2021-05-02 06:25:45 更新

概要

じ ぇ し か を い じ め た く な り ま し た

注意事項

二次創作にありがちな色々
二次創作の薄い本にありがちな様々
都合のいい道具と、唐突な ふたなり
Drはちまっこい 女の子
私のジェシカはそんな事しないって思う人




じゃらり…


金属質な音が聞こえてくる


それは無機質で、酷く冷たい感触を持って手首を縛り付けていた


その割に、背中に触れる感触はベッドの様に柔らかくって

ちぐはぐな状況に釈然としないものを抱えたまま、ジェシカはゆっくりと目を覚ました


「私…えっと…」


どうして? どうだったかな?


確か、ドクターと一緒におやつを食べてて…その後の記憶がぼやけていた


「ど、ドクター?」


増していく不安を押さえつけながら 周囲を見回すと、だんだんと自分の置かれている状況も見えてくる


両手は頭の上で結ばれていて、繋いだ鎖はベッドに括り付けられていた

ろくに身動きが取れない。けどやっぱり、怖いだとか、焦るとかって感情も浮かばず、ただただ不自由な体勢に困惑させられる


「あ、あのぅ…どくたー? もう、しずくってばー…」


もう一度、あの子の名前を呼んで見る


全く知らない場所で 拘束されているのなら いざしらず

少なくとも、ここがロドスの中で 一番安全だろう場所の一つ、Dr.しずく のお部屋である以上

状況が分からないでも、危機感は覚えずにいられた


ただ問題は…


寝落ちしてしまった私を、とりあえず しずくのベッドに運んだんだとか

そんな情けない状況のようにも見えず、私を繋いだ鎖が 不穏な音を鳴らしているのだけが気にかかる


「甘えん坊ね。そんなに呼ばなくても聞こえているわ」


程なくして、しずくが部屋に戻ってくる


シャワーでも浴びていたのか、肌は上気していて

着の身着のままと、サイズの合わないTシャツを頭から被っている様な格好だった


「甘えん坊って…しずくに 言われたくは無いんだけど」


まあいいや


それよりも、今はそんなことよりも、この状況を説明してもらわないことにはどうしようもない


「鎖…外してくださいよ。ていうか、なんなんですか、これ?」

「なにって? 鎖でしょう? ジェシカを縛っているのだわ」

「見れば分かりますよ。どうして縛ってるんですかって話をですね」

「あ、それを聞く? それを聞いてしまうのね?」


嫌な予感がする…


くすくすと笑う 仕草は愛らしいが

そんな笑顔のときに限って、ろくなことを考えていない


「お・し・お・き…だよ?」


からかうように 吐息が耳元に吹きかけられた


じゃらり…


鎖が音を立てる


肌が波立ち、そのくすぐったさに体が震えてしまう


「お仕置きって…。また変なこと言い出して。もう、良いから外して下さい」

「変ではないのよ? 変ってことはないのだわ。ジェシーが購買のクッキーを買い占めるから、私が食べ損ねたんじゃない

 とんだ食いしん坊なのよ。ついでに、私と同じ目にあった子たちからの苦情が数件。理由としては十分ではない?」

「うっ、それは…ごめんなさい…」


それを言われると返す言葉がなくなってしまった

大人買いとは言うけれど、やり口はお小遣いを貰った子供のそれと変わらず

指摘されてしまえば返す言葉もない


「良いのよ、別に責めてるわけではないの。大人げないとは思うけど…むしろ子供っぽい? のかしらね?」


ベッドが弾むと、しずく が私に覆いかぶさってくる


じゃらり…


鎖が音を立てる


抵抗しようと動かした両手は、繋がれたベッドに引き戻されてしまう

かと言って、まさか しずくを蹴り飛ばすわけにもいかず

そのまま、お腹の上に乗られてしまうと、私に出来る事なんて何もなくなってしまっていた


少し息苦しい


たかが女の子一人、とりわけ小柄な しずく一人でも

お腹に体重をかけ続けられるのは そこそこ辛い


もう少し、前の方に重心を移してくれないものかと思っていると


ぺたぺた…


息苦しさとは正反対の、柔らかい感触がお腹の上で遊びだす


「なに、してるんですか?」

「うん? ジェシーのお腹も、そこそこ固いのねって?」


不思議そうに自分のお腹と触り比べながら、突っつかれるのは流石にくすぐったい


「ひふっ…ちょっ、しずく…やめてって。くすぐったいから」

「それで正解よ。だって、くすぐったくしているのだもの」


しずくの指先が お腹の上を滑っていく

不意に力の入ってしまった腹筋の形をなぞられるのは、くすぐったさとは違った嫌な恥ずかしさがあった


背中合わせのジレンマ


オペレーターとしては好ましいが、女の子としては疎ましい


無駄な抵抗とは知りつつも.。ちょっとだけ、少しだけでも、お菓子のカロリーがお腹に回れば

腹筋の形も誤魔化せるんじゃないかと期待をして、いつしか病みつきになってしまっていた


「でも、ドーベルマンと比べたらまだまだね」

「そりゃ、教官と比べっちゃたら…」


だって教官は、お菓子よりは 肉な人で、ジュースよりはプロテインだ

目に見えて分かる腹筋の形は、ある種の畏敬の念さえ覚えてしまう


「かっこいいとは思うけど。私はジェシーくらいが良いわ。柔らかくって、触り心地が良いもの」


じゃらり…


鎖が音を立てる


しずくの手が、服の中に潜り込んでいた

脇腹を弄られ、くすぐったさに堪らず身体を揺らしてしまう

乱れる呼吸をなんとか抑えているうちに、その指先はブラジャーにまで伸びてきていた


「ちょっ!? しずくっ、どこまで触る気なの。冗談だったらそろそろ…」

「冗談? 冗談ではないのよ? お仕置きだって言ったじゃない」

「それにしたって、そんなとこ触らなくたって」

「そんな所って?」


顔を寄せてきたしずくが、意地悪な顔で笑っている


いくら女の子同士だからって、分かってて言葉にさせられるのは少し恥ずかしい


「だから…お、おっぱい…」

「あはははっ。随分と可愛い言い方を選ぶのね」

「もうっ、そろそろ怒りますよっ」


お腹を抱えたしずくに 耐えきれず、頬を膨らませる

いつもなら この辺りでやめてくれるのに、今日に限ってはそんな気配はまるで無かった


「怒ってもいいけど、止めないわよ? 今日はお仕置きだって言ったでしょう?」

「クッキーのことなら皆さんに謝りますから…」

「だーめ。悪いジェシカは、一度しっかり しつけをしないと」

「しつけって…犬じゃないんだから」

「そうね、犬じゃなくて猫だもの…。あれ? ネコのしつけってどうするのかしら?」


こっくりと、首を傾げる しずく


可愛らしく振る舞いながらも、悪戯に冗談を言っている風には まるで見えず

これから自分の身に起こることを考えれば、不安ばっかりが胸のうちに広がっていく


ぱんっと、しずくが手を叩くと同時に弾ける笑顔


「残念、ジェシカは敵に捕まってしまいました。これから エッチな事をされるんだと思います。そんな感じでどうかしら?」

「何を馬鹿なこと言って…。そんなんじゃフェンみたいになっちゃいますよ?」

「違うわジェシー、間違っているのよ。それでは順序が逆、だいたいフェンのせいだと思えば、何も間違いではないものよ」

「ああ、もう…あの子は…」


手遅れだった


だいたいフェンのせいって言われると、それだけで納得が出来てしまう

ていうかあの子は、しずくがそんな目にあっても興奮出来るのだろうか?

そりゃ確かに、自分たちじゃ絶対見られない顔なのかもしれないけども


私だったら気が気でないし、そんな事考えたくもないのに…


「あの、しずく? するにしたってもう少しまともな状況設定をですね…」


止めて…というのはもう諦めていた


こうなったら しずくは何が何でも私に えっちな事をしたがるんだろうし

それならそれで、まだ受け入れやすい方向に、せめて普通に可愛がって貰いたい


「まともな状況なら ただのご褒美じゃない。お仕置きだって言っているのに」

「ご褒美って…フェンじゃないんだから…私にそんな趣味は…」

「じゃあ、作ってあげる、病みつきにしてあげるんだから。大丈夫、任せておいて…」


きっと上手にしてみせるんだから…


普段は頼もしいその言葉も、今に限って言えば、この場に置いては不穏当で仕方がなかった





「じゃあ、目隠しからね」


いそいそと、ベッド脇の鞄から、しずくが黒い布を引っ張り出す


「そこまでしなくても…」

「だって、私の顔が見えていたらしょうがないでしょう。冗談みたいになってしまうわ」

「それは…まあ…」


悪ぶってる しずくの顔を想像してはみるものの

お互い分かっているだけに、あまり怖くないというか、雰囲気にかけるというか、下手をすれば笑えてくる


じゃらり…


鎖の音がする


視界は真っ暗で何も見えず、両手がベッドに繋がれた身体ではロクな抵抗さえも叶わない



目隠しってのは 意外と有効みたいだった


見えないなりに状況を把握しようと聞き耳が立ってしまう

聞こえてくるのは、覚束ない自分の吐息と心臓の音

しずくの気配を耳で追いかけて、衣擦れの音一つにさえ、なにかの前触れの様に感じて気持ちがささくれ立つ


「どう、ジェシカ? あなたはこれから私の好きにされるのよ?」


耳元で、しずくが囁きかけてくる


痛い事をされるかもしれないし、怖い思いをするかもしれない

エッチな事をされて、無理やり気持ちよくなってしまうかもしれないし

あなたがどれだけイヤだって言っても、だーれも聞いてはくれないの


大丈夫、でも大丈夫よ


あなたは私のものなんだから


私の言うことをちゃーんと聞いていて?


それ以外の事は何も考えなくていいのよ


怖いことも嫌なことも、気持ちの良いことも、全部私に預けてちょうだい


そうすれば絶対大丈夫


安心して、私に任せていて、そうすればきっと良い子になれるわ


良い子でいれば、いっぱい褒めてもらえるのよ? たくさんたくさん愛してもらえるの


それはとっても…幸せなことなんだから



不思議な声音だった


ただのささやき声のはずなのに、大きくも小さなくもなく

耳をすり抜けて、頭に、心に、直接響いてくるような声


ゆっくりと、語りかけるように

こっそりと、忍び込んでくるように

優しく、言い聞かせるみたいに


不安が、さざなみのように引いていく

深くなった呼吸が、波打ち際に消えていく


意識が朦朧としてきた、波間に揺られる木の葉の様に、すぐにも溺れてしまいそうだった

頼りになるのは しずくの声だけ。その声に手を引かれながら、ゆっくりと…私の意識は沈んでいく



「悪い子ね、とってもいけない子なのだわ

ちゃんと帰ってくるって言ったのに、どうしてあなたは そこにいるのかしら」


じゃらり…


鎖の音がする


目の前は真っ暗で何も見えない

両手は鎖で繋がれていて、逃げることも出来なければ、自分の状態でさえ定かではなかった


「敵に捕まってしまった。上手く任務も果たせず、私の所にも帰れない…なんて、悪い子なんでしょうね」


ありえない状況が脳裏に浮かんでくる


どこでもない部屋の中で鎖に縛られている情けない自分の姿


「ほら、ごめんなさいは? あなたは悪い子なんだから、ちゃんと謝らないと」

「…ごめんなさい」

「泣いたってしょうがないわ。それでは誰も許してくれないもの」


ふと、浮かんだ言葉に首が傾いてしまう

謝っても許してもらえず、言われるままに目頭が熱くなっているのに気づかされると、今にも涙が溢れてきそうだった


「悪い子にはお仕置きをしないと。ちゃんとバツを受けて良い子になろ?

 そうしたら一杯褒めてあげるわ、たくさんたくさん愛してあげるんだから」


だから、良いよね?


優しい声音に、頷くしか無かった

今の自分に出来ることはそれしかなく、すがる先もそこにしか無い


悪い子には罰を、良い子になってまた褒めてもらおう


それだけが、唯一の救いにも聞こえていた



じゃらり…


鎖の音がする


冷えたお腹に、服が捲られているのに気づく


「えっちな下着ね…一体誰に見せるつもりだったの?」


自分の姿が上書きされていくみたいだった


「黒色で、レースの飾りが付いていて、とってもいやらしい…」


頭が混乱してくる


着けた覚えのない下着。でも しずくが言うんだから、見られているんだからその通りの筈で


「誰に見せるつもりだったの? 私に? それとも…あなたを捕まえた誰か?」

「…そんなつもりは、だって…」


恥ずかしさに顔が熱くなってくる


そんな見せつけるような下着を、何で? 誰に?

覚えのない羞恥心が、ゆっくりと身体の中で温度を上げていく


「想像してみて? 私に見られている自分を…えっちな格好している自分を…

 そして、これからえっちな事をされる情けないあなたの姿を…」


「やだ…だめ、見ないで…」


首を振って想像を追い払う

けど、しずくの言葉は何処までも私につきまとい、ありもしない現実を見せつけてきた

恥ずかしさに身を捩っても、繋がれた鎖に邪魔をされ、出来たことは精々足を閉じて身を縮めるくらい


「でも、乳首…固くなっているわよ? ほら、ブラジャーまで押し上げて、とっても苦しそう」


つん…


指先で突かれた乳首が、弾みを付けてそれを押し返す



じゃらり…


鎖の音がする


乳首から痺れるような感覚が広がり、身体を揺らしていた


「うふふ。くすぐたかった? それとも、もう気持ちよくなっちゃってるの?」

「そんなの…わかんな…ぁっ」

「わかんないなら、もっと触ってあげるわ…ほら…つんって…つんつんってして…」


きゅっと、指先で乳首を摘まれた


痛みにも近い痺れが不意に広がり、驚いた身体が跳ねてしまう


「くにゅくにゅ、くにゅくにゅ…ねぇ、気持ちいい? 気持ちよくなってきた?」

「っ…そんなわけ…そんなこと…」


「そうなの? じゃあ、想像してみましょうか? 大好きな私に触られている自分の姿を

 顔が赤くなってるわ、胸がドキドキしてる、息も荒くなって、締め付けられるように切なくなってくる」


「まって…それ、だめ…」


イメージが刷り込まれていく、すんなりと脳裏が書き換えられていく

真っ暗だった視界に、下着姿の自分が浮かび、しずくに身体を弄られる感覚を想像させられる


「ほら、乳首がもっと固くなる、幸せに身震いしてまう。だって、あなたは良い子だもの

 乳首を弄られたら感じてしまってもしょうがないよね? 素直に感じてしまうのが良い子なんだから」



じゃらり…


鎖の音がする


快感だった、気持ちがよかった


痛いくらいだった痺れは、急に甘さを含んで全身を苛み始める

しずくの声に流されるまま、耳を塞ぐことも出来ずに全身の感度が上がっていく


「私に触られるのは嬉しいよね? 私に触られるのは気持ちがいいもんね

 ほら、頷いて見せて? そうしたらもっと気持ち良くなれるよ? もっと良い子になれるんだから…」


「あ、はぁ…ん…」


途切れ途切れ、ためらいがちにでも頷いてしまった


言われるまま、気持ちがいいと俯くと、甘い痺れも素直に感じられてくる

なにも我慢をすることはない。我慢したって辛いだけ、言われるままに感じているほうが、もっとずっと楽になれて

言うことを聞いて良い子になれれば、たくさんたくさん褒めてもらえるから


「はい、ご褒美。反対側も一緒に弄ってあげる。どう、気持ちいい? 気持ちがいいでしょう?

 ふわふわして、身体が熱くなって、ぼぅっとしてきて。きゅっと乳首を摘まれると声が出ちゃうよ?

 だって、あなたは素直で良い子だもの。気持ち良くて声が出ちゃうのもしょうがないよね?

 声をだすともっと気持ちがいいんだもんね? ほら…」


言葉に快感が塗り込められていく


胸を弄られているだけなのに、火が付いたように全身が熱くなる


気持ちいい、気持ちがいい


違うって、こんなのおかしいって思いながらも

弄られている乳首から、甘い痺れが襲ってくる


堪らず上がった自分の声に、恥ずかしさが増していく

恥ずかしくってドキドキして、それがまた快感に上乗せされる


しずくに弄られて感じてしまってる、感じている自分を しずくに見られている

身動きも出来ないまま、好き勝手な快楽に流されていく自分が随分と情けなかった



頭がふわふわする、身体が熱い


思わず出そうになる声を飲み込もうともしたけれど


「我慢しないで? 気持ちいいって言っていいのよ? あなたは素直で良い子になるんだから…」


しずくの声に手を引かれ、いつしか自分で考えるのをやめていた

ただただ言うことを聞いているのが楽で、幸せで、気持ちがいい


「あっ、んぅ…やぁぁぁぁ…」


じゃらり…


鎖の音がする


堪らず声を上げると、全身が弾けたような感覚に襲われていた

身体から力が抜けていく。呼吸をする度に、か細い声が口から漏れて

乳首を弄られ続けていると、また、快感が胸の内から全身へと広がっていった


「えっちな子、乳首だけでイッちゃったの? あなたはとってもえっちな子なんだね

 やっぱり、えっちな子にはお仕置きをしないと、お仕置きされてちゃんと良い子にならないとね?」


ちがうの…ちがうのに…


一度達してしまった身体は、さらに快感を求めて昂りだす

そんなんじゃ足りない、もっとして欲しい、その行き着く先に気がつくと

お腹の奥が、ぽっと火が付いたように熱くなり始めていた


「どうしたの? そんなに太ももをこすり合わせて? そこも触って欲しいのかしら?」

「っ!?」


慌てて、すり合わせていた太ももを引き剥がす

いつの間に、こんなことになっていたのか。離れた太ももには、濡れた感触が広がってしまっていた

 

「分かるわよ? 乳首だけじゃ物足りないよね? ちゃぁんとそこも、気持ちよくして欲しいもんね?」

「あ…あぁ…」


何も言えなかった


胸だけならまだしも、自分の女性をさらけ出すような事を口にするなんて

いくら快感を煽られているからって、いくら大好きな しずくに触られることを想像したからって


じゃらり…


鎖の音がする


お腹に、下腹部に、手が置かれる

じんわりと、広がる快感を捏ね回されて身体が揺れてしまう


乳首のものとは違う


性に直結する快感に、身体が次第に焦れ始め、じわじわと、心が削られるみたいだった


「ボタン、外してあげるね? ファスナーも下ろしちゃうよ?」


じぃ…っと


履いていたズボンが開かれていく


晒された下着は、きっと、黒色でレースの付いた 少しえっちな下着なんだろう


誰かに見られることを意識して…


実際、見られてしまって、恥ずかしさの中に、若干の興奮を覚えてしまう


「まあ、大変。分かる? 黒い下着が染みになってしまっているわ。溢れちゃって、太ももまで濡らして…」

「いわ…ないで…」


あまりの恥ずかしさに、顔に血が集まってきていた


濡れた太ももは冷たくて、下着が割れ目に張り付いているのを自覚させられる

ひろがる甘い匂いに、自分の女性を、快感を感じ取り、恥ずかしさですら性欲に塗りつぶされていく


「えっちな子、今のあなたを皆が見たらなんていうのかしらね? 乳首だけでイッちゃって

 太ももこすり合わせて、物欲しそうにしてるだなんて…」

「やだ…言わないで…お願いだから…」


聞きたくなかった。想像でも、皆にこんな姿見られるだなんて

えっちな子だなんて思われなくないのに。もう、自分でも快感に歯止めが効かなくなってきている


「お願い? お願いってなぁに? もっとして欲しいの? もう止めて欲しいの?」

「そんなの…。やめてって、もう…許してぇ…」

「だーめ、聞いてあげないわ」

「やだぁ…」


分かりきったはずの一言に、心が潰されてしまいそうだった


「だってあなた。お仕置きのくせに悦んじゃってるじゃない? もっとしっかりしつけないと」

「悦んでなんか…」

「本当に? こんなに下着を濡らしておいて? ほら…」



じゃらり…


鎖の音がする


指先が、割れ目の筋を辿っていく

溶けるような快感に全身が包まれて、全てを投げ出してしまいたくなっていた


「感じちゃっているのね。割れ目を弄られて気持ちがいいんでしょう?」

「ちが…そんなんじゃ、わたしは…ふぁ…っ」


ぎこちなく首を振る


けれど、そんなんで快楽が振り払えるわけもなく

溶けるような快感に声を漏らすと、更に心地よさが増していった


「ほら、想像して? 両手を鎖で縛られている自分を、目隠しまでされている情けない自分の姿を

 乳首を弄られて感じちゃってる自分の姿を。割れ目から愛液を垂れ流してる えっちなあなたの姿を」


さあ、想像して


「えっちなあなたの姿を、ちゃんと私がが見ていて上げるから」

「やだ、やだ…みないで、こんなの…私、ちがうから…」


何も見えないはずなのに、情けない自分の姿と、えっちな自分を見下ろすドクターの影が重なっていく


「違わない、何も違わないわ。あなたは見られて感じてしまっているのよ

 ほら、割れ目から愛液が止まらなくなってるわ。溢れた愛液で水溜りまで作っちゃって

 そんなに気持ちがいいの? 見られて感じているの? とんだ変態ね、なんてえっちな子なんでしょう」


囁きに、頭を溶かされそうだった


指先が割れ目をなぞる度に、快感に引きずられそうになる


「でも、大丈夫、大丈夫よ。あなたは素直で良い子なんだから、私の言うとおりに気持ちよくなってればいいの

 ほら、恥ずかしいのも、怖いのも、気持ちがいいのも、全部私に預けて、全部私に任せて

 そうすれば、もっと、きっと、良い子になれるわ。そうすればちゃんと許してあげるから」


ほんとうに? ほんとうにそうなんだろうか?


ただ気持ちよくなってるだけで、本当に全部許してくれるのだろうか?


これは、お仕置きなのに…こんなに、悦んでしまって良いのかな?


でも…しずくが良いって、全部任せたら、それで…いいって言うから…私…



じゃらり…


鎖の音がする



気づけば、声を上げて鳴いていた


下着の上から割れ目を弄られるのがとても気持ちよかった

2回、3回と、軽い絶頂を重ねて、ひたすらに大きくなる快感に身を捩る


情けない自分の姿も、しずくに見られているえっちな自分も


すべてがどうでも良くなってくる


気持ちいい、気持ちがいい、割れ目を弄られるのが堪らない


もっと素直に声を上げて、快感を吐き出して


「良い子ね、とっても良い子よ。ほら、ちゃんと言って? 気持ちがいいって、イクときはイキますって言うのよ?

 そうすれば、もっと良い子になれるわ。たくさん褒めてあげる、いっぱい愛してあげるんだから」


細い指先が、目いっぱいに沈み込んでくる

引きずらる下着の布地。ぐちゅぐちゅに掻き回される割れ目の音がとても いやらしく聞こえていた


「気持ちいいっ、気持ちいいのっ。もうっ、わたっ、わたし…また、イッちゃうから…」

「うん、良い子。とっても良い子よ。じゃあ、見せて? あなたがイク所を。私に、あなたの大好きな私に

 えっちな声を上げるあなたの姿を、たくさん見せてちょうだいね?」


頭を撫でられた、良い子って褒められた

嬉しい…幸せで…気持ちがいい


良い子だから、私、良い子になるから、えっちな所、私のイク所、もっとちゃんと見てて欲しい


「あっあっあぁぁっ、いく、イッちゃっ、しずくっ私、みててっ!?」


快感が弾けた


びくっと、大きく身体が震えて、見せつけるように背中が反り返る

足が震えている、だらしなく開いた口から つぅっと流れるよだれに首筋を撫でられる


気持ちいい、気持ちがいい


身体が真っ白に、頭も真っ白に


自分が崩れていくのが分かる。怖いくらいの快感が、怖いくらいに気持ちが良い



じゃらり…


鎖の音がなる


目の前は真っ暗で、荒い自分の吐息がやけに煩く聞こえていた


「よく出来ました。偉かったわよ」

「あ…」


頭を撫でられた


それがとっても気持ちがいい、幸せで、満たされる

上手にできた、良い子になれた、これで許してもらえる…?


「さて、それじゃあそろそろ、お仕置きにしましょうか…」

「え? お仕置きって…いまの」

「今のって、気持ちよくなってるだけじゃ罰にならないでしょう? 大丈夫ちゃんと私が見ててあげるから」

「まってっ、しずく…わたし…」



「さあ、思い出して」


その一言で想像が上書きされていく


脳裏を勝手に弄られて、見えないはずの視界にあられもない光景が浮かんでくる


「今のあなたの状況を…。敵に捕まって、目隠しをされて、目の前は真っ暗で。両手は鎖に縛られて、身動き一つも取れないの

 上着はたくし上げられて、ずらされたブラジャーからは可愛い おっぱいがこぼれてる

 ズボンも、下着も、一緒に下ろしちゃうね。ゆっくり、ゆっくり…脱がしてあげる

 割れ目も見えてきたわ、愛液でぐっしょり濡らしちゃって…もう、準備は良いみたいね…」


ガサゴソと何かを弄るような音がする

噛み合っていたファスナーがずり降ろされ、その奥から何かを引き出しているような


鞄の中?


そう思えればまだ幸せだったかもしれない


でも、今の私は、敵に捕まってる状態で

そこから連想されたモノに、心が追い詰められていく


そして、その先端が、割れ目を押し開いていった


「んっく…」


馴れない異物感に身を震わせて、身体は強張っていく

「いや」とか「だめ」とか、なんて呟きは些細な抵抗にしかならず

身を捩って逃げようする私の中に、ゆっくり、ゆっくりと…けど、確かにソレは埋まっていった


「んあ…はぁ…はぁ…」


奥まで入りきったのか、その侵入は止まっていたが

無理やり広げられたお腹の奥が、重苦しくて落ち着かない


「分かる? あなたの割れ目、いっぱいに広がっちゃってるわ、咥えこんでギチギチになってて」

「いわないで…」

「ココに入っているのね…」


下腹部を撫でられる


その裏側に入ってるモノを確かめるように

小さな指が這い回ると、むず痒いようなもどかしさに胸が苦しくなる


「抜いて…しずく…おねが…」

「だーめ。ていうか、私のじゃないんだし、言わないでよ」

「そんな…じゃあ、誰に…」

「さあ? 誰かにじゃない? 私だって知らない誰かに。お願いしたら、せめて優しくはしてくれるかもよ?」

「やぁ…ぬいて、おねがいだからぁ…」

「うふふ…。可愛いの、そんな必死になっちゃって…。ほら、口を開けて…まあ、開けなくても無理やりにするけれど」


言葉のままに唇を塞がれる


柔らかく、温かい


押し付けられた感触に、キスをされたんだと気づく間もなく、短い舌先が私の唇をつつき出す

こじ開けるように、引き剥がすように、舌先が唇の隙間に染み込んでいく


嫌な予感がする


けど、抵抗できる程の余裕がない

身を捩るたびに、割れ目の奥に挟まったモノが中で動き、その感触に身体が竦んでしまう


犯される、犯されてる


怖くて、苦しくて、そのくせ、しずくのキスは優しく、甘く…

用意されたような逃げ道に、唇を開かされていく


しずくの舌が入ってくる


短くて、小さな舌先が、歯に触れる前に留まって、唇をくすぐってくる

頭がぼぅっとしていた。身体を強張らせ続けるのにも疲れ始め

一度、息をするように緩んだ口元。押し出したかったのか、触れてみたかったのか


どっちにしろ…


吸い込まれるように 伸びていく自分の舌を止められないまま


ごくり…


開いた口の隙間から、しずくの唾液と一緒に何かを押し込まれた

慌てて引っ込みそうなった舌は捕まえられて、唾液と勘違いしたのか、反射的にソレを飲み込んでしまった


「こっほっ…な、何を飲ませて」


顔を離し、息を吐き出す


けれどその頃には、丸い、錠剤を飲み込んだような違和感が喉の奥に落ちていた


「そのうち分かるわ…ほら…あなたの中に沈んでいってるでしょう?」


喉元に、指先が突きつけられる


薄っすらと爪をたてながら、違和感の後を辿るように身体の上を滑っていく

首筋を、胸元を、胸の谷間を通り過ぎ、みぞおちの辺りでようやく留まる


「ほら、想像して」

「あ…」


耳を塞ぎたかった


けど、目隠しをされたせいか、高められた快感のせいか

いつもより敏感になった耳は、その息遣いの一つでも拾い上げてしまっている


また、認識が上書きされていくのを止められない、想像が頭の中に広がって、自分の形が崩れていく


「お腹の奥が気持ちよくなっていく。ふわりとした感覚に、胸が弾んで、体温がどんどんと上がってく

 怖いの? 不安かな? でも安心して。これも今飲ませた薬のせい

 だからあなたは何にも心配しなくていいの。気持ちいいのは薬のせい、えっちな気分になるのも薬のせい

 心配しないで、安心して、あなたは素直になればいい。素直に気持ちよくなっていていいのよ」


身体から力が抜けていく、心が溶かされていく


苦しいばっかりだったお腹の奥に、ぽっと火が灯ると、ぞくっと震えるような快感が湧き上がってくる


「良い子よ。そのままもっと気持ちよくなって? ほら、そろそろ動き始めるわ」


くちゅ…


粘ついた水音が、嫌に大きく聞こえていた


その表面の凸凹は、割れ目の中を引っ掻かきながら、ゆっくりと後ろに下がっていく

異物感が薄れ、少しだけ楽になったと息を吐くと、身体から力が抜けていった


くちゅ…


それを狙ったみたいに、また割れ目が押し広げられる

けれど、一度力の抜けた身体は、気を取り戻す事もなく。息苦しさは、快感の切なさに変わって胸を打ち始めていた


お腹が熱い、頭がぼぅっとする


自分の中を凸凹で掻き回されるたびに、快感が愛液に変わって滴り落ちる

喘ぎ声が嬌声に変わっていく。恥ずかしさに涙が滲んで、不意に突き上げらた快楽に雫がこぼれ落ちていった


「気持ちいい? 気持ちがいいの? 誰かも分からないモノを受け入れて、感じちゃってるの?」

「いやっ、ちがうからぁ…いわないで、わたしそんなんじゃ…ああっ!」


煽るような しずくの声に首を振る。けれど、そんな抵抗さえも弱々しい


だって、気持ちが良かった


くちゅくちゅ…と、響く水音に感じているのを自覚させられていた


大雑把に掻き回されて、凸凹に中を擦られると、目の前が くらくらするくらい気持ちよかった

突き上げられて、身体が揺れて、じゃらりじゃらりと、鎖の音を聞かされる

身動きも出来ない、抵抗もできない、されるがまま、ただただ情けないばっかりに犯されて


「それでも感じちゃってるんだ?」


からかうような 声に、背中が震え上がる

被虐的な快感を焚き付けられて、見られながら犯されている自分が ただただ恥ずかしくって


そんな情けない自分の姿を想うだけで、どうしてか快感が増していく


「じゃあ、そろそろ良いかしら? あなたも気持ち良くなりたいよね、もう我慢も限界だもんね」


数が聞こえてくる


だんだんと、小さくなっていく数字の羅列に、嫌でも終わりの瞬間を意識させられた


快感の終わり、絶頂の瞬間。ただの愛撫でも あんなに気持ちよかったのに

今でも、それ以上に気持ちいいのに、まだまだ膨れ上がる快感は0に向かってひたすらに大きくなっていく


「良いの? 中で出されちゃうのに? そんなに気持ちよさそうにして」

「あ…そんなの…」


一瞬だけ、気持ちが青ざめた


けれど、突き上げてくる快感に、すぐにも熱取り戻してしまう


「良いよね? だって気持ちがいいんだもの。中で出されたら もっと気持ちいいよ、だってそれが女の子の幸せだから」


気持ちいい、そう言われるだけで快感が高まっていく

中で出される…。それが、お腹の奥で広がる快感を想像して、身体が期待に揺れていた


見られながら、知らない誰かに犯されて、絶頂させられる、無防備な中に射精される

嫌なはずなのに、そんな情けないの絶対ダメなはずなのに…


なのに、すっごく気持ちがいい


これも しずくのせいだ、これも薬のせいだ

これは ただのお仕置きで、こんな情けないのに感じてしまうのも、そのせいで


仕方ない、しょうがない…


諦めたら諦めただけ、快感が上がっていく


素直に気持ちいいって言うだけで身体が熱くなり、えっちな自分の姿に酔いしれていく


「ごー…」


ふっと、囁くように耳元で呟かれた


ぞくりと、身体が震え上がる


小さくなり続けた数字は、気づけば一桁を切っていて

絶頂の予感を感じた身体が快楽に溺れだす


「よーん…」


激しくなる水音、身体がさらに熱くなっていく


痛いくらい、苦しくらいの刺激も快楽に囚われて

愛液で ぐちゃぐちゃになった割れ目の中を、凸凹のついたモノで滅茶苦茶に犯される


「さーん…」


一瞬、目の前が真っ白になった


詰まるような嬌声を飲み込んで、甘い痺れに身体から力が抜けていく

軽い絶頂。その余韻が引かないまま、無防備になった割れ目の中をさらに掻き回された

乱暴に突き上げられ、無理やりに甘い声を上げさせられながら、更に快楽の底に引き込まれていく


「にー…」


ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…


気づけば誰かに謝っていた


快感に、途切れ途切れになりながらも、嬌声の合間を縫って謝り続ける


誰に? 自分に? しずくに? 


分かんない、分かんないけど…


涙が溢れる、快感に考えが纏まらない


身体を、思考を、滅茶苦茶にされて、ただそれだけが気持ちよくって

そんなので感じてるのが情けなくって、そんな自分の姿を想像すると、どうしてか更に快感が増していく


「…」


途切れた数字


なんで…?


裏切られた困惑に、バラバラだった思考が一瞬だけ形を取り戻す


「どうして謝るの? だって気持ちいいんでしょう? だって幸せなんでしょう? 何も悪くないじゃない?」

「それは…だって…わたし…」

「嫌ならやめてしまう? どうしてもって言うなら、もうおしまいにする?」

「あ…あぁ…」


言えなかった、言えるわけがなかった


絶頂の直前でやめられて、どうしたってダメだなんて言えるはずがない


「だったら、ごめんなさい、じゃなくって。お願いします、でしょう?」


それは懇願だった


無理矢理にではなく自分から


快楽に屈服して、服従させられる


みっともなくて、情けなくって



割れ目の中から凸凹が抜けていく


身体が楽になる代わりに、遠のいていく快感に背筋が凍えていた


このまま戻ってこないんじゃ、これでもうお終いって抜かれるんじゃないか



望んでいたのに、求めてなくて


膨らんだ焦りが喉を付くと、恥ずかしさを押し出して声を上げていた


「おねがい、します…お願いだから…いま、やめちゃ…やめないで…」



…えっち


耳元で からかわれた気がした


けれど、そんな事より、そんな言葉よりも


「いーち…」


たった一つの数字に身を焦がし、お腹の奥を突き上げられた快感に声を上げる


「…ぜろ」


弾むような可愛らしい声だった


悪戯をするように甘えた声に唆されて、待ちわびた瞬間に叩き落される


「あぁぁぁぁっ、ひっうぅあっ、んんんんぅぅっ!?」


わけも上がらず声を上げていた


自分の声をどこか遠くで聞きながら、膨れ上がった快楽に流されていく

お腹の奥が きゅっと締まり、ソレを深く咥え込むと、もっとと欲しがるように腰が跳ねてしまう


どくん…どくん…


脈打つ鼓動に合わせて、お腹の奥に快楽が広がっていく

じんわりと…それでいて容赦なく。広がった快楽に身体が犯されていた


真っ白…


身体が真っ白、頭も真っ白…


快感に身を捩り、どくんと脈打たれ


「ぜーろ…」


また…


もう一度、絶頂のどん底に叩き落される


見られながら、無理やり犯されながら、自分から身体を差し出して


絶頂が、快感が、幸福に変わっていく


甘い痺れ、甘い幸せ、真っ白な幸福感に何も考えらないまま


「…ぜろ」


またイカされる


もうやめてって、言ったつもりで、ただただ叫んでいて

幸せの内に身体を震わせながら、だんだんと、まぶたが落ちていった





その顔を見ているだけで ゾクゾクする…


「ぁぁぁ…ぁぁぁ…っ…ぅ…」


囁くだけで絶頂して、何度も何度もイカされて

幸せそうに身体を投げ出しているジェシカを見るだけで、何かたまらないものがこみ上げてきた


一度こうしてみたかった


ジェシカには、被虐的な快楽が似合うんじゃないかって、実際そのとおりで


「はぁ…。いいなぁ、ジェシカ…可愛いなぁ…私のジェシー…」


うっとりと、我慢できなくなった愛情を吐き出しながら、私はジェシカに手を伸ばした


目隠しを剥ぎ取ると、焦点のあっていない瞳が私を見上げてくる

絶頂の余韻にとけた顔。あふれた涙と、こぼれた唾液で、可愛い顔が ぐちゃぐちゃになっている


その頬に口づけをして、汚れた顔を綺麗にしていく

涙を掬い、唾液を舐め上げ、それでも余った快感に身体を揺らすジェシカ

耳元に息を吹きかけただけで身を竦ませて、せっかく綺麗にした目元にまた涙が溜まってくる


「おかえりなさい、ジェシカ…」


耳元でそっと囁いた


そうして、再び涙が溢れる前に、もう一度目元に口づけをすると

ぼんやりとしてたジェシカの瞳に色が戻り始めていた


「あ、れ…しずく…? わたし…ひぅっ…ぇ、やだ、うそ…ごめん、なさい…」

「泣き虫ね。大丈夫よ、ちゃんと私は此処にいるわ」


なんで泣いているのか分からないって顔をして、分からないまま私にすがりついて、ジェシカは涙を押し付けてくる


「謝らないで。いいのよジェシカ…。あなたはとっても良い子だわ…」

「うんっ…うんっ…」


しかし、その犯人は私である


今でこそ、夢現と記憶がさまよっているから良いものの

正気を取り戻したら、流石に怒られるんだろうか…


若干の不安と、取ってつけたような罪悪感…


ジェシカがあんまりにも 私の我が侭に 付き合ってくれるものだから、ついつい忘れそうになる感情

いっそ、記憶を飛ばしてしまおうか。そうしてしまうのは、きっととても簡単で楽なんだけど…


「ねぇ、ジェシカ? あなたは私を許してくれるのかしら…」


彼女の頬に両手を添えて…そっと、唇を重ねていた





「しずくのバカっ」


なんて、初めて言った気がする


勢いで口にしてしまった矢先に「ごめんなさい」と、素直に謝られてしまうと何も言えなくなってしまった

流石に今回こそはと、息巻いていただけに、唐突な肩透かしに投げつける言葉を失くしてしまう


「やっぱり…甘いの、かな…」


そう思っても、納得のいかない感情が口をつく


優しいのとはきっと違う


けど、あんなに甘えてくる子に強くも出れず、なし崩し的に可愛がっている私も共犯なんだろう



関係を変えるなら今だとは思う


なぁなぁで過ごしていた部分をハッキリさせるには良いタイミングで…


「はぁ…」


仕方がないと、吐いた溜息は諦めからか

あの子の、しずくの性格を考えればしばらくは避けられそうだし

これが終わったら、私から話をしに行こう



気を取り直して荷物を抱え直すと、下がった視線に「食いしん坊」の文字が飛び込んできた


しずくの悪戯はそれとしても、掛けた迷惑の分はある

というか、本当ならこっちだけで良かったんじゃないだろうかと思いながらも

用意されていた クソだっさいTシャツを被り、倉庫の片付けという無給のアルバイトをさせられていた



じゃらり…


鎖の音がした


「へ…」


運んでいた荷物にでも引っ掛けたのか

金属質な音が滑り落ちると、無機質に地面に広がっていく


肌が粟立つような感覚


心臓が一段と脈打って、全身が総毛立つと同時に、身体から力が抜けていった


「う、そ…」


じゃらり…じゃらり…


取りこぼした荷物が鎖の上に落ち、金属質な音が立て続けに鳴り響く


立っていられなかった


慌てて壁に手をついて、それでも身体を支えていられず、力の抜けた身体は崩れていく

へたり込むように尻餅をつき、壁に背中を預けて大きく息を吐き出した


息苦しさに 胸が締め付けられる


空気を求めて呼吸は荒くなり、ほぼ無意識にシャツの襟元を引き下ろす

入り込んだ空気にヒヤリと悪戯をされ、びくっと、思わず跳ねた つま先が鎖を蹴っ飛ばしていた



じゃらり…


鎖の音がする


重なるように蘇ってくる光景


縛られて、見られながら、感じてしまって、最後は訳も分かんなくなって



じゃらり…


その音が現実と妄想を繋いでいく


身体を縛っていた快楽を思い出し


また、気持ちよくなりたい


言われるまま、されるがままに…素直で良い子で

一杯褒められて、たくさん愛されて…何も考えられないまま、イかせてほしい


「ちょっと…だけだから」


誰かに言い訳をしながら、自分でさえもだまくらかして

まるで鎖に引きずられたように、開けた胸元へと手が伸びていく


触れた肌は指先よりも熱くって、ゾクリと、震えるような快感を響かせた


「うそ…やだ、なんで…こんな」


じゃらり…


鎖の音を聞いて、昨日のことを思い出しただけなのに

もう、イッた直後のような快感が戻ってきている


もどかしい…こんなんじゃ全然足りない


頭と身体がちぐはぐだった


身体は勝手に満たされていて

始めたばっかりの愛撫は、絶頂の余韻を伝えてくる


気持ち良かったって…


「勝手に、終わらないでよ…わたし、まだ…」


辛い…


欲求不満に体中を掻き毟りたくなるほどなのに、触れた側から絶頂の余韻に襲われた

快楽に慣れる間もなく、受け入れる準備をしようにも、愛撫一つでまたイきそうになる


ブラジャーの締め付けでさえもどかしく

ホックを外す手もままならないまま、堪らず上にずらすと、こすれた乳首からまた快感が弾けて消える


「ふわっ…」


身体から力が抜ける、気持ちよさに頭の中が白く染まっていく

このまま終わりたいのに、このままじゃ終われない

一度イってるはずなのに、全然そんな気にはならなくて


「もっと…もうちょっとだけ…」


もどかしさを吐き出すと、少しだけ楽になった気がする

素直で、良い子で、そしたらまた…褒めて貰えるんじゃないかって


だーれも見てないのに…


誰にも褒めてもらえないなら、せめて自分で


「いいよね。もうちょっとだけだもん…だから…」


ズボンのボタンを外し、出来た隙間に指を忍ばせる

下着の中に自分の指を潜り込ませ、誰に遠慮もしないまま、割れ目の筋を撫で上げた


「あ、あ、これ、きもち…いい、もっと…うん、もっとしたい…」


余韻が予感に変わっていく


確かな快感が絶頂へと階段を作り、身体を弄る度に一段一段と上っていく

割れ目を弄りながら、胸に手を添えた

優しく撫でて、大きく揉んで、繰り返した愛撫の先に、乳首へと指を伸ばす


されたい事、やってみたい事


あの時の事を思い出してみたりして、絶頂へと快感を高めていく


「はぁ…はぁ…あと、ちょっと…もう…」


ダメな子だなとは思う、情けないっても

仕事中に自慰を始めちゃって、もうイきそうになってる


それは絶対悪い事のはずなのに


けど、良い子でいるには、素直に気持ちいいって言わなくちゃいけなくて

上手に出来たらまた褒めてもらえる。あの子が、しずくがそう言ってたから


「しずく…あ、しずくぅ…ばかっ、もう…そんな事言うからぁ…」


涙が出てくる


どれだけ恥ずかしいって思っても、しずくの言うことを聞いてたら何も考えずにいられて

怖いのも、不安なのも、分からなくなって、そのまま気持ちよくなってれば、とっても幸せだった


気持ちいい、気持ちがいい、気持ちいいのが幸せで


もう、面倒くさい事はうっちゃって、何も考えたくない


くちゅ…くちゅ…


かき混ぜられた愛液の音が聞こえてくる


ごくり…


飲み込んだ生唾の感触が、喉を通ってお腹に落ちていくと

まるで、薬を飲まされたときのように、ぽうっとお腹が熱くなった


荒くなっていく吐息に頭を白くさせられて、心臓の鼓動に急かされながら 快感が増していく


絶頂の予感


敏感になった身体は、触れるもの、伝える感覚全部を快楽で受け止めて

何をしても気持ちがいい、息を吐くだけでも身体が震えてしまう


きっと今なら、見られて恥ずかしいのでさえ気持ち良く感じるじゃないか


しずくはどんな顔してたんだろ?


イッてる私を見て、少しは…喜んでくれたのかな?


「しずく、しずくぅ…わたし、みちゃ…やだ、でも…」


こんな姿絶対見られたくないのに、その視線を想像しただけで快感が増してしまう


喘ぎ声が、焦がれるくらい高くなり、割れ目から伝わる快感に身体が大きく震える

乱暴なくらいに胸を掴み上げると、きゅっと身体に力が入り、高まった快楽が、途切れる寸前の糸の様に張り詰めていた


ああ、もう…どうでもいいや、だってこんなに…



「ジェシカ? あなた…それ…」

「へ?」


じゃらり…


鎖の音がする


反射的に身をすくめ、持ち上がった視線の先には、見慣れた靴が鎖を蹴っ飛ばしていた





「しず、く? うそ…なんでここに…。やだっ、みないで…お願いだから」


乱れた服をかき集め、しずくの視線から逃れたくて身体を抱きしめる


「なんでって…。ジェシーのお手伝いしようかなって…。でも、えっと、そういう手伝いのほうが良かった…の?」

「ちがいますっ。これは、だって…しずくが昨日あんなにするから…したせいだから…」

「それは、分かってるわ。分かっているから…私だって…手伝おうかなって…」


お互いに、気まずそうに視線を逸らす


面白がって手を出された方がまだ分かりやすかった

なのに、こんな時に限って、そんな風に頬を染めて、見られてる私のほうが恥ずかしいって言うのに


「ねぇ、ジェシー? 少し、じぃっとしていくれる?」

「まって…。これ以上されたら私、ほんとに…」

「違うのよ。私だって、ジェシカに嫌われたままは嫌だから。すぐ楽になるわ、だから…お願い」

「…」


お願い、か…


頼まれると断れないのは私の悪い所かもしれない

押しに弱い。かと言って引かれるのにも馴れてなくて

このまま断った時に出来る、しずくとの距離に嫌なものを感じてしまう


「わかりました…けど…」

「いいから、任せて…」

「…はい」


しぶしぶと頷いた私に、おずおずと近づいてくるしずく


「それじゃあ…ジェシカ。私を見て? 私の声だけを聞いていて…うん、良い子よ、とっても…大好き…」


その声を聞いていると、だんだんと力が抜けていった


訳もなく褒められて、無条件に愛されて、胸の内が温かくなってくると、恥ずかしささえも薄れていく


心地いい、気持ちがいい…


言われるまま、聞かされるまま、漂ってくる夢心地に流されていく


視界が狭まる、世界が閉じる


内にも、外にも、しずくの姿が映っていて、しずくの姿しか見えなくなって



ぱんっ…!



「うひっ!?」


耳元で手を叩かれると同時に、私は飛び起きていた


寝起きの悪い朝に、叩き起こされたような気分

驚いて辺りを見回していると、笑顔のしずくが覗き込んできて


「おはようジェシカ。気分はどーう?」


いつものように、からかうように、声を掛けられた





「つまり…面白がって催眠を掛けたら、効きすぎていて びっくりしたって事でいいですか?」


事の次第を要約させると、つまりはそういう話になるようだった


「そうへそを曲げないで欲しいのだわ。一人でするものではないのだし、共犯だとは思わない?」

「まあ、そうかも知れませんけど…」


本当に楽にはなっていた


じゃらじゃらと、どれだけ鎖を鳴らしても、なんとも思わなくなっていたし

昨夜のことを忘れてしまったみたいに、頭はスッキリとしている


「その思い込みの良さが 自信に繋がれば、もっと良いいんだけど。どうして自虐に向くのかしらね?」

「知りませんよ。そんなの、私だって…」


話している内に近づいてくる距離

いつもみたいに、私の手の届く所までやってきて戯れついてくる


それでいつも通り


なんか私が悪いことにされかけているのまで含めて、いつもの光景だ


だからこそ。良かったと思う反面、納得もいかないことはある


あのまま喧嘩別れみたいに、疎遠にならずに済んだこと

それでも相変わらず、私に甘えてくる しずくのこと


たまには、痛い目を見たって良いんじゃないか?


今なら、そう強くも言い返せないだろう

罪悪感に付け込むみたいで悪い気もするが、それもお互い様か



じゃらり…


手にした鎖は頼もしく、私は欲望の手綱を握る

冷たい金属質な感触と、無機質なまでの硬さが、じっしりと頼もしい


これなら しずくを捕まえてられる


手首にでも巻き付けるだけで

力のないしずくのこと、きっと立つのもやっとになるんだろう


じゃんじゃらり…


鳴らした鎖の音に しずくが振り返る

「しずく」と名前を呼び「なに?」と返ってくるはずの返事も待たずに

彼女の手首を捕まえると、グルグル巻にした上で優しく床に転がした


「きゃっ!?」


上がる小さな悲鳴に耳が跳ねる

ドキンっと強く打った嗜虐心に、快楽にも近いトキメキを覚えていた


「もうっ、何をするのよジェシー…。も、もしかして…怒っているの?」

「いいえ。怒ってなんかいませんよ?」

「絶対ウソ…。怒ってる人はみんなそう言うのよ」

「だったとして。こんな状況でどうするんですか、しずくは?」


薄暗い倉庫の片隅で、両手を鎖に縛られている女の子

まさしく囚われのお姫様と言った具合に転がっている しずく


「でも、だって、ジェシカだって悪かったのでなくて?」

「そうですよ? だからこんな クソだっさいTシャツまで着せられて倉庫整理させられてるんじゃないですか」

「ならそれでいいでしょう? 手打ちじゃないの…」

「手打ちなもんですか。あんなに恥ずかしい思いまでさせられて、どうしてやり返されないって思うんです?」

「ほら…やっぱり、怒ってるんじゃない…」


そりゃあそうだろう


どうして怒られないって思ったんだか。ああまでされたら腹の一つだって立つ

いわんや、毎度毎回 私を巻き込んでくれちゃって、そろそろ鬱憤の一つも晴らしたい所だった


「それはだって、不公平じゃないですか?」

「不公平?」

「私ばっかり恥ずかしい所見られて。しずくのも見せてくれないと…それで言いっ子なしですよ」


じゃんじゃらり…


私が一歩近づくと、もぞもぞと後ずさる しずく

その動きは余りにも拙くて、芋虫の方がまだ上手に見えるくらいだった


追いかける手間もなく手を伸ばすと、簡単に足首を捕まえられた


バタバタと無駄に暴れられた所で、もとより小柄な しずくに負けるわけもなく

無駄な抵抗を強引に押さえこんだ時には、ちょっとだけ胸が軽くなっていた


「あの、ジェシカ…その…」

「ごめんなさい、は後で聞きますね」

「うっ…」


先回りをして言葉を奪い、すっかりと萎縮してしまった しずくの身体を撫でていく


見上げてくる視線に、最初に会った頃を思い出す


あの頃もこうやって、私の顔色を伺っていて、随分と大人しい子だなって思ってたけれど

それもいつの間にか、器用に私の怒れない所で好き勝手するようになっていた



可愛いなぁ…


あんまりにも調子にのって、踏み外してしまう所だなんて

きっと私には一生かけても出来ない 迂闊さだ


しっかりしてるようで抜けていて

理屈っぽい割に衝動的


我が侭なくせに気が弱いものだから

ちょっと怒ってみせるだけで、すぐに縮こまるのは小動物みたいだった



線の細い身体を撫でていく


まだ幼さは残るものの、触れる肌は柔らかく、たどる曲線は女の子らしい形を描く


発育の悪さは元からなのか


続く不摂生が手伝っていたとしても、時たま、見た目と言動が噛み合わないのは気にかかる

とはいえ、あんまりにも可愛らしい仕草に、仕方なく許してしまっている自分が何を言えたものでもなく

ついでとばかりに、ずっと先に送りにしていた疑問を口にする


「しずくって、今いくつなんですか?」

「そんなの…」


分かるわけもないか


本人の記憶もなければ、関連する資料は極秘だし


「ですよね…でも…」


身体の方は、案外と子供でもないようだ


指先に触れる湿っぽさ


押し込めると、温かいものが指に纏わりつく


「私の見てて、興奮してたんですか?」

「…してない」


そっぽを向き、視線をそらされた


その自覚があるんだかないんだか


確かに、昨日の後、一人でしてた風には見えなかったけど

だったとしても、なにも知らないで あんな偏った知識が出てくるわけもないし


「フェンにでも聞きました?」

「別に…私だって、そんな子供なんかじゃ…」

「ふーん…」


試してみようにも、ちょっと怖かったのだろうか

それで、実験台にされたら私だって堪ったものじゃないんだけど


スカートの中に忍ばせた指先で、下着の上を撫でていく


一回、二回と、小さな割れ目の筋に沿って動かしていくうちに

湿っていただけの下着は水気を増して、逃げるように腰が動き始めていた


「ねぇ…ジェシカ…そろそろ…」


弱々しい請願だった


だけど同時に、庇護欲のくすぐり方をわきまえた いやらしさも見え隠れしている


ただの仕返しで済ますなら、これくらいでも良かった

だけど、今の私はちょっとだけ腹を立てていて、少しだけ意地悪な気分なんだ


「そろそろ? イキそうなんですか? 言う割に我慢弱いですね?」


わざとらしく聞こえない振りをした後、しずくの真似をして意地悪な笑顔を作る


「違うわよっ! もう止めてって言っているのっ、これ以上はっ…ひゃっ!?」


衝動的に上がった声を奪うようにして、割れ目への刺激を強くする

指先を押し込み、撫でていただけの割れ目を押し開く

滲み出す愛液を指で掬い上げながら、最後に一つ、クリトリスを指で弾いてみた


反射的に 声を詰まらせる しずく


急な刺激に身体を竦ませて、恨めしいような、驚いたような顔で私を睨みつけてきた


「これ以上は? なんですか?」

「だからっ! あっ…ぅっ…!?」


しずくが声を荒げる


けど、そんなタイミングを見計らってクリトリスを爪弾く度に

小さな悲鳴と一緒に身体を震わせた


単純なだけの刺激


けど、それにも馴れていないのか

段々と息が荒くなり、力が抜けていく身体から、愛液の量が増していく


「ねぇ…はぁ…ジェシー…それ、もう…」

「それって?」

「だから、その、ぴんって…の、やんっ!?」


何も言わせない


分からない振りをして聞き返し、答える前にクリトリスを爪弾く

それで文句が上がろうなら、より強い刺激で言葉を奪う


その内に、段々と反抗も減ってきた


何を言っても何かされて


文句が言えなくなる。お願いの一つも聞いてくれないと分かると

拗ねたように口を噤んで、私が飽きるのを待つかのように縮こまっていた


「ん…ふぅ…ぁぁ…はぁ…」


だからって、私が止めて上げる理由にはならないけど


何も言わないなら何も言わないで

ただゆっくりと、下着の上から割れ目をなぞり続け、次第に紅潮していく顔を見てるのも楽しい


「気持ちいいんですか?」


意地悪に声を掛けると、意地を張って首を振られる


「気持ちいいって言ったら、終わってあげますけど?」


なんて嘘をついて、しずくが口を開いた途端に クリトリスを弾いて黙らせる

いや、嘘でもない。ホントと言えば本当だけど、ただ言わせる気がないだけで


おどろいて、びっくりして、裏切られたことに涙を溜める


「ほら、しずく? 上手に言わないと終わりませんよ?」


からかうだけだと、震える唇に指先を這わせると


カチンっ!


まるでトラバサミの様に開いた口が、私の指に噛み付いてきた


「いつっ…!?」


流石に痛い


噛み癖があるのを思い出し、まだそんな元気が会ったことに驚きもする

ぐりぐりと、指先に歯が食い込んで、そのままなら引き抜くのもままならない


「あっ!?」


だけど、現状の主導権を持っているのも私だった


すぐにクリトリスを爪弾くと、食いついていた歯は、簡単に外せてしまう

そのまま指は引き抜かず、しずくの口の中に滑りこませた


短い舌をつかまえたり、頬の裏を撫で回したりと、普段とは違う感触が楽しい


その間にも、何度か噛みつかれそうにはなったけど


その度にクリトリスに刺激を与え、閉じることもままならない口からは

形にならない泣き声が、遮られる事もなく私の耳をくすぐってくる



ベタベタだ…


もうぐっしょり…


かたや唾液で、かたや愛液で


私の指先は、しずくの 体液で、どっちも ベトベトにされてしまっていた


ちろり…


唾液に塗れた指先を、舌で舐め取った

特に味もない。噛まれた跡が僅かに痺れる程度


だけど…どうしてか…


飲み込んだ しずくの よだれが私の胸を熱くする

非日常的な体験、変態的な行為も手伝って、私の理性のタガはとっくに外れてしまっているようだ


ぐったりと、倒れ込んでいる しずくが愛おしい


「じぇしー…ねぇ、ほんとに…もう…」

「ん? ほんとに、なぁに?」


しずくの弱々しい問いかけに、意地悪で返す


残った体力も使い切ったのか、私が指を近づけても、それを見やるだけで

調子に乗った私は、また、彼女の口の中を弄り始める


「ぁぅ…んんぅぅっ…」


既になんども繰り返した。ここで何かを言っても、クリトリスを弾かれるだけで、何も言えなくなってしまう

その上、口の中まで愛撫されては、何か言うどころの話でもない


それが分かっているのか、そうされるのが堪らないのか

涙の浮かぶ瞳は、怯えたように私を見上げていた


「はふぅ…」


たまらず吐息が溢れた


自分でも熱いと思うくらいの空気が広がり、飲み込んだ唾液は粘っこく喉に落ちていく


「もう、イッちゃいたいとか?」


まだ張れる意地は残っていたのか、弱々しく首が振られる


だけど、身体の反応は目に見えて変わっていた


割れ目の刺激に悩ましく身体を揺らして、ときおり体を震わせては、喉を詰まらせたような声を上げる

膨らみきったクリトリスは、遠慮がちに愛液で張り付いた下着を持ち上げていて、私が指を近づけるだけで甘い声が聞こえてきた


幼い割れ目をなぞり上げながら ゆっくりと…


期待にも似た泣き声を聞いているだけで、私の背中もゾクゾクと震えてしまう



おちんちん…あったらなぁ…


その時、私は初めて男性の気分をちょっとだけ理解したのかもしれない


好きな子を滅茶苦茶にしながら、自分も気持ち良くなれるなんて


そんな想像をしながらも同時に、あの時の感覚も思い出していた

拘束されて、動けないまま、割れ目の中を滅茶苦茶に掻き回された快感


そりゃ、ただの想像だったのかもしれないけど

私の願望だって多分に含まれてはいたんだろうけど


幸せだった


求められるのが、抱きしめられるのが…力強く犯されるのが…


「しずく…もうちょっと気持ちよくなりません?」

「もうちょっとって…」


身体を弄っていた手を止めると、濡れた下着に指をかけた


「あ…まって…ジェシー…」


聞いてあげない…。聞こえない振りをしながら、ゆっくりと

引っ張るように引きずりながら、濡れた下着が太ももを滑っていく


つぅ…っと、すぅ…っと…


張り付いた愛液が名残惜しそうに糸を引き


ぷつん…


最後に大きな雫を作って床に染みを広げていた


ずらした下着もそこそこに、挿れやすいようにと しずくの膝を持ち上げる

指でしていても良かったけれど、それじゃ少し物足りない


けれど、あいにくそんな玩具の持ち合わせもなければ、まさか余った鎖を挿れるわけにもいかないし

私の指より長くて太くて…しずくの身体を傷つけないような、そんな都合の良いものは



視界の端で、尻尾が揺れていた


何を想像したものか、毛が膨れ上がるほどに興奮しきっている私の尻尾

こんな風に使った事は無いけれど、今思えば何にだって使える気がした


胸元から、しずくの服の中へと尻尾を滑り込ませる


悪戯に、毛先で肌をくすぐりながら、小さな胸に絡みつかせると

柔らかな膨らみに巻き付かせて、ゆっくりと、見せつける様に形を変えていく


「ふわっ…や…」


小さな体が揺れている


まだ幼くても、割れ目を弄られ続けた身体は快感を高めていて

胸を撫でるだけの優しい愛撫一つに、快楽を感じ始めているようだった


強めに胸を巻き上げる


愛らしい乳首を強引に押し出して、固くなったその先端を尻尾の先でくすぐっていく


「んっ…んぁっ…」


飲み込むような嬌声を聞いてるだけでも楽しかった


普段は絶対聞かない声を、私が無理矢理に上げさせている

いつもわがままを聞いてあげている分だけ、このくらい楽しんだって良いんじゃないか

だって、私のほうがお姉さんなんだもん。たまには思い出してくれないと…


服越しに浮かび上がる尻尾の形が、変にいやらしく見えていた

丸まった尻尾の形に、小さな膨らみを想像して、浮き上がった乳首に視線が吸い込まれる


興奮で膨らむ毛先


うっとりと、吐き出した吐息が しずくの身体に降りかかる


広い谷間をすり抜けて、なだらかなお腹を撫でつけながら

興奮で高ぶる尻尾を、慰めるように、しずくの肌にこすり付けていく


ゾクゾクした


どうしようもなく身体が震えてしまう


快感に期待した身体は感度を増して、尻尾の先から甘い痺れを全身に伝えてくる


「うわぁ…いいの、かな…これ…大丈夫だよね…?」


誰にでもない言い訳


抵抗をあきらめたしずくは、不安げに見上げてくるばっかりで

そんな仕草でさえ、誘われているように見える程、私の興奮は限界だった


これも全部 しずくのせいだ


あんな悪戯をするから…


とっくに催眠の作用は切れているはずなのに、この感情はなんなんだろう?

衝動が止められない、こんな風に何かが欲しいと思ったのは初めてだ


愛情にしては歪んでいる


したいだけなら、もっと素直にして上げる事だって出来るのに

鎖で縛り上げられた しずく、身動きの出来ない しずく

何をするにも私の一存で、いつもの立場とまるで逆


「じぇしか…?」

「ぁ…。なんですか、しずく?」


名前を呼ばれただけで背筋が震える

名前を呼び返しただけで胸が高鳴る


止められないし、止まんない


そんな声で私を呼んで、どうして「いや」って言ってくれないのかな

「いや」って言ってくれたら…でも、それだけでも…わたし…もうイッちゃいそう…


服の隙間から尻尾を引き抜く


我慢の出来なくなった憤りを預けたまま、しずくの太ももの上を、探るように滑らせていった



うわぁ…


先に声を漏らしたのはどっちだったのか


尻尾の先が割れ目に触れる


無防備に晒された しずくの割れ目に、そっと先端をあてがうと、ゆっくりと沈み込ませていく



まだ入るのかな? もっと入るのかな?


沈んでいく尻尾を二人で見つめながら、強くなる快感に身を震わせていた


ここが奥? と思えば、まだ先があって


深く挿れれば挿れるほど、膣壁に包まれた尻尾が、優しく吸われているような感覚さえしてくる


「んんっ!?」


多分、ココが一番奥なんだろう

尻尾の先が押し返され、その刺激に しずくが背中を震わせていた


どうしよう? どうしたら良いんだろう?


だって、こうしているだけで、膣に包まれた尻尾が甘く痺れている

その快感は、背筋を伝ってきて、頭が震えるくらいに気持ちがいい


なんなら、もっと、尻尾の全部を挿れてしまいたいけど


「くっ…うっ…」


無理矢理に押し込もうとした矢先、苦しそうな しずくの声が聞こえると、流石に二の足を踏んでしまう


取り敢えず少し抜いて…


尻尾を引くと甘い痺れに身体が震える

驚いて跳ね上がる尻尾に、逆なでされた毛先から一気に快感が広がってきた


「だ、めっ…とまんなっ、ぃ…」


くちゅ…くちゅ…


粘ついた水音が、いやらしく聞こえてくる


一度動かし始めた尻尾、そこから伝わる快感の虜になっていた

ゆっくり、せめて優しくと思えていたのは最初だけで、溶けるような快感を前に そんな事も忘れていく


割れ目の奥を、お腹の裏側を、子宮の入り口を


指じゃ届かないような、おちんちんじゃ出来ないような動かし方で責め立てる


「あっ、ひゃっ、んんぅぅ…」


涙の入り混じった しずくの嬌声を聞きながら性感帯を探り出す

より強い泣き声を頼りにしながら、他のところにも尻尾をこすり付けていると

一際大きな声がして、割れ目の中で尻尾が締め付けられていた



快感が頭を揺らす


尻尾がピンっと立ち上がり、反射的に奥に押し込んでしまう


射精とか出来たらきっと今のでしてたのかもしれない


ぼやける頭で、ぼんやりと考えながらも、絶頂にも似た余韻が過ぎるままに流される



じんわりと…


尻尾が快感を思い出し、再び割れ目の中を弄り始めると、甘い声が上がりだす


何度も軽い絶頂を繰り返す しずく

ずれ落ちた上着から、小さな胸と、可愛らしい乳首が顔を覗かせていた


ちろっ…


自然と、唇を寄せていた。伸ばした舌で、可愛らしい乳首を舐めあげる


しずくの声色が変わったことに胸をときめかせ

さらに胸に、乳首に吸い付いて、彼女の羞恥心を、快感を煽っていく


「あっ、じぇしか…だめっ、乳首…なめ、すうのも…今は…んぅっ」


じゃらり…じゃらり…


くちゅ…くちゅ…


鎖の音の中に、水音が混ざり込む


ささやかな抵抗は、鎖に縛られて、なけなしの体力は両足を閉じるのに精一杯

今のしずくに出来るのは、せいぜい泣いて私に頼むくらいだけど


その声は、さらに私を興奮させるだけだった


舌先で固さを増した乳首を締め上げると、ぴんっと弾けたように しずくの身体が震え上がる

ぎゅっと、閉まる両足と割れ目の中、締め付けられる尻尾の快感に、私の頭もぼぅっとしていた



ぐったりと…快感の余韻に身を投げ出す しずく


荒い呼吸を繰り返し、思い出したように身体を震わせては小さく声をあげていた


「うっ…」


堪んないのは私の方だ


射精も出来ないから終わりもよく分からず、尻尾を動かせば動かすほど快感が膨れ上がっていく


気持ちいい、気持ちがいい


頭はそればっかりを考えて。もっと気持ちが良くなりたいと期待を募らせていた



お腹が熱い、太ももが濡れちゃってる

自分の割れ目からも、大量の愛液が溢れだしているのに気づく


一度、しずくの割れ目から引き抜いた尻尾は、愛液を吸って ぐっしょりと重くなっていた

ズボンを下ろすのも煩わしい。しずくの両足を繋いでいる下着を剥ぐのも面倒に思うと

そのまま彼女の腰を抱えあげて、軽い身体を自分の上に据え付けた


「…じぇしか? 何、する気、なの?」

「まあ、私も…そろそろ、我慢できないので…ちょっと…」


膝の上に抱えた しずくが、不安そうに振り返ってくる


ちょっと?


自分で言っておいて、本当にちょっとになるかは疑わしい

多分の思いつきで、尻尾を自分の足の間に通し、露出させた割れ目の上を滑らせる

後は先っぽを再び、しずくの中に戻すだけで


「んんんぅぅ…」


快感に身体が震えていた

堪らずに、ぎゅっと、しずくの小さな体を抱きしめる


自分の割れ目を尻尾に擦りつけながら、先っぽはしずくの中で動かして

女の子の快感と、男性的な快楽に頭がおかしくなりそうだった


自由になった両手で しずくの身体を撫で回し、無遠慮に小さな膨らみを揉んでは、固くなった乳首に指を伸ばす


じゃらじゃらと、鎖の音が響く中、しずくの小さな体が跳ねている


身体を弄られながら、下からは尻尾で突き上げられて

逃げ場のない快楽に身体を震わせると、快感に溶けた声を漏らし続けていた



細い首筋にキスをした


白くて、うっすらと血管の浮かび上がるような 薄い肌色に、吸い込まれるような魅力を感じてしまう


それは、愛おしさともまた違っていて


触れたら壊れてしまいそうと思いながら、そうしてみたくもある


舌を這わせて、念入りに舐め回し…ゆっくりと歯を立てると、赤くなった白い肌をまた舐め回す


「いっ…じぇしー? な、なんで噛むの…いっ…まって…あっ」

「んー…仕返し? 結構、痛かったんですよ? 私も…」

「それは、ごめんな、ぁぃっ…」


仕返しって…それもどうだろう?


ただ、細い首筋をみているとキスをしたくなって、ついでに噛み付いてみただけのような

キスマークでも付けたかったのかな。自分の物だって、愛情を刻みつけたいみたいな…


それも良くわからない


けど、痛みによがって身を竦める小さな体が愛おしい

私の行為で泣き声を上げる しずくを抱いているだけで、全てがどうでも良くなっていた



尻尾の先で、しずくの中を突き上げる

快感から逃げる身体を抱きしめて、首筋に甘噛をしながら膝の上へと押し戻す

再び深くまで入る尻尾の先から快感を受け取りながら、揺らした尻尾に自分の割れ目を押し付ける


荒い息が止められない


ふぅ…ふぅ…と、高まった興奮を吐き出すようにして、首筋と唇の間から熱い息を漏らし続ける


もう、自分がどうなっていたもんか


しずくの首筋に顔を埋めながら、必死で身体を揺らしていたように思う

快感で何度もイキそうになりながら、少しでも長く、しずくの身体を味わっていたかった

小さな身体にしがみつきながら乱暴に腰を動かして、その泣き声に興奮が高まっていく


「じぇしかぁ…あっいたっ、かんじゃ…だめって、あっあっ…」


声が愛おしい、体温が心地良い


しずくの身体が大きく震えて、割れ目の中が急に狭くなる

同時に、私のお腹にも熱い物が渦巻き始め、大きな絶頂の予感を感じさせていた


「イキそうなんですか? しずく…ねぇ、いっしょに、わたしもぉ…んくぅ」

「ちがっ…イキそうなんかじゃ、だって、もう…あ、ぃっ!?」


また噛み付いていた


そしてそのまま、暴れる しずくを抱きしめながら、快感の赴くままに尻尾を突き上げた


「んんぅ!? またっ、だめっ、だめって、じぇしか…ぅぁ、ぁっ、あぁぁぁぁぁぁっ!?」


甘い悲鳴が聞こえてくる


嗚咽混じりの嬌声が、私の快感を更に煽りだす


締め付けられる尻尾から快感が広がり、擦り上げられた私の割れ目から精液の代わりとばかりに愛液が溢れ出した

白黒と、明滅していた頭の中が真っ白に埋め尽くされる中


僅かな血の味が、いやなくらい鮮明に、口の中に広がっていった





「まったく、まったくなのよ…」


酷い目にあった


首が痛い


まさかあんなに噛まれるなんて思わなかった


幸い、後ろ髪に隠れるような場所で良かったけれど

誰かにそれを問われるのも嫌で、絆創膏をはがせるようになるまでは、あんまり目立つことも出来そうにない


「…ドクター、少し良いですか?」

「げ…。なぁに、アンセルくん…私に何か様かしら?」


そんな時に限って、一番声を掛けられたくない相手に呼び止められる

大丈夫、まだバレてない。きっとただの雑談で、私が気にしているから気になっているだけで


「…はい」

「はいって? はいじゃないでしょう…ねぇ、アンセルくん?」


手首を捕まえられた私は、なんの抵抗も許されずに医務室に放り込まれていた


首筋を隠すように撫で付けていた髪を纏めらると、雑に貼っていた絆創膏をビリビリと剥がされる


「いたたたたっ。アンセルくんっ、痛いってば、そんな乱暴に…」

「何かと思えば…噛み跡、ですか。一体、なんの傷なんですかコレは?」


表情こそは変えないままに

けれど、アンセルくんは呆れを通り越して、少しだけ怒っているようだった


「…虫刺され…とか?」

「…」


無言のまま、特に返事もなく

傷口を隠していた絆創膏が丁寧に貼り直されていく


嫌な予感がした


絆創膏の使い回しなんてお医者さんがする訳ないし

傷口を確かめている アンセルくんの手付きは、少しばっかり乱暴だ


「いっったぁっ!?」


びぃぃっと、首筋に張り付いていた絆創膏を一気に剥がされた痛みで、身体が大きく跳ねてしまう


「すみません、よく聞こえなかったのですが? もう一度聞いたら答えは変わりますか?」


剥いだ絆創膏を丸めた後、これ見よがしに、新しい絆創膏の封を切り始める


「ちがうのっ! ちょっとまってアンセルくんっ。これはだって…ネコに噛まれただけで、ホントなのよっ!」

「ネコ…? ああ、ジェシカさんですか…」

「べ、別にジェシカだなんては言ってはいないでしょうよ」

「言ってはませんけど。さっき、だっさいTシャツ着て歩いてましたし。どうせなにかやらかしたんでしょう?」

「何かって何よ…。別になんにもなんか…アンセルくん? えっと…」


不意に、後ろから抱きしめられていた


あんまりにも優しく抱きしめられるものだから、言い訳を繋ぐ口も 思わず止まってしまっていた


「あまり、心配をかけないで下さい…」

「あ…ごめん、なさい…」


抱きしめられながら頭を撫でられる

大切にされているのは分かるけど、子供扱いされているみたいで少しくすぐったかった


「良いですか しずく? 性癖までとやかく言いませんが、お互い怪我をしないようにですね…」

「ちょっとまってアンセルくんっ。保健の授業なんて聞きたくはないのよ。もっと恥じらいを持ってってっ」

「医者が恥ずかしがってたら誰が言うんですかこんな小言。傷跡が残ったり、感染症の心配だってあるんですから…」

「分かったっ、分かったからっ、ていうか噛んできたのはジェシカなんだから私に言わないでってっ」


一頻り私の頭を撫で終わったアンセルくんが、馴れた手付きで傷口の消毒を始めている

染みる傷口に文句をいった所で、お仕事を始めたアンセルくんの手が止まるわけもなく

これ以上子供扱いされることを嫌った私は、平気な振りをして良い子にしているしか出来なかった


「一人でするものじゃないんですから共犯ですよ。はい、おしまいです。また、お風呂の後にでも来て下さい」

「えー、それなら一緒に入りましょうよ? 手間がなくて良いのだってぇぇいっ、痛いわよっ何なのよもうっ!?」


唐突に傷口を突かれて、身体が勝手に飛び上がる

椅子から転げ落ちそうになるのをなんとか耐えて、恨みがましく振り返ると


「ばーか」


白い肌を朱に染めて


つまらなそうに顔を背けたアンセルくんが、唇を尖らせていた





「だって、ジェシーがっ」

「私…何も言ってないじゃないですか…」


至って、いつもどおりの光景にジェシカは諦めたように息を吐いていた


ドーベルマン教官に怒られた しずくが、とりあえず私を盾に使って言い訳をする

誰もそこに疑問は挟まなかったし

教官でさえ、物の序でと私にダメ出しを重ねているくらいだ


「まったく…ドーベルマンは口うるさくて敵わないわね。さ、いきましょうジェシカ」


ようやく終わった小言に息を吐き、しずくが私の手を引いて歩き出す

散歩をされている犬みたいと、言われないでも そんな気分にもなる状況


まあ、それでも別に良かったし、あんまり気にしたこともなかったけど


少しだけ、意地悪を覚えた私は

しずくの手を引き返すと、その小さな体を抱き寄せていた


「また私のせいにして。後で知りませんからね、しずく」


耳元に頬寄せ、細い首筋に顔を埋めるようにして囁いていた


そのまま悪戯に舌を伸ばし、薄い肌をくすぐると

肩をすくめたしずくが、小さな体を震わせて、私から逃げ出していく


「でもっ、だって…ちがうのよ、ジェシカ。さっきのはドーベルマンが…」


何かを思い出したんだろう


記憶に新しいその感覚は、しずくの頬を染め上げて、潤んだ瞳で私を見上げてくる


「しーらないったら、しーらない。ほら、行きますよ、しずく」

「ああ、まってジェシカ、ジェシカったらぁ…ひゃっ…ぁ…」


膨らんだ尻尾の先で、しずくの肌をくすぐると、途端に抵抗が弱くなる


可愛い…


逃げようとする しずくの手首を捕まえて、今度は私が引きずって歩く

別に何もする気はないのに。でも、しばらくはこれで大人しくなると思うと、少しだけ胸が軽くなっていた


多分それは、期待にも似ていて…


捕まえ直した手の平は、互いの体温で、しっとりと汗ばみ始めていた



ーおしまいー




おまけの没シーン供養


ジェシカ「ていうか、どうやって私を部屋まで運んだんですか?」

ドクター「え? そんなの簡単よ、マトイマルにお願いしたの。もう軽々だったわ、丸まった布団みたいだったのよ」

ジェシカ「ああ…そりゃそうなりますか…。それに、あんなオモチャとか、どこから…」

ドクター「出どころはメイヤーね。性と健康は切り離せないもの。あるところにはあるもんよ」

ジェシカ「…聞かなかったことにします」

ドクター「それがいいわ。暗黙の了解というやつよ、黙認は大事なのだわ」



ドクター「みてみてジェシカ「ろどす」Tシャツよっ」

ジェシカ「それ…。そんなの誰がつけるんです?」

ドクター「?」

ジェシカ「不思議そうな顔しないで下さい。分かりましたよ…私が着ければ良いんでしょ、もう」

ドクター「やっぱり、ジェシーはそういう、だっさいTシャツが良く似合うわね」

ジェシカ「どういう意味なんですか、それ?」

ドクター「可愛いって言ってるのよ?」

ジェシカ「なんだかなぁ…」



アーミヤ「最近は、そういうTシャツが流行っているんですか?」

ジェシカ「いえ…別に流行ってはないかなぁって」

アーミヤ「そう…ですか? あ、ちなみに…「たち」ってなんです?」

ジェシカ「聞かないで下さい…。アーミヤさんの耳が汚れちゃいますから…」

アーミヤ「そんな、大げさな。これでもCEOなんですから、ほら試しに、ちゃちゃっと言ってみてくださいな?」

ジェシカ「じゃあ…ごにょごにょ」

アーミヤ「っ!? ~~っ!? ぇ、ぁ…だっ…ぇぇぇぇ…」

ジェシカ「だから言ったのに…」



アンセル「それとも、しずくはこういうのが好きなんですか…?」

ドクター「いったっ…。ちょっ、なんでアンセルくんまで噛むのよ…」

アンセル「さぁ? これでも結構怒っていますし…やきもちだと諦めて下さい」

ドクター「そんなの、そんな事言われてもぉ、んぅっ…舐めちゃだめって…ぁ」

アンセル「本当に…。私の言うことなんて聞いてくれないんですから…」


ジェシカ「…アンセルさんに…しずく…? え、あ…うわぁ…うそぉ…どどど、どうしよ、えっと…」

アンセル「見てないでこっちに来て下さいジェシカ。あなたにも言いたい事がありますから」


と、このまま3Pルートに入るのも楽しそうだったけど、長くなりすぎるので却下


後書き

最後までご覧いただきありがとうございました

前の:


後の:


このSSへの評価

このSSへの応援

このSSへのコメント


このSSへのオススメ


オススメ度を★で指定してください