瑞鶴「加賀さんが私と加賀さんの…そういう本を隠し持っていた」
瑞鶴は同居人にお怒りのようです。
例のSSを改変したものです。
拙作「お願い」の設定を一部流用しています。
加賀「……」
瑞鶴「あのさ」
加賀「……」
瑞鶴「加賀さんと相部屋になって随分長いけどさ」
加賀「……」
瑞鶴「今回は、流石に少し、モヤっとする」
加賀「……」
瑞鶴「……とりあえずさ、何とか言って」
加賀「………ごめん、なさい」
瑞鶴「……で、何でこういう本があるわけ?」
加賀「……」
瑞鶴「……」ジー
加賀「……」タジ
瑞鶴「……この話終わるまで寝ないかんね。この状況じゃもとより安心して寝られないし」
加賀「……買ったの」
瑞鶴「……加賀さんが自分の意志で買ったってことでいい?」
加賀「……ええ」
瑞鶴「ふーっ……」フルフル
瑞鶴「いや、気持ちはわからないでもないよ。男の人は提督さんしかいなくて、男日照りだし」
瑞鶴「二航戦のふたりとか、陽炎型の子たちとか、姉妹同士でそういうことやってるってウワサ聞くから」
加賀「……」
瑞鶴「それに、まあ…アブノーマルだとは思うけど、ウチの状況じゃ、そうなってもおかしくはないよね」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「……ねえ、わかってる?」
加賀「……」
瑞鶴「私結構加賀さんに歩み寄ってるつもりなんだけど?」
加賀「……ごめんなさい」
瑞鶴「それはさっき聞いた」
瑞鶴「で?こういう本みたいな願望があるわけ?」ペラペラ
加賀「……」
瑞鶴「『生意気な後輩は厳しく躾けないと』ってお尻バッシンバッシン引っ叩いて?」ペラペラ
加賀「……」
瑞鶴「『その減らず口をきけないようにしてあげましょうか』って…猿ぐつわにボールついてるの噛ませてさ」ペラペラ
加賀「ギャグボールっていうのよ」
瑞鶴「あ~~~。そういうこと言うんだ。状況分かってる?」
加賀「……ええと」
瑞鶴「あたしの質問に答えて」
加賀「……」
瑞鶴「なんで黙っちゃうの?」
加賀「……」
瑞鶴「質問忘れちゃった?『こういう本みたいな願望があるわけ?』って聞いてるんだけど。」パシンパシン
加賀「……」
瑞鶴「……」ジトー
加賀「………ない、と言えば嘘になるわ」
瑞鶴「……はぁ」ガックリ
瑞鶴「何?私加賀さんにエッチな目でずーっと見られてたわけ?」
瑞鶴「こんな縄で縛られてさ、『美味しそうな七面鳥ね』とかさ」ペラペラ
瑞鶴「あーほら、こんなのもあるじゃない。『こんなに女体盛りのしやすい体なんてあるかしら』とか」
瑞鶴「最後のほうなんてすごいよ?『私の種で孕んだらその胸も少しは大きくなるかしら?』だって」
加賀「……///」
瑞鶴「何顔赤くしてんの?」
加賀「……その、本から抜粋して読み上げたりするのは、やめてほしいのだけど」
瑞鶴「どうして?加賀さんの本でしょ?」
加賀「……は、恥ずかしいから」
瑞鶴「あたしのほうがよっぽど辱めを受けてんの」
瑞鶴「それで?加賀さんは私にマニアックなプレイをご所望なんでございましょーか?」
加賀「……」オロオロ
瑞鶴「答えて」
加賀「……そんなことは、ないわ」
瑞鶴「ほんとー?」
瑞鶴「北方海域に出て留守してる翔鶴姉の部屋に忍び込んでさ」
瑞鶴「『あなたのお姉さんのベッドで犯される気分はどう?』とか言いながらシたいんじゃないの?」ピラピラ
加賀「……///」
瑞鶴「ほらウソついてる」
加賀「そ、そんないかがわしいこと、堂々と読まれたら、恥ずかしくもなるでしょう」
瑞鶴「コソコソ読んでるほうが恥ずかしいんじゃない?」
瑞鶴「とにかく、加賀さんは私にエッチなことが…しかもマニアックなプレイがしたくてしょうがないわけだ」
加賀「違うわ。そうじゃないの」
瑞鶴「何が違うの?」
加賀「……ええ、と」
瑞鶴「ああわかった!これよりもっとキツいやつなんだ!?」
加賀「違うと言ってるでしょう。それに、さっきあなたが言ったものは、ありふれて、マニあ…」
瑞鶴「『ありふれて』??」
加賀「……」アセ
瑞鶴「何、これ以外にもいろいろ持ってそうな言い方だね?」
加賀「なんでもないわ。聞き流して頂戴。」
瑞鶴「結構エグいとこ読んでったと思うんだけど。これは普通なんだ、私と加賀さんのこういうやつだと。」
加賀「言葉のあやだから。聞き流して頂戴。」
瑞鶴「こんなんじゃ満足できなくて、もっとヤバい本とかDVDとか持ってるんだね?」
加賀「違うわ。話を聞いて頂戴」
瑞鶴「加賀さんってそんな人だったんだね~…」
加賀「違うの。お願いだから話を聞いて」
瑞鶴「何が違うのさ。あたしがいない間に、こんな本読んで慰めてんでしょーが」
加賀「……」
瑞鶴「ほら言い返せない。あたし加賀さんに無理やりふん縛られて犯されちゃうとこだったんだねー」
加賀「そんなこと、するわけないじゃない」
瑞鶴「信用できないよ」
瑞鶴「あーあ、あたし加賀さんのこと、信用しすぎてたのかな~…」
加賀「う…」
瑞鶴「そりゃあ結構ひどいこと言ったよ。ホントは加賀さんの言ってることが正しいってわかってたし?」
瑞鶴「それなのに意地張って噛みついたりしたよ何回も。」
瑞鶴「でも色んなこと教えてくれたしさあ、初めてMVPとったときは鳳翔さんとこでおごってくれたしさあ…」
加賀「……」
瑞鶴「はあ、今思えば、あたしを食べる算段だったわけだ。納得だよ」
加賀「そんな……」
瑞鶴「あっ、もしかして、何にも疑わずに、アンタに組み敷かれて、喜ぶあたしを想像してた?」
加賀「……そういうの、やめてくれないかしら」
瑞鶴「なんで?」
加賀「嗜好を探られているようで、いい気がしないのだけれど」
瑞鶴「同居人を頭の中でおもちゃにしてるのはいいんだ?」
加賀「やめて」
瑞鶴「だってさ、さっきみたいな、その…ハードなやつはありふれてんでしょ?」
加賀「それは言葉のあやだから」
瑞鶴「そしたら逆にあたしが加賀さんに心酔してるっていう主従プレイに行かざるを得ないわけじゃない?」
加賀「……何かしら、それは」
瑞鶴「それって何?」
加賀「……あなたが、私にそうされたがっているようにも聞こえるんだけど」
瑞鶴「……何言ってんの?」
加賀「……」
瑞鶴「もしかして、こうやって話し合ってる最中もどうやってあたしの口をエロく封じようとか考えてない?」
加賀「考えてません。しない。やらないわ。」
瑞鶴「じゃあ…宣誓してほしいんだけど」
加賀「宣誓…?」
瑞鶴「私は五航戦の子を犯したりしませんって」
加賀「……」
瑞鶴「あくまでそういう本を使ってるだけであって本物をどうこうしようってわけじゃないんだよね?」
瑞鶴「じゃあ言えるじゃん。言っとくけどこれかなり譲歩してるんだからね?」
加賀「……そうね」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「言えない?」
加賀「……」
瑞鶴「少しでもそういう気がある?」
加賀「……」アセ
瑞鶴「1%でも可能性がある以上虚偽の申告はできない?」
加賀「虚偽では、ないわ」
瑞鶴「いいんだよ別に。戦友だもん。そういう気の迷いがちょっとはあってもさ」
瑞鶴「あっても、実行しなきゃいいんだから。そんな真面目に考えることないじゃない」
加賀「え、ええ」
瑞鶴「大丈夫だよ、加賀さんにもそういうとこあるって誰にも言ったりしないから」
加賀「……な、何かしら。この感じ…」
瑞鶴「加賀さんにその場限りの嘘をつかせるぐらいだったら、エロ本使われるぐらい我慢するし!」
加賀「やめて頂戴。心苦しい。息苦しいから。」ハァハァ
瑞鶴「じゃあ言ってよ。」
加賀「……ええと」
瑞鶴「しょうがないなあ。リピートアフターミー。私は?」
加賀「私は」
瑞鶴「五航戦の子を?」
加賀「五航戦の子を」
瑞鶴「犯したり?」
加賀「お、犯したり…」
瑞鶴「しません」
加賀「……」
瑞鶴「なんで?」
加賀「……」
瑞鶴「何を考えこんでるの?」
加賀「……」
瑞鶴「たった4文字のひらがながどうして言えなくなっちゃうの?まだ習ってなかったの?」
瑞鶴「見つめあうと素直におしゃべりできなくなっちゃうの?」
瑞鶴「漣ちゃんみたいに何も言えねーってなっちゃうの?」
瑞鶴「それとも急に電源落ちちゃった?STAMINAモードに入っちゃった?」
加賀「…一応、確認しておきたいんだけど」
瑞鶴「何を?」
加賀「……『犯す』というのはどの程度の範囲なのかしら」
瑞鶴「……」ヒュ~ッ
加賀「一応よ。一応。」
瑞鶴「ワンチャン諦めないね。一航戦の誇りって凄いなー」
加賀「……」
瑞鶴「ここであたしが範囲に入れ損ねるプレイがあったら加賀さんの解釈で理由付けてコトに及ぼうっていうんだ?」
加賀「 一 応 よ。私とあなたで認識が違う可能性があるわ」
瑞鶴「違ったときにあたしに合わせてくれるんでしょうね?」
瑞鶴「あたしのなかでは兄弟姉妹のベッドで犯されるのはノーマルな嗜好じゃないんだけど?」
加賀「その本から抜粋するのはやめて」
瑞鶴「……じゃあ、確認していくけど」
加賀「ええ」コク
瑞鶴「まずは『キス』」
加賀「……」クビカシゲ
瑞鶴「……え?」
加賀「それは、性行為に入るのかしら」
瑞鶴「ストップ。おかしくない?」
加賀「接吻ぐらい、駆逐艦の子でもやっていると思うのだけど…」
瑞鶴「ほら出たよ。もう違うじゃん。キスの捉え方が違うじゃん!」
加賀「私がどうこうではないわ。あなたは見たことがないのかしら」
瑞鶴「ほっぺとかおでこにするのはみたことあるよ?でもマウストゥマウスは1回もないね!!」
加賀「……そうかしら」
瑞鶴「じゃあ誰と誰がしてたのか聞いてもいい!?」
加賀「……」
瑞鶴「無理して嘘ついてもバレちゃうんだって、加賀さんそういう人じゃないんだから!」
瑞鶴「逆にさ。逆にだよ。加賀さん、キス禁止したらさっきの宣誓できないんでしょ?」
加賀「腑に落ちないけれど」
瑞鶴「落として。どこまでライン上げたら我慢できる?どーしても、どぉぉぉしてもっていうならキスは許すよ」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「……」
瑞鶴「あたしは待つからね。絶対終わるまで寝かさないから」
加賀「……///」
瑞鶴「ばっ…アンタ本当にちゃんと考えてる!!?」
加賀「……瑞鶴」
瑞鶴「うん。言って」
加賀「……」
瑞鶴「5分ぐらい時間かけてる時点でだいたいわかってるけど、言って」
加賀「いぅ、言うから。」
瑞鶴「いいんだよ、正直に。正直に言って」
加賀「……その、駄目だわ」
瑞鶴「何が?」
加賀「どこまで譲歩してもらっても……どこかで破綻してしまうかもしれない」
瑞鶴「……」
加賀「今、この場ではどうとでも言えるけれど……やはり、約束はできない」
瑞鶴「……」
加賀「部屋を、替えてもらいましょう。そうね、そうするべきだったんだわ」
瑞鶴「待ってよ」
加賀「……」
瑞鶴「その本を買ったのは何で?」
加賀「……買った、というのは嘘よ。秋雲から貰ったものなの」
瑞鶴「秋雲が?」
加賀「……その時は、風雲に用事があって、秋雲の部屋に入ったのだけど…」
加賀「ノックをしても返事がないから、ドアノブをひねったら開いてしまって…」
加賀「ヘッドフォンをした秋雲が、その……慰めていたの」
加賀「風雲の格好をした、女の人が……ええと、させられている、映像で」
瑞鶴「……」
加賀「思わず、悲鳴を上げてしまって。そこからは、今あなたとこうしているように、なって」
瑞鶴「……」ハァ
加賀「し、姉妹や同僚でそのようなことをするのは、いただけない、と言ってみたのだけど」
瑞鶴「……」ウンウン
加賀「『加賀さんはそういうことしたことないのか』と、逆に問い詰められてしまって」
瑞鶴「あ~……」
加賀「その時に押し付けられたのが、その本よ」
瑞鶴「……」
加賀「最初は、すぐ処分してしまおうと思ったけれど、そのまま捨てるのには、人目もつくし…」
加賀「それに……どうしてか、内容が気になってしまって……」
瑞鶴「使っちゃった?」
加賀「……」コク
瑞鶴「今更だけど、加賀さんでもオナニーするんだねぇ…」
加賀「なっ……!///」
瑞鶴「あたしそういうの必要ないもんだと思ってたよ。毎朝瞑想してるし」
加賀「……瞑想しても、どうしようもないときは、あるわ」
瑞鶴「そうだよね…」
加賀「そういうあなたは、どうなの //」
瑞鶴「……あのさ、言うわけないじゃない!何考えてるのさ!///」
加賀「うっ……//」
瑞鶴「ン゛ンッ。それで?それ以外にも買っちゃうようになったってわけね?」
加賀「…ええ。鍵付きの引き出しに入っているわ。これがそこの鍵よ」チャラ
瑞鶴「……」
加賀「あなたに何を言われても、受け入れるしかないわ。言いふらされても、仕方がない」
加賀「少なからずあなたをどうにかしたいという欲求があるのは、間違いないのだから」
瑞鶴「……いいよ」
加賀「……え?」
瑞鶴「鍵。いらないよ」
加賀「……何を、言っているの?」
瑞鶴「あたしはさ。別に加賀さんを脅そうとしたわけじゃないんだよ」
瑞鶴「最初からそうやって言ってくれれば、手は出さないでねって、それだけで済ませたよ」
瑞鶴「知り合いのエッチなやつでオナニーするのなんて、結構やってるだろうし」
加賀「……そ、そうなのかしら?」
瑞鶴「一度赤城さんに見せてもらったことあるわ。あの人のコレクションえぐいよ。」
加賀「あ、赤城さんが?///」
瑞鶴「本物じゃないからセーフだってさ。実際には手ぇ出すつもりないんだって」
瑞鶴「あの人がそういうんだったらそうなんだろうね」ハァ
加賀「う、うう……」
瑞鶴「加賀さんさ」
加賀「……」
瑞鶴「さっきも言ったけど、そういうのはさ。しょうがないから。気持ちわかるから。」
瑞鶴「確かに持ってるっていうのはちょっとだけモヤっとするけど、私に手を出さないならいいから。」
加賀「……」
瑞鶴「でもさ、嘘ついて言い訳しようとしてたのだけはショックだったの。」
加賀「……」
瑞鶴「わかってくれる?」
加賀「……ごめんなさい」
瑞鶴「そりゃあ面と向かって『あなたの本でオナニーするから』なんて宣言してから使えとは言わないよ」
瑞鶴「でもしょうがないじゃん見つかっちゃったんだから。そこは潔く言って欲しかったな。」
加賀「……そうね。本当に、ごめんなさい。」
瑞鶴「……ふう。とりあえず、わかった?本は使ってもいいけど私に手は出さないこと」
加賀「……」
瑞鶴「……」
加賀「自信が無いわ」ハァ
瑞鶴「ほんと、正直だね……」
瑞鶴「いい?加賀さん」
加賀「?」
瑞鶴「ほんっっっっっっっっとーにダメそうだったら言って。相手になってあげるから」
加賀「………」
瑞鶴「………」
加賀「………え、な、あなた、何を言って///」
瑞鶴「加賀さんのためだったら、受け入れるから。いい?絶対言ってね?」
加賀「……ず、瑞鶴?」
瑞鶴「なに?」
加賀「そ、その。今、この状況だと、逆効果だと思うのだけれど///」
瑞鶴「少なくとも!今月はダメよ。絶対ダメ。もし寝てる間になんかしてたら全部提督さんと赤城さんに言うから」
加賀「う、うー……」オロオロ
瑞鶴「返事ぃ!!」
加賀「わ、わかった」
瑞鶴「よし!じゃあこれで終わり。あたしだって希望してあんたと一緒の部屋にしてもらってるんだからさ、」
瑞鶴「あんたのいろんなとこ受け入れる覚悟ぐらいしてるよ。そこだけは覚えといて」
加賀「え、ええ…」
瑞鶴「じゃ、お風呂入ってくるから」スク
加賀「い、行ってらっしゃい…」
スタスタスタ
加賀「……」
加賀「…………」
加賀「どうしたもの、かしら」
加賀「来月頭に、私は獣にならずにいられるのかしら……///」
お粗末様でした。
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