狐と蔑まれた少女[chapter: 8 お買い物すら苦労しますかそうですか ]
前々回フクスは何者かに襲撃され、なんとか制圧するも。その損害として自室のいくつかが壊されてしまった。
今回ゲストキャラクターが登場することもありまして。
かなり長くなりました。
え?短い?
そんなー(´・ω・`)
「ふむ、実に困った。」
前々回、フクス達に対し襲撃してきた3人を制圧し。
情報を引き出すために軍警察へと引き渡し、散らかった自室を見て落胆するフクス。
なぜ襲ってきたのか分からない状態ではあるがまずフクスにはやらねばならない事がある。
家具の新調、調達である。
「『被害はタンス、机、それとベッドね。』」
「これ調達するにも正直この国は疲弊しきっているから、
正直国外で買い物しないと揃わないわね。」
サーナイトの言ったように3点ほど壊されたため、
補充するために国外に行かなければならなくなったフクス。
国外に出るにも今は戦争状態なため、
徒歩か飛行機で国を越えなければならない。
「家具買うのにもまさか命がけになるなんてね。」
「『国境=戦争真っ只中だものね。』」
「『それでどうすンの?飛行タイプのポケモン持ってないでしょ?』」
フクスは肩をすかしサーナイトとゾロアークに現実を突きつけられる。
確かに空を飛ぶポケモンはいない・・・だが忘れていないだろうか?
【一晩で3つの山と2つの谷を一晩で越える】タフさと速さを持ったポケモン、
その進化形のコが居ることを。
「そんな訳でお願いねルカリオ。走るのは戦場にならない山岳地帯。南の方角へ行こうと思う。
カロス地方ならオシャレな服も家具もあるしね。」
「『ルカリオ、がんばる。任せる、安心。』」
「『唯一戦争状態になっていないからね。あと引き取るものもあったわね。』」
サーナイトがチラっと言ったが実は前々から発掘を頼んでいたものがあった。
【キーストーン】
限定的とはいえポケモンのさらなる可能性。メガシンカを可能とさせるもの。
実はフクスはクチート、ルカリオのメガストーンは持っていた。
だが肝心のキーストーンが無かったために宝の持ち腐れ状態だった。
「あとは山を越えて・・・」
ギイ・・・
「しょしょしょ将校様、へへへ陛下かからアワワワ」
「アンナ落ち着いて深呼吸」
ヒッヒッフー ヒッヒッフー
その口から出るのは苦労というお子さんかな?
「まあいいや、じゃあ陛下に会ってくるよ。」
「『いってらっしゃい。』」
* * * * *
【ひみつの部屋】
コンコン
「入りますよー。」
ギイ・・・
扉を開けるとベッドの上に上半身を起こした状態で本を読んでいる人物がこちらに気が付くように視線を向ける。
「良く来たねフクス嬢、このままで失礼するよ。」
「お変わりなくマルセイユ兄さん・・・いえ陛下、ご息災で。」
マルセイユ・G・フリードリヒ
フクスの恩人であり、フクスの人生の転換期とも呼べる幼少期の頃にイジメを受けていた所を救ってくれた方。
もし誰も助けてくれなかったら、第二のロケット団を結成するキッカケになっていた。
「何者かに襲撃されたと聞いたよ。大変だね。」
「そーなんですよ聞いてくださいよ!
おかげでタンスと机とベッドを買わないといけなくなってね!」
フクスは少女のように恩人に鬱憤を晴らすように出来事を報告する。
その様はまさに外で体験したことを親に報告する子供のようだった。
「本当に大変だったようだね。」
「そのせいでしばらくカロスあたりに外出しますので、
暫く留守にします。」
マルセイユはふむ・・とアゴに手を添えると
「フクス嬢、【可愛い子には旅をさせろ】。そういってジム巡りをさせたことがあったね。
だがもうソレももう1度で十分だろう。だから今回は【足】を使いなさい。」
「足ですか・・・乗り物なんて出てましたっけ?」
「手配は済ませるから少しはオシャレしなさい。
軍人としてではなく、令嬢としてね。」
* * * * *
【国際空港】
「令嬢ねえ・・・。サーナイト、この服装じゃないとダメ?」
「『あのねフクス?女の子がシャツにスパッツの上にローライズ ジーパンなんて少年のようなカッコさせれると思う?』」
フクスはアルトカイザーライヒの貴族令嬢としてカントー地方からの定期便に乗ってカロス地方へと向かう最中であった。
本人は黒にしたかったそうだが、令嬢らしく黄色を薄めたワンピースに、折袖のついたブーツを履いている。
あとちょっとスポーツマンがしそうな青いレンズのサングラスをしている。
「『髪おろしたのね。』」
「うん。戦闘にはならないからね。一応リボンは持ってるけど。」
重い装備はアンナにあずかって貰ってるし。
暫くはこの服装でいいかなと思っているフクス。
チケットを見せてゲートを潜り、機内へと移動する。
飛行機とは言っても今流行の個室が数か所設けられたタイプで。
造りは夜行列車のような感じだ。
「高かっただろうにマルセイユ兄さんも無茶するなぁ。」
「ねえ君、ちょっといいかな?」
飛行機の部屋を探していると、前から声をかけられた。
黄色の白のパーカーを着た茶色のボブカットの少女だ。
とりあえず通路は狭く、立ち話をするには適していなかったため、
フクスに割り当てられた部屋に入る。
部屋自体は定員が2名分あったため、それほど窮屈ではなかった。
ちなみにフクスは日系人と話すのは初めてではあったが。
元々祖先がジョウト出身だったため日本語は話せる。
「備え付けの紅茶ですがどうぞ。」
「うん、頂きます。」
紅茶を飲む音と時計の発条の音だけが響く。
緊張や重いとはまた違う、気になるという感じでもない。
一言で表すならこの空気は『図書館の中』に酷致していた。
「君・・えーと。」
「自己紹介がまだだったね、フクスって呼んで。」
「ボクはサモン。実はある一族を探していてね。
その人物はアジア系なんだけど、どうも見つからなくてね。」
「お知り合いですか?」
ズズっと紅茶を啜って話を聞く姿勢になる。
「いえ、実は歴史に興味がありまして。
何でも昔にこちらへ流浪された方とか・・・。
その一族の名はオオバ一族。かつてカネの塔と呼ばれた九重の塔の管理者。
その秘密ごと島流しされた者たちです。」
続く沈黙、ふと視線を窓に移すといつの間にか空へと飛び立っていた。
時を刻む音だけが響く。フクスはふと空になったカップを皿の上に置き。
ギっと椅子がなるように勢いをつけて立ち上がると
「サモンさん、きっとあなたは鋭いカンをお持ちなのでしょうね。
マンジューを出しますのでお待ちください。」
きっとサモンさんは気づいているのでしょう。ある程度の人種が分かり、
辿った道をそのまま流れに流れて。150年も前の昔話なのに。
「あたしはフクスと名乗っていますが真名はオオバ イナホ。
かつて祖先がジョウトのある塔の管理者をしていました。」
「やはりですか、アルトカイザーライヒから来た令嬢にしては日系だと思いました。」
「塔の秘密でしたか・・・長くなりますよ。」
フクスは机に【いかりまんじゅう】を6個ほど置くと椅子に腰かけた。
「表向きは塔の焼失と3匹の神獣の死亡がキッカケ・・・となっています。」
「でも、違った。落雷という天災でそれは重すぎる。」
「昔の人はあんな簡単にポケモンが自然現象を操るのを目の当たりにしながら、
天罰だの目に見えない恐怖に怯えてでっちあげた罪で排除しようとした。
まるで花瓶の置く場所で運命が変わると信じているように。」
「ボクが気になったのはあの焼けた・・・失礼。カネのとうに、
【なぜスズの塔にない地下室があったのか】。」
「地下の死んだ三匹、のちのエンテイ、ライコウ、スイクン。
それぞれイヌやネコのように見えますよね?」
「?・・・見た目が・・・なんだって?」
「あれは元々遺伝子操作の技術もなかった時代に、
あるものを再現するために交配実験で創られた人工ポケモン、
その成り損ない。元となった生き物は再現したかったポケモンの遺伝子を持つモノ。」
「それは・・・なんだい?」
「かつて、この地球上に存在した生物、【キツネ】。それの上位存在。」
「キツネ?それならキュウコンやマフォクシーがいるじゃないか。」
「もちろんそれも掛け合わせた。
欲しかったのはかつてアジアに存在した妲己という女狐。その遺伝子情報だ。」
「妲己・・だって?」
「のちに日の本へ逃げ延びた玉藻の前と呼ばれた存在だ。
あたしの・・・私の祖先の先祖はその存在を討伐した陰陽師。」
フクスはサングラスを外しサモンを見る。
眉を歪ませ目を細めるサモンはまるで・・
「そしてその女狐に末代まで祟られこの瞳と不幸を呼び寄せる体質にさせられた。」
バアアアン!
「何今の爆発は。」
「サモンさん話は後で。」
備え付けられた携帯型パラシュートを背負い、爆発した方角【とは真反対】へと走り出す。
「サモンさんこっちへ!避難しよう!」
対テロ対策としてポケモンはキャリーケースと同じ所に置いてある。
そのためフクス達にできることはなかった・・【普通であれば】。
「カラカラ、出ておいで。」
モンスターボールを取り出すとカラカラを呼び出し戦闘態勢に入る。
「これでも詳しくは言えないけどそれなりの仕事をしていてね。
フクス・・・これが終わったらショッピングしましょう。
約束、したから。」
「ええ・・うん!サモンさんも気を付けて!
サヨナラは言いませんよ!」
駆けるフクス、曲がり角を曲がって階段を降り、見えなくなる。
「フクス、あのサングラスを外した時の・・悲しい表情をした心情。
まだ聞いていないからね。」
* * * * *
「サーナイト!聞こえる?!」
(『ええ。何か騒がしいわね。』)
サーナイトが思念をサイコパワーで伝えてくる。
「そっちは大丈夫?」
(『最悪よ。貨物室に1mの大穴が開いてる。
たぶん感知できないほどの小さな爆発物が破裂したみたい。』)
「そこから脱出してバッグ持って合流しましょう。
貨物室と直通のGの昇降機についた。」
サーナイトはキャリーバッグを押し込み。
横にモンスターボールを置きスイッチを押して入る。
その後サイコパワーで閉める
ウィイイン
「回収完了。さてわざわざ爆発したのが後部なんだ・・。
いるはずだ本命が前部に。」
一般シートエリアを覗いてみると・・・やはりテロリストがいた。
2名か・・・。
ダッ
フクスは隠れていた曲がり角から飛び出すと
1歩
ランチャーを発射させ1人となりの列にいたテロリストに打ち込む。
2歩
着弾、1人制圧。そしてその弾頭たるモンスターボールが開きルカリオが出てくる。
もう1人がこちらに気づくとスピアーを呼び出す。
3歩
「究極、ブレイズキック。」
ルカリオが窓の上の壁をトンッと軽く蹴り宙返りしながらスピアーの横面にブレイズキックをかます。
4歩
テロリストは急所に命中したスピアーが戦闘不能になる所を見て一瞬止まる。
「バレット・・パンチ!」
フクスは左拳でテロリストの右頬を、
ルカリオは右手のバレットパンチを左頬にメリ込ませる
メキャキャアア
「グオオオオ!」
フワっと浮くように吹き飛んだテロリストはコクピットのドアをブチ破り
「なんだ貴様は!」
「せい!」
テロリストがもっていたモンスターボールを蹴り上げ、ルカリオがバレットパンチで沈める。
「さて・・・これで・・!」
「て、てめえはここで始末する・・。」
コクピットと制圧していたテロリストがフクスの足を掴むと、
ケーシィと取り出し光り出す。
「ルカリオ!シャドークロー!」
ケーシィが技を出している最中にルカリオがシャドークローを繰り出し、
そのままテレポートの範囲に巻き込まれる。
【機外の海上のはるか上空】へと。
「つ、ツイてないぜ・・・テレポート失敗かよ・・・グオッ!」
フクスはテロリストを蹴り飛ばす。
「ルカリオ!来なさい!」
空中でルカリオの手を掴み。モンスターボールに戻す。
「サーナイト!」
モンスターボールが開きサーナイトがフクスを背後から抱き上げる。
「『もう航空機も乗れないわね。』」
「不幸ってなんでこうッ!」
背後のサーナイトを前にやり先ほどと逆のポジションになる。
「サーナイト!海面に向かってはかいこうせん!」
有無を言わずサーナイトは最大出力で両手からはかいこうせんを発射し減速する。
「サイコキネシス!」
海面ギリギリ50mの地点でサイコキネシスで浮力を付加し耐ショック姿勢になり着水する。
今回ゲストとしてとある方からサモンさんをお借りさせて頂きました!
知的!冷静!そんなクールガールがフクスの過去に触れる!
まあすぐ別れちゃいましたが、遠くないうちに合流しますのでご安心下さい。
サモンさんに関してはこのまま書きたい所ですがキャラ構成の情報がそれほど仕入れれておらず、
憶測の域から出ない部分もあるので下手に言えませんがクールかわいいとだけは言えます
どうも!作品、読ませていただきました。
ゲストキャラ、ヤッター!
……あれですね。よく奇襲されるお嬢様で……立場がそうさせているのか……
そして、ポケモンと共に披露されるフクスさんの武器・バズーカ……どこに隠し持っていたのやら。
何やら海に放り投げられた感が凄いですが、今後の展開は……(ニヤッ
あぁ、バズーカを使ってたのは前回でしたか……今回は肉体言語でしたね。
すいません、読み違えてました。
あざます!ゲストキャラ万歳!
奇襲、なんて前振りとか考えずに気軽に出せるシチュ(^ω^)作者は苦しゅうない状態ヤフー
バズーカは女の子の秘密のポケット『スカート』から出ますぞー!
その後に続く肉体言語!ドララア!
めざせスーパーマサラ人!