2018-11-07 00:51:45 更新

概要

前回戦線から帰還したフクスは、次の戦に備えて会議へ赴く。
そしてここまでたどり着くまでの過去を思い出す。


前書き

説明回のようなものです。次からポケモンが主に関わってきます。


アルトカイザーライヒ首都


華やかな中心地を離れればスモッグとホコリで汚れた空気、

それらで遮られた太陽光が少しだけ注すだけの薄暗い下町。


その大通りを踊りのようにも見えるステップで通る身長170近くある女性軍人

フクスその人がいた。


「ふっふーん相変わらず暗いねえ、店に並んだ商品も水ぼらしい。

痩せた野菜に少ない品数、戦時中とはいっても首都の町でこれだもの、

きっと中央は素敵なご馳走をしているに違いないわね。」


そのまま首都中央へと足を運び、門番へ身分証を見せて嫌な顔をされて通される。

まあ、真剣な職場でヘラヘラしたやつがいたらそうなるだろうけど。

ぶっちゃけ今の状況を知っていると馬鹿らしくもなるんだよねえ。


通された後は城のような建物、その裏口から入るあたしことフクス。

普通は正面から入るのが普通だが、自分自身普通とは違う。


「おかえりなさいませ、30分後に会議がございますが食事を先になさいますか?」


「ありがとうベック、マッシュポテトでいいわどうせ食料はカツカツなんでしょ?

あたしの部屋にも6人分持ってきて」


黒スーツを纏った執事のベックはフクスの上着を受け取りテーブルへと案内する。

その後湿らしたタオルで手を拭き、ハンケチで盛大に鼻をかむ。


「・・・あーホコリまめしの環境は鼻に悪いね。今度マスクしていこうかな。」


「ペストマスクならございますが、あれは依然『趣味じゃなーい、これ無いわ』

と仰っておりましたな。」


「何気に声真似上手いのねベック、機嫌がいいからあなたの服洗ってあげるわ。」


「御戯れを。一張羅が素敵なことになってしまいますのでこれは私めが。」


ぶっちゃけ洗濯は苦手で縮める未来しか予想出来ないのであるが。


「ところで先ほど6人分部屋へと依頼を受けましたが客人ですかな?

それでしたらここへご案内いたしますか?」


「いらない、あたしの夜食。」


* * * * *


自室


フクスは服を脱ぎ下着姿になる。

というのも安らぐ空間は自室しかなく。外では常に装備をつけたままになっているため、

20kgの重りを下せるタイミングが希少なせいで反動で裸族一歩手前になるのだ。


「さて・・と。みんな出ておいで。」


モンスターボールを6つベッドの上へ出し、1つずつスイッチを押して開いていく。


「みんなごはんだよ、冷たくはなっていないはずだけど熱くもないはず。」


ある程度時間をおいてから帰ってきたため、

熱々のマッシュポテトも少しは冷めているはずだ。


「じゃあ行ってくるね、みんないい子にしているんだよ?」


そのまま豪勢な服に着替え、マスクをつけた後順番に頭を撫で。

ゆっくりドアを開閉しストレスをあたえないように退出するフクス。


靴の音を響かせ大通りへと出る、長い廊下だ。

ここまで来るのにあたしは底辺から上り詰めた。

いろんなモノを落としながら来た。

あたしはこの国の人間ではない、だが無関係でもない。


数年かけて父が中央で頑張って成果をあげてくれたおかげで、いまでは国民として扱ってくれている。

まあ、それでも悲しいことに外から来た一族というレッテルは剥がれていない。


長い廊下を歩き終わり、突き当りの会議室の扉を開く。


「「準備は整いました。」」


あたしの過去を語る前に、1つだけ明かそう。

あたしはこの国である役職についている。


「「陛下。」」


あたしは、この国の陛下の影武者だ。




* * * * *



6年前帝国 南東 国境付近


あたしは両親とともに東の島国からここまでなんのツテもなく3代かけて渡ってきたそうだ。

あたしの先祖はある塔の管理をしていたそうで、

ある日その塔が焼け、あろうことがその中に居た3匹の神が焼け死んだそうだ。


その責任を取って一族郎党島流しにあったそうだ。

面白いことにしばらくしてその神は、不思議なことに生き返り、

残ったのは焼けた塔のみとのことだ。


知らないとは思うが当時死罪より重い刑が島流しなのだ。

それが刑が軽くなるからと戻れば打ち首・・・全く笑える冗談だ。


・・・とにかくそんな言いがかりにも近い刑で故郷を追われた我が一族は、

現在島流し先の最端であるこの国へようやくたどり着いた。

その時あたしはなんと言ったかな・・・ああ。


「とーさん、やっとお家ができるの?」


だったかな。そこから家も出来た、食い扶持も出来。

父は中央で役員として働いてあたしは母と2人暮らしをしていた。


1つの不満をのぞいて・・・



帝国アルトカイザーライヒ、1年を通してみて冬が長く冷え込みが激しい国であるここは、

国土としてはそれほど大きくも無く。技術力や野心的な開発力が特徴ではあったが国民の労働力・・・

国力は余りにも低い。


今は正に氷点下‐20は下回っている。そんな北部海辺の村レーベンの子供達ははしゃいでいる。

しかし、どこか・・普通とは・・様子がおかしかった。


「海辺にいこうぜー!」

「さんせーい!」

「キャッキャ」


無邪気な子供達の会話に一人の少女が話しかける。


「ね、ねえ!あたしも一緒に、いいかなぁ・・?」


手を後ろにし、震えながらも勇気を出して言ってみるが。


「おい、あいつ。」

「ほっとけほっとけ」

「狐の癖に・・・」


子供達は海辺へ走って行く。批難するその言葉に少女は凄く傷つき後ろに回した手をめいいっぱい握り絞めた。




この村では大昔ロコンやゾロアの原種と言われる『キツネ』と呼ばれる生物が存在していた、

キツネは賢く獲物を捉える時は策を練り複数で狩りをする、しかし、


その性格は慎重で、安全を確認するまで大胆な行動はしない。

そんなキツネが嫌われている理由は食料難になると人里の畑を荒し、

奪って行くからである。そんなキツネは狩りの対象として選ばれる事になる。


キツネ狩りは貴族の嗜みとしてひろく広まり、やがて絶滅した。




帝国アルトカイザーライヒは年々備蓄食料の確保がシビアになるほど、自給率が少ないのである。

人口と食料の保存料を見れば数は十分足りる、だが貴族と平民の貧富の差があり、

ほとんど貴族へ接収されてしまうのである。


そんな中、とある国から逃げてきた3人の家族がやってきた。

それも、母親と娘の目が特徴的でキツネのような目をしていた。


父親は事務仕事が出来たので帝都で働くことは出来ましたが、

母親と娘はその目のせいで帝都には入ることが出来なかった。


伝説に残るキツネ、その外見とタイミングから巷では


『食料難の中、キツネが化けて横取りしにきた』


と、もちろん根も葉もない嘘ではあるが、

貴族への不満はいつしかその親子に向けられるようになる。



母親は耐えられた、だが遊びたい盛りの娘が仲間に入れて貰えることが出来ない・・・

そのことが何よりも悔しい思いをしていた。

しかし、余所者の自分が口出しすることは出来なかった。


娘は健気に母親に


「お母さん、あたし頑張るから!友達が出来るのを見ててよ!

キツネとか良く分かんないけど・・何回も何回でも頑張るから」


母親にはそっと娘に抱くしかなかった、自分の顔が見えないように。




それから5年の月日が流れ、少女が大きくなるにつれて家事の手伝いや薪割りなどが出来るようになっていた。


苛められることはなくなった・・・だがそれは遠巻きに見られているだけだ。


少女は17歳らしく体は発育し、着ているものはリブ生地セーターに分厚いズボンを履いており。

上半身は体のラインが強調され、髪は長くなり中央から左右に盛り上がった髪はさしずめ動物の耳にも見えた。


形容するならそれは農民に偽装した傾国の姫といったところだろうか。


そんな綺麗な見た目をしているからか同い年の男はあまり近寄り難くもなっていた。

だが遠くから見ているだけで、用があるが言えない・・・そんなもどかしさすら感じさせる。


そんな様子を少女・・少女はただ首を傾げるだけだった。


思春期の男のことなど考慮するほどの交友経験も無かったからだ。

そうこう考えている内に薪割りを終え、めい一杯自分が持てるだけの量を抱え、

玄関前の階段下から声を上げて知らせる。


「さて、この位で十分か。かあさーん!終わったよー!」


ザッザっと雪を踏みしめ高床式の木造の家に入る。


「薪運びご苦労さま、ポケモンの一匹くらい捕まえに行きたいだろうに、ごめんね。」


溜息混じった笑顔でまたそれ?と言いたげに笑い飛ばす。


「いいのいいの!さあ!もう夕飯だし、スープでいい?」


「あなた、ソレしか出来ないじゃない。」


母親は笑う。それに対し娘は自慢げに


「栄養を無駄にしない最高の調理法だからね!ここでは特に食料もそうだし、

何より調理器具だって包丁と鍋が無駄にあるんだからつかわないと!」


調理の準備をしていると外からザワザワと話し声が聞こえる。


(なんだろう?)


娘は窓から外を見ると村人が森に入るような装備をしていた。

慌てて少女は村人に声をかける、嫌な予感しかない。


「どうしたんですか!?」


「おまえか。おまえにはかんけ・・・」


「誰か森で行方不明になったんですか!?教えて下さい!」


かき消すように声を上げる、人が下手をすれば命の危険性があったのならと。

その気持ちでいっぱいだった。もう一人の村人が答える


「息子が帰って来ないんだ、頼む・・・一緒に探してくれんか?」


初めて村の人が頼ってくれた、誰も相手にされなかった少女にとって、

それはとても嬉しかった。


外から見ていた母親は嬉しそうに笑うと、持ってきていた物を投げる。


「フクス!少し早いけど父さんからのバースデープレゼントよ!」


母親が娘の名前『フクス』と呼ぶと、サバイバル用のウエストポーチを投げる。

娘はそれをキャッチし、左腰にポーチが垂れるように装着し、そして声を上げる・・誇らしげに。


「フクス=シュッツェ、行ってきます!」





mission1「少年の探索」


後書き

このまま探索とかポケモンゲットとか色々していきます。


このSSへの評価

2件評価されています


のわっちさんから
2018-11-09 14:05:14

柔時雨さんから
2018-11-07 18:45:56

このSSへの応援

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のわっちさんから
2018-11-09 14:05:17

柔時雨さんから
2018-11-07 18:45:57

このSSへのコメント

4件コメントされています

1: 柔時雨 2018-11-07 18:49:08 ID: S:xNBY79

どうも、柔時雨です。

フクスさん……めっちゃ、重要な地位に……居るから、女子力ががが

もう、あれですね。ジョウトのエンジュシティに行けねぇじゃないですか。

過酷な環境の食糧難の最中の難民……ここから、どう国王の影武者まで伸し上がるのか
ポケモンとどう接していくのか……続きを楽しみに待機させていただきますね。

2: のわっち 2018-11-09 14:05:07 ID: S:Djw9bl

どうも、のわっちです。

ファンタジーな世界、なのかな?
ポケモンは色々と想像が膨らみやすい作品なので是非とも続いていただきたい。

ゾロア飼いたいなぁ……狐好きな私としてはロコンと一緒に飼いたいですね。

クチートは膝の上に乗せて頭を撫でたい、そんな感じです。

次回も楽しみにしております。

3: SS好きの名無しさん 2018-11-11 20:22:51 ID: S:GbhfFP

柔時雨さんありがとうございます!

気の抜けない立場になったために女子力がゴリゴリ削れております!

元ネタ分かってくれて何よりです!

ここから登りつめていくぜ!
(悪い子は蹴落としてry)

4: SS好きの名無しさん 2018-11-11 20:25:43 ID: S:hFXaAk

のわっちさんありがとうございます!

ファンタジーです!天気を操作したり超能力で超自然的現象を発生させる!ほらファンタジーです!

小型ポケモンは愛でるに限りますな!

結婚の式場はこちらですか?(๑╹ω╹๑ )
そして新婚さんのお宅へのお引越しはまつもry


このSSへのオススメ

2件オススメされています

1: 柔時雨 2018-11-07 18:49:32 ID: S:klKAg0

この作品は、柔時雨が応援しております

2: のわっち 2018-11-09 14:06:18 ID: S:1cIZT1

ゾロアーもロコンも好きです。でもクチートの方がも~っと好きです。


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