2019-10-22 09:36:19 更新

概要

大分場に染まって来た朝潮、そして懲りずに質問する朝潮に質問された皆は・・・


前書き

今回は朝潮が突っ込みを入れます(笑)


駆逐艦朝潮、優等生と言う名にふさわしい彼女から再びあらぬ発言が、


「SMとは何ですか?」


質問を受けた香取と鹿島は一瞬耳を疑う。


「あらぁ、朝潮ちゃん。 急にどうしたのですか?」


香取は「あらあら」と苦笑いし、鹿島は急に顔を赤らめる。


「いえ、最近略語が多くてそれを理解するのにとても苦労しているのです!」


「成程、確かに最近略した言語が多いですよね~。」


「はいっ! この前も、”TKG”と言う略語を知ったのですが・・・」


「TKG? 何ですかそれは?」


「卵かけご飯を略した言葉だそうです!」


「た(T)まごか(K)けご(G)はん・・・成程ねぇ~。」


流石の香取も苦笑い。


「それで、その中に”SM”と言う略語を見つけまして、いくら考えても探しても意味が分からなくて、


 急遽香取さんに意味を伺おうと思ったのです!!」


そう言って、香取に期待の目を向ける朝潮。


「そうですね~・・・う~ん、何て説明すればいいかしら。」


香取は悩む、何故ならSMは確かに略語ではあるが、その意味が問題で・・・


「サディストとマゾ・・・いじめるといじめられたい・・・よりによって何でこんな用語を聞いてくるのよ?」


真面目で優等生の名にふさわしい彼女に、こんな意味を教えていい物だろうかと本気で悩む香取。


「それで香取さん! いえ、鹿島さんでもいいです! SMの意味を教えて頂けませんか?」


朝潮の言葉に、


「そ、そうですね! いずれは知ることになるでしょうから、ここはきちんと教えて置かないとね。」


そう言って、香取は深呼吸をして、


「Sは相手をいじめる、Mは相手にいじめられたい、そんな感じの意味ですよ。」


「えっ! いじめっ子といじめられっ子の意味なのですか?」


「・・・」


意味は似ているが少し違う。


「ち、違います。 2人がお互いに理解した上での行為です。 いじめは弱い相手を一方的に暴力を振るったりしますが、


 SMはお互いの了解を経て行う暴力なのです!」


香取は詳細に説明するも、


「そ、それって・・・ただのバカじゃないですか?」


朝潮の解釈に、


「いえ、ですから・・・」


香取は再びSMについての説明をして行くも、朝潮には全く理解出来ず、


「自ら進んで手を挙げられたいって・・・ただのバカではありませんか? では、他の鎮守府で司令官が駆逐艦の方に


 暴力、いえ虐待と言うのをしていたと聞きますが、それもSMって意味なのですか?」


朝潮の真顔の質問に、


「そ、それは違います! 虐待は相手の一方的な暴力で、決して相手が望んだ事ではなくて・・・」


結局、SMの説明を上手く出来ずに、


「ご、ごめんなさい。 上手く説明出来ません。」


香取は素直に謝る。


「あっ、気にしないでください。 私は単に意味を知りたいだけなので・・・それでは失礼します!」


朝潮はその場から去る。


「朝潮ちゃんも大変ねぇ、また誰かにあらぬ言葉を植え付けられて。」


香取は朝潮に同情する。



「あっ、朝潮じゃん!」


廊下で白露と出会う。


「白露さん、こんにちは!」


「こんにちは・・・また何か悩み事? 朝潮も大変だねぇ。」


朝潮の優等生らしさを知っている白露、いつも悩む姿を見て「毎日勉強しているんだぁ」と関心している。


「はいっ、最近略語が多くて困っていて。」


「略語? まぁそうだねぇ~、言葉で言うより、略した方が楽と言えば楽かなぁ~。」


2人で話し合っていると、


「それで、この略語・・・SMって言葉を見つけまして、これの意味をどうしても知りたいのです!」


朝潮の真剣な表情に、


「SM・・・う~ん、それって確か!」


白露は閃いて、


「この前見た映画のジャンルにあったかも!」


「ほ、本当ですか!」


「うん、あまり良く見てないけど、確か最初の見出しが”SM映画”って書いてあった気がする。」


「成程! それで、どんな内容だったのですか?」


朝潮の期待が一気に膨らみ、


「え~っとね、宇宙が舞台でたくさんの乗り物同士で戦うシーンが盛りだくさんで、


 レーザーって言う光を使った武器でどんどん敵を撃墜させて行くの! 凄く面白かったよ!!」


「成程! 宇宙で戦う映画がSM映画なのですね!」


朝潮は納得し、白露に礼を言って部屋に戻る、


「これですね? 白露さんが言っていたお勧めの映画は。」


白露が持っていたため、ワクワクしつつ表紙を確認すると、


「・・・白露さん、全然違いますよ。」


朝潮は映画の付録を見て、


「SM映画では無く、SF(サイエンス・フィクション)映画ですけど・・・」


1文字違う事が分かり、朝潮は「はぁ~」っとため息をつく。



「そうですね~、他に知っていそうな御方は・・・」


鎮守府内を歩き回る朝潮・・・運悪くこの日はほとんどの艦娘が出撃・遠征中で朝潮だけが休日だった。


「あっ、鳥海さん! こんにちは!」


食堂で鳥海と出会う。


「あら朝潮ちゃん、こんにちは。 そんなに慌ててどうしたの?」


走っていたのだろうか、朝潮は息を荒くしていて、


「あの、どうしても知りたいことがありまして・・・鳥海さんが良ければ意味を教えて貰いたいのです!」


「? 私に? そうですね、分かる範囲ならお答えしますよ。」


「本当ですか、ではお言葉に甘えてお聞きします!」


朝潮は一度深呼吸をして、


「SMって意味を教えてください!」


「・・・えっ?」


鳥海は一瞬耳を疑う。


「えっと、今何て言ったのかしら?」


「聞き間違いかな?」と思い、もう一度朝潮に尋ねると、


「すいません、聞き取りづらかったですか? ではもう一度、SMと言う意味を教えてください!」


「・・・」


「聞き間違いでは無いわね。」と思う鳥海。


「1つ質問してもいい? 他の人に質問をしました? そして何と答えましたか?」


鳥海は既に質問しているだろう、相手の答えを探ろうとした。


「はいっ! 香取さんがSMとはいじめる人間といじめられたい人間の略語、と言っていました。


 でも、自分から進んで叩かれたり悪口を言われたい人っていませんよね? もしいたら、それはたたのバカですよね?


 鳥海さんもそう思いませんか?」


朝潮の表情に、


「そ、そうですね・・・確かにバカですね。」


鳥海は納得するも、


「・・・(香取さんの言っていることは正しい、でも朝潮ちゃんにどう説明していい物か。)」


鳥海は自身の頭で整理し、朝潮が納得するような説明を必死で考える。


「・・・」


鳥海は考えた末に、


「そうね、そもそもSMって言うのは、特定の人間の事を意味を差すの。」


「そ、そうなんですか?」


「ええ、Sと言う属性を持った人間とMと言う属性を持った人間、まずは2人いるの。


 そこまでは分かるかしら?」


「な、成程! SMとは2人の人間を差すのですね!」


朝潮は鳥海の説明を真面目に聞いている。


「そうね・・・(いじめる、いじめられるという表現では)分かりにくいだろうから、もっと簡単に説明するわね。」


そう言って、


「私のお姉さんの愛宕姉さんと摩耶は知っていますよね?」


「はいっ、知っています!」


「愛宕姉さんはどちらかと言うとMで、摩耶は間違いなくSね。」


「えっ? 愛宕さんはMで摩耶さんはSなのですか!?」


いきなり言われてびっくりする朝潮。


「うん、後は曙ちゃんと漣ちゃんは間違いなくS、潮ちゃんはMね。」


「・・・」


「朝潮ちゃんの妹の満潮ちゃん、あれは絶対にSよ。 後はそうね・・・朝潮ちゃんはどちらかと言うと、Mかなぁ。」


鳥海の説明に、


「成程、満潮に摩耶さん、曙さんに漣さんがS・・・ふむふむ。」


朝潮はメモに書いて意味を探る。


「・・・わ、分かりました!! Sに共通する人たちはやたら暴言を発します!!


 そして、Mの人たちは暴言を発しません! 成程、SMとはそう言う意味だったのですね!!」


朝潮らしい解釈に、


「・・・(分かってくれてない! 朝潮ちゃん、あり得ないんですけど!)」


心の中で呟く鳥海。


「鳥海さん、ありがとうございます! SMの意味が分かって嬉しいです! それでは失礼します!」


朝潮は満足してその場から去る。


「う~ん、全然意味が違うんですけど~。」


本音を言うも、当の本人が満足して帰ったのだから「まぁ、いいですか。」と


あまり気にも留めなかった鳥海。


・・・


「う~ん、他の方にも聞いて見たのですが・・・」


朝潮は眉をひそめる。


「皆、香取さんと同じような事を言うんですよね・・・」


香取が言っていた”いじめる”と”いじめられる”・・・確かに意味は正しいのだが、


「何を考えて進んで殴られるのでしょう? 朝潮には到底理解出来ません。」


朝潮は否定するも、それでも皆の同じ意見に考え込む。


「う~ん、やはりここは・・・」


朝潮は閃き恒例の、


「司令官に聞く方が正しいですね!」


そう言って、部屋から出て行く朝潮。


・・・

・・



「お久しぶりです、司令官!」


朝潮は目的の提督がいる別の鎮守府に赴き、


「やぁ朝潮・・・また何か質問があるのかなぁ?」


朝潮が決まって質問しに来るため、提督は「またかぁ」と思う。


「流石司令官! 察しがいいです!」


朝潮は深呼吸をして、


「また気になった言葉・・・いえ、略語があったので是非提督の意見をお聞かせ願いたいのです!」


「オレの意見か、まぁいいけど。 それで? 一体何について聞きたいの?」


提督の質問に、


「ではお聞きします! SMとは一体どういう意味ですか?」


朝潮の質問に、


「SM? ・・・ああ、それはな。」


提督は「ふっ」と一瞬笑い、


「オレと村雨みたいな関係を言うんだよ(笑)」


「えっ、司令官と村雨さんみたいな関係を言うのですか!?」


皆と違う回答をされて戸惑う朝潮。


「もっと言うと、オレと海風でも成り立つな、その言葉は(笑)」


「う、海風さんでもですか!?」


更なる回答に朝潮は混乱する。


「うん、オレ(いじる)と村雨(いじられたい)みたいな関係がまさにSMと言うにふさわしいね。」


提督はゲラゲラと笑う。


「で、ですが皆に聞いて見たらSは相手をいじめるで、Mは相手にいじめられたいと言う意味と聞きました!」


「うん、確かに意味はそちらでも合っているよ。」



提督から見れば”いじめる・いじめられる”のと”いじる・いじられたい”は同じ物だと考えている模様。


「そうですか・・・ですがどうして自ら望んでいじめられたいのですか? 朝潮には到底理解出来ないのですが!」


「・・・」


「はっきり言ってバカとしか言いようがないのですが、司令官はどうお考えでしょうか?」


朝潮の意見に、提督は笑いながら、


「うん、バカのやる事だよ。 それが何か問題かな?」


「えっ、バカでいいのですか!?」


提督の意見に朝潮はかなり驚く。


「だって、朝潮のように真面目で優等生な人間が、普通そんな事しないだろう?


 つまり普通の人間では行わない行為、つまりバカがやる行為・・・それでいいんじゃないか?」


「は、はぁ・・・」


肯定されて、朝潮は困惑する。


「それに、SMを悪いように見ているけど・・・一種の満足感を得るためだよ、SMって行為も。」


「そ、そうなのですか?」


提督は朝潮のために丁寧に説明して行く、


「例えば・・・腹が減ったら食べる、眠かったら寝る、遊びたかったら遊ぶ。人には願望があって、


 叶えたい願いを達して人は満足できる、それは分かるよね?」


「は、はい! 分かります!」


「うん、それを踏まえて、もっと分かりやすく言うなら肩叩き・・・相手の肩を誰かが叩いてあげる、それは分かるね?」


「はいっ、朝潮も何度か叩いてあげたり、何度か肩を叩いて貰った事があります!」


「肩叩きって、相手に叩いて貰っているよね? 何も知らない人間から見れば”相手に手を挙げている”様にも見えるだろう?」


「た、確かに・・・肩を叩くと言うのは暴力とは言い難いですが、肩叩きを知らない人間が見れば確かに暴力と


 捉えられる可能性も無くは無いです・・・」


「そうだろ? 話に戻るけど、SMって言うのはその上位版と考えて貰えばいいかな。


 叩いて貰いたいと願う人間が叩きたい人間に叩いて貰う、それで満足する人間が実際にいるんだよ。」


「そ、そうなんですね!」


朝潮は納得する。


「今回もご丁寧な説明ありがとうございます! SMと言う意味とそれをやる人の気持ちがよく分かりました!


 それでは朝潮、鎮守府に戻ります! 失礼しました!!」


朝潮は元気よく挨拶をして戻って行く。


「やれやれ、朝潮も大分場に染まって来たなぁ~。」


不憫と思ったのか、提督も香取たち同様に朝潮に同情する。


・・・


「成程、人に叩かれて満足したい人間もいるのですね!」


意味が分かって満足する朝潮、


「それにしても・・・叩かれて本当に満足できるのでしょうか?」


朝潮は少し考え、


「叩かれれば当然痛い筈です・・・でも、痛い事に満足したいって事ですかね?」


しばらく考えた後、


「朝潮も試しに誰かに叩いて貰おうかしら? そうですね、せっかくですから威力の高そうな空母か戦艦の方に頼んで・・・」


朝潮は戦艦・空母がいる寮へと歩いて行く。



当然、朝潮に「叩いて(殴って)くれませんか?」と頼まれ、素直に「はい」と答える艦娘は誰もいなく、


朝潮の願いは中々通らない。それでも、朝潮は諦めずに何度も頼み、そして・・・


「い、いいのだな? これは決して虐待ではないときちんと証明してくれるのだな?」


朝潮の願いを聞いた艦娘、それはビッグ7の長門。


「はい、朝潮が自分から望んでいる事です! 遠慮なく私の頬を殴って下さい!!」


そう言って、いつでも殴られる準備をしている朝潮。


「わ、分かった・・・私も出来るだけ手加減をするからな。 それでも、痛かったらすぐに手を上げるんだぞ。」


そう言いつつ、万が一の事を考えて陸奥に待機してもらい、長門は掌を「はぁ~」っと息を吹きかけ、


「では行くぞ、朝潮!」


そう言って、出来るだけ手加減をした、らしい一撃を朝潮の頬にぶつける。




ばっちーーーーーーん!!!!




「!? だ、大丈夫か朝潮!?」


長門は出来るだけの手加減をしたつもりだったが、ビッグ7の平手打ちを受けた駆逐艦朝潮は、


数メートル先まで吹っ飛ばされる。


「朝潮、おいっ朝潮! 無事か! 意識はあるか?」


長門が倒れた朝潮を揺する、


「・・・」


辛うじて意識はあった朝潮、そして長門の方を見つめ、


「な、長門さん・・・」


朝潮は今にも泣きそうな表情で長門に一言、


「い、痛いです・・・痛いですぅ!!」


そう言った後、号泣してしまう。



その後、長門は執務室に呼ばれて提督から長時間の説教を受ける羽目になるが、


後の朝潮の説明で、長門は厳罰にはならなくて済む。


殴られた朝潮は頬骨にひびが入り重症、完治するまで部屋での休養を余儀なくされる。


そして自ら進んで殴られた朝潮は、


「SMをする人たちは凄いです・・・朝潮には到底無理です。」


と、改めてSMをする人たちの凄さを実感した朝潮だった。









「SMとは何ですか?」 終









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2019-10-11 23:43:09

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このSSへのコメント

2件コメントされています

1: SS好きの名無しさん 2019-10-22 21:08:09 ID: S:XEodzV

朝潮ちゃんソープとかキャバクラとかも知らなさそうだし…

2: SS好きの名無しさん 2020-03-29 00:18:28 ID: S:6IQtxk

長門...お前本当に手加減したんだよな?な?


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