「夕立の本当の居場所」
鎮守府から遠くに位置する1軒屋に、「夕立」と言う名前の女の子がいて・・・
こんにちは~♪
白露型駆逐艦の”夕立”よ、よろしくね!
本当は夕立・・・鎮守府にいるはずなんだけど、何故かどこかのお家にいるっぽい~。
理由? もちろん分からないっぽい~! そもそも何でお家に住んでいるのかも分からないっぽい~。
少しだけだけど・・・鎮守府で生活していた記憶はあるっぽい~。
でも、鎮守府の思い出はほんの僅かで、ほとんどはこのお家に住んでいる記憶しかないっぽい~・・・
提督さんも心配してるだろうし、夕立も早く鎮守府に戻って出撃したいっぽい~。
・・・
「う~ん、気持ちいいっぽい~♪」
夕立はとても上機嫌である。
「そうかそうか。お前は本当にこの場所が好きだな~。」
夕立に声を掛ける1人の人間・・・この家の主人である。
先程まで「早く鎮守府に戻らなきゃ!」と口走っていたのに、家の主人が現れると夕立は目を輝かせる。
「ご主人様の膝の上~・・・大きくて温かくて夕立大好きっぽい~♪」
夕立のお気に入りの場所・・・それはこの家に住む主人の膝の上である。
最初は家の主人も夕立の行動に驚くも、「まるで犬みたいだなぁ~」と意外に嫌ではないようで、
仕事の合間や休日の時はこうして夕立は主人の膝の上に乗っている。
「どれ、そろそろ仕事に戻るかな。」
そう言って、立ち上がろうとするも、
「夕立はまだ膝の上でくつろぎたいっぽい~! 少しだけ、もう少しだけここにいて欲しいっぽい~!」
主人が仕事に戻ろうとすると、夕立が不満そうな顔をする。
「はぁ~分かった分かった。 じゃあ後5分な。」
主人は「やれやれ」とまた夕立の前に座ると、
「♪~夕立、何か眠くなったっぽい~・・・すー、ふー・・・はー、むにゅう。」
寝息を吐いて本当に寝てしまう夕立。
「こらこら・・・これじゃあ仕事に戻れないだろう~!」
「はぁ~」っとため息をつくも、夕立の寝顔は可愛いと思ったのか、
「よしよし」とまるで犬の頭を撫でているかのように、夕立の頭をずっと撫でてあげている。
・・・
「もぐもぐ、美味しいっぽい~♪」
「そうか、それは良かった。」
隣で座っている主人も安心した表情で夕立を見つめる。
この家には、夕立を除くと主人(男性)1人しかおらず、1軒屋だが至って普通の民家である。
鎮守府では食堂があり、定食や豪華な食事が出るも、この家には主人しかおらず
食事として出る物は良くて出前で、ほとんどは主人が作ったご飯やみそ汁と、鎮守府と比べれば貧相である。
しかし、鎮守府にいた記憶があまりなく、この家での生活に慣れた夕立にとって、貧相な食事など
気にもならず、「ご主人様と一緒なら夕立は幸せっぽい~♪」と思っていた。
「ご馳走様っぽい~♪ じゃあ夕立はご主人様の膝の上で寝るっぽい~♪」
そう言って、主人の許可もなく勝手に膝の上にくつろぐ夕立。
「ははは、お前は本当に犬っぽくて可愛い奴だな。」
犬の様に人懐っこい夕立を見て、ずっと1人暮らしだった主人もいつの間にか、夕立との生活に幸せを感じていた。
しかし、そんな2人の生活に突如終止符が打たれる。
朝、夕立がいつものように新聞を手に取ると、
「ぽい~? 駆逐艦夕立を捜索中・・・心当たりの方は〇〇鎮守府へご連絡ください・・・こ、これって!?」
夕立は驚く、鎮守府にいた微かな記憶・・・〇〇鎮守府にいた記憶は無いが、夕立を探していると言う言葉に
「夕立がいた鎮守府はここに違いないっぽい~! すぐに戻らないと!!」
夕立は鎮守府に戻る決心をするが、
「でも・・・ご主人様は何て言うかな・・・」
ずっとこの家で生活していた夕立、今になって「鎮守府に戻りたい」と言って、許してくれるであろうか、と。
「・・・」
夕立は悩む。
夕方、すぐに夕立は鎮守府に戻りたいと言う旨を伝える。
「鎮守府の提督さんが夕立を探しているっぽい~、だから夕立は鎮守府に戻りたいっぽい~・・・」
夕立は思いのたけを漏らすも、
「・・・いいよ、行っておいで。そして自分の意見をきちんと言うんだぞ。」
意外にも主人は鎮守府に行く事を許してくれた。
「!? 本当に、本当に行っていいの?」
「ああ、夕立は艦娘だろ? ならこの家では無く、本来の場所に戻った方がいい。」
「あ、ありがとうっぽい~!」
すぐに夕立は荷物を整理して鎮守府に向かう準備をする。
そして翌日の朝。
「お世話になりましたっぽい~。 夕立、鎮守府に戻って頑張って活躍するぽい~。」
「ああ、頑張るんだぞ。 時間があればまたここに来てくれ・・・立派になった姿を見せてくれよ。」
「う、うん! 夕立頑張るっぽい~!!」
夕立は主人に深く礼をし、〇〇鎮守府に向けて歩いて行く。
・・・
・・
・
鎮守府に着くと、すぐに主力部隊に編成された夕立。
「ずっと探したんだ、本当に見つかって良かった。」と提督もずっと探してくれていたようで、
夕立は「心配掛けてごめんなさい」と謝り、すぐに部屋も支給される。
「・・・」
布団に入って夕立は天井を見つめる。
「夕立、覚えてる・・・夕立は確かにこの鎮守府にいた覚えがあるっぽい~。」
微かな記憶を辿って、昔この鎮守府にいた事を思い出すも、
「・・・でも分かんない。 どうして鎮守府にいたのに、ご主人様の家に住んでいたっぽい~?」
考えても考えても答えは見つからず、
「でも鎮守府に戻れたんだから、これからは提督さんのために頑張らないと!」
夕立はこれからの鎮守府生活に向けて意気込みをする。
ずっと家での生活だった夕立、早々に出撃して足手まといにならないか心配であったが、
「提督さんのために頑張る!」と言う目標を胸に、ブランクがあったとは思えないほどの戦果を取り続ける。
結果、駆逐艦内での戦果ではトップ3に入る程だ。
最近になって、夕立に改装が行われる・・・更なる改装を遂げた「夕立改二」だ。
「夕立、更に強くなったっぽい~! もっともっと活躍して提督さんに褒めて貰いたいっぽい~!」
その後も夕立は誰よりも出撃をし、誰よりも戦果を取り続けた。
「ご主人様、久しぶりっぽい~♪」
夕立は月に1回、住んでいた家を訪れる。
「大分姿が変わったけど・・・中身は昔のままで良かったよ。」
姿が違えど、いつものように主人の膝にくつろぐ姿は昔と全く変わらない。
「夕立~、このままご主人様の膝の上でくつろぎたいっぽい~♪」
明らかに無理そうな要求だが、
「そうかそうか、夕立がそうしたいならずっとそれでも構わないぞ。」
そう言って、自分の膝でくつろぐ夕立の頭を優しく撫でてあげる。
「ぽい~♪ 気持ちいいっぽい~♪」
夕立にとって、主人といるこの時間がとても幸せである。
翌日になり、
「夕立、鎮守府に戻るっぽい~。 来月また来るっぽい~♪」
そう言って、主人に送られ鎮守府に戻る夕立。
・・・
それからと言う物、
鎮守府では、度々イベントで新海域攻略作戦が実施され、
資材確保のため、休む間もなく遠征に駆り出され、家に帰る機会が少なくなっていた。
それと同時に、夕立の活躍ぶりは他の艦娘たちと比べて群を抜き、鎮守府では待遇がとても良かった。
昔はご飯と味噌汁が主流だったが今では、洋食や中華料理など食も豪華になって行き、
夕立が出撃すれば「必ず戦果が取れる」と鎮守府内では皆からおだてられ、夕立本人も徐々に天狗になりつつあった。
「聞いて聞いて♪ 夕立はねぇ~、大活躍してるっぽい~♪」
半年ぶりに夕立は主人の家に帰っていた。
「あたしが編成に入れば、必ず勝利出来るから皆から凄く頼られているっぽい~♪」
そう言って、鎮守府から持って来たおやつを食べながら話す。
「今日も提督さんからお小遣いを貰ったっぽい~♪ でも、夕立はあまり使わないからご主人様にあげるっぽい~♪」
そう言って、ポーチから封筒を出すと、主人の前に置く夕立。
「それでねぇ~、提督さんがねぇ~、夕立は鎮守府に無くてはならない存在なんだって~♪」
徐々に話の内容が自慢話になって行く、
「・・・」
夕立が話しているのに対して、主人はずっと無言のままである。
「? ご主人様、どうして何も話さないっぽい~?」
夕立が不思議に思っていると、
「夕立、お前が鎮守府で活躍している事はオレも嬉しいけど・・・」
主人は口を開く、
「皆より大活躍しているからって、そんな天狗になっちゃ駄目だよ。出撃だって下手をすれば死と隣り合わせなんだ、
そんな我が物顔で振る舞っていたら、いずれ大きな失敗を起こす事になるぞ。」
「・・・」
「それに提督は夕立が本当に鎮守府に必要な艦娘だとは思っていない、今の話を聞く限りではね。 ただ夕立を
良いように使っているだけだ、夕立もそれは自覚しないと・・・」
主人は鎮守府で活躍し続け、自信家になってしまった夕立を心配して忠告したつもりだったが、
「ゆ、夕立はそんなミスしないっぽい~! 夕立は・・・夕立は鎮守府で必要な艦娘! 提督さんが言ってたもん!!
だからそんな失敗なんて絶対しないし、提督さんだってそんな事思ってるはずないっぽい~!!」
夕立は怒って、
「酷いっぽい~! 久しぶりに家に戻って、ご主人様に褒めて貰おうと思ったのに、どうして・・・
どうして怒られなければならないっぽい~!」
「そ、そんなつもりはないよ、でも少しは考えた方がいい。 目先の事ばかりに囚われてないでもっと周りを見ないと・・・」
そこまで言い掛けて、
「もう帰るっぽい~! 夕立、もうこの家に来ないっぽい~!! さよなら!!」
夕立の怒りは収まらず、そのまま家から出て行く。
「おい、夕立!!」
主人は立ち去る夕立に向かって叫ぶも、夕立の耳には届かなかった。
・・・
その後も、夕立は鎮守府で活躍の幅を広げる。
最近提督からの指示で朝から遠征、昼から出撃、夜には偵察任務とほぼフルタイムの仕事を要せられる。
明らかに労働基準法に違反しているのだが、夕立は全く疑う事も無く、
「提督さんのために夕立頑張るっぽい~!」とただ活躍したいと言う一心で夕立は提督の指示に従う。
結果、朝から夜までのほぼフルタイムをさせられ・・・最初は問題なかったが、徐々に疲労が蓄積していき、
休日も1か月に1,2日だけしか与えられず、いつもの元気な声も弱々しい口調に変わっていく。
一度提督に「もう少しお休みが欲しいっぽい~。」と願い出るも、
「これが出来るのは夕立しかいないんだ、大変だろうけど頑張ってくれ!」と説得され、
その後も、フルタイムに従事する。
そんな状態が続き、突如夕立に不幸が訪れる。
フルタイムで寝る時間もほとんど無く、その状態で朝の特殊任務。
内容は「近海に出現した深海棲艦を撃破せよ!」との指示、夕立は迷うことなく出撃をする。
「眠いっぽい~・・・」
出撃中でも欠伸をする夕立。
「深海棲艦を発見・・・そ、そんな! どうして敵に戦艦がいるの!?」
敵戦艦の出現に旗艦は驚き、
「!? 敵戦艦がこちらに向けて砲撃を開始、直ちに回避準備を!!」
旗艦の指示で全員が回避行動に移る。
「ふあ~ぁ、眠いっぽい~・・・」
ただ1人、夕立だけがその場でずっと佇んだままだ。
「夕立さん・・・夕立さん!! 危ない!!」
「!? はっ!? うぐっ!・・・痛いっぽい~!!」
仲間の大声ですぐに我に返るも、夕立は敵戦艦の砲撃をもろに受けてしまう。
「ううっ、腕と足を損傷したっぽい~。」
運悪く、夕立は利き腕を損傷し、反撃が出来ない。
「各員! 敵の攻撃を回避しつつ応戦してください!!」
旗艦の指示で応戦するも、敵戦艦に中々損傷を与えられず、被弾者が増える一方だ。
実はこの作戦、編成は駆逐艦のみで”敵は駆逐と軽巡のみ”と提督から聞かされていたが、
戦艦が現れた事で、提督の誤情報とされる。 そして駆逐艦で火力最強である夕立が損傷してしまった事で、
編成内の火力が大幅に激減、結果ほとんどの艦娘が中大破をする大敗北となってしまう。
それでも運が良かったのか、誰1人轟沈することも無く鎮守府に帰還することが出来た。
・・・
鎮守府に帰還するや否や、夕立は被弾した状態であるにも関わらず執務室に呼び出される。
「お前のせいで、作戦は失敗した!! この程度の作戦も達成できんのか!!」
と、提督からお叱りを受ける。
・・・本当は提督の誤判断による結果なのだが。
それでも、夕立はただ「ごめんなさい」としか言えず、約1時間の間、提督の説教を受ける羽目になる。
その後、すぐに入渠するも完全には治らなかった。
被弾した腕と足に後遺症が残り、出撃では痛みが治まらず命中率が極端に低下し、回避ですら敵駆逐艦の攻撃を
まともに受けてしまう程、立ち回りも悪くなる。
当然ながら戦果は取れず、夕立の今までの待遇は一気に無くなり、今まで豪華だった部屋がボロボロの部屋に移され、
食事も洋食・中華からご飯の上に魚の骨と、主人と一緒に住んでいた時よりも更に貧相な食生活に変わってしまう。
それでも、「夕立が悪い子だから、いい子になってもっと頑張らないと!」とこうなったのは自分のせいだと言い聞かせる夕立。
それから夕立なりに努力するも、遂に編成から外され今では雑用程度しか指示されなくなる。
・・・
ある日の事、
「う~ん・・・お手洗いに行きたいっぽい~。」
深夜、急な尿意に目覚める夕立。
「うんっしょ・・・うんっしょ。」
夕立は足に後遺症が残っていて症状は更に酷くなり、今は松葉杖が無いと歩く事すら出来ない状態だ。
「うんっしょ・・・あれ?」
執務室に通りかかると、室内が明るい事に気付く夕立。
「・・・」
夕立は扉の前まで近づくと、
「・・・」
室内には何故か笑って話している提督と秘書艦の姿があった。
「ほら見ろよ~! あいつのおかげでこんなに金が集まったぞ~!!」
机の上に大量の資金を並べて盛り上がる提督と、側で難しそうな顔をする秘書艦。
「あいつを見た時、ピンッと来たんだ。 あいつを手懐ければ楽に稼げるってなぁ~。」
提督は上機嫌である。
「・・・あいつとは、夕立ちゃんの事でしょうか?」
秘書艦が質問すると、
「そう! 夕立、あいつに決まってるだろ! あいつ程、金に無頓着で人懐っこくて、ちょっとおだてれば
犬みたいに喜んで、あれほど利用しやすい艦娘は他にいないだろう?」
提督は更に言葉を続けて、
「最初は建造で夕立が出たんだけどよぉ、「あっ、駆逐艦は十分いるしいらねぇわ」って、すぐに解体手続きしたわけよ。」
「・・・」
「そしたら解体する側の問題で、”数人の艦娘を生きたまま海に流しちまったんだ”・・・危うく規律違反で本営から
処罰を受けそうになってよ、必死に弁明して始末書だけで済んだけど正直面倒だったわ(ぶつぶつ)」
提督は昔の事を語り出す。
「それで、その中に夕立だけいなくてよ、もう既に海のど真ん中まで流れて着いたか、深海に沈んだか分からずじまいだった。
結局本営にはバレずに済んだから不幸中の幸いだけどな~。」
「・・・」
「そんな時、夕立の更なる改装が実装されて、ステータスを見たら驚いたわけよ・・・「何だこいつ!? 改装したら
こんなに強くなるの!? うわー、あの時解体して勿体ねぇ!!」って。」
「・・・」
「それで諦めかけていた時、買い物していたら偶然に改装前の夕立を発見したわけよ。 このご時世、夕立を改装せずに
そのままで残しているのは、着任したての新米か、もしかしたらあの時、生き延びた夕立じゃないかなぁって。」
「・・・」
「それで急遽、「夕立を捜索している」と広告を出したわけ・・・そしたら簡単にやって来たの。
「提督さんのために頑張るっぽい~!」って、こいつ犬か! ってマジで思ったわ(笑)」
提督はゲラゲラと笑う。
「それでオレも純情な振りして、あいつを改装するまで優しくしてやったわけよ。 本当は改装費用も出すのは勿体ないし、
語尾の「ぽい~♪」は鬱陶しかったし、我ながら頑張ったわ本当に。」
「・・・」
「でも、その甲斐あって見ろよ! あいつの給料を全部ピンハネしてこれだけの資金が集まった!
これでしばらくは贅沢に暮らしていける、流石オレだぜ!!」
「ひ、酷いです・・・あんなに頑張った夕立ちゃんにそんな仕打ちなんて。」
提督の言葉に、秘書艦は反論するも、
「ああ? 1万入れた封筒を渡しただけで、「夕立嬉しいっぽい~♪」ってはしゃぐんだぜ?
「こいつ金の知識ねぇなぁ、むしろ好都合だわ。」ってあいつの代わりにオレが使ってやってるだけだよ!」
明らかに悪行をしているが、全く自覚のない提督。
「提督、お忘れではありませんか? 提督は今療養中の大将殿の代わりに着任している身なんですよ?
こんな規律違反ばかりやって大将殿に何て報告するのですか?」
どうやらこの提督は、元々この鎮守府の提督ではないようだ。
体調を崩して現在療養中の大将の代役として着任している代理提督らしい。
「はっ! 大将がいないからって何だ? 今はオレが統括しているんだ! 大将殿だってこのまま体調が改善されずに
コロッと逝ってくれれば、このオレが晴れてこの鎮守府の提督だ! 文句あるまい?」
「・・・」
秘書艦は何も言えない。
「・・・」
扉の前で、全てを聞いた夕立。
「そ、そんな・・・じゃあ夕立は・・・」
提督が言っていることが正しいなら、夕立は建造直後に解体として捨てられた、と。
夕立がこの鎮守府に僅かしか記憶が残っていないのはそのためだろう。
その後の話から推測すれば、夕立を含めた解体組は後の作業の手違いで生きたまま海に投げ出されたと言う。
捜索の結果、その中に自分だけが発見されなかった・・・それは何故か?
「・・・」
あくまで憶測だが、夕立は生きたまま浜辺か近海に流れ着いたのでは?
そして、偶然通りかかった誰かが、夕立を助けてくれたのではないか、と。
「もしかして・・・ご主人様が?」
鎮守府よりも家に長く生活していた夕立だが、特別生活に支障は無くまるで「ずっと家で生活していた」かのような
気持ちで、むしろ居心地が良かったのだ。
「・・・」
夕立が考えていると、また提督が笑いながら、
「もっとあいつには稼いでもらおうと思ったけど、少し仕事量を増やしただけでもうポンコツに成り下がった。
このままずっと治療費と食費だけが減るのはもう我慢出来ん・・・」
提督は少し考えた後、
「もうあいつはいらん。 そうだなぁ・・・明日か明後日には解体手続きをするか。」
「!!?」
それを聞いた夕立驚き、
「そんな・・・夕立・・・提督さんのために一所懸命頑張って来たのに・・・」
「提督さんのために活躍したい!」「提督さんに褒めて貰いたい!」ただそれだけの気持ちで、精一杯尽くした夕立だが、
「夕立・・・提督さんにいいように使われていただけ・・・っぽい~。」
悟った瞬間、瞳から涙が溢れる程に滴る、
「・・・」
しかし、今は泣いている場合ではない。
提督が言った「明日か明後日には解体予定」と言う言葉、このまま鎮守府にいれば躊躇いも無く解体され、
自分と言う存在が消えてなくなる。
「・・・に、逃げなきゃ。 どこか遠くに。」
そう言って、夕立はすぐに部屋に戻る。
・・・
翌朝、
ずっと部屋に来なかった提督が、今日になって部屋に訪れる。
「夕立、まだ治らなくて辛いよね? 大丈夫、明日には特効薬が届くって明石から知らされてね・・・
それを投与すれば夕立の後遺症は治るらしい、だから明日まで待ってくれ。 本当に苦労を掛けるな。」
その時の提督の表情は心配そうな顔で、痛がっている夕立に対して優しく声を掛けていたが、
「・・・」
昨日の話を聞いてしまった夕立には、当然のことながら提督の芝居だという事に気付いている。
「明日まで我慢してくれ、そうしたら元気になって、また頑張って出撃してくれ!」
そう言って、提督は夕立の部屋から出る。
「・・・」
”明日特効薬が届く”・・・違う、本当は”明日お前は解体される”、それを遠まわしに言っているだけだ。
その日の深夜、鎮守府内の人間が寝静まり・・・夜の警備も薄くなった時間になったころ、
「今なら逃げられるっぽい~・・・音を立てず、ゆっくり移動するっぽい~・・・」
夕立は松葉杖を使わないと歩けない、杖を地面に付ける音を最小限にしながらゆっくりと歩を進める。
「ゆっくり・・・ゆっくり進んで・・・」
最初は自分の部屋から執務室を通り、鎮守府正門をゆっくり通過し・・・そして、徐々に鎮守府から離れて行く。
「ここまで来れば、多分追手は来ないっぽい~。」
数時間掛けて、鎮守府が見えなくなった林の中に入り込み、休息をとる夕立。
「・・・」
鎮守府を脱出したまではいい・・・問題は、”どこに向かうか”である。
「・・・」
当然夕立にそんな当てはない・・・いや、あるとすれば1つだけ思い当たる。
「ご主人様の家。」
そう、夕立が鎮守府に戻る前からずっと住んでいたあの家である。
「・・・」
だが、夕立は今更ながら後悔をする。
提督におだてられ、それに気付かず提督のために頑張って来た夕立。
主人は夕立の話で既に、「夕立はただ利用されている」と気付いていたのだ。 そして、心配になって忠告をするも、
主人の気持ちに気付かず、目先の事しか判断出来なかった夕立は主人を貶してしまう。
そして自分から言った「もう家には帰って来ない!」と。
「ご主人様の方が正しかったっぽい~・・・」
今になって後悔するも、既に遅い。
「・・・」
それでも夕立は、
「ご主人様の家に行こう・・・怒られてもいいっぽい~。 せめて「ごめんなさい」だけでも言いたいっぽい~。」
主人に心から謝りたい、その気持ちだけを持って夕立は主人の家に向かう。
・・・
家の前に立つ夕立。
「・・・」
松葉杖を使わなければ1日も掛からない道のりを、夕立は2日間飲まず食わずでやっとの事で家に辿り着く。
「・・・」
扉を開けるのに抵抗があった夕立、でももう後戻りはできない。
「すー、はーっ・・・あ、開けるっぽい!」
一度深呼吸をして扉を開けた夕立。
「・・・」
扉を開けると、物音に気付いたのか家の主人が玄関にやって来る。
「・・・」
久しぶりに見た主人の顔・・・夕立を見て怒っているわけでは無いが、少し悲しそうな表情で見つめて来た。
「た、ただいまっぽい~。」
夕立はまずは帰って来た挨拶を口に出す。
「・・・」
「今更どの面下げて戻って来たんだ!!」と言われる覚悟はしていたが、
「おかえり、夕立。」
夕立の予想と違い主人は怒ることも無く、むしろ夕立を迎える。
「お腹空いてるだろう? いつものご飯とみそ汁でいいか?」
「・・・」
考えて見れば2日間、飲まず食わずでここまで来た夕立・・・主人に言われて緊張感が解けたのか、
「お、お腹空いたっぽい~。」
夕立は素直に答える。
「ほら、いつも食べていたごはんとみそ汁に漬物。 大したものは出せないけど・・・」
主人が申し訳なさそうに言うも、
「・・・(ごくっ)」
戦果が取れなくなり、ボロ部屋に移されまともに食事が摂れなかった夕立。
確かに鎮守府と比べれば、主人の出す食事は貧相な物であるが、今の夕立にはご馳走に感じていた。
「い、いただきます! はむはむ・・んぐんぐ。」
夕立は夢中で食べ続ける。
「おいおい、そんなにがっつかなくても・・・お茶を忘れていたな。 持って来るから待ってろ。」
そう言って、主人はその場から去る。
「もぐもぐ・・んぐんぐ・・? あれは?」
夕立の目に何かが移る。
「・・・」
夕立が見た物・・・それは立てかけてある封筒と横にはお守りと何か書かれた表紙である。
「・・・」
封筒を見て夕立には見覚えがあり、食べるのを止めて封筒を手に取る。
「この封筒・・・夕立が提督さんから貰ったお小遣いっぽい~、それをご主人様に上げた封筒・・・」
封筒を開くと中身は残っている様で、
「・・・お金が残ってる・・ご主人様、お金を使わなかったっぽい~?」
不思議そうに見ていると、封筒の側にあったお守りと表紙に目をやる。
「・・・安全祈願のお守りと・・この表紙に書いてある言葉は・・」
書いてある言葉を見て、夕立は言葉を失う。
「・・・」
お守りと一緒に置いてあった表紙に書かれた言葉は・・・
”夕立が何の怪我も苦労も無く、鎮守府で幸せに生活が出来ますように”
と言う言葉が書かれた表紙と共に安全祈願のお守りが置かれていた。
「ご、ご主人様。 ずっと・・ずっと夕立の事心配してくれていたっぽい~?」
悟った瞬間、夕立の目から涙が溢れる。
「お茶持って来たぞ~・・ってどうした夕立? 何で泣いてるんだ?」
飲み物を持って戻ってきた主人が夕立が泣いているのに気づく。
「ご、ご主人様~・・・ご、ごめんなさい。 ごめんなさいっぽい~、ううっ。」
夕立は必死に謝り続ける。
「何で泣いてるんだ? それに何で謝る? 夕立は何も悪い事はしていないだろう?」
主人は何度も夕立の頭を撫でてあげる。
「ぐすっ・・ひっく・・」
「あ~あ、せっかくの可愛い顔が台無しじゃないか、もう泣くんじゃない。 昔と同じ笑顔を見せてくれよ夕立~。」
主人が「ほらほら~」と何度もなだめては撫でてあげるの繰り返し、そして。
「ぐすっ・・ぽ、ぽい~。」
夕立は泣き止み、主人に向かっていつもと同じ笑顔を見せて見る。
「そうそう、それでいいんだ。 夕立はいい子だなぁ~。」
そう言って、また頭を撫でてあげる主人。
・・・
その後は夕立もやっと落ち着き、
今までの鎮守府生活を包み隠さず話していく。
話の中で主人に何度も「ごめんなさい」と謝る夕立だが、
「そうかそうか、夕立は頑張ったなぁ。本当に偉いぞ~。」
と、主人は心身になって聞いてくれていた。
夕立はまた主人の家で生活したいと願う・・・他に行く当てが無いから。
主人は昔と同じ様に「夕立がそうしたいなら」と受け入れてくれた。
それからはまた、主人と夕立の2人の生活が始まるが、
夕立は昔と比べて主人により甘えるようになる。
前は主人の仕事の”休憩中”や”仕事の合間”に構って貰っていたが、今は仕事中でも調理中でもほとんどの時間に、
主人にべったり甘えるようになる。
流石の主人も、「こら夕立、これじゃあ仕事が出来ないだろう?」と意見し、
対する夕立も「もっと構って欲しいっぽい~! 夕立はご主人様の事が好きっぽい~♪」と
自身の行動を一切改めない夕立。
しばらくはお互い言い合いが続くも、結果的に夕立の期待の眼差しに叶わず根負けする主人。
「分かった分かった・・・じゃあ乗っていいから、静かにしてくれ、な?」
「分かったっぽい~♪ (膝の上に乗り)すぅー・・はぁー・・すー、すー(眠)」
毎日がそんな生活である。
そんなある日の事、
主人は夕立をある場所へと連れて行く。
「ご主人様ぁ~? ここは?」
着いた場所は・・・”リハビリ施設”。
「夕立、また歩けるように訓練しよう。」
「・・・」
「もし、杖を使わず歩けるようになったら・・・その時は一緒に遊園地にでも行こう、どうだ夕立?」
「・・・」
主人が夕立をも見て一番辛かった事、それは”手足の不自由”だ。
夕立は赤疲労状態での出撃、提督の誤情報でいるはずのない敵戦艦と遭遇。
その結果、片手足を負傷し後遺症が残ることに。
症状は酷くなり、主人の家で再び生活を始め少し経った頃には、足の自由が完全に利かなくなり、
いつも主人の元へ駆けつける時は”地面を這って”来ていた。
利き腕は足程ではないが、食事中に震えて箸が持てずに主人に口に運んでもらう事も多々ある。
そんな夕立を見て、主人は「リハビリをさせよう」と決心したのだ、
当然リハビリは簡単ではない、いつ治るか分からない苦痛と常に向き合い、本人の治そうと言う気持ちと、
それを信じる人間の気持ちが続かなければ治療には至らないのだ。
「や、やるっぽい~! 夕立、リハビリするっぽい~!!」
夕立は嫌がることも否定することもせず「やる」と言い放つ。
「夕立、分かってると思うけどリハビリは大変な事だ、いつ治るか分からないし、途中で挫折してしまうかもしれない。
それでも夕立はやるか?」
主人の言葉に、
「やるっぽい~! また歩けるようになったら・・・ご主人様と一緒に買い物に行きたい! 遊園地にも行きたい!
一緒に散歩したいっぽい~!!」
夕立の決意は固かった。
翌日から、早速リハビリが始まる。
「うんっしょ・・・うんっしょ・・・」
設置された2つの棒の間に夕立が入り、両手で支えながら足を立て、まずは立つ練習をする。
「うんっしょ・・ああっ!」
足を地面に着き、手を離すとやはり転倒してしまう。
「もう一度・・うんっしょ。」
諦めずに夕立はまた態勢を立て直す。
・・・
何度も転倒しては何度も挑戦する・・・そんな状態が1週間続き、
「ご、ご主人様ぁ! 見て見て、夕立! 立てるようになったっぽい~!」
家の壁に持たれてはいるが、両足をピンと立てて立ち尽くしている夕立の姿が、
「よく頑張ったな夕立! 本当によく頑張った!!」
主人は感動して夕立を優しく抱き、その手で夕立の頭を撫でる。
「ぽい~♪ えへへ~♪」
主人に褒められて満足な夕立。
次のステップは歩行の練習、立った状態で一歩一歩進んでいく練習である。
「動いて・・動いてぽい~。」
夕立は全神経を足に集中させるも、足は思うように動かない。
「うう~ん・・」
何度も試すも、その日は一歩すら進めなかった。
「ご、ごめんなさい、ご主人様~。」
夕立が申し訳なさそうに謝るも、
「いいんだよ、今日は頑張った。明日もまた頑張ろう!」
主人の励ましに夕立の表情は明るくなる。
次の日も、夕立は歩く練習をしている。
「うんっしょ・・う、動いてっぽい~。」
夕立は足に力を入れるも、やはり足は動いてくれない。
「・・・」
くじけそうになると、夕立は主人の方を見る。
「・・・ぽい~。」
主人の表情は堅く真剣な表情で夕立をずっと見つめている。
「・・・が、頑張るっぽい~。」
夕立には分かっている・・・「甘えちゃ駄目っぽい~」と。
家では優しい主人だが、この場では厳しい顔をする。
それは夕立のためであり、もし家と同じ様に振る舞えば、途中で挫折して逃げてしまうのではないか、と考慮した上で。
リハビリ中は主人に見守られながら、夕立はずっと1人でリハビリに励む。
その甲斐あって、数日後には”たった一歩”だが進むことが出来た。
「うむ、よく頑張ったぞ夕立!」
そう言って、夕立の頭を撫でる主人。
その翌日には、頑張って3歩進むことが出来た。
主人が「頑張ったな!」と言って夕立の頭を撫でてあげる。
その後も夕立はリハビリに必死に励む。
ほんの僅かでも成果が出れば主人が褒めてくれる、その”主人の大きな手で頭を撫でて貰える”、
その喜びのために夕立は必死でリハビリを続ける。
・・・
・・
・
夕立がリハビリを続けて、半年が経った頃、
「ご主人様ぁ~、見て見て!!」
早朝、夕立に起こされる主人。
「ど、どうした夕立? ・・・まだ朝の6時だぞ、何かあったのか?」
「ぽい~! 夕立を見て見て~♪」
「・・・」
夕立に言われて、主人は見つめると、
「うんっしょ・・うんっしょ・・ほら、夕立! 歩けるようになったっぽい~!」
まだ震えて動きもぎこちないが、確かに歩いていた・・・夕立が支えも無く1人で、歩いたのだ。
「夕立、おおっ夕立! 頑張った、お前は本当に頑張ったなぁ!!」
感動して、思わず夕立に抱き着く主人。
「えへへ~♪ 夕立頑張ったっぽい~・・・褒めて褒めて~♪」
夕立は褒めて貰う事を切望、
「ああ、よく頑張った・・夕立は本当に、よく頑張った。」
そう言って、いつものように頭を撫でる主人。
「ぽい~♪ ぽい~♪」
夕立は上機嫌である。
それから1か月が過ぎ、
夕立の足はほぼ動かせるようになり、同時に腕の震えも足のリハビリ時に改善したようで、
夕立の後遺症は無事に完治した。
・・・
「それじゃあ、帰りは夕方頃になるかな。」
早朝、主人が着替えをして外に出る準備をする。
「行ってらっしゃいっぽい~♪ 夕立、いい子に待ってるっぽい~♪」
夕立に見送られ、主人は「行って来るね。」と言い、家から出て行く。
家で書類の仕事をしていた主人だが、どうやら体調不良で療養のためにしばらく家で暮らしていた様子。
夕立との生活が続く中、体調が徐々に良くなり本来の職場へ向かうようになった。
・・・
「提督、無事戻って来て何よりです!」
秘書艦である艦娘が提督を迎える。
「今まで悪かったな、オレがいない間、鎮守府の状態はどうだった?」
「はい、変わらず皆は出撃と遠征を提督の指示通りにこなしていましたよ。」
「そうか、それは良かった・・・所で。」
「はいっ、何でしょう?」
「オレの代役として着任していた提督はどうだった? きちんと業務をこなしていたか?」
「・・・」
秘書艦は急に沈黙し、
「うん、そうか。 ならオレが療養する前に頼んだ”あれ”はやってくれていたかな?」
「は、はいっ! 私を含む秘書艦を承った艦娘全員分の”あれ”はきちんと保管してあります!」
「分かった、じゃあオレは執務室に向かうから。 準備が出来たら来てくれ。」
そう言って、秘書艦と別れる提督。
この提督、夕立と一緒に生活していた家の主人である。
階級は大将で、艦娘たちからの信頼も厚かったが、数年前に体調を崩してしまい、
療養のため自宅での生活をしていた。
とはいえ、執務室が自宅の部屋に変わった程度で、書類整理や出撃・遠征の指示は無線で行っていた。
しかし、自宅では艦娘たちの健康状態や疲労状態を直に知ることが出来ないため、
急遽代役にあの提督を報告役として投入したのだ。
「入るぞ。」
大将が執務室に入ると、
「こ、これは大将殿! お体は大丈夫なのですか?」
大将を見た瞬間、急に媚び始める提督。
「ああ、大分良くなった。 私の代わりに業務を務めてくれたお主には心から感謝する!」
「いえいえ! 私は大将殿のお役に立てて、誇りに思っております!」
「そうか、早速だがお主には私から最優遇のおもてなしをしたいのだが、時間はあるかな?」
「そんな! 勿体ないお言葉です・・・ですが、大将殿からのお誘いであれば、不肖この私喜んで承ります!」
「うん、分かった。 では、少し準備があるからこの書類を工廠場の明石に持って行ってくれないか?」
「か、かしこまりました! この書類を工廠場に持って行けばいいのですね? お安い御用です!」
提督は書類を受け取り、執務室から出る。
「ちぇっ、大将殿が帰って来たか・・・さっさと逝ってしまえば、この鎮守府はオレの物だったのに・・・」
廊下で愚痴をこぼしながら工廠場へ向かう提督。
「それにしても、最優遇のおもてなしか・・・一体どんなおもてなしをしてくれるのやら? もしかして昇進?
ははは、ただ報告役をやっていただけで昇進出来るなんてオレは何て運がいいんだ!」
提督はにやにやし始めて、
「となると祝杯か? 酒が好きなだけ飲める? いやっほぉー! ご馳走も酒も好きなだけ食える飲める!
ちょうど食堂のショボい飯には飽きていたんだよね~。」
提督の気分は高揚し出し、
「そうとなればこんなクソ重い書類を早く工廠場へと持って行って、早く大将殿の元へ・・・?」
工廠場に着く手前で、数人の戦艦艦娘に出会うが・・・様子がおかしい?
「何だ、お前ら? オレはこれからこの書類を工廠場に持って・・・ぐふっ!!?」
いきなり艦娘に殴られ、気を失う提督。
「ああ、今からあんたに最優遇のおもてなしを始めようではないか。」
そう言って、提督を担ぐとどこかへと連れて行く。
・・・
「お帰りなさいっぽい~♪」
夕立が扉の前でニッコリ笑顔で佇んでいた。
「ただいま夕立・・・もしかしてずっとここで待ってた?」
「ううん、ご主人様の足音が聞こえたから、今来た所っぽい~♪」
「そうかそうか、じゃあすぐに夕食でも作ろうか~。」
主人は夕立の頭を撫でると、台所へと向かう。
「今日は職場からおかずをいくつか頂いたから、いつものご飯とみそ汁と一緒に並べて、と。」
普段の食事と鎮守府の食堂から少し持って帰って来たおかずを並べて2人の楽しい夕食が始まる。
「頂きます(っぽい~♪)」
食事中はいつも夕立からの話す事が多い。
「今日はねぇ~、夕立がお味噌汁作ったっぽい~♪」
最近では夕立が主人の代わりに味噌汁を調理するようになった。
「うん、美味しいよ。 夕立は結構料理の才能あるかもね~。」
「わ~い、ご主人様が喜んでくれた~♪」
夕立は嬉しくて顔を赤くする。
「ご主人様はどんなお仕事に務めているっぽい~?」
主人は夕立にはまだ”鎮守府の提督”と打ち明けていない。
「家でやってる書類関係の仕事と変わらないよ。 家か事務所かの場所が変わっただけだよ。」
「ふ~ん、じゃあ大変っぽい~。 お仕事頑張ってっぽい~♪」
「うんうん。お前は本当にいい子だなぁ~。」
そう言って、恒例の頭撫で撫でをする。
「ぽい~♪」
夕立は上機嫌である。
「お~い夕立、そろそろ寝ようよ? オレも明日早いからさ~。」
主人が布団に入り、夕立が入ってくるのを待つ。
「待ってっぽい~・・・はいっ、お待たせしました♪」
夕立が布団の中に入ると、主人は灯りを消す。
・・・
「ご主人様ぁ~、お願いがあるっぽい~。」
「ん? お願いって?」
眠りに就く直前に、夕立が話しかける。
「ご主人様が良ければ・・・夕立、また鎮守府で活躍したいっぽい~。」
「・・・」
「夕立は家でご主人様と一緒に生活出来て幸せっぽい~、でも夕立は艦娘だから・・・
また鎮守府に戻って提督さんのために頑張りたいっぽい~。」
「・・・」
あれだけ提督に酷い目に遭ったのに、それでも鎮守府で活躍したい意向を示す夕立に、
「夕立はいいのか? 戻ればまた重労働をさせられ、休みも与えられずに任務を失敗すれば、
長時間説教を受けるかもしれないあの鎮守府にまた戻りたいのか?」
主人が聞くと、夕立の口から思いもよらぬ言葉が、
「大丈夫っぽい~♪ ご主人様が提督さんなら夕立は頑張れるっぽい~♪」
「なっ、夕立・・・どうしてオレが提督だと知って?」
夕立にはまだ打ち明けていない主人、それなのにどうして夕立は知っているのか?
「ご主人様は嘘が下手っぽい~、押し入れから鎮守府用の制服があったし、部屋にあった書類も
鎮守府にあった物だし・・・それに、今日ご主人様が持って帰って来たおかず。
あれは間宮さんが作った料理でしょ? 夕立は間宮さんのご飯、何度も食べてるから味を覚えているっぽい~♪」
鎮守府で提督に酷い扱いをされていた夕立、それゆえ自分が提督と打ち明けれなかった主人だったが、
主人が思っていたよりも、夕立の心は強くそして優しい気持ちを持っていた事を知る。
「だからご主人様・・・夕立、ご主人様の元で頑張りたい・・・駄目っぽい~?」
夕立の真剣且つ強い目を間近で見た主人は、
「だ、駄目なわけないだろう! うん、じゃあ夕立はこれからオレの元で働くことを許す。
頑張って活躍してくれ、それでいいかな夕立?」
主人の言葉に、
「うん、頑張るっぽい~♪ 夕立、また活躍するっぽい~♪」
布団の中で意気込んだ後、
「ふあ~あ・・・夕立眠いっぽい~。 ご主人様・・・おやすみっぽい~。」
一番話して一番動き回った夕立が静かに寝息を立てる。
「ふぅ~、夕立には全てお見通しだったわけか。」
主人は焦ったのか、ほっとしたのか、そんな気持ちで静かに就寝をする。
「それじゃあ行って来る。」
翌日、主人はいつものように着替えをして出る準備をする。
「行ってらっしゃいっぽい~♪」
夕立に迎えられ、主人は鎮守府へと向かう。
鎮守府に着き、朝から書類整理に忙しい提督。
「さてと、夕立が自分から着任したい意向を示してきた・・・ならば、断る理由は無い。
早速着任許可書に記入して・・・」
提督は夕立の着任書を記入し、大淀に渡す。
「次に編成はと・・・夕立は駆逐艦の中で火力がトップクラスだから、主力部隊に投入しようか・・・」
提督はこれからの出撃・遠征部隊の再編成案を立てて行き、
「提督、少しよろしいですか?」
秘書艦が執務室に入って来て、
「提督の指示通りに準備が終わりました、後は提督にお任せします!」
「うん、そうか。」
提督は立ち上がり、
「まだやるべきことが残っていたな・・・それを終わらせて、初めて夕立をこの鎮守府に迎えよう。」
提督は秘書艦と共に、ある場所に向かう。
提督と秘書艦が向かった場所は、鎮守府地下。
主に捕捉した敵や命令違反を犯した人間や艦娘たちを収容する場所であるが、
歩いて行くと、そこには見慣れた人物が複数の艦娘たちにリンチに遭っていた。
「や、止めろ!! 止めてくれぇええええ!!」
リンチに遭っているのは、大将の代役として勤めていた提督である。
数日前からこの鎮守府地下に閉じ込められ、艦娘たちから何度も暴力を受け、体中傷だらけである。
「やぁ提督、気分はどうだ?」
大将が語り掛けると、
「はぁ・・・はぁ・・・た、大将殿! これは一体どう言う事だ!!」
提督は大将を睨みつける。
「どう言う事って、言っただろう? 君に最優遇のおもてなしをしてやると?」
「最優遇のおもてなし? これが? ふざけんな! 艦娘共からのリンチの何がおもてなしだ、ふざけんな!!」
提督は暴れ出すが、両手足を鎖で繋がれており、身動きが出来ない。
「そうか、その様子では全く反省の態度は見られないな・・・では、仕方ない。 長門、やってくれ。」
大将の指示で長門が両手に何かを持っている・・・それは平べったい石?
「なっ、そ、それは一体何だよ!?」
散々暴れていた提督が急に震えだす。
「反省石、と言えばいいかな。 これ1個で重さが10kgあってな。 罪人の足に乗せて痛めつける
ある意味拷問器具と言えるかな。」
大将が合図すると、長門は躊躇いも無く提督の足に乗せる。
ボキボキ・・グキッ!!
「ぎ、ぎゃああああああっ!!!!」
正座している足に置く事で両足の骨が鳴る。
「まだ足りないなぁ・・・長門、後2個乗せろ!」
大将は容赦なく、乗せる様に指示。
「ひいっ! や、止めろ・・止めて!! 止めてくれぇ―!!」
提督の声も虚しく、足の上に計30kgの反省石が置かれる。
「ひいいいいっ!! あ、足が・・足がぁーーっ!!!!」
提督の足は反省石の重みによって、地面に無理やり密着させられ、その度に骨がボキボキと鳴り響く。
「提督よ、何故こんな事をされているか分かるか?」
大将が提督に詰め寄る、
「・・・」
あまりの激痛に声も出ない提督。
「実はな・・・君の悪評は私の耳にも届いていてね・・・私が療養する前に艦娘たちにこれを渡して置いたんだ。」
そう言って、大将が取り出した物、それは録音テープ。
「「秘書艦をやる際、あらかじめ提督との会話を録音するように」と言って皆に録音を頼んだ。」
「・・・」
「その結果、君が行った悪行の数々が包み隠さずこのテープに録音されていたよ。」
この時の大将の表情は笑っているのか怒っているのか定かではない表情で、
「私は報告役として君を迎えたつもりだが・・・君は私が指示した以外の事を勝手に行っていたようだな。」
「・・・」
「明石の許可も無く勝手に艦娘を解体し、数人の艦娘をゴミ処理場に異動させ、挙句に駆逐艦夕立に多重労働を
させた後、赤疲労状態での出撃、負傷したにも関わらず隠蔽のために解体をしようとした数々の悪行。
言い逃れは出来んぞ、素直に罪を認めろ!」
大将の言葉に、
「ちっ! 夕立の奴、大将にタレこみやがったな!」
提督が愚痴をこぼすと、
「・・・」
大将は有無を言わず、提督の足に乗っている反省石を思いきり踏みつける。
「うぎゃあああああっ!!!!」
提督の叫び声が地下牢に響き渡る。
「1つ言っておこう、お前が勝手に解体しようとして運悪く艦娘たちが海に投げ出された際に、
夕立だけが見つからなかったと言っていたな?」
「・・・」
「オレが療養中に浜辺で散歩をしている時に夕立が流れ着いていたんだ、それでオレがあの子を家で保護した。」
「なっ!? じゃ、じゃあ夕立はずっと大将の家に?」
「そう言う事、その時から既にお前の運は尽きていたと言うわけさ。」
大将のとどめとも言える発言に、提督は最早抵抗する気は無くなる。
「さて、お前のこれからの処遇だが・・・今のお前にとって最高の待遇だよ。」
「?」
「提督、お前はゴミ処理場に入れられる。」
「ご、ゴミ処理場!? 待ってください、何でオレがあの施設に!?」
確かに、ゴミ処理場は艦娘が入れられる施設で、提督ならゴミ捨て場に入れられるはずである。
「ゴミ捨て場は最近閉鎖されたそうだ・・・責任者である所長が、提督として再就任したようで、
ゴミ捨て場の作業員全員が鎮守府に着任し、今は稼働していないと聞いた。」
「・・・」
「確か・・・鎮守府に再就任する前は結婚した艦娘と一緒に店を開いていたと話に聞いた。
オレも詳しくは知らないが、その後同じ階級の大将の推薦で就任したらしいが・・・」
「・・・」
「さて話に戻ろう・・・それに、今のお前にとってゴミ処理場の方が一番最適だろうよ。」
大将は何故かにやけ始め、
「お前が勝手にゴミ処理場に異動させた艦娘たちがまだ残っていると報告があった。
あの施設に入れた本人が同じ施設に入ったら・・・果たしてどうなる事かね~?」
「! い、嫌だ! オレは行きたくない・・絶対に行きたくない!!」
提督はまた叫び出し、暴れるも長門達に取り押さえられてしまう。
「今まで好き放題にやって来た報いを受けて来い・・・連れて行け!」
大将の指示で長門達は抵抗する提督を連れて行く。
「・・・よし、後はゴミ処理場に入れられた艦娘を鎮守府に戻す手続きをしないとな。」
大将はこれからの予定を視野に行動する。
・・・
「おうっ! ぐううっ!!」
ゴミ処理場に入れられた提督。
「・・・」
足を動かそうとするも動かない・・・反省石の重みで両足の骨は砕けてしまっていた。
「? ひっ! く、来るな!!」
提督が見た物、暗い施設内に動く影・・・それは徐々に近づき大きくなる。
「あれぇ、提督だよ?」
提督に近づいた影は艦娘であり、しかも提督を見た瞬間目つきが変わる。
「どうしてこの施設に提督が入れられたの?」
「分からない、この施設に入れられるって事は余程使い道が無かったって事じゃない?」
「そうかもね、でもそれ以上に・・・」
艦娘たちがにやけ始め、
「私たちはチャンスを与えられた・・・私たちを理不尽にこの施設に入れた張本人にまさか会う事になるなんてね!」
「しかも見てよこいつ、足が酷く負傷してるよ。 恐らく骨折してるんじゃない?」
「本当だ・・・つまりこいつからの反撃は一切無いって事で解釈していいんだよね?」
そう言って、提督の足を思いきり踏みつける。
「!? ひぎゃああああっ!!!!」
あまりの激痛に提督は悶え、泣き出す。
「ねぇ見た? 男のくせに泣いちゃったよ・・・根性無いわね!」
「本当だよ、私たちを散々罵倒してその挙句にこんな場所に入れてくれて!」
既に提督の周りに艦娘たちが囲み、
「私たちの苦しみを受けなさい!」
「私たちをゴミ扱いしてゴミのように捨てたあんたには死よりも苦しい苦痛を味合わせてあげる!!」
「さぁ、トップバッターは誰にする?」
艦娘たちが徐々に迫って来て、
「う、うわぁああああっ!!!! 誰かぁ!! 誰か助けてくれぇーー!!!!」
ゴミ処理場内に提督の叫び声が響き渡る。
その後、ゴミ処理場に入れられた艦娘たちは大将の申請により、無事に鎮守府に戻ることが出来た。
施設に入れられた提督はどうなったのかは不明だが、どちらにしろ生存していようが死んでいようが関係ない。
それがゴミ処理場に入れられた人間の末路なのだ。
・・・
・・
・
鎮守府に新たに着任・・・いや再び着任した艦娘が提督に挨拶をする。
「ご主人さ・・じゃなくて提督さん! 夕立、また着任したっぽい~♪」
提督の前で敬礼をする夕立。
「うん、夕立は前と同じ主力部隊に入ってもらう。 何度も言うけど、無理はしないように!
それを踏まえた上で、今後の活躍に期待するよ。」
「はいっ、任せてっぽい~♪」
夕立は満面の笑顔で返事をする。
こうして夕立が無事に鎮守府に戻り、提督も平和な鎮守府生活が送れる・・・と思ったのだが、
「おはようございます! 今日の秘書艦は瑞鳳が承りますね~。」
「ああ、よろしく。」
「書類を持ってきました、今日も書類がたくさんありますよ!」
事前に準備していた大量の書類を提督の机の上に置く瑞鳳。
「う~ん、これは徹夜覚悟でやらないと行けないなぁ・・・でもそれ以上に・・・」
提督は何故か「はぁ~」とため息をつく。
「? どうかしました提督?」
瑞鳳が不思議に思って、提督に近づくと、
「あら? あらら~。」
瑞鳳は一瞬、見た光景に驚くも、すぐに苦笑いをしてしまう。
「すー・・・すー・・・」
提督の膝に夕立が頭を置いて寝ている光景である。
机が死角になって分からないが、裏から見ると机の下に夕立の体がすっぽり入っており、提督の膝の上に夕立の頭が
乗っていて、そのまま熟睡している光景である。
家で主人に甘えてばかりだった夕立、鎮守府に戻ってもその習慣は変わらず、
出撃・遠征を除く鎮守府内にいる時は決まって提督の側に居る夕立。
「もしかして・・・朝からずっとですか?」
秘書艦からの質問に、
「うん・・・今日は休日で、「夕立は提督さんの膝で寝たいっぽい~♪」って聞かなくて、ずっとこの状態なんだ。」
提督は再び「はぁ~」とため息をつく、確かにこれでは仕事がやりづらそうである。
「夕立ちゃん、起きて。 提督が仕事できないって言ってますよ!」
瑞鳳は夕立を揺さぶり起こしてみる。
「ぽい~・・・う、う~ん。 夕立起きたっぽい~。」
夕立は「ふぁ~あ」と伸びをし、
「夕立ちゃんが寝ていると、提督が気になって仕事に集中出来ないって。 だから部屋に戻ってゆっくり寝てください。」
瑞鳳の説得に、
「・・・ご、ごめんなさい。 じゃあ夕立、起きるっぽい~。」
そうは言ったものの、
「じゃあ夕立、ご主人様の膝の上に座ってるっぽい~♪ これならいいでしょ?」
今度は提督の両膝に夕立が座ってしまう。
「夕立ちゃん! だからそのままでは提督の仕事が出来ないって何度言えば!」
流石の瑞鳳も怒り気味、しかし、提督は、
「ま、まぁこれならさっきよりましになったから、多めに見てやってくれ。」
そうは言う物の、やはり仕事はやりづらそうに見える。
「何か提督と夕立ちゃんを見ていると、親子みたいですね。」
同じ椅子に提督と夕立が座っている光景、確かに親子のように見える光景である。
「もう1つ言わせてもらうと・・・提督と犬にも見えますが(ぼそぼそ)」
2人に聞こえない程の小声で呟く瑞鳳。
「まぁ、提督がそれでいいなら・・・では、お仕事を始めましょう!」
そう言って、朝の仕事を始める提督と秘書艦(夕立はただ座ってくつろいでいるだけ)。
その後も、執務室内では度々この光景が見られ、
”鎮守府の名物”として、秘書艦たちの間で知れ渡るようになった。
「夕立の本当の居場所」 終
全てが終わった後に主人の元に帰れば良いんだよ。そして彼女を捜索してるならその鎮守府の提督さんの事も大丈夫そうだね。夕立が活躍することは二人を守ることにもなるんだよ。
けど記憶を失ってる所を見るに。
まさか前の部隊は敵との交戦でやられて。
記憶を封印したのかな?最近の敵は強すぎだものなあ。
1,2さん、
同じ人ですかね?
まだ序盤ですが、予想と違う内容になります(謝)。
でも、最後はハッピーエンドになりますよ♪
おお!それは良かったですw夕立には笑顔でいて欲しいのですよw家の嫁でも有りますし。情もあるのでw
これはなぁ なんとも心が痛くなるなぁ
この提督屑ですわ。赤疲労で出撃何て効率が悪すぎる。しかも此は使い潰す気だ。ゆうだっちゃんやってやれ。帰る場所は其処じゃない。主人の膝の上だ。君の安らげるところは。その地獄じゃない!俺ならこんな無茶は絶対にしない
そういえば主人はどうしているのか、
久しぶりに家に帰った夕立が見たもの、それは。
病死し、屍と化した主人の姿であった・・・
主よ。あなたこそ提督の器だ。
水戸黄門の御老公を思い出したよ。
夕立よ。助さんか角さんのどっちかになっちゃいなよ。家康公も質素で有りながらも。本質的に健康な食事と薬を研究して見事に秀吉より長生きして天下取ったんだ。主が代わりの大将に成るんだよ!そしてあの外道に天罰を!
7さん、
それではハッピーエンドになりません・・・(汗)
でも、バッドエンド的なストーリーは違うSS時に書きます(ペコリ)
8さん、
いい所突いてますね~♪
近いのですが、とても惜しいです!
主人が療養中の大将か。
11さん、
はいっ、その通りです♪
凄いよなあ。人間って。動くということを無意識でしている。けど其を失いながらも。己と信じてくれる人のためにその失った意識を取り戻す。その苦労と喜びを知った夕立はもう只の犬じゃない。本物の人間であり主人の為に。そして自分のために戦える真の戦士だ。人間って凄いよ。
助さん。格さん。もう良いでしょう。
何て言わんでちゃんと処理をしないとねえw。此までの不等に解体された子達の
痛みと無念を今こそ晴らしてください。
御老公様
敢えて汚いものは。綺麗な夕立の前には見せずに。処理をするか。確かに真の主を得たのなら
こんな汚いものは知らない方が良いよね。
自分に都合のいいときだけ助けてくれだとさw
助けを慈悲をと救いを求めた子達を意味もなく
棄てたゴミに救いの神はない。
そして夕立の頑張りを見て大将も自分のためだけでなく夕立と帰る場所の為に影で努力したんだろうね。御互いが励まし合い。病を退けた。
人は一人では生きていけない。このゴミはその
当たり前の初心を忘れたいや持たなかったモンスターということか。私も気を付けよう。
ごみ捨て場の所長と元提督が
同一人物とはね。
香取、鹿島、中身が白露な夕立…。
この三名も元提督の鎮守府に
居るのだろう。
そして…店の主人だったときに
サラトガ達と一緒に行っていた内職って
悪い提督達を捕まえてゴミ捨て場に
連行する事かな?
17さん、
香取達が鎮守府に異動する内容は近々書く予定です♪
店で働いていた時は、サラトガ達は単に店の従業員を
していただけです、提督が悪行をした提督達の情報を掴み、
「貴君に重要な話がある」と伝達等を送って他の場所におびき寄せ、
気絶させた後、香取達に引き渡しているのです。