ほのパパ「……」ほのママ「収容違反!」
補遺:
SCP-JPとほのパパとほのママと海未ママのお話をします、
幕間劇です。
全てのSCiPの設定は、話の都合上ある程度の改変が施されています。
加えて、ほのパパとほのママと海未ママも普段以上の性格になっています。
宜しくお願いします。
「もしも〜生まれ変わって〜も〜♪」
ほのママ「またわ〜たしにうまれ〜たぁ〜い♪」
ほのママ「このか〜らだとこのい〜ろぉで〜♪」
ほのママ「いきぬっ……ぬっ!?」ガッ
ほのママ「くっ……と、届いたのにっ、何か引っ掛かってる……っ!」グイッ
ほのママ「ぐぬぬぬっ!も、もうちょっと〜っ!!」グググッ
グラッ
ほのママ「うわっ!?」ヨロッ
ガシッ
ガタンッ!
ほのママ「〜ッッッ」
ほのママ「……あれ?」
ほのパパ「……」
ほのママ「あ、あなた!?」
ほのパパ「……」スッ
[大丈夫か?]
ほのママ「え、えぇ。ありがと」
ほのパパ「……」スッ
[椅子に乗って騒ぐな。危ないだろ]
ほのママ「さ、騒いでなんかないわよ!ちょっと探し物をしてたの!」
ほのパパ「……」スッ
[そんなとこ、もう何年も開けてなかっただろう。何を探してたんだ?]
ほのママ「それなんだけど、お客さんのお茶出しで使ってた急須が壊れちゃって」
ほのママ「で、もしかしたら、代わりのやつがここに有るかなぁって」
ほのパパ「……」
[そんなとこにある訳ないだろう。近くの瀬戸物屋で新しいの買ってこい]
ほのママ「えぇ〜、探せば有りそうじゃn──」
ゴトッ
ほのママ「え?」
ほのパパ「?」
……。
ほのママ「……なに?コレ」
ほのパパ「……」
[なんだ?]
ほのママ「いえ、何かの箱が転がって来たみたい」スッ
ほのママ「ん〜?」カパッ
ほのパパ「……」
[──あぁ、コレは、]
[熱燗器じゃないか?]
ほのママ「あ、そうそう!こんなの家にあったんだ」
ほのママ「──あら?徳利と盃もあるのね」
ほのパパ「……」
[ほぉ、こんなもの家にあったんだな。もしかして婆さんのか?]
ほのママ「どうだろう。……あ、盃になんか書いてある」
ほのママ「……"ど燗酒"?」
ほのパパ「……」
[なんだこれ、見た事ない銘柄だな]
ほのママ「……」
ほのママ「ねぇねぇ」
ほのパパ「?」
ほのママ「お店閉めたらさ、久しぶりに一杯やらない?」
ほのパパ「……」
[んっ、季節も丁度いいし、家で熱燗ってのも悪くはないな」
ほのママ「よし、決まりね♪」
ほのパパ「……」
[熱燗なんて久しぶりだな。去年の暮れに飲んで以来だ]
ほのママ「そうねぇ。あ〜♪なんだか楽しみ♪」
ほのパパ「……」
[……単純なヤツだ。]
───
─
「──さて、じゃあ飲みますか!」
ほのパパ「……」
[なぁ、穂乃果と雪穂は?]
ほのママ「穂乃果は部活で遅くなるって。雪穂は部屋にいるみたい」
ほのパパ「……」
[そりゃ静かでいいな]
ほのママ「ホントねぇ〜。穂乃果が居たらこんな事出来ないもん」
ほのパパ「……」
[まぁな。]
ほのママ「それじゃあ、カンパーイ!」チンッ
ほのパパ「……」
[盃を当てるな]
ほのママ「まぁまぁ、取り敢えず頂きましょ?」スッ
ほのパパ「……」スッ
グイッ
ほのママ「ッ、……はぁ。美味しい〜♪」
ほのパパ「……」フム
[あぁ。この季節には丁度いい]
ほのママ「はむっ」
ほのママ「ん〜!漬けホタテも美味しい〜♪さすが私ね!」
ほのパパ「……」
ほのママ「ん?どうしたの?」
ほのパパ「……」
[……いや。ちょっと前なら、こうして晩酌してると直ぐ穂乃果が寄ってきて、食わせろ食わせろって煩かったな。]
ほのママ「あはは、そうねぇ」
ほのママ「あの子に釣られて、雪穂までちょうだ〜いって起きて来るし、穂乃果は食べてる途中で寝ちゃうし」
ほのパパ「……」
[喧しくて、酒も満足に飲めなかったな]
ほのママ「ホント、懐かしいわねぇ」
ほのママ「……まぁ、今も偶に来るんだけどね」
ほのパパ「……」
[穂乃果がか?]
ほのママ「うぅん。雪穂が」
ほのパパ「……」
[ホントか?なんでまた]
ほのママ「勉強してるとね、無性にお酒のツマミが食べたくなるんだってさ」
ほのパパ「……」
[なんだそりゃ]
ほのママ「この間なんて、酒盗とカラスミ食べて『美味しいー!』なんて言ってたのよ?」
ほのパパ「……」
[ハハ、将来は飲んだくれだな]
ほのママ「あの子、意外と飲みそうよね?」
ほのママ「──あ、おつまみ冷めちゃうわ。早く食べましょ」
ほのパパ「……」
[そうだな。どれ、先ずはナスの揚げ浸しでも食うか]スッ
パクッ
ほのママ「……どぉ?」
ほのパパ「♪」
[うん、美味い。コレなら旬に関係なくいつでも食えるな。飯のオカズにもピッタリだ]
ほのママ「……」
ほのパパ「……?」
[なんだ?]
ほのママ「ううん。珍しく褒めるなぁって思ったの」
ほのパパ「……」
[そうか?]
ほのママ「ふふっ。そうなの♪」
ほのパパ「?」
ほのママ「……はぁ、いい夜風」
ほのパパ「……」カタッ
ほのママ「……」
ほのパパ「……」
[しかし、なんだな。」
ほのママ「へ?」
[この熱燗器、面白いな]
ほのママ「面白い?どこが?」
ほのパパ「……」
[見てみろ。ダイヤルの数値の部分だ]
ほのママ「ふん?」
(常温)【冷や】
33℃【日向燗(ひなたかん)】
37℃【人肌燗(ひとはだかん)】
40℃【ぬる燗】
45℃【上燗(じょうかん)】
50℃【熱燗(あつかん)】
55℃【飛び切り燗】
ほのママ「……なんか多いけど、普通じゃない?」
ほのパパ「……」
[ここまでは、普通の熱燗器と大体同じだ]
ほのママ「でしょ?」
ほのパパ「……」
[その下を見てみろ]
ほのママ「したぁ〜?」
100℃【や燗】
180℃【天ぷら燗】
700℃【アルミ燗】
1600℃【スチール燗】
--℃【---燗】
ほのママ「……」
ほのパパ「……」
[な?変だろ?]
ほのママ「──プッ」
「アッハッハッハッハwwwッ!!!」
ほのパパ「!?」
ほのママ「あ、アルミ燗にスチール燗ってぇwwwッ!!」
ほのパパ「……」
ほのママ「なにこれーっww!1600℃とかあり得ないでしょーっwww!!」
ほのママ「アッハッハッハッwwwッ!!」
ほのパパ「……」
[コイツの笑い上戸は相変わらずだな]
ほのパパ「……」
[しかし、擦れて読めないが、一番下は一体なんて書かれていたんだろうな]
ほのママ「ヒィーッwwお腹いたぁーいっwww」
ほのパパ「……」
[……聞いてないな。]
ほのパパ「……」
[きっと、冗談で表記したんだろうが、ここまで回すと本当にその温度になるのか?]
ほのパパ「……」
[試してみるか]
ほのパパ「……」グリグリッ
ガキッ
ほのパパ「!」グッグッ
[一番下には回らないのか]
ほのママ「イッヒッヒッヒィwwwッ!!」
ほのパパ「……」
[なら、ここはどうだ?]グリグリッ
180℃【天ぷら燗】
ほのパパ「……」
ほのママ「おー、天ぷら燗!面白そうね!」
ほのママ「コレで天ぷら作れるのかしら?」
ほのパパ「……」
[そんな訳ないだろう。大体、間口が小さ過ぎる]
ほのママ「そうよねぇ。プチトマト位しか入らなそう」
ほのパパ「……」
[トマトの天ぷらなんてあるのか?]
ほのママ「さぁ?なんなら、今度作ってみよっか?」
ほのパパ「……」
[俺は食わん。穂乃果にでも食わせてやれ。アイツならなんでも食うだろ]
ほのママ「分かった♪そうするわ。──ん?」
………グツグツグツ グツ グツ ッ!
ほのママ「うわっ!沸騰しちゃってるじゃない!」
ほのパパ「……っ」グリグリッ
[と言うか、沸くのが早過ぎないか?まだ3分も経ってないと思うんだが]
グツグツグツッ
ほのママ「ひぇ〜っ、こ、こんなの飲めるの?」
ほのパパ「……」
[一応、徳利に移してみるか]スッ
ほのママ「あ、熱いから気を付けてね?」
ほのパパ「……」ガシッ
ほのパパ「……?」
ほのママ「どうしたの?」
ほのパパ「……」
[……見た目の割には、全然熱を感じないな。断熱性は優れているみたいだ]
ほのママ「ホントに?すっごいグツグツ言ってるけど」
ほのパパ「……」スッ
トクトクッ
ほのママ「……手、大丈夫?」
ほのパパ「……」
[大丈夫だ。それに、熱かったら直ぐ置くだけだ]
ほのママ「そ、そう」
ほのパパ「……」
[どれ、今度は盃に]スッ
チョロチョロ
ほのママ「どう?熱くない?」
ほのパパ「……」
[……何故かは知らんが、徳利も大して熱くない。良くて熱燗程度だ。コレなら飲めるかも知れないな]
ほのママ「の、飲めそうだってっ……さっきまであんなに沸騰してたのを?」
ほのパパ「……」グッ
[よし、行くか]
ほのパパ「っ」グイッ
ほのママ「あっ!」
ゴクンッ
ほのママ「そんな一気に……」
ほのパパ「……」
ほのママ「や、やけどしてない?」
ほのパパ「……」
ほのパパ「♪」
[美味い!]
ほのママ「ほ、ほんとに?」
ほのパパ「〜♪」
[あぁ。飲んだ感じも、熱燗と大して変わらない温度だったが、旨味と風味がかなり増してる。コレは本当に美味い]
ほのママ「〜っ」
ほのパパ「♪♪」
[いやぁ、いいもん見つけたなぁ]
ほのママ「……っ」ゴクッ
ほのママ「わ、わたしも飲む!」スッ
チョロチョロ
ほのママ「……」
ほのパパ「……?」
[どうした?飲まないのか?]
ほのママ「い、いえ。なんだか怖くて」
ほのパパ「……」
[じゃあ寄越せ。俺が飲んでやる]
ほのママ「……やだ、私が飲む。」
ほのパパ「……」
[無理するな。お前は普通の熱燗で──]
ほのママ「んっ!」グイッ
ほのパパ「!」
ゴクンッ
ほのママ「──ッ!」
ほのパパ「……」
[どうだ?]
ほのママ「……」
ほのママ「美味しいーっ!!」
ほのパパ「……」
[ハハッ、だろ?]
ほのママ「なにこれぇー!?味が全然良くなってる!」
ほのパパ「……」
[なんでなんだろうな。何か、特殊な熱し方でもしてるのか?]
ほのママ「ねぇねぇ、」
ほのパパ「?」
ほのママ「来週さ、あの子も呼んでみない?」
ほのパパ「……」
[あの子って……園田さんの奥さんか?いきなり呼んだら迷惑だろ]
ほのママ「大丈夫よ。あの子の暇な時は、私だいたい分かってるから」
ほのパパ「……」
[ま、呼ぶだけ呼んでみたらいい]
ほのママ「オッケー♪じゃあ、アルミ燗とスチール燗は来週のお楽しみね」
ほのパパ「……」
ほのパパ「?」
ほのママ「なに?どうしたの?」
ほのパパ「……」
[気のせいか……お前、なんだか熱くないか?]
ほのママ「へ?なにが?」
ほのパパ「……」
[酒飲んだからか?]
ほのママ「ん〜、よく分かんないわ」
ほのママ「あ!それより、早くあの子に連絡しなきゃ!」スッ
タッタッタッタッ……、
ほのパパ「……」
[やっぱり、俺の気のせいか]
ほのパパ「……♪」
[しかし、確かに楽しみだな。]
「ただーいまぁー!」ガラガラッ
穂乃果「お父さんただいま!」
ほのパパ「……」
[おぅ。]
穂乃果「あ、美味しそうなの食べてる!」
ほのパパ「……」
[お前はまず風呂入ってこい]
穂乃果「ナスもーらい!」ヒョイ
ほのパパ「!?」
[あっ、俺の食いやがったな!?]
穂乃果「にっひっひ〜♪」
「お姉ちゃ〜ん?」スッ
穂乃果「ただーいま!」
雪穂「おかえり。──ん?」
ほのパパ「……」
雪穂「あー!お父さんだけずるーい!」
穂乃果「美味しいよ〜♪」
雪穂「お姉ちゃんも食べたの!?」
ほのパパ「……」
[……ハァ。やっぱり、昔と変わらんなぁ]
<穂乃果帰ったのー?
穂乃果「いるよー!」
雪穂「あ〜あ、私も食べたかったなぁ」
ほのパパ「……」
[別なのやるから、それで我慢しろ]
雪穂「やったぁー♪」
ほのパパ「……」
[ほれ、ここ片すぞ。雪穂は手伝え。穂乃果は風呂入ってこい]
穂乃果・雪穂『はーい!』
【一週間後】
「ごめんください。」
……。
海未ママ「……」
海未ママ「ごめんください」
……。
海未ママ「……」
海未ママ「……どうしたんでしょう。いつもなら出てくるのですが」
……。
海未ママ「……」スッ
ドタッ
海未ママ「!?」
「あ〜、いらっしゃ〜い」
ほのママ「あははは〜」
海未ママ「だ、大丈夫ですか!?どこか怪我でも──」
ほのママ「ちがうちが〜う、飲んでただけぇ〜」///
海未ママ「……もう、嗜んでらしたのですね」
ドタッ
海未ママ「え!?」
ほのパパ「……」///
[申し訳ない、ほんとうは素面で出迎えるつもりだったんですが、]
海未ママ「……マァ。」
ほのパパ「……」
[試しにチビチビやってるうちに、段々と止まらなくなってきて]
[気付けばまぁ、今はご覧の有り様で……ハハ、]
海未ママ「だ、大丈夫ですか?」
ほのママ「それより聞いてよぉ〜っ、コレ、ホントに美味しいのよぉ〜?」///
海未ママ「……あの、」
ほのママ「こぉ〜れぇ〜。このお酒〜♪」
ほのパパ「……」
[この熱燗器が、なかなか凄いんですよ]
ほのママ「そぉなんですよぉ〜」///
海未ママ「……きぃちゃん。貴方、少し飲み過ぎではありませんか?」
ほのママ「まぁまぁ〜、一口飲んでごらんあそばせぇ〜」
海未ママ「その前に、上がらせて頂いても宜しいでしょうか」
ほのママ「上がって〜、ほら、早く早く〜!」///
海未ママ「お邪魔致します。」
ほのパパ「……」
[狭い所で申し訳ないが、今日はゆっくりしていって下さい]
海未ママ「あ、ありがとうございます」
ほのママ「はい、どぉ〜ぞぉ〜♪」///
海未ママ「……」
海未ママ「では、頂きます」スッ
海未ママ(ど燗酒?)
ほのママ「美味しいわよぉ〜?」///
海未ママ(……これは、後でお説教ですね。)
海未ママ「……」
ゴクッ
海未ママ「……」
ほのママ「どぉ〜?」
海未ママ「……」
海未ママ「……感激、ですっ」プルプル
ほのママ「ほぇ?」
海未ママ「この、ほんのり温かい、そして優しく舌を撫でる様な感覚……」
海未ママ「呼吸をする度に、花の香りを携えた春風が、鼻腔をそよぐ様な……なんとも言えない心地よさ……」
海未ママ「それでいて、しっかりとした濃厚な……まるで、数多の食材から抽出した出汁の様な、奥深い味わい……」
海未ママ「……私、感激していますっ、」
ほのママ「美味しいでしょ〜?ほら、おつまみもあるからねぇ〜」///
海未ママ「いえ、お酒を頂きます!」
ほのママ「飲んべぇね〜」
ほのパパ「……」
[おぅ、そろそろ次試してみないか?]
ほのママ「あ、いいわねぇ〜♪」///
海未ママ「次?次とはなんの事でしょう?」
ほのママ「この熱燗器ねぇ、面白いのよぉ?」///
海未ママ「熱燗器が……面白い?」
ほのママ「ホラ!」
100℃【や燗】
180℃【天ぷら燗】
700℃【アルミ燗】
1600℃【スチール燗】
海未ママ「……」
ほのママ「ね?」
「……ぁ、あはっ、」
海未ママ「アッハッハッハッハ!」
ほのママ「ほらぁ〜、やっぱり面白いのよぉ〜」///
海未ママ「あっ、アルミ燗にぃwスチールぅwwwっ!」バシバシッ
ほのママ「アッハッハッハッwww!!」
ほのパパ「……」
[よし、次はアルミ燗だ]
ほのママ「おぉ〜♪」///
海未ママ「アルミ燗……っw」
ほのママ「まだ笑ってるぅwwwっ」
ほのパパ「……」グリグリッ
700℃【アルミ燗】
ほのママ「……ふぅ〜、」
ほのママ「ところでさぁ」
海未ママ「wっ……は、はい?」
ほのママ「海未ちゃんって、あなたと旦那さんのどっちに似たの?」
海未ママ「え、えぇ。あの子はどちらかと言うと、私よりも亭主に似たのだと思います」
海未ママ「そのお陰か、最近では、何かと細かいところに気が付く様になりまして」
ほのパパ「……」
[海未ちゃんは、うちのと違ってしっかりしてますからな]
海未ママ「……いえ。ああ見えて、あの子はとても寂しがり屋なものですから」
海未ママ「穂乃果ちゃんやことりちゃんが、いつも傍にいてくれるからこそ、本来の自分を保てているのでしょう」
ほのママ「……」
海未ママ「……そうですね、」
海未ママ「小さい頃のあの子は、何かというと直ぐに泣きついて来て、私のそばを離れなかったものです」
海未ママ「未知を知る事を怖がる余り、当時、あの子の世界は家の中だけでした」
ほのパパ「……」
海未ママ「ですが、穂乃果ちゃんやことりちゃんと出逢ってからは、少しずつ、その世界を広げて行く事が出来る様になり……」
海未ママ「気が付けば、もうすぐ私の元を巣立って行く。……そんな年齢が近づいて来てしまいました」
ほのママ「……もう、そんな歳なのよねぇ」
ほのパパ「……」チビ
[早いもんだ]
海未ママ「……えぇ、」
海未ママ「──あっ、ご、ごめんなさい。折角楽しい雰囲気でしたのに、」
ほのママ「なぁ〜に言ってんのよ!こう言う楽しみ方も、大人の醍醐味でしょ?」
ほのパパ「……」
[思い出語りなんて、酒の絶好の肴ですよ]
海未ママ「……ふふ、ありがとうございます」
海未ママ「お二人を見ていると、穂乃果ちゃんがあんなに素敵に育った理由が、とてもよく分かります」
ほのママ「アハハ、そ、そうかしら?」
ほのパパ「……」
[頭は少し足りないけどな。誰かと似て]
海未ママ「うふふっ、そんな事ありませんよ」
ほのママ「ちょっと〜?誰かってだれぇ〜?」
ほのパパ「……」
[頭が足りないのは、お前に似たんだと言ったんだ]
ほのママ「このぉ〜!饅頭おとこぉ〜!」
……ゴボゴボゴボッ
海未ママ「あら、沸いたようですね」
ほのママ「そうみたいね」
海未ママ「……」ジッ
海未ママ「!!?!?」
ほのパパ「……」
[どうです?]
海未ママ「あ、あのっ、」
ほのママ「へ?」
海未ママ「こ、コレは……見るからに不味い、と言いますか……」
ほのパパ「?」
[不味い?飲んでもいないのに?]
海未ママ「い、いえ。その不味いではなくて……」
海未ママ「その……、熱燗器の中が、燃え盛る溶鉱炉の様になっているのですが……」
ほのパパ「……」チラッ
グツグツグツグツッ
ほのパパ「……」
[……確かに。コレは不味いかもな]
海未ママ「ど、どうしましょう……」
「大丈夫ぅ〜」
ほのママ「取り敢えず徳利に移すわねぇ〜」スッ
ほのパパ「!」
[お、おいっ!!]
海未ママ「ちょっと!?」
トクトクトクッ
ほのママ「〜♪」
ほのパパ「〜っ」
[お前……っ」
海未ママ「あ、あなた……熱くないのですか?」
ほのママ「なにがぁ〜?」
海未ママ「なにがって……」
海未ママ(……昔から鈍感な子だとは思っていましたが、まさか、ここまでとは……)
ほのパパ「……」
ほのママ「よし。ハイ、注いであげる〜♪」
海未ママ「い、いえ!わたしはっ」
ほのママ「さぁ、アルミ燗をどぉーぞ!」
海未ママ「〜っ」チラッ
ほのパパ「……」フルフル
海未ママ「……くっ、」
海未ママ「い、頂き……ます。」スッ
ほのママ「召しあがれ〜♪」
海未ママ(……触った感じは、何故か先ほどと大差ない様な……コレなら、もしかすると)
ほのパパ「っ」
[無理しない方が……]
海未ママ「ふ、不肖、園田!参ります!」
ほのパパ「!」
ほのママ「いっけぇ〜♪」
海未ママ「──ッ!」グイッ
ゴックン!
海未ママ「〜っ」
海未ママ「」
海未ママ「!!?!?!?」ズガンッ
海未ママ「オーイシィイイイィイイイイィイイイイィイイイッッッ!!!!!!!!」
ほのパパ「!?」
ほのママ「うわっ!?」
海未ママ「なんですかコレ!!?なんなんですかっ!!?!?」
ほのママ「そ、そんなになの!?」
海未ママ「そんなにですっ!!!」
海未ママ「天上より滴り落ちた至高の滴っ!!!神々だけが口にする事を許された奇跡の雨垂れっ!!!」
海未ママ「楽園は人の世にあったんですっ!!!!」
ほのママ「ッッッ」
海未ママ「──ッ!」ゴクンッ
海未ママ「……幸せっ!!!幸せの繰り返しですぅっ!!!」
ほのパパ「〜っ!」スッ
[お、俺も飲む!]
ゴックン!
ほのパパ「」
ほのパパ「うんめぇえええええぇえええええええええっっっ!!!!!!!!!」
ほのママ「!!?」
ほのパパ「♡♡♡」
[嘘だろオイ!?今までの酒はなんだったんだ!?腐ってたのか!?]
海未ママ「あぅ〜っ、こ、この世にこんな美味しいお酒があったなんてぇ……っ!」
ほのママ「〜っ」
ほのママ「わ、わたしも飲むっ!」バッ
ゴックン!
ほのママ「」
ほのママ「キャアアァアアアアァアアアアアアアアァアアアアッッッ!!!!!!!!」
ほのママ「なによコレ!!?なんなの!?なんでこんなに美味しくなってるの!!?」
ほのパパ「♪♪♪」
[あぁ〜うめぇ。呑んでも呑んでも止まらねぇ♪]
海未ママ「うぅっ、感激ですぅ……っ」
ほのママ「もう私!徳利で呑むからっ!!」
ほのパパ「──ッ」
[熱燗器からジャバ〜♪]
海未ママ「……うぃっ、」///
海未ママ「わたし!燃え上がって来ました!」///
ほのママ「わたしもっ!」///
海未ママ「うふふふ〜♪きぃちゃんと二人で燃えあがろう〜♪」///
ほのママ「わ〜い♪」///
ほのパパ「〜♪」グビグビ
[うんめぇ〜。一生飲んでられんなぁ〜]///
……プスッ
ほのママ「うへぇ〜……てゆーかさぁ」///
ほのママ「なんかぁ、この部屋あっつくなぁ〜い?」プスップスッ
海未ママ「そ、そうですねぇ。もう帯取っちゃいますぅ」プスップスッ
ほのパパ「……」モクモク
[うまいっ!]
ほのママ「あっははは〜、それになんか煙くさぁい♪」プスップスッ
海未ママ「きっとぉ、わたしたちの情熱がぁ、アレになってるんですよぉ」プスップスッ
ほのパパ「〜っ!」ボッ
[旨すぎる……っ!]
ほのママ「ちょっとぉ〜、アレってなによぉ〜?」モクモク
海未ママ「アレはアレでぇ〜す」モクモク
ほのパパ「♪」メラメラッ
[もっと寄越せ!]
ほのママ「てゆ〜かぁ〜、貴方の服燃えてなぁ〜い?」モクモク
海未ママ「心が燃えてますからねぇ〜、心理的なアレですよぉ〜♪」モクモク
ほのママ「またアレって言ったぁ〜♪」ボッ
海未ママ「アレってなんか破廉恥ですよねぇ〜♪」ボッ
ほのパパ「〜♪」メラメラッ
[最高だっ!!!]
ほのママ「うへへ〜。……ねぇ、そろそろアレ行かなぁい?」メラメラ
海未ママ「アレってぇ〜、きぃちゃんまた破廉恥ワードですぅ〜♪」メラメラ
ほのママ「うふぅ♪違うのぉ、コレよコレ〜」メラメラ
ほのママ「スチール燗〜♪」メラメラ
海未ママ「す、スチール燗っwww」メラメラ
ほのパパ「!」メラメラ
[待たせたな!]
ガラガラッ
穂乃果「ただいまぁー!」
バタンッ
穂乃果「お母さーん!帰ったよー!」
海未「お邪魔します」
海未「すみません。夕飯時にお邪魔してしまいまして」
穂乃果「いやいや、海未ちゃんのお母さんも居るんだしさ、どうせならみんなでご飯食べようよ」
穂乃果「──ん?」クンクン
海未「え?」
穂乃果「……なんかさ、焦げ臭くない?」
海未「……確かに、」クンクン
穂乃果「茶の間から臭いがする様な……」スッ
穂乃果「お母さん、いるー?」
海未「お母様、迎えに来ましたよ?」
ほのママ「レッツスチールかぁ〜ん♪」メラメラ
海未ママ「ホントマジスチールゥww」メラメラ
ほのパパ「〜♪」メラメラ
[いざ、楽園へ♪]
穂乃果「」
海未「」
───
─
「──で?」
穂乃果「なんでこんな事になったのか、説明して貰えるかな?」
海未「……」
ほのパパ「……」
ほのママ「……」
海未ママ「……っ」
穂乃果「ねぇ、」
ほのママ「そ……それはぁ……その、」
ほのパパ「……」
穂乃果「それは、なに?」
ほのママ「え、えっとぉ……っ」
ほのパパ「……」
海未ママ「ッッッ」
海未「お母様。ダンマリを決め込んだ所で、何も進みはしませんよ」
海未ママ「〜っ」
スッ
「さっきから何騒いでるの?」
海未「おや、雪穂」
雪穂「あ、海未ちゃん。こんばんわ」
「──て、何これ!!?」
雪穂「畳真っ黒コゲじゃんっ!!!なんでっ!!?」
ほのママ「あ、あら雪穂、やっほー」
雪穂「お母さん達の服……ソレなに!?なんであっちこっち焦げてるの!!?ずぶ濡れだしっ!!」
穂乃果「……お母さん。」
ほのママ「っ!」ビクッ
ほのパパ「……」
海未ママ「あ、あの!」
穂乃果「……なんですか、」
海未ママ「わ、私から説明させて下さいっ」
海未「……」
雪穂「え?えっ?」
〜5分後〜
海未ママ「……以上です。」
海未「お母様。いくら何でも、少しばかり羽目を外し過ぎではありませんか?」
海未ママ「……ごめんなさい。」
海未「たまのお休みに、旧友と一献嗜む。それ自体は決して、悪い事とは思いません。」
海未「ですが、やはり物事には、全て限度と言うものがあると私は思います」
海未ママ「……はい、不覚でした」
雪穂「……」
穂乃果「大体さ!いい大人がこんなになるまで飲み過ぎるなんて、みっともないよ!」
ほのママ「……」
ほのパパ「……」
穂乃果「てゆーかっ!!なんで服とか畳とか燃えてるの!!?もしかして火遊びでもしてたのっ!!?」
穂乃果「もう少しで火事になるとこだったんだよ!!?分かってるのっ!!?」
ほのママ「……す、すみませんでした」
ほのパパ「……」
[申し訳ない]
穂乃果「いくらお酒が美味しいからって、コレは酷すぎるよっ!!!」
穂乃果「私はさ!二人のこと心配して言ってるんだからねっ!!!ちゃんと反省してよっ!!?」
ほのママ「(……ま、まさか、二人揃って穂乃果にお説教される日が来るだなんて……)」ヒソヒソ
ほのパパ「……」
[…………歳だな。]ヒソヒソ
穂乃果「ちょっと!聞いてるの!?」
雪穂「……」
雪穂(……なんだろう。今見てる絵が珍し過ぎて、焦げ臭いとかボヤ騒ぎだったとか、そんなのどうでも良くなってる)
穂乃果「──ッ!」ギャンギャン
ほのママ「っ」
ほのパパ「……」
海未「〜っ」クドクド
海未ママ「……」
雪穂「……」
雪穂(……小さい頃から、お酒のおつまみは好きでよく食べてたけど)
雪穂(お酒って、そんなに美味しいのかな)
雪穂「……」チラッ
雪穂(おつまみがあんなに美味しい上に、お酒まで美味しかったら……)
雪穂(──それって、最高じゃない?)
雪穂「っ」ゴクッ
雪穂「……ほんのちょっとだけなら、」スッ
カタッ
雪穂(た、たしか、この入れ物から、この小ちゃいお皿に注ぐんだよね?)クイッ
チョロチョロ
雪穂(つ、注いじゃったっ)
雪穂「……見てない、よね?」チラッ
穂乃果「二人とも!当分お酒は禁止っ!」
ほのママ「ぇえーっ!?」
ほのパパ「……っ」
[勘弁してくれ]
海未ママ「あ、あの……海未さん?出来れば今日のこと、お父様には……」
海未「言います」
海未ママ「そ、そんなぁ〜っ」
雪穂「〜っ」
雪穂(せーのっ!)
グビッ
雪穂「……」
「うまぁあああぁあああぁあああああああああぁああああいっっっ!!!!!!!!!」
【おわり】
SCP-1538-JP【ど燗酒】
と
ほのパパとほのママと海未ママ
〈本家〉
http://scp-jp.wikidot.com/scp-1538-jp
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