「白露と夕立(白露)」
白露相談所で活躍中の白露と、過去にブラック鎮守府で妹を殺された経緯がある白露が
相談所に赴き・・・
キャラ紹介、
提督:提督として再着任する、階級は元帥。
明石:工廠場で働くメカニック艦娘、よく提督から無理難題な要求をされることが多い。
白露:白露型の長女、現在は鎮守府から離れた施設”白露相談所”に在住。 着任希望艦娘や
悩みのある艦娘たちの相談・解決を承っている。
夕立(白露):鎮守府に着任しているもう1人の白露。 夕立の体に白露の人格が入っている。
もう1人の自分が違う施設で活躍していることを耳にして会いに行く。
注:白露が2人出てくるため、相談所の白露はそのままで、
夕立の体に入れ替わった白露には 白露2と表記します。
「次の方どうぞ!」
白露に呼ばれて、駆逐艦娘が入ってくる。
「え~っと・・・貴方のお悩みは、仲間の駆逐艦と仲良くなれない・・・かぁ~。」
プロフィールを読み、「それで間違いない?」と念入りに尋ねる。
「ふむふむ、じゃあいくつかの質問をするね~」
そう言って、白露は質問? らしき、内容を話して行く。
・・・
白露が聞いている質問・・・ではなくただの当たり障りのない内容に艦娘は抵抗しながらも順々に答えて行く。
「そうだよね~、戦艦とか空母って頼りになるけど、被弾すると入渠時間長くって・・・入渠したいのに、
待たされるのって嫌だよね~。」
艦娘が話す度に、「そうだよねぇ~」「うんうん、気持ちは分かるよ~。」と返して行く白露。
「あ、あの・・・すいません。」
「ん、な~に?」
「さっきから質問と言うより、世間話をしている様ですけど?」
艦娘からの質問に、
「うん、そうだけど? それが何か問題かな?」
否定せず、素直に答える白露。
「えっ、じゃあ今話しているのは私にとって参考になるの?」
心配になって尋ねるも、
「うん・・・て言うか、何で皆と仲良く出来ないかは既に分かってるけどね~。」
白露は当たり障りのない話をしていく上で、相手の悩みや思惑を見通すことが出来る。
「え~っと、弥生だったかな? 貴方が皆と仲良くなれないのは、上手く話せないからだね。」
白露は説明する。
「あたしがいくつか話題を振っても、無表情で「はい、そうです。」や「そうだと思う。」とだけ言って、
話しが続かないんだよね。」
「・・・」
「人って言うのは、話をして楽しむ物なんだよ。 「今日どこで食べた~?」とか「この映画が面白かった。」とか、
色々話題を振って、それによって交流を深めたり、仲良くなったりするんだよ。」
「・・・」
「弥生は口下手なのかな? それとも話題について行けないのかな? 相手が恐らく話題を振っても、
「そうだね。」位しか言えて無いんじゃない?」
「・・・うん、そう。」
「でしょ? だから~、相手から「弥生ちゃんは何が好き?」とか聞かれたら、「何でも好き。」って言うんじゃなくて、
「私は果物が好き」と言えば、「どんな果物が好きなの?」って話題が増えるんだよ。」
「・・・」
「じゃあさ、それを考慮した上で質問するね・・・弥生ちゃんの好きなご飯は何かな?」
今度は本当の質問をして行き、白露から補足された通りに弥生は答えて行く。
「うんうん、大分話題が続けられるようになったね~♪ 後は表情の問題かな~?」
白露は更に説明して、
「弥生って話すとき、緊張するのか表情がこわばっているんだよね。 皆から見れば睨んでいる様に見えるよ?
もっとこう、緊張をほぐして笑顔でいればいいかな~って、思うんだけど?」
白露が笑顔の例を見せる、
「・・・こ、こう?」
白露の補足通りに表情を柔らくして見せる。
「そうそう! じゃあ、その状態でもう1回あたしの質問に答えて見て!」
白露は先程と同じ質問を弥生にしてみる。
「うんうん、話題が続いたし表情も笑顔になってる! ならもう大丈夫だよ♪」
「・・・実感がわかないけど、こんなに長く会話が出来たのは初めて、かな。」
弥生も無意識だが、表情が柔らくなっていて、
「後は、日々の練習だね! また困った事があればいつでもこの「白露相談所」に来てね!」
そう言って、弥生の悩みを解決した白露。
・・・
白露は現在、鎮守府から離れた所に位置する”白露相談所”と言う施設で働いている。
この相談所に来る人間のほとんどは艦娘で、内容は”個人的悩み”や”着任希望”が多い。
白露は会話が好きな性格上、相手の悩みや思惑を見通す能力を持ち、これまで数々の問題を解決して来た。
着任と偽り、資金や機密情報を盗むために悪い提督から派遣された艦娘も少なからずいる。
それ故に、最近では着任希望を見送ることが多かったが、
白露の話術と相手の思惑を見通す力により、複数の着任希望の中から漏洩目的の艦娘を見事に見分け、
彼女の能力は鎮守府全体で高く評価される、
それにより、今の白露専用の相談所が設けられ、着任希望の艦娘は原則として、全員白露の相談所へ行く規律が義務付けられた。
相談所で得た情報は着任希望の鎮守府に直に送られるため、最終的に提督が判断を行うものの、
白露が出した結論には信憑性があり、提督も安心して判断が出来る。
結果、着任した艦娘が漏洩や窃盗を行う事態はほとんど起きず、
最近では「艦娘の中で一番頼れるお姉ちゃん」として、称号を得られた。
この日は、個人的相談でやって来た艦娘が現れる。
「・・・」
提督に指示された通りに、白露にプロフィールを渡す。
「ふむふむ、個人的に悩んでいる相談がある・・・かぁ。」
白露は一通り読んだ後、相手を見つめる。
「まさか夕立が来るとはねぇ~。」
相談しに来た相手は夕立・・・いや、体が入れ替わった白露である。
プロフィールには夕立(恐らく本人が伏せた)としか書かれていなく、白露は目の前にいるのが、
まさか自分自身と言う事に全く気付いていない。
「妹が相談しに来ては駄目なの?」
「別に~、妹でも全然問題なしだよ! ただ、相談があるならここじゃなく、直接あたしに言って欲しかったなぁ~ってね。」
「・・・」
「まぁいいけどね~、それで悩みは一体何かな~?」
白露の質問に、白露2は口を開く。
「提督から虐待を受けたの、どうすれば解決できる?」
白露2が言った事、それは今の話では無く過去にされた経験の話である。
「鎮守府から出ればいいんじゃない?」
白露は躊躇いも無く答える。
「今は昔と違って、艦娘に暴力を振るった時点で提督が罰を受けるからね・・・だから、他の鎮守府に行って
〇〇鎮守府の提督に虐待を受けた、と打ち明ければすぐに対応してくれるよ!」
白露の言葉に、
「ふん、無難な答えね。」
白露2は彼女の回答に不満を持ちつつ、
「じゃあさ、今じゃなく無く艦娘に対しての保護が全く無かった時代・・・その時に虐待を毎日受けて精神的に追い詰められた
艦娘がいたとして、その時貴方は何て言葉を掛けるの?」
またも、自分が経験した過去の話を持ち掛ける。
「鎮守府から出ればいいじゃん、ただそれだけでしょ?」
しかし、白露は何も考える事も無く答える。
「鎮守府から出ればいいって・・・全然答えになってないんだけど?」
適当とも思える答えを言われて、白露2は反論する。
「そのままの意味だけど? 正確に言えば、違う鎮守府に行けばいいって事だよ。」
「・・・」
「ずっと我慢してその鎮守府で暴力を受けるよりも、他の鎮守府に行って生活した方が遥かに気持ち的には楽でしょ?」
「・・・」
「そうだね、それでもし鎮守府に着任出来なかったらを考えたら・・・その時は、人間社会に入るか最悪路上生活になるかもね。」
白露の回答に、
「それって、全然解決になってないじゃん!」
白露2はまたも反論するも、
「でも、その鎮守府で暴力を受けてて生活するのは嫌なんでしょ? でも本来の目的としてはその鎮守府から抜け出したい・・・
それが一番の目的じゃないの?」
「・・・」
「もちろん、着任出来なくて「こんなはずじゃなかった」と思うかもしれない、でも鎮守府から抜け出せたでしょ?
まずはそれに気づいて、そこから今度は自分の新しい生活に向けて目指せばいいんじゃないかな?」
「・・・」
「大事なのは、”自分から一歩足を踏み出す勇気”だね! 待っていても何も変わらないし、誰かが助けてくれるわけでも無い。
まずは自分が行動しないと、何も変わりすらしないんだよ。」
白露の説明に、
「・・・そうね、確かにそうかもね。」
白露2は納得したように、相談所から出て行く。
・・・
「次の方どうぞ~♪」
白露は毎日忙しい、着任希望の艦娘は必ずこの相談所に訪れる決まりになっているため、
1日に数十人の艦娘を相手にしないと行けない時もある。
「では、今日お話しした内容と、着任予定の鎮守府の提督に書類を送っておくね~♪ それでは、お疲れ様です。」
1人1人丁寧な応対で相談に乗る白露、
「次の方どうぞ~♪」
白露は明るく元気に必ずこの台詞を言って、相談者の話に応じている。
「ふぅ~、今日の相談者も全員話し終わったかな。」
時間を見ると、夕方の7時。 白露は相談者の書類を見直す。
「今日の着任希望は全部で6人・・・他の艦娘たちは個人的相談だね。」
そう言って、着任希望と個人的相談のプロフィールを分け、白露は着任艦娘の書類を見直す。
「この子は・・・話的に、悪くないし本当に鎮守府で頑張っていきたい気持ちがあるから、この子は問題なし、と。」
白露は順々にプロフィールを確認する。
「この子は・・・着任意欲は高かったけど、事ある毎に「お金、お金」って言ってたんだよね~。」
疑いのある艦娘がいた場合、白露はその内容と注意表記を自分で記入していく。
「後、この子・・・着任は無理だね~。 この部屋のペンを勝手に持って行っちゃったし、絶対盗み癖がありそう。」
そう言って、全員の書類を確認していき、終わったのは8時過ぎである。
「全部終わったぁ~、明日にこの書類を各鎮守府に送って、と・・・」
書類をまとめて1枚ずつ封筒に入れて行く。
「これで良し、明日も早いから今日は早く寝ようっと。」
そう言って、施設の鍵を閉めに行こうとした時、
「? 誰? 申し訳ないけど、今日の相談は終わりですよ・・・」
入り口に人影が見え、白露は申し訳なさそうに言うが、
「あれ、夕立じゃん? どうしたの、こんな時間に?」
入り口に立っていたのは、数日前に相談をしに来た夕立(白露)である。
「・・・」
何も言わず、ただ白露を凝視している。
「何か言いたそうだね? まぁ、外じゃなんだから部屋に入りなよ。」
白露は彼女を室内に入れる。
・・・
「はい、どうぞ。」
白露はお茶を差し出す。
「・・・」
しかし、白露2は飲まない、それどころか何も話さない。
「どうしたの? 見た感じ凄く悩みがあるように見えるんだけど?」
「・・・」
「ここは何度でも相談していいからね、夕立の悩みが晴れるまで何度でも来ればいいよ~♪」
白露は笑顔で語るも、
「・・・」
白露2は何故かじっと見つめる。
「もうっ! 何も言わないんじゃ何を思ってるか分からないから! 聞いて欲しいなら何でも聞くよ?」
白露はまた笑顔で返すが、
「・・・何で同じ人間で、こうも差が出るんだろうね。」
「ほぇっ? 同じ人間? 何を言ってるの?」
白露は何を言われたのかが分からない。
「いいよね白露は、自分の思った通りの生活が出来て本当に幸せだろうね?」
「・・・」
「それに比べてあたしは・・・何1ついい事も幸せだと思えた時なんて無かった。 地獄のような日々が
ずっと続くのかと毎日のように、怯えながら生活していたのよ。」
「・・・」
「どうして・・・ねぇ、どうして? 同じ人間なのにどうしてここまで差が出るの? あんたは何をしたの?
何をしたらこんなあんた専用の施設まで建てられて、皆から尊敬されてるの、ねぇ何で!?」
何を思ったのか、白露の胸蔵を掴む白露2、
「ちょっと落ち着いて! 落ち着いてって!」
白露は必死で落ち着かせようとする、
「こんなの不公平だよ! 何であんたは幸せに生活して、あたしは不幸な生活をしなければ行けなかったの?
ねぇ、何でよ!!?」
散々白露を罵倒した後、何事も無かったかのように胸蔵を離す。
「・・・」
「ふん。」
白露2は何も言わず、施設から出て行く。
「・・・」
白露は去って行く彼女をただ見つめる。
・・・
翌日、白露は鎮守府に電話を入れる。
「もしもし・・・海風? 白露だよ、おはよう。」
今日の秘書艦は海風だったようで、
「ちょっと提督に頼みたいことがあるんだ、だから代わって・・・聞きたい事があってさ。」
そう言って、提督に代わってもらい、白露は用件を言う。
「・・・」
今日は敢えて相談所を臨時休業にしている。
「・・・」
休業にしたはずなのに、白露は相談室でずっと座っている・・・誰かを待っているのだろうか?
「! 待っていたよ。」
待ち人来たる。
「あたしに何か用? 別に悩みを聞いて欲しいわけじゃないんだけど?」
現れた相手は夕立(白露)である。
「まぁ、取り敢えず椅子に座って。」
「・・・」
白露2は何も言わず、素直に彼女の指示に従う。
「・・・昨日乱暴しようとした事を怒ってるの?」
白露2は昨日起こした事を自覚していたようで、
「ごめんなさい・・・あの時、ちょっと苛立っていたから。」
白露2は素直に謝罪をする、
「別に、あたしが呼んだのはその事じゃないから。」
「えっ、じゃあ何であたしを呼んだの?」
白露2は今の事以外で呼ばれる理由が思いつかない。
「夕立・・・じゃなく、本当は白露なんだね?」
「・・・何で知ってるの?」
白露2は驚くことも無く、白露に尋ねる。
「君って、あたしがいた鎮守府に着任してるでしょ? 提督に君の事を聞かせて貰ったのよ。」
「・・・」
「昔、ブラック鎮守府で妹の夕立と一緒に着任して・・・皆から誹謗中傷と虐待を受けて何度も自殺を図り、
唯一味方だった明石さんから、人格が入れ替わる薬を貰って夕立と体が入れ替わったんだよね?」
「・・・」
「その後、貴方は鎮守府を異動して順風満帆な生活をする中、入れ替わった夕立が皆からの虐待で死亡した事を知った。」
「・・・」
「妹の復讐に走って、鎮守府にいる提督と艦娘たちを貴方が全員殺害した・・・それは間違いないよね?」
白露の質問に、
「・・・そこまで知ってるなら、別に否定しない。 それで? あたしの過去を聞くためにわざわざ呼んだわけ?」
白露2はため息をついて、
「今貴方が言った通りよ・・・そこまで知ってるなら、別にあたしの口から他に言う事なんて無いから。
鎮守府に戻るね。」
そう言って立ち上がり、白露2は帰ろうとする。
「何で復讐をしたの?」
白露がまた質問する。
「・・・夕立を提督たちに殺されたから。 姉として許せなかったからだよ!」
白露2は復讐の動機について答えるが、
「嘘を言わないで、本当は夕立の事なんか妹と思ってなかったくせに。」
白露は反論する。
「・・・何が言いたいの?」
白露2は彼女の言葉に反応する、
「夕立と一緒にブラック鎮守府に着任して・・・それから夕立は更なる改装で皆に気に入られたけど、
貴方は改装未確定のまま、”妹より劣る”とレッテルを張られて、提督と皆、そして妹の夕立から酷い目に遭ってたんでしょ?」
「うん、そうだよ。」
「その時点で夕立だって、貴方にとって敵だったんでしょ? それなのに、どうして死んだから復讐しようって急に思ったわけ?」
「だから、姉として妹を殺した提督達が許せなかったって・・・」
白露2は同じ答えを言うが、
「違うよ、貴方は勘違いしてる。 夕立が死んだのは提督と皆のせいじゃないよ。」
白露は一度深呼吸をして、大きな声で言った。
”夕立が死んだのは・・・貴方のせいだよ!!”
・・・
「あたしのせい? 夕立が死んだのはあたしが悪いって言うの?」
白露2は一瞬驚き、
「何でよ? 何でそうなるのよ! 夕立が死んだのは、提督達の虐待からなんだよ! その原因があたしって、
ふざけるのもいい加減にしてよ!!」
白露2は猛反論するが、
「じゃあ聞くけど・・・ブラック鎮守府に着任して、毎日ずっと皆から悪口と虐待を受けていたんだよね?」
「何度も言ってるじゃん! それの何がおかしいの!!」
「夕立は・・・改装前の夕立は、虐待を受けていなかったの?」
「・・・」
「白露しか虐待されなかったの? 改装前の夕立は既に皆から気に入られて、白露だけ蚊帳の外にされたの?」
「・・・」
白露2は思い出す・・・確かに、白露の言う通り改装前の夕立も自分と一緒に虐待を受けていた。
「だったら何で? 姉として、妹を守るために鎮守府から出ようと思わなかったの?」
「・・・」
「「お姉ちゃんも同じ目に遭ってる」だとか、「いつかきっと良くなるから」とか言い聞かせて、
「我慢しなさい!」と言って、鎮守府に留まらせたんじゃないの?」
「・・・」
白露の言う通り、夕立が怪我をして「お姉ちゃん痛いっぽい~。」と何度も泣きながら白露2に助けを求めに来た事がある。
その度に「お姉ちゃんだって酷い目に遭ってるんだよ!」「夕立だけが辛いわけじゃない!」と何度も言い書かせていた。
「でも・・・夕立が改装を受けて提督達と一緒にあたしをないがしろにして来て・・・」
白露2は口を震わせながら弁明する。
「じゃあ何で? 夕立と入れ替わった後に自分だけが鎮守府に異動したの?」
「・・・」
「何で夕立を連れて行かなかったの? 自分の体が入れ替わった瞬間から今度は夕立が、
皆の標的にされることを予想出来なかったの?」
「も、もちろん今度は夕立が皆から虐待される事は予想出来てた! でも、夕立はあたしに隠れてずっといい生活をしていたんだよ!
ずっと姉として支えていたのに夕立が、あたしを裏切ったから! 懲らしめのために鎮守府に残してそれで・・・」
「それで? 何よ? そのせいで夕立は皆からの虐待で死んだ・・・そうでしょ?」
「・・・」
白露2は何も言えない。
「もちろん、貴方が全て悪いとは言ってないよ。 確かに昔は今みたいに艦娘たちを保護する法が無かったから、
提督達の思うがままの対応だったからそれは確かに許せないよ。」
「・・・」
「でも、貴方だって間違ってる・・・ブラック鎮守府で妹と一緒に虐待を受けていたなら、妹を守るために「ここから出よう!」
と妹を説得して鎮守府から出れば良かったんだよ。」
「・・・」
「それなのに、我慢するように言い聞かせて、改装した妹は不甲斐ない姉を嫌悪する・・・当然の結果じゃない?」
「・・・」
「そして自分は完全な被害者だと錯覚した上に、自ら妹を敵に回した原因から目を逸らし、体が入れ替わった後は、
今までの仕返しと言って、夕立をないがしろにした? それって結局さぁ・・・」
白露は興ざめしたかのように、白露2に冷酷な一言を突き付ける。
”自分の保身のためじゃん!!”
「・・・」
白露2は何も言えず、その場にかがみ込む。
「何度も言うけど、これだけは分かって欲しいかな・・・白露だけが悪いと言ってるわけじゃないから、皆から酷い目に遭って、
精神的に追い詰められて、どうする事も出来なかった貴方の気持ちは今のあたしにだって痛いほど分かるよ。」
「・・・」
「でも、貴方も気づくべきだったよ・・・本当に妹の事を大切に思っていたならすぐに鎮守府から出て行けばよかったんだよ。」
「・・・」
「貴方はこの鎮守府で頑張ろうと、妹に言い聞かせた・・・でも、夕立が更なる改装で皆から気に入られ、挙句に妹まで敵に回った。」
「・・・」
「逆に妹からすれば何度もお姉ちゃんに助けを求めたのに、「自分だって辛いんだから!」と言い返され、
夕立からして見れば「お姉ちゃんは助けてくれなかった」と、許せなかった気持ちがあったんじゃない?」
「・・・」
「そしたら素直に「お姉ちゃんが悪かった、本当にごめんね!」って謝ればよかったと思う、それに体が入れ替わった後も
何も考えずに夕立と一緒に他の鎮守府に異動すれば良かったんじゃない?」
「・・・」
「でも、貴方はそれをしなかった・・・何度も機会があったのに、自分が完全な被害者だと思い込んでそれすら気づかなかった。
確かに妹を殺したのは提督と皆だけど・・・その原因を作ったのは貴方なんだよ?」
白露の説明に、
「そっか・・・あたしも夕立を・・・提督と皆と同じで、あたしが夕立を殺したも同然なんだ・・・」
白露の言葉に素直に納得し、瞳から涙がボロボロと流れて行く。
・・・
「・・・」
白露2は力無く、施設から去って行く。
「白露・・・」
白露はただ彼女の後姿を見つめている。
「おかえり~白露・・・こんなに遅くまで珍しいね?」
鎮守府内を見回りしていた提督と会う白露2、
「・・・」
白露2は何かを言いたそうにただ、提督の顔を見つめる。
「・・・何かあったのか? そうだな、執務室で話そうか?」
提督の言葉に、白露2は静かに首を振って一緒に執務室に向かう。
執務室に入り、白露2が椅子に座るのを確認すると、
「それで、何かあったのか?」
提督の問いに、
「・・・あたしは。」
白露2は重い口を静かに開いて行く。
当然ながら、内容は相談所の白露に言われた事である。
妹は確かに提督と皆の虐待で殺されたが、そもそもの原因は自分であると白露に諭された事、
自分が姉としてもっと妹を気に掛けていれば、こんな事態にならなかったのでは? と、今になって後悔し始める白露2。
しかし、それを聞いた提督は躊躇いも無く、
「別に・・・お前がやった事は間違っていないとオレは思うけど?」
白露と違って提督は間違っていないと答える。
「実際白露は皆から虐待されていた・・・人格が入れ替わった後は今度は夕立が標的にされて結果、殺されてしまう。
それは紛れもない事実だろ?」
「・・・」
「確かに白露が言っていることも一理ある、虐待を受けていたならすぐに妹と一緒に鎮守府から出れば、
妹が死ぬことは無かったかもしれないね。」
「・・・」
「でも現実は・・・妹は殺され、お前は妹の仇と言って提督達を全員殺害した・・・それが今の結末だ。」
「・・・」
「もう過ぎた事だ、今更過去の過ちを後悔しても意味は無い。 お前はただ”妹のために復讐をした”。
それでいいだろう? 誰が何と言おうとね。」
「・・・」
「人に言われて後悔するようなら、最初からそんな凶行をしなければ良かったんだ。
自分で行動を起こした以上は、自分の起こした結果に目を背くな、”間違っていない!”と素直に胸を張ればいい。」
提督の言葉に、
「じゃあ提督は・・・人を殺しても全然平気なの?」
前に務めていた”ゴミ捨て場”、責任者である所長はこの提督であり、悪行をしていたとはいえ、れっきとした他鎮守府の提督である。
艦娘たちの手で処刑をしていたが、”提督が皆に処刑を命じていた”のと同じ意味でもある。
「もちろん! オレは後悔も何もしていないが?」
提督は躊躇いも無く答え、
「艦娘や誰かしらに害をなす人間(艦娘)なんて、害虫以外の何物でもないだろう?
だからオレが容赦無く駆除しているんだけど?」
「・・・」
人の事を平然と”害虫”と言う提督に白露2は恐怖を覚える・・・それと同時に、
”提督も、昔は辛い過去があったんだ・・・白露よりもずっと過酷で、地獄のような日々が・・・”
提督の言葉を聞いて、そう感じ取った白露2。
・・・
それから1か月が過ぎた頃、
白露2に朗報が届く。
「えっ、今何て言ったの?」
提督の口から放った驚くべき言葉、
「白露を元の体に戻すって・・・」
提督が言った事、それは今の体(夕立)から本来の白露の体に人格を戻すと言う物。
普通に考えたら、そんな事は無理のはずであるが・・・、
「明石に依頼して、建造で白露が出るように頼んだ・・・確率は低かったが、遂に白露が出たんだ。」
「・・・」
「最も、無理やり白露が出る様に強制建造をしたから、本来あるべきはずの意識が無い。
つまり、白露の体だけが手に入った状態だ。」
「・・・」
「どうする? これからもずっと、夕立の体のままで生活をする? それとも、白露として新しい人生を過ごしたいか?」
提督の質問に、
「本当に? 本当にあたし、自分の体に戻れるの?」
白露は未だに信じられなく尋ねる。
「ああ、嘘は言わない。 お前は・・・白露は元の体に戻れるんだ。」
提督の言葉に、
「・・・じゃ、じゃあ! お願い! あたし、元の体に戻りたい、です!!」
白露2は元の体に戻ることを願った。
「では、私について来てください。」
明石に言われ、白露2はついて行く。
「・・・」
提督は2人を見送る。
・・・
・・
・
2人が工廠場に行ってから、2時間が経過し、
「白露さん・・・白露さん、意識はありますか?」
明石が何度も白露と呼ぶ。
「・・・」
明石の声に反応して、白露らしき体が動く。
「良かった・・・白露さん、実験は成功ですよ!」
どうやら白露を元の体に戻す実験は成功したようだ。
「・・・本当に? 本当にあたし、元の体に戻ったの?」
白露はまだ信じられない。
「どうぞ、鏡を見て自分の目で確認してください。」
明石は白露に鏡を渡す。
「・・・」
白露は何度も鏡で自分を見つめる。
「あ、あたし・・・本当に! ああ、本当に自分が写ってる!」
とても嬉しかったのか、白露の瞳から涙が溢れる。
「まだ動かないでください! 体を入れ替えたばかりですので・・・今日は動かずゆっくり休んで下さい。」
そう言って、明石は仕事に戻るためその場から離れようとする。
「うん、分かりました・・・あの、明石さん?」
「? 白露ちゃん、どうかした?」
明石が振り向くと、
「あの、その・・・あ、ありがとう。」
そう言って、恥ずかしかったのか顔を逸らした白露2。
翌日、明石からの許可が下りて、工廠場から出た白露2。
「ふんふ~ん♪」
白露2が鼻歌を歌いながら鎮守府廊下を歩いている。
夕立の体で生活していた時と違って、本来の体に戻った白露2の表情は明らかに違っていた。
妹の体の時は表情はいつも暗く、いつも不機嫌だったのだが、自分の体に戻った瞬間、
新たな生活に向けて頑張って行こうと言う、前向きな気持ちを持っていた。
・・・
白露2が休憩所に立ち寄った時である。
「あっ・・・クッキーが置いてある。」
白露2が見たのは、休憩所の机にクッキー缶が置いてある光景。
「・・・」
白露2は机に近づくと、
「・・・1つだけ残ってる。」
缶の中には、1つだけクッキーが残っており、辺りを見回すと誰もいない。
「・・・」
白露2は何度も辺りを見回す。
「誰もいないよね?」
白露2はクッキーを手に取る。
いくら、体が元に戻っても過去の記憶はすぐには消せない・・・昔、休憩所にあった菓子を1つ取っただけで、
皆から”泥棒”扱いされた辛い過去は、ずっと今も心の傷として残っている。
「!? あっ。」
振り向くと、そこには空母艦娘が不思議そうな顔で白露2を見ている。
「ご、ごめんなさい・・・クッキーが1個だけあってそれで・・・」
昔の経験からか、取った事を謝る白露2。
「・・・」
空母の艦娘は何も言わず、棚を開けて中から何かを取り出す。
「・・・」
白露2が見た物、それは新しいクッキー缶。
「まだまだありますよ、好きなだけ持って行ってくださいね~♪」
そう言って、空母艦娘は休憩所から去って行く。
「・・・」
白露2はほっとしたと同時に、
「そっか・・・あたしはもう大丈夫なんだ。」
白露2は笑顔になり、新たに置かれたクッキーをいくつか持って、部屋へと戻って行く。
その後は出撃にも進んで参加し、順風満帆な生活を送れていた白露2。
・・・
ある日の事、
「えっ、改装!? あたしが改装してもいいの?」
提督に勧められた、更なる改装の許可。
「ああ、改装に必要な戦闘詳報も確保してあるよ。」
提督は白露2に戦闘詳報を渡す、
「あ、ありがとう! じゃ、じゃあ今から改装に行ってくるね!!」
白露2は喜んで工廠場へと向かう。
白露2の改装が始まってから数時間後、
「改装完了・・・目を覚まして、白露ちゃん。」
明石の呼びかけで、目を開ける白露2。
「・・・」
前回と同じ、まだ信じられない様子で、すぐに鏡で自分を確認する白露2、
「こ、これが改装した自分・・・」
新たな自分として生まれ変わった白露2、今度は立ち上がって全体を見回して行き、
「嬉しい! ずっと・・・ずっと願っていた事が、遂に叶ったんだ!」
改めて、改装出来た事を喜ぶ以上に、
「夕立・・・せめて、妹にもこの姿を見せたかったなぁ・・・」
その願いは最早叶わない・・・それでも、白露2の脳裏に夕立の事がよぎった。
・・・
無事に改装を終え、白露2はこれからも鎮守府で活躍すると、皆は思ったはずである・・・しかし、
「鎮守府を出たい? どうして?」
突然の白露2からの除隊申告、
「ごめんなさい・・・あたしをここまで育ててくれて、更なる改装までしてくれたのに、
恩を仇で返すような真似をしちゃって、本当にごめんなさい。」
白露2は申し訳なさそうに、何度も頭を下げる。
「そんな事は別にいい。 せめて辞める理由を聞かせてくれ。」
提督の質問に、
「・・・あたしはたくさんの人を殺した・・・殺された妹の復讐として、結果的に復讐を選んだ。」
「・・・」
「でも、白露の言ってた通りあたしが姉として妹をもっと気に掛けて・・・一緒にあの鎮守府から逃げていれば、
こんな事態にもならなかったかもしれない。 あたしが・・・あたしがもっと、姉としてしっかりしていれば。」
「・・・」
「だから、あたしはここに・・・ううん、鎮守府にいる資格なんてない。 艦娘である自分が、やってはいけない事をした自分が、
鎮守府の皆と一緒に生活していいはずがない!!」
白露2が叫ぶ度に堪えていたであろう、涙をボロボロと流す。
「・・・あの時代は仕方がなかったんだよ。 艦娘に対する保護が無かった時代に、白露はずっと必死に耐えていたと思う。」
「・・・」
「オレはお前がした事を咎めようと思ったことは無いし、鎮守府で生活する権利だってある。 いくら周りがお前の事を、
非難しようともオレが必ずお前を守ってやる。」
提督の言葉に、
「ありがとう・・・提督は本当にいい人だね。」
白露2は顔を上げて、
「あたしをあの施設に入れてくれたのは、あたしを本営から守ってくれたからでしょ?」
ブラック鎮守府の提督達を殺害後、本営はすぐに夕立を指名手配し、各鎮守府に捜索網を張り巡らせていた。
「掴まればすぐに処刑される、あたしはそれだけの事をしたんだから後悔はしていなかったけど・・・
提督はあたしを・・・こんな犯罪者のあたしを守ってくれたんだよね?」
「・・・」
「本当にありがとう・・・でも、ごめんなさい。 あたしはこの鎮守府から出ます・・・
ずっと守ってくれて、今日この日まで良くしてくれたのに・・・裏切るような真似をして本当にごめんなさい!!」
白露2はまた、深く頭を下げる。
「・・・いいよ、そこまで決意を固めたのなら、オレが止める必要は無いから。」
「・・・」
「でも、これだけは覚えて置いて欲しい。」
「?」
「この鎮守府はお前の居場所でもある、もし行き詰まったら・・・その時はいつでも、この鎮守府に戻ってこい。」
提督の言葉に、
「ありがとう・・・お世話になりました。」
そう言って、白露2は鎮守府から出て行く。
その後、白露2の姿を見た者はいない。
他の鎮守府着任記録を見ても、(改装した)白露が着任した記録は一切無く、
完全に彼女の行方は分からずじまいとなる。
・・・
・・
・
「ふんふ~ん♪」
街中を1人、白露が歩いている。
「今日は久々のお休み~、せっかくだからいつもと違う店に行って服とか買おうかなぁ~♪」
相談所には毎日のように、個人的相談や着任希望の艦娘たちが訪れるため、休日はほとんどない。
そのため、たまの息抜きにはと、今日と明日に休日を取った白露。
「あれ? 何だろ?」
目の前に人だかりが見え、気になった白露が近づいてみると、
「何々~・・・演説会? ふ~ん、何だろう?」
机には名前と所属鎮守府名記入欄がある事から、艦娘に対しての演説会と言うのが分かるが、
「興味があるけど、あたしって鎮守府でなく相談所だし・・・まぁ、艦娘だからいいのかな。」
考えた末に、<相談所の白露>と記入して会場に入って行く。
「白露!!」
「?」
後ろから自分を呼ぶ声がして、振り向くと、
「えっ、何であたしがもう1人?」
白露が見たのは、名簿記入表を持ったもう1人の自分。
「久しぶりだね、白露!!」
彼女は何を思ったのか、白露を抱きしめる。
「えっ? ちょ、ちょっと・・・」
白露は状況を読み込めていない。
「貴方の、いいえ。 白露のおかげで、私は・・・新しい一歩を踏み出すことが出来たの!!
白露のおかげだよ! 本当にありがとう!!」
「・・・」
お礼まで言われて、ますます訳が分からない白露だったが、
”相談所に来ていたっけ? ・・・あまり覚えていないけど、まぁあたしの助言が役立ったなら、それでいいかな。”
と、言い聞かせる白露。
「白露さん、そろそろお時間ですよ。」
仲間の艦娘だろうか、呼ばれると彼女は改めて、
「私は行くね・・・これからは私と同じ境遇の皆と一緒に頑張っていくから!!」
そう言って、彼女は立ち去る。
・・・
時間になり、会場内の明かりは消え、マイクの前に立ったのは・・・もう1人の自分。
「皆聞いて!! 私たち艦娘は! 提督の虐待や暴力に怯える必要は無いの!!」
彼女は大声で皆に向かって叫ぶ。
「私たちだって人間と同じ様に生きる権利があるの!! だから、虐待をする提督達を決して許してはいけない!!
同じ境遇である私たちで力を合わせて、提督と本営に私たちの気持ちを訴えるのよ!!」
彼女が大声で演説する度に、聞いた艦娘たちが一斉に「おーっ!!」と叫び出す。
「・・・」
彼女の演説を聞いていた白露は、
「そっか・・・虐待された事のある艦娘たちへの演説会なんだ。」
最初は気付かなかったが、端の所々に”艦娘虐待撲滅運動”と書かれた旗が掲げられており、
「つまり、あの子がこの団体のリーダーなんだね。」
白露は確信する一方で、
「だったら、夕立・・・入れ替わった白露も参加していれば、あの子の気持ちも救われたかもしれないのにね・・・」
そう思いつつ、しばらくして白露は会場内から出て行く。
白露は気づかなかったが、演説をしている彼女こそがあの時の白露2である。
白露2は鎮守府から去った後、同じ境遇である艦娘たちを集めて”艦娘虐待撲滅運動”の団体を結成。
自身が団体のリーダーとなって、鎮守府で虐待を受けている艦娘たちを救出、本営との連携で虐待した提督への厳罰を
与えたりと、彼女たちの安全な生活のために、日々取り組んでいる白露2の姿があった。
「白露と夕立(白露)」 終
「我慢しろ」は精神論特有の究極の思考停止だからな…悪いのは
明確にブラ鎮だけどそういう経緯有ると話もまた変わってくるし
家もブラックだわ。今回の戦で何度も女神使って無理矢理クリアをしたが。何度も甦る痛みを。更に綺羅付けに何度も間宮さんの世話に成ってね。
ブラックだわ。家もブラックだわ
白露2が復讐を終えたあと
ゴミ処理場の執行人に薦めたのは
所長(提督)だよね。
何故、提督は白露2に艦娘としてでは無く
執行人という闇へと進ませたのか?
幼い頃の環境が原因で
子供の心のまま、身体だけが成長したのかな?
子供の様に純粋で残酷に。
3さん、
所長が白露2をゴミ捨て場に勧めたのは、本営の追跡から逃すためです。復讐と言っても本営からすれば反逆罪と同じ扱いで、
深海棲艦と同等の危険的存在として、白露2を捜索していたのを
所長が明石からの報告で知り、かくまったのが本当の理由です。
文字ずれしました、すいません。
夕立の姿だった白露はこの鎮守府から出るとき、相談所の白露に別れの挨拶は済ませかな?
7さん、
別れの挨拶はしていませんが、2人はその後再び再会します。
でも、相談所の白露は彼女が元の体に戻っていることを
知らず気づきませんが、白露2は彼女に対してお礼を言います。
3ですが、白露2が救われて良かった!
香取、鹿島も白露2の元に行って欲しい。
二人とも十分過ぎるほど
処刑しただろうに…もう、いいだろう?