2020-05-16 09:24:30 更新

前書き

補遺:
SCPと西木野さんとμ'sの愉快な仲間たちのお話をします
第十回までします。
全てのSCiPの設定は、話の都合上ある程度の改変が施されています。
加えて、西木野さんとμ'sの愉快な仲間たちも普段以上の性格になっています。

宜しくお願いします。



「1.2.3♪」


真姫「Flying fall down ♪ 羽ばたき〜ながら〜♪」


真姫「堕ちて♪ゆくの♪君の〜傍へ♪」


真姫「なにmふぶ──ッ!?」グッ


モサッ


真姫「もうっ!!葉っぱが口に入ってくるんですけどぉ!!」


真姫「まったくぅ、せっかく良いところだったのに、全く持って邪魔だわ」


真姫「……それにしてもコレ、どうしましょうね」モサッ



真姫「園芸部から、こんなに立派なトマトの苗木を貰ってしまったわ」



真姫「嬉しいんだけど……私、トマトを育てた事なんて一度もないのよね」


真姫「ホントどうしましょ、コレ」モサッ


真姫「……」


真姫「悩んでもしょうがないわ。家で少しづつ育てて行きましょう」


真姫「…………あ、そっか」


真姫「コレ、実ったら食べられるのよね。しかも採れたての奴を……」


真姫(今の今まで実ってた物を収穫して、その場で洗って切って食べれるんだ……)


真姫(塩とか、ドレッシングとか、バジルソースとかで……っ)ゴクッ



真姫「ま、まぁ?大して大きくもならないと思うし、部室に置いても大丈夫よね?」ワクワク


ガチャ


凛「お疲れにゃー」


穂乃果「お疲れー!」


真姫「あら、二人ともお疲れ」


凛「真姫ちゃんやっほー!」


穂乃果「やっほ……ん?」


穂乃果「真姫ちゃん。ソレなに?」


真姫「あぁ、コレはトマトの苗木よ」



穂乃果「へぇー!コレってトマトなんだ!」


凛「さすが真姫ちゃんにゃ!」


真姫「?」


凛「トマトが好き過ぎて、とうとう育てる所まで来ちゃったんだね!」


真姫「──ふっ!」


ピンッ


凛「いっ!?」


真姫「下らない事言ってるんじゃないの」



凛「うぅ……痛いにゃ〜」


穂乃果「ま、真姫ちゃん!酷いよ!」


真姫「あら、凛の味方をしちゃうの?」


穂乃果「へ?」


真姫「せっかく採りたての超フレッシュなトマトを穂乃果にもプレゼントしたのに」


穂乃果「凛ちゃん!めっ!」


凛「!?」


ガラッ



にこ「お疲れー」


絵里「お疲れ」


穂乃果「二人ともお疲れー!」


にこ「……ん?なにそれ?」


真姫「……」


絵里「えっと、真姫?」


真姫「……なにかしら」


絵里「いや、その……いま後ろ手に隠してて、でも全く隠せてないそれは……なに?」



真姫「さぁ、窓際に雑草でも生えたんじゃないの?」


にこ「いや有り得ないから!昨日までなんにもなかったわよ!」


真姫「にこちゃん。植物って本当に凄いのよ?」


にこ「はぁ?」


真姫「竹なんてね?一晩で何センチもグングン伸びちゃうんだから」


穂乃果「そうなの?」


凛「さぁ」



にこ「まず!竹じゃない!」


にこ「次に!明らかにアンタのデカ尻の後ろに鉢っぽいのが見える!」


真姫「」ブチッ


凛「ッwww!」


穂乃果「うわぁ」


にこ「最後に──」「矢澤にこ」


にこ「へ?」


真姫「屋上」


にこ「」



穂乃果「お、おぅ……」


凛「マッキーぶっち切れにゃ」


絵里「ま、真姫……お願いだから少し落ち着いて?」


真姫「無理です」


絵里「……」


にこ「……そ、そんなに怒らなくても」


真姫「聞こえない」


にこ「うぅ……」


真姫「さぁ、校内中に響き渡るように謝罪しなさい」



にこ「──ッ」スゥ


「デカ尻棒読みおんなぁああああっ!!!」


真姫「ッッッ」ガタンッ!!!


にこ「うひぃいいいいいいっ!!!」バッ!!!


穂乃果「あ〜あ」


凛「にゃっはっはっはっwww」


絵里「あぁもぅ……」


ガチャンッ!!!



ドガッ!!!


花陽「ひいぃぃっ!!?」


ことり「うわぁっ!!?」


希「ななっ!なんやなんや!?」


「うわぁああああああっっっ!!!!」


「止まりなさぁああああああいっ!!!!」


ダダダダダダ……


希「?」


花陽「えっ、ぇえ?」


ことり「っ……っっ」ドキッドキッ



希「……ふ〜ん。」


希(どれどれ〜)スッ


パシャ


花陽「あ」


ことり「の、希ちゃん。それ……」


希「まぁまぁ」


ジィ-ッ


希「おっ」スッ



【未知の手段で空中飛行している矢澤にこと熟したトマトを咥えて校舎屋上から電動式ガトリングの一斉掃射にて矢澤にこを撃墜しようとしている西木野真姫】



希「うわぁ、」


花陽「これ……」


ことり「知ってるよコレ。ガルルルルって言う奴だよ」


希「どうやら、姫はかな〜りご立腹みたいやねぇ」


花陽「あの……の、希ちゃん?」


希「ん?」


花陽「そ、それね?あんまり使ったらダメだよ?」


ことり「ことりもそう思うかな。また酷いことになっちゃうかもだし……」



希「──ふふっ、もう大丈夫だよ。」


花陽「へ?」


希「それに、例えどんな結果になったって、私はみんなの事信じてるから」


花陽「えへへ」


ことり「希ちゃん……」


「ちょっと真姫!にこ!」


ことり「あっ」


絵里「あ、あら。3人とも」



希「やぁやぁ、あの二人はどうしたん?」


絵里「……まぁ、いつもの奴よ」


花陽「はわわわっ」


穂乃果「そのうち戻る大丈夫だよ〜」ヒラヒラ


凛「そうそう。だからお入り〜」


希「は〜い♪」


ことり「し、心配だなぁ」


花陽「怪我なんてしてない……よね?」


「おや、何をしているのですか?」



希「おぉ、海未ちゃん」


穂乃果「あ、海未ちゃんお疲れ!」


ことり「お疲れさまぁ」


海未「お疲れ様です」


海未「何事ですか?今し方、真姫とにこが猛スピードで駆け抜けて行きましたが」


絵里「いつもの奴よ」


海未「……あぁ、なるほど」


海未「では、屋上に行く準備をしますか」スッ



希「気にも掛けられなくなったね〜」


絵里「自業自得よ」


希「──ところで、」


絵里「え?」


希「さっきから気になってたんやけど、ソレって……」スッ


モサッ


絵里「あぁ、コレ。」


穂乃果「トマトなんだってさ!」



ことり「ト、トマト?」


凛「真姫ちゃんがどっかから貰って来たんだって」


花陽「ここで育てるのかなぁ?」


絵里「あの様子じゃ、きっとそうね」


海未「まだ、プチトマト程の大きさしかありませんね。それともコレ、プチトマトなのでしょうか」


ことり「どうなんだろうねぇ」


穂乃果「後で真姫ちゃんに聞いてみようよ」



『プチトマトじゃないわ』



穂乃果「へ?」


ガチャ


真姫「それは普通のトマトよ。熟すまでまだ一月くらいは掛かるでしょうけど」バタンッ


絵里「ま、真姫」


にこ「」


凛「……えっと、その右手に持ってる部長っぽい物は……」


真姫「部長よ。」ポイッ


ドサッ


にこ「」



花陽「に、にこちゃん……っ」


ことり(完全に白目むいてる……)


真姫「そのトマト、ここで育てようと思ってるんだけど、いいかしら?」


絵里「……ダメって言ったらどうするのよ」


真姫「屋上で育てるわ」


絵里「…………私は構わないけど、」


穂乃果「穂乃果もいいよー!」


凛「まぁいいんじゃない?」



希「そんなに場所も取らないだろうし、ええと思うよ」


真姫「そっちの3人は?」


海未「私は一向に構いません」


ことり「こ、ことりも大丈夫かな?」


花陽「えっと……さ、賛成で〜す……」


にこ「」


真姫「決定ね。世話はもちろんわたしがするから、みんなは気にしなくていいわ」


穂乃果「一ヶ月後かぁ……楽しみだね!」



ことり「ことりも、偶にならお世話出来るかも」


真姫「助かるわ。大丈夫だとは思うけど、気に掛けてやってちょうだい」


絵里「──よし。じゃあみんな、着替えて屋上に行きましょう」


希「にこっち、起きぃ!」


にこ「……に、にこぉ」


穂乃果「大っきく育つんだよ〜♪」


真姫「育つに決まってるわ。」



穂乃果「へ?」


真姫「だって、この真姫ちゃんの英才教育の元で育つんだもの」


凛(最近の真姫ちゃんは自信過剰な気がするにゃ)


真姫「……待ってなさい。私がこの世で最も美しく、そして美味なトマトとして育て上げてみせるから、」


真姫「ふふふっ……アーッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ!!!!!」


絵里(……この子、変なスイッチ入ってない?)



〜一ヶ月後〜



絵里「…………長かったわ。」


にこ「……そうね。」


ことり「あ、あはは」


海未「……」


凛「まさか、一ヶ月毎日トマトに話しかけてるとは思わなかったね」


にこ「ホントよ。気が狂うかと思ったわ」


希「完全に教育ママやったもんねぇ」


絵里「トマトに算数教えてるの見た時は、話しかけるのやめようかと思ったわ……」



ガチャ


真姫「お疲れ」


にこ「お、お疲れ」


絵里「っ」


ことり「真姫ちゃん、お疲れさま」


真姫「……ふふ。見てよ、ことり」スッ


ことり「へ?」


モサモサ


真姫「遂に完成……もとい、完熟したわ」



真姫「みんなもご覧なさい。コレが究極完熟態グレート・トマトよ」


穂乃果「……」


真姫「貴方も、貴方も、そして貴方も……とても美しいわ」


凛(……こう言うのなんてゆーんだっけ?統合失調症?)


真姫「特に貴方、トマトとは思えないくらいの魅力を放っているわよ?」


真姫「──黒澤。」


絵里「く、黒澤?」



真姫「えぇ、コッチは妹の方ね」


にこ(うわぁ……とうとう名前まで付け出したにこぉ……)


真姫「で、コッチが黒澤姉。」


絵里「はぁ……」


真姫「ふふ。綺麗ね」スリスリ


希「み、みんなに名前があるん?」


絵里「!?」


にこ「(ばかっ!)」ドンッ


希「うぃ!?」



真姫「……そうね。この際だからみんなにも紹介しておくわ」


絵里「そ、それは光栄だわぁ!」


にこ「(ほら見なさいっ)」ボソッ


希「(ご、ごめん)」ボソッ


真姫「先ず、この2人が黒澤姉妹」


真姫「そして、その下で一段と存在感を放っているのが松浦で、」


真姫「その隣にいる一番大きいのが小原。」


海未(なぜ名字ばかりなのですか)


花陽「〜ッッッ」



真姫「それから、こっちのヘタが大きいのが国木田で、お団子みたいなボッコリが出来てるのが津島」


真姫「で、小振りだけど形が一番整っているのが桜内で、色艶が一番良いのが渡辺」


真姫「そしてこの──」スッ


穂乃果「へ?」


真姫「普通の奴が高海。」


ことり「はは……は……っ」


にこ「そ、そう」


「分かる……分かるよ、その気持ち!」


真姫「!」



花陽「その子達は真姫ちゃんの分身でもあるんだよね!?」


ギュッ


花陽「!?」


真姫「花陽。愛してるわ」


花陽「私も……っ///」モギュッ


凛「……」


穂乃果「その高海ちゃん、なんだかちょっとミカンっぽいね」


真姫「素晴らしい着眼点よ、穂乃果。流石は私たちのリーダーね」



穂乃果「でへへへぇ〜っ///」


ことり「あ、あはは」


にこ「アホよ、アホの子だわ」


海未「……」


絵里「う、海未」


海未「はい?」


絵里「アレ……なんとかならない?」


海未「……ハァ、」


スッ



真姫「──小原。今日もはち切れそうな程に膨らんでいるわね」


真姫「松浦。今日もとっても力強い感じよ」


「真姫。」


真姫「はい?」


海未「……まぁ、その」


海未「丹精込めて育てた"もの"に愛着が湧く気持ちは分かりますが、」


真姫「……」


海未「しかし、それは飽くまでもトマトであり、それ以上でも以下でも無いのですよ?」



真姫「物じゃないわ。家族よ」


海未「……」


スッ


海未「手遅れですね」


絵里「もう少し頑張ってよ……」


穂乃果「ベッタベタのベタ子さんだねぇ」


ことり「ま、まぁでも、愛情を込めて育てるのは寧ろ良いことなんだし、あれで良いんじゃないかな?」


にこ「……これからまた、部室に入るたびトマトに向かってブツブツ喋ってる真姫を見る事になるわよ?」



花陽「やっぱり愛ですよっ!」


穂乃果「だよね!」


にこ「おバカ」


ことり「あー・・・」


希「困ったねぇ」


凛「(ホントにトマト病の末期患者だにゃ)」ボソボソッ



凛「(──真姫だけに、)」ボソッ



……ブルブル、




真姫「あら?黒澤姉、どうしたの?」


凛「(それにしても、かよちんったらあんなに真姫ちゃんとベタベタして……)」ブツブツ


ブルブルブルブルブルブルッ!!!


真姫「そんなにブルブル震えて、貧乏ゆすりなのかしr──」


ヒュン


真姫「!?」


凛「(かよちんは凛の飼い主なんだから、もっと凛の事をm──)」ヒュン



バチュン!!!


凛「にゃんちゅう!!?」グンッ


ドテッ


穂乃果「……」


ことり「……」


海未「……」


凛「っ……っっ」ピクピク



絵里「……」


希「……」


にこ「……」


花陽「え……?」


真姫「──くっ、」


「黒澤ぁああああああっ!!!」


タタタタッ


真姫「なんで!?どうして黒澤姉!!?なにが気に入らなかったの黒澤姉ぇ!!?」



凛「」ピクピクッ


真姫「そんな……飛び込み自殺するだなんて……っ!!」


にこ「………………は?」


希「と、トマトが……吹っ飛んだ……?」


穂乃果「!」


穂乃果「布団が吹っ飛んだっ!!」


海未「うるさいです」


穂乃果「えへへ」


……ブルブルブルッ



ヒュン


穂乃果「ももんがっ!!!」バチュンッ!!!


海未「!?」


ドテッ


真姫「く、黒澤妹ぉおおおお!!?どーしてぇええええええっ!!?!?」


海未「ほ、穂乃果っ!」


ことり「穂乃果ちゃん!?」


穂乃果「……っ……モッ」ピクピクッ


真姫「あぁ……きっと黒澤姉が逝ってしまったから……その跡を追って……っ!」ガクッ



にこ「ぇ……な、なに?なんなのっ?訳がわからないわ……っ」


花陽「トマトが……一人でに飛んだ……?」


絵里「い、意味がわからない……っ」


真姫「黒澤姉ぇ……妹ぉ……っ」メソメソッ


凛「……ぅっ」ベチョォ


穂乃果「……ぁぅ」ベチョォ


花陽「り、凛ちゃん!穂乃果ちゃん!いま拭いてあげるから!」フキフキ


ことり「こ……ことり、保健室から救急箱取ってくる!」ダッ


バタンッ



希「……」


にこ「……な、何が起きてるの?これ」


絵里「…………トマトが一人でに吹き飛んで、凛と穂乃果の顔に命中したわ」


希「と、突風で……かな?」


海未「茎や葉は微動だにせず、実だけ飛ぶ突風などあるのですか?」


にこ「……ないわね。」


希(うわぁ、また深く考えるの嫌になってきt──)


希「ん?」


絵里「え?」



希「もしかしてコレ、また変な物拾ってきたんじゃないん……?」


にこ「変なもの?」


海未「……まさか、このトマトが例の自販機や、貴方のカメラの様な物だと?」


希「かなぁ〜って」


にこ「嘘でしょ……もうあの手の奴はうんざりなんだけど」


海未「私だってそうです。しかし現に──」


絵里「勝手に飛ぶ……トマト……」ブツブツ


海未「絵里?どうかしたのですか?」



絵里「……希。」


希「へ?」


絵里「貴方のカメラで、そのトマトを撮ってみてくれないかしら」


海未「!」


にこ「は?」


希「と、トマトを?なんで?」


絵里「えっと……ほら、トマトだって生き物じゃない?だから、アレの"欲望"が見れれば、もしかしたら何か分かるかもって」


にこ「トマトの欲望〜?」


にこ「それこそ、水欲しい!とか、もっとお日様下さーい!とかじゃないの?」



絵里「あはは……か、かも知れないけど」


希「う〜ん。」


海未「私は面白い試みだと思いますよ?」


絵里「海未っ」


海未「減るものでもありませんし、何も分からない今、色々と試してみるべきでしょう」


にこ「……無駄だと思うけど、」


絵里「じゃあ、窓際に置いたこの状態の、鉢植えされたトマトを撮影して貰うわ」


絵里「少しの変化も見逃さない様に、同時に私のスマホでも撮影するわね」


希「了解。ちょっと準備するねぇ」ササッ


───




ことり「や、やっと着いたぁ〜っ」


ガチャガチャ


ことり「!?」


ことり「か、鍵閉まってるよぉ〜!」


ことり「そんなぁ……」ガクッ


ことり「──あっ!」


ことり「そ、そうだ!鍵は職員室だよね!」ザッ


ことり「いそげっ!いそげっ!」


ことり「待っててね二人とも!保健委員として、ことりは精一杯頑張りまちゅっ」


ことり「〜っ///」


タッタッタッタッ……




───



「準備出来たわよ」



希「ほんじゃ行くよ〜?」スッ


絵里「えぇ。いいわ」スッ


海未「……」


にこ「……」


「ハイ、チーズ♪」


パシャ



にこ「……どぉ?」


希「ウチのはまだやね」


絵里「私のはそのままよ。当たり前だけど」


ジィ-ッ


希「おっ」


絵里「どう?」


希「……」ピラピラ


にこ「トマトの欲望ねぇ……」


海未「……」


スッ



【変化なし】



絵里「……」


希「これは……」


にこ「だと思ったわ。」


海未「ふむ。」


絵里「そうだっ!」


にこ「へ?」


絵里「ちょっと待ってて」ガラッ


バタンッ



にこ「……あの子、何しに行ったのかしら」


希「なんやろ、えりちの行動ってたまに謎な時があるから」


海未「それより」


にこ「へ?」


希「なに?」


海未「例のトマトが飛んでくる現象ですが、どうやら飛ぶ為には条件があるようです」


にこ「ほ、ほんと!?」


希「なになに!?」


海未「現に、今トマトを目の前にして、何も起こっていない事が何よりの証拠です」


希「……確かに、」



にこ「で?その条件ってのは?」


海未「……」


にこ「……ねぇ?」


海未「……」


希「っ」


海未「……」


にこ「ちょっと」


海未「……」



海未「さぁ?」


にこ「ふん!」スパンッ



海未「……痛いです。」


にこ「そぉ?そのつもりで叩いたんだから、痛がってもらえて結構よ」


海未「……」ザッ


にこ「……」スッ


ガシッ


海未「ぐぬぬぬぬっ!!」グググッ


にこ「ふににににっ!!」グググッ


希(なんか始まったし)



希「はぁ……」


希「……」チラッ


真姫「黒澤ぁ……」


花陽「はわわっ、全然落ちないよぉ!」フキフキ


穂乃果「」


凛「」


希(……今回はお手上げかなぁ)



───




「保健室の鍵?」


ことり「は、はい!どうしても必要で……」


「鍵なら保健室の先生が持ってるけど」


ことり「ぇえ!?」


「え?そ、そんなにおかしな事言った?」


ことり「ど、何処にいったんですかぁ!?」


「さ、さぁ……」


ことり「うぅ……し、失礼しましたぁ!」ダッ


ガララッ


「……きっと、保健室にしか無いものが必要なんでしょうねぇ」




───


「ハァッ、ハァッ、も、もうやめにしましょう……」


「ハァッ、ゲホッゲホッ!あ、アンタがしつこいから終わらないんでしょーが!」


海未「……わ、分かりましたから、早くコレの検証をしてしまいましょう……」


にこ「そ、そうね……穂乃果や凛の二の舞なんてゴメンだからねっ」


海未「必ずなにかある筈なんです。でなければ、あの二人だけが狙われた意味が分かりません」


にこ「トマトに意味を求めるのもアレだけど……無差別って可能性はないの?」



海未「む、無差別……う〜ん」


にこ「……」


「終わったぁ〜?」


海未「……」


にこ「あ?」


希「どぉ〜?どんな感じぃ?」モグモグ


海未「……チッ」


にこ「……カカオの取り過ぎで爆発すればいいんだわ」


希「ん〜?」モゴモゴ



……ブルブルブルッ



ヒュン


にこ「もんっ!!?」バチュン!!!


海未「!?」


ドテッ


希「えっ!?」ガタッ


真姫「!!」バッ


にこ「っ……っっ!」ピクピク



真姫「国木田……っ?国木田!国木田ぁああああああっ!!!」


希「え……な、なんで」


「──もしかしてっ」


希「!」


海未「このトマト……」


希「っ」



『"冗談"に反応するのかも知れませんっ!』



希「……それこそ冗談やろ?」


海未「し、しかし、先ほどにこが言った言葉に反応したと考えれば……」


真姫「うぅ……国木田ぁ……なんで貴方まで……っ」


「う〜ん……っ」モゾ


「あたたっ……」ムクッ


花陽「あ!ふ、二人ともっ」


凛「んぁ……かよちん?」


穂乃果「なんか……スッゴいトマト臭いんだけど」



「皆さん!いいですかっ!!」


穂乃果「!?」


凛「な、なに!?」


海未「これから、このトマトの前で冗談を言ってはいけません!」


花陽「え?え?ど、どう言うことなの?」


希「このトマトがね、なんか冗談に反応して飛んでくるらしいんよ」


凛「……あ、」


穂乃果「そういえば、穂乃果言ってたかも」



海未「ほらやっぱり!」


希「う〜ん……」


海未「貴方たち!下らない事を言えばまたトマト塗れになりますよ!?」


凛「は、は〜い」


穂乃果「肝に銘じます!」


海未「よろしい。」


「ぅ……いったぁ……」


希「おや、にこっち起きたん?」


にこ「んっ、プッ!プッ!ぷへぇ!」



にこ「何よこれぇ!顔中トマト塗れじゃないのよ!」


花陽「に、にこちゃん、コレ」スッ


にこ「あぁ、ありがとう」フキフキ


ガチャ


「みんなー!」


希「おぉ、えりち」


絵里「ソフト部からスピードガンを借りてきたわ!コレで測ってみましょう!」


希「……なんで?」



絵里「へ?だ、だって……どのくらい速いかみんな知りたいでしょ?」


希「……」


にこ「……そうね」フキフキッ


海未「そんな事より、飛ぶ原因が分かりましたよ!」


絵里「ほ、本当に!?」


海未「実はこれ、じょ──」穂乃果「冗談に反応するんだって!」


海未「……」


絵里「じょ、冗談に?」



凛「だからね、今からにこちゃんが冗談言って、体で確かめてくれるんだって」


にこ「部長命令よ。アンタがやりなさい」


凛「にこちゃんのギャグが一番面白いにゃ」


にこ「なぁーに棒読みで言ってんのよ!?アンタはただ、トマト塗れでぶっ倒れる私が見たいだけでしょーが!!」


凛「そんな事ないにゃ」


にこ「きいぃぃぃぃっ!!このノラ猫っ!」


絵里「だ、大丈夫よ!コレと一緒にキャッチャーマスクとグローブも借りて来たから!」


にこ「……は?」



絵里「はいこれ!」スッ


にこ「……」カポッ


希「にっwにこっち、似合ってるでっw」


穂乃果「にこちゃん!グローブ付けてしゃがんでみて!」


にこ「……」ゴソゴソッ


スッ


凛「おお、似合ってるにゃ」


穂乃果「うん!野球部っぽいよ!」


にこ「……」



絵里「これでどっから飛んで来ても完璧ね」


にこ「……絵里。」


絵里「え?」


にこ「……」スッ


絵里「なに?スマホ?メモ帳になにか書いたの?」


絵里「……えっと、似合ってなんて"ないないナイアガラ"……?」


希「あっ」


……ブルブルブルッ


凛「っ」バッ


真姫「あ、貴方たち──」



ヒュン


絵里「モスカウッ!!?」バチュン!!!


花陽「きゃあっ!!」


ドテッ


凛「きゅ、95kmッ!!」


にこ「ストライクッ!!!」


真姫「松浦ぁああああああっ!!!」



───




ココンコンココンッ


ココンコンココンッ



「このリズム……ことり?」


ガチャ


ことり「し、失礼しまぁ〜す」


理事長「どうしたの?」


ことり「えっとね、お母さん……き、救急箱って持ってる?」


理事長「……ここは理事長室よ?あると思う?」


ことり「うぅ……だよねぇ……」ガクッ



理事長「誰か怪我でもしたの?」


ことり「う、うん……穂乃果ちゃんと凛ちゃんが、」


理事長「そんな危ない練習をしてたの?」


ことり「え?う、うぅん!違うの!」


ことり「その……と、トマトが……顔に……」


理事長「トマト?」


ことり「うっ、ほ、保健室の先生どこに行ったか知らない!?」


理事長「保健室の?……そう言えば昼前に車で何処かへ行ったのを見たけど」



ことり「く、車でっ!!?」


理事長「多分、お昼でも食べに行ったんでしょう。そろそろ帰って来るんじゃない?」


ことり「あ……わ、分かった。じゃあ保健室の前で待ってれば会えるね!」


理事長「え?で、でも貴方──」


ことり「ありがとう!お母さん!」ガチャ


バタンッ


理事長「……」


理事長「……救急箱って、職員室にもあった気がするんだけど」




───



「飛んでくるんならさ、いっその事もう捥いじゃえば良いんじゃない?」



絵里「っ……っっ」ピクピクッ


海未「は?」


にこ「(ちょっと!)」ドンッ


希「ぅの!?」


真姫「松浦……っ、強くて美しい松浦……っ」


にこ「(これ以上余計なこと言ったら、あの子ホントに発狂し兼ねないから!)」


希「(ぇ……で、でも)」



真姫「……もう、我慢の限界よ」


にこ「え?」


真姫「これ以上、下らない駄洒落でこの子らを死なせるくらいなら……っ」


真姫「今ここでっ!全部私が食べるわっ!」


真姫「そして、それがこの子たちの幸せに繋がるのならっ!!」


にこ「はぁ?」


海未(この人は一体何を言っているのですか)


花陽「ま、真姫ちゃん──ッ」ウルッ




希「えっと……」


希「じゃ、じゃあ真姫ちゃん。切って盛り付けるから、穫って貰ってもいい?」


真姫「もちろんよ。私以外にはやらせない」


海未(完全に入り込んでいますね)


にこ(この子、変な宗教勧誘とかに引っ掛かったりしないでしょうね……)


真姫「──桜内、渡辺。今までありがとう」スッ


花陽「うぅっ」ジワッ


プチッ プチッ



穂乃果「お皿用意しよっか」


凛「あとお箸だね」


「はい。」


真姫「……獲って来たわ。」ポロポロッ


希「あ、ありがとう……じゃあ洗ってくるから」


真姫「私も行くっ」ポロポロッ


希「そ、そう?」ガチャ


バタンッ


にこ(……初めて見たわ。ボロボロ泣きながら収穫する奴)



穂乃果「トマト♪トマト♪」


凛「凛はお塩でいいでーす♪」


にこ「アンタら、もう余計なこと言うんじゃないわよ?」


凛「そうだよ?かよちん」


穂乃果「気を付けなかくちゃ」


花陽「は、はい!」


パコッ! ポコッ!


穂乃果「うんっ!?」


凛「にゃん!?」



にこ「ワンツーバカ!アンタ達のこと言ってんのよっ!!」


花陽「え?え?」


にこ「アンタも間に受けてんじゃないの!」


海未「……」


にこ「──どうしたのよ?」


海未「いえ、このトマトなんですが」


海未「流石に原型が無くなってしまえば、飛んでくる事はないですよね……」



にこ「あぁ……どうかしら」


海未「トマトジュースにでもした後、屋上で実験してみますか」


にこ「…………アンタが?」


海未「……」


にこ「ア・ン・タ・が・!?」


海未「……にこ。」


海未「トマトジュースは好きですか?」


穂乃果「あ!穂乃果好きだよ!」


凛「凛も凛も!」



にこ「……」


海未「……チッ」


「穂乃果。あとでトマトジュースを作りますので、屋上で飲みませんか?」


「いいけど、なんで屋上でなの?」


「天気が良いからです」


「ああ!なるほど!」


にこ「……はぁ、」


にこ「それにしても、この馬鹿トマト……」



にこ「トマトなんだから、ピョンピョン飛び回らないで大人しく"止まっと"きなさいよね」



……ブルブルブルッ



にこ「ぁ……ぁああっ!!?」


ブルブルブルブルッ


にこ「しし、しまった!思わず下らないこと言っちゃったぁ!」


にこ「ヘルメットは……間に合わないっ」


にこ「──こうなったら、」



にこ「避けるっ!!!」


ヒュン



にこ(……見えるわ。真っ直ぐにこの顔目掛けて飛んでくるのが、)


にこ(さっきは訳もわからず、ただ喰らうままだったけど、こうして見ると)


にこ(意外と遅い!)ニヤッ


にこ(手で受け止めてもいいけど、それじゃあにこの手まてトマト臭くなっちゃうものね)


海未「!?」


にこ(だからここは、華麗にクールに)フッ


穂乃果「にこちゃ──」


にこ(スッと避けて魅せr)ヒュン



バチュン!!!


にこ「にこっす!!!」グンッ


ドテッ


花陽「!?」


凛「93kmッ!!」


穂乃果「ストラーイクッ!!」


花陽「す、ストライクじゃないよ〜!」


凛「あ」


穂乃果「いやぁ、クセでつい……」



ガチャ


「ただーいま」


花陽「!?」


真姫「桜内……渡辺……綺麗よ。」スリスリ


希「ま、真姫ちゃん?そろそろ離そ?」


真姫「……離れ難いわ」


凛「(かよちん。しぃーっ、だよ?)」ヒソヒソ


穂乃果「(にこちゃんの片付けしなきゃ)」ボソ


花陽「〜っ」



希「ほんじゃ切るね?」サクッ


真姫「!?」


希「トントントン♪」トントントンッ


真姫「あぁ……さ、桜内……渡辺……っ」


希「盛り付けて〜♪ソースかけて〜♪」


真姫「そんなっ、そこまで……っ!」


希「よいしょ〜♪」


真姫「わたし……っ、貴方たちのことっ……、わすれないがらあぁぁぁ……っ」


希「……」



トンッ


希「出来ましたっ!」


希「スライストマトのバジルソース和えでーす♪」


真姫「桜内いぃぃぃ……、渡辺えぇぇぇぇ……」シクシクッ


希「あの……罪悪感がもの凄いから、もうやめて……」


穂乃果「おお♪綺麗に盛り付けたねぇ!」


凛「……ん?ここ、もうちょい寄せた方が綺麗に見えるにゃ」スッスッ


希「おぉ、いいねぇ」



凛「どぉ?」


希「うんうん。」


希「そこらのトマトは、綺麗に"纏まっとる"ねぇ」


希「──あっ!?」


……ブルブルブルッ


凛「えっ!?こ、コッチ!?」


穂乃果「お、お皿に持った方!?」


ブルブルブルブルブルッ!!


花陽「の、希ちゃん!伏せてっ!」


希「きゃ、キャッチーミt」スッ



シュン!!シュン!!シュン!!


希「メンッ!!」ベチャ!


希「タンッ!!」ベチャ!


希「ピンッ!!」ベチャ!


真姫「ちょっ」


シュン!!シュン!!シュン!!


希「リャンッ!!」ベチャ!


希「ペイッ!!」ベチャ!


希「コウッ!!」ベチャ!


花陽「のぞみちゃ──」



シュボッ!!!


希「ツモォウッ!!!」バチュン!!!


ドテッ


凛「120kmッ!!」


穂乃果「跳満ッ!!!」


海未「き、切ったトマトまで……まるで手裏剣みたいに……っ!」


希「っ……っっ」ピクピクッ


真姫「ぁ……あぁ……っ」ガクッ


真姫「嘘よ……っ、こんなの……信じない……っ!」ガバッ




真姫「嗚呼……高海、高海ぃ……っ」スリスリ


真姫「とうとう貴方一人に……うぅぅ……」


真姫「──高海。」スッ


真姫「貴方のこと、普通だなんて言ってしまったけど」


真姫「その優しさやスベスベ具合……そしてなにより、高海。」


真姫「貴方の"あったかみ"が大好きよ」


ボンッ


真姫「ぶひゅっ!?」バチュン!!!



ドテッ


穂乃果「近すぎっ!!」


凛「ストラーイクッ!!」


海未「うわっ」


凛「マッキーアウトォ!!」バッ


ドヒュン


凛「ぼぉっ!?」バチュン!!!


穂乃果「100km!!」


花陽「げ、ゲームセット!」



おわり。


後書き

第四回

SCP-504【批判的なトマト】

西木野さんとμ'sの愉快な仲間たち

〈本家〉
http://ja.scp-wiki.net/scp-504


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