2022-03-21 04:13:11 更新

概要

療養所。惚れられた男子と病のベタ惚れお嬢様の話。一応艦娘です


前書き

残念だったな!失踪してないよ!
…すいませんでした!!!!!!!!!!!!!!!!


ザザーン…ザザーン…




ここは海辺の病院


海辺とは言っても、いわゆる東京湾とか、湘南みたいな、華やかなとこじゃない。せいぜいこじんまりとした海水浴場がある程度。よく言えばのんびりしてるが、正直田舎だ


まあ、だから病院なんてあるんだろうけどね


その病院も大きくはない、中くらいって感じ


立地や規模故か、どちらかと言えば療養に来てる人が多い


僕もその1人


とはいえそこまで重い病気でもなく、適切に治療すれば治るものだ


そして暇


スマートフォンなんて飽きたし、TVは最近の戦争の話で持ち切りだ


その戦争とやらも、海岸では被害が出てるのだがこんな辺鄙なとこじゃ狙われもしない


だから、大抵人と話すか寝ていた


そんでもっていつの日、隣に同い年くらいの女性が来た


言ってなかったけど僕は高校生。休学だけど


「どうも、こんちには、はじめまして」


「え、ああ…はじめまして」


「突然ごめんなさい、歳が近く見えたんで」


「ああ…はい」


うーん、警戒されている


それはそうだ、来たと思ったら突如得体の知れない男に話しかけられるんだし


ただ、そんな彼女にも話すきっかけはあった


「…」ペラッペラッ


「…それ、あの今人気のラノベですか」


「わ!?…っと失礼しました、そうです」


「はは、驚かせてごめんなさい。お好きなんですか?」


「いえ…まだ読み始めたばかりで。面白そうだと思ってるんですが。まだこの巻しか買ってなくて」


「そりゃもったいない!良ければ読み終わったやつあるんでお貸ししましょうか?」


「まあ、よろしいのですか?」


「是非是非!きっと好きになります」


「では…お言葉に甘えさせていただきます」


こうして、話の話題ができたのだ


最初はなんだか真面目そうというか、他者を寄せ付けなさそうな雰囲気だったが


「◯◯さん!」


「はい?」


「これ、とっても面白いです!」


「お、おお。なら良かったです」


ハマった


さすが人気ラノベ


なんだか意外だった


だが、同じ趣味を持つのは話しやすくなるので、よしとする


そこからは、それこそラノベみたいな展開であった


「◯◯さんってどちらからいらしたんですか?」


「僕は近いですよ、関西の辺りから」


「なんだか意外です」


「ははは、まああんま関西弁使いませんしね…」


他愛もない話をし


「そういえば、歳が近いように見えますけどお幾つなんですか?」


「女性にそれ聞きます?」


「ごめんなさい」


「冗談です、(各自で補完)歳ですよ」


「うおっまじで同い年」


「あら、そうなんですか」


「ええ、まさか同い年とは」


「意外ですね〜…でしたら、そんな敬語なんて使わず普通に話しませんか?」


「良いんです?」


「ふふ、大丈夫よ」


「!…じゃあ、そうさせてもらおうかな」


打ち解けて


「ところで…最初話して思ったんだけど、言葉使い上品だよね」


「ええ、まあ…あんまり言いふらすことでもないけど、これでも両親が会社を経営してるから…」


「!?…ちなみに…なんて会社?」


「◯◯って会社よ」


(大手!!!!)


ガチガチのお嬢様ってこともわかった


「◯◯さんって、どうしてこちらに?」


「ああ、僕は肺に病気持っちゃって。もうほぼ治ってるんだけどね。そっちは?」


「私は…小さい頃から体が弱くて、それでここで休んでるの」


少し踏み込んだ話もした


色んな話をした


ただ、ついに時間が来てしまった


僕が後少しで退院することになったのだ


本来喜ぶことだが、彼女と会えなくなるのは、寂しかった


でも、相手には隠し通すことにした。男なのにしょげてるのは、何となく恥ずかしいと思って


「そうそう、僕そろそろ退院決まったんだよ!」


「…えっ?」


「後2週間くらいで退院なんだよね、やっと学校に行けるよ」


「…そう、ですか」


「まあ、君とはお別れになるけど…たまに会いに来るから」


「ええ。退院おめでとうございます」


「あははっ、まだ先だけどね」


こうして、表面上は明るくその事を打ち明けた


そうして、その日の夜


「…」モゾ


寝れない


やはり悶々としてしまう


会いに来るとは言ったが、それでも少し寂しさがあった


「◯◯さん」


「!?」


突然声をかけられた


「ごめんなさい、寝てましたか」


「いや、寝れなかったとこだけど…何?」


「…」


「…?」


「…◯◯さん」


「????」


「正直に言います。あなたの人生をくださいませんか」


「はえ?」


意味が分からなかった


僕は物じゃないし


「あげるって…僕は物じゃないからどうすればいいのか…」


「…違います」


「ええ…?」


「単刀直入に言います、私と付き合ってくださいませんか」


「!?!?!?」


驚いた


突然告白されるのだから、心臓も飛び跳ねるってもんだ


「えっ…あ」パクパク


「あなたは素晴らしい人です。とっても。私はあなたのことが好きです。そして、あなたが欲しいのです。素晴らしい人の人生なんて、得るにはきっとすごい価値でしょう。でも、それがいくらであろうと、私はあなたが欲しい」


一体何が彼女を引き付けたのか、教えて欲しい


「お、落ち着いて?」


「…」


「とりあえずほら、今は夜中だし」


「私は」


「!?」


「私の病は、治すのが困難な病気です。簡単には治せないのです。そして、私の余命は少ない」


「…」


「先日、ここのお医者さんに、「艦娘」になってはどうだって言われました。そうすれば病気は改造の際無くなるって。でも、それでも戦争で命をさらけ出すのに変わりはありません。私の余命はどうあってもあなたより短いのです」


「まだ決まったわけじゃ…」


「いいえ。今まで都会の病院に居たのに、どうして私がここに来たのか。それが物語っています」


「っ」


「私は、艦娘に改造されるつもりです。一度は諦めた命を、役立てられるのですから。でも」


「でも…それでも、死ぬのは怖いです」


なんと答えればいいんだろう


「お願いします…たった数日だけ付き合って、捨てるだけでもいいのです。それでも私は満たされます。家柄という、立場という壁があるのはわかっています。それでも」ギュッ


「…」


「…」


「…ごめん、なさい」


「…」


「どうしても僕と君じゃ、釣り合いっこない。君はお嬢様で僕は庶民。それに、こんなこれと言って突出した物のない男子より、もっといい人がいるはずだよ。人間性も、その他も」


「…はい。ごめんなさい、夜に起こしてしまって。おやすみなさい」


「…うん」


結局断ってしまった


もちろん、僕だって彼女が嫌いなわけではない


むしろ好きだ。笑ったときの顔も、人としても美しい


でも、だからこそ僕じゃもったいない


きっと、彼女ならそういった縁にも恵まれているだろう


正直、僕も夢は見たかった。でも、庶民の一存で決めていい人生じゃない


あー…明日から気まずいなぁ


~~~~





「…」


まずい、超気まずい


なんも言えずにさっきから前だけ見つめている


「おはよう御座います」


「へぁっ!?」


「ふふっ、驚きすぎだよ」


「ああ…ごめん。おはようです」


「さっきからどうしてたの?ボーッとして」


「いや、なんでもないよ」


「ならよかった」


「…ねえ、昨日の夜さ」


「…」


「ごめん、突き放しちゃって」


「…夜?」


「えっ?」


「えっと…私、昨日は結構早めに寝付いたけど…寝言でも言ってた?」


「…いや、なんでもない。気にしないで」


「うん」


昨日のアレは夢だったんだろうか


そんなこともないはずなんだが


でも、彼女がああ言ってる以上、なにも言えない


…うん、あれは夢だった。リアルな夢だろう


「ところでさ、あのラノベの新刊買ってきてもらったから、読んでいいよ」


「えっ、いいの?」


「うん、楽しみにしてたからお先にいいよ」


「じゃあ、そうさせてもらおうかな。ありがとう」


うん、彼女もいつもどおりだし、やはり夢だ。いまので確信できた


まあ、出会いと無縁な人生だし、あんな夢見れただけ良かっただろう


~~~



ついに、退院の日が来てしまった


あの夢を見た日から、今日まではあまり覚えていない。あまりにも一瞬だった


今日で彼女ともお別れだ


「…」


「…」


「まあ、なんだ。いままでありがとね」


「うん、こちらこそ」


「あ、そうだ。これあげる」


「紙袋?なに、これ?」


「僕らが好きだったラノベ。結局最終巻まで読み終わったし、僕は退院しちゃうけど君は暇だろうから」


「まあ…ありがとう」


「…やっぱり、お別れってのもやだね」


「ちゃんとたまには来てよ?」


「うん、もちろん。じゃあ、短かったけどこれで」


「うん…あ、そうだ」


「ん?」


グイッ



突然、彼女が僕を引き寄せたかと思うと、目の前に彼女の顔があった


というか…当たった


「な…なななっ…」


「ごめんなさい、あの夜は、わがままを言ってしまって。これで最後だから、許して」


「え、あ…」


「本当に、いままでありがとうございました。いつか、またお会いしましょう」


「…うん。僕も、できれば君の気持ちを受け入れたかった…」


突然な出来事になると声がでない描写があるが、まさか体験すると思わなかった


もちろん、彼女のことは今の今まで好きだ。でも、あんな子の唇に触れてしまうとは


ダメだ、顔が赤くなってしまう


「それだけ聞けたら、嬉しいです。…じゃあ、またいつか」


「…はい」




そこから、あの病院には行っていない


僕が嘘をついた、とかじゃない


結局、戦争が激化して、あの地域も危険地帯になってしまった


病院に居た人もみんな、散り散りに疎開してしまったのだ


訪問しなかったというより、できなかったが正しい



僕はその後、それこそ必死に勉学に励みギリギリで高校を卒業し、海軍を志した


理由はまあ…ぶっちゃけ、彼女とあいたいからだ


幸い、退院後の猛勉強のおかげで、人より勉強を詰め込むのには慣れていたので、海軍学校にも入れた


見た目があのときのままとは限らないし、僕を覚えてるとも限らないが


自己満足でいいから、会いたかったのだ


国防を担う軍人がそんな不純な動機じゃ、怒られそうであるが


そして着任して1年半


自分の鎮守府だけじゃなく、演習や本営などでほかの艦娘にも会ったが、未だに見つけられていない


もし、彼女が生きていいるなら…あのことは謝りたい。というか、男なら謝って責任を取らなきゃだと思う


~~~


未だに会えないって、この人は考えてそうですね


実際は目の前に居るんですがね…


私が最初に本営に配属になって、かつ上官の方が優しい人で助かりました


本営配属のおかげで、今まで一応地に足をつけていられるし、人の流れも盗み見だけど入手できる。いいことじゃないけど…


今でも、あの上官の方には感謝してます。私の思い出と、提督になるだろうかと言うことを話したら


「ハッハッハッハッ!!若いっていいなあ!そういう感じの士官が着任したら、ちょっと口利きしといてやるよ」


と豪快に笑っていました。あれは冗談かと思いましたが、まさかほんとに私がくっつけるとは


私は、それから誰とも付き合っていません。忘れられませんでした


あのとき、私の精神はボロボロでした。私の病は完治が困難で、それで療養所につれてこられたってことは、快方に向かっているかその逆だと


そして、私は日に日に体の調子が悪くなっていました


もう、誰とも関わる気はなかった。でも、彼はずっと話しかけてくれました。あの夜の騒動の後も


そんなの、惚れちゃうに決まっています


まあ、今までヒントを出したりして匂わせたのに気づかない鈍感さんだとは思いませんでしたが


私のファーストキスは、彼に捧げたのです、私がわがままで強引にしただけですが


でも、彼も彼なりに私を好いてくれていたようでした


もし、彼に嫌われていたら、私は今頃暗い人生を送っていたでしょう。半分依存しているのですから


彼は、私の荒んだ心に光を当ててくれました


乙女のキスを奪って、心も奪ったのです


責任は、取ってもらいましょう♪


後書き

何ヶ月ぶりの投稿だよこれ…(恐怖)


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