口の悪い翔鶴と口の悪い提督
タイトル通りです
タイトル通り、キャラ崩壊注意
翔鶴「おはようございます、提督」
提督「おはよう、翔鶴」
翔鶴「あら、ちゃんと起きていたんですね」
提督「当たり前だろ。お前は俺をなんだと思ってんだよ」
翔鶴「強いて言えば、提督の任に就けたのが不思議なくらいだらしなくてテキトーな人ですね」
提督「なんだとてめえ」
翔鶴「そんなことより、起きているのでしたら早く朝御飯を食べにいきますよ。今日も忙しいんですから」
提督「そんなことって言いやがったよこいつ」
翔鶴「今日の予定ですが、タンカー護衛の任務が来ています。まず朝食後すぐに遠征艦隊の編成をして頂きます」
提督「演習の予定は?」
翔鶴「午後からです。相変わらずの記憶力ですね」
提督「てめえそれは喧嘩売ってんのか?いいぞ、朝飯前に買ってやるよ。表出ろ」
翔鶴「いいですよ。こちらは艤装を使いますけど」
提督「あ、卑怯だぞてめえ。武蔵以上の馬力出せる奴にどう勝てってんだ」
翔鶴「私も女の子なのでそれくらいハンデは必要だと思いますよ?」
提督「ふざけたこと抜かすなよ、馬鹿力が」
翔鶴「はいはい。勝てないってわかったならさっさと朝食にしますよ」
提督「チッ、可愛くねえ女」
翔鶴「提督こそ」
龍驤「朝っぱらから廊下の真ん中で何を罵り合ってるんや」
提督「龍驤か、おはよう」
翔鶴「おはようございます」
龍驤「うん、おはよ。朝からイチャコラするのもええけど、程々にしときや」
提督「どこをどう見たらイチャコラなんだよ」
龍驤「違うんか?」
翔鶴「違います」
龍驤「へえ、そうなんか。毎日楽しそうに喧嘩してるもんやから、お互い好きでやってるんやと思ってたわ」
提督「罵られて喜ぶカップルとか上級者すぎるだろ」
龍驤「そらそうか、ははは」
提督「それにイチャつくなら瑞鶴の方がいい」
翔鶴「提督のような男性を瑞鶴に近付けるわけないでしょう?何度言わせるんですか?」
提督「うるせえ、いつも邪魔しやがって。このシスコン鶴が」
翔鶴「何ですか?この色ボケ提督」
龍驤「翔鶴!口調変わってるから!」
※
提督「遠征艦隊は問題なく抜錨したな」
翔鶴「はい。あ、さっき加賀さんが演習場の使用を申請してきたので許可出しておきました」
提督「事後報告かよ」
翔鶴「でも提督のことですし、どうせ二つ返事で許可しますよね?」
提督「まあな」
翔鶴「ならいいじゃないですか。時短というやつです」
提督「はいはい。ところで、最近の空母組は訓練に力を入れてるな」
翔鶴「出撃が少なくて時間が有り余ってますから。まあ私だけは誰かさんのサポートで忙しいですけど」
提督「それはひょっとして俺のこと言ってんのか?あ?」
翔鶴「他に誰かいるんですか?」
提督「相変わらず腹の立つ奴だよ、てめえは」
翔鶴「それは気が合いますね。嬉しすぎて涙が出そうです」
提督「こっちは反吐が出るわ」
ガチャ
長門「失礼する」
提督「お、長門か。どうかしたか?」
長門「演習場の使用許可を貰いたいんだが」
提督「今は空母組が使っている。午後の演習を早めれば、夕方からなら少し使えるな。翔鶴、頼む」
翔鶴「わかりました。伝えておきます。それでは長門さん、この書類に演習場を使用する艦娘の名前を書いて提出してください」
長門「ああ。感謝するぞ提督。翔鶴もな」
提督「いいってことよ」
翔鶴「訓練頑張ってくださいね」
長門「それにしても、提督と翔鶴は息がぴったりだな」
翔鶴「やめてください」
長門「そう言うな。今も提督が皆まで言わなくとも色々動いていたじゃないか。阿吽の呼吸と言うやつだ」
翔鶴「……」
提督「…なんつー顔してんだてめえ。見てくれだけはいいんだから、表情筋引き締めろや」
翔鶴「だけ、とはどういうことですか?」
提督「そのままの意味だ」
翔鶴「爆撃しますね」
提督「瑞鶴の爆撃なら喜んで受けるが、てめえの爆撃は死んでも受けるかよ」
長門「お、落ち着け、翔鶴。私はもっとお前のいいところを知っているから、な?」
提督「気ぃ遣って嘘吐かなくていいぞ、長門」
長門「いや嘘では…」
翔鶴「ちょっと艤装取ってきます」
長門「ま、待て翔鶴!落ち着くんだ!翔鶴!」
※
提督「あー…瑞鶴に会いたい」
翔鶴「ダメです」
翔鶴「言うと思った」
ガチャ
提督「瑞鶴か!?」
加賀「私です」
提督「なんだ、加賀か」
加賀「頭に来ました」
翔鶴「何か御用ですか?」
加賀「貴女も露骨に残念そうな顔をするのはやめなさい。ちょっと傷付くわ」
翔鶴「ごめんなさい…」
加賀「まあいいわ。午前の訓練の報告書を提出しに来たの。はい」
翔鶴「はい、確かに受けとりました」
提督「加賀から見て空母たちの調子はどうなんだ?」
加賀「赤城さん、二航戦の2人はやはり安定しています。瑞鳳さんもこのまま訓練を続ければ近い内に改二になるでしょうね」
翔鶴「雲龍型や海外空母たちはどうだ?」
加賀「大成する見込みがある、といった所ですね。特にサラさんは龍驤さんが直々に特訓しているお陰か、すぐに一戦級の戦力になるはずです」
翔鶴「流石、よく見ていらっしゃいますね」
提督「鳳翔は食堂と居酒屋の運営で実質引退したけど、その穴を加賀に任せてよかったよ」
加賀「ありがとうございます」
翔鶴「ところで、瑞鶴の様子はどうでしたか?」
加賀「瑞鶴ね。あの子はまだ調子にムラがあって不安定な艦載機運用が目立つわ。調子が良ければ艦隊で1番の実力だけど、悪いと軽空母にも劣るわね」
提督「そうか。ここは俺が直々に指導を…」
翔鶴「今度こそ本気で爆撃しますよ?」
加賀「やめなさい。まったく、貴女といいあの子といい、五航戦はもっとちゃんとした方がいいわ」
翔鶴「私はともかく、瑞鶴はちゃんとしてますよ」
提督「こいつはともかく、瑞鶴はちゃんとしてるだろ」
翔鶴「提督にだけは言われたくないです」
加賀「貴方たちはそういう所だけ息ぴったりよね」
翔鶴「とにかく、瑞鶴がダメな子みたいに言うのはやめてくださいね。加賀さんも瑞鶴のこと認めてくれているんでしょう?」
加賀「それはどうかしらね」
翔鶴「え、でもこの前すごく褒めてましたよ。録音聞きます?」
加賀「えっ」
提督「そいつは聞いてみたいね」
加賀「えっ」
翔鶴「それじゃあ聞きましょう」
加賀「ちょっ…」
加賀『…五航戦の2人は本当はすごいのよ。きっと私たちよりずっと強くなるわ。でも、だからこそ、"五航戦"のままでは…』
赤城『加賀さん、飲み過ぎですよ』
加賀『だって、本当にすごい子たちなんですよ』
赤城『私もわかっていますから』
鳳翔『加賀さんは酔うといつも同じ話ですね。今度翔鶴さんと瑞鶴さんにも聞かせてあげましょうか』
赤城『ふふふ、そうですね』
加賀「……」
提督「ほほう」
加賀「貴女、これをどこで…」
翔鶴「面白そうだったので、鳳翔さんに頼んで録音して貰いました」
加賀「悪趣味よ」
翔鶴「でも、こんなに可愛い加賀さんの声が聞けたんですからいいじゃないですか」
提督「流石翔鶴、腹が黒い」
翔鶴「タバコのせいで肺が真っ黒の人は黙っていてください」
提督「今日はまだ3本しか吸ってねえだろーが」
翔鶴「4本ですよ。煙を吐く時に記憶力まで吐き出してるんですか?」
提督「なんだとてめえ」
加賀「あの、その音声を消してほしいのだけれど」
提督「却下」
翔鶴「嫌です」
加賀「えぇ…」
※
瑞鶴「……」
翔鶴「何度も言ってますよね?提督は瑞鶴に近付かないでください」
提督「ディナーに誘っただけじゃねえか。それに行くか行かないか決めるのは瑞鶴だ」
翔鶴「姉として可愛い妹を守る義務がありますので」
提督「こっちも上司として部下との親睦を深める必要があるんだよ」
翔鶴「それはまず新人の子としてください」
瑞鶴「あの、2人ともさ」
提督「どうした?やっぱり俺とディナーがいいよな?」
翔鶴「私とよね?」
瑞鶴「私をダシにしてイチャイチャ喧嘩するのやめてほしいんだけど。あと、3人で食べに行けばいいじゃん」
翔鶴「イチャイチャしてるつもりはないんだけど」
提督「瑞鶴がそう言うならそうなんだろう」
瑞鶴「そこまで全肯定だと気味が悪いよ」
提督「だってよ、翔鶴。いい加減妹離れしろよシスコン」
翔鶴「提督のことだと気付かないんですか?」
提督「んだとてめえコラ」
翔鶴「なんですか?」
瑞鶴「……」
提督「瑞鶴、ハッキリ言ってやれ。束縛がキツすぎるってな」
翔鶴「瑞鶴、ハッキリ言ってあげて。下心が丸見えで気持ちが悪いって」
瑞鶴「2人ともさぁ…ケッコンカッコカリまでしてる仲なのに、なんでそんなに憎まれ口叩くの?」
提督「……」
翔鶴「……」
瑞鶴「口で言ってるほどお互いを嫌い合ってるわけじゃないのは知ってるけどさ、このままだといつか本当に嫌い合う仲になっちゃうよ?」
翔鶴「…提督が瑞鶴を諦めればいいんですよ」
提督「俺が瑞鶴を諦めるのをてめえが諦めればいいんだよ」
瑞鶴「はいはい、ストップ!2人ともいい加減にしてよ!」
翔鶴「う…」
提督「うーん…」
瑞鶴「…明日1日、喧嘩せずに過ごしてみて」
提督「どういうことだ?」
瑞鶴「できなかったら、もう2人とは口きかないからね」
翔鶴「え!?ちょ、ちょっと瑞鶴!?」
瑞鶴「じゃ、頑張ってね。今日は加賀さんたちの部屋に泊まるから」
ガチャ バタン
提督「……」
翔鶴「……」
提督「…翔鶴」
翔鶴「はい」
提督「やってみるか」
翔鶴「…そうですね」
※
提督「翔鶴、これ」
翔鶴「了解です」
提督「アレどこやったっけ?」
翔鶴「このファイルにあります」
提督「おう、悪いな」
加賀「……」
瑞鶴「うんうん」
加賀「…何があったの?」
瑞鶴「今日1回でも喧嘩をしたら今後一切口きかないって言ったの」
加賀「…なるほどね。で、2人の調子はどうなのかしら?」
瑞鶴「もうすぐ一七○○で、まだ口論なし」
加賀「効果はあったみたいね」
瑞鶴「いつもなら今のを翔鶴姉が、これとかアレじゃわかりません、とか言い始めるからね」
加賀「ああ、簡単に想像できるわね」
バーン
金剛「Hey!提督!」
提督「扉は静かに開けろよ?」
金剛「そんなことより、今日は翔鶴とのquarrelが少ないんデスネ?」
提督「ああ、それは…」
瑞鶴「やっとケッコン艦だってことを自覚したんだよ、きっと」
翔鶴「ちょっと瑞鶴…」
金剛「Shit!翔鶴との不仲を狙ってappealしようとしてたのに…残念デース」
瑞鶴「まあ無駄に終わると思うよ、きっと。提督さんと翔鶴姉はおしどり夫婦だし」
提督「ええ!?」
翔鶴「ちょ、ちょっと瑞鶴!こっちに来て!」
瑞鶴「わっ!翔鶴姉引っ張らないで」
翔鶴「瑞鶴、みんなの前であんなこと言うなんて」
瑞鶴「事実でしょ。端から見たらそうとしか見えないもん」
翔鶴「まさかそんな…」
瑞鶴「翔鶴姉、今日1日過ごしてみてどうだった?」
翔鶴「え?」
瑞鶴「提督さんと喧嘩せずに穏やかに過ごしてみてどうだったか聞いてるの」
翔鶴「それは…」
瑞鶴「悪くなかったんじゃない?そろそろ素直になってもいいと思うよ、翔鶴姉」
翔鶴「……」
瑞鶴「じゃないと、私が提督さんのことを横取りしちゃうからね」
翔鶴「え?それって…」
瑞鶴「じゃあ、今度3人でご飯食べに行こうって提督さんに言っておいてねー」
翔鶴「瑞鶴、待って!今のって…ねえ!」
※
提督「さて、そろそろ寝るか。翔鶴と口論せずに今日という日を乗り越えたぞ」
翔鶴「まったく…我慢するのが大変でしたよ」
提督「うお!びっくりした…翔鶴、ここ俺の私室なんだが?」
翔鶴「そんなことどうでもいいです」
提督「どうでもいいことじゃねえだろ」
翔鶴「…私は提督の口が悪い所が嫌いです」
提督「は?てめえが言うな」
翔鶴「タバコを吸う所が嫌いです。私のことをてめえって呼ぶ所が嫌いです。記憶力が低い所も嫌いです」
提督「おいおい、喧嘩売ってんのか?瑞鶴との約束忘れたわけじゃねえだろ」
翔鶴「…時間もわからない所が嫌いです」
提督「あ、いつの間にか日付変わってたのか」
翔鶴「あと…」
提督「まだあんのかよ。てめえいい加減にしろや。夜中に喧嘩なんてしたくねえんだよこっちは」
翔鶴「私とケッコンカッコカリをしてるクセに瑞鶴にゾッコンな所が嫌いです」
提督「…は?」
翔鶴「提督、ケッコンカッコカリの指輪をお返しします。そして、瑞鶴とケッコンカッコカリをして下さい。瑞鶴ったら提督のことが好きになってしまったみたいなので」
提督「待て待て、何をいきなり」
翔鶴「提督、貴方の勝ちです。瑞鶴とは仲良くしてあげて下さい。私は今日からただの翔鶴に戻ります。それではおやすみなさい」
提督「待てって言ってるだろ!」
翔鶴「っ…!」
提督「てめえ自分が言いたいことだけ言って、はいさようなら、はないだろ。俺の話もちょっとは聞けよ」
翔鶴「…なんでしょうか?」
提督「俺は今日…いや、もう昨日か。昨日1日過ごしてみて、すごく居心地がよかった」
翔鶴「そう、ですか」
提督「翔鶴は俺の言いたいこと察してくれるから仕事がすごく楽だったしな。それに…」
翔鶴「それに、なんですか?」
提督「…く、腐っても瑞鶴の姉なんだなって思うほどには、大人しい翔鶴が可愛かった」
翔鶴「…プッ。なんですか、それ」
提督「笑うなや」
翔鶴「すいません」
提督「…今日1日でわかった。俺は瑞鶴と同じくらい翔鶴のことも好きなんだってな。本当は指輪渡す時に気付ければよかったんだけど」
翔鶴「同じくらい、ですか。優柔不断はカッコ悪いですよ」
提督「うるせえ」
翔鶴「…私も提督のこと好きみたいです。指輪を受け取った時に気付ければよかったんですけど」
提督「なんじゃそりゃ。自分の気持ちに今気付くとか鈍感すぎるだろ」
翔鶴「お互い様ですよ」
提督「……」
翔鶴「……」
提督「なんつーか、好意を自覚した後に軽口叩いてるのって楽しいな」
翔鶴「ふふっ、そうですね」
提督「翔鶴、改めて、今日からよろしくお願いする」
翔鶴「はい、よろしくお願いします、提督」
瑞鶴「…上手くいったみたい。これで万事オッケーだね」コソコソ
※
翔鶴「提督、今日はタバコの数が多いですよ。肺に癌を飼ってて楽しいですか?」
提督「まだまだ健康だっつってんだろ。てめえこそ舌にマムシ飼ってんじゃねえよ」
金剛「…これはまだ私にもchanceが…」
加賀「ないでしょうね」
金剛「デスヨネ」
瑞鶴「相変わらずの口調だけど、前と雰囲気が全然違うよね。2人とも楽しんでやってる感じ」
金剛「うう…でも、まだ私は諦めマセン!2人目のケッコンカッコカリはこの金剛が…」
提督「あ、そうだ。瑞鶴、これ受け取ってくれ」
金剛「What!?」
瑞鶴「これって、ケッコンカッコカリの指輪じゃない!」
提督「この前練度上限に達しただろ?だからこれ受け取ってほしいんだ」
瑞鶴「え、でも…翔鶴姉はいいの?」
翔鶴「瑞鶴も欲しかったんでしょう?なら、私からは何も言えないわ」
瑞鶴「っ…!ありがとう!提督さんも翔鶴姉も大好き!」
提督「聞いたかよ?大好きだって。こりゃ執務も捗るわ」
翔鶴「提督と意見が合うのは不服ですけど、完全に同意します」
提督「素直に好意を伝えてもらえるって素晴らしいわ。誰かさんも見習ってほしい」
翔鶴「確かに。誰かさんに瑞鶴の爪の垢を煎じて飲ませてあげたいです」
提督「そりゃ誰のことだいハニー?皆目検討もつかねえな」
翔鶴「察しの悪い男はモテませんよ、ダーリン」
提督「あ?スカートのまま逆さに吊ってやろうか?」
翔鶴「なんですか?爆撃をご所望ですか?」
瑞鶴「もう、2人とも!」
加賀「……」
加賀(まあ、みんなが幸せそうならあのままでいいのかしらね)
金剛「むう…3人目!3人目の椅子には私が座ってみせマース!」
その後この鎮守府は、口喧嘩の絶えない幸福で平和な鎮守府になりましたとさ。めでたしめでたし。
実は腹が黒い肺が黒いのやり取りがしたかっただけで、あとのは全部蛇足です。
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