「依頼」
長い旅を終えて、料亭に戻り再開する村雨。
しかし、鎮守府事情がガラッと変わっていて・・・
参考までにキャラ紹介。
村雨:元艦娘で料亭の女将、長旅の末、各ステータスが飛躍的に上昇した。
この物語から、村雨が主人公になる。
海風:村雨と同じ白露型の艦娘、村雨の補佐と情報役を務める。
提督:元料亭の大将、今は別の依頼で出張中・・・物語では村雨との会話のみ出て来るが、
時にはとんでもない装備で援護に駆けつけてくることも・・・
「皆どうしてるかなぁ~。」
堤防を歩く1人の女性・・・
「真っ先に会いたいけど、まずは店の様子を見ないとね・・・」
そう呟くと、彼女は店に向かって進んでいった。
・・・・・・
「良かった・・・店はそのまま。」
しばらく旅に出ていたため、土地代は払っていたが空き巣や荒らしに遭っていないか心配であった。
鍵を開けて中に入る、
「ああ~・・・昔のままね。」
そう懐かしむ彼女は・・・この店の女将の”村雨”。
提督(今は村雨の旦那さん)と一緒に各地を旅し、困った人たちの手助けや村を脅かすモンスターたちの退治などを
こなしていった・・・
提督は別の依頼で村雨と別れ旅を続けており、彼女は久しぶりに白露たちと会うために帰省していた。
「掃除をして・・・入り口にのれんを掛けて・・・後は・・・”営業中”・・・と、これでよし。」
料亭”村雨”がまた再開した。
・・・・・・
「海風、久しぶり・・・久々に会って話をしない? 場所は私の店で。」
海風と連絡を取り、来るまでカウンターの掃除をしている村雨。
15分後、
「村雨さん! お久しぶりです!」
海風が来店した。
「久しぶり~、海風!」
何年かぶりの再会を果たした。
・・・・・・
「そうですか~・・・提督は違う依頼で別の目的地に・・・」
「うん、私は皆に会いたくて一時的に帰省かな・・・店も開けたかったし。」
「一時的・・・ですか?」
「うん、提督から応援の連絡があったら、またあの人の元に戻るつもりだけどね。」
2人でしばらく会話をし続けて・・・
「白露たちはどうしてる? 皆元気でやってる?」
村雨は海風に尋ねた。
「はい、相変わらず白露さんも時雨さんも・・・江風も、元気です・・・」
海風は元気良く答えるが、何故か表情が悲しげだ。
「? どうしたの、白露たちに何かあったの?」
海風の態度に気付き、質問をする村雨。
「・・・実は。」
海風が事情を説明した。
・・・・・・
「目標?」
「はい・・・鎮守府で駆逐艦娘たちに目標が設定されて・・・」
海風は少しずつ説明していく。
「今まで鎮守府では一番戦果を挙げた艦娘にMVP賞が課せられていたのですが・・・そのほとんどが戦艦や空母が多くて。」
「まぁ、確かにそうね。」
「それで、提督が活躍の場が少ない駆逐艦たち全員に目標を設定したんです。」
「ふ~ん・・・で、どんな目標?」
「例えば・・・駆逐艦が”1か月以内に戦艦10体撃破せよ!”とか・・・」
「うわぁ~・・・それは難度が高いわね。」
「その目標が達成できない場合、各月の給料が支払われないんです。」
「・・・まぁ、それは大変ね。」
「留守にしている間に鎮守府の方針がガラッと変わったのね・・・」と思った村雨。
「そう言う海風の今月の目標は何?」
「私の目標は・・・今月までに敵部隊を合計で50体撃破しないといけません。」
「50体・・・1人で?」
「はい・・・編成内ではなく私1人の撃破計算です。」
「・・・・・・」
久しぶりの再会と会話で気づかなかったが、海風の顔と腕に切り傷を負っているのが分かった。
「今月が終わるまで後3日・・・海風は何体撃破出来たの?」
「・・・まだ、20体程です。」
「後30体・・・ちょっと無理があるんじゃない?」
「はい・・・また今月も給料が出ませんね・・・はぁ~。」
海風は深いため息をつく。
更に詳しく聞いてみると・・・白露たちも目標達成が中々できず、今の海風と同じ心境なのだとか・・・
「提督に少し難度を下げるように頼んでみたら?」
「そうしたいのですが・・・」
鎮守府の提督は暴力的なため、意見具申は難しく戦果を取る他ないらしい。
「・・・なるほどね。」
村雨は少し考えて、
「代わりに戦果を譲ってくれる誰かがいれば目標は達成できそうなんだろうけどね・・・まぁ、そんな都合のいい人はいないか。」
結論としてそうなってしまう・・・
・・・・・・
「私は鎮守府に戻ります・・・白露さんたちにも伝えておきますね、今日はありがとうございました。」
海風が礼をして鎮守府と戻って行った。
「・・・・・・」
店で1人村雨が考えていた。
「私の提督だったら・・・どうするかしら・・・」
村雨は考えるが・・・結論は分かり切っていて、
「代わりに・・・戦果を譲ってくれるはずよね?」
そう思うと、村雨の中で何かの決意を固める。
「姉妹艦と言う立場の違いはあるけど・・・これは間違いなく「困っている」だよね?」
村雨は決心して、
「提督と一緒に困った人たちの手助けをしていたんだから、今度も皆のために私が・・・手助けしてもいいよね!」
そう思って、村雨は店の奥で何やら準備を始めた。
・・・・・・
「本当に久々ね・・・」
料亭の奥にしまっておいた武器や艤装・・・もう使う事は無いと思っていたが、
「後は提督が私のために開発してくれた最先端の装備・・・と。」
村雨が箱から見たことが無い艤装と武器を取り出す。
「暗視メガネ・軽量化艤装・近接特化武器・・・と。」
装着して、鏡で確認しつつ動作を確認する。
「・・・うん、いい感じいい感じ♪」
正常に動作したのを確認し、
「・・・もしもし・・・提督、お仕事中申し訳ありません・・・実は少しお話が・・・」
無線で連絡して提督にある報告をした村雨。
・・・・・・
・・・
・
ここは白露たちがいる鎮守府、
「失礼しま~す!」
許可もなく勝手に執務室に入る村雨、
「何だお前は?」
「駆逐艦村雨です、覚えていませんか?」
「ああ・・・昔、あの障害提督の看護を担当していた駆逐艦か・・・その後鎮守府から出て行ったお前が今更何の用だ?」
「少し提督とお話がしたくこの場に参りました。」
村雨は提督の前に立ち、
「単刀直入に言います・・・駆逐艦たちに高難度な目標を出しているんですよね?」
「ああ・・・それが何だ?」
「その目標が達成できない場合、給料を支払わないんですよね?」
「ああ、誰に聞いたか知らんが、部外者のお前がそれを知ってどうする?」
「意見する艦娘に暴力を振るっているのも本当ですか?」
「・・・・・・」
提督は無言になり、
「そうなんですね・・・それって虐待ではありませんか?」
「何だ貴様・・・私の方針に口答えする気か?」
「口答えではありませんよ・・・今すぐにやめて貰えませんか・・・艦娘たちに暴力を振るうのは。」
「何だと! 部外者のお前が余計な口出しをするな!」
「部外者だから口出しをしているんですが?」
「何?」
村雨はポケットからある書類を出し、
「私の提督からの伝言です・・・それを読んで態度を改めてください、それが出来なければ・・・」
「・・・・・・」
提督は書類の内容を読むと、
「!? 正気か!? あの提督と貴様にそんな資格があるのか!?」
提督が慌てふためく、
「ありますよ・・・特に私は・・・姉妹艦に暴力を振るったとして、今すぐあなたに報復してもいいんですよ?」
「・・・・・・」
「それとも・・・私の提督から直々に制裁を与えられた方がいいですか?」
「・・・・・・」
しばらくの沈黙・・・そして、
「何が望みだ? 何をすれば見逃してもらえる?」
村雨はにっこりと笑顔で、
「目標に対して、誰かが「代わりに達成する」でも有効にして欲しいのと、今後一切艦娘たちに「暴力を与えない事」、
その2つの了承・・・それだけです。」
「・・・・・・」
提督は悩んだ末に、
「いいだろう、その条件を飲めばこの書類の件は帳消しになるんだな?」
「はい・・・そうなりますね。」
「わかった・・・今日から目標代理を有効とし、暴力は二度としない! ・・・これでいいだろ? 用が済んだならさっさと出ていけ!」
「はぁ~い、では・・・失礼しま~す♪」
村雨は執務室を後にした。
・・・・・・
・・・
・
3日後、
「あら、海風・・・そろそろ来るんじゃないかと思ってたわ。」
海風が店にやって来て、
「それで・・・今月はちゃんと給料は貰えた?」
村雨の質問に海風は封筒を出して、
「はい、村雨さんのおかげで海風は無事に貰うことが出来ました。」
「そう、良かった。」
どうやら、海風の目標を村雨が代わりに達成してくれたようだ。
「ではこれ・・・報酬1000円・・・本当にこれだけでいいのですか?」
「少なすぎでは?」と思う海風だったが、
「十分よ♪ 1000円でこの店の主食メインが2食分になるからね♪」
村雨は喜んで報酬を受け取った。
「あの後・・・他の艦娘さんたちが、間を置かず村雨さんの活躍を知りました。」
「へぇ~そうなの? それで? 何か不満のお知らせ?」
鎮守府内の艦娘たちとは昔の出来事で折り合いが悪くなっていたため、海風の代理に不満を漏らしているのではと思った村雨。
「いえ、それが・・・」
海風はたくさんの手紙を出して、
「村雨さんに多数の依頼が寄せられています! 手紙をくれた全員が助けて欲しいそうです!」
内容を一部読むと「代理願い」や「捜索願」、「相談等」の依頼が書かれていて、
「いいわよ、この私で良ければ皆のお悩み、解決してあげる!」
こうして村雨の副業が幕を開けた。
・・・・・・
「あら海風、グッドタイミングね♪ 昨日提督から、出張先で手に入れた食材が届いたところなの♪」
村雨はその食材を使って調理していた。
「そうなんですね・・・提督は今どうしているのですか?」
「確か・・・とある村で迎撃作戦を実施しているはずだけど・・・確か作戦名は・・・」
村雨は思い出して、
「ああ、そうそう・・・「火山岩迎撃作戦」だったわ!」
「・・・何ですか、その任務?」
名前を聞いても海風は何の事かわからない。
「え~と、村の近くに大きな山があって近年その山に噴火の予兆が見え始めて、村人全員が避難することになったんですって。
もしもに備えて、提督が村長に村の防衛を任されたとか言っていたわ。」
「そうなんですね・・・何か大変な任務ですね。」
「人や敵ではなく「自然災害」が相手だからね・・・達成するのは至難のはずよ。」
会話しているうちに調理が終わり、
「はい、出来ました♪ 村雨特製とろける角煮、どうぞ♪」
そう言って、海風の前に料理が出された。
「とてもおいしそうです、それに・・・いい匂いです。」
海風は箸を取って、
「いただきます・・・はむはむ・・・お、おいしいです! お肉がとろけて・・・」
海風は思わず表情が和らいだ。
「・・・それで、今日ここに来たのは「依頼」かしら?」
村雨の質問に、
「はい、今週中に達成して欲しい任務書を艦娘から受け取りました。」
海風は村雨に書類を渡す。
「なになに・・・今週末までに敵空母撃破数100体・・・これはまた多いわね。」
相変わらずの高難度な目標である、
「はい・・・ちなみに依頼主は、白露さん・時雨さん・夕立さんです。」
「あら・・・白露たちの?」
「はい・・・「姉妹艦として信頼できる村雨さんに是非」と・・・」
「ふ~ん。」
村雨は少し考え、
「いいわ、やってみる。 今週中までに達成できればいいのね?」
「はい・・・白露さんたちは今遠征任務に追われていて、出撃が出来ないようで急遽「依頼」と言う形になったそうです。」
「ちなみに・・・現時点で何体撃破してるのかしら?」
「確か・・・25体程だった気が・・・」
「25体・・・後75体・・・それでも多いわね。」
「ご馳走様です・・・おいくらですか?」
「500円でいいわ・・・またのご利用をお待ちしてますね~♪」
海風は依頼書を置くと鎮守府に戻った。
・・・・・・
「さてと。」
店を閉めた村雨はカレンダーを見る。
「今週中だから後4日・・・空母を75体撃破・・・私1人では無理があるかなぁ~。」
「せめて1か月なら・・・」と思う村雨。
「こうなったら、提督に頼んでみようかしら。」
そう言って、無線を起動し連絡を取る。
「・・・あ、提督。 お仕事ご苦労様です! ・・・え、村の防衛が終わった? ご無事で何よりです!」
提督によれば、「火山岩迎撃作戦」は無事終わり、1人の死者も出すことなく完了したようだ。
「お休みのところ申し訳ありませんが・・・私の仕事を手伝って欲しいのです、できれば・・・今週内で。」
村雨が用件を伝えた。
「・・・明日この店に来る!? 本当ですか? 助かります! では、村雨! 店を開けて待っております!」
提督が来ることになり、村雨は安心して無線を切った。
「良かった・・・後は明日提督と作戦を立てて・・・達成すればいいわね。」
村雨は灯りを消して、明日に備えて就寝した。
・・・・・・
翌日、
朝から昼に掛けて・・・通常客が数人来店したことを除けば、普段と変わらない生活である。
・・・・・・
夕方になり、
「いらっしゃい・・・あら、海風? どうしたの、こんな時間に?」
来店したのは提督ではなく海風だった。
「村雨さん・・・白露さんたちの「依頼」、微力ながらこの海風も手伝いたいのですが?」
よく見ると、海風の手と足に艤装を装着しているのが分かった。
「村雨さんには海風の「依頼」を代わりに達成してくれましたし・・・恩返しではないですが、私も「代理」として
皆のために頑張ろうと決意しました。」
「あらあら・・・それは頼もしいわね。」
村雨はにっこりする。
「確かに・・・今日か明日に決行する予定だったから、歓迎するわ海風♪」
「ありがとうございます・・・それで、作戦はどういったものです?」
海風は作戦の詳細を尋ねた。
「ああ、それなら・・・もう来るはずなんだけどねぇ~・・・」
村雨が呟いたその時・・・店の扉が開いた。
「長旅ご苦労様です・・・店に入って休息をしてください、「貴方」♪」
店に入ってきたのは・・・提督だった。
「・・・て、提督!?」
海風は驚き、
「提督・・・お体は、お体はもう大丈夫なんですか!?」
「ああ、見ての通り完治したぞ。」
提督が試しに腕を振るって見せる。
「良かった・・・ふぅ~。」
海風は安堵の表情を漏らす。
「久々の再会に祝いたいところだが、状況は切羽詰まっているのだろう? 今すぐに作戦を立てる! 2人とも準備をしろ!」
提督の指示で村雨と海風が準備を始めた。
・・・・・・
「まず目標なんですが・・・」
村雨が「依頼書」を出して・・・
「依頼主は姉妹艦の「白露」 「時雨」 「夕立」の3人からで、目標はこの「3人で空母を合計100体撃破!」だったそうです。」
提督と海風は説明を聞き、
「ですが、戦艦・空母たちに撃破され続け白露たちは大破した空母や、クリティカルヒットで何とか撃破出来ていた程度で、
期限は今週内と言いましたが、実際は「今月内」です。後1週間足らずで来月になるので「今週内」となったわけです。」
「ふ~ん・・・なるほどね。」
提督は村雨の説明を聞いて納得する。
「75体か・・・3人で25体撃破すれば楽勝だな!」
提督は笑いながら答えるが、
「1人25体ですか・・・海風には難度が高いです。」
海風はしょんぼりする。
「ああ、悪かった・・・じゃあ、オレと村雨で半分ずつ撃破するか? 楽勝だろう、村雨?」
「そうですねぇ~・・・1人37.5・・・38体ですか・・・まぁ、簡単ですね。」
と、村雨も余裕の表情。
「・・・・・・」
2人の会話についていけない海風、
「作戦は長引くと面倒だから、今日中に済ませるか?」
「そうですね、白露たちも待ちわびているでしょうから早く済ませた方がいいですね!」
「そうとなれば今から出撃、 目標は敵空母75体の撃破! 村雨と海風は早々に艤装の装着を!」
「わかりました。」
「海風は・・・装着してきましたので・・・外で待っています。」
そう言って、海風は店から出て行った。
・・・・・・
・・・
・
10分後、
「お待たせ、では行きましょうか。」
海風が見たもの・・・村雨が見たこともない武器と艤装を装着している光景、
「村雨さん・・・その艤装は?」
「ああこれ? 「暗視メガネ」・・・暗闇でも昼間のような明るさで見られるメガネよ♪」
村雨は暗視メガネを起動する。
「それは・・・主砲、ですか?」
見た目は主砲だが、構造が明らかに違うのが見て取れる。
「主砲と言えば主砲だけど・・・これは「近接特化型用」に提督が開発してくれた武器で「鉄鋼榴弾」を弾としているわ。」
「・・・・・・」
※通常の主砲は発射後、敵に当たり爆発するが、「鉄鋼榴弾」は発射と同時に鉛玉が無数に散開する主砲。
遠距離には適さないが、近距離(特にゼロ距離)で発射すれば戦艦すら沈められる威力である。
「後は・・・艦娘の艤装を提督が改良してくれた「軽量型艤装」ね・・・プロテクターのようなものだけど、これでいつも装着する艤装の
数倍の耐久力と機動力を備えているわ。」
「・・・・・・」
村雨は順に説明していくが、内容について行けない海風・・・
「準備が出来たか・・・それでは出撃。 2人とも遅れを取るなよ?」
3人は出撃を開始した。
・・・・・・
「海図によると・・・この辺りに敵空母が密集していますね。」
村雨が海図を広げて、位置を把握した。
「ふむ、では攻撃準備に取りかかろうか。」
提督が大型の主砲? のような武器を取り出し、
「敵艦載機はオレが引き受けよう・・・2人は各個空母を撃破してくれ。」
「はいは~い♪ 任せますよ、「貴方」♪」
村雨は上機嫌である。
「・・・改白露型海風・・・いつでも攻撃できます!」
海風も主砲の装填を終えた。
「・・・来たな。」
3人の目の前に多勢の空母が襲撃してきた。
「では私は先に行きますね~!」
そう言った刹那、高速スピードで空母に突撃していく村雨。
「すごい・・・あんなにもスピードが上がるのですね・・・」
すぐに敵空母の至近距離に詰め寄った村雨・・・敵空母は驚き、艦載機を出す手前、
「遅いですよ・・・発射!」
複数の空母に鉄鋼榴弾砲を発射し、一瞬で数体を沈めた。
後続待機だった敵空母が艦載機を次々に移出・・・空は敵艦載機で埋め尽くされ、「航空不利」な状態である。
「対空ミサイル、バルカン砲・・・発射!!」
後ろで控えていた提督が上空に撃っていく。
空を埋め尽くしていた艦載機は提督の攻撃により瞬く間に撃墜・・・次第に空母たちの攻撃が衰え・・・そして、
攻撃不能(艦載機の残機0)になる。
「敵は全員無防備だ、逃げる前に全ての敵を撃墜させろ!」
提督は標的を敵空母に変更、対空ミサイルとバルカン砲の弾の雨が容赦なく降り注ぎ次々に空母が沈んでいく。
「撤退シロ! 繰リ返ス! 撤退・・・!?」
目の前には村雨がいて、
「撤退? そんな事が許されると思っているのかしら?」
ドォン!!
容赦ない砲撃が敵空母を襲った。
「まだまだ、これからよ・・・ステキなパーティしましょうね♪」
どこぞの妹の台詞を真似て村雨は各個撃破していく中・・・
「・・・・・・」
海風はその場でずっと佇んでいた。
・・・・・・
・・・
・
「2人とも、深夜の夜戦お疲れ様。」
目標の75体は無事達成、朝になって3人は祝杯を挙げていた。
「私的にはもう少し楽しみたかったですけど・・・」
村雨は愚痴を漏らして、
「あんまり減らすと、それこそ鎮守府の存在が危ぶまれるだろ?」
提督が意見して、
「そうですね~・・・我慢しますか♪」
村雨の機嫌が直った。
「・・・・・・」
海風は2人の会話から外れて静かに焼酎を口に注いでいた。
「海風、この報告書を白露に渡して置いてね♪」
村雨がまとめた書類を海風に手渡す。
「は、はい・・・お任せください。」
元気なく書類を受け取る海風。
「? どうしたの海風、あまり元気ないけど?」
「!? いえ、大丈夫ですよ!」
「そう、それならいいけど・・・」
村雨は心配になる。
「・・・・・・」
提督と村雨の作戦を目の当りにして恐れる海風。
「提督と村雨さんは私たちと全く違う次元に行ってしまった。」と思った海風。
「さてと・・・目標も達成したことだし、オレは戻るかな。」
提督は荷物を整理して店の扉を開ける。
「次はいつ頃ここに来られます?」
「そうだな・・・まぁ、1週間以上は無理かな。」
「そうですか・・・提督もあまり無理しないでくださいね。」
「ああ、村雨もな・・・それじゃあ。」
軽い挨拶をして提督は店から出て行った。
「さて、私も開店の準備をしようかな~。」
村雨は奥の部屋から暖簾を出して店の扉に掛ける。
「ご馳走様です・・・海風は鎮守府に戻りますね。」
海風は立ち上がり、
「うん、白露たちによろしく言っておいてね♪」
「はい、わかりました・・・それでは失礼します。」
海風は店から出て行った。
・・・・・・
1時間後、
「さぁ今日も1日頑張りますか!」
村雨は料亭を開いて来店を待った。
「さて・・・今度はどんな「依頼」が私を楽しませてくれるのかしらぁ~♪」
接客をしつつ、「依頼」も受け持つ料亭女将の村雨が、今日も一日普段通りの生活を始めるのだった。
「依頼」 終
メイン終えて今度は新章・・・
何でこうも思いつくかな・・・
成果主義は正しく用いれば
下の人が上に上がる機会となるが。
無理なノルマは成果主義じゃなく
ブラック会社一直線。