「提督と白露型」
一番を目指す長女の白露、他の姉妹も自分の一番を探し始める。
白露型の長女の”白露”、彼女はいつも元気でとにかく一番を目指す。
「今日もいっちばーん目指すよぉ~!!」
それを見ていた姉妹たちは、
「相変わらず元気ねぇ、白露は。」
その元気を分けてほしいと思う村雨。
「一番か・・・僕にも何か一番って言えるものはないかな?」
時雨が考える。
「だったら白露の姉貴だけじゃなくあたしたちの一番も探してみようぜ!」
江風の言葉に皆、賛同したのだった。
「誰に聞けばいいですかね?」
「五月雨! そんなこと聞かなくてもわかるだろ!」
「海風の姉貴はわかるかい?」
「そうですねぇ・・・心当たりはありますよ。」
「海風も思ってた? やっぱりあの人よね?」
「? 誰だい、あの人って?」
「誰っぽい~?」
じゃあ行きましょうかとばかりに皆は部屋から出て行った。
・・・・・・
向かった先は・・・執務室。
「・・・・・・」
相手は当然・・・提督の事。 皆は提督の前に並んだ。
「つまり・・・一番いいところを教えてほしくてオレのところへ来たのか?」
「はい、そうです。」
村雨は答える。
「提督、私の一番て何ですかね~?」
「こら五月雨! 抜け駆けはずるいぞぉ!」
「提督! 江風の一番、何だい?」
「江風! 皆! 提督が困惑してますよ!」
「・・・あ~」
しばらく考えた後、提督は口を開いた。
「一番じゃなきゃダメなのか?」
提督の質問に、
「当然だろ! 提督!」
江風が答える。
「いつも白露の姉貴が一番目指してるんだ! あたしたちにも一番いいところが無いと白露の姉貴に
顔が上がらねぇじゃん・・・それで、提督・・・あたしたちの一番て何だい?」
「・・・・・・」
「全員の一番を言うなんて無理だよ・・・ここはひとつ皆の中で提督に指示されたことを一番にできた人間を
称える・・・って言うのはどうだい?」
「おお、さすが時雨の姉貴! 話をまとめた!」
「悪くないねぇ、涼風も皆の中で一番目指して褒め称えてほしいぜ。」
「・・・はぁ~」
提督はため息をつく・・・やれやれと思いつつ皆にお題を出した。
「ならば・・・皆にある宝石を見つけてほしい。 最近、近海の砂浜で見つけた微量の宝石なんだが・・・
青く輝いていて希少で珍しい物なんだ・・・名前はアクアローズ。 それを見つけた者には、
金一封と一番メダルを進呈してやろう。」
「金一封!? それはいいねぇ! 江風の本気見せてやるよ!」
「こらこら江風・・・そんなに張り切らなくても・・・」
「なになに~、皆何やってるの~?」
白露が現れて・・・
「よし! 一番先に宝石を見つけてやるぜぇ!」
涼風が先陣を切って皆が一斉に執務室から出て行った。
「え~! 皆、どこ行くの~? 私も連れて行って~!」
途中から現れた白露も皆についていった。
「・・・ふぅ~」
残ったのは提督と村雨の2人だけだった。
「すいません、提督。」
「いや、いいんだ。」
提督は椅子に座る・・・
「一番ね・・・そんなに一番は大事なのかな?」
提督が考えていると、村雨がクスッと笑って、
「皆はただ一番が欲しいんじゃなくて、提督に褒めてほしいんですよ。」
「ほぅ~そういうもんなのか・・・」
「そういうものです。」
「・・・で、村雨は? 行かないのか?」
「私は別に一番にこだわっているわけじゃないので・・・それに・・・」
「・・・・・・」
「あの宝石は・・・恐らく見つからないと思います。」
「・・・なるほど。」
しばらく2人は会話をしていた。
・・・・・・
ここは鎮守府から少し離れた海辺・・・白露型の皆がひたすら砂を掘り起こす。
「あたいが先に見つけてやる!」
「そうは行かねぇ! この江風が先だぁ~!」
「夕立、頑張るっぽい~!」
「全く・・・皆ったら・・・」
海風はやれやれと思いつつ、姉妹たちを見守っていた。
「一番はあたし! だから見つけるのは白露だよ!」
いつの間にか長女まで参戦して妹たちは焦る。
「中々見つかりませんねぇ。」
五月雨が額の汗を拭う。
「それはそうだよ・・・提督が言うには、微量の宝石だもん。」
白露たちは必死に探すが・・・
・・・・・・
夕方になっても見つからず、疲れ果てた皆は諦めて鎮守府へと戻った。
・・・・・・
鎮守府に戻って、皆が一番驚いたのは村雨だった。
「あら、皆・・・おかえりなさい。」
村雨の胸に”一番メダル”がついていたのだ。
「村雨、 どういうこと?」
「確か村雨さんは海辺にはいませんでしたよね?」
海風の質問に、「はい」と答える村雨。
「え、どういうこと? 説明してよ、村雨。」
皆が説明を求める中、提督がその場に居合わせた。
「提督! どういうことだよ? ちゃんと説明してくれよ!」
江風が噛みつき、やれやれと思いつつ、
「村雨に聞いてみればいい。」
「・・・・・・」
村雨が一冊の本を取り出して・・・
「この本覚えてる?」
皆に見せて、
「はい、確か皆で読んでましたよね? 確か題名は海辺に輝くアクアローズ・・・あっ!!」
海風は納得した。
「そう、提督が言ったアクアローズって言う宝石は、この本の中の事を言ったの。」
「えっ・・・じゃあ、僕たちはつまり?」
「そう、存在しない宝石をずっと探していたわけ。」
村雨の説明に江風たちが噛みつく。
「何でそんなウソ言うんだよ! 提督!」
江風の言葉に、
「冷静に考えればわかるだろ、 昨日まで皆で読んでいたんだろう? 一番にこだわり過ぎて
周りを見ず、冷静さを欠いたお前たちが悪い!」
提督の叱責に皆無言になる。
「冷静に的確な判断ができる人間がここにいる村雨を除いて、お前たちの中にいるのか?」
皆「・・・・・・」
「だからオレは村雨に金一封と一番メダルを渡した・・・文句があるなら聞くが?」
皆「・・・・・・」
「・・・ふぅ~」
提督は側にあった椅子に腰かけると・・・
「まぁ、あるけどね・・・皆の一番。」
皆「!?」
皆は提督を見る。
「白露は一番元気で皆を楽しませる。」
「・・・・・・」
「時雨は一番仲間想いで、常に皆を見守っている。」
「・・・仲間想い? ・・・いいね、その言葉。」
「夕立は皆の中で一番可愛い。」
「可愛い!? 提督さん! 撫でて~!」
「五月雨は皆の中の一番のアイドル。」
「私がアイドル!? 何か嬉しいです!」
「涼風は責任感が強く、皆を安心させる。」
「あたいが? ・・・まぁ、そうかもね。」
「江風は皆の中で一番バランスのいいスタイルを持っている。」
「・・・あまり褒められた気がしないけど・・・まぁいいか。」
「海風は皆の中で一番妹想いで、周りに気を配れる。」
「提督・・・そんなもったいないお言葉・・・」
各一人一人に一番を挙げ終えて・・・
「だから皆にはそれぞれの一番がある。」
皆「・・・・・・」
「それじゃあダメなのかな?」
皆「・・・・・・」
しばらく考えて、
「まぁ、提督が言うんなら・・・なぁ皆?」
「そうだね、僕たちにも一番があるってことで。」
「皆で争う必要もないな! よし、これですっきりしたよ!」
皆納得したようだ。
「はいはい~! 皆注目~!」
村雨が声を掛ける。
「金一封をもらったけど・・・私は皆とデザート食べに行きたいんだけど・・・どう?」
「いいね・・・僕は賛成だよ。」
「じゃあ江風はアイスが食べたい!」
「私もいいんですか・・・ではお言葉に甘えて・・・」
「じゃあ決まったわね! 皆、間宮さんへレッツゴー!!」
村雨の掛け声で、皆一斉に走っていった。
「あの、提督。」
「ん、どうした?」
「これ、私のですけど・・・皆と一緒に使いますね。」
「ああ、構わないよ・・・いってらっしゃい。」
「ありがとうございます。」
村雨は一礼して皆と一緒に走っていった。
「皆~待ってよ! 私も~!」
「・・・・・・」
提督は皆の姿をずっと見つめていた。
「提督と白露型」 終
ちなみになぜ山風がいないかと言うと、イベントで手に入れれなかったからです(泣)
春雨は別の鎮守府で幸せに暮らしているので含めませんでした(笑)
白露型のssもっと増えろ
増やしま~す♪