2019-05-09 15:52:51 更新

某日某所


男「結構混んでたなあ、集合時間に遅れるって連絡しなきゃ。

  ごめん、病院混んでて集合時間に遅れそう、と。」


今日は女さんと会う日だ。診察が終わってこれから集合場所へ向かうところだ。

しかし、意外にも今日は混んでいて時間がかかってしまった。


女『病院お疲れさま。全然大丈夫だよ、ゆっくり来てください。』


男「できた子だなあ、じゃあ向かいますか。」


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男「よし、着いたぞ。連絡して、と。

  どこにいるんだろう?」


男「あ、着信だ。」


男「もしもし?」


女『あ、男さん!着いた?』


男「うん、ごめんね遅れちゃって。××のあたりにいるんだけど、どの辺にいる?」


女『私も××のあたりにいるんだけど・・・、あ!!いた!!』


男「え?」


女「うふふwはじめましてw」


男「あ!えっと、はじめましてw」


女「なんで目合わせてくれないの?w」


男「いや、やっぱ緊張しちゃって・・・w」


女「かわいいwじゃあどこか座れる場所行こ!」


男「そうだね、そうしようか!」


とてもかわいらしい、小さな女性だった。

笑顔が素敵でこちらまでその笑顔に包み込まれるようだった。


ーーー道中ーーー


女「ねえねえ、私の好きな食べ物とか覚えてる?」


男「え~~~~っと・・・、う~~~~ん・・・。」


女「ちょっとwあんなに言ったのに忘れちゃったの?w」


男「ごめんごめん、覚えるの苦手で・・・w」


女「まったく!ミスドのドーナツとロイヤルミルクティーだよ!ちゃんと覚えてね!」


男「はいはいw」


女「じゃあ誕生日は?」


男「3月21日だよね」


女「うそ!?正解!」


男「なんで驚くんだよw」


女「いやてっきり忘れてるものかと・・・。」


男「失礼な!w」


この普通なやりとりでも幸せだった。ものすごく幸せだった。

なにより、彼女の顔を見ながら話ができることが嬉しかった。


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男「すっかり暗くなっちゃったね。飯食うか。」


女「うん、何にしよう?」


男「そうだなあ、居酒屋行く?お酒自分で作るぐらいだから好きなんでしょ?」


女「お~w」


男「なんだよw」


女「覚えてるな~、と。」


男「口が減らんなw近いところ行こう。」


女「は~い!」



店員「いらっしゃいませ~」


男「2人でお願いします。」



男「空いててよかったね。」


女「うん。さ、飲も!」


男「じゃあかんぱ~い!」


女「かんぱ~い!」


男「今日ってどうするの?宿とか。」


女「あ~、一応ネカフェとか探そうかなって思ってる。」


男「そっか・・・。行く宛ないならカラオケオールしない?」


女「あ、いいね!そうしようかな?

  それと、男くんって呼んでいい?」


男「え?あ、いや全然いいよ!

  じゃあ俺は・・・、なんて呼べばいいかなw」


女「じゃあ、ちゃん呼びでいいよw

  さん呼びはなんだかよそよそしいからw」


男「分かったw」


それからは通話で聞かなかった話だったり、

配信での話をしたり、とにかく話をたくさんした。

彼女は彼氏を作らないと通話で聞いていた。理由を聞いても教えてくれない。

それ以上は追及しなかった。誰しも隠したいことの1つや2つはあるのだから。


店員「ありがとうございました~!」


男「ぼちぼち飲んだね!」


女「そうだね、おいしかった!」


男「じゃあカラオケ行こうか。」


女「うん!」



店員「いらっしゃいませ~」


男「2人の、えーっと、フリーでお願いします。」



男「カラオケ久しぶりだなー」


女「いっぱい歌おうね~」


さすがに密室男女2人で緊張しないわけがない。

ましてや、初対面なのに、いや変な考えはやめよう。

でも・・・。


女「どうしたの?」


男「女ちゃん・・・。」


女「男くん、ダメ。前にも言ったでしょ?

  それ以上の関係になったら私たちは会えなくなるの。」


男「ごめん・・・、そうだったね。」


俺はそれでも彼女の温もりが欲しかった。

無言で抱きついた。


男「しばらく、このままでいたい。」


女「うん・・・。」


そして、いつの間にか俺は眠っていた。

病院へ行くのは朝早かったため、その疲れが出てしまったのだろう。

彼女には申し訳ないことをした。


男「ん・・・。」


女「あ、起きた?wおはよう。」


男「あ、女ちゃん・・・。ごめん・・・。」


女「朝早かったんでしょ?謝ることないよ。

  もう少しゆっくりしてからカラオケ出ようか。」


男「そっか、もうそんな時間か。分かった。」


俺が謝ったのは寝たこともそうだが、それだけじゃなかった。

しかし、彼女は「寝たことに関して」への返答だった。

彼女のやさしさが改めて分かった。


ーーーバス停ーーー


男「今日はありがとう。すごく楽しかったよ!」


女「こちらこそ!会えてよかった!」


男「じゃあ、また遊ぼうね、女ちゃん。ありがとう。バイバイ。」


女「あ・・・。」


寂しそうな顔しないでよ、俺も寂しくなるじゃないか。

でも、また会える。時間さえあれば会えることが分かったから俺は安心した。

とても楽しく、幸せなひと時だった。


男「やっと家着いた~!楽しかったな~。

  そうだ、女ちゃんに連絡入れておくか。」


男「あ、返事返ってきた。」


女『長旅おつかれさま!私ももう少しで家に着きます。

  最後、なんで抱きしめてくれなかったの!寂しかったのに!

  次会うときは抱きしめてね!」


男「・・・。」


尊いとはまさにこのことなのだな、と。


part4につづく。


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