提督「提督に着任したが、提督が多すぎて艦娘が行き届いていないらしい…」

提督「待っていればいずれ来るとは言われたが、その間無職に等しい訳だから生活に困るし…」

提督「かと言って副業は士気が下がるという良く分からない理由で禁止されているし…」

提督「バレない様にやろうとしても…」ﾁﾗｯ

憲兵「…」

提督「…金を払えば優先的に艦娘を回して貰えるようになると聞いたがお金ないし」

妖精　ｵﾏｴｵﾜﾘﾀﾞﾅ

提督「ストレートに言うなよ…妖精の言う事じゃない…」

妖精　ｹﾝｿﾞｳｼﾛ

提督「明石っていう娘が居ないから工廠が使えないらしい…」

妖精　ｴｪ…

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「へ？金を払えば配備してもらえるって、だからお金ないんですって…」

妖精　ﾃｲﾄｸﾔﾒﾛ

憲兵　ｺｸｺｸ

提督「いや、酷くないか…？」

提督「…」

提督「どっかに艦娘落ちてないかなぁ…」

妖精　ｵﾁﾃﾙﾜｹﾅｲﾀﾞﾛ

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「へ…使えなくなった艦娘を保護する施設がある？」

妖精　ｴ　ｿﾝﾅﾉｱﾙﾉｶ

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「修復不可能な艦娘は7日保護されて、その後解体？」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「7日を超えると不安定な感情から深海化」

提督「殆どの艦娘は絶望しながら解体されていくって…知りませんよ！」

提督「それに使えない奴を何で引き取らなきゃいけないんですか！」

憲兵「…」

妖精　ﾏｧﾏｯﾃﾃﾓﾄﾞｳｾｺﾅｲｼ　ｲｹﾖ

提督「はぁ…こんな筈では…」

〜一週間後〜

妖精　ﾋｻｼﾌﾞﾘ　ﾃﾞ　ﾄﾞｳﾀﾞｯﾀﾝﾀﾞ

憲兵「…」

提督「結果…俺の車のドアが壊れて、俺は右手を骨折。そしてそこの入り口のドアノブが」

ドアノブ君　ﾊﾞｷｨ‼

提督「…今壊れた」

妖精　ﾊ?

提督「…開けるか」ﾊﾞｧﾝ　

妖精　ｹﾔﾌﾞﾙﾉｶ

吹雪　ｱﾀﾌﾀ

妖精　ﾌﾂｳﾉﾔﾂｼﾞｬﾅｲｶ

憲兵　ﾍﾟｺﾘ

吹雪　ｱﾀﾌﾀ

提督「いや…こいつはな…」

提督　ｽｩｰ

提督「吹雪ぃぃぃィ！！！！！」

妖精　ｳﾙｾｪ‼

憲兵　ﾐﾐﾌｻｷﾞ

吹雪　⁉　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

提督「…耳が聞こえないんだ」

妖精　ｴ?　ｲﾏﾊﾝﾉｳｼﾃﾀｿﾞ

提督「これは、多分俺がドアノブを壊して怒ってると思ってるだけだ」

吹雪　???

妖精　ﾃﾞﾓ　ｿﾚｶﾞﾅﾝﾉｶﾝｹｲｶﾞ?

提督「音って言うのは結構大切なんだ。俺達は日常生活の大体を音で把握してるとも言われてる」

提督「こいつには音が聞こえないから、全部を感覚に頼ってる。人間ならそれで終わりなんだが…」

提督「こいつは艦娘だ、その辺は人間の範疇じゃない。早い話、加減ができない」

提督「音があれば壊れそうな範囲にブレーキをかけることができる。こいつにはそれができない」

提督「後は自分が何言ってるかも聞こえないから、喋れない」

提督「筆談させようと、ペン握らせたら何本へし折った事か…」

提督「…で、連携も取れない上奇襲にも気がつけないから施設に飛ばされたらしい」

提督「後は提督や鎮守府ぶっ壊し過ぎたとかなんとか…」

妖精　ﾃｲﾄｸｦﾌﾞｯｺﾜｼﾀｯﾃ

提督「ただ、外見的にも損傷は少ないから何とかなると思って連れてきたんだ…」

提督「耳が聞こえない以外は五体満足だし」

提督「…妖精の力でテレパシーとかできないの？」

妖精　ﾑﾘﾀﾞﾖﾊﾞｶ

提督「そうか…」

吹雪　ﾄﾝﾄﾝ

提督「痛っ！痛いわ！！」

吹雪　‼　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

提督「はぁ…あ、あと俺の右手はこいつと握手した時に潰れた」

妖精　ﾋｴ…

提督「まぁ粉々とまではいってないからそのうち治るらしい」

妖精　ｿｳｶ ｽｺﾞｲﾅﾃｲﾄｸﾉｶｺﾞﾊ

　

提督「悪い奴じゃ無いのは分かるんだ…何とかしてやりたいと思ってる…」

妖精　ｵ?　

提督「勘違いするな、これも俺の将来為…ちゃんとした艦娘を手に入れるまでの我慢だ」

妖精　ﾒﾉﾏｴﾃﾞｲｳﾅﾖ　　　

憲兵「…」

提督「どうせ聞こえてないし…」

吹雪　?

提督「はぁ…やはり連れてくるべきでは無かったかなぁ…」

妖精　ﾅｵｾﾅｲﾉｶ?

提督「治せたら施設に行ってないだろうよ…」

吹雪　ｱﾀﾌﾀ

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「へ、他に娘は居なかったのか…ですか？」

提督「うーん…まぁ、居るには居たんですけど…」

提督「一番まともそうだったのがこの娘で…」

提督「実際この吹雪一人でどうするか手一杯ですし、取り敢えず彼女の事を考えてからですね…」

妖精　ｲｶﾞｲﾄﾚｲｾｲﾀﾞﾅ

提督「…あぁ」

妖精　?

妖精　ｿｳｲｴﾊﾞ　ｲﾏﾏﾃﾞﾅﾆｼﾃﾀﾝﾀﾞ?

提督「…あんまり話したくないんだけどなぁ」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「ん、話したくないならいい？」

妖精　ｴｴｴｴｴｴｴ

提督「ん、まぁ、気持ちの良い話じゃないんだよ。正直胸糞悪いぞ…」

妖精　ｿｳﾅﾉｶ

提督「あぁ…この吹雪も今ではこんな感じなんだが、出会った時は本当に酷かった。今も酷いけどな」ﾎﾟﾝﾎﾟﾝ

吹雪　?

妖精　ﾏｼﾞｶ

ーーー下手に動くと物がぶっ壊れるし、精神も不安定だったから拘束具で固定されて、俺が来たのは解体される前日だった

提督「…ここが施設ですか」

憲兵「はい、そうですね」

提督「…憲兵って何処にでも居るんですね」

憲兵「艦娘が携わっている事には大体付いています故」

提督「はぁ…」

憲兵「それで、いらっしゃった理由の方もそちらの憲兵から聞いております」

提督「あ、はい」

憲兵「先ず、この件に関しましては口外の方を禁止。他の鎮守府の士気低下に繋がります」

憲兵「行き場のなくなった艦娘達の施設なんて、誰も知りたく無いですしね」

憲兵「正直、そちらの憲兵がこの事を貴方に話したのは偶でございます…」

提督「士気低下とは…」

憲兵「これからご自身で確認していただく事になりますので、省かせていただきます」

提督（適当に言ってるんじゃ無いだろうな…）

憲兵「それより、本当に宜しいのですか？」

提督「え、何がですか？」

憲兵「こちらの施設、立ち入ったら最後それなりの責任を背負うことになりますので…」

提督「せ、責任？」

憲兵「はい。最も身分のお話ではなく、精神的、なモノになりますが」

提督「え、えぇ…」

憲兵「…失礼ですが、今なら引き返す事もできますが」

提督「…覚悟はできてます！」

提督（できてる訳無いだろもうこれしかないんだってば勘弁して…）

憲兵「では、奥の方へ…」

提督「…続きはまた今度話すよ」

妖精　ｴｴｴｴｴｴｴ!!

吹雪　ｵﾄﾞｵﾄﾞ

提督「お前一週間の話だぞ。そんな簡単に語り切れる話じゃないんだ」

妖精　ﾌｧｯｷｭｰ　

提督「はい非国民」

妖精　ﾓｳﾃﾞﾃｲｯﾃﾔﾙ

提督「ごめんなさい」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「へ？」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「艦娘が着任したから明石の配備が決定した？」

憲兵　ｺｸﾘ

提督「え…でも…こんな簡単に…」

妖精　ｲｲｼﾞｬﾈｰｶﾓﾗｯﾄｹ

提督「うーん…」

吹雪　？

提督「そうか…まぁ、運が良かったと思っておこう…」

妖精　ﾌﾌﾞｷﾆｶﾝｼｬｼﾛ

提督「感謝か…言っても伝わらないしな…」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「へ？なでなで、ですか？」

妖精　ｿｳﾀﾞﾅﾃﾞﾅﾃﾞｼﾛ

吹雪　？

提督「えぇ…気持ち悪くないですか？嫌がらないかな…」

憲兵　ｺｸｺｸ

提督「それ肯定の意味ですよね？」

提督「はぁ…まぁ、いいか…」

吹雪　ｵﾄﾞｵﾄﾞ

提督「…ままよ！」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

吹雪　!?

提督「ほらこれ！ビビってますって！」

憲兵　ｺｸｺｸ

提督「赤べこですか！？」

妖精　ﾖﾛｺﾝﾃﾞﾙﾖ

提督「え？」

吹雪　///

提督「お？」

吹雪　ｷﾞｭ

提督「あ？」

妖精　ｼﾞｰｸﾌﾞﾘｰｶｰ?

提督「待って」

吹雪　ｷﾞｭｳﾊﾞｷｺﾞｷﾎﾞｷ

ー医務室ー

　　　

明石「…？」

提督「…初めまして、俺がこの鎮守府の提督だ」ﾎｳﾀｲｸﾞﾙｸﾞﾙ

吹雪　涙　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

提督「誰か吹雪に俺は怒ってないって伝えてくれ…」

妖精　ﾑﾘ

憲兵　ｺｸｺｸ

明石「え、えっと…よろしいですか？」

提督「あ…すまない…」

明石「工作艦、明石、只今着任いたしました」

提督「ああ、宜しく頼む」

提督「…これで建造とやらができるのか？」

明石「そうですね…資源と設備があれば…」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「両方あるんですね…よし、早速建造だ！」

提督「と言う訳で資源ぶち込んで建造とやらをしたら…」

那珂「…」

提督「誰なんだ…？」

明石「軽巡の那珂ですね」

那珂（…嫌だなぁ、この雰囲気）

那珂（私達、那珂の型を持つ艦娘が建造されるといつもこうなんだよね…）

那珂「…艦隊のアイドル！那珂ちゃ

提督「いやったあぁぁぁぁぁぁぁ！！！」

那珂「ひっ！？」ﾋﾞｸｯ

明石　ﾋﾞｸｯ

提督「よく来てくれた！この鎮守府の提督だ！！」ｱｸｼｭ

那珂「は、はい！」

明石（か、変わった提督…）

提督「暫くは君が主戦力になるだろうから！宜しく頼む！！」ﾌﾞﾝﾌﾞﾝ

那珂「はい、はい！」

那珂（び、びっくりしたぁ…！）

那珂「…暫く、ですか」

提督「ん？」

那珂「あっ！いえっ、何でもないです！」

提督「？…そうか」

那珂（…そうだよね、暫くの間だけ…）

那珂（…でも、嬉しいな。あんなに喜んでくれたなんて）

那珂（暫くの間だけでもいいから、那珂、頑張ろう！）

吹雪　ﾊﾞｷｨ

吹雪　汗

妖精　ﾓｳﾄﾞｱﾉﾌﾞﾅｵｽﾉﾔﾒﾀﾗ?

憲兵「…」ｺｸﾘ

提督「ついにまともな戦力を手に入れたぞ…」

提督「だが、これで資源は無くなってしまった…もう一度あそこに行くべきか…」

提督「…」

提督「…」

ﾀｽｹﾃｶｲﾀｲｼﾅｲﾃﾞ‼

ﾏﾀﾞｵﾚﾊﾀﾀｶｴﾙ!ﾔﾒﾃｸﾚ‼

ﾀｽｹﾃｸﾀﾞｻｲ!ｵﾈｶﾞｲｼﾏｽ‼

　

憲兵「どうされました提督殿？」

提督「あちこちで悲鳴や叫び声が聞こえるんですが…」

憲兵「ははは、声をあげられるならまだいい方でありますよ」

憲兵「深海化が近づくにつれ、彼女達の精神は逆に安定するんです」

憲兵「まぁ、安定と言いますか、その実は感情を失っていく、と言った方が良いのでありましょうが」

提督「はぁ…」

憲兵「言ってしまえば死刑宣告をされて部屋に監禁される訳でありますから、叫びたくなる理由も分かります故」

憲兵「あまりにも酷い場合や、特殊な場合は拘束具等の非人道的な道具も認められております」

提督「…」

憲兵「自分なんかは、こう見えても涙脆いものでして、その様な惨状を見てしまっては助けたくなってしまい、こうして案内係だけを担当しております」

憲兵「元より不幸の身にも関わらず、何故これ以上…」

憲兵「…私が提督だったら…正直、提督殿が羨ましいでありますよ。誰でもなれるものでは無いわけでありますからな」　

　

提督「…」

憲兵「…おっと失礼…ついつい感情的になってしまう癖がありまして…」

提督「いえ…」

憲兵「偽善や奉仕で提督をやっている訳では無いと承知ですが、彼女らは無償で奉仕的に艦娘をやっているんです…」

憲兵「…さ、着きましたよ、今回提督殿に引き取って頂こうと…この部屋です」

提督「…ここが」

提督「はぁ…」

妖精　ﾌﾌﾞｷｶﾞﾏﾀﾄﾞｱｺﾜｼﾀ

吹雪　涙　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

憲兵　ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

明石「…直しておきますねー」

那珂（え、どうなってるの…？）

提督「あ、那珂…この吹雪は耳が聴こえないんだ」

那珂「あ…はい…」

提督「色々と迷惑掛けるかもしれないがよろしくな…」

吹雪　涙　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

提督「…そう言えばこれ買ってきた」ﾋｮｲ

妖精　ｽｹｯﾁﾌﾞｯｸ?

提督　ｽﾗｽﾗ

提督『もういい　怒ってない』

吹雪　‼

吹雪　ﾍﾟｺﾍﾟｺ

提督「結局ﾍﾟｺﾍﾟｺするのね…」

提督「…那珂、すまない。吹雪の面倒を見てあげられないか？」

那珂「え？私が？」

提督「あぁ…俺が見てやりたいんだが、如何せん艦娘の力。どうにもできないんだ」

那珂「え？…あ、はい…」

那珂（反抗期なんてあるのかな…）

提督（今のまま絡んでいたらいつか殺される…）

提督「じゃあ、俺はもう一度あの施設に行ってくるから…」

妖精　ｵ?ｶﾝﾑｽﾒﾊﾓｳﾌﾀﾘｲﾙｹﾄﾞ

提督「那珂一人に吹雪を任せっきりと言うのもな…あ、那珂にこれをやるから…」ｽｯ

那珂「あ、スケッチブックでしたっけ…ありがとうございます…」

明石「あ、ドア直しておきましたので…」

提督「おぉ、ありがとな」

提督「じゃあ皆、行ってくるから」ｶﾞ

提督「…」

提督「明石…ドアノブ動かないんだけど…」

明石「え、あれ…ちゃんと直して…」ｶﾞﾁｬ

明石「…」

提督「いや、動くんですけど？みたいな顔で見られても困るよ！」

提督「重すぎ！どうなってるの何コレ？俺がおかしいのか！？」ｸﾞｸﾞｸﾞ

吹雪　!

吹雪　ｶﾞﾁｬ

提督「うぉっ、吹雪？」

吹雪　ﾆｺｯ

提督「あ、ドア開けてくれたのか。ありが…聞こえないか…」

提督「…吹雪が開けて壊れない…」

提督「明石お前これ、艦娘基準で直してない？」

明石「あ、あれぇ…？ごめんなさい、次から気を付けます…」

提督「…まぁ、元には戻さなくていいか。一々壊して謝る吹雪が可哀想だ」

提督「じゃあ、今度こそ本当に行ってくる」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

吹雪　♪

妖精　ﾊﾔｸｶｴｯﾃｺｲ

憲兵「ちょうどいい所に来たでありますな提督殿！！」

提督「はぁ…」

提督（この人苦手だ…）

憲兵「実は丁度、ある艦娘に困っていた所でありまして…」

提督「はい？」

憲兵「雪風と言い…幸運艦のお話くらいご存知でありましょ？」

提督「はぁ…まぁ…」

憲兵「それででありますな、単刀直入に言うと引き取って頂こうと…」

提督「ちょ、ちょっと待ってくださいよ…訳有なんですよね？吹雪一人でも大分困ってて」

提督「資源が無く、ただ2人だけ向かわせるのも心許ないと思い…せめてもう一人、並でなくとも多少は…」

憲兵「おぉ、建造されたのでありますか？」

提督「はい、那珂という軽巡洋艦を…」

憲兵「まぁ、押し付けるのもあれでありますな…分かりました。彼女は次に来た時でも…」

提督（諦めないのか…）

憲兵「…提督は、海防艦をご存知でしょうか」

提督「なんです急に？」

憲兵「深海との戦い、非常に艦が足りない状態」

憲兵「我々大本営は、徴兵範囲を広めた次第で…」

憲兵「連れてくるので、少々お待ちを…」

妖精　ｿｳｶ　ｿﾚﾃﾞｵﾏｴﾊﾛﾘｺﾝﾀﾞｯﾀﾉｶ

提督「違う！」

日振　大東　ﾋﾞｸｯ

妖精　ｺﾜｶﾞｯﾃﾙｿﾞ

提督「知らん！」

憲兵　ﾎﾞｿ

提督「いや！押し付けられたんですって！喜んでないからぁ！！」

日振「…あ、あの」

提督「ん？」

日振「…め、迷惑じゃないですか…ごめんなさい…」

大東「…」ｷﾞｭｳ

日振「日振も大東も…やっぱりいらない娘ですか…？」

提督「うっ…」ｸﾞｻ

提督「…いやいる！働け！」ﾔｹｸｿ

日振「は、はいっ！」

提督「直ぐに出撃準備！鎮守府周辺の警備から始めるぞ！！」

提督「那珂！」

那珂「はいっ！」

提督「お前に旗艦、それと吹雪を任せる！一回目の出撃は俺が小型艇で随伴し、無線で指揮を取る」

提督「日振と大東は俺の護衛！以上だ！」

提督「あ、明石は入渠の準備を頼む」

明石「はい、分かりました」

妖精　ｹｯｺｳﾏﾄﾓﾅﾒｲﾚｲｼﾞｬﾝ

提督「当然だ、俺は提督だぞ！」

提督（金輪際あの施設には二度と向かわないからな！）

提督「…」

那珂「す、すいません…」少破

吹雪　ﾍﾟｺﾍﾟｺ　大破

日振「…ご、ごめんなさい」中破

大東「…」中破

妖精　ｵﾂｶﾚ

憲兵　ﾎﾞｿ　

提督「励まさないで下さい…逆に惨めになる…」

　

日振「あ…あの、提督…」

提督「ん…？」

日振「や、やっぱり施設に戻ります…」

大東「…」

日振「日振も大東も、提督に迷惑をかけることしか出来ないですし…」

提督「…」

提督「そんな事はない！君達は立派に俺の船を護ってくれたじゃないか！」

日振「で、でも…」

提督「お陰で俺は無傷だ。そんなに卑屈にならなくても良い、君達は役に立ってるよ」

日振「…な、なら良かったです！」

提督「大東も…な？」

大東「…ん」

日振「ちょっと大東！」

提督「ははは、いいよ。入渠してきなさい」

提督（いまコイツ等を失ったら本当に終わる！）

　

提督（見てろ…少しの辛抱だ。まともな戦力さえ手に入れば…）

吹雪　ｿｰｯ

提督「ん…」

吹雪『ごめんなさい』

提督「！…お前力加減を…」

明石「砲弾の薬莢からペンを作りました！」ｴｯﾍﾝ

提督「なんだ、明石の発明か…」ﾊｧ

明石（あれ？なんか私にだけ当たりが強くない？）

吹雪『もっと頑張ります』

提督「…」

吹雪『それと、ありがとうございます』

提督「ん？」

吹雪『引き取ってくれて、嬉しいです』

提督「…那珂」

那珂「は、はいっ！」

提督「吹雪と一緒に入渠してくれ。あと日振達の面倒も頼む」

那珂「分かりました！」

妖精　ｵﾏｴﾊﾄﾞｳｽﾝﾀﾞ

提督「…報告書を書く。入渠分の資材くらい支給してもらえるようにな」

妖精　ｶﾞﾝﾊﾞﾚ

提督「…」

提督（那珂はともかく…日振大東吹雪はいずれ棄てる…現状は間に合わせの戦力に過ぎない）

提督（頑張っても無駄だ…）

提督（…いずれ捨てるなら、何人いても変わらないか）

提督「…」

憲兵「…こちらが、引き取って頂こうと思っている、駆逐艦の吹雪になります」　

吹雪「…」

提督「…なんでこんな拘束を…」

憲兵「もう間もなく解体されるので、逃亡の防止、有事の際、深海化対策等…義務付けられておりますので」

憲兵「もう間もなく死ぬというのに、あぐらをかいて静かに待てる訳がありませんからね…」

吹雪「…」

憲兵「…正直何度か、この吹雪には必要ないと申告したのですが…ご覧の有様であります」

提督「…私が受け取らない場合は」

憲兵「解体でありますな。受け取り手は他に確認出来ませんので」

憲兵「好き好んで訳有の艦娘を引き取る様な提督は中々いないであります」

憲兵「そもそも先に言った通り、提督殿が稀である故」

提督「…」

提督（これは俺を試しているな。恐らく、ここは受け取っておくべきだろう）

提督（なぁに、酷使して適当な理由をつけて手放せば良いんだ）

提督「…分かりました、引き取りましょう！」

提督「書けた…つかれた…」

　

妖精　ｵﾂｶﾚ

憲兵　ｽｯ

提督「あっ…送付お願いします…」

憲兵　ｺｸﾘ

那珂「提督、入渠終わりましたー！」

提督「おぉ、お疲れ…」

日振「こ、こんなフカフカの服まで…」

大東「…気持ちいい」

提督「それは子供用の寝間着だ、気に入ってくれたなら良かった」

提督「今日はこれで終わり、施設内なら自由にしてくれていいから」

提督「食事は適当なものを用意しておくので、フタマルマルマルに食堂に集合な」

那珂「了解！」

日振「はいっ！」

大東「…」ｺｸﾘ

吹雪「…？」

提督「あ、那珂、すまないが引き続き吹雪を頼む…」

那珂「あ、はい！」

提督（…やはり、まだまだ艦娘が必要だな）

提督「と言う訳ででして…」

憲兵「ちょうど良かったでありますよ！提督殿！いい娘が居るのであります！」

提督「本当ですか…？」

提督（絶対なんかあるんだろうなぁ…）

憲兵「連れてくるのであります、腕…も立つし、聞き分けもいい、少し重いかもしれないでありますが…」

提督「重い…ですか？」

提督（戦艦…空母…？いや、重巡という可能性も…）

憲兵「はい…どうするであります？」　

提督（腕は立つ…聞き分けもいい…この人嘘はつかないし…賭けてみるか）

提督「じゃ、じゃあお願いします…」

夕立「ぽいぃ〜」ﾍﾟﾛﾍﾟﾛ

提督「…」ﾍﾞﾄﾍﾞﾄ

妖精　ｵ　ｵﾏｴｿﾝﾅｼｭﾐｶﾞ

憲兵　ﾄﾞﾝﾋﾞｷ

提督「もうなんとでも言え…」

夕立「んぅ〜…ていとくさぁん…」ｽﾘｽﾘ

提督「はぁ…」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

妖精　ｵﾏｴｸﾋﾞﾜﾏﾃﾞﾂｹﾃ

提督「付属品だったんだよ！最初から付いてたんだって！！」

夕立　ﾋﾞｸｯ

提督「おっと…ごめん…」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

夕立「んん…」ｽﾘｽﾘ

妖精　ﾏｱﾋﾄﾆﾜｲﾛｲﾛｱﾙｶﾗﾅ

憲兵　ｺｸｺｸ

提督（俺やっぱりこの仕事辞めようかな…）

提督（前の提督の悪趣味で、犬として扱われていた艦娘って…）

提督（闇が深すぎるだろうが！重いって物理的にじゃないのかよ！）

那珂「…えっと」

吹雪　ｵﾄﾞｵﾄﾞ

日振「…提督」

大東「…」

提督（晒し者ってこういう気分なのか…）

提督「…か、各自解散で…？」

提督「明日もう一度哨戒任務を行うから準備しておくように…」

提督（母さん…実家に空き部屋はありますか…？）