・・」
気づいたが、この子はまともではなかった・・・辛うじて人としての意識を保っているが、ほぼ精神崩壊に近い口調で語っているのを
感じた。 そうでないとこの惨劇の状態を駆逐艦の女の子が、平然と言えるはずがない。
「着きました・・・ここに皆がいます・・・と言っても、10人ほどしかいないにゃしぃ~・・・」
そう言って扉を開ける、
「・・・・・・」
彼女の言った通り、手が欠損していたり両目に包帯を巻いていたり・・・壁に何か語っている子もいたり・・・精神は崩壊している感じだ。
「この鎮守府にいた提督と他の艦娘はどうした?」
予想は出来たが一応聞いてみた・・・でも、結果は提督の思惑通り、
「提督は勲章をもらって私たちを捨てて出て行き・・・他の皆は・・・違う鎮守府に連れていかれてしまいました。」
「・・・・・・」
「残ったのは・・・私たちだけ・・・本当は20人位いたのですが・・・もう力尽きて・・・違う部屋で倒れています。」
「・・・・・・」
それは・・・死んだってことなのか?
「悲しくないのか?」
提督が聞くと、
「悲しいにゃしぃ~・・・でも、今は自分が生きるだけで精一杯・・・皆の体も心配だけど・・・へへへ・・・」
「・・・・・・」
それ以降の言葉が出ず、提督は立ちすくんだままだった。
・・・・・・
すぐに上に連絡し、提督の失踪と今残っている艦娘たちの救助及び人員の要請を行った・・・しかし、
「貴君に任せる・・・我々は貴君の要望に応える程余裕はない。」
「それはつまり・・・彼女たちを見捨てるってことか?」
「見捨てる? 勘違いをしては困る、見捨てようとしてるのは貴君だろう? 手に負えないから我らに押し付けているのではないか?」
「・・・・・・」
あまりの高圧的な態度に提督は怒り心頭である。
「とにかく、貴君の活躍を期待して出張を要望したのだ・・・我らの期待を裏切るなよ?」
ガチャッ(電話を切る音)
「・・・・・・」
あくまでオレたちは関係ない、と言っているように聞こえた・・・
・・・・・・
提督は自分の鎮守府に連絡し、何人かに応援に来てもらうことにした。
「霧島が向かいます!」
「サラも向かいます~♪」
サラが上機嫌で答えるので、
「サラ・・・お前は来るな、そんな気持ちで来たらこっちが迷惑だ。」
「どうしてですか~!? 私は提督のお役に立ちたいんですよ~!」
「・・・・・・」
提督はため息をつき、
「勝手にしろ・・・」
そう言って連絡を終えた。
・・・・・・
「腹が減っているだろう? 今から買い出しに行ってくるから少し待ってもらえるかな?」
「お気遣いはいいですよ~・・・今日はたくさん食材を手に入れたので~・・・」
「? 食材?」
提督が首を傾げると、
「はい♪ これです~♪」
彼女が手に取ったもの・・・それは、
「カブトムシとゴキブリ? お前、まさか!?」
彼女は笑顔で、
「はい♪ 意外とおいしいんですよ~この虫・・・頭を取って中の身と汁を吸うと・・・何て言うか・・・蟹っぽい味がしますよ~。」
「・・・・・・」
よく見ると、彼女以外の他の艦娘まで同じ行動をしていた。
「にゃはは~・・・おいしい~・・・」
「・・・・・・」
提督は見ていられず、その場から出た。
・・・・・・
「・・・・・・」
夕方、普段なら1時間くらい前に買い出しに行って皆の食事を作る準備をしているのだが、
提督は鎮守府の外で座って何かを考えていた。
「・・・・・・」
上はもう当てにならない・・・あくまで「貴君の問題だ」と言い張る、つまり「見捨てている」という事だろう。
「・・・・・・」
彼女たちはほぼ壊れつつあった・・・そんな状態で自分に何かできるのだろうか・・・
「・・・・・・」
考えても仕方ない・・・やれることをやろう、と思った提督だった。
・・・・・・
「ただいま。」
「おかえりなさぁい・・・提督、どこに行ってたにゃしぃ~?」
「ああ、ちょっと買い出しに行ってた。」
両手に抱えた大きな袋を見せる。
「? これは何? 食べ物? おいしいんですか?」
「・・・・・・」
買ってきたのは野菜に肉に米・・・そして駆逐艦なら喜ぶはずのお菓子・・・
「うわぁ~・・・いい匂い。 そのまま食べられるにゃしぃ? 今すぐにでもかぶりつきたいにゃしい~♪」
「・・・・・・」
まだ洗ってもいないじゃがいもを見て、よだれを垂らす彼女だった。
・・・・・・
皆を食堂に呼んで、提督が調理を始めて・・・
「何が起きるの?」
と、1人の艦娘が呟き・・・
「さぁ、できたぞ。 今日はシチューを作ってみた。」
と、彼女たちの前にシチューを並べた。
「・・・・・・」
彼女たちはじっと見つめ・・・
「? 何をしているんだ? スプーンですくって食べろ。」
提督は勧めるが、思わぬ言葉が・・・
「私たちは食べられないです。」
突然の一言に、
「どうして? シチューは嫌いだったか?」
「いえ・・・いい匂いでとてもおいしそうです・・・でも・・・」
「・・・・・・」
「捨て艦である私たちが・・・こんな贅沢なものを食べる資格がありません。」
「・・・・・・」
贅沢って何だ? シチューが贅沢って・・・それに「捨て艦」だから食べる資格がない? 誰がそんなこと決めたんだよ・・・
「提督のご厚意には感謝します・・・でも、申し訳ありませんが・・・私たちには・・・食べられません。」
そう言って1人・・・また1人と食堂から去って行った。
「・・・・・・」
「ごめんなさい・・・私も・・・皆についていくにゃしぃ~。」
結局全員が食堂から去ってしまった。
「・・・・・・」
提督は並べたシチューと一緒にその場に留まっていた。
・・・・・・
翌朝、応援を要請した霧島とサラトガが着いた。
「司令! お待たせしました!」
「海外空母のサラ、ただいま到着しましたぁ~♪」
「・・・・・・」
「司令、どうしたんですか?」
「・・・・・・」
提督は2人を見て・・・
「これから辛い光景を見ることになる・・・2人とも、覚悟して取り掛かれ。」
そう言って3人は鎮守府の中に入った。
・・・・・・
入った瞬間、霧島は驚く・・・それ以上にサラは・・・
「うええっ・・・ううっ!」
消えることのない褐色色の床と壁、そして血の匂い・・・霧島は耐えられたが、上機嫌だったサラは一瞬で沈黙した。
「大丈夫ですかサラトガさん? 外に出ますか?」
「・・・いえ、大丈夫です・・・私も手伝います。」
サラは深呼吸して提督達と一緒に進んでいった。
・・・・・・
「今日からオレと助手の2人がこの鎮守府の復旧に力を出すから。」
「・・・・・・」
サラは愕然とした、目の前にいる艦娘・・・体がボロボロで血まみれで辛うじて話せる程度の姿を・・・
「よろしくお願いします・・・」
サラは静かに挨拶をすると・・・
「皆ぁ~見て見て。 海外の人だよ~♪」
皆がサラを囲んで、
「うわぁ~・・・海外の人って綺麗な人だ~。」
「服装も日本と違って特徴があっていいなぁ~・・・」
「こらこら・・・私たちなんて服は吹き飛んでほとんどボロボロじゃない。」
「ああ、そうだった・・・あははは~。」
「・・・・・・」
今のサラトガの気持ちは「辛い」としか感じられないだろう・・・それは、昔自分が鎮守府で酷い扱いを受けていた過去が
あったが、それ以上に・・・この子達、まだ年端もいかない女の子達が自分よりも酷い扱いを受けていて、
当たり前と思っていた日常も与えられず、服も焼け焦げ、修復もされず、それでも必死に生きようとしている彼女たちを見て
サラトガは涙した。
「あれぇ~? お姉さん? どうして泣いているにゃしぃ~?」
「・・・・・・」
「お姉さん・・・どこか痛いの? 修復済は無いけど、絆創膏位なら・・・」
駆逐艦の1人が絆創膏を1つ出して、
「はい、お姉さん・・・これくらいしかできないけど、早く傷を治してね。」
「・・・・・・」
絆創膏を貰った途端にサラは号泣した。
・・・・・・
「これがこの鎮守府の「今の姿」だ・・・オレはこの鎮守府を立て直そうと思っている。」
「はい、霧島もお手伝いします!」
「そしてサラ・・・お前には悪いが、鎮守府に戻ってもらう・・・ショックが大きすぎて辛いだろう?」
「・・・・・・」
しばらく沈黙していたが、
「大丈夫です・・・私も手伝います。」
「・・・強がりはよせ、さっきの出来事で泣いていただろう?」
「嫌で泣いたのではありません、あの子たちの境遇を知って無意識に涙が出ただけです!」
「・・・・・・」
「私は「恵まれている」ってことがわかりました、だから私もあの子たちを助けるために手伝います。」
「・・・そうか。」
提督は鎮守府の見取り図を出して、
「まずはトイレと食堂の機器の修理に・・・」
提督は順にやることを説明していった。
・・・・・・
それからは復旧に力を入れた。
褐色を帯びた壁や床をひたすら掃除することから始まった。
染みついた血はそう簡単に落ちることはなく、1mの廊下を2人で拭くだけで重労働だった。
提督はその間に、トイレと食堂の機器の修理を始める。
「お姉さんたちは一体何をしてるにゃしぃ~?」
掃除をしている2人を見て呟く。
「せっかく来てもらったお客さんにそんな重労働なんて、申し訳ないです~・・・皆ぁ~私たちも手伝おう~。」
彼女が声を掛けると、一斉に掃除道具を持って掃除を始めた。
「掃除、掃除・・・掃除は楽しいなぁ~♪」
廊下を拭きつつ、治っていない体から滴り落ちる血がまた廊下を汚し、また拭く・・・その繰り返し。
「・・・・・・」
2人はその光景を見続けていた。
・・・・・・
「よし、トイレの掃除は終わり、設備は直った・・・後は食堂の冷蔵庫と他機器だな・・・」
提督は食堂へ向かおうとしたその時、
「きゃあああああっ!!!!」
急にサラトガの叫び声が聞こえて、提督は急いで向かった。
「何だ、どうしたんだ!」
廊下で腰を下ろして体を震わしていた・・・目の前の扉が開いていて、
「・・・・・・」
その部屋には覚えがあった・・・前に駆逐艦の子が
本当は20人位いたのですが・・・もう力尽きて・・・違う部屋で倒れています。
「・・・・・・」
提督はサラトガの肩に手を置いて、
「オレがやっておくから・・・サラは違う場所の掃除でもしてくれ。」
「・・・はい・・・わかりました。」
あまりのショックからかうつむいた状態でフラフラな足取りでその場から去った。
「・・・・・・」
改めてその部屋を見て・・・
「辛かったんだな・・・もう少し、オレが早く来ていれば・・・」
提督は後悔の口を出した。
・・・・・・
「・・・・・・」
約10人程だろうか・・・上からの助けもなく、助けたくても自分の事で精一杯で助けられなかった皆・・・
それを見て悟ったのだろうか・・・「もう助からない」と・・・今埋めた艦娘たちは最後にどんな光景を見たのだろう・・・
「・・・・・・」
提督の鎮守府では今まで轟沈した艦娘は一人もいない、逆に言えば「轟沈させない!」の気持ちが強く、
中破撤退を命じたり、何かあれば提督である本人も同行するほど、艦娘たちを見守ってきた。
しかし、今回の上の無責任さと駆逐艦たちの生活を見て・・・提督の考えが変わった。
オレが・・・オレが皆を護ろう!
鎮守府にいる艦娘だけではなく、この鎮守府にいる子達、路頭に迷っている艦娘、全て・・・全員を助けたい!
と心に決めた提督だった。
・・・・・・
「司令、お疲れでしょう? 少し休んでください。」
霧島がお茶をすすいで持ってきてくれた。
「ありがとう・・・サラはどうだ?」
「残念ですが・・・」
「そうか・・・すぐに帰還するように伝えろ。」
「・・・わかりました。」
その後、霧島の説得でサラトガは鎮守府に戻った。
・・・・・・
翌日から2人で復旧が始まった。
トイレと食堂の機器類の修理は終え、電源を入れると・・・
「・・・よし、これで保冷と冷凍が出来るな。」
冷蔵庫も直ったようで、買い出し用の食糧を詰めていった。
霧島はと言うと・・・
廊下と壁の掃除で忙しかった。
一度水で壁と床を浸透させてから浮かんできた血や汚物を拭きとる・・・このやり方で時間と労力が大幅に減った。
「うわぁ~・・・床と壁がきれいにゃしい~♪」
褐色を帯びた光景から真っ白な光景に変わり、駆逐艦の子は喜んだ。
「すいません・・・わざわざ来てもらったのにこんな重労働なんかさせてしまって・・・」
「いいですよ・・・少し休憩しましょうか。」
「はぁい♪ ・・・そう言えばお腹空きましたかぁ? おやつありますよ♪」
そう言って霧島の前に出したのが・・・草。
「こうやって・・・握ると・・・汁が出ます・・・吸うと、甘いですにゃ~。」
「・・・・・・」
もし、ビスマルクやサラトガが同じことをやっていたら、「ふざけてるんですか!?」と叱るだろう。
でも、この子にとって・・・提督が復旧に来る前は、こんな草や道に落ちている物で辛うじて飢えを凌いでいたのだろう。
「私はいいですよ・・・あなたが食べてください。」
「そうですかぁ~・・・残念ですぅ~。」
彼女は去って行った。
「・・・辛いです・・・早くあの子たちが普通の生活に戻れることを願います!」
霧島はまた掃除に励むのだった。
・・・・・・
提督と霧島の活躍で鎮守府内の問題は何とか解決・・・トイレも食堂も普通に使えるようになった。
「皆見て見て~・・・トイレがピッカピカにゃしい~!」
「本当ですね~・・・これで、息を止めなくてもいいですね~。」
「ほんとほんと・・・わ~いわ~い。」
「・・・・・・」
2人は皆の姿を見つめていた。
・・・・・・
夕方になり、提督は夕食を調理する。
「何してるにゃしい~?」
「司令が皆に食事を作っているのですよ。」
「・・・私たちのために? いやいや、そんな気遣いしなくても~・・・私たちにはこれがあるんで~・・・」
そう言って、さっき捕まえた? ばかりの虫を出したところで霧島が取り上げる。
「な、何をするにゃしい~? 私の夕飯返してください~。」
「はい、返します・・・ですが先に司令が作ったものを食べてください。」
「・・・・・・」
彼女は渋々納得した。
・・・・・・
「今日は冷えるからまずはコーンスープを。」
皆の前に温かいコーンスープが置かれた。
「・・・・・・」
皆は相変わらず見つめたままだ。
「まぁ、シチューよりも全然安い食事だ・・・これなら、食べても誰も文句は言わないだろう?」
提督はそう促すが・・・
「提督のご厚意には感謝します・・・でも、捨て艦である私たちには・・・」
そこまで言いかけたところで、
「お前らは捨て艦じゃない、「艦娘」だ。」
「・・・艦娘?」
「そう、艦娘だ・・・だから食べても誰も文句は言わない、言う筋合いもない。 お前たちは自由だ・・・いつまでも昔の提督に指示された
方針に従う必要はないんだよ。」
「・・・・・・」
「オレが宣言する。 お前たちはオレの鎮守府に引き取る! だからお前たちの提督は今日からオレだ。」
「・・・私たちの提督・・・」
「そうだ・・・だから最初だが・・・命令する。 これを食べて体を温めろ。」
「・・・・・・」
提督の命令・・・それならばと駆逐艦の1人がスプーンですくって口に含んだ。
「・・・・・・」
「・・・温かくて・・・おいしい・・・です。」
「そうか、それは良かった。」
「・・・・・・」
側で見ていた皆も1人、また1人とスプーンを持って食べ始める。
「はむ・・・はむ・・・」
「ふーっ・・・ふーっ・・・パクッ。」
「・・・・・・」
最後の1人・・・虫を返してくれと訴えていたこの子も皆の真似をして食べる。
「はむっ・・・はむっ・・・」
「どうだ、美味いか?」
「・・・・・・」
その瞬間、彼女の目から大粒の涙が流れて・・・
「おいしい・・・ううっ・・・おいしいにゃ~・・・」
初めて見せた女の子として泣く表情、それを見た皆も・・・
「ううっ・・・ひっく・・・」
「うええ・・・う・・・ううっ・・・」
「ひぐっ・・・う、うええん。」
「おいおい、泣くなって。 お前たちは悪くない、温かいうちに食べろ。」
「ひっく・・・はむっ・・・うえええん・・・」
皆は泣きながらスープを頬張っていた。
・・・・・・
「そろそろ来るはずなのだが・・・」
提督が誰かを待っていた・・・そこに、
「海外空母のサラ! ただいま戻りました~♪」
何とサラがまた戻ってきた。
「お前・・・鎮守府に戻ったんじゃなかったのか?」
「霧島さんからお願いがあってサラがまた来てしまいましたぁ~♪」
「・・・そうか、それで・・・頼んだ品物は?」
「はい・・・どうぞ、提督の鎮守府から持ってきた「高速修復済」です!」
「ありがとう・・・これで、皆を治せるな。」
そう言って、提督は皆のもとに向かう。
・・・・・・
「あ、提督ぅ~・・・さっきはご馳走ありがとうございました♪」
ご馳走ではなくスープだけだったが、彼女たちにとっては何年ぶりの普通の食事である。
「今からお前たちの傷を治す、だから全員入渠場へ集合しろ!」
「・・・入渠にゃしい~? でも・・・修復済が・・・」
「持ってきた・・・だから早く行くぞ。」
そう言って、彼女を連れて行き、霧島も皆を集めた。
・・・・・・
「ぷはぁ~・・・何年ぶりかのお風呂にゃしい~♪」
高速修復済を浸透させた風呂に浸かり、満足する皆・・・
「服はオレの知ってる提督に頼んで特別発注してもらったからこれを着るんだぞ。」
「はぁい・・・わかりましたぁ~♪」
1人が風呂から出るとまた1人、もう1人とどんどん入っていき・・・
「入渠完了致しました~!」
入渠が完了した駆逐艦が支給した服を着たことでやっと誰かがわかり、
「睦月型の睦月、朝潮型の朝潮・・・そして、陽炎型の時津風と・・・」
これで、「彼女たち」ではなく、「名前」で晴れて呼べるようになった。
「後は・・・」
もう一つ、課題が残っていた・・・それは、彼女たちの心。
食欲と体の傷は癒された・・・後は心の傷、である。
しかし、提督の心配をよそに皆は意外にも精神が戻りつつあった。
提督がここにやって来た時からだろうか?
もしくは霧島たちが復旧に来てくれたことで、変化が起きたのだろうか?
それは残念ながらわからないが、ただ1つ言えるのは・・・睦月たちも「このままで行けない」と言う気持ちを持ったことは確かだ。
それは、霧島たちを信用してくれたこと、そして提督を自分たちの提督として認めてくれたことを意味しているのかもしれない。
・・・・・・
全てが順調に思えた、睦月達に普通の生活をさせ、食料も確保。 鎮守府の機器も復旧し、
後は艤装を装着して睦月達をリハビリさせて本来の艦娘に戻す計画も立てていた。
「それじゃあ、オレたちは数日の間この鎮守府から離れるから・・・その間は皆で普段通りに分担して生活するんだぞ。」
提督の鎮守府に睦月達を着任する手続きと、部屋を増築させるための工事をするため、短期間離れることとなった。
「了解しました! 提督、霧島さん・サラさん! 本当にありがとうございました!」
久々に聞く元気な駆逐艦の声、それを聞いて3人は「ここはもう大丈夫だ」と確信した。
・・・・・・
鎮守府に戻ってからは、睦月達の着任許可書の書類作成と工事の開始で忙しくなった。
それを上に提出、そして数日後に睦月達を迎えに行く計画であった・・・だが、
・・・・・・
夜に1つの電話がかかってきた・・・相手はあの時、「我らには関係ない」と言い放った上官だった。
「貴君の活躍には目を見張るものがある。」
最初は、功績を称えた内容の知らせかと思ったが・・・
「聞きたいが、貴君はあの鎮守府の前に別の鎮守府に出張していたそうだな。」
別の鎮守府? 翔鶴がいた鎮守府の事か? ←「ある艦娘たちの日々」参照
「私としてはあそこに残っていた艦娘たちを「解体」してほしいと頼んではずだが・・・貴君は私の命令に背いて
別の鎮守府に無許可で着任させたそうじゃないか。」
「・・・それが何か? 解体する理由がないから艦娘としての生活をさせた・・・何が悪いんだ?」
「・・・しかも、今回の件も・・・私は復旧しろと命じた覚えはない・・・貴君は勝手にやり過ぎではないのか?」
「あんたらは見捨てたんだろ? 今になって艦娘たちをそっちに迎えたいのか?」
所詮手柄を横取りか・・・そう思っていた提督だが、上官から思いもよらぬ一言が・・・
「貴君のやり方は賛同できん、着任許可書も今燃やした・・・今からあの鎮守府は「汚染された施設」として
30分後に空爆を始める。」
「何だって!? やめろ! あそこにはまだ睦月達が・・・」
「彼女たちは捨て艦、今さら艦娘として生きられると思っているのか? 私の計画に変更は無い、今から30分後に・・・」
「おい! 待て! やめろ!!」
電話が切れて、
「くそっ!!」
提督はすぐに支度して睦月達がいた鎮守府に急いで向かった。
・・・・・・
・・・
・
「・・・・・・」
鎮守府はまだ空爆に遭っていない・・・間に合った?
「睦月! 朝潮! 時津風!!」
提督が叫ぶと、入り口から皆が出てきて、
「提督だ~・・・おかえりにゃしい~。」
睦月が手を振っている姿を見て・・・
「良かった・・・ふぅ~・・・今から皆を連れて・・・」
そう思い、前に進もうとした・・・その時だった、
ドガアアアアアアアンンンン!!!!
爆撃で鎮守府が破壊され、一瞬で崩壊した。
「そんなっ!!?」
提督は目を疑った・・・でも、これは夢ではない、現実だ。
「睦月ぃ~!!! 朝潮ぉ~!!! 時津風ぇ~!!!!」
目の前で破壊された光景を見て、提督は、崩壊し燃え盛る鎮守府の中に入っていった。
・・・・・・
瓦礫をかき分けながら睦月達を探す提督。
「・・・・・・」
見つけた・・・でも、
「おい、睦月! しっかりしろ!」
「・・・ああ・・・提督ぅ~。」
まだ息がある・・・でも、出血が酷くショック状態だ。
「今すぐに治療するから、少しの辛抱だからな。」
そう言って提督が睦月を抱えると、
「私はいいにゃしい~・・・朝潮ちゃんや・・・時津風ちゃんを探して・・・」
「探す、探すとも! でも今は睦月が先だ! 安全な場所へ連れて行ってからまたここに来る・・・絶対に!」
提督は説得するが睦月は、
「私の事はいいので・・・早く・・・他の皆を・・・」
「もう話すな! 今から止血するから! 少しの辛抱だ!」
「提督ぅ~・・・」
「・・・・・・」
「私・・・提督に会えて・・・とても幸せだったにゃしい~・・・」
「睦月・・・」
「私・・・捨て艦だった私にもう一度機会を与えてくれて本当に・・・嬉しかったにゃしい~。」
「わかった、わかったからそれ以上話すな!」
「最後に・・・あのスープ・・・本当においしかった・・・ここ1年・・・何も・・・草や・・・虫しか食べれ・・なか・ったけど、
最後に・・食堂で皆と一緒・・に・食べれて・・睦月・・し・あわせだ・・ったにゃ・し・・・い・・・」
「睦月! おい、睦月!!」
睦月が動かなくなり・・・
「くっ・・・」
睦月は最後の最後まで笑顔でいた。
「・・・・・・」
提督は睦月を地面に下ろし・・・
「後は・・・朝潮や時津風たちを探さないと・・・」
提督はまた探し始める。
・・・・・・
・・・
・
「はぁ・・・はぁ・・・」
霧島とサラが急いでいる・・・行き先はもちろん睦月達がいる鎮守府。
「・・・!!? そ、そんな・・・」
目の前に崩壊した鎮守府が見えて、2人は絶望する。
「司令! 司令! どこにいるんですか!!」
霧島たちが提督を探し始める。
「提督! 提督! いるなら返事をしてください!!」
サラも必死で叫び・・・そして、
「!? 提督!? 大丈夫ですか!?」
2人が見た光景・・・提督が2人の艦娘を抱えて崩壊した鎮守府から出てくるところ・・・
「提督!」
「ああ、オレは大丈夫だ・・・オレよりもこの2人を・・・」
2人を霧島たちに預け、提督は腰かける。
「2人しか助けられなかった・・・他はもう、手遅れだった。」
提督はうつむく。
「司令・・・」
霧島は手を添えようとしたが・・・
「何でだよ。」
「?」
「何で上はこんな事をするんだよ。」
「・・・・・・」
「まだ、必死で生きている子達を「捨て艦」だから処分する? 翔鶴がいた鎮守府の皆を役に立たないから「解体」しろ?
ふざけるなぁっ!!!!」
「司令・・・」
「提督って何なんだ・・・艦娘を見守り、支えることが役目じゃないのか・・・こんな道具のように使って道具のように捨てる・・・
オレは絶対・・・絶対にあいつらを許さない! 必ず報復してやる!」
提督の目には「復讐」と言う名の恐ろしい形相をしていた。
「・・・・・・」
声を掛けようとした霧島も、提督の豹変ぶりにただ無言で見守るしかなかった。
・・・・・・
霧島たちは生き残った2人を連れて、鎮守府に帰還・・・提督は・・・
「・・・・・・」
先に埋めた10人の隣に、睦月達を埋葬した。
「すまなかった。」
提督は後悔の口を出す。
「もう少し・・・もう少し早く迎えに来ていれば・・・」
提督は静かに目を閉じ、黙祷する。
「・・・・・・」
そのまま振り向き・・・
「お前たちの死は絶対に無駄にしない!」
そう言って、提督は鎮守府に戻った。
・・・・・・
あの惨劇から数日が経過した後、2人が改めて皆に挨拶をした。
「駆逐艦朝潮です! 共に頑張って行きましょう!」
「陽炎型の時津風だよ、よろしく~・・・」
簡単な挨拶だけ済ませると、2人は用意された部屋に戻る。
・・・・・・
「そうか・・・とりあえず挨拶は出来たか・・・」
2人を心配していた提督。
「はい、でも・・・すぐに部屋に戻ってしまいました。」
「・・・・・・」
あの鎮守府で酷い扱いを受けた上に、皆いなくなってしまったのだ・・・心の傷は深いよな・・・
「少し様子を見てくる・・・書類の整理を頼む。」
そう言って執務室から出た提督。
「・・・・・・」
扉を叩いて部屋に入る、
「!? 司令官! いかがなさいましたか?」
「しれぇ~・・・何か用?」
「・・・・・・」
話し方は特に普通だ・・・でも、強がっているだけかな・・・本当は辛いはずなのに・・・
「ごめんな・・・」
提督は2人の前に腰を下ろし、
「皆を助けられなくて・・・ごめんな・・・」
謝り続ける提督に、
「なぜ司令官が謝るのですか?」
意外な言葉に、
「私は司令官を恨んでいません、それどころか感謝しています! また私を「艦娘」として扱ってくれるのですから・・・」
「・・・・・・」
「しれぇ~・・・何下向いてるのさ~・・・ほら笑ってよ~ねぇ~・・・」
「・・・・・・」
「睦月さんたちは仕方なかったんです、でも司令官は精一杯の事を私たちにしてくれました。 きっと皆も、
安心して安らかに眠れたと思います・・・ですから、司令官、悔やまないでください!」
「・・・・・・」
慰めの言葉を掛けたつもりが、自分が掛けられることになるなんて・・・想像もつかなかった。
「・・・わかった、2人はこれからもオレの艦娘だ。ここにいる皆と一緒に頑張って行こう!」
「はい! 司令官!」
「しれぇ~・・・頑張ろ~・・・お~!!」
2人は敬礼をした。
・・・・・・
執務室に戻った提督は無言で仕事を始めた。
「司令、少しお話があるのですが・・・」
霧島が途中で言葉を止める・・・声を掛けてもいい状況に見えなかったからだ。
「申し訳ありません・・・私は同じ部屋にいますので・・・いつでも呼んでください。」
そう言って、霧島も黙々と執務作業を始めた。
・・・・・・
それからと言うもの、
霧島以外の皆が提督に話しかけても、「何だ?」 「何か言ったか?」 「ごめん、聞いていなかった。」と会話が途切れる。
提督がこんな状態になることは初めてで、皆は心配するが・・・
「オレに話しかけないでくれ。」
「しばらく1人にしてくれ。」
「悪い、今日は食事を作る気分じゃない・・・外で食べてくれ。」
と、希望を抜き取られたような、やる気すら感じられない提督に変わっていた。
霧島やサラトガもそんな提督に辛くて声も掛けられず・・・時間だけが過ぎる毎日。
でも、そんな提督に希望を与えたのは夕立だった。
・・・・・・
ある日の事、
いつものように無言で執務をこなす提督・・・そこに、
「提督さん、遊びに来たよ!」
夕立が遊びに来た。
「・・・悪いけど・・・オレは忙しいんだ・・・後にしてくれ。」
相変わらず心を閉ざしたままの提督、
「・・・・・・」
夕立は何を思ったのか、
「提督さん♪ 変な顔~♪」
提督の目の前で変顔をした。
「・・・・・・」
全く動じない提督、
「変な顔~・・・夕立が変な顔~♪」
懲りずに変顔をする夕立に・・・
「何がしたいんだ夕立?」
少し、威勢を張って問う提督。
「提督さん、夕立お腹空いちゃった♪ 何か作って~♪」
今度は食事のおねだりをしてきて・・・
「・・・外食で済ませてくれ・・・オレは作る気がしない。」
威勢を張ったのがアホらしくなり、再び執務をこなす提督、
「・・・・・・」
急に表情が悲しくなり、
「提督さん、夕立辛いよぉ・・・」
今にも泣きそうな顔で、
「睦月ちゃんや皆がいなくなったのはとても悲しいことだけど・・・それ以上に・・・」
次の言葉が提督の心に残った。
「提督さんが落ち込んでいるのを見るのがもっと辛いっぽい~・・・」
「・・・落ち込んでないよ、考え事をしてるだけだ・・・」
提督が顔を上げると、目の前には泣いている夕立の姿が・・・
「提督さん、笑って欲しいっぽい~! いつものように褒めて撫でて欲しいっぽい~! 夕立と遊んで欲しいっぽい~!
そんな暗い顔しないで笑って欲しいっぽい~・・・ぽい~・・・」
「・・・・・・」
「そんな提督さん嫌いっぽい~!! そんな提督さん見てたら夕立・・・泣いちゃうっぽい~!!」
「・・・・・・」
「やれやれ」と思い、夕立を寄せると、
「悪かった・・・よしよし。」
夕立の頭を撫でて、
「わかったわかった・・・もう泣くな・・・オレが悪かったから・・・」
「ぽい~・・・ぽい~!!」
「泣くなって・・・お前の気持ち・・・ちゃんと伝わったからさ。」
そうだな・・・オレはまだこんな所で沈んでいる暇はないよな・・・まだやり残したことがあるな・・・
彼女の純真無垢な気持ちが提督に再び希望を与えたのだった・・・
「よし! 皆を集めて緊急会議だ! 霧島! すぐに皆を集めろ!」
「司令・・・わかりました! 急いで召集を掛けます!」
霧島はマイクを持って各艦娘に号令をかけた。
・・・・・・
「司令! 本気ですか!?」
提督の突然の告白に驚く。
「提督・・・考え直していただけませんか?」
サラトガも説得するが、
「もう決めたことだ・・・それにこの方法なら上の人間共に引導を渡すことが容易だからな・・・」
霧島が恐れていた「復讐」が頭によぎった。
「司令・・・確かに上官がやったことは間違っています。 睦月さんたちや他の皆も用済みにされ、簡単に捨てられ・・・
司令の今のお気持ちは痛いほどにわかります・・・ですが、だからって復讐は間違っています!」
霧島が叫ぶが・・・
「復讐? オレは復讐なんてするつもりはないが?」
提督がきっぱりと答え、
「では、どうしてそのような決断を・・・?」
「オレは「上の人間共に身の程知らずを教えてやる」だけだ・・・復讐心に駆られて八つ裂きにする気はない。」
「・・・・・・」
「皆を集めろ・・・オレが決めたことを皆に打ち明ける・・・以上だ!」
そう言って提督はその場から去る・・・霧島とサラは提督の見つめていた。
・・・・・・
朝礼場に皆が集まり・・・提督が前で口を開く。
「皆、心配をかけたな・・・オレはもう大丈夫だ。」
それを聞いて皆が安心する。
「それから皆に聞いてほしいことがある、とても大事な話だ。」
「大事な話」と言われ、全員提督を見る。
「今日を持ってオレは・・・」
提督が叫んだ。
今日を持ってオレは・・・提督を辞める!!
皆 「ええっ!!?」
その言葉で皆に衝撃が走った。
「ある艦娘たちの日々」2 終
続きは「提督の辞任」にて。
もうすでに涙腺キツイです。
(´;ω;`)
あれ……目から液体が……( ;∀;)
こんな人類など滅んでしまえ
守る価値など無いから