「提督と海風」2
海風が外出中にブラック鎮守府の提督に会い・・・
何という事でしょう・・・
提督に買い物を頼まれ、外出した場所であの男に・・・ブラック鎮守府にいたあの提督に会うなんて・・・
あの男は私に戻るようにと命令してきました。
もちろん私は断りました・・・でも、あの男は私にある書類を突き付けてきました・・・それは、
(江風)艦娘強制返還申し出書 (江風は自分で退去したため、実際は受理されていない)
命令を聞かないなら江風を戻して可愛がってやると言われました。
・・・・・・
選択の余地はありませんでした。
やっと私たちは自由になれたのに・・・そう思っていたのに・・・
江風にまた辛い思いをさせたくなかった私はこの男に従うほかありませんでした・・・
・・・・・・
命令と言っても予想はしていました。
資金繰りの悪化から、私を売った男ですから何を考えているかはすぐにわかりましたが・・・
「また金を稼いでもらう。」
やっぱり・・・でも、今回は・・・
「体を売って稼げ!」
そんな・・・嫌です! それだけは!
「なら江風を代わりに売らせる!」
・・・・・・
酷い男・・・ここまでするなんて・・・
「客は待っているんだ、さっさと稼いで来い!」
・・・・・・
私はそのまま「客」が待っているという部屋に入れられて無理やり乱暴されました・・・
・・・・・・
抵抗もできず、話すこともできず、相手の思うままに使われて・・・
上を見上げるとあの男が笑いながら私を窓越しに見ていました。
・・・・・・
どれくらいの時間が過ぎたのかわかりませんが、「客」が満足して帰っていきました。
・・・・・・
乱暴されたせいか、体にあざができ、精神的にも辛かった・・・
・・・・・・
解放されたのは、夕方になった頃でした。
「また明日来いよ!」
・・・・・・
私はまた・・・この男の道具に・・・
私はそのままおぼつかない足で鎮守府に帰りました。
・・・・・・
皆には気づかれてはいけない・・・提督にも・・・
もし、知られたら・・・提督がまた助けてくれるかもしれません、でも・・・
私を引き取るために多額のお金を出してもらった上に、路頭に迷っていた江風を引き取って一緒に
暮らすことを許してくれた提督にはこれ以上迷惑を掛けられませんでした。
私が頑張ればいい・・・
そう、私が頑張って・・・耐えていれば、江風も普通の生活が送れる・・・皆と、提督と・・・
普段通りに生活できる・・・私が・・・私が頑張れば・・・
翌日も、あの男の言いなりに・・・
・・・・・・
またあざが増えたかな・・・皆に気付かれないように、入浴は皆より後に入って・・・
・・・・・・
その次の日も・・・
だんだん行為が過激になって、中には苦痛を伴う行為を無理やりされて・・・
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辛い・・・辛いけど・・・頑張らなきゃ・・・
その次の日・・・
慣れたのかな・・・毎日同じことをされたからか、体が次第に覚えていきました。
慣れたというより・・・私自身が壊れていった・・・という方が正しいのかもしれません。
・・・・・・
鎮守府に戻ると、いつもと違う私に皆が気づいてしまい、平静を装って何とかごまかせました。
・・・・・・
皆には迷惑を掛けたくない・・・私が・・・頑張ればいいんだから・・・
次の日・・・いえ、毎日ですね。
次第に私は精神がおかしくなっていくのがわかった・・・
この生活が普通に感じるようになったと思う時点でもう私は終わっているのかも・・・
・・・・・・
鎮守府に戻ると私はすぐに執務室に呼ばれました。
あ・・・気づかれてしまったかな?
提督に「何か悩みでもあるのか?」と聞かれ、
大丈夫です、最近体調が少し良くないだけです。
「そうか」と・・・
提督もそこまで言及できないのか、話は終わりました。
よかった・・・気づかれていなくて・・・
次の日も、
またいつものように準備をして、部屋に入りました。
今度の「客」は・・・全身フードに身を包んで素顔がほとんど見えない方でした。
「どうぞ、お好きになさってください」
私はいつものように挨拶をして服を脱ぎました。
・・・・・・
今日は珍しく「客」が手を出しません・・・奥手なのでしょうか?
・・・・・・
いくら時間が過ぎてもその方は私にも近づかず、時間だけが過ぎていきました。
上で見ていたあの男も下に降りてきて、
「どうかなさいましたか? この艦娘ではお気に召さないですか?」と・・・
すると「客」が一言・・・
「ああ、お前が気に喰わん!」
その瞬間、
バキイィィィィッッッ!!!! (殴り倒した音)
あいつは地面に倒れこみました。
「な、何をするんだ!!」
もちろん怒り出しました。
「・・・・・・」
その「客」は着ていたフードと帽子を取ると・・・
え・・・・・・
その方は・・・提督でした。
「何をするも何も、オレの艦娘に手を出したお前を懲らしめてやろうと思ってな。」
提督はあいつを片手で軽々と持ち上げて、
「や、やめろ!」
さっきまでの威勢はどこに行ったのか、完全に怯んでいます。
バキイィィィィッッッ!!!! (殴り倒す音)
「お前! オレが誰かわかっているのか! 〇〇〇鎮守府の提督、階級は大佐だぞ!!」
「・・・だから?」
バキイィィィィッッッ!!!! (殴り倒す音)
「おい、オレにそんなことしていいのか! これを見ろ!」
そう言って私に見せた”あの書類”を提督に見せた。
「江風がどうなってもいいのか!? まだ江風はこっちの鎮守府の人間だ!
あいつを連れ戻してもいいのか!」
「・・・はぁ~」
提督はあいつに近づき・・・
「それで? その紙切れ一枚で今の状況が変わるのか?」
提督があいつに言い寄った。
「ひっ!!」
「わかっていないようだからもう一度言ってやる。」
「・・・・・・」
「オレの艦娘を悲しませる奴は階級が高かろうが、権限を持っていようが捻り潰す!! わかったか?」
「・・・・・・」
「お前なんて、1秒もあれば首をへし折ることだってできるんだぜ?」
「ひぃっ!」
「覚えとけ・・・またオレの艦娘に何かしたら、お前とお前の鎮守府の艦娘全て皆殺しにしてやる!」
「・・・・・・」
「さぁ、海風。 何をしている? 早く服を着て出るぞ。」
「・・・は、はい。」
提督に言われ、すぐに着替えると一緒に部屋から出ました。
・・・・・・
外に出て・・・私に待っていたのは、
パンッ! (平手打ちの音)
提督に平手打ちをされました。
「!?」
私は驚きました。
「なぜ言わなかったんだ?」
「・・・・・・」
「なぜすぐにオレに言わなかった?」
「・・・それは。」
「迷惑かけてばかりだったからか?」
「・・・・・・」
「金がかかったことを気にしていたのか?」
「・・・・・・」
提督は何でもお見通しなんですね・・・
「金は稼げば何とでもなるだろう? お前が鎮守府の事情を気にする必要はない。」
「・・・・・・」
「迷惑かかってもいいじゃないか、その方が可愛げがある。」
「・・・・・・」
「オレにとってお前たちはオレが鎮守府で頑張れる「希望」なんだ、だから何かあったら
すぐに相談しろ・・・一人で何とかしようなんて思うな・・・」
「・・・提督。」
いきなり平手打ちされてびっくりしたけど・・・私の事をそれだけ心配してくれたことが嬉しかった。
「・・・・・・」
私は提督の手を握り、
「・・・ごめんなさい。」
「・・・ああ、わかればいいんだ。」
私と提督は鎮守府に戻りました。
・・・・・・
それ以降、あの男からの連絡がなくなりました。
江風を連れ戻す書類はなかったことになったのか、江風はずっとここにいます。
余程提督の警告が効いたのでしょうか、あれから鎮守府から一切出なくなったと聞いています。
私も、この世界で一番怖いのは提督と知りました・・・
・・・・・・
「お疲れ様です、提督。」
今日は時報担当の仕事・・・深夜から提督に時刻をお知らせします。
「ああ、よろしく。」
提督は書類を整理し始めました。
「・・・・・・」
私は提督を見つめる・・・
提督は不思議な人です・・・何て言うんでしょうか・・・提督といると落ち着くというか・・・安心になれるというか・・・
「ん、どうした?」
私に気づき提督が話しかけてきました。
「あ、すいません・・・何でもありません。」
「・・・そうか。」
「・・・・・・」
私は、提督に伝えたいことがあった。
でも・・・言葉に出すのはやっぱり恥ずかしいですね・・・なので、
提督・・・
あなたのことが・・・好きです。
「提督と海風」2 終
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