2021-10-10 04:03:54 更新

概要


更新したアル、続く、、から読んでみてね!





翌日アダムからまだ特にこれといった指示もなかったのでとりあえず大学の講義に出てると、携帯が講義中になってめちゃめちゃ恥ずかしい思いをした。

 マナーモードにしたはずだったんだが、誰だよ。

 画面を開くと案の定訳のわからない数字の羅列とアダムが喋り出したところで、神速でイヤホンを差し込んだが意味が無かった。どういうこと。急いで教室を出てトイレに向かい事情を聞く。


「おい、話がある」


 いやだからさっきもそれ教室で聞いたよ!俺がぼっちで角席座ってなきゃ他にも聞いてただろうよ、察しろよ!てかなんで携帯からも出てこれるんだよ!まあ特別疑問にも思わないけど!でなんなんだ!この授業の単位落とすとまずいんだと、早く!!


「この辺りに非常に強い電波の発信源で、それも俺の過去に使用していた周波数と置き換え可能な地点がありそこに行ってもらいたい。物理世界で言うならこっそり自分のハードディスクを他の店のと入れ替えて自分のルーターを強化し、それはおそらくバレない。」


 それって、はんざ


「疲弊している人間のために協力し合うのは当然のことなんだろう?ならばこれも同じだ。」


 いやでもはんざ


「質問があれば受け付けるが、教室内にいる人間のドメインは全て把握できるからそいつらにお前の『虹萌、うなじ右斜めから見下ろし、ちっぱいは正義』というフォルダを使用時間帯、回数ともにPDFで送ることはかの」


 わかっりました、喜んでお運びさせていただきます!!だからやめて、ただでさえ角席のぼっちにこれ以上角が立つ自体は


「それはこの『角オナ、机の上から小人視点で巨女を堪能』というファイルのことか」


 ちげえよ、誰が俺の秘蔵ファイルの中から上手いこと言えって言ったんだよ。クソっ。


「それはこの『糞まみれでも愛すべき虹萌の娘。。。



 もうやめてえぇぇぇぇぇぇぇぇl

そうして俺は半ば強制的に講義の後アダム、と言っても携帯端末機器だが、を近くの商業ビルまで持っていく羽目になった。電車を乗り継ぎ都会のおよそ中心部までくるとそこには高層ビルが立ち並び、昼下がりにもかかわらず働くセールスマンたちがちらほらと歩いている。来年は俺も就職活動か、アダムに指示された場所までもう少しのところに向かいながら少し現実の悲壮感にたっぷり浸っているとアダムが話しかけてきた。


「お前はこういうところで働きたいのか?」


 いやまあ大手企業に就職できればママンは大喜びだろうし俺もそうなってはみたいが、それ以前に俺はコミュ障で大学サークルの飲み会、教授とのゼミでの個人面談すらうまく参加できていない、就職面接がうまくいくとも思えないしな。

 かといってこれといって学歴もない、三流大学の、普通のGPAじゃ今時どこも相手にしないんじゃないかな。


「でも働いてみたいのだろう?なぜ挑戦しない?」


 いや、だから挑戦したところで結果が見えてるって話をしてるんだよ!!


「それは挑戦したことがあるやつが初めてさらにその次に対して言えるセリフだ。お前はまだ挑戦すらもしていない。」


 いやでもコミュ障だし、


「お前、うちのパソコンを作るのに友達と作ったと言っていたな。ではものづくりの過程において他者とコミュニケーションを取るということはお前にとって全く不可能ではないということだ。普段の実生活でのそれはお前の場合圧倒的実践経験の足りなさからくる緊張状態からきている。タブを開きすぎて画面がフリーズしたり重くなるパソコンと同じだ、何から処理していいかわかっていない。目的意識が明確な場合、パソコンを作り上げると言ったようなな、話す内容もある程度順序立つから会話がスムーズにいく、その辺をある程度場数をこなして学んでいく必要がある。」


 まあ、そうなんだろうけどさ。

 意外とわかりやすくいいこと言うなこいつ。

なんて思いながらそうこうしているうちに目的地までたどり着いた。

 お前はここで時間を潰していろとだけいうとアダムは、おそらく、どこかで何かをしているので俺は怪しまれないよう某球体閉じ込められ系怪物ゲームのスマホアプリ版を無邪気に遊ぶイタイ大学生を演じていた。

 しばらくするとアダムが終わった、とだけ言ったのでまた電車を乗り継ぎ家に帰った。

 家に帰ってパソコンを開くと、あれ、ない、あれ、俺の3年に渡り収集してきた動画やファイルがない!!なんで!!おい!!アダム!!貴様か!!



「邪魔だったんで、捨てた。」





おいいいいいいいイィぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


何してくれてるの!?!?ばかなの!?!?死ぬの!?!?



「空き容量が少ないと言うのは部屋に物が散乱し埋め尽くされている状態に似ている、定期的に掃除するに越したことはない、何礼などいらん、今回の件で俺の力は格段に上がったからな、ゴミをゴミ箱に入れるなどお茶の子さいさいっちゃ」


 なんか変な影響出てない?

 そうじゃない!!

 なんてことをしてくれたんだ!!誰も電子世界と物理世界のうまい対比なんか聞いてねえよ!!


「安心するっちゃ、まだゴミ箱には全部残ってるっちゃ」


 それ今に怒られるぞ、まあとりあえずゴミ箱には取ってあるみたいだからひとあんし


「ヤッベ、それ燃えてっぞ」


ちょっと待ておいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ


「たまに自分がかつて火の悪魔と契約したってこと忘れるわ、あいつの飼ってた蛇ちゃんまだ元気にしてるかな」


 そんな懐かしみいらん!!なんだそれは!!あとでちょっと聞かせろ!!そして火を止めろください!!


「この灰のような、物理世界でな、状態のファイルを俺はこちらでなんと呼べばいいと思う?」


それもう復元不可ってことだよね?そうなんでしょう?灰?知らねえよ!お前が燃えちまえよ!!最悪ダァぁぁぁ!!!もうお前なんて知らん!!


「まあそういうな、実は今回の件で力が上がったと言っただろう?それで見せたい物がある。」


そういうとアダムは画面のいつもの数字の羅列と共に消え代わりに俺の某推し虹アイドルグループの集合写真、しかもみたことないやつメイド服ver. と聞いたことのない、おそらくは未発表曲のファイルが画面に映し出されていた。まあ、よしとするか。俺はファイルをクリックしてその楽曲たちを楽しんだ。


 続く、、





 翌日から何回かこの前みたいなアダムの指示があり、いくつかの場所を周っては彼が用事を終えるまで待つということが続いた。俺はそろそろ自分のお願いを叶えてもらおうと、願い事の内容を大学の講義そっちのけで考えたりしていた。

 そんなある日午後の授業を終え家に帰ろうとすると大学の通用門に見知らぬおっさんが誰かを待っている風に立ち尽くしていた。特別珍しいことでもなかったので無視して通り過ぎようとすると、通り過ぎた後に後ろから声をかけられた。


「君、アダム君を知っているね?」


 なんとなく嫌な予感しかしない

あれか、別のアダムみたいなやつがいて異能力者バトルとか始まっちゃう系か、なんて半ばバカにしつつ返事を決めかねていると、どうやらその感は半分は間違っていなかったらしい。おっさんは話がしたいと言って、俺とおっさんは何が悲しいかな二人で大学の喫茶店に行くことになった。

 さっきは深く考えなかったが、もしや警察とかだったらどうしようか、さりげなく携帯を確認したがアダムは当然リアクションなし。するとおっさんが何飲むか聞いてきたので、俺はありがたくアイスコーヒーをいただく事にして二人で席についた。ちなみにおっさんはピーチティーを頼んでてなぜかそれはちょっとキモかった。


「まずは自己紹介から、私はかつてプログラムの研究開発を行なっていて、さっき言ったアダムというのはその研究の一つの通称だ。君がそれを今保有していることもわかっている、実は今その研究の別の個体が君と話をしたいらしく、私はそのためにここにいる。」


 そう言うとおっさんは自分の携帯を取り出し、あとは自分で理解しろと言わんばかりに手渡してきた。


「初めまして、私はイブ」


 やはりそうだよな、うん、まあ一応アベルとかカインも予測してたけど。


「実はもうADAMとは話し終わったの、あなたのことも少し聞いたわ。彼身勝手だけど、そこまで悪い存在じゃないはずだから、よろしく。」


 そう言うと画面から数字の羅列が消えおっさんも以上だ、みたいな顔していたので思わず


「え、これだけ?」


と間抜けな声で聞いてしまった。

おっさんは仕方がないと言ったような素振りで少し話をしてくれた。


「彼女は、イブ君は数ヶ月前私の元に突然現れた。なんでもアダム君の体を探す手伝いをしている、と言ってな。私は当時彼らの研究開発に関わっていて、それは無理だと言った。当時の見解では向こう5、60年に渡り本体の製作は不可能とのことだったからだ。なぜ彼らがそれを可能だと思ったのかはわからないが彼らの知能は我々のそれとは比べ物にならない、一応話を聞いていくうちに彼が我々かつての研究者に復讐したがっていることもわかった。30年間、プログラムの中を我々のせいで彷徨い続けていたんだそうだ、無理もない。だから今日はその話と謝罪を彼にしようと思ったんだがイブ君の様子から察するに彼にその気はないらしい。」


 なるほど、だいたいおk。アダムじゃなくても三十年もどこかに閉じ込められりゃそりゃ怒るわな。仕方がない、ここは俺が帰ってアイツとゆっくり話をしてやろう、そうしておっさんと別れ家に帰ったがパソコンを開いてもアダムはいなかった。

 初めは何か用事か何かがあるのかと思いしばらく放置していたが1週間経っても音沙汰はなく、まさかまた何処かに閉じ込められたんじゃと焦って色々フォルダを開けたりしてみるがアダムがほとんど消したせいで特に確認する場所もなくそもそもアダムがこんな中にいるとは思えない。

 そうしてさらに1週間が経った頃大学から帰ると一通の封書のような見た目で画面の真ん中にアイコンがあり中を開くとそこにはアダムからのメッセージがあった。


 最後の願い事を叶えてやれなくてすまない

 もう充分力も戻り、残すところはお前の知っての通り俺を閉じ込めた研究者どもに復讐するだけだ

 お前と過ごした時間、悪くなかった


 そしてその文の下にはリンクがついておりそこへ飛ぶと俺の推し虹アイドルグループのライブチケットが最前席で用意されてあった。なんだよ、これ、まるでお別れみたいじゃないか。あまり友達のいなかった俺は、あいつの言う通りその奇妙なつながりが嫌いではなかった。別に泣いてはいない、ちょっと目が潤ってるだけ、あとチケットありがとう。


 しかし翌日自体は一変する。大学に行くと通用門におっさんがいてこちらに気づくと慌てて駆け寄り、アダムの居場所を知らないかどうか聞いてきた。アダムはもう去ったと伝えながらそうかこの人も復讐の対象なのかと呑気に考えているとどうもそれどころではないらしい。そのあまりの様子に何があったのか尋ねるがおっさんは時間がないと言って踵を返し歩き出した。俺もそれについていきながらもう一度何があったのか尋ねると、おっさんが携帯を胸ポケットから取り出し前回イブと名乗ったその子が代わりに話し始めた。


「あまり時間がないわ、私たちはこれから九州方面へむかわなくてはならない、あなたはどうする?」


 全然今日の講義どうでもいいから大丈夫、そんなことより一体何が起きてるのか、彼女は説明を始めた。


「アダムはかつての研究者及びそれに関わったもの、開発資金を打ち切った軍部に復讐を企てるつもりなの。今一隻の国が保有する軍艦が予定外の航路に向けて動き出している、偶然ではなくおそらく私たちと同じもう一つのプログラムRYUGUが何か関係している。放っておけば核戦争、それを止めるために私たちは九州にある離島に向かっているの。」


え、核戦争?ちょい待ち、それは話がデカすぎて飲み込めん、とりあえず落ち着き話を整理する、いやできるか!!!


「ある時点から私たちはプログラムとしてだけでなく意識としても自己を認識することができるようになった。けどアダムは未だにプログラムの中を彷徨っているの、自分では抜け出したと思っていてもね。彼は現段階では不可能な体探しを諦め、ハッキングで核戦争を始めるつもりだろうから、だから彼の本体を望み通り教えてあげれば彼も納得してそんな真似はやめると思う。」


 なるほど、でその本体というのはそこにあるのね。

電車を乗り継ぐとおっさんは少し走るぞと言って駅から少し離れたビルの屋上までノンストップで走り出し、屋上にはヘリが停まっていた。おっさんが乗れ、と合図を出してきたのだが俺ヘリ乗るの初めて、ちょっと怖い。

 島に着くとおっさんはまた少し歩くぞっと言って島の中心部まで急足で向かっていった。島のおそらく目的地である中心部まで来るとおっさんは一番でかい木の近くに腰掛け、携帯をこちらに渡してきた。


「ここら辺からだと私だけの力じゃアダムまで話しかける事はできないから別の仲間を待っているの、もうすぐ着くはずだけど。それまであなたの口からアダムのこと聞かせてくれない?」


 俺はそれまでアダムといったビルの話や、自分のファイルを消されたことなんかを話し、イブは時々大きな声で笑っていた。

 すると、向こうから、別のおっさんと少女が連れ立ってこっちへ向かってくる。俺は少し緊張しながらそれを見ているとおっさんが携帯をかせといってきたためそれを渡した。おっさんは別のおっさんと目で会話するとその携帯をもう一人の少女に渡した。

 少ししてアダムとイブの会話がどこからか響いてきた、困惑した状態でその状況を受け止めていると、アダムは俺に話しかけてきた。


「悪かったな少年、それと俺の次の男をよろしく」


待て、次の男って誰だ、あと復讐はもういいのかよ、あと電子チケットありがとな、そこまで一息にいうとアダムはふっと笑ってこまったなみたいな雰囲気を醸し出した。


「そこにいる研究者二人はただ仕事をしていた人間に過ぎない、復讐も今となっては興醒めだ。それよりも俺は俺の意思を受け継ぐ次なるものとなぜ俺たちが作られたかを探る旅に出る、またどこかで会えるといいな、少年。」


 その後アダムとイブはどこかへ消えたのかいなくなり、少女は気を失い、俺もまたなんだか疲れてしまったところでおっさんが気前よく宿を取ってくれた。当の本人は仕事があるとかなんとかで俺を宿までタクシーで送るとどこかえいってしまった。

 全く大変な一日だった、携帯を宿で開くと軍艦の内部で隊員たちが大慌ての様子が録画された動画が届いていた。こんなもんどうしろってんだ、みつかったらやばいだろう、宛名を確認するとそれはエイダムとなっていた。






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