二章 海軍の誇り 一話【誇りある死などない】
いつしか思い出せなくなった記憶。
霧がかかり、思い出そうとしても、それを"自分"が拒んでしまう。
「大和、すまない」
大和「?」
元帥?「どうか、どうか、大和としてでない。一人の人間として、私の部下として、友として、大和として、日本と私の為に、"生きてくれ"」
そうして私の視界は真っ暗になった。
私には元帥の言葉がよくわからなかった。私の生きていた時代、一番最初に艦娘になって言われたことは、『死んでくれ』だった。
魚雷や爆弾を腹に抱えて深海棲艦に突っ込んで死ぬ。所謂"特攻"をしていた時代、私だけは大事に扱われていた。
それでも私はいつか死ぬのだろう。深海棲艦と戦って、死んでいくのだろう。
そう覚悟していたし、海軍もそのつもりだった。
私の周りの人はみんな『日本の為に死んでくれ』
『頼む、家族のために死んでくれ』
『お国の為に死んでくれ』
『皆のために死んでくれ』
『君は国のために死ぬんだ!』
『我ら日本の"誇り"として!死んでくれ!!!』
みんな決まって私には『死んでくれ』と頼んでいた。私は別にそれでも構わなかった。
だって私は"兵器"だし
なのに元帥は"生きてくれ"と言っていた。あれだけ私の前で『誇りある死を!!』と言っていた人が、生きてくれと···············皆が言ってる『誇りある死』て何?
確か元帥が教えてくれたはずなんだけど、よく思い出せない。
昔のことはあまりよく覚えてない。だけど"かごめかごめ"と言う歌はよく頭に残っている。
とても楽しい遊び歌。
私が"ここ"に隠されてから長い長い時を過ごした後、ここに小さな小さな人間が迷い込んできた。
私はここに"鎖"で縛られているから出れない。子供はとても優しくて、最初は怖がっていたけど、私が寂しくならないよう、いつも花を持ってきてくれた。
そして決まってかごめかごめを歌ってくれた。
§
「うちの艦娘は可愛いいいい!!!金剛まじ愛おしぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!」
朝5:30暁の地平線に向かって叫びます
ブラック鎮守府はまず提督の愛の掛け声によっておきます。
「ちょっと瑞鶴、提督を爆撃お願いdeath」
「任せといて」
そして瑞鶴の艦載機によって黒焦げにされます。
あと、提督の愛の言葉は提督の気分で変わります。
6:30、瑞鳳さんが何故か"全身血だらけで"朝ごはんを用意しています。
「今日も派手にやられましたね」
「明日はぼのたんにしようと思うんだが··········瑞鳳的には誰がいいと思う?」
「私的には雷ですかねえ?」
「ちなみに今日の血は?」
「人間です」
「よっしゃー!今日の運勢最高じゃん!!!」
と、丸焦げの提督が瑞鳳と会話しています。
ちなみに提督が食べているのボーキサイト100%使用の丼飯です。
※人間がボーキサイトを食べると死より辛い腹痛にみまわれます。
7:50提督がもがき苦しみます
「死ぬうううううう!!!いがづぢいいいだずけでぐれえええええ!!!」
「任せといて!!」
もがき苦しむ提督に助けを求められる雷の笑顔は輝いていた。
9:00提督が仕事をする時間です
「ぐぎゃああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!産まれる!!!産まれるうううう!」
「大丈夫!提督ならきっと我慢できる!!自分を信じて!!!」
ですが未だ雷が提督を励まします
「あ、提督、まだもがき苦しんでると思ったので書類全て片付けておきました」
「ありがどおおおおおおおおおおおお!!!!!」
と、瑞鳳が全て仕事をしてくれているので鎮守府は安泰です
9:30駆逐艦たちとプリキュアを応援する
「「「がんばれえ!!負けるなキャアハート!」」」
と艦娘たちと応援します
10:00、ブラック鎮守府に文句のあるやつらを"洗脳"します
「さぁみんなもご一緒にい!!ばのたんは〜〜!?」
『可愛いいいい!!!』
「ぼのデレはぁ〜〜〜!?」
『最高ぉぉおおおおおお!!!』
「さぁみんなもご一緒に!!ぼのたんは?」
『世界一イイイイイイイイイイイイ!!!!!』
§
提督「とまぁこんな感じの日常を考えてるんだけど、どう?」
金剛「却下」
瑞鳳「えー面白そうじゃない?て言うか『今日の瑞鳳ちゃんの返り血占い』は今もやってるじゃない」
そこは、提督室の椅子に座った提督が何故か真剣な顔で金剛と瑞鳳にそんな日常を望んでいると伝えると、金剛は顔を赤くしながら否定。瑞鳳は何故か乗り気。あと顔と上半身に人間の血らしき紅色の血が大量に着いていたが、きっと幻覚だろう。
提督「でもよォ、うちブラック鎮守府だから定期的に誰が点検しに来るらしいぜ?だから今のうち点検しに来た時に怪しまれないようにしなきゃだろ?」
金剛「それはただ提督がしたいだけじゃないですか?」
提督「そういやあの帰国子女みたいな喋り方辞めたのか?」
今更だが、金剛が昨日から"金剛"みたいな喋り方や、無理やり作った笑顔や性格が全く出ていない。
金剛「や、やっぱりへんですか?」
瑞鳳・提督「「あざと可愛い」」
この後金剛が怒ったのは言うまでもない
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海は船や死人の残骸でどす黒く染まり、かつての青く太陽に反射するような綺麗な青い海は泣く、あるのは今も浮かぶ炎てさが燃え上がり、黒煙が青かった蒼天の空を
すごい日常ですね...(汗)