2023-03-21 04:51:20 更新

概要

初めまして、空っぽと申します。SS投稿するのは初めてなので至らぬ点が多々あると思います。ご容赦ください。


前書き

三人の提督がそれぞれの鎮守府で奮闘する日々を描く作品です。佐世保編になります。グロ表現アリ。エロは今のところなし。
 登場人物
佐世保提督 主人公の一人、妖精が見えるという理由で民間人から提督に。男性
呉提督 主人公の一人、成績優秀な若手のホープ。男性
横須賀提督 主人公の一人、元帥の孫。女性
元帥 長い間現役の御老人。軍人家系だができれば孫には軍属を離れてほしいと願っている。
 その他艦娘たち


序章



 二月某日 ~AM8:00~ 大本営


元帥「入れ」


三人「「「失礼します」」」


元帥「三人ともそろっているな。急な呼び出しをして済まない」


A「は、しかしどのようなご用件でしょう?」


元帥「うむ、しかしその前に確認をいくつかさせてもらおう。君達は先日の襲撃事件は耳にしているかね?」


B「はい。横須賀、佐世保、呉の各鎮守府に対し深海勢力が突如出現、攻撃をうけた。とまでは」


元帥「被害状況は?」


C「いえ、私たちの間では各鎮守府が攻撃を受けたとだけ…」


元帥「ふむ…では被害を伝えるがくれぐれも他言無用でな。各鎮守府は被害甚大、艦娘の死者多数、施設機能は完全に停止している」


A「なっ…」


B「は?」


C「そんな…」


元帥「そして佐世保、呉双方の提督は死亡が確認された。横須賀は行方不明だが恐らく死亡しているだろう、との報告だ」


元帥「現状、我が国の防衛は舞鶴がほぼ単独で支えている。なぜ深海勢力が追撃をかけなかったのかは不明だ。そこで…」


元帥「君たち三人を新提督にすることになった。それぞれ呉、佐世保、横須賀となる」


A→呉提督「待ってください。私たちの他にもっと相応しい者がいると思われます。なぜ私達なのですか?」


元帥「君の疑問はもっともだ。総合的に判断したといっても納得しないのだろう?端的に言えば君たちは妖精が見える数少ない者であり、そ            の中で一番適していると判断したからだ」


B→佐世保提督「まあ、民間人から収集するほど少ないですもんね」


C→横須賀提督「わかりました。全身全霊で職務に当たらせていただきます」


元帥「うむ、よろしく頼む。各員ヒトフタマルマルに送迎の者が来る。それまでに準備をしておけ…ああそれと、入ってきてくれ」


???「「「「「失礼します!」」」」」


元帥「各員自己紹介を」


吹雪「特型駆逐艦1番艦、吹雪です」


叢雲「特型駆逐艦、5番艦の叢雲よ」


漣「綾波型9番艦の漣です」


電「特三型駆逐艦、電なのです」


五月雨「白露型駆逐艦の五月雨です」


元帥「君達三人のサポートをしてくれる艦娘たちだ。話し合って誰が良いか決めてくれ。本当は二人づつ付けたいのだが状況が許さなくてね…一人は一艦だけとなる」


  提督話し合い中…


佐世保提督「じゃあ、私は吹雪さんを」


横須賀提督「私は電さんと漣さんを」


呉提督「私は叢雲さんと五月雨さんを」


元帥「よろしい。では解散とする、諸君らの健闘を祈る!」


 一日目


 ~AM10:00~ 大本営


呉提督→提督「では改めて自己紹介を新しく呉の提督になりました。よろしくお願いします。五月雨さん、叢雲さん」


五月雨「よろしくお願いします!提督!」


叢雲「改めて叢雲よ、呼び捨てでいいわ」


提督「すみません、私は人を呼び捨てにするのに慣れていなくてですね…」


叢雲「あんたの噂は聞いているわ。全ての面において優秀、期待の若手、完璧人間…大したものね」


提督「いえいえ、それほどでも。噂など皆さんが話すうちに尾ひれがつきます。過度な評価だと自分でも思っているんですよ?」


五月雨「そういえば、なんで私達二人を選んでくれたんですか?」


提督「うーん、特に理由はなくてですね…」


提督「私は皆さんの誰でもよかったんです。ああ、皮肉ではありませんよ。あの場にいる時点でそれは貴女達にその能力がある、と考えたからです」


提督「佐世保と横須賀のお二人が先に決めて最後に私が選んだ、というだけの事です」


叢雲「つまり私達は余り物って訳ね」


提督「そう邪険に取ってほしくはないんですが…まあしょうがありません。そうですね、お二人は荷物はまとめておられますか?」


叢雲「ええ、私たちはあの部屋に呼ばれる前に既に準備できてるわよ」


提督「そうでしたか、ならこれか…」


五月雨「あ…」


提督&叢雲「?」


五月雨「私、荷物まとめるの忘れちゃってたーー!」


叢雲「あんた何やってんのよ!」


五月雨「ごめんなさい><、ついうっかり…」


叢雲「うっかりって…ちゃんと前日の朝からいわれてたでしょ!」


五月雨「うわーん、すみませんーー!」


提督「ならとりあえず五月雨さんの荷物をまとめるのを手伝いますか。五月雨さん、いいですか?」


五月雨「ありがとうございます。助かりますう…」


叢雲「まったく…」


  ~PM0:00~ 大本営前


呉提督「ではこれでお別れですね」


横須賀提督「お互い幸運を」


佐世保提督「生きて会おうな」


  移動中 車内


提督「何とか間に合いましたね」


五月雨「ホントにありがとうございます。私、昔っからよくドジを踏んじゃうんです…」


叢雲「何が”何とか”よ、おっそろしい速さでまとめてたくせに」


提督「いえいえ、私は小物や家具をまとめてただけですよ。お二人がまとめた衣類の方が大変です」


叢雲「…あんた人から嫌味なやつとか言われてない?」


提督「そんなことは、実際女性の服周りはとても大変だ。男と比較にならないほどに」


叢雲「…はあ、」


五月雨「そういえば、お昼食べ損ねちゃいましたね…」


叢雲「それは自業自得でしょ、我慢なさい」


提督「ああ、そうでした。空いた時間でサンドウィッチを作ってきたんです。食べますか?」


五月雨「わあ、食べます食べます!ありがとうございます!」


提督「お口に合うかはわかりませんけどね、叢雲さんもどうぞ」


叢雲「いただくわ、それいつ作ったの?」


提督「荷物をまとめ終わった後に食堂を借りて、ですね」


叢雲「ふーん…」


五月雨「モグモグ…!すっごく美味しいです!」


提督「それは良かった。急ぎで作ったので不安だったのですが」


叢雲「(美味しい…)…ま、予想以上ね」


提督「ありがとうございます」


五月雨「あ、そういえば呉につくのはどのくらいになるんですか?」


提督「そうですね、到着予定は夜十時。被害の詳細が分からないのでその調査から始める予定です」


叢雲「それでいいんじゃない?鎮守府の事は頭に入ってる?」


提督「ご安心を、地図から立地、所属艦娘の名前などはすべて覚えているつもりです」


叢雲「…いつ覚えたの?今日提督に指名されたんでしょ?」


提督「日ごろから、ですね。他にも佐世保、横須賀、舞鶴などもおおよそは頭に入っています」


叢雲「…」


五月雨「凄い…ほんとに完璧人間なんですね」


提督「いえいえ、完璧な人間はいませんよ。私は自分のすべきことをやっているだけです」


叢雲「ここまでくると皮肉にしか聞こえないわね…」


提督「そんなつもりはないのですが」


叢雲「ま、これから長い付き合いになるんだし、欠点の一つや二つ、そのうち見つかるでしょ」


提督「おお、それは恐ろしい、精一杯やらせていただきますね」


叢雲「…私、あんたが苦手だわ」


  ~PM10:00~ 呉鎮守府


提督「着きましたね。お二人とも警戒を、万が一ですが敵が潜んでいることも考えられます」


叢雲「了解」


五月雨「了解です」


叢雲「見たところ建物の損壊はないけれど明かりはついてないわね」


五月雨「…でも、変な匂いがします」


提督「…おそらく血と腐敗臭です。とりあえず提督室に行きましょう。お二人とも警戒を最大限に」


提督「それと、こちらをお持ちください」


叢雲「これは…応急修理女神?なんでこんなものあんたが持ってるの?」


五月雨「わあ、私初めて見ました」


提督「訓練生時代から貯金して買ってたんです。あと一つありますよ」


叢雲「…あんたって用意周到過ぎない?」


提督「いえいえ」


叢雲「…ハァ…」


 本舎


提督「匂いが強いですね」


五月雨「音は聞こえないです」


叢雲「気配もないわ」


提督「入り口横に照明のボタンがあるはずです」


五月雨「はい、えーと…あ、あった。今付けます」


パチ


三人「「「!!!」」」


叢雲「提督は私の後ろに、五月雨!私の横に!」


五月雨「はい!」


提督「…いえ、敵はいません」


叢雲「でも、これ、何よ…」


叢雲「何でこんなに艦娘が死んでんの!」


五月雨「…血で壁も天井も赤黒くなってます…」


提督「…落ち着いてください叢雲さん」


叢雲「落ち着いているわよ!」


提督「五月雨さん、叢雲さんの傍にいて離れないでください」


五月雨「わかりました」


提督「とりあえず死亡している艦娘を調べます」


提督「…武装はなし、抵抗した痕跡は…なし、外傷は…左胸に大きな貫通痕のみ、これが恐らく死因…」


叢雲「…」


五月雨「なにかわかりましたか」


提督「専門家ではないので確かなことは言えませんが…」


提督「全員が即死、死因はいずれも心臓部を貫かれて、ですね」


提督「提督室に向かいます。その後生存者の捜索に移ります」


 提督室


提督「提督室に来ましたが…」


五月雨「先に入ります」


提督「よろしくお願いします」


五月雨「…敵影なし、でも…死体があります」


提督「入りましょう…荒らされた形跡はなし。そして…」


叢雲「…元提督の死体があるわね」


提督「叢雲さん、大丈夫ですか?」


叢雲「持ち直したわ、さっきはすまなかったわね」


提督「あの状況では仕方ありません。それより」


提督「なぜ提督の死体は頭がないのでしょうか…これまでの遺体はみな心臓を貫かれていたというのに」


叢雲「分からないわ、設備は…無事のようね」


五月雨「じゃあ皆さんの捜索に移りましょう」


提督「そうですね、ですがその前に」


提督「天井に隠れている誰か、出てきてください」


五月雨「え?」


???「「「!!!」」」


提督「殺気でばれてますよ。即座に襲ってこないのは深海棲艦ではないからでしょう」


???A「…へえ」シュタッ


???B「…」スッ


???C「…誰」スタッ


提督「貴女達を助けに来ました、新提督です」


叢雲「貴方達は誰なの?見たところ軽巡みたいだけど」


提督「確か川内さん、神通さん、那珂さん、ですね」


???A→川内「…合ってるよ、どうやら本当みたいだね」


???B→神通「ホッ…助かりました」ヘナヘナ


???C→那珂「那珂ちゃん、生きてる…やったあ!」


提督「とりあえずここは安全だと思います。よけれb…」


??? コンコンコン


五月雨 ビクッ


提督「誰だ!」


??? ビューン


叢雲「!妖精さん!」


???→妖精「ヾ(>ω<;)ノコッチコッチ!」


提督「付いてきてほしいのですね、分かりました。案内を」


提督「三人はここに待機を、なにかあったら砲撃で知らせてください」ダッ


 別棟


???「「ハアハア」」ダッ


???A「ッ行き止まりっ…」


???B「どうしよう…」


 コツコツ…


???A&B「!」


???C「鬼ごっこは終わりかい?随分と長かったねえ」


???A「雪風ちゃん、後ろに」


???C「おやおや、涙ぐましいねえ。どうせ二人ともすぐ死ぬのに」


???B→雪風「まだ、まだ何かッ…」


???C「残念ながらゲームオーバー、だ」シッ


???A「!?っ」


???C「こんなに簡単に首を掴めるんだ。体力も残っちゃいないだろう?」


雪風「陸奥さんを放せ!」


???C「せっかく最後の二人だ。今までとは違う方法で…」


???A→陸奥「ゆぃ…かぇちゃっ…逃げっ」


???C「うーん…そうだ、深海棲艦になって相方ちゃんを殺してから殺されるのはどうだろう。うん、名案だ」


???C「それじゃ、轟沈しないまま深海棲艦にするからかなーりきついけど耐えてね?」


陸奥「っ…うっ…アアッ」


 バンバンバンッ


雪風「!」


???C「おや?」


提督「その子を放しなさい!」


叢雲「横の子!早くこっちに!」


五月雨(砲撃体勢)


???C「時間切れ、か」スッ ドサッ


陸奥「ッ…」


提督「貴様は誰だ?目的は?」


???C「拳銃で撃ってから質問とはねえ。ふつう逆じゃない?」


提督「答えろ」


???C「正体はまだ明かせない。目的なら答えよう」


???C「虐殺、そしてゲームの開始」


提督「ゲーム?」


???C「いずれ分かるよ」


提督「貴様、男だが深海棲艦なのか?」


???C「人間ではない、とだけ」


提督「貴様を…」


???C「あのさあ、僕はこの問答を続けてもいいけどさあ」


???C「早く手当てしないとそこに転がってる娘、死ぬよ?」


提督「ッ五月雨さん、砲撃!」


  ドオン!


???C「アッハハハハハハハハハハハハハハ!」


提督「!どこに行った!」


???C「またねえプレイヤー!そのうちまた会うさ!」


???C「最後に仮称だけ言っとくよ。僕の名前はキーパー、とでも呼んでくれ。じゃあね!」


叢雲「消えた?」


提督 ダッ「大丈夫ですか!?」


雪風「陸奥さん!しっかりして!」


陸奥「ハアッハアッ、アアア」


提督「応急修理女神を使います。これで…頼む!」


陸奥「ハアッハアッ、ハア…」


雪風「陸奥さん!」


提督「…大丈夫、気を失っただけのようです」


五月雨「良かっったあ…」


叢雲「敵影、完全に消失」


提督「とりあえず、この方…陸奥さんを医務室まで運びます」


提督「となりの貴女は、雪風さん、ですね」


雪風「はい。雪風は雪風です」


提督「お怪我はありませんか?」


雪風「大丈夫です」


提督「良かった。もう大丈夫ですよ」


雪風「ッグス」


提督「できればゆっくりさせてあげたいですが…叢雲さん。雪風さんに付き添ってあげてください」


叢雲「わかったわ」


提督「五月雨さんは提督室の三人を医務室まで連れてきてもらえますか?」


五月雨「分かりました」


提督「では、陸奥さん、失礼ですがおぶらせていただきますね」スッ


 ~PM11:30~ 医務室


提督「ひとまずベッドに寝かせて、と」


提督「容体は落ち着いているようです。よかった」


提督「それと妖精さん、貴女は陸奥さんの妖精ですね」


妖精→陸奥妖精「( ̄^ ̄)ゞ」


提督「ありがとうございます。貴方のおかげでお二人を救えました」


提督「陸奥さんを観ていただけますか?何かあれば知らせてください」


陸奥妖精「(’・ω・)b」


提督「さて、叢雲さん、雪風さん」


提督「私は他の生存者を探してきます。ここで待機を」


叢雲「いやそれは…」


提督「じきに五月雨さんたちも合流します。それでかなり安全になるはずです」


叢雲「いや、あんたの身が危険になるでしょ!」


提督「大丈夫です。逃げ足には自信があります、それに」


提督「もし敵と遭遇した時、艦娘一人を失うのと人間一人を失うのと、どちらがローリスクかは一目瞭然です。では雪風さんをお願いします」


叢雲「あ、ちょっと待ちなさいよ!」


雪風「叢雲ちゃん…」


叢雲「!ッああっもうあいつは!」



  ~PM11:50~ 工廠


提督(ここも血だまりばかりか)


提督(艦娘だけではない、妖精まで殺されている)


提督「誰かいませんか!」


 …


提督「いない、か…」


???A「…助けて、助けて!」


???B「ここです!」


提督「!どこですか」



???A「ふう…」


???B「助かりました」


提督「貴女達は夕張さんと鳳翔さん、ですね」


???A→夕張「はい、軽巡、夕張です」


???B→鳳翔「軽空母、鳳翔です」


提督「私は新しく着任した提督です。もう大丈夫ですよ」


夕張「他の娘達は?」


提督「今は自分の身に集中してください。お怪我は?」


夕張「ちょっと擦りむいたくらいよ」


鳳翔「私も大丈夫です」


提督「良かった。すみませんがお二人で医務室まで行けますか?私は他の場所を探しに行くので」


夕張「あ、それだったらここでわかりますよ」


提督「本当ですか!?」


鳳翔「ここの艦娘は全員にGPSとバイタル測定器がつけられていますから」


夕張「ちょっと待っててください」



夕張「よし、出た」


提督「分かりますか?」


夕張「…噓」


提督「これは…」


夕張「反応があるのは七隻、だけ…」フラッ


提督「夕張さん!」


提督「…気を失ってしまいましたか」


提督(軽率でした、こうなることは容易に想像がつくだろうに)


鳳翔「…」


提督「鳳翔さん、大丈夫ですか?」


鳳翔「…ええ、何とか」


提督「お気を確かに」


提督(七隻…陸奥さん、雪風さん、川内さん、神通さん、那珂さん、夕張さん、鳳翔さん)


提督(即ち他の生存者はいない。か)


提督「とりあえず医務室まで戻らなければ」


鳳翔「分かりました」


提督「夕張さん、背負わせていただきますね。失礼します」サッ


  少し時は巻き戻り~PM11:30~ 提督室


五月雨「皆さん、大丈夫ですか」


川内「全員無事だよ。それよりどうだったの」


五月雨「陸奥さんと雪風さんがいました。二人とも今は医務室に向かっています」


神通「良かった、私達以外にも生存者がいたのですね」


五月雨「はい、三人にも医務室に来てもらうように私が来ました」


那珂「それは分かったけど…君たちの名前すらこっちは知らないよ?」


五月雨「あ、そうですよね。私五月雨って言います。もう一人は叢雲ちゃんです」


川内「よろしくね、五月雨ちゃん」


五月雨「こちらこそよろしくお願いします!」


神通「では…医務室に」


五月雨「はい、行きましょう…あっ」 ズデッ


川内「大丈夫!?」


神通「敵!?」


五月雨「いえ、ただ転んだだけです…」


那珂「ええ…何もないところで転ぶの…」


 医務室


五月雨「到着しました…あれ、叢雲ちゃん、提督は?」


叢雲「やっときたわね」


五月雨「提督はいないの?」


叢雲「あの馬鹿なら一人で生存者を探しに行ったわよ」


五月雨「ええっ、なんで叢雲ちゃんついていかなかったの?」


叢雲「私だって行きたかったわよ。でも雪風のことを任されたし、あんたを待たないといけないしで…」


叢雲「ああっあのバカ!」


五月雨「叢雲ちゃん落ち着いて…」


川内「雪風ちゃん!」


雪風「川内さん!無事だったんですね!」


神通「陸奥さんは?」


雪風「奥のベッドで休んでます」


那珂「それにしても一人でこの暗い夜の中探すなんて…」


川内「馬鹿だよね」


神通「姉さん,流石に言い過ぎでは…」


叢雲「そのとおり馬鹿よ」


五月雨「でもあの提督ならちゃんと考えての行動のはずです」


叢雲「さあね…はあ、疲れた」


 ~AM0:10~


提督「ただいま戻りました」


五月雨「お帰りなさい、提督」


提督「五月雨さんたちも無事ですね、良かった」


川内「!夕張!」


提督「静かに、気を失っています」


提督「ベッドに寝かせてきますね」



鳳翔「みんな、無事だったのね」


神通「鳳翔さんこそご無事で何よりです」


鳳翔「川内型三人と雪風ちゃんと…」


雪風「陸奥さんがベッドで寝ています」


鳳翔「そう…これで、全員なのね」


那珂「?鳳翔さん、その意味は…」


鳳翔「提督を待ちましょう、そこで分かるわ…」



提督「さて、一段落尽きましたね…叢雲さん?」


叢雲 フンッ


提督「…ご心配をおかけしました。申し訳ないです」


叢雲「ええ、本っ当に迷惑したわ!この馬鹿!」


提督「…すみません」


叢雲「次から単独行動禁止!いいわね!」


提督「肝に銘じます」


五月雨「叢雲ちゃん、言いすぎだよ…でも心配してたのは私もです」


提督「弁明の余地もありません。しかしあの場での最適解はこれだったと思っていますよ」


叢雲「指、揮、官、が!単独行動することの何処が最適解よ!?」


提督「あの場では自由に動ける人間は一人しかいなかった、この状況で単独行動し、敵に遭遇した場合艦娘でも人間でも変わらず死ぬ確率が高い、ならば戦力の大きい艦娘を拠点の防衛に配置し、人間が捜索する」


提督「私の中ではこういう目算だったのですが…」


提督「それに、雪風さんのケアができるのは同じ女性であり、艦娘でもある貴女が良いと思いました」


叢雲「指揮系統の要の提督が死んだら?」


提督「そもそも人数が少ない、ここには六人しかいない筈です。この程度の人数なら指揮官なしでも十分に集団行動が可能です。それに」


提督「叢雲さんがまとめてくださると考えていたので」


五月雨「凄い」


叢雲「あんた自身の危険性は度外視だけどね」


提督「こういう性分なもので」


叢雲「はあ…」


川内「話は終わった?」


提督「川内さん、お待たせしました」


那珂「みんな提督を待ってるよ」


提督「分かりました」



提督「皆さん、とりあえずご無事で何よりです」


提督「改めて私はここに新しく着任した提督です」


提督「すぐに休んでいただきたいのですが状況が許してくれません、もう少しだけ頑張ってください」


提督「質問はありますか」


川内「救援は?」


提督「明日には来ます」


神通「とりあえずやらないといけないことを教えてください」


提督「後で指示を出します」


那珂「鳳翔さんが言ってたけどこれで全員って、どういう意味?」


提督「…それも後でお話しします」


提督「…他に無いですね、では解散」



提督「鳳翔さん」


鳳翔「はい」


提督「貴女には夕張さんを見ていただきたいのですが…」


鳳翔「了解しました」


提督「私は少し外に出ます。私が帰ってくるまでお願いしますね」


提督「川内さん、那珂さん」


川内「はーい」


那珂「お仕事ですね?」


提督「ええ、少しの間だけ、見張りをお願いできますか?」


川内&那珂「了解(です)」


提督「何かあれば砲撃で合図を」


提督「神通さん」


神通「ここに」


提督「雪風さんの傍にいてあげてください」


神通「分かりました」


提督「一緒に眠ってあげてください。貴女も休まないと」


神通「ですが…」


提督「これは命令です。お願いですから休んでください」


神通「…分かりました。お先に休ませていただきますね」


提督「叢雲さん、五月雨さん」


叢雲「ええ」


五月雨「はい」


提督「荷物を取りに行きます。お二人にお手伝いをお願いしたいのですが」


叢雲&五月雨「了解」


 ~AM0:30~ 鎮守府入り口


提督「荒らされてはいないようですね。良かった」


叢雲「で、なにを運べばいいの?三人でこの量は無理よ」


提督「私の荷物の中にガスコンロと食材があります。それと暖房器具がいくつかあるはずです」


五月雨「それなら三人で運べそうですね」


提督「ええ、急ぎましょう。はやく皆さんに休んでいただかなくては」


 ~AM0:45~ 医務室


提督「ただいま戻りました」


川内「敵は見えなかったよ」


五月雨「良かった、こっちも無事に任務完了です」


提督「川内さん、那珂さんも、私たちが交代します。お二人はお休みください」


那珂「ありがとう!もう今にも倒れそうで…」


提督「ゆっくり休んでください」



提督「鳳翔さん」


鳳翔「お帰りなさいませ」


提督「鳳翔さんもお休みになってください」


鳳翔「まだ大丈夫です」


提督「寝てください。疲労が溜まっている」


鳳翔「…いえ、ここで休んでは」


提督「私達がいます。それとも、私達が信用できませんか」


鳳翔「そういうわけでは…」


提督「なら休んで下さい。休養も立派な務めですよ」


鳳翔「ありがとうございます。お休みなさい…」 スウ、スウ…



五月雨「提督、荷物取り出し終わりました」


提督「お疲れ様です。お二人も休んでください。私が見張っておくので」


叢雲「嫌よ、一人残して眠るなんて」


五月雨「そ、そうです。私達も起きときます…フワア」


提督「無理はなさらないでください。明日はもっと大変なんですから」


叢雲「それはあんたもでしょ?それと、さっき単独行動は禁止、て言ったわよね?」


提督「…分かりました。では二時間交代で一人ずつ休んでください。これなら良いですか?」


叢雲「分かったわ」


五月雨「じゃあ先に眠っていいですか?」


提督「ええ、どうぞ」


五月雨「おやすみなさい」


 ~AM0:50~


提督「では叢雲さん、暖房器具を設置していきましょう」


叢雲「ストーブを持ってくるとはね」


提督「万が一に備えて持ってきていて良かったです」


叢雲「とりあえずエアコンのリモコン探してくるわ」


提督「お願いします」



叢雲「見つけたわよ」


提督「ありがとうございます。こちらもストーブが付きました」


叢雲「電気は生きていたのね」


提督「施設は破壊されていないようでしたからね」


叢雲「あの男、なんなのかしら」


提督「分かりません、ですが彼がこの惨劇の実行犯であることは確かでしょう」


叢雲「ゲーム、とか何とか変なこと言ってたしね」


提督「彼は最重要警戒人物です。もっと詳しく捜査しなければ」


 ~AM2:30~


提督「そろそろ交代の時間ですね」


叢雲「ええ、五月雨を起こしてくるわ」


陸奥妖精「Щ(゜Д゜Щ)」


提督「!」


陸奥「…ここは」


提督「医務室です。大丈夫ですか」


陸奥「私、生きているのね」


提督「ええ、もう大丈夫ですよ」


陸奥「雪風ちゃんは?」


提督「無事です」


陸奥「貴方は?」


提督「新しく着任した提督です」


陸奥「そう…助けてくれてありがとう」


提督「このまま休んでいてください。今は夜更けだ」


陸奥「いえ、身体はスッキリしているわ。何か手伝わせて」


提督(女神を使ったせいか…いや、手が震えている。これは)


提督「…叢雲さん」


叢雲「何?」


提督「五月雨さんは起こさなくていいです。そのままお休みください。代わりに」


提督「陸奥さん、一緒に寝ずの番をしていただけますか」


陸奥「わかったわ」


叢雲「了解よ、じゃあ、お休み」


提督「ええ、おやすみなさい」


 ~AM3:00~


提督「…」


陸奥「…」


提督「…」


陸奥「あの時」


提督「はい」


陸奥「私があの男に殺されそうになったあの時」


提督「はい」


陸奥「もう駄目だと思った、これで終わりと思った」


提督「はい」


陸奥「みんな死んでいったの、あの男に何も抵抗できずに」グスッ


提督「…はい」


陸奥「私も雪風ちゃんも体力は残ってなくて」


陸奥「でもそんな時、貴方が助けに来てくれた」


提督「…」


陸奥「改めてありがとう。私と雪風ちゃんを救ってくれて」


提督「…はい」


陸奥「…ここはもう安全だって分かっているわ。でも」


陸奥「震えが収まらないの、怖くてしょうがないの」


陸奥「だから、だから、手、握ってもいいかしら」


提督「構いませんよ」スッ


陸奥「暖かい…」


陸奥「もう少しこのままで、お願い」


提督「ええ、いつまでも」


陸奥 スウスウ


提督(眠りましたか)


提督(ではベッドの方に…)


陸奥 ギュッ


提督「!」


提督(…これでは動けませんね、ではこのまま過ごしますか)


提督(あの男…絶対に許さない)


一日目 終了


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