「艦これミュージアム」
どこにでもいる人間(以降主人公)が本屋で少し高価な艦これ雑誌を買って・・・
ここは本屋、そこに1人の男性が入って行く。
彼はどこにでもいる普通の男性(以降主人公)、ゲーム好きでよく攻略本やゲーム雑誌を買いに来る。
いつものように主人公が本を物色していると、遠くで店員の大声が響く。
何かと興味津々で行って見ると、最近発売されたビジュアル本(ゲームキャラが載っているファンブック)を宣伝していた。
名前は”艦これミュージアム”、艦これに出て来る人気キャラや海上で戦う勇猛な姿が絵師によって見事に描かれている内容だ。
「お、そこのお兄さん! どうだい、最近新刊で出たばかりだよ!」
店員に勧められて、主人公は艦これミュージアムを手に取る。
「・・・・・・」
値段は3000円、そこそこ高い。 各ページには有名な絵師の描くキャラクターが表現されている。
「どうです、お兄さん? 記念に1冊!」
「・・・・・・」
主人公は艦これをプレイしていない、友人がやっているのを少し見ていた程度である。
主人公は悩んだ末に、
「・・・1冊下さい。」
店員に3000円(税込み)を渡して購入した。
「・・・・・・」
記念にか・・・まぁ、それもいいかな。 家に帰って眺めて、飽きたら友人にでも譲ろう・・・そんな考えだった。
・・・・・・
家に帰宅、食事と入浴を済ませ、後は寝るだけ。
その前に、本屋で買った”艦これミュージアム”を開いて見る。
「・・・・・・」
1ページごとに各絵師が手掛けたキャラの細部がきめ細やかに表現されており、見ていて気分がいい。
「へぇ~、この子が身に着けているのが艤装って装備なんだね。」
初心者でもわかるように、最初のページでは艦これの簡単な説明もされている。
「綺麗だな、ここまで表現できるなんて絵を描く人は凄いや。」
主人公は関心しながら、1ページ1ページをめくって行くと、
「? おや?」
気づかなかったが、足元に1枚の紙が落ちていることに気付く。
「・・・・・・」
拾って内容を見ると、
”好きなページを開いたまま眠るといい事があるかも!”
「・・・・・・」
どうやらこの紙はこの本に添付されていたようだ。
「どういう意味だろう? 絵を想像しながら眠れってこと?」
主人公は意味が分からなかったが、
「まぁ、試しにやって見よう。」
そう言って、どれでもいいから絵を選んでみる。
「よし、この絵にしよう。」
主人公が選んだ絵は・・・
白露型の村雨と春雨がメイド服を着て目の前にいる相手に紅茶を振る舞っている光景が描かれた絵だ。
「これを想像して・・・うん、よし。 明かりを消して、寝よう!」
主人公はそのまま眠りに就いた。
・・・・・・
・・・
・
「提督、起きてください。」
提督と呼ばれ、主人公が目を覚ます。
「う、う~ん・・・えっ!? ここはどこ!?」
さっきまで布団の中で寝ていたはずの主人公が何故か見知らぬ場所でくつろいでいた。
「提督、目が覚めましたか?」
「えっ、提督? オレが?」
振り向くと、そこにいたのは・・・
「紅茶を持ってきました、金剛さんにお願いして分けていただきましたよ♪」
メイド服を着た村雨と春雨がティーセットを持って主人公に近づく。
「えっ!? 村雨と春雨!? 何で!?」
しかも、2人の姿には見覚えが・・・そう、艦これミュージアムに描かれていた絵そのものだったのだ。
「何を寝ぼけているんですか? 紅茶が飲みたいって言うので私と春雨が用意したのですよ。」
そう言って、ティーカップに出来たての紅茶を注いでいく。
「さぁ提督 村雨の淹れたこ・う・ちゃ。 どうぞ♪」
「・・・いただきます。」
主人公は紅茶をいただく。
「・・・うん、おいしいよ。」
「本当ですか? 良かったぁ♪」
村雨は喜ぶ、
「あ、あの 司令官。 こちらのクッキーも・・・どうぞ。」
春雨がクッキーを差し出す。
「あ、ありがとう・・・いただきます。」
主人公はクッキーを食べる。
「うん、紅茶と相性がいいね。 まるで村雨と春雨のようだよ。」
「し、司令官! もうっ! 恥ずかしいこと言わないでください!!」
春雨は顔を赤くして怒り出す。
「まぁまぁ春雨、提督も喜んでくれたし・・・それでは提督、私たちはこれで失礼しますね。」
そう言って、村雨と春雨は執務室から出て行った。
「行ってしまった・・・それにしても。」
主人公は目の前にある紅茶とクッキーを見て、
「・・・うん、本物だ。 紅茶は温かいしクッキーも甘くて・・・」
しばらくすると、急に眠気が起きて、
「ふあ~ぁ、何かまた眠くなってきた・・・寝よう。」
そう言って、執務室で眠る主人公。
・・・・・・
・・・
・
「う~ん・・・はっ!」
目が覚めた時は、執務室ではなく家の布団で目覚めた主人公。
「・・・・・・」
主人公は艦これミュージアムを見る、
「・・・・・・」
寝る前に開いたページ・・・”村雨と春雨のティータイム”と題名が載っていた。
「もしかして、この絵の中に入ってたってこと!?」
主人公はしばらく艦これミュージアムを見続けていた。
・・・・・・
その夜、主人公はまたページを開いたまま床に着く。
開いたページは・・・暁型の雷の「司令官、お弁当忘れてるわよ!」。
「・・・・・・」
目が覚めたら、やはり布団の中ではなくどこかの草原にいた。
「おや? あそこに艦娘達が・・・」
たくさんの艦娘たちが走っていたり、ストレッチをしたりして・・・どうやら野外訓練のようだ。
「・・・・・・」
主人公は野外訓練の監督として、ここにいるようだ。
「提督、そろそろお昼の時間です! 各員に休憩を伝えます!」
秘書艦である大鳳がやって来て、
「あ、ああ・・・頼むよ。」
主人公は大鳳に指示をした。
「それでねぇ~、この前阿賀野姉がさぁ~・・・」
「もうっ! 愛宕、行儀が悪いわよ。」
「うーちゃん、ジュースを買って来るっぴょん!」
「・・・・・・」
主人公も昼食を摂ろうとしたら、
「あれ? 弁当が無い!? しまった、鎮守府に忘れたか・・・」
仕方なく、主人公は鎮守府まで歩いて行くことに・・・
「司令官! これ、忘れ物よ!」
道中で雷に出会う。
「? これって?」
渡されたのは、弁当。
「忘れないでね、って言ったのに。 司令官は慌てん坊さんね!」
「ああ、ごめん。」
「雷特製のお弁当、ちゃんと食べてね♪」
「・・・うん、ありがとう。」
主人公は元来た道を戻る。
「では、いただきます。」
主人公は1人、遅めの昼食を摂る。
「もぐもぐ・・・うん、美味しい。」
雷って料理上手いんだなぁ、と感じる主人公。
「うんうん・・・美味い。」
どんどん口へと運び、全て平らげた。
「ご馳走様です。」
「鎮守府に戻ったら雷にお礼を言わないと」と思う主人公。
「提督、もうすぐ休憩が終わります・・・皆に号令を掛けてもいいでしょうか?」
大鳳の言葉に、
「ああ、頼むよ大鳳。」
主人公は指示をして大鳳は皆に再開の号令を掛ける。
「よし、後半日頑張るか。」
そう言って、立ち上がり目を閉じて伸びをした、
・・・・・・
「う~ん・・・はっ!」
目が覚めると、やはりいつもの布団の中だ。
「・・・・・・」
主人公は改めて艦これミュージアムを見る。
「・・・凄いな、この本。」
以降、主人公は嵌まって行くことに・・・
「よし、今度はこの絵にしよう!」
主人公が選んだのは、「赤城と加賀の食事。」
「ページを開いて、明かりを消してと・・・zzz~」
「提督、起きてください。」
目が覚めると、そこは鳳翔の割烹亭にいて、
「お目覚めですか? うたた寝していたようですけど・・・昨日は深夜まで仕事でしたか?」
「い、いや 大丈夫・・・心配してくれてありがとう。」
鳳翔から気遣われ、主人公は机で注文した料理を待つ・・・そんな中、
「鳳翔さんご飯大盛お願いします!」
赤城が丼ぶり茶碗一杯のご飯を平らげ、鳳翔におかわりをする姿が、
「赤城さん・・・絵でしか見ていないけど、凄い大食感だ。」
主人公が驚いているその隣では、
「鳳翔さん、私にもおかわり頂けますか?」
加賀がやはり赤城と同じ丼ぶり茶碗を空にして鳳翔に頼む光景が、
「・・・加賀さんも凄い。」
つまり主人公は赤城と加賀の中心にいることになる。
「はいはい、赤城さんと加賀さんは本当によく食べますねぇ~♪」
鳳翔が手際よく2人にご飯を出し、
「いえいえ、赤城さんに比べれば私は少ない方ですよ(加賀)」
「・・・・・・」
「確か空母で一番燃費が掛かるのは加賀さんだったような・・・」と思う主人公。
「そんなことありませんよ、大和さんの胃の容量と比べたら、私なんて到底・・・(赤城)」
「・・・・・・」
「戦艦と比べるのは別次元じゃ?」と感じる主人公。
「はい、提督。お待たせしました~・・・最近入荷したての鰻のかば焼きですよ♪」
主人公の前に出来たての鰻が置かれる。
「おおっ、これは美味しそう! では、頂きま~・・・」
「・・・・・・(赤城)」
「・・・・・・(加賀)」
2人が涎を垂らしながらじっと睨んできて、
「・・・よ、良かったら2人で食べる?」
「!? いいんですか、流石提督! ありがたく頂きます!!(赤城と加賀)」
そう言って、鰻を半分にされ、2人のご飯の上に乗った。
「・・・はぁ~。」
主人公はため息をつく、
「まぁまぁ、提督。 もう1尾ありますので・・・少し時間を頂ければ。」
鳳翔はまた厨房に戻って鰻を捌き始める。
「・・・良かった、少し待とう。」
安心したと同時に急に眠気が、
「昨日遅くまで仕事したっけ? 何か眠いや・・・」
そう言って、目を閉じた主人公。
「う~ん・・・はっ!」
目が覚めたら布団の中にいた。
「くそぉ~! オレの鰻がぁ~!」
主人公はしばらく悔しがった。
・・・・・・
「じゃあ、今夜の絵はと・・・」
ページを開き・・・「伊号潜水艦たちの集い。」と言う題名である。
「開いたまま、明かりを消して・・・zzz~。」
「提督、起きるでち!」
ゴーヤに起こされ、周りを見るとそこは海辺である。
「提督、こんな所で寝ていたら熱中症になります、日陰に行きましょう!」
隣にいたはっちゃんがゴーヤと一緒に主人公を連れて行く。
「悪いね、皆で楽しんでいるのに。」
主人公は謝るが、
「そんな事ないでち、提督と一緒に海辺に来れてゴーヤたちは嬉しいでち。」
「・・・・・・」
「語尾が”でち”かぁ、この子可愛いなぁ。」と思う主人公。
「あ~っ!? 2人だけでずるい! イクも混ぜてなの~!」
と、イクが主人公に急接近。 イクの豊満な胸が主人公の顔に覆いかぶさった。
「なっ!? ムググ・・・よ、よせ!」
「あらぁ~、イクの胸に挟まれて提督嬉しいの~?」
「く、苦しい! 確かに嬉しいけどこれは完全な凶器だ! 早くどいてくれ~!」
主人公は必死に振りほどこうとするが、
「駄目なの~! 提督の相手はこのイクがするの~!」
先ほどよりも密着度を増したイクに、
「むほっ・・・顔に柔らかでポヨンポヨンの感触が・・・」
現実にやったらセクハラになると分かっている主人公にとって、今の状態は苦しいだろうがある意味幸せだろう。
「ちょっと、はっちゃんも提督に甘えたいです。」
「ゴーヤも!」
「皆何をしてるの? ああ~、私を差し置いて皆で提督を奪って~! イムヤも仲間に入れてよ!」
結局4人が主人公の周りを囲むことに、
「ああ~・・・何か極楽♪」
主人公はパラソルの下で寝そべりながら、彼女たちの構われている。
「提督、ジュースを持って来たでち!」
「提督、隣ではっちゃんが本を読んであげましょうか?」
「提督、イクのお胸、気持ちいい~? (頭を胸で挟む)」
「提督、日焼け防止にオイル塗りますね~(ぬりぬり)」
「ああ~っ、彼女たちに囲まれて幸せ~♪」
主人公は極楽状態で眠りに就いた。
「う~ん・・・はっ!」
布団の中で目覚める主人公。
「・・・・・・」
改めて絵を見直して、
「やっぱり夢かぁ・・・」
少しがっかりの主人公だった。
・・・・・・
「? あれ? おかしいなぁ。」
異変に気付いたのは家に帰って艦これミュージアムを開いた時だ。
「ページ数、こんなに少なかったっけ? もっと分厚かったような気がしたけど・・・」
昨日までは重みを感じるまでに分厚く感じた本が何故か軽い?
「・・・あれ? 昨日見た”伊号潜水艦たちの集い”の絵が無い?」
主人公は何度も本を開いたり、閉じたりするが・・・その絵が見つからない。
「いや、昨日の絵だけじゃない・・・最初に見た村雨と春雨の絵も、赤城と加賀の絵も・・・見当たらない。」
おかしい事に、夢で見た絵が消えているのだ。
「・・・もしかしたら、”一度見た絵は消えてしまう”仕組み? だとしたらこの本は本当に凄いなぁ。」
その時は主人公はあまり気にもしなかったが、後にこの本の恐ろしさが嫌でも知ることになる。
・・・・・・
「今日の絵は・・・どうしよう。」
主人公は悩んだ挙句・・・「金剛型姉妹のお茶会」を選ぶ。
「じゃあ、いつものように開いたままで明りを消して・・・zzz~」
「HEY! 提督ぅ~! 何寝てるんですカ~?」
目が覚めると、目の前には金剛含む4人の姉妹がお茶会を開いていて、
「せっかく提督も誘ったのに寝ていて駄目デ~ス! 早く目を覚ましてくだサ~イ!」
「あ、ああ・・・ごめんごめん。」
主人公は謝りつつ、金剛たちのお茶会に参加する。
「さぁどうぞ、金剛が提督のために英国から選りすぐって取り寄せた紅茶デ~ス!」
「そうなんだ・・・これは、いい香りだ。」
紅茶をあまり飲んだ事は無いが、香りは良く色も澄んでいる。
「頂きます・・・ズズッ・・・おおっ、これは美味しい!」
「本当デスカ? 良かったネェ~♪」
それからは5人の会話で盛り上がる。
「司令! 私が気合を入れて作ったクッキー! いかがですか?」
「比叡が作ったの? 凄いね、頂きます・・・ガリッ!!? 凄く堅いんだけど!?」
「あっれ~、おっかしいなぁ~・・・う~ん・・・」
比叡はしばらくクッキーと睨めっこしていた。
「提督、紅茶のおかわりどうですか?」
榛名がポットを持って、主人公のカップに注いでくれた。
「あ、ありがとう。 榛名は本当に優しくて綺麗だね。」
「まぁ、提督ったら・・・榛名にはもったいないお言葉です。」
嬉しいのか、顔を赤らめる榛名。
「司令、1曲どうですか? この霧島と一緒に歌いませんか?」
「・・・・・・」
霧島って頭脳派だからこの場では静かな印象な感じがするから、意外である。
「よし、じゃあ声を合わせて歌おう!」
主人公と霧島がマイクを持って歌い始める。
「よっ! 霧島いいぞぉ~!!」
比叡が腕をパンパンと叩く。
「OH! 提督盛り上がってるネ~!!」
金剛も上機嫌だ。
「お茶会っていいなぁ・・・オレは行った事が無いから知らなかったけど・・・とても楽しいんだなぁ~♪」
そう思いつつ、金剛達とのお茶会を満喫した。
「う~ん・・・はっ!」
目が覚めたらいつもの布団の中。
「・・・・・・」
改めて絵を見る主人公。
「・・・楽しかったよ、皆。」
主人公は絵にお礼を言った。
ある日の事、
季節は夏真っ盛り、主人公の部屋も暑く扇風機を随時稼働していた。
「よし、今日もいつものように・・・と。」
ページを開いて明りを消して寝る・・・今では主人公の毎日の習慣だ。
「zzz~・・・zzz~・・・」
主人公が就寝した中、扇風機が主人公の周りに風を送り・・・
「・・・・・・」
目覚めた場所は鎮守府・・・ではなくどこかの暗い洞窟?
「・・・ここは、どこ?」
主人公が辺りを見回すが、
「!? 何だこれ!?」
主人公の手足が鎖で繋がれ、身動きが出来ない。
「ヤット目覚メタカ。」
声がする方向を見ると、
「!? 深海棲艦! 何でここに!?」
主人公は驚く・・・それもそのはず。 寝る前に開いたページは深海棲艦の絵ではないからだ。
「貴様ヲコレカラ解体スル!!」
仲間だろうか、2人が主人公を持ち上げて実験室に運んでいく。
「やめろ! 離せ! 降ろしてくれ!!」
主人公は抵抗するが、全身を鎖で縛られているため全く動かない。
実験台の上で張り付けられる主人公、
「おい、やめてくれ・・・そ、その電動工具は何!?」
深海棲艦が持っていた物・・・電動で動くまるでチェーンソーのような工具。
「決マッテイルダロウ? 貴様ノ手足ヲコレデ切断スルンダヨ!!」
深海棲艦は再び電動工具を起動、刃と刃がぶつかり火花が飛ぶ。
「止めろ! 止めてくれ!! ・・・だ、誰かー!!!!」
主人公は助けを求めるが・・・誰の耳にも届かない。
「諦メロ、艦娘タチハ我ラガ全テ滅ボシタ、残リハオ前ダケダ!!」
「なっ!!?」
「艦娘全員ヲバラバラニシテ血肉ヲ我ラガ喰ラッテヤッタワ!!」
「・・・・・・」
主人公の力が抜ける・・・その言葉を聞いただけで充分に絶望した。
「サテ、左カラ切ロウカ、右カラ切ロウカ・・・ヨシ、右カラダ!!」
敵は右手に工具を掛ける、
「ひっ!!? 止めろ、止めてく・・・」
言い終える前に、何かが切れる鈍い音がして、
「うわああああっ!!!!」
・・・・・・
「う~ん・・・はっ! はぁ・・はぁ・・はぁ・・」
目が覚めた時はいつもの布団の上にいた。
「た、助かった。」
主人公は目が覚めて安心する。
「・・・・・・」
主人公は本を確認する、
「そうか・・・扇風機を付けていたから、風でページがめくれてこのページに。」
風にあおられて開いたページが・・・「深海棲艦に敗北す。」
「!? 何だこれ!? 全ページが深海棲艦の絵しかない!!」
主人公は目を疑い何度もページをめくる。
「・・・・・・」
しかし、何度やっても結果は同じ・・・全て深海棲艦の絵で広がっていた。
流石の主人公も背筋が凍り、
「この本は呪われているのか!? どうしよう・・・今日でもいい、本屋へ売りに行こう!」
主人公は艦これミュージアムを売る決意をする。
・・・・・・
本屋に行き、店員に事情を話す主人公・・・しかし、思わぬ回答が、
「ああ、この本は2重になっているんですよ。」
「? 2重?」
「はい、この表紙が上下に変えても同じ絵ですよね? お客さんが見た深海棲艦の絵は下に向けた反転の画像、
で、艦娘たちが載っている画像は上にした時の画像・・・ですね。」
店員が例を見せると、確かに逆さまにしても同じ表紙でめくると艦娘と深海棲艦の絵が分かれて表示された。
「・・・・・・」
「恐らく何かの拍子で落として反転したのでは?」
「・・・・・・」
扇風機の風にあおられて地面に落ちていた、その時に反転したのか・・・
主人公は納得するが、
「でも、艦娘の絵が一部消えていたんですけど!?」
経緯を話す主人公、しかし店員は冷静に、
「ロックが掛かっていますね、ほらここの部分・・・解除しました、見れますよ。」
「・・・・・・」
店員から渡され、見ると確かに村雨と春雨の絵や赤城と加賀の絵が見れるようになった。
「飲食物で汚さないように、中間にロック機能(ページが開けない)が付いてるんです、
ロックを掛けると左か右半分全てのページが開けないようになっています。」
そう言って、店員がロック施錠と解除を演出してくれた。
「・・・・・・」
この本のカラクリに驚く主人公、
「これを考えた人は凄いや。」
結局主人公は売らずに家に帰った。
「そう言えば気になったけど・・・」
主人公は何かに気付く。
「同じページを連続して見たらどうなるんだろう?」
普段は1日ごとに違うページをめくっていたが、同じページで眠るとどうなるのか?
「・・・試しにやって見れば分かるか。」
そう言って、同じページで眠って見た。
「・・・・・・」
結果は思った通り、
1回目に見た光景と全く同じように、キャラクターたちが同じように演出した。
前回の続きではない・・・絵の通り、始めからやり直しと言う感じだ。
「最初からだから当然、オレとの会話や交流も無かったことになるわけね。」
分かってはいたけど、それがとても寂しく感じた主人公。
・・・・・・
「これで、全ページの絵の夢を見たかな(深海棲艦の絵は除く)。」
主人公は改めて一通り見直してから、本を閉じて棚にしまう。
「忘れた頃にまたこの絵でも見よう、あまり現実逃避していても良くないからね。」
そう言って、主人公は普段通りの生活に戻った。
「艦これミュージアム」 終
この本実際にあったら欲しいですね。
中○人並に爆買いしますね。
続き待ってます。
コメントありがとうございます~♪
ちなみにジャンルにある通り、後半は思わぬホラー要素が待ち受けています。
1です。
生きたまま解体とかこっわ
ヴォルギン大佐の拷問より怖いかも
(通じるかな…クワバラクワバラ)
最後のオチは草