毎日が楽しいかもしれない鎮守府
基本チョロイン、好感度高めです。
拙作、毎日が楽しい鎮守府の続編的なものです。
前作
前作を先に読んでいただければ幸いです。ご都合主義満載ですので過度の期待はしないで下さい。
提督「電、ここの計算間違ってないか?」
電「どこなのですか?」
提督「先週の使用弾薬量のところ、ほらここ。」
電「えっと・・・はわわ、本当なのです。すぐ直しますね。」
提督「ああそうしてくれ。っとその前に15時だし一服しよう。根を詰めすぎてまた間違うのも面倒だしな。」
電「それじゃあお茶の用意をしてきますね。」ヨッコイショ
提督「適当に甘いものも見繕ってくれ。」
電「了解なのです。」
ガラガラガラガラ・・・
提督「む、誰だ廊下を走っているのは。」
電「グンキー=ハンなのです。」
バン!
ゴン!
電「はにゃー!?」
扉が電の顔面にクリティカルヒットする。
19「てーとくー、いるのー?ありゃ?」
提督「大丈夫か電!?」
電「大丈夫じゃないかもです。」プラ
19「電ちゃんもいたのね。その錨はどうしたの?」
電「・・・テヤルノデス。」
19「?」
電「シズメテヤルノデス。」
提督「お、落ち着け。イクも謝れ!」ナデナデ
19「電ちゃんごめんネなの。」パフパフ
電「・・・すごく落ち着いたのです。」
提督「イク、ドアを開けるときはノックしろと何度言ったら分かるんだ?」
19「だってぇ。」
提督「だってじゃない。こんなことになるから言ってるんだ。」
19「ぐぬぬ、潜水艦は隠密してナンボなの!」
電「確かにそうですけど今後は気をつけてくださいね゛」プラ
19「ヒィッ、わ、分かったのね。」
提督「分かればよろしい。どれ電、準備はいいや。間宮さんの処に行こうか。イクも居る事だし。」
19「丁度良かったのね。てーとく、おやつ持ってきたの。」
提督「何?」
19「間宮さんとシュークリーム作ったのね。一緒に食べよ?」
提督「ああ、電の分もあるのか?」
19「いーっぱい作ったから大丈夫なの!」
電「電も頂いてもいいのですか?」
19「モチロンなのね!」
電「ありがとうなのです。」
提督「お、ご丁寧にポットもあるのか。走ってきてよく倒れなかったな。」
19「明石ねーさんの新作で、走ってる間は磁力で倒れないって言ってたの。」
提督「マジで万屋だな。まぁいいや、さぁ食うべ。」
19「はーい。イクが準備するから2人は座ってて欲しいのね。」
電「お任せするのです♪」
提督「今更だがイクが服を着ているなんて違和感しかないな。」
19「なっ、イクは露出狂の変態じゃないのね!」コポコポ
電「でもその巫女さんの服、とても似合ってるのです。」
19「電ちゃんは優しいのね。ゼリーもおまけしちゃうのね。」コトン
提督「ミニスカ巫女って、喫茶店といいもはやコスプレ鎮守府だな。」
19「実際一般人からみればそうなのね。どうぞなの。」
提督「これ本当にイクが作ったのか?粉砂糖っていうか高級店で買ったやつみたいだ。」
19「もっと褒めるが良いのね!」エッヘン
電「給糧潜水艦に機種変更できそうなのです!」
提督「いいなそれ、考えておこう。いただきます。」
電「いただきます。」
19(まだ・・・笑っちゃ駄目なのね)
電「・・・美味しいのです!」キラキラ
提督「うむ。この酸味・・・酸味?」
19「いひひっ。」
電「?」
提督「・・・マヨネーズだこれ。」
19「引っ掛かったのね!ニオイで気付かないなんて鈍感なのね!」
提督「うぇー、不味いわこれ・・・。」
電「司令官さん涎垂れてるのです。」フキフキ
19「珈琲飲んで口直しするのね。砂糖は入れる?」
提督「ああ、少し入れてくれ。」
19「はーい。」マゼマゼ
提督「電も食うか?」
電「遠慮するのです。」
19「どうぞなの。」コト
提督「・・・ズズッ。ブッ」
19「なんで飲むのね!」
電「司令官さん!?」
提督「塩を入れやがったなチキショーメー!」グリグリ
19「アイタタタ、ごめんなさいなの!」
提督「イクが、泣くまで、グリグリを止めない!」グリグリ
19「ごめんなさいごめんなさい!次は本当に美味しいものを用意するから許して欲しいの!」ウルウル
電「司令官さん・・・許してあげて欲しいのです。」
提督「イク、その言葉に嘘偽りはないな?」
19「神に誓うのね。」
提督「・・・わかった。」ナデナデ
19「てぃひひ。てーとくも優しいのね。」
提督「俺の半分は優しさで出来ているから当然だ。で、何を御馳走してくれんだ?」
19「ちょっと待ってて。・・・どうぞなの。」ゴソゴソ
提督「こ、これは!」
電「はわわ!」
19「おっ○いプリンなの。」プルン
提督「むむむ、嫌いじゃないがこれは流石にでかいな。」
19「イクのと同じ大きさなのね♪」
提督「型取ったの?」
19「ご名答なのね。」
提督「えー、抵抗あるなぁ(電の視線的に)」
19「イク、汚くないのね!」
提督「そうじゃなくてだな。電も食ってくれ。流石に一人で食いきれん。」
電「恥ずかしいですぅ///」
提督「俺だって恥ずかしいよ。」
19「あーん。イクのおっ○い食べられちゃうのー☆」
提督「うっさい。」モグ
電「///」モグ
19「美味しいでしょ?」
提督「悔しいが美味い。」
電「司令官さん、電もおっ○いプリン作るので食べて欲しいのです///」
提督「こらこら変な対抗心はいらないから。プリンっていうか大きさ的に八橋・・・?はっ!?」
電「司令官さんのバカぁ!」トビダシ
提督「ま、待て誤解だ!」オイカケ
19「毎度毎度夫婦漫才は見ていて飽きないのね♪」
コンコンコン
初霜「提督、初霜です。お呼びでしょうか?」
提督「入ってくれ。」
初霜「失礼します。」
提督「演習後に直ぐ呼び出して悪いな。」
初霜「いえ、どのようなご用件でしょうか?」
提督「初霜の今後についてだ。立ち話もなんだからかけてくれ。」
初霜「了解しました。」トコトコ…チョコン
いくらか天然が入っているので躊躇無く提督の隣に座る。
提督「・・・まず、夜間警備の任務、感謝する。」
初霜「仕事ですからお礼を言われることなんて・・・。」
初霜は夜間鎮守府内の警備を責任者として担当している。
提督「だが、初霜たちのお陰で夜はゆっくり休めるのは事実だ。ありがとう。」ナデナデ
初霜「どう・・・いたしまして?」
提督「それでいい。本題だが。」
初霜「はい?」
提督「初霜の責任者の任を解く。」
初霜「え!?」
提督「今後は各艦種毎に交番勤務を組もうかと思っている。」
初霜「私が至らないからですか?」
提督「違う違う。初霜一人に責任を負わせるのもどうかと思ってな。それに・・・」
初霜「それに?」
提督「初霜には特殊夜戦の教導艦として第五艦隊旗艦に任命したい。」
初霜「特殊夜戦ですか?」
提督「ああ。初霜は砲撃、砲撃プラス雷撃とか色んな戦い方ができるだろう?演習に於ける成績も水雷艇の中ではトップクラスだ。やってくれるか?」
初霜「あの・・・私でよければ謹んで拝命します。」
提督「宜しく頼んだぞ。ビシバシ扱いてやってくれ。」
初霜「はい!」
提督「ああ、あと初霜には2週間の休暇を与える。」
初霜「2週間ですか?随分長いですね。」
提督「今まで昼夜逆転の生活が多かっただろ?休みの日も出かていないようだしな。これでも短いと思うが・・・。延長したかったら言ってくれ。」
初霜「・・・提督。」
提督「ん?」
初霜「休暇は2週間で大丈夫です・・・。もし宜しかったら私とお出かけしませんか?」モジモジ
提督「おういいぞ。明日は休みだから明日で良いか?」
初霜「はい!」
《夜》
初霜(どうしましょう。いつもの癖で目が冴えて眠れません・・・)
夜の埠頭の小屋に明かりが燈っている。
初霜(あっ、今日も・・・。少しお邪魔してみますか。)
コンコンコン
利根「誰じゃ?」
初霜「初霜です。入っても良いですか?」
鈴谷「げぇ!見つかった!」
利根「落ち着くのじゃ!」
鈴谷「こほん。入って良いよー。」
初霜「失礼します。」
利根「お勤めご苦労じゃ。」
初霜「いえ今日は任務ではなく呑みに来ました。ご一緒しても良いですか?」
鈴谷「え?モチロンだよ。」
利根「ほう、お主が呑むとは珍しいのう。何かあったのか?」
初霜「恥ずかしながら寝付けなくて。」
鈴谷「じゃあ今日は休みなの?」
初霜「実は・・・」
初霜「と言うことがありまして。」
鈴谷「なるほどね。初霜ちゃんには適任かも。あたしだって夜戦じゃ勝てないかもね。」
利根「吾輩も勝てぬじゃろうな。それにしても旗艦とは出世したのう。ほれお祝いに一杯。」つ魔汪
初霜「ありがとうございます。あ、これ美味しいですね。」チビチビ
鈴谷「でしょー?」ニシシ
初霜「お礼に私の秘蔵品を御馳走しますね。」
利根「ほう?」
鈴谷「待ってました!」
初霜「では・・・えい!」バン
床を叩くと板が外れ床下の隠し保管庫が姿を現す。
利根「なんと!」
鈴谷「おお!」
結構な数の酒が貯蔵されている。
初霜「・・・これにしましょう。」
手に取ったのは崎山25。
高級ウイスキーだ。
利根「それを選ぶとは分かっておる。」
鈴谷「初霜ちゃん大好き!」ダキ
初霜「どのように呑まれますか?」
鈴谷「あたしトワイスアップで。」
利根「吾輩はストレートじゃな。」
初霜「了解です。」
この小屋には2人をはじめ酒に関するものを持ち込んでいるので氷やグラスなどは直ぐに使える。
初霜は手際よくつくる。
初霜「どうぞ。」
鈴谷「いただきまーす!」ゴク
利根「頂戴するぞ。」ゴク
初霜「どうでしょうか?」
鈴谷「最ッ高!」
利根「うむ。美味い以外の言葉は要らぬな。」
初霜「喜んでいただけて幸いです。」ニコ
利根「じゃが初霜よ。これはかなり高級でなかなか買えるものではないが?」
初霜「これは福袋を買ったら入っていたんです。確か3000円(現在換算)の袋だったでしょうか。瓶のりんごジュースか何かと思ってたんですけどね。」
鈴谷「うわー凄い運じゃん。羨ましいなぁ。」
利根「噂通りじゃな。初霜よ近う近う。」テマネキ
初霜「?」トコトコ
利根「撫でたら吾輩の運も上がるかのう。」ナデナデ
鈴谷「ずるーい。あたしも撫でる!」ナデナデ
初霜「あの、ちょっと///」テレ
鈴谷「良いではないか良いではないか!」スリスリ
利根「すべすべじゃのう。」サワリ
初霜「もう!おさわりはダメ、ですからね!」
この小屋に時計は無いが夜は確実に更けてゆく。
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《翌日》
初霜「・・・・。これでいいかしら?」
いつもより入念に身支度をする。
初霜「それじゃあ姉さん、出かけてきますね。」
若葉「ああ。楽しんでくるといい。」
初霜「はい!」
若葉「・・・久しぶりに見たな初霜の笑ってる顔。ふふっ、余程楽しみだったのだな。」
初霜「あっ提督。待ちましたか!?」コバシリ
提督「今来たところだ。なぁ初霜。」
初霜「?」
提督「俺は私服で来いって言ったと思うが。」
初霜「あの・・・。」
提督「ん?」
初霜「お恥ずかしながら“こーでぃねーと”に自信が無くてこの格好で来ちゃいました・・・。」
提督「ふむ・・・。どれ。」
初霜「て、提督!?」
鉢巻とヘアゴムを取る。
提督「思ったとおりだ。シブリンみたいな今時の学生みたいでかわいいな。」
初霜「えっと、その・・・ありがとうございます///」
提督「今のままでもかわいいがもう少ししたら絶世の美女になるな。うん。」
初霜「うぅ///」
提督「? さて行くとしますかね。」
初霜「はい///」
今日もまた提督の愛車で出かける。
《車内》
初霜「提督、前々から思っていたのですが提督はたくさん車を持ってるんですね。」
提督「沢山って言っても廃車になるのを引き取って直して乗ってるんだがな。」
初霜「機械弄りが好きなんですか?」
提督「んー、俺が元々漁師だったのは知っているだろ?」
初霜「はい。」
提督「俺ん家の船はな、おんぼろでしょっちゅう故障していたんだ。親父に教えてもらいながら直すうちに段々面白くなってな。今じゃ得意になったんだ。」
初霜「それはずごいですね。」
提督「それに艤装を直すことが出来れば少しでも皆の役に立てるだろうし。ま、自己満足だがな。」
初霜「そんなことありません!提督のおかげで安心して航海ができるんですよ!」
提督「そう言ってもらうと助かる。ところで初霜、そのお洒落な箱は何だ。」
初霜「これですか?サルミアッキって言うグミのようなお菓子です。お一つどうですか?」
提督「ん、頂こう。」
初霜「はい、あーん。」
提督「んむ・・・・。何だアレ?」
初霜「え!?」
提督(ペッ)
提督「すまん見間違いだったようだ。」
初霜「そうですか。あ、美味しいですか?」
提督「やんごとなきお味にございました。」
初霜「ではもう一つ食べられますか?」キラキラ
提督「い、いや今はいい。」赤疲労
初霜「そうですか。ではこちらは・・・」つ仁義酢艦キャラメル
提督「それも遠慮する。銀歯取れそうだし。」(汗)
提督(駄菓子ばかりで意外と子供っぽいな。嗜好が変わってるが・・・。)
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車(キィッ・・・・)
提督「初霜、本当にここでいいのか?」
初霜「はい!気分が高揚しますね!」
提督(嬉しそうだから良いんだがな。)
まず始めに着いた所はホームセンターを主とする複合施設。
初霜「提督凄いです!何でもありますね!」
提督「そりゃそうだ。この界隈で1番の品揃えだからな。」
初霜「見てくださいネコさんも居ますよ!」
提督「ああ。」
初霜「何歳にゃんですかにゃ~?」
提督「おっと。」(鼻血ダラー)
猫「にゃ~?」
初霜「にゃあ。」
提督(何この天使。)
提督「初霜。お前猫好きなのか?」
初霜「はい。このもふもふしたところが大好きです。」ニコ
提督(鼻血ブー)
初霜「提督!?大丈夫ですか!?」
提督「ダイジョウブジャナイ。ここは色々ヤバイから別なところに行こう。」テヲヒキ
初霜「え、あ、はい。じゃぁねネコさん。」バイバイ
猫「にゃぁ。」
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提督「ところで何か買いたいものあるのか?」サンサクチュウ
初霜「そうですね・・・除湿機が欲しいなと思います。」
提督「最近雨ばっかだしな。今の除湿機はいくら位するんだろ。家電コーナーはっと・・・。」
初霜「あ、ありました。」
提督「どれどれ・・・結構あるな。値段もピンキリだ。」
初霜「どのメーカーがおススメなんでしょうか?」
提督「分からんわ、俺持ってないし。でもまぁ無難に西芝で良いんじゃないか?」
初霜「1万5千円ですか・・・これにしましょう。」
提督「む、そうか。どれ。」ヒョイ
初霜「え?」
提督「これが欲しいんだろ?俺が買ってやる。」
初霜「そんな!提督に買っていただく訳には・・・。」
提督「気にすんな。夜間警備のお礼だ。」
初霜「でも・・・。」
提督「遠慮すんな。」ナデナデ
初霜「・・・ではありがたく頂きますね。」
提督「おう。持ち歩くのもなんだから先に会計してくる。適当に廻っててくれ。」
初霜「はい。」
店員「お会計が16200円になります。1000円で3年保証が付けられますがいかがでしょうか?」
提督「じゃあ頼む。」
店員「ありがとうございます。」
提督「ちょっと聞きたいんだが配達って出来るか?」
店員「はい、1万円以上のお買い上げですので無料にて承っております。」
提督「それじゃあ○○鎮守府に送ってくれ。」
店員「はい○○鎮守府ですね・・・お客様は軍の方でしょうか?」
提督「いや、知り合いがそこの用務員をしているんだ。」
店員「失礼致しました。それでは本日夕方頃配達予定となります。」
提督「ありがとう。では頼みましたよ。」
店員「承知いたしました。」
初霜「へぇ特殊コーティングで焦げ付かないのね。凄いわ。」
初霜「こっちの圧力鍋もよさそう。」
初霜「何でも切れる包丁、良いと思います。」キラキラ
提督「初霜ここに居たのか。」
初霜「あ、提督。」
提督「料理でもするのか?」
初霜「料理はしたいのですが若葉姉さんがお前はするなといってやらせてくれないんです。」
提督「あっ(察し)」
初霜「提督?」
提督「いやなんでもない。」
初霜「?」
?「そこの御仁。」
提督「俺か?」
?「そうだ。女の子に提督と呼ばせている不届き物がでたそうだ。身分証の提示を願う。」
提督(こいつ憲兵か!)
初霜「ていt(モゴゴ)」
憲兵「提督?」
提督「貞山(ていざん)、俺の苗字です。でこっちが俺の従妹の初田霜子です。」
憲兵「そうか。では身分証を見せてもらおう。」
提督「・・・。」
憲兵「どうした?」
提督「あっ!あそこに怪しいやつが!」
憲兵「何だと!?」
提督(逃げるぞ!)
憲兵「どこにもいないではないか。しまった!」
憲兵「不審者発見!追え!追えー!」
その一声にどこからともなく憲兵隊が現れる。
初霜「て、提督。なぜ逃げるんですか?」
提督「俺が提督だと分かったら護衛をすると言うに違いない。折角初霜と2人きりになれたのに邪魔されるわけにはいかんだろ!」
初霜「私と・・・2人きり・・・///」
提督「お、丁度良いところに。初霜、ここに隠れてろ!」オシコメ
初霜「えっ?」
提督「はぁ・・・はぁ。きやがったな、さてと・・・。」
憲兵「ここに居たぞ、観念しろ!」
提督「なぁ憲兵さん。」
憲兵「なんだ!」
提督「さっき、俺に似た顔の奴が逃げてなかったか?」
憲兵「何を言っている?」
提督「バカもん!そいつが不審者だ。でっけえ眼鏡かけてそんな事も見破れんのか!?」
憲兵「ぐぬぬ・・・。全体回れ右。不審者を探し出せ!」
提督「ふぅ。まさかこのネタが通じるとはな。初霜?」
初霜「提督、大丈夫ですか?」
提督「ああ見事蹴散らして(?)やった。これ以上大事になる前に出るか。」
初霜「はい・・・あの、提督。」
提督「ん?」
初霜「これ、撮っていきませんか?」
提督「プリクラ?何の個室かと思ったらそういうことか。良いぞ。」
初霜「ありがとうございます!」チャリン
提督「最近のプリクラって美顔とか色んな機能があるんだな。全部オフで。」ピッ
初霜「切っちゃうんですか?」
提督「ああ。ありのままの初霜の方が良いしな。あ、俺だけ効くようにできないかな?」
初霜「提督もかっこいいから要らないと思うわ!」
提督「お世辞が上手くなったな。」ナデナデ
初霜「お世辞じゃ・・・ないですよ///」
機械「ソレデハガメンニムカッテカワイイポーズヲトリマショウ。イキマスヨ?」
提督「え、ちょっ準備が!」
初霜「私映ってません!」
提督「本当だ!?」ヒョイ
初霜「提督!?」
提督「こうすればなんとか!」ダキカカエ
初霜「あぅ///」
機械「サン、ニー、イチ。パシャ」
提督「・・・ふぅ、結構慌しいんだな。」
初霜(顔が近いです///)
提督「初霜?」
初霜「ひゃっ?いえ、なんでもありません///」
提督「ふむ。お、出てきた。初霜の顔写ってないぞ。」
初霜「そんな!?」
提督「ほれ。」
初霜「---!?」
提督「もう1枚撮るか?」
初霜「ううん、これで良いわ///」
提督「そうか?どうした、顔真っ赤だぞ?」
初霜「もう・・・提督はジゴロさんです///」
?「て・・・・ちゃん。・・・けて・・・・るから・・・・・。」
頭の中で声がした。。
それが誰のものなのかは直ぐにわかった。
だが睡魔には勝てなかった。
起きることなく寝言のように返事をして意識は途絶えたがそれから間もなくであった。
?「バ~~~~~~ニングゥ~~~~~~!」
?「ラ~~~~~~~~ブ!!!」
バン!
勢い良く部屋のドアが開く。
天龍「うぇえ!?」
驚きベッドから転がり落ちる。
?「テンリュー、合イニキタヨ!」
天龍「え・・・、夕(ゆう)姐さん・・・?」
タ姐(タ級)「ソウヨ、他ニ誰ガ居ルッテイウノヨ。」
天龍「いや・・・言葉の綾というか・・・。ってか何回言ったら分かるんだ、下に何か穿けよ!」
タ級「テンリューダッテパンツ見セテルジャナイ?」
天龍「俺は寝巻きだから良いの!ったく、一応女子なんだから周りの目を考えろっての・・・。」
タ級「エー、動キヤスイノニ~。」
天龍「えーじゃない。俺のやつやるから穿け。」
タ級「ウ~ン、ソコマデ言ウナラ仕方ナイワネ。」
天龍「なんで上から目線なんだよ・・・。これか・・・こっちのほうがいいな。ホレ。」
タ級「アリガト。・・・・ドウ、似合ウ?」
天龍「ああ。」
タ級「デモコンナ短イスカートジャ穿カナイノトオナジジャナイ?」
天龍「穿くことに意義があるんだよ。」ぐぅ~
天龍「そういえば朝飯まだだったな、何か作るけど夕姐さんは食うか?」
タ級「エ、テンリューノ手作リ!?頂クワ。」
天龍「簡単なもんだけどな、漫画でも読んで待っててくれ。」
タ級「ウン。」
天龍(とは言ったものの最近買い物してないから何もないな。卵と・・・ウインナーと調味料だけか。米はレトルトでいいか・・・。)
手間のかからない調理のため5分もあれば完成する。
天龍「夕姐、おまちどー。」
タ級「ウ~ン、美味シソウネ!イタダキマス。」
天龍「いただきます。」
タ級「ン・・・アレ・・・、テンリュー。」
天龍「ん?」
タ級「アーン。」
天龍「は?」
タ級「箸ハニガテダカラ食ベサセテ。」
天龍「やだよ、俺だって腹減ってるんだ。ほい、スプーンなら食えるだろ。」
タ級「ブー、テンリューノケチ、イジワル、セカイスイジュン(ワラ)」
天龍「食わないなら片付けるぞ?」
タ級「ワー食ベルカラ!」
天龍「よろしい。・・・姐さん、前から気になっていることがあるんだが。」
タ級「ナニ?」
天龍「姐さんたちってどんな飯食ってたんだ?魚とか?」
タ級「言ッテナカッタカシラ、私達ハ食ベルト言ウ概念ガ無カッタワ。」
天龍「へー、腹減らないのか?」
タ級「減ルッテ感覚ガ最近マデ分カラナカッタワ。」
天龍「便利な身体だな、羨ましいぜ。」
タ級「ソウナノ?」
天龍「俺達の身体は食いすぎると肥えるんだ、どこかの空母みたいに。元から食べないならその心配もないし羨むだろうな。」
タ級「へー。ソウイエバ初メテ食ベタモノハ・・・・テンリューノオニギリダッタワネ。」
天龍「おにぎり?食わせたっけか?」
タ級「ホラ、“マダン”ッテトコロダッタカシラ?」
天龍「マダン・・・ああ、あの時か・・・。」
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
厚い雲で月光が届かない夜。
深海の攻撃を受け陥落寸前となったマダンへ物資を届けるため輸送任務に就く艦隊の姿があった。
天龍「よし、陸地が見えてきた。気を抜くんじゃねぇぞ。」
電「了解なのです。」
涼風「がってん。だけど静か過ぎやしないかい?」
磯波「このまま何もなければいいのですが・・・。」
荒潮「そぉねぇ~。索敵を厳に・・・天龍さん!5時の方角に閃光よ!」
天龍「なに!?」
次の瞬間水柱が立つ。
電「はわわ!」
涼風「チクショーメー!」
磯波「きゃぁあ!」
荒潮「あらあら。」
長距離からの射撃。
戦艦だ。
天龍「お前ら落ち着け!この海域の敵は撤退したんじゃねぇのかよ。本営の情報はアテにならないぜ。」
涼風「天龍さんどうするんだい!?」
天龍「戦艦1隻なら魚雷で沈めて・・・1隻?違う!」
電「9時の方角に雷跡なのです!」
天龍「磯波ドラム缶を捨てろ!」
磯波「え!?」
荒潮「危ない!」ドン
磯波「あぅっ!」
体当たりで磯波を突き飛ばす。
その衝撃でドラム缶を引っ張るロープから手が離れる。
そしてドラム缶に魚雷が直撃する。
燃料が入っていたため爆発を起こし炎上する。
天龍「荒潮!」
電「荒潮ちゃん!」
煙幕の中から荒潮が現れる。
荒潮「やってくれたわね。でも大丈夫よぉ。」
天龍「そうか。嵌められたな・・・。次弾来るぞ!」
閃光が走り砲弾が飛んでくる。
完全に捉えられていないため直撃はしない。
天龍「クソがっ!磯波立てるか?」
磯波「はい!」
天龍「今からお前が旗艦だ。」
磯波「ええ!?」
天龍「身軽になったお前が潜水艦をけん制しつつ周りをよく見て指揮するんだ」
磯波「天龍さんは?」
天龍「俺はアイツを叩く。」
電「電も行くのです!」
天龍「駄目だ。一番の目的は物資の輸送だ。俺がひきつけている間に無事に届けてくれ。」
磯波「・・・分かりました。皆さん私に続いてください!」
磯波を先頭に全速力で陸へ向かう。
最後尾の荒潮が笑顔で
荒潮「天龍さん、無茶しちゃ駄目よ?沈んだりなんかしたら許さないんだから。」
どこか龍田を彷彿させる口調で言った。
天龍「ああ、俺もこんな所で終わるなんて思ってないさ。」
ニッと笑い返し敵戦艦に突撃する。
夜戦は水雷戦隊が最も得意とする戦闘の一つで敵戦艦の砲弾を掻い潜り急接近し叩き潰す。
先の海戦で帝國海軍が大勝利を挙げた戦術だ。
天龍「オラオラ!そんな攻撃じゃ俺様には当たらないぜ!」
戦艦の艤装は装填速度が遅く連射には向かない。
そのため天龍も機動性において回避するのに苦労せず懐に潜り込む。
天龍「どこ狙ってるんだ?当てる気あんのかよ。」
戦艦「フン、随分ト威勢ガイイワネ。コレナラドウカシラ?」
天龍「なっ!?」
羽織物の影から副砲が姿を現す。
ドドン、ドドンと4回連射され至近弾を浴びる。
戦艦「フゥン、ナカナカヤルジャナイ。」
天龍「うるせー!オラァ!」
天龍の主砲が火を放つ。
戦艦「甘イワネ。」
流石は戦艦。
艤装を楯にし砲弾は兆弾する。
戦艦「沈メル気、アルノカシラ?」
にやりと不敵な笑みで挑発する。
天龍「クソがぁっ!」
躍起になり魚雷を放つが目視されているためかわされる。
戦艦「ヘタッピ。」
魚雷をかわしつつ華麗なステップからの反撃弾。
天龍「ぐぅっ・・・!」
逆挑発され頭に血が上り周りが見えなくなり命中し蹲る。
戦艦「アラ?サッキマデノ威勢ハドコニイッタノカシラ?モウ終ワリナノ?ツマラナイワネ。」
天龍「ふ・・・ざけんな!」
土下座のような格好で砲撃する。
戦艦「ダカラソンナノハ効カナイノ。」
いとも容易くいなされる。
戦艦「アナタッテ“弱イ”ノネ。」
追い討ちをかけるように砲弾を浴びせる。
天龍「がはっ・・・・。」
艤装があるうちはセーフティ機能が働き身体に深刻なダメージを受けることは無い。
だがその艤装は炎上し次の攻撃を受ければ確実に轟沈するであろう状態となっていた。
戦艦「ソレジャアネ・・・カンムスサン。」
天龍「・・・ふっ、ありがとよ。」
戦艦「ハァ?」
天龍「わざわざ近寄ってきてくれてよぉ!」
戦艦「エッ!?」
戦艦の主砲副砲両艤装は真っ二つになり海へ沈んでゆく。
天龍の手には刀が握られていた。
そして左目は黄色い炎がゆらゆらと燃えているように輝く。
戦艦「ナ、ナニヲシタノ!?」
天龍「あん?何ってぶった切っただけだぜ?」
戦艦「ソレニソノ目。ワタシタチト同ジ輝キジャナイ。」
天龍「同じ?テメェらなんかと一緒にすんな。これは俺の・・・天龍の乗務員皆の魂だ!」
戦艦「フン!魂トカナントカシラナイケドココデ沈ムノニ違イナイワ!」
鈍器と化した艤装で殴りかかる。
天龍「遅い!」
戦艦「ガッ・・・ドウシテ・・・コンナヤツニ・・・。」
剣術において右に出るものはいないと言われる程の腕の天龍の一閃がヒットする。
天龍「安心しな、峰打ちだ。」
峰と言うが鉄の塊で殴られる衝撃はかなりの物となる。
あまりの痛さに戦艦と言えど気を失いかけ倒れこむ。
天龍「おっと。」
それを受け止める。
戦艦「・・・殺シナサイヨ。」
天龍「悪いがそれは出来ねぇ相談だ。」
戦艦「ナラ私ガ殺スワヨ。」
天龍「どうやって?」
戦艦「ソレハ・・・」
天龍「そう死に急ぐことはねえだろ?まぁなんだ、あの島で少しやすもうぜ。」
戦艦「好キニシナサイ・・・。」
大破した艤装ではマダン港までたどり着ける保証はない。
マダン沖合いにある小島に身を寄せる。
天龍「歩けるか?」
戦艦「エエ。」
浜辺に上陸し腰掛ける。
天龍「大丈夫か?」
戦艦「ナントカネ。アナタノ方ガヒドソウニ見エルケレド。」
天龍「俺か?俺なら大丈夫だ。メシを食えば直るしな。」
戦艦「メシ?」
天龍「それに腹が減っては戦は出来ないって言うし。ほい。」
戦艦「ナニコレ?」
天龍「おにぎりだ。少し焦げてるが食ってくれ。」
腰の巾着からおにぎりを取り差し出す。
戦艦「食ッテ?ドウスレバイイノ?」
天龍「はぁ?こうだ。」
大きく口を開けほおばる。
戦艦「コウ?・・・!?」
天龍「美味いだろ?梅干だぜ。それに応急修理の素も入ってる。」
戦艦「オウキュウ?アラ・・・痛ミガヒイテイク。」
天龍「おお、あんたらにも効くんだな。」
戦艦「コレハ・・・一体ナンナノヨ・・・。コンナノヲ持ッテタラ私タチガ勝テルワケナイワネ。」
天龍「でもまぁ万能って訳でもないんだがな。」
戦艦「フーン。ソレニシテモコノ“ウメボシ”ッテ・・・。ヘイキ(兵器)ナノ?」
ーーーーー
ーーーー
ーーー
ーー
ー
天龍「兵器なの?って馬鹿だよなぁ、食ってんのに。」
タ級「ショウガナイジャナイ舌ガオカシクナッタンダモン!」
天龍「そういえばこの前利根特製の梅干貰ったんだが食うか?」
タ級「ソレハ食ベル。ハチミツ入ッテテオイシイッテ評判ラシイワネ。」
天龍「そうか、利根には悪いが俺はガツンとしょっぱいのじゃないとダメなんだ。」
タ級「ジャア貰ッテイッテモイイ。」
天龍「ああ、姐さんにやるよ。焼酎に入れて呑むといい感じらしいしソッチのみんなで試してみてくれ。」
タ級「ウン。アリガトネテンリューチャン。」
暁「響、響ぃ~。」
響「なんだい姉さん。」
暁「まだできないのぉ~?」
響「もうすぐお湯が沸くからそんなだらしない声出さないでくれるかな?」
暁「レディに向かってだらしないって失礼しちゃうわね。」
響「失礼も何も事実だし。っと、沸いたようだ。」
暁「ホントッ?早く早く!」
響(やれやれ)
午後のティータームは(自称)レディには欠かせない時間だ。
響は姉の嗜みのため文句を言いつつも本格的な紅茶を淹れるのが日課となっていた。
響「お待ちどうさま。今日はмедовикを作ってみたよ。」
暁「メド・・・・なに?」
響「蜂蜜ケーキさ。我ながら上出来だとおもうよ。」
暁「へ~すごいじゃない。食べてもいい?」
響「ああ。雷と電の分も残しておくんだよ?」
暁「言われなくても判ってるわよ。」プンスカ
響「この前だって電の分まで最中食べて怒られてじゃないか。」
暁「そ、その話はもういいでしょ(汗)」
響「いや念のためさ。」
暁「むぅ~。・・・響!」
響「ん?」
暁「すっっごく美味しいわ!しつこくない甘さだしふわふわでパティシエさんに負けてないわよ!」キラキラ
響「喜んでもらえてなによりだよ。飲み物は紅茶でいいかい?」
暁「うん♪」
同時刻
?「Oh!どこからともなく紅茶のいい香りが漂ってきたネー。アッチからカナ~?」
響「はいどうぞ。ロシアンティーだからジャムもあるよ。」
暁「ありがと。」
ジャムをカップに入れかき混ぜる。
響「ちょっと待って姉さん、それはナニをしてるんだい?」
暁「何って混ぜてるだけだけど?」
響「姉さんは飲み方さえ知らないのかい?ジャムを舐めてから紅茶を飲むのが普通だよ。」
暁「その飲み方は嫌だわ。口に残っちゃうじゃない。」
響「お子様じゃそうなるかもね。下手な飲み方だと。」
暁「私がお子様なら響は赤ちゃんね。」
響「その理屈はおかしい。」
暁「おかしくないわよ!私が姉で響が妹。それに言うじゃない、姉より優れた妹なんか居ないって。どう考えても暁が一番なんだから。」
響「下からね。」
暁「なによもう!」
金剛「HEY!ティーパーティー会場はここデスカー?」
暁響「!?」
金剛「Wow、とてもGoodな香りネ。私も交ぜてもらっても良いデスカ?」
暁「え、あ、うん。いいわよね?」
響「ああ。歓迎するよ。」
金剛「Thank youネ!このケーキは間宮サンのデスカ?」
暁「違うわ。響が作ったのよ。」
響「まぁ簡単だったしね。」
金剛「これは失礼しましタ。頂いてもいいですカ?」
響「勿論。」
金剛「デハお言葉に甘えて・・・・excellent!素晴らしいデース!」
暁「そうでしょ?響はお菓子作り“だけ”は才能あるのよ。」
響「まあ才能の無い誰かと比べたら1つでも才能があるのは誇らしいね。」
暁「私にも才能の1つや2つくらいあるわよ!」
響「誰も姉さんのことだと言ってないけどね。」
金剛「Heyhey、折角のティータイムに喧嘩は野暮ネ。」
響「それもそうだね。金剛さんも紅茶でいいかい?」
金剛「ンー。今日はCoffeeの気分ネ。ブラックお願い出来ますカ?」
暁響「・・・・え?」
金剛「どしたノ?」
響「いや、まさか。聞き間違いだと思うけど。」
暁「コーヒーで良いの?」
金剛「Ye~s。甘いケーキに合いそうデース。」
響「あ、インスタントしかないけどそれでも良いかな?」
金剛「十分ネ~。」
ーーー
ーー
ー
響「お待たせ。」
金剛「ありがとうデース。」
暁「まさか金剛さんがコーヒーを飲む日がくるなんて思いもしなかったわ。」
金剛「そうですカー?」
響「天変地異の前触れかもしれないね。」
暁「それは言いすぎよ。」
金剛「・・・。ンー、話変わるケド、さっき何を言い争ってたのですカ?」
暁「金剛さん聞いてよ。紅茶の飲み方が違ってるって言うのよ。」
響「あれは無作法だね。許しがたい行為だ。」
暁「なにそれ。じゃあ響は飲み方をマスターしてるの?金剛さんにみてもらったら?」
響「別に構わないさ。いいだろうか?」
金剛「まぁ二人とも落ち着くデース。私は作法なんて知らないネ。」
暁「嘘ぉ!?」
金剛「嘘じゃないネ。それに紅茶も別に好きなわけじゃ無いヨ?」
響「Σ(゜A゜)」
金剛「強いて言えばティータイムを過ごすことが好きかもしれないデスネ。」
暁「過ごす?」
金剛「Yes。他愛のない話をしたり相談をしたりそうやって過ごすのが私の幸せネ。ミンナで集まって楽しく過ごせればあとは何も要らないネ。」
金剛「それに何があるか分からない人生・・・艦生カナ?楽しまなくちゃ損デショ?」
響「・・・そうだね。」
金剛「親しき仲にも礼儀あり。この礼儀を弁えていれば別に飲み方なんでどうでもいいと思いマース。作法や伝統を大切にしたい気持ちも分かりマスガ、それで相手の方法を一切認めないと言うのは争いの元になるだけネ。」
金剛「互いに理解するのも重要だと思いマス。ラブリーエンジェルのビッキーツッキーなら出来るデショ?」
響「うん・・・まぁ努力してみるよ。」
暁「そ、そうね。レディに出来ないことなんてないわ!」
響「ところで金剛さん。」
金剛「何カナ~?」
響「そっちのお皿にあったケーキは雷と電の分なんだけど。」
金剛「!?」
暁「争いの元、作っちゃったわね。」
金剛「Nooooo!私マダ沈みたくないデース!Help me!」
響「金剛さん、なにか代わりになるようなものはないのかい?」
金剛「エット・・・Shit! ちくわしかないデース!」
暁「逆にちくわを持っていることに驚いたわ。」
金剛「提督の実家から届いたのをお裾分けしてもらいましタ。電ちゃんちくわ好きですカ?」
響「好きだとおもうよ。だけどお茶請けにソレはないな・・・。」
暁「ご愁傷様ね。」
電「ただ今戻ったのです♪」
3人「!?」
電「あ、金剛さん。こちらにいらしたのですね。ティータイムですか?」
金剛「ソウダヨー(汗)」
響(金剛さん、ここは素直に謝ったほうが良いと思うよ。)コソコソ
金剛(分かってマース。デモ怖いヨー)コソコソ
響(まぁ大破したらドッグに連れて行くから安心して。)コソコソ
金剛「う~・・・。デンちゃん。」
電「はい?」
金剛「このお皿にビッキーの作ったケーキがありましタ。」
電「そうなのですか?」
金剛「Yes。デンちゃんの分だと分からなくてワタシ食べてしまいました。Sorryネ。」
電「はわわ、謝らないで下さい。食べちゃったのはしょうがないのです。」
金剛「デモ楽しみにしてたんデショ?」
電「それはそうなのです。」
金剛「ウッ。」
電「でも響お姉ちゃんのケーキを食べて楽しんでいただけたなら問題ないのです。」
金剛「デンちゃん・・・。」
暁「あの電が怒らないなんて・・・。」
響「それにやけに機嫌がいいようだね。何か良いことでも?」
電「あっイクちゃんにシュークリームを貰ったのを忘れてたのです。とっても美味しいので食べてみてください。」
暁「いいの?」
電「勿論なのです。」
響「ほう。これは素晴らしい。」
電「金剛さんもどうぞ。」
金剛「デモ。」
響「好意は素直に受け取るのが礼儀だよ。」
金剛「そう・・・デスね。Thank you verry muchネ。」
電「It`s my pleasure(こちらこそいつもありがとう)なのです♪」
ミ゛~ンミ゛ンミ゛ンミ゛ン・・・・。
蝉の鳴き声を聞くことさえ嫌になる猛暑。
鎮守府はいつも以上に静かであった。
なぜかと言うと・・・。
吹雪「あ~、私も泳ぎに行きたかったなぁ~・・・。」
吹雪「でも主任(ネームシップ)会議じゃ仕方ないよねぇ・・・。」
月始めに開催されるこの会議があるため置いてけぼりを食らったのだ。
さらに追い討ちをかけられるようにクーラーも故障していた。
ガタガタガタと今にも壊れそうな扇風機が動いていた。
吹雪「ついてないなぁ・・・。」
座布団を枕にただ横になっていた。
吹雪「まだ10時かぁ・・・。あと2時間どうしよ・・・。」
会議と言っても堅苦しいものではなく近況報告や新しく見つけた甘味処の情報交換など女子会のようであり今回は昼食も兼ねて開催されることになっていた。
これといってすることも無く仰向けになり天井のシミの数を数えているとコンコンコンとノックの音がした。
睦月「吹雪ちゃん居る~?」
吹雪「居るよ~入って~。」
睦月「吹雪ちゃん如月ちゃんからアイスを貰ってきたのね。一緒に食べよ?」
吹雪「アイス!?ありがと~。」
睦月「えへへ。それにしても吹雪ちゃんの部屋暑いね?」
吹雪「それがクーラー壊れちゃって扇風機しかないんだ。」
睦月「それは大変なのです。明石さんには?」
吹雪「ん、お願いしたけど部品がないから午後にしか直せないって。」
睦月「そっか。それじゃあ会議が終わったら睦月たちの部屋にいこ?ここじゃ熱中症になるよ?」
吹雪「いいの?」
睦月「勿論なのね。さ、融けないうちに食べよ。吹雪ちゃんどっちがいい?」
吹雪「え、睦月ちゃんが先に選んで。」
睦月「睦月はどっちでもいいのね。吹雪ちゃんが好きなほうでいいよ。」
吹雪「そお?じゃあこっちの白いので。」
睦月「おお。お目が高いのね。それは如月ちゃんのお勧めで卵アイスって言うらしいのです。」
吹雪「へぇ、そういわれると卵みたいだね。ゴムに入ったアイスなんて初めて見たよ。」
睦月「さきっちょをかじって穴を開けて食べるといいみたい。」
吹雪「こう・・・かな?」カジリ
睦月「♪」フタハガシ
吹雪「ん、でて来ない。まだ固いからかな?」
睦月「手で揉みながら食べるのがコツらしいです。」
吹雪「ん~冷たくて気持ち良い。」モミモミ
睦月「このアイスもなかなか美味しいのね♪」
吹雪「あ、出てきた。なんか濃厚な感じがする・・・美味しい。」
睦月「喜んでもらえて何よりなのです。・・・あっ、あまり強く握っちゃダ」
吹雪「きゃあ!?」ブシャー
睦月「メだからって言うの忘れてたにゃしぃ・・・。」
吹雪「うへぇ~ベトベトだよぉ。」
顔や服に白いアイスが飛び散る。
睦月「ふ、吹雪ちゃんごめん!早く言えば良かったのに睦月が忘れてた所為で・・・。」
吹雪「ううん、睦月ちゃんは悪くないよ。」
睦月「それじゃあ睦月の気が済まないのね!とぉぉ↑おう↓」
吹雪「わっ、睦月・・・ちゃん?」
吹雪が枕にしていた座布団に押し倒す。
睦月「睦月が責任を持って綺麗にするのです!」
吹雪「えぇぇっ!?」
睦月「すぐ・・・終わるからね・・・?」
睦月(ちゅっ・・・ぢゅ~。レロレロ)
吹雪「む・・・つきちゃん。待って・・・!」
睦月「ん、嫌にゃしぃ~。ちゅ~。」
吹雪「んんっ!?」
何かが吹雪の口に入ってくる。
吹雪「んっ、(なんか良い香り・・・)」
そっと目を開くと其処には睦月の顔。
心なしか紅くなっている気がする。
睦月「ぢゅ・・・ぷはぁ。吹雪ちゃん・・・美味しい・・・。」
吹雪「睦月ちゃん・・・もう・・・良いでしょ?」
睦月「んにゃ、これからが本番なのね!」
吹雪「睦月ちゃんこんなの絶対おかしいよ!いつもの睦月ちゃんじゃないよ!」
睦月「睦月は睦月なのれす!」フラフラ
吹雪「じゃあなんで酔ってるの!?・・・酔ってる?」
手元に転がるアイスの容器。
ラムレーズンアイス(軽巡以上限定)
吹雪(年齢制限のあるものをなんで睦月ちゃんが・・・?・・・あっ。)
(如月ちゃんに貰ってきたのね)
吹雪「如月ちゃん!」
睦月「如月ちゃんは居ないよ~?睦月が居るのに他の女の子の名前を呼ぶなんてちょっと頭にきたのね!にゃしぃ!」
また抱きつく。
吹雪「ひゃぁあ!」
睦月「こんどはこっちかにゃ~?」
顔から胸へそしてお腹。
吹雪を撫でる。
吹雪「睦月ちゃん!」
睦月「んにゃ?」
その手を払いギュッと抱き寄せる。
吹雪「お願いだから今は止めて。」
睦月「・・・むぅ。吹雪ちゃんは嫌なのですか?」
吹雪「・・・嫌じゃないよ。むしろ私を求めてくれて嬉しいよ。」
睦月「じゃあなんで?」
吹雪「お酒に酔った睦月ちゃんは何か嫌だからかな・・・?」
睦月「なにそれ~?」
吹雪「上手くいえないけど酔いが覚めたら多分忘れちゃうでしょ。そんなのは嫌・・・だから?」
吹雪「だから今はこれで我慢して。」
アイスを食べほんのり甘くなっているそこへ優しく口付けをする。
睦月「ん・・・・・・・にゃぁ・・・。えへへ・・・・・吹雪ちゃん大好き・・・・・。」
何秒したか分からないが酔いと嬉しさで睦月はそっと目を閉じる。
吹雪「わがまま言ってごめんね・・・。私も大好きだよ睦月ちゃん。」
《少しして》
如月「ヤダ私ったら間違って渡してしまったわ。」
コンコンコン
如月「吹雪ちゃん睦月ちゃん居るかしら?」
返事はない。
如月「2人とも・・・・?」
ドアを開け入る。
吹雪睦月「zzz」
如月「抱き合っちゃって本当に仲がいいのね、うふふ。」
気を利かせたクーラーが動き快適な室温になったのだろうか寝息を立てている。
羽織物をかけようと近づく。
如月「あら?あらあら。今夜はお赤飯かしら?」
白い液体と取っ組み合い(?)の汗で乱れた2人をみて何か勘違いする如月であった。
・・・・如月の妄想は強ち間違ってはいなかったが。
駆逐棲姫(駆逐)「司令官・・・そっちはだめだよ・・・。」
提督「じゃあこっち?」
駆逐「それもだめ・・・。」
提督「えーじゃあこっち?」
駆逐「うん。そこなら・・・いいよ。」
提督「お言葉に甘えて・・・。」
駆逐「そこの金将、貰いました。」
提督「んじゃ飛車いただき。」
駆逐「はぅ・・・。」
電「・・・。」
どうも皆さんこんにちは。秘書艦の電です。
なぜか司令官さんとクーちゃんが執務室で将棋を指しているのです。
土曜日なので午後からは休みで問題ないといえば問題ないのですが。
電には将棋の面白さがいまひとつ分からないのです。
ですけど駒を取られてオドオドしているクーちゃんを眺めているのは至福のひと時なのです。
駆逐「司令官待って・・・。」
提督「待ったは無しのはずだったよね。」
駆逐「うぅ・・・。」
駆逐棲姫の玉のみを残し対局が終盤を迎えたとき執務室の電話が鳴った。
電「はい、執務室なのです。」
電話「・・・・・・・・。」
電「はい、分かりました。あの、司令官さんにお荷物が届いてるそうなのです。」
提督「ん、悪いがここに持ってきてと伝えてくれ。」
電「分かったのです。執務室まで持ってきてください、とのことです。」
電話「・・・・・・・・。」
そして直ぐに荷物が届いた。
龍驤(RJ)「ちわー大和通運や。荷物持ってきたで~。」
提督「おうありがと。いつからジョブチェンジしたんだ?」
RJ「そりゃあ36万いや1万4千年前からやったか・・・・ってちゃうわ。艦娘一筋ウン十年や!」
駆逐「おお乗り突込みですね!」
RJ「クーちゃんや。ウン十年って所にも突っ込んでほしかったわ。」
駆逐「えっと?」
提督「クーちゃんには難しいだろうなボケと突っ込みの区別は。」
駆逐「ボケ・・・?」
RJ「気にせんといて。それよりもこれどこに置いたらええ?」
提督「そこらへんに頼む。どこからの荷物なんだ?」
RJ「ん、住所は・・・仙台で出し人は若竹水産やって。」
提督「実家じゃねえか。」
電「司令官さんの実家なのですか?」
提督「ああ。今度は何を送ってきたんだ?」
べりべりとガムテープを剥がし発泡のふたを開けようとするが龍驤はふたを押さえる。
提督「どした?」
RJ「ん。」
提督「ん?」
RJ「ウチがこうやったらお金よお金。」
提督「は?なんで龍驤にたかられてんの?」
RJ「これ代引きで立て替えてたんよ。はい領収書。」
提督「代引きだぁ?先月の仕送り忘れてたからか・・・。で、いくら?」
RJ「3万。」
提督「ぶっ!?3万・・・・。あったかなぁ・・・ちょうど3万あったし、さらば諭吉さん。」
RJ「確かに受け取ったで。」
提督「肝心の中身は・・・。」
ふたを開けると銀色に輝く物がぎっしりと詰まっていた。
電「秋刀魚なのです!」
RJ「ほほうこれはなかなか。」
駆逐「きれい・・・。」
提督「マジかよ・・・。」
電「司令官さん?」
提督「俺、秋刀魚食えない。」
RJ「ホンマかいな?」
提督「ああ。昔刺身を食ったら大当たりでそれ以降秋刀魚には抵抗があって思い出しただけで腹が痛くなってきた。」
駆逐「大丈夫・・・?」
提督「ああ。クーちゃんは優しいなぁ。」ナデナデ
駆逐「あの、司令官///」
RJ「ロリコンや。」
電「ロリコンって何なのですか?」
RJ「そりゃあクーちゃんや電ちゃん見たいな小さい子が好きになる病気や。」
電「はわわ。それじゃあ龍驤さんも司令官さんに。」
RJ「アカン、それ以上いったらアカンよ。」
電「?」
RJ「今のも忘れてや。でキミ、これ如何すんの?」
提督「そうだなぁ今晩のオカズにするか。皆で食ってくれ。」
RJ「そう?じゃあありがたくご馳走になるで。おおきにな。」
提督「良いってことよ。(ホロリ)」
過去の苦い記憶と給料日前の強制徴収で涙が自然と出ていた。
鳳翔さんを隊長とする炊事挺身隊の働きもあり百数十人分の秋刀魚は程よい焼き具合に仕上がった。
産地直送ということもあり絶賛の声がやまなかった。
※如月は本日も通常運転です。
如月「この白くて(おろし大根)どろっとして(脂)苦いの(内臓)クセになっちゃう♪」
菊月「まったく、ご飯くらい静かに食べられないのか///」
如月「あら菊月ちゃん赤くなって何を想像しているの?」
菊月「やかましい!」
提督「・・・これでよし、と。」
本やDVDなどを箱に詰める。
提督「買取は安いけど捨てるよりはましか・・・。集荷の電話は・・・これか?」
徐に電話機に手を伸ばす。
コンコンコン
望月「司令官望月だよ~居る~?」
提督「ん、どした~入って良いぞ~。」
望月「やぁ・・・って散らかして何してんの?」
提督「片付けだよ片づけ。」
望月「あたしの記憶だと片づけする前のほうがすっきりしてたと思うけど。」
提督「それはまぁねぇ・・・。」
望月「あれ、デンちゃんは居ないの?」
提督「用事が出来たから席外すって出て行ったぞ。」
望月「そう、うーんまぁ都合良いのかな?」
提督「歯切れが悪いな。」
望月「そぉ?んー・・・。司令官正直に答えてね。」
提督「おう。」
望月「暁ちゃんを解体するってホント?」
提督「は?」
望月「だから解体だって。」
提督「待て待て待て。意味が分からないんだが!?」
望月「でも暁ちゃんが泣きながら別れの挨拶周りをしてるって聞いたよ。」
提督「誰に?」
望月「青葉さんだけど。」
提督「また青葉か。良いかもっちー、新聞屋の言うことはな1割が本当で9割が自分達に都合の良いことなんだ。あながち青葉が面白半分で流した話だろう。」
望月「でもいくら青葉さんでも泣かすようなことするかなぁ?」
提督「しない・・・とは言い切れないがムードメーカーとしての役割でふざけてるときもあるしなぁ。そもそも俺は俺だけの判断で解体する事はないぞ。」
望月「うん、分かってる。ありがとね。」
提督「恐らく勘違いか何かだろ。後で様子見に行くか。」
望月「すぐ行かないの?」
提督「この惨状をみろよ。戻ってきた電に怒られて俺が泣くはめになる。片付け終わってから行くとしよう。」
望月「んじゃあたし横になってるから終わったら起こして。」
提督「あいよ。」
望月「ん~やっぱり高いだけあってこのソファ気持ち良いわぁ~。」
提督「こら足を広げるな。パンツ見えてるぞ。」
望月「減るもんじゃないし別にいいっしょ。どう嬉しい?」
提督「全然。」
望月「なにさ~地味に傷つくんだけど。」
提督「あのな、意図して見るパンツってのは嬉しくないんだよ。ふとした瞬間に見るのが至高なのだよ。こう・・・屈んだときとかさ。」
望月「あーそういわれるとわかる気がする。プリンちゃんの見えそうで見えないのも良いよね。」
提督「もっちーとは美味い酒が飲めそうだな、どうだ今晩?」
望月「司令官のおごりならいーよ。」
提督「任せておけ。シャワー浴びて来るんだぞ。」
望月「えーお持ち帰りじゃんそれ。」
提督「ばれた?」
望月「当たり前だよ。まー嫌じゃないけどさ、でもまだ早いかなって。」
提督「じゃ時期が来たらということで。」
望月「おー堂々と不倫宣言したね。聞いてた、デンちゃん?」
提督「ダニィ!?」
望月「居ないって。」
提督「そういうのはマジで勘弁してくれ、心臓に悪い。」
《同時刻》
暁「ではこれで失礼するわ・・・。」
ぺこりと頭を下げる。
天津「ええまたね。」
暁(またね・・・か。)
暁は今生の別れで言ったつもりだがそうは伝わらなかった。
天津「・・・それにしても急にどうしたのかしら浮かない顔をして。暁ちゃんらしくなかったわね。」
暁(深海との戦いも終わったし私達が御役御免になるのも分かるわ・・・・。でもどうして暁なんだろ・・・ううん誰が解体されるのも嫌だなぁ・・・。司令官の月見大福食べちゃったせいかなぁ・・・。だとしたら最期に謝りに行かないと・・・。)
下を向き歩くと周りが見えなくなるのは当然の理である。
ドン
暁「あいたっ!?」
霧島「おや・・・。大丈夫ですか?」
暁「霧島・・・・さん?大丈夫よ。ごめんなさい・・・。」
霧島「いえ。立てますか?」
手を伸ばす。
暁「うん・・・ありがと。」
その手をつかみ立ち上がる。
霧島「本当に大丈夫ですか?目が赤いですよ?」
涙がにじみ少し赤くなった目に気がつく。
暁「も、勿論なんてことないわ。そだ丁度よかった、霧島さんに用事があったのよ。」
霧島「私にですか?ふむ、立ち話もなんですから食堂に行きませんか?」
暁「・・・そうね、そうしましょ。」
暁の様子から長丁場になると察知し食堂へと誘う。
霧島「まだ夕食には早いから誰も居ませんね。さて私に用事とはなんでしょうか?」
暁「あの・・・えと・・・最後に霧島さんにお礼を言いたかったの。」
霧島「最後・・・とは?それにお礼ですか?はて何のことでしょう?」
暁「えっとね・・・第三次・・・ソロモン海戦・・・。あのとき霧島さんは旗艦だったのに私を庇ってくれたでしょ・・・。」
霧島「そんなこともありましたね・・・。」
暁「旗艦を守るのが私の役目なのに逆になっちゃったわね・・・。」
霧島「ふむ・・・。確かに戦術的には駄目な行動だったかもしれないけれど私は間違ったことをしたつもりはありません。」
暁「でも私のせいで霧島さんが大破しちゃったわ・・・ごめんなさい。」
霧島「そんなこと謝る必要はありません。」
暁「でも・・・!」
霧島「家族を守るのに理由が必要か?」
暁「え?」
霧島「提督の言葉です。暁ちゃんを守りたかったから庇った。それ以外に理由はありません。」
暁「それでも一歩間違えば霧島さんは沈んじゃうところだったのよ。暁なら沈んでも駆逐艦だから代わりは居るのに・・・。」
バシィッ
激痛が暁の頬を襲う。
霧島「代わりがいるですって?寝言は寝てから言うものです。」
暁「あ・・・う・・・。」
動揺のあまり言葉が出なくなる。
霧島「暁ちゃんが沈んでしまったら残された子たちの気持ちはどうなるのですか?仮に新しく暁として建造されても今までと同じように接してくれると思いますか?どうなのです?」
暁「・・・分からないよそんな難しいこと。」
霧島「そうでしょうね・・・私にも分かりません。ですが必ず負い目を持ち生きていかなければならなくなるわ。たった一度の人生・・・艦生ですか、そんなことでは勿体無いでしょう?」
暁「・・・。」
霧島「・・・。」
提督「あのぉ~、お取り込み中のところ悪いがちょっと良いか?」
暁「しれ・・・いかん。」
霧島「あら司令と望月さんと・・・青葉さん?」
望月「うぃ~っす。」
青葉「ども恐縮です。」
頭にタンコブを作った青葉が提督にしょっ引かれて登場する。
提督「まず言っておくが暁、お前を解体する事はありえないからな。」
暁「え・・・?」
霧島「解体・・どういう事ですか?」
提督「まぁ簡単に言えば青葉が暁に今日は最後の晩餐だって言ったみたいでな。」
《回想》
青葉「どうもアカツキ=サン、青葉です。」
暁「んぇ?ああ青葉さんこんにちは。何か御用でも?」
青葉「とある情報筋から噂を聞いたのですが暁さんは今日限りで退役するのは本当でしょうか?」
暁「はぁ!?ちょっと待ってそんなの聞いてないわよ!」
青葉「でもこれを見てください。」
暁「え、なに?」
今日の献立
・白米
・けんちん汁
・鯖の味噌煮
・ほうれん草の和え物
・デザート(暁)
暁「普通ね・・・あれ私の名前がある。」
青葉「解体されたら資源が発生するのはご存知ですよね?」
暁「ええ知ってるわ。」
青葉「その暁ちゃんの資材を使いデザートもとい近代化改修にするとかなんとやら。まぁ最後の晩餐にされてしまうのでしょうねぇ(嘘)」
回想終わり
望月「と、あることないこと言ったんだよねぇ。」
提督「で、暁が本当に解体されてしまうと勘違いしたんだろうな。」
暁「勘違い・・・じゃあ暁は・・・?」
提督「ん?これからも宜しくな。」
暁「し、司令官~。」
提督「おっと。」
泣きながら抱きつく。まるで子供のように。
霧島「・・・青葉さん。いくらなんでもこれは冗談では済まされませんよ?」
青葉「いやはや、自分でもここまで大事になるとは思いませんでした。反省しています。」
霧島「全く・・・。ところで司令、それは?」
提督「ああ食うか?これ“あかつき”って言うんだ。」
暁「へ・・・?」
望月「あかつきって品種の桃だよ。ん、甘くておいしい(モグモグ)」
暁「じゃぁデザートの暁って・・・。」
提督「あかつき違いだな。」
暁「////!?」
昼休み。
執務室には提督と電の寝息だけがたっていた。
久々の晴れ間で昼寝をするには心地よすぎる日差しと気温。
そんなひと時をぶち壊すかのように彼女は現れた。
防空棲姫「い・な・づ・ま・ちゃーん!」
ドゴォ
扉が木っ端となり崩れ落ちる。
提督「敵襲か!?」
電「はにゃー!?」
二人は咄嗟に臨戦態勢を敷くがそれは無駄に終わる。
防空「えへへ、来ちゃった。」
提督「来ちゃった。じゃねーよ。」バコォ
防空「痛っ!殴ることないじゃん!」
提督「うるさい!来るたびに壊されたんじゃ修繕費で金がなくなるわ。・・・まぁ今日は見事に外れたな。はめれば・・・うん大丈夫か・・・。」
電「大丈夫ですか?」サスリ
提督に殴られタンコブができた頭をなでる。
防空「うん・・・。」ムラムラ
電「?」
防空「もう我慢できない!えい!」
電「はわわっ、くすぐったいよぅ///」
電の胸に顔を当てスリスリする。
提督「うわ・・・変態。」
防空「僕のお嫁さんだから問題ないのよ。」
提督「嫁って・・・この前は長月は私の嫁だーって言ってなかったか?」
防空「長月ちゃんも嫁だよ。」
提督「うわ・・・不倫じゃねえか。」
防空「不倫じゃないよ。私は姫だし。嫁は何人いても問題ないの。」フンス
提督「お前のような姫がいるか。駆逐艦の姫はなクーちゃんみたいな子を指すんだ。清楚でかわいいしそれでかつ優秀だ。お前は親衛隊がいいところだ。」
防空「失礼しちゃうな。それに比べ電ちゃんは天使みたいね。やわらかくて小さくて愛くるしいし。」スリスリ
電「はぅぅ・・・あっ///」
防空「ん?感じちゃった?」
電「違う・・・の・・・です・・・。」
防空「ほらほら・・・もっといいことしようよ?」
電「///」
それ以上先は俺も滅多にできないので間に割ってはいる。
提督「そこまでだ。」
電「司令官さん・・・。」
防空「なにさぁ。」
提督「俺の嫁・・・ゲフンゲフン、秘書艦に手を出されてただ見過ごすわけにできん。」
防空「お、嫉妬かい。ふぅ~ん。いい旦那さんを持ったね。」
電「もうっ///」
提督「うるさいやい。・・・ったくお前も黙ってればそこそこ可愛げがあるのにな。」
防空「ふふ、もっと褒めるがよいぞ。」
提督「いや・・・まぁ・・・うん。(貶してるのだが・・・。)」
?「あれ・・・扉が歪んでいるような。気のせいかな?」
コンコンコン
ノック音がする。
511「提督・・・お使いの報告に来たよ。ユー、入っても良い?」
提督「ん、ユーちゃんか。いいぞ。」
防空「ユーちゃん?」
511「失礼します。」
防空「おほーっ!?」
511「ひゃう!?」
防空「て、提督。彼女は何なの!?」
提督「・・・ああそう言えば初対面だったな。ユーちゃんこっちにおいで。」
511「えっ・・・分かった。」
興奮した防空棲姫に怯え小走りで提督の影に隠れる。
提督「紹介しよう。ユーちゃんはユーちゃんだ(真理)。」
電・511「えっ!?」
提督「ってのは冗談で潜水艦のU-511だ。ドイツ海軍からの派遣でここに居る。どうだ可愛いだろ?」
防空「そうね・・・。ちょっと自分自身を抑えられないかも。」ムラムラ
511「提督。あの人(?)怖い・・・。」
提督「・・・ごほん。最初に言っておくがユーちゃんには手を出すなよ?」
防空「それは無理な相談だね。」
提督「即答かよ。ってか手を出したら冗談抜きでやばいことになるぞ。」
防空「ふ~ん、そう。でもね、愛の前にはそんなハッタリは効かないよ。」
提督「いや・・・ハッタリとかそうじゃなくてだな。」
511「!?」
提督「忠告はしたからな。」
光の速さで提督の隣に居たユーちゃんを奪い抱きつく。
防空「う~ん良いね。良いと思います(錯乱)」
まるでぬいぐるみを抱いているような感じで抱える。
防空「ユーちゃんだっけか。いいにおい。」スンスン
511「や・・・やめて・・・ください・・・。」
防空「何も心配することないよ。痛くはしないからさ。むしろ気持ちいいことだよ。」
511「うっ・・・ダメ・・・です。」
防空「大丈夫。力を抜いて。」モミモミ
511「ひゃぅ///」
提督「おっと、電は見ちゃいけない。」
電「はわわわ!?」
目と耳を覆い見せないようにする。
防空「そう・・・いい子ね。」
511「・・・あぅ///」
提督(もし武蔵ちゃんに見つかったらどえりゃーことになるだがや・・・)
コンコンコン
武蔵「提督よ。領収書を持ってきたぞ。」
提督(まずい!)
提督「げぇっ武蔵ちゃん!?ちょっと待って----」
叫びもむなしく扉が開く。
提督と武蔵の目が合う。
その後ろでは武蔵の恋人が襲われている。
提督はすっと避け電と共に部屋の隅へ避難する。
防空「ほらぁもうこんなに。」
武蔵「おい貴様。何をしている?」
防空「何って・・・んん!?褐色・・・ロリだと。」
武蔵「質問に答えろ!私の嫁に何をしている。」
防空「見て分からないかなぁ、とっても良いことだよ。」
武蔵「ふざけるな!良いことならば何ゆえ涙を流している!」
511「うぅ・・・。」
防空「気持ち良いからでしょ?あなたにもしてあげようか?」ムラムラ
武蔵(プチン)
武蔵「歯を食いしばれぇ!」
防空「あべし!?」
ノーモーションからの重い一撃が防空棲姫を襲う。
防空棲姫は反応できずに殴られ吹っ飛ばされユーちゃんは解放される。
武蔵「大丈夫かい?」
座り込むユーちゃんを抱き頭をなでる。
511「うん・・・怖かったけど武蔵さんが来てくれたから大丈夫・・・。」
その豊満な胸に顔を埋め安堵の涙を流す。
防空「いてて・・・ここの人は直ぐ手をだすんだね・・・。」
最強の戦艦のパンチをものともせず立ち上がる。
提督「マジかよ・・・。」
普通の人ではミンチより酷い状態となる威力だが頬が少し赤くなった程度で済んでいた。
武蔵・511「・・・。」
武蔵は殺意の目、ユーちゃんは怯えた目で彼女を見つめる。
防空「いやぁ提督が言ってたのはこのことだったのね・・・理解できたよ。武蔵・・・ちゃんだったかな。ごめんね貴女の恋人だとは知らずに手を出してしまって。この通りだよ。」
潔く頭を下げる。
武蔵は変わらず、いや更に眼光が厳しくなる。
そんな武蔵を見つめユーちゃんは言葉を発す。
511「ユーは・・・ユーは大丈夫だから許してあげて?」
武蔵「しかしだな・・・。」
511「謝ってくれたんだから受け入れてあげないと・・・いつまでたっても禍根を残すだけだよ?」
武蔵「・・・わかった。おい貴様、名を何と言う。」
防空「僕?僕は防空棲姫・・・一応。」
武蔵「一応とは何だ?まぁいい。今回はユーに免じて許すが次はないと思え。」
防空「わかりました・・・。」
511「そんな言い方じゃ駄目だよ?」
武蔵「うぐぅ・・・。」
防空「・・・。」
提督「・・・まぁ一件落着ってことでいいのか?」
電「終わったのですか?」
目隠しと耳栓を解かれる。
防空「こんなことをしておいて言うのも何だけど一つお願いしても良いかな?」
武蔵「・・・なんだ?」
防空「あなたをお姉様と呼ばせてください!」
提督・電・511「えっ!?」
武蔵「なん・・・だと!?」
防空「さっきのパンチを食らったときにこう・・・ビビっと来たんだ。今までに感じたことのない刺激がね!」
武蔵「・・・・断る!やっ大和に無断で妹をつくるなど言語道断だ。」
提督(そこなんだ・・・。)
防空「じゃぁ・・・じゃあご主人様と!」
武蔵「なっ・・・戯言を言うのも休み休みにしろ!」
電「漣ちゃんと同じなのですか?」
提督「いやあれは主従・・・なんでもない。」
電「?」
提督「武蔵ちゃんさ、大和が本営勤務で寂しがってたじゃん。別に良いんじゃね?」タニンゴト
武蔵「提督よ!?そそそそそそんにゃことはにゃいぞ!?」
511「武蔵さんは渡さない・・・!」
提督(電、面倒になるから逃げるぞ。)
電(?・・・わかったのです)
先ほどとはうってかわって頬を膨らまして威嚇する。
防空「横取りする気はないから安心して。服従を誓うだけだよ。」
511「じゃあ大丈夫。うん。」
武蔵「ちょ!?提督が余計なことを言うからややこしくなったではないか!?」
提督が居たほうを振り向くが姿は無い。
武蔵「・・・提督よー!」
その雄叫びは鎮守府内に響き渡ったとか。
168「♪~」
トントントンと野菜を切る音。
ぐつぐつぐつとお湯を沸かす音が寮のキッチンに響く。
168「うん良い感じ。」
熊野から貰った最高級神戸牛肉を炒める。
8「あら良い香りね。」
ひょこっと通路から姿を現す。
168「あっはっちゃんお帰り~。」
8「ただいま。今日はカレーかしら?」
168「うん♪」
8「何か手伝う?」
168「じゃあお米研いで欲しいな。」
8「任せて。」
手にしていた本からエプロンを召還(?)しみにつける。
8「うぅ・・・最近水道が冷たくなったねぇ。」
168「もう直ぐ冬だもんねぇ。と言って温水で研ぐと美味しく炊けないし。」
8「美味しいものを得る為には犠牲が必要なのね。」
168「あははナニそれ~。」
8「うふふ。」
手際よく米をとぎ炊飯器にセットする。
8「これでよし・・・っと。後は何をすれば良いかな?」
168「ん~そうね~」ジュ
はっちゃんに呼ばれ振り向いたとき嫌な音がした。
168「福神漬けが無かったから購買で買ってきてくれると助かるかも。」
8「福神漬けね・・・何か焦げてるような?」
168「そういわれると・・・。」
8「あっ!イムちゃん髪が燃えてるよ!?」
168「嘘!?」
振り向いたとき運悪く引火したのだ。
8「と、とにかく水を・・・!」
水道はそこにあるのだがいかんせん慌てると正しい判断が出来なる事は多々ある。
計量カップの水をバケツで消火するかの如くイムヤ目掛けてかける。
168「・・・。」
8「・・・。ごめん・・・なさい・・・。はっちゃんが来なければこんなことに・・・。」
168「・・・ううんそんなことないよ?私が不注意だっただけ。はっちゃんは何も悪くないよ。着替えてくるから片付けと残りの調理お願いしても良いかな?」
8「え・・・うん。」
後処理を任せイムヤは一旦自室へと戻る。
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168「お願いします。」
愛宕「本当に良いの?」
168「はい。たまには短いのも良いかなと思うの。」
愛宕「そう。じゃあ切るわね。」
168「はい。」
イムヤの長い後ろ髪に鋏を入れる。
愛宕は唯一鎮守府内で理容師免許を持っており先の喫茶店と兼ねて運営を任されている。
焦げた髪をばっさりと切るよう頼まれ躊躇しつつもその依頼通りに仕上げる。
愛宕「こんな感じでいいかしら?」
168「うん。さすが愛宕さんね、良い感じ。ありがとうございます。」
愛宕「いえいえ。」
髪のこともそうだがカレーも気になりお礼を言い足早に寮へと戻る。
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168「ん、お米が炊ける匂い♪はっちゃんただいま。」
8「お帰り・・・って・・・え?髪が・・・。」
168「思い切って短くしてみたんだ。似合うかな?」
8「うん・・・とても似合う。でも・・・。」
168「それ以上は言わないの。」
はっちゃんの唇に人差し指を添える。
8「///」
168「さ、最後の仕上げといきますか。」
腕まくりをし取り掛かる。
その後姿を顔を紅くし見つめているはっちゃんが居た。
8「見つけた・・・。私の王子様。」
168「何か言った?」
8「なんでもないわ///」
168「?・・・変なはっちゃん。」
8「ねぇイムちゃん・・・。」
168「なあに?」
8「私を抱いて・・・?」
168「え?抱く・・・こう?」
ぎゅっと抱きしめる。
8「そうだけど違うの・・・ここにイムちゃんのアレを挿れて?」
168「アレって?」
8「魚雷よ///」
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秋雲「って感じで冬コミ本を出そうと思うんだけどどうかな?」
不知火「何故不知火に聞くのですか?」
秋雲「姉貴こーゆーの好きそうだし。」
不知火「何を言ってるか分かりませんね。」
秋雲「ふ~ん。本棚の上から2段目左から16冊目。俺の秘書艦は男の娘だけどヤらずにはいられない。」
不知火「!?」
曙「・・・・ふぅ。このくらい集めれば足りるわよね。」
箒で落ち葉を集め山をつくる。
提督「よぉボノ。何してんだ?」
曙「何だアンタか。見て分からない?掃除よ掃除。」
提督「そうか偉い偉い。」ナデナデ
曙「ちょ、なに自然に触ってんのよ!?」
提督「あぁつい電にする癖で、嫌だったか?」ナデナデ
曙「嫌じゃ・・・ないけど。っていい加減止めてよ!漣にでも見られたら変な噂が立つでしょ。」
提督「すまんすまん。じゃ掃除頑張れよ~。(・ω・)b」
曙「あっ・・・。」
掃除はちょっと面倒なので曙に任せ去ることにした。
曙「・・・一緒にしたかったな。」シュン
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提督「まだ10月だけど風が冷たくなってきたな。いつも思うんだがあんな露出の多い服で寒くはないのだろうか・・・?不思議だ。」
提督「そういえばアレどこにしまったっけか・・・。」
物置を徐に探索する。
提督「この箱は・・・おお懐かしいな中学時代のシャンフだ。これの絵師のタッチが変わったのってこのあたりからだったよな~。って違う違う。これは駄目なパターンだ。」
提督「通販の箱だから・・・これか?」
提督「BINGO。」
探し物を見つけ出し足早に戻る。
曙「後はみんなが戻ってくるのを待つだけね・・・。早く来ないかな・・・寒い。」
ソロリソロリ
足音を立てずに這い寄る者の影。
?「とぉぉ↑おう↓」
曙「ひゃう!?」
大声を出し驚かせる。
曙「な、なにすんのよクソ提督!?」
提督「いやぁ驚かしてくださいと言わんばかりの無防備振りだったからな。」
曙「ぐぬぬ。」
提督「そんな眉間にシワ寄せんなって。霧島みたいだぞ?」
曙「うるさい!なんなのよもう・・・。」
提督「ははは愛い奴め。っと・・・本題を忘れるところだった。ボノ、後ろを向いてくれ。」
曙「何でよ?」
提督「いいから。」
曙「変なことをしたら只じゃおかないからね。」
提督「へいへい。」
ガサゴソ
先ほど見つけてきたものを開封する。
提督「ほい。ぴったりだな。」
曙「え・・・マフラー?」
提督「買ったのはいいけど色を間違ってしまってな。まだ早いと思うが使ってくれ。」
曙「でもこれ・・・カシミアじゃないの?」
提督「確かそうだったな。」
曙「提督の給料でよく買えたわね。」
提督「自分でもバカだと後悔した。買った月は他のものを一切買わず某伝説番組並みの生活をしたもんだ。」
曙「へぇ・・・そんな高いもの受け取れないわ。」
提督「遠慮すんなって。もし要らないって言うのならば漣達がいるところで撫でまわすからな。」
曙「なっ・・・。分かったわよ。・・・・ありがと。」
提督「ん?ナンダッテ?」ワザトラシク
曙「う~・・・・。あ・り・が・と・う!」フン
漣「デレボノktkr!」
曙「!?」
提督「漣か、噂をすれば何とやらだな。」
漣「いやー、潮ちゃんに荷物を持たせて一足早くきてみれば眼福でござる。」
提督「荷物?何時もながら酷いなぁ。」
漣「女の子をたらし込んでいるご主人様に言われたくないのです。」
提督「俺がいつたらしこんだって言うんだ。」
漣「いやはや自覚なしとは・・・。いつか電ちゃんに刺されますよ?どっかのナイスボートみたいに。」
提督「冗談はよしてくれ。ところでマッチなんか持って何するんだ?」
漣「焼き芋ですよ、潮ちゃんがやりたいって言い始めましたからねぇ。」
提督「なるほど。だからボノが落ち葉を、合点がいった。どした、顔真っ赤だぞ?」
曙「なんでもないわよ!フン!」
提督「?」
漣(ニヤニヤ)
提督「ふむ?ところで何処まで買いにいったんだ?まだ潮とボーロの姿が見えないが。」
漣「能登呂ですよご主人様。あそこは安売りしていてお財布に優しいお店なのです。」
提督「能登呂だ?安いにしても随分遠いところまで行ったもんだ。言ってくれれば車を出したのに。」
漣「それでは今度はお願いしますね。」
提督「おう任せてくれ。・・・それにしても遅いな。」
漣「だって20キロの箱買いですからねぇ。休み休み来ると思いますよ?」
提督「そんなに買ったのかよ。それを任せてくるなんて鬼畜だな。」
漣「ご主人様ほどでは。」
提督「おれは鬼畜じゃないし優しいから迎えに行って来る。」
漣「あ・・・。だからそういう優しさが鬼畜となることもあるんですよ・・・ね、ボノちゃん?」
曙「ふぇっ!?何か言った?」
漣「いーや、空耳じゃない?」
曙「そ、そう。」
漣「あれ、ボノちゃんマフラーなんかしてたっけ?」
曙「貰ったのよ・・・クソ提督に。」
漣「ほうほう。あたしのクソ提督がくれた初めてのプレゼント。それはとっても暖かいマフラーであたしは十ウン歳でした。」
曙「はぁ?」
漣「その肌触りは今までに経験したことの無いふかふかで、こんな素晴らしいマフラーをもらえるあたしはきっと特別な存在なのだと感じました・・・って思ってるのかにゃ?」
曙「なっ、何言ってるのよ!?」
漣「あべし!」
箒で叩かれる。
曙「と、特別な存在って、そんなわけないじゃない!」
漣「おやおやそんなに興奮しちゃって。」
曙「うるさい!」
漣「おっと、そうはいかんざき!」
今度は箒をかわす。
曙「ぐぬぬ・・・!」
漣「怒っちゃヤーヨ。可愛い顔が台無しだよ。」
制服だけで夜を過ごすのは少し肌寒くなってきた今日この頃。
秋の夜長ということもあり執務室にはまだ明かりが灯っていた。
提督「弾薬使用報告書は良しっと・・・。あとは稟議書か・・・。」
住み着いた深海棲艦に建物しかり備品等を壊されるので予算承認のための本来書かなくてもいい筈の書類作成に勤しむ。
提督「それにしても今日はやけに冷えるな・・・ストーブ出すかな?」
頭をひねったり寒さで体をゆすったりしているとドアの向こうから声がした。
綾波「司令官さん、こんな夜更けにすみません。まだ起きていらっしゃるのですか?」
提督「綾波か?ああ起きてるぞ、入ってくれ。」
綾波「失礼します。」
提督「おう。どうしたこんな時間に。良い子は寝る時間だぞ?」
綾波「あの・・・ですね。お礼を言いたくて。」
提督「お礼?なんの?」
綾波「昼間、曙ちゃんにマフラーを贈ってくれましたよね?」
提督「ああアレか。それと綾波と何の関係が?」
綾波「姉としてどうしてもお礼がしたかったのです。」
提督「・・・姉?」
綾波「はい。」
提督「・・・えっ!?姉妹だったのか?」
綾波「そうですよ?」
提督「いやてっきり別姉妹かと。」
綾波「あはは、よく似てないって言われますし制服も違いますからねぇ。」
提督「スマン。これじゃ提督失格だな。ちょっと辞表出してくる。」
綾波「司令官さん、辞めることじゃないですよぉ!」
辞表(偽)を片手に執務室を飛び出そうとした提督を引き止める。
提督「わちき、許された?」
綾波「へ?いえっ、許すも何も怒ってないですよ。」
ぺかーっという効果音が似合う笑顔で答える。
提督「神様仏様綾波様だ・・・。ありがたやありがたや。」スリスリ
綾波のほっぺをさすり崇める。
綾波「司令官さんくすぐったいですよぉ///」
提督「・・・ああスマンスマン。それで、姉としてお礼をすると言ったが何故だ?俺は使わないものをあげただけだし特段お礼をされるまででもないとおもうが。」
綾波「えーっと話すと長くなるんですけれど付き合っていただけますか?」
提督「ああ。」
綾波「司令官さんは昔の曙ちゃんを覚えてますか?」
提督「昔の・・・そうだな。初対面でクソ提督って罵られたな。あと事あるごとにケンカ腰で威嚇してきたり。」
綾波「あはは・・・。でも今じゃそんなことないですよね?」
提督「んー怒ってんのかな?って思うけどテレ隠しだと分かったし随分と丸くなったと感じる。」
綾波「ふふ、それは全て司令官さんの所為ですね。」
提督「俺の?」
綾波「はい。司令官さんは前任の方をご存知ですか?」
提督「たしか陸軍出身の将校だったか?」
綾波「その通りです。」
提督「で、そいつがどうかしたか?」
綾波「曙ちゃんが司令官さんにキツく当たっていた原因がその方だったのです。」
提督「・・・ほう。」
綾波「陸軍出身ということもあってその方は私達を快く思っていなかったようでして。」
提督「女子供に手柄を取られるから・・・か?」
綾波「恐らくそれも一つかと。別に私は戦果なんて要らなかったのですけれど。みんなが一緒に戻ってこれればそれが一番の喜びでした。」
提督「俺もそうだ。皆が無事なら戦果は二の次だ。誰かの犠牲と引き換えに勲章なんて要らないね。」ナデナデ
綾波「司令官さん/// 悪く言うつもりはありませんがその方は真逆で戦果の為なら私達なんて使い捨てるような指揮を執っていました・・・。」
提督「・・・。」
綾波「そして遂に事が起きました。ヤップ島沖での戦闘で漣ちゃんが魚雷を受け大破してしまいました。僚艦の曙ちゃんは撤退を進言しましたが認めてもらえませんでした。」
前任「駆逐艦の犠牲など屁でもない、代わりなら山ほど居る。しかし、そこまで進軍した燃料を無駄にはできない。最後まで勤めを果たせ。」
綾波「と、進軍命令が下されました。」
提督「・・・。」
綾波「もちろん曙ちゃんは抗議をしましたが受け入れられるはずもありませんでした。それを分かっていた漣ちゃんは“漣なら大丈夫。こんな傷なんてことないよ。帰ったら一緒に甘いもの食べようね。”って笑顔で言ったそうです。」
提督「・・・漣らしいな。」
綾波「その後は全速力で目的地に向い事なきを得ました。」
提督「・・・。」
綾波「そしてその作戦後に曙ちゃんは直接抗議に行きましたが“まさか沈まなかったとはな。儲けものだ”と一蹴され相手にされなかったみたいです。」
綾波「その方は私達駆逐艦以外にもそのような態度でしたので信頼は殆ど無かったようです・・・。」
提督「綾波・・・。」
綾波「なんでしょうか?」
提督「もういい。辛かったんだな・・・。」ギュ
綾波「司令官さん!?///」
目の前に居た綾波を抱きしめる。」
提督「俺はイスに座って指揮を執ることしか出来ない無能な提督だ。他の所みたいに前線にでることなんかない。フォローするのが仕事なのにこんなにも辛い思いをさせてしまって本当に提督失格だな・・・。」
綾波「そんなことないです・・・。司令官さんが居るから安心して戦えたのですよ?的確な指示、そして全員で帰還を信念とする思い。私達は司令官さんあっての私達なんです。私達を大切にしてくれる思い、それだけで十分なのです。ありがとうございます。」
提督「お礼を言うのは俺の方だ。ありがとう。」
綾波「えへへ///」
漣「いや~綾姉が居ないから来てみれば昔話をされてたでござる。」
曙「・・・。」
漣「おや、ボノタン泣いているの?」
曙「泣いてなんかないわよ!」ゲシッ
漣「痛い!」
曙「ちょっと感傷に浸ってただけ。」
漣「ふぅ~ん(´◉◞౪◟◉)」
曙「その顔やめないと殴るわよ?」ゴン
漣「殴ってるじゃん!」
私の名はGraf Zeppelin.(GZ)
東洋の同盟国海軍に着任し早1ヶ月余りが過ぎた。
旧友とも再会し充実した毎日を送っている。
だが一つ・・・何と言ったらいいのだろうか。
Admiralのお国の言葉で表すと“いずい”と言う感覚ある艦娘から伝わる。
決して悪い奴ではない。
とてもよくして貰っているが慣れるのには時間がかかるだろう。
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Bep「Доброе утро.」(おはよう)
GZ「Guten Morgen.」
Bep「Не ешьте завтрак вместе?」(どうだい一緒に朝食でも?)
GZ「Wir möchten, dass Sie mit allen Mitteln können Sie zusammen.」(ああ、ぜひとも一緒させてもらおうか)
こんな感じに伝わっているかどうか分からないがそれぞれ祖国語で話す。
ヴェルは元々響と言い日本の船で日本語を話せるがロシア語で会話する事が多いそうだ。※ビス子談
私も日本語の授業で一通り習い日常会話程度なら難なく話せる。
ただ固有名詞は苦手だ。
恙無く朝食をとり終え任務に就く。
とは言え深海との戦争は終わり領海の警備が主な任務だ。
駆逐艦、いや艦隊でも最高クラスの錬度を誇るヴェルは嚮導艦を勤める事が多かったらしい。
私もまた彼女の指揮を受けている。
※以降は独露語で話していると解釈してください。
Bep「今日は波が静かで良いね。」
GZ「そうだな。いい風だ。」
Bep「ここの海は水が透明で底まで見えるんだよ。」
GZ「本当だ・・・あの黒いのは何だろうか?」
Bep「雲丹だよ。」
GZ「何だそれは?棘がありまるで栗のようだが?」
Bep「栗・・・か。まぁ似てるね。食べてみるかい?」
GZ「食べられるのか・・・やはりJapanischは想像をはるかに超えているな。」
Bep「・・・。見た目は真っ黒だけど中は綺麗なオレンジ色なんだけどね。それにビスマルクさんは雲丹のお寿司を食べたら気に入ってしまってね。」
GZ「ほう・・・。それは興味深いな。だがどうやって捕まえるのだ?」
Bep「それは勿論潜ってだよ。」
GZ「ヴェルがか?」
Bep「いや、ユーちゃんさ。」
GZ「511か・・・。潜水艦だから理にかなっているがそれは申し訳ないな。」
511「いいよ別に。はい。」つ雲丹
GZ「ああDanke・・・って何故ここにいる!?びっくりしたではないか!?」
511「最初から一緒に居たよ?」
Bep「その通り。今日の警備は3人だったからね。それにしてもなんだい鳩が豆鉄砲でも喰らったような顔をして。」
511「驚かせちゃってごめんなさい・・・。」
GZ「い、いや511が謝る事ではない///」
Bep「まごうことなきくっ殺感だねw」
GZ「だっ、黙れ///」
煽るヴェルと顔を真っ赤にするツェペ。
その間でおどおどしているユーちゃん。
完全に任務の事は忘れていた。
Bep「おお、こわいこわい。」
GZ「ぐっ・・・!」
511「ケンカ・・・良くないよ・・・。」
Bep「ゆーちゃん、コレはケンカじゃないよ。戦争だ。」
GZ「ほう、良いのか?」
Bep「何が?」
GZ「2対1で我らが有利なのだぞ?」
Bep「ん? 何を言ってるのかな。ユーちゃんはコチラの味方だが?」
GZ「ふっ、寝言は寝てから言うものだ。アカに味方する者がどこに居るというのだ?」
Bep「生憎私は平和主義者でありアカではない。ユーちゃんは私の味方だろう?」
511「え・・・あの・・・。」
GZ・Bep「ジー・・・」
511「きゅーそくせんこー。」
Bep「あっ。」
GZ「おい!」
Bep・GZ「・・・。」
海中へと逃れるユーちゃん。
Bep「・・・調子に乗りすぎたよ。」
GZ「いや、私のほうこそ熱くなってしまったな。」
Bep「・・・戻ろうか。」
GZ「ああ。」
針路を鎮守府へと向ける。
GZ「ところでコレはどうすれば?」
Bep「鳳翔さんにサクっとやってもらおう。」
GZ「サクっと?」
Bep「サクっと。この白いところに包丁を入れると綺麗に割れるんだ。」
GZ「そうか・・・。見れば見るほど気味の悪いモノだな。」
Bep「だけど・・・!?」
GZ「なっ!?」
二人の直ぐ傍に水柱が立つ。
?「だから止まってって言ってるじゃないですか~!次は当てますよ!?」
拡声器で大声を上げこちらに向かってくる。
二人は機関を止め停船命令に従う。
GZ「深海・・・ではないな。」
Bep「白い艤装・・・海上憲兵だね。」
GZ「それは沿岸警備隊のようなものか?」
Bep「まぁ、そうなるね。だけど何故私達に砲を向けるんだろう。」
GZ「ふむ、見当もつかないな。」
?「ぜぇ・・・ぜぇ・・・。何で止まってくれなかったんですか!?」
Bep「いや済まない。話に夢中で気がつかなかった。」
つがる「そう・・・ですか・・・。じゃなくて私、海上憲兵隊所属のつがると申します。先ほど獲られた物の提出を求めます。」
Bep・GZ「?」
二人は( ゚д゚) (゚д゚ )←このような顔をして見つめあう。
つがる「しらばっくれたって無駄です!ウニです、密猟ですよ!?」
GZ「密漁・・・だと?」
Bep「・・・ああ、そう言えば司令官が無暗矢鱈に海のものを取っては駄目だって言ってた気がする。」
GZ「では我らは・・・?」
つがる「話は署で聞きます!」
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Bep「お迎えご苦労。」
提督「・・・。」
GZ「Admiral・・・申し訳ない。」
提督「気にするな。」ナデナデ
GZ「///」
提督「響は歩いて帰って来いよ?」
Bep「またまた御冗談を。」
提督「じゃあの。」
ツェペと車に乗り込み鍵を閉める。
Bep「!? 待ってくれ私が悪かった!」
慌ててドアノブを引くが鍵がかかっているため開かない。
提督「・・・。」
Bep「私を・・・一人にしないでくれ・・・。」
GZ「・・・。」
提督「なーんてな。ほら乗れ。」
Bep「・・・うん。」
半べそをかきながら車に乗り込む。
提督「そんな泣くことないだろ?」
Bep「・・・本当に置いていかれるかと思ったんだもん。」
提督「ははは置いていく訳ないだろ?・・・ん、ツェペ・・・どうしたんだ?顔、赤いぞ?」
GZ「いい・・・実に良い。」
提督「何が?」
GZ「小さい子が泣いている姿は実に素晴らしいな!守ってやりたくなる。」
提督「・・・なんか、どこかの・・・いやウチの戦艦が同じことを言ってた気がする。」
GZ「ほう、その戦艦とは美味い酒が飲めそうだ。」
提督「ツェペってそんな性格だっけか?」
Bep「・・・。」バタン
提督「響・・・?」
Bep「歩いて帰るよ。」
GZ「なら私も同行しよう。」
Bep「いや、いい。」
GZ「まぁそう言わずに。」バタン
提督「・・・なんだこれ?」
時計「pi.. pipi pipi・・・」
浜風「・・・ん。」ポチ
総員起こし15分前に目覚ましのアラームが鳴る。
浜風「今日も寒いですね・・・。姉さん、起きてください。」
隣で寝ている磯風の肩を揺らす。
磯風「もう・・・朝か。今日はやけに暑いな。」
浜風「何を言ってるんですか、外は雪ですよ?」
磯風「そんな馬鹿な・・・ゲホッゲホッ・・・。」
浜風「姉さん?」
額に手をあてる。
浜風「熱が・・・。」
磯風「・・・私は死ぬのか?」
浜風「ただの風邪ですよ。」
磯風「そうか・・・磯風、風邪を引くってか、ふふっ。」
浜風「何を訳の分からないことを言ってるんですか。病欠の申請を出しておきますから大人しくしててくださいね?」
磯風「ああ・・・すまんな。」
浜風「ご飯は食べられそうですか?」
磯風「ああ、こんな状態でも腹は空いているようだ。」
浜風「では後ほどおかゆでも持ってきますね。」
磯風「ありがたい。」
起床時間が迫っているため会話もそこそこに着替え始める。
磯風「・・・なぁ浜風よ。」
浜風「なんですか?」
磯風「どうしてそんなに大きいのだ?」
制服越しにもその大きさが分かるものを見つめ語る。
浜風「はぁ・・・勝手に大きくなっただけです。」
普段から羨ましがられている為か少々嫌気が差し適当に答える。
磯風「だが同じ姉妹でも谷風や雪風は壊滅的なのだがな。私はそこそこあるし将来も有望だ(自称)。」
浜風「・・・本当に風邪ですか?いつも以上に元気がよさそうなのですが。」
磯風「見ての通り具合が悪いぞ?」
浜風「具合の悪い人はそんな仕様もない話なんかしません。」
磯風「仕様もないとは何だ。」
浜風「・・・。」
無言で部屋を出て行く。
磯風「・・・何を怒っているのだろうか?」
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浜風「提督、おはようございます。」
提督「ああ、お早う。今日も一番乗りだな。」
薄っすらと雪が積もったグラウンドで総員起こしの時間を待つ提督に駆け寄る。
提督「ん、磯風は寝坊か?いや、時間前だから寝坊ではないか。」
浜風「実は風邪を引いたようで今日は休みを頂けないでしょうか?」
提督「風邪だ?あの磯風がか。・・・まぁ良い、許可しよう。」
浜風「有難うございます。」
提督「結構具合悪いのか?」
浜風「熱がある位で酷い状態ではないようですが。」
提督「そうか・・・医療班には?」
浜風「朝食が終わったら連れて行きます。」
提督「分かった。後で様子を見に行くとしよう。」
浜風「そうして頂けると助かります。」
提督「・・・。姉思いな妹が居て磯風はさぞ幸せだろうな。」
浜風「///」
少し紅くなる浜風。
それを余所に鎮守府のお局、もとい総務経理班長の大淀の掛け声とラッパの音が響き宿舎が慌しくなり一日が始まった。
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朝礼と軽い体操を終え朝食の時間となる。
浜風「おはようございます。」
雷「ん、おはよ。浜ちゃんは今日もA定食?」
割烹着を身につけ炊事班の先頭に立って給仕をする雷。
浜風「はい、それでお願いします。」
雷「了解。あれ、磯っちは?」
浜風「少し熱があるようで休みを頂いて部屋で横になってます。」
雷「それは大変ね、お大事に。お粥でも作る?」
浜風「いえ、申し訳ありませんので私が作ります。お心遣い感謝します。」
雷「そお?困ったときは私を頼って良いんだからね?」
浜風「有難うございます。」
雷「はいA定食お待ちどおさま。」
雷からトレーに乗った定食を受け取りいつもより早いペースでかき込み磯風の為にお粥をつくる。
陽炎「お、やってるやってる。」
黒潮「ええ匂いやね。」
浜風「姉さん・・・。」
陽炎「卵粥かぁ、美味しそうだね。いえ美味しいに決まってるわ。」
黒潮「ウチにも食べさせて~な。あ~ん。」
浜風「どうぞ。」
黒潮「おーきに。うん、このしゃりしゃりして青臭い感じ・・・って長ネギやん!しかも生!」
陽炎「www.」
浜風「お気に召しませんでしたか?」
黒潮「ウチはそのお粥が食べたかったんよ!ネギって・・・。まぁ好きやけど。」
浜風「そうでしたか。主語が抜けていたのでつい。」
陽炎「浜ちゃんは漫才のセンスがあるわ。この際漫才師を目指してみたら?」
浜風「お断りします。それと浜ちゃんって言い方止めていただけないでしょうか?」
陽炎「どうして?」
浜風「浜ちゃん松ちゃんのような感じがしてなんだか・・・。」
黒潮「え~お笑いの神様みたいでええやん。」
陽炎「そっちかぁ、釣りの方かと。」
浜風「姉さんって結構思想が古いですよね。」
陽炎「なにを~失礼な。ワビサビでしょうよ?(意味不明)」
黒潮「いや結構古いで。カラオケに行ったらバタビヤの夜なんか歌うし一体歳はいくつなんやと。」
陽炎「いいじゃない古い歌を歌っても。」
黒潮「誰も悪いなんて言うておらんよ?ウチ好きやし。」
浜風「・・・。ところで姉さん達は油を売っていても大丈夫なんですか?今日は神通隊長との訓練では?」
陽炎「そうだったわ!」
黒潮「あかん、○されてしまう!急ぐで!」
陽炎「了解!じゃ、また後でね!」
浜風「ええ。」
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浜風「姉さん、お待たせしました。」
磯風「ああ。わざわざすまない。」
浜風「大丈夫ですか?」
磯風「なに、いつもと変わらんよ。少しだるいがな。」
浜風「そうですか。熱いので気をつけてください。」
磯風「うむ。ほう、卵粥か・・・。まさに私はコレが食べたかったのだ、感謝するぞ。」
浜風「妹として当然のことをしたまでです。食べ終わりましたら医務室へ行きますよ?お薬も頂かないと。」
磯風「・・・いや、私は行かんぞ。」
浜風「はい?」
磯風「行くのであれば浜風一人で行ってくれ。」
浜風「・・・当人が行かないと意味が無いじゃないですか。」
磯風「適当に風邪薬を貰えばいいだろう。はむ・・・うまい。」モグモグ
浜風「もしかして怖いのですか?」
磯風「・・・ああそうだ。あそこに入ったら最後。生きて出てこられないと聞いた。」
浜風「誰にですか?」
磯風「時津風だ。」
浜風「はぁ・・・。分かりました。(この前の注射ですね・・・)」
磯風「薬は苦くないのを頼むぞ。」モグモグ
浜風「有るかどうか分かりませんが一応聞いてみます。」
磯風「頼んだぞ。」
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浜風「お待たせしました。」
磯風「何から何まですまんな。美味かったぞ。」
浜風「いえ、お粗末様でした。はいお薬です。カプセルに入ってますので苦くはないはずです。」
磯風「うむ、助かる。」ゴク
浜風「では脱いでください。」
磯風「なに、脱げだと。弱っている私を乱暴する気だな。このウス=異本みたいに。」
浜風「なっ!?そんな物をどこで手に入れたのですか///」
磯風「秋雲だが?冬コミとやらのサンプルだと言っておいていったが。」
浜風「はぁ・・・納得しました。じゃなくて清拭をするので脱いでください。そのままでは気持ち悪くないですか?」
磯風「確かに少々ベタつくな。すまんが頼む。」
寝巻きと肌着を脱ぎその透き通るような肌にタオルをあてる。
浜風「痒いところはありませんか?」フキフキ
磯風「大丈夫だ。気持ち良いな。」
少し熱めのタオルで拭くのが何とも心地が良い。
浜風「姉さん、風邪を引いた原因に心当たりはありませんか?」
磯風「心当たりか・・・。ふむ、無いな。」
浜風「では一つ忠告しておきます。」
磯風「なんだ?」
浜風「下着姿で炬燵にはいるのは如何なものかと思います。」
磯風「あれは気持ちがいいものだぞ?遠征帰りで冷えた身体を温めるのに最適だ。」
浜風「でしたら服をきて下さい。」
磯風「いや、そのあとは風呂の時間でいちいち着替えるのも面倒だ。」
浜風「そんな横着をするツケがこれですよ?」
磯風「洗濯物を減らせるし合理的ではないか?」
浜風「その洗濯は誰がしていると思うのですか?」
磯風「うぐ・・・。」
浜風「別に洗濯物が増えても構いません。今日みたいに風邪を引かれて看病する方がよっぽど仕事が増えます。」
磯風「・・・すまん。」
浜風「今日は症状が軽かったので良いものの、重病に繋がる場合もあるんですからあまり心配させないで下さい。」
磯風「ああ・・・。その・・・なんだ。」
浜風「はい?」
磯風「迷惑ならもうやらなくていい。私一人で拭ける。」
浜風「・・・迷惑ではありませんよ。姉妹なんですからそんなこと気にしないでください。いつでも力になりますから。」
磯風「・・・ありがとう。」
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《翌朝》
浜風「頭が・・・痛い。」
磯風「どうした、風邪でも引いたのか?」
浜風「どうやらそうらしいですね。」
磯風「ならば私が看てやろう。磯風特製の朝食を作ってやる静かにしておれ。」
浜風「お気持ちだけで十分です!」
秋雲「あ゛~!」
不知火「・・・煩いですね。」
秋雲「姉貴には分からないだろうけど年に2回の祭典に行けなかったんだよ!悔しいのなんのって。」
不知火「インフルエンザでダウンしていた貴女が悪いのですよ?くれぐれも物には当たらないでください。」
秋雲「ぐぬぬ・・・。はぁ・・・、どうしようこの在庫。」
ウス=異本がダンボールに入り山になっていた。
不知火「まぁ次のイベントで捌けばいいのではないでしょうか?規模は小さいですが確実ですし。」
秋雲「それはそうなんだけどね・・・でも旬を逃してしまったら売れないのよ。」
不知火「秋雲は売る為だけに描いているのですか?」
秋雲「へ?」
不知火「同人活動で利益を上げることについて不知火は間違っていないと思います、経費は必要なものですし。ですが例え旬を過ぎてしまっても秋雲の作品を心待ちにしている人が一人でも居てくれれば私は損得は二の次だと思います。」
秋雲「姉貴・・・。たまには良いこと言うじゃん♪」
不知火「たまにはは余計です///」
秋雲「じゃあ次も売り子をお願いしても良い?」
不知火「え・・・それは・・・。」
秋雲「この前のコスはサマになってたなぁ~」
不知火「・・・どうしてもと言うのであれば仕方ありませんね。」
秋雲「ホント?ありがとー!(チョロすぎ)」
コンコンコン
萩風「秋雲さん、萩風をお呼びでしょうか?」
秋雲「ん、ハギーちゃん。入って入って。」
萩風「失礼します。あ、不知火姉さんもコチラに居られたのですね。」
不知火「ええまぁ。」
萩風「それで萩風にどのような御用件でしょうか?」
秋雲「うむ、よくぞ聞いてくれました。実は新作のモデルになって欲しいのよん。」
萩風「モデル・・・ですか?」
不知火「・・・。」
秋雲「そうそう。時代は幼馴染なのよ。ハギーはこう・・・私から見て姉妹っぽく無いんだよね~。」
萩風「えっ?」ガーン
秋雲「いやさ、悪い意味じゃないんだけどね。私達姉妹ってみんな結構個性的じゃん?カゲローやトッキーみたいにお転婆だったり浜ちゃんのように成長しすぎ?ていたり。」
萩風「そう言われるとそんな気もしなくはありませんが・・・。」
秋雲「そんな中でもハギーは大人しくて清楚で美少女と来たもんだよ。姉妹の中じゃ唯一無二のタイプだし制服を変えたら赤の他人だと言ってもわからないと思うな。」
萩風「は、はぁ・・・?」
秋雲「仮に私が男だとしてハギーが幼馴染だとしたらそれだけで昇天してしまうね。」
萩風「・・・死んではダメですよ。」
秋雲「そう!その上目遣い。くぅ~男だったら確実に喰ってしまう所だよ!」
萩風「・・・?」
不知火「秋雲。」
秋雲「はっ。いけないいけない、我を忘れるところだった。それ故に幼馴染の素晴らしさを広げる為に協力をして欲しいんだ!この通り!」
不知火(何がそれ故かは分かりませんが・・・)
萩風「で・・・でも恥ずかしいです・・・。」
秋雲「そこは大丈夫。顔とかはばれないようにするし脚色して色んな設定を付けるから心配いらないよ。」
萩風「・・・じゃあお役に立てるのなら・・・この萩風を使って下さい///」
秋雲「ほんと!?ありがとね!」ギュ
不知火(男の娘も良いですが百合もありですね・・・。)※不知火の嗜好については前の話を参照
萩風「それで・・・私は何をすれば良いのでしょうか?」
秋雲「んー・・・じゃあ脱ごうか!」
不知火「ヌイ!?」
萩風「え・・・分かりました。」
秋雲「先ずはデッサンで感覚を掴みたいからね。脱いだらそこのイスに座ってくれる?」
萩風「はい、了解です。」
上着・スカート・シャツの順番で脱ぎ、綺麗に折り畳む。
不知火(そこそこの大きさ、そこそこの肉付き・・・この差は一体)
自分の身体を触り落ち込む不知火。
萩風「・・・これで良いですか?」
下着になり問いかける。
秋雲「・・・ごめん。脱ぐのは上着だけで良かったんだけどなぁ・・・。」
萩風「そんな・・・。」
秋雲「ハギーの妖艶な姿を見ていたらいい出せなくて・・・。もし良ければこのままの姿で描きたいな。だめ?」
萩風「・・・恥ずかしいですけれど秋雲さんの為なら頑張ります。・・・でも出来るだけ早く終わらせてくださいね?」ウルウル
今にも泣き出しそうな顔で見つめる。
秋雲(おぅ!?その顔は反則だって!)
秋雲「う、うん。」
愛用している鉛筆を持ちクロッキーブックに描き始める。
秋雲(なんだろ・・・イケナイことをしているような感覚は。それにしてもおんなじ姉妹でこれ程の差が出るとは・・・。)
不知火同様自分の躯体と比較し落ち込む。
秋雲「はぁ・・・あたしゃあ素敵な姉ちゃん達に恵まれて幸せだよぉ。」
不知火「なんですか唐突に。」
秋雲「一般世間はさぁ、同人活動=オタクとか良くないイメージがあるじゃん。」
不知火「はぁ。」
秋雲「それでもさ姉貴もハギーちゃんも快く協力してくれて本当にありがたいよ。」
不知火「不知火には人の趣味をどうこう言うつもりはありませんし尊重したいと思うだけです。」
萩風「わ、私も秋雲さんの漫画は好きですのでお役にたつのならば嬉しいです。」
秋雲「・・・ホント、ありがとうね。うん、ハギーちゃんもう服を着ても良いよ。」
萩風「もう・・・ですか?」
秋雲「うん。きょうは手始めに・・・ってところだから。」
萩風「そうですか。」
秋雲「姉貴とハギーちゃんこの後時間有る?」
不知火「ええ。今日は非番ですし。」
萩風「1800までなら空いてます。」
秋雲「んじゃ何か甘いものでも食べに行かない?お礼に御馳走するよ。」
萩風「そんな、お礼を-」
不知火「萩風。ココはお言葉に甘えるべきです。」
萩風「でも・・・。」
秋雲「そうだよん。これからも手伝って貰う事あるかもだし。」
不知火「ね?」
萩風「・・・。はい、それでは御馳走になります。」
秋雲「遠慮しないでいいからね~。」
不知火「では間宮パフェ・ベッケンシュタイン盛でも。」
秋雲「それは勘弁してつかぁさい。お財布がトンじゃいます。」
萩風「別件・・・?それはどのようなものですか?」
秋雲「赤城さんと加賀さんが二人でも食べ切れなかったという伝説のメニューなんさね。」
萩風「想像できませんね・・・。」
不知火「一航戦とは名ばかりですね。」
秋雲「怒られるよ?」
Bep「はぁ・・・はぁ・・・。ここまでこれば・・・。」
降り積もった雪の上を走る響。
グラーフ「ははは、見つけたぞヴェル。」
それを追いかけるグラーフことグラ子。
Bep「・・・君もなかなかしぶといね。」
グラーフ「褒めるではない。照れるではないか。」
Bep「何をどう聞いたら褒めているように聞こえるんだい?まぁいいさ。グラーフさん、少しの間目を瞑ってくれないだろうか?」
グラーフ「逃げようたってそうはいかないぞ。」
Bep「逃げないさ。誓おう。」
グラーフ「分かった・・・。」
Bep「・・・ギュッ。」
グラーフ「・・・。」
Bep「Ураааааа!」
グラーフ「んあぁっ!?」
雪玉が顔面に直撃する。
Bep「甘いね♪」
この憎たらしいほどのしてやったり顔。
グラーフはそのまま雪の地面へと倒れこむ。
Bep「兵法・笑裏蔵刀。見事成功セリ。」
捨て台詞を吐きすかさず逃げ出す。
グラーフ「・・・これが話しに聞くツン=デレというものか。ふふ、益々手に入れたくなったぞ。」
?「ふふっ・・・そう、そうなのね。」
?「でもそれじゃあ駄目なの、え・・・なるほど。」
カーテンを閉め薄暗い部屋で誰かが会話している。
朝霜「だーっ! うっせーぞ早霜!人が昼寝してンのが見えないのか!」
早霜「あら姉さん。起こしてしまいましたか。」
朝霜「そばでごちゃごちゃ言われたら起きないわけねえだろ!」
早霜「それはごめんなさい。つい会話が弾んでしまって。」
朝霜「会話ぁ?誰も居ないじゃねえか。」
早霜「こちらに居られますよ、ねぇ畝傍さん?」
朝霜「・・・はぁ?どこだよ。」
早霜「姉さんの後ろですよ、ほら。」
朝霜「んぁ?」
振り向くが誰も居ない。
朝霜「早霜、姉をおちょくるとはいい度胸だな。壁に手を付ぇ!お仕置きしてやんよ!」
早霜「まぁ姉さんったら怖い顔をして。」
朝霜「お前の所為でこんな顔してンだよ!」
早霜「ふふふ、短気は損気ですよ。」
朝霜「うるせぇ!」
早霜「ふふっ、怒ってる姉さんも可愛い。」
朝霜「かわっ!?ば、ばばばばか言ってんじゃねえよスットコどっこい!」
早霜「食べちゃいたいくらいに・・・ね?」
朝霜(!?)
獲物を狙う狼のような、それでいて流し目で見つめられ背中がゾクッとする。
早霜「冗談ですよ。」
朝霜(ホッ・・・)
早霜「起こしてしまったお詫びにお茶でもいかがですか?」
朝霜「・・・ん、あぁ貰う。」
早霜「なにかご所望はありますか?」
朝霜「なんでもいいよ。」
早霜「はい。では少々お待ちを。」
朝霜「おう・・・。」
朝霜(我が妹ながらホント不思議な奴だ。ぜってー黒魔術とか使うぞあれは・・・。)
朝霜「どれ・・・着替えるか。」
寝巻きからジャージへと着替える。
夕雲からはもう少し可愛いのを着たら?と言われているようだが朝霜曰く動きやすいし有事のときも(最悪)着替えなくていいからコレでも問題は無いそうだ。
朝霜「はぁ、あたいって威厳ないのかな。早霜どころか清霜にまで見くびられている気がする・・・。」
戦艦になりたがっている清霜をなだめたとき「お姉ちゃんとは違うもん!清霜はビッグセブン入りするもん!」と言われたらしい。
朝霜「はぁ・・・。」
早霜「溜息ばかりついてどうしたのですか?」
朝霜「別になんでもねーよ。」
早霜「? どうぞコーヒーです。」
朝霜「コーヒー?さっきお茶って言っただろ?」
早霜「コーヒーが飲みたい気分でしたので。」
朝霜「あたいがコーヒー苦手なの知ってるだろ。嫌がらせかよ。」
早霜「いいえ、丁度これがありましたので。」
朝霜「キャラメルか・・・。」
早霜「キャラメルを食べながらですと丁度いいかと思いまして。」
朝霜「そうだな・・・。ありがたく頂くよ。」
早霜「はいどうぞ。」
朝霜「あむ・・・美味ぇな。もしかしてお花畑牧場のか?」
早霜「正解です。」
朝霜「やっぱり。巻雲姉からガメたのと同じ味だ。」
早霜「姉さんでしたか犯人は。メガネが割れそうな勢いで怒ってましたよ?」
朝霜「たかが1切れだろ。そんな怒ることじゃねぇじゃん。」
早霜「もし姉さんの好きな干し芋が盗まれたらどうしますか?」
朝霜「そりゃあもちろん犯人をとっ捕まえて三枚下ろしにしてやんよ。」
早霜「それと同じことです。後でちゃんと謝っておいてくださいね?」
朝霜「お、おうよ。」
早霜「姉さんの素直なところ、好きですよ。」
朝霜「そりゃどーも。」ズズッ
少し紅潮しながらコーヒーをすする。
早霜「ふふふ・・・。そうだ姉さん、占いに興味はありませんか?」
朝霜「占い?別に信じてるわけじゃないけど多少は興味あるぜ。」
早霜「ではコーヒー占いをしてみましょうか。」
朝霜「コーヒー占い・・・。はじめからやるつもりだっただろ?」
早霜「偶然ですよ。」
朝霜「どうだかな。まぁいいぜ、やってもらおうか。」
早霜「はい、ではカップをこちらに。」
朝霜「ん。空っぽだけどいいのか?」
早霜「ええ、飲み終えた後の底の模様で占いますので。」
朝霜「へぇ。」
早霜「・・・。」
朝霜「どうなんだ?」
早霜「姉さんはこれが何に見えますか?」
朝霜「んあー・・・。鳥か?」
早霜「そうですか。私には犬のように見えますね。」
朝霜「・・・で、結果は?」
早霜「総合的に考えて特に良くも悪くもありません。」
朝霜「なんだよ、つまんねーな。」
早霜「ですが、誰かが助けを必要としているかもしれません。」
朝霜「ほー。」
早霜「そのような方を見つけましたら-」
朝霜「みなまで言わなくてもわーってるよ。」
早霜「さすがです。」
朝霜「晩飯までまだ時間あるしちょっくら散歩してくる。」
早霜「はい、お気をつけて。」
朝霜「鎮守府(なか)で何に気をつけろってんだ。コーヒーごちそうさんな。」
早霜「お粗末様です。」ニコ
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朝霜「ったく早霜のせいで中途半端な時間に起きてしまったぜ・・・。」
とは言うものの夕食前の目覚ましには丁度いい。
朝霜「最近暇だし何かおもしれーことねーかな・・・おっ?」
庁舎裏の小高い丘で初月を見つける。
朝霜「おっす、何してんだ?」
初月「ああ君か。山菜がないか探していたところだ。」
朝霜「山菜かぁ。大して美味いもんじゃないしなぁ・・・。」
初月「がっかりしたかい?」
朝霜「まぁな。なにが美味くてたらの芽とか喰うンだ?ただ苦いだけだろ。」
初月「ははそうだね、でもそれが山菜さ。」
朝霜「ンなこと言われてもなぁ。竹の子は生えてないのか?」
初月「ああ、もう少し奥に行ったところに竹やぶがあるから生えていたよ。」
朝霜「ほー、いい事聞いた。ちょっくら掘ってくるかな。」
初月「残念だけどもう無いと思うよ。」
朝霜「どうして?」
初月「鳳翔さんと雷が籠一杯に詰めて持っていったからね。」
朝霜「うぇ~先越されたかぁ。でもまぁ今晩は竹の子ご飯かな。」
初月「間違いないね。あとテンプラもあれば・・・。」
朝霜「最高だな!っと。」
すこし涎が垂れた。
初月「ふふっ。」
朝霜「なんだよ、笑うなよ!」
初月「いやすまない。秋月姉さんのようだったからね。」
朝霜「ぐぬぬ・・・っておい、血ィ出てるぞ。」
初月「えっ、どこ?」
朝霜「ほら頬のところ。」
右頬を触る。
初月「本当だ、草で切ったのかな。」
朝霜「ほれ、ちょいとしゃがめ。」
初月「どうして?」
朝霜「絆創膏貼ってやんよ。」
初月「いいよ、こんなの唾でもつけとけば治るさ。」
朝霜「化膿すんぞ?いいからしゃがめって。」
初月「あ、ああ。」
強引に手を引きしゃがませる。
朝霜「消毒液はないけど貼らないよりはマシだな。」ゴソゴソ
スカートのポケットから絆創膏を取り出す。
朝霜「範囲は広くないし傷は残らないだろうな。」ピタ
初月「ん・・・。」
朝霜「よし!夢中になるのは良いけどケガすんなよ?」
初月「うん、ありがとう。」
朝霜「いいってことよ。じゃあな晩飯でな。」
初月「あぁ。」
此処では暇を潰せるものが無くなり散歩へと戻る。
朝霜「竹の子ごはんかぁ・・・考えただけで腹が空いてきたな。ちょっと酒保にでも行くかな。」
朝霜「でも姉さんに間食はあんまりすんなって言われてるしなぁ・・・。」
?「あさしーみーっけ!」
朝霜「おわっ!?なんだ秋雲さんか。」
秋雲「秋雲で悪かったわね。」
朝霜「そんなんじゃねぇよ。あたしに何か用かい?」
秋雲「ちょっと清霜ちゃんのことでね。」
朝霜「清霜?またなにか悪戯でもしたのかアイツは。」
秋雲「うんにゃ、違う違う。さっきね提督と工廠裏の小屋に入っていくところを見つけてね。」
朝霜「たしかそこって何も無いよな?」
秋雲「だね、工廠の改修中に少し使っただけで今はもぬけの殻だよ。そんな所に二人きりで行くのって怪しいと思わない?しかも周りの様子を気にしてたし。」
朝霜「言われてみればそうだな。」
秋雲「じゃあ覗きに行きますか。」
朝霜「おうよ!」
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秋雲「ここがあの女のハウスね。」
朝霜「なんだいそれは?」
秋雲「分らないなら気にしなくていいよん。」
朝霜「んん?」
秋雲「静かに!何か聞こえる。」
朝霜「・・・。」
清霜「司令官、これで本当に戦艦になれるの?」
提督「多分な。」
清霜「多分って・・・確実じゃないの?」
提督「すまんが俺は専門家じゃないから確約はできない。だが可能性は大いにあると思うぞ。」
清霜「・・・分った。優しく・・・してね?」
提督「任せておけ。」
秋雲(これはもしかするともしかしてアレな展開では!?)
朝霜(特訓か?)
提督「じゃぁ脱ごうか。」
清霜「うん。」
提督「痛く感じたときは無理しなくていいからな?」
清霜「うん・・・。」
提督「では始めますか。えいっ!」
清霜「うっ・・・!」
提督「大丈夫か?」
清霜「うん・・・平気だよ。続けて。」
提督「そうか・・・。」
清霜「あっ・・・くぅ・・・!」
秋雲(ヤバイ状況ですぞ!)
朝霜(あたいも強化してもらいたいなぁ・・・。)
提督「動いても良いか?」
清霜「任せる。」
提督「そうか。」
清霜「あっ痛い痛い痛い!」
提督「あぁすまん。」
清霜「もぅ力入れすぎだよぉ。」
提督「いつも戦艦や空母の子にヤってたから加減を間違ってしまった。」
清霜「んもぅ。でも気持ちいいかも。」
提督「そうか?それは良かった。」
清霜「あ゛ぁっ!やっぱり痛い!」
提督「うーん、止めるか?」
清霜「駄目!止めちゃやだぁ。」
提督「とは言うものの清霜の体にはまだ早いと思うがなぁ。」
清霜「でも一日でも早く大人の体になりたいの!」
秋雲(いやいやいや、一線を越えた子が何を言うのでありますか!)
朝霜(バインバインになれたらなぁ・・・。)
提督「そう急ぐこともないだろう?今の清霜は可愛いしそのままでもいいんじゃないか?」
清霜「んもぅ、そんな事言ってはぐらかそうったて問屋は卸さないンだからね。でもありがとう。」
提督「はいはい。そうだ、これ試しに舐めてみ?」
清霜「なにこれ・・・大きい。ん・・・へんな味だね。」
提督「まぁそうだよなぁ。俺もそう思った。」
秋雲(えっ、自分で舐める?どんだけ大きいのさ!)
朝霜(いいなぁ、腹減った・・・。)
清霜「ん、なにかドロっとしたの出てきたよ?」
提督「一応ミルク味だがどうだ?」
清霜「う~ん、やっぱりへんな味。」
提督「でもクセにならないか?」
清霜「どうだろう・・・。分んないよ。」
提督「やっぱ清霜には早かったか。」
朝霜「なぁ秋雲さん、あの二人はトレーニングしてるんだろ?こそこそする必要があるのかい?」
秋雲「えっ、トレーニング!?いやどう考えても《禁則事項》でしょ!?」
朝霜「《禁則事項》ってなんだ?」
秋雲「えぇそれはその・・・男の人と女のひとが・・・って恥ずかしくて言えるかぁ!」
朝霜「?」
提督「お前達そこで何してんだ?」
秋雲「ぎゃぁあ~!?」
朝霜「秋雲さんが大声出すから見つかっただろ!?」
提督「ほほぅ。覗き見とはいい度胸だ。コッチにこい。」
秋雲「うぇ!?」
朝霜「おうっ!?」
二人の手を引っ張り中へ連れ込む。
秋雲「離して!あたしに乱暴する気でしょ!?エロ同人みたいに!」
提督「そのエロ同人を書いているのはお前だろ。」
秋雲「そうか・・・じゃなくて!」
朝霜「なぁ、あたいも強化してくれるのかい?」
提督「強化?強化といえば強化か。望むならな。」
朝霜「本当か!?いやったぁ~!」
秋雲「もうダメぽ・・・。」
清霜「あっ・・・秋雲さんに朝姉。」
秋雲「あぁっ清霜氏のあられもない姿が・・・あれ?マッパじゃない。」
提督「なに言ってんだ?マッサージしてただけぞ?」
秋雲「ふぇ?マッサージ・・・。」
清霜「そうだよ、身長が伸びるツボ押しマッサージ。ちょっと痛いけど効きそうだよ。」
秋雲「ははっ、そうだったのね・・・。」
提督「何を期待していたんだ、ん?」
秋雲「なんでもないよ!」バッ
提督「おい!」
顔を真っ赤にし逃げる。
朝霜「あれまいっちまった。なぁ提督、清霜に何食わせたんだ?あたいにもくれよ。」
提督「ん、別に構わないがはっきり言って不味いぞ?」
朝霜「えぇ~、でもいいや。あ~ん?」
提督「やれやれ。ほいっと。」
朝霜「あむ・・・マズっ。」
提督「だから言っただろ。カルシウムキャンデーだが不味い所為で売れ残ってたやつだ。」
朝霜「なんでソンナのを買うんだよ。」
提督「安いからな。まぁ安物買いの銭失いとはこのことだな。」
朝霜「だな。で清霜はまだ戦艦になりたいって言ってるのか?」
清霜「ぶぅ~絶対なれるもん。」
提督「まぁ武蔵ちゃんが戦艦だし可能性は無くはないが。」
清霜「ほら!そうでしょ?」
朝霜「ぐぬぬ・・・。そだ提督、どうしてコソコソ隠れるように此処へ入ったんだ?堂々とすればいいじゃん?」
提督「ちょっとな・・・。」
朝霜「なんだ、ヤラシイことでもあんのかよ。」
清霜「そんなことないもん!」
朝霜「んぁ?」
清霜「司令官はみんなの為に-」
提督「キヨ!」
清霜「あっ!」
朝霜「なんだよ隠し事か?」
提督「・・・仕方ないどうせ遅かれ早かれ分ることだ。実はなココにマッサージ店をオープンしようかと思っている。」
朝霜「ほう。」
提督「通信講座で習っただけだが結構評判が良くてな。五十鈴のお墨付きだ。」
朝霜「五十鈴さんはいろいろ凝ってそうだもんな。」
提督「艤装を担ぐし訓練の疲れもある。少しでも取り除ければと思ってな。」
朝霜「なるほど。そりゃありがたいぜ。」
提督「ああ因みに利用料は無料だ。」
朝霜「いいのかい?」
提督「ああ、日ごろの恩返しも兼ねてだしな。」
清霜「司令官のそういうところ好きだよ?」
提督「ははは、ありがとなキヨ。」ナデナデ
清霜「♪」
朝霜「あ、あたいも好きだぜ!」
提督「あいよ。」ナデナデ
朝霜「ん・・・。」
提督「っと、もうこんな時間だ。」
朝霜「ん、何かあるのかい?」
提督「ちょっとした会議に呼ばれてるんだ。」
朝霜「晩飯は?」
提督「要らないと伝えてある。」
朝霜「そうか。あんま遅くなんなよ?」
提督「それは上に言ってくれ。」
清霜「司令官、お土産待ってるからね!」
朝霜「キヨ、お前はバカだなぁ。会議なんだからそんなのあるわけないだろ。」
清霜「むぅ、バカって言う方がバカなんだもん!」
提督「まぁまぁ。どこか開いてたら買ってくるからケンカすんなって。」
清霜「やったぁ!じゃあ気をつけてね。」
提督「はいはい。」
着替えるために執務室へと戻って行く。
朝霜「じゃ、あたいも行くわ。」
清霜「行くってどこに?」
朝霜「食堂だよ、なんだか腹減っちまったからな。」
清霜「清霜も行く~!」
朝霜「へいへい。」
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-
朝霜「ちわー。」
清霜「ちわー。」
朝霜「真似すんなよ。」
清霜「えへへ、似てた?」
朝霜「全然。」
清霜「むー!」
秋月「あっ、朝霜さんに清霜さん。いらっしゃい。」
朝霜「おっす、今日は秋月が当番か?」
秋月「はい、まだあまりレパートリーはありませんが一生懸命作りましたよ!」
朝霜「料理は愛情があれば何でも美味いからな、それは楽しみだ。」
清霜「秋月ちゃんの料理って質素だけど何故かお代わりしたくなるよねぇ。」
朝霜「こらぁキヨ!質素とか言うなよ!」
秋月「質素・・・。ごめんなさい、貧乏臭くって。」
朝霜「いやいやいや、そんなこと言ってんじゃねえよ!あたいは脂っこいものよりさっぱりして好きだぜ。なぁ?」
清霜「ふぇ?」
朝霜「なぁっ!?」ギロリ
清霜「う、うん。健康的でいいと思います!」
秋月「あ、ありがとうございます。そう言ってもらえると作った甲斐があります。」エヘヘ
朝霜(このおばか!危うく泣かれるところだったぞ!)
清霜(う、うん。なんかごめんなさい・・・。)
初月「姉さん居るかい?おや。」
ひょこっと入ってくる。
秋月「あ、初月。どうかしましたか?」
初月「今夜のおかずにもう一品と思ってわらびを持ってきたのさ。」
秋月「ありがとう御座います!」
初月「それと朝霜さん、丁度良かった。」
朝霜「ん、どうかしたのか?」
初月「さっきのお礼を渡したかったんだ。」
清霜「お礼?何したの~?」
初月「ここ。切ったところの手当てをしてくれたのさ。本当にありがたいよ。」
秋月「あぁっ、すみません!うちの妹が御迷惑をお掛けしまして。」
朝霜「別に迷惑じぁねえよ。こんなのお礼をされるうちに入らないぞ?」
初月「いや、御礼をしないと僕の気持ちが収まらない。どうか受け取ってほしい。」
朝霜「んー・・・そこまで言うならありがたく貰っておくよ。」
初月「うん。」
缶詰を差し出す。なんとも秋月型らしい。
朝霜「これは・・・スル、ストロミング?」
缶にはsurströmmingと書いてある。
清霜「あっ、ワンちゃんの絵が描いてある。」
朝霜「犬・・・の肉か?」
秋月「ああ、それはデザインだけで中身はお魚らしいですよ。」
初月「その通り。ニシンの塩漬けさ。」
朝霜「ふぅ~ん。」
初月「ボクは青魚アレルギーだから食べてくれないかな?」
朝霜「そうなのか?んじゃ頂くぜ。缶きりってあったかい?」
秋月「はい、ここに!」
ポケットから取り出す。
清霜「いつも常備してるの?」
秋月「勿論です!牛缶を開けるのに必要ですからね。」
朝霜「虎衛門か・・・ってまぁいいや晩酌代わりにっと。」プシュー
缶切りをふた部分にあて切れ込みを入れる。
朝霜「おっ、噴出し・・・た・・・。」バタン
清霜「お姉ちゃん!?」バタン
初月「おいっどうし・・・た・・・。」バタン
秋月「み・・・みんなっ・・・。」バタン
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早霜「ありがとう畝傍さん、姉さんたちを連れ戻してきてくれて。」
早霜「ふふ・・・お礼は又今度するわね。」
朝霜「ん・・・あ・・・。」
早霜「気付きましたか?」
朝霜「あれ・・・あたいは一体・・・。食堂に行ってから・・・記憶がない・・・。」
早霜「ふふふ、きっと悪い夢でも見たのですよ。」
朝霜「そうか・・・確かに悪い夢だな。真っ暗な川岸で白い服を着た奴に腕を掴まれた。きっと三途の川だよ。」
早霜「あら、姉さんにも畝傍さんが見えたのですね。」
朝霜「畝傍・・・?さっきも言ってたな。誰なんだいそれは・・・?」
早霜「ふふ、私のあちら側のお友達です。」
朝霜「あちら側ってことは・・・。」
早霜「御名答です♪」
朝霜「お・・・おぅ。」バタン
また意識が途絶える。
早霜「あらあら、今寝てしまっては夜に眠れませんよ?」
1日に2度三途の川に行くとは思いもしなかったね。
早霜の占いも馬鹿には出来ないと身を以って実感したよ。
Bep「かつての同胞は敵軍を自国奥地まで侵入させ返り討ちにした。私もそれに習い侵入させた。」
Bep「だがどうしてこうなった。」
グラーフ「ムフー♪」
抵抗むなしく捕まりひざの上に座らされている。
Bep「あの・・・。」
グラーフ「なんだ、捕虜は捕虜らしく大人しくしているがいい。」
Bep「・・・。」
後から手を回されまるでぬいぐるみのように抱きつかれている。
はたから見れば仲のいい姉妹のようだが若干変な気持ちになっている。
グラーフ「ヴェルはいい香りがするな。香水でもつけているのか?」
Bep「いいや、何もつけていないよ。」
グラーフ「ほう。ではこれがヴェルの香りか。珈琲にも劣らない良いものだ。」
Bep「それは喜んでもいいのかな?」
グラーフ「もちろんだ、この私が保証する。」
Bep「そう・・・。」
グラーフ「はぁ。やはり駆逐艦というのは良いものだ。」
Bep「君らの国にもいるだろう。現にレーベとマックスが此処にも・・・。」
グラーフ「ああ。彼女らには手を出せないのだ。」
Bep「なぜだい?」
グラーフ「あのポンコツ戦艦(ビス子)がなぜか怒るのだ。」
Bep「Вы ублюдки.(君も大概ポンコツだと思うが。)」
グラーフ「ん、何と?」
Bep「なんでもないよ。ねぇ、そろそろ離してくれないかな。時間も丁度いいしお茶にしようか。」
グラーフ「むぅ・・・。まぁ仕方ない、珈琲の時間だ。」
Bep「私はお茶と言ったと思うけれど。」
グラーフ「なに、私たちにとっては珈琲は茶のような物だ。」
Bep「珈琲≒お茶かい。へぇ~・・・。」
ようやく開放され立ち上がると部屋の扉が開く。
金剛「Hey!ビッキー、ティータイムにしまショウ!」
Bep「おや金剛さん、丁度よかった。今から準備するところだったんだ。」
金剛「Wow.それはすばらしいデース!一緒にEnjoyスルネー!ってWhat、グラ子さんも居ましたカ。」
グラーフ「私が居てはまずいのか、英国被れさん。」
金剛「Non,non.ティータイムは大勢居たほうが楽しいネー。それと私は英国被れじゃないデース!本物の帰国子女デース!」
グラーフ「はは、それは済まなかった。お詫びにこれをあげよう。」
腰につけているポシェットから取り出す。
金剛「ビスケット・・・デスカ?」
グラーフ「ああ、LEIBNIZのものだ。糧食にもお茶請けにも最適だぞ。」
金剛「ありがとうデース!お返しにドウゾ。」
グラーフ「これは・・・?」
金剛「これはデスネ、菊福と言いましテ提督の地元の名物らしいデス。」
グラーフ「ほう、アトミラールの・・・Danke。この白いのは何だろう、柔らかいが。」
金剛「Ah~、これはお餅ネ。」
グラーフ「お餅・・・。聞いた事がある、毎年死人を出す食べ物らしいな。」
金剛「間違ってはいないデスけれど・・・。良く噛んで食べればノープロブレムデース。」
グラーフ「そうか、注意しよう。」
Bep「二人ともお待たせ。」
金剛「Oh、サンキューデース!」
グラーフ「Danke schön.」
金剛には緑茶、グラーフにはコーヒーが提供される。
グラーフ「おや、君は紅茶以外も飲むのだな。」
金剛「ん~何か変ですカ?」
グラーフ「いや、三度の食事より紅茶が好きだと聞いたからな。」
金剛「What、誰にですカ?」
グラーフ「卯月だが?紅茶お化けとも聞いたが。」
金剛「まぁ普通に好きですガ浴びるほどじゃないネ~。あとでピンクラビットにOSHIOKIしなくちゃネ♪ビッキーは何を飲んでいるのデスか?」
Bep「これかい?これはквас(クワス)さ。飲んでみるかい?」
金剛「ではお言葉に甘えテ・・・。」ゴク
グラーフ「どうだ?」
金剛「・・・飲んでみると分りマース。」
グラーフ「?」ゴク
金剛・グラーフ「・・・(不味い。)」
Bep「不味いって顔だね。」
金剛「No~ソンナコトナイヨ、オイシイヨ!」
グラーフ「ナントモイエナイアジダガコレハコレデイイノデハ・・・?」
Bep「そうかい?私は不味いと思うけれど。」
金剛「デハどうして?」
Bep「この不味いのが美味いのさ。」
金剛「・・・ビッキーの感性は不思議デスネ。」
グラーフ「だが、そこがかわいい。」
Bep「・・・。」
金剛「・・・。グラタンはどうしてそんなにビッキーの事を気に入っているのデスか?」
グラーフ「私にそれを言えと?」
金剛「YE~S!」
グラーフ「金剛、君は私とヴェルを見てどう思う?」
金剛「ン~・・・嫌がる妹をにちょっかいを出す姉。まるで姉妹みたいデース。」
グラーフ「そうか。これは私の勝手な思い込みだがもし私に妹が居たらヴェルのような子ではないかと考えている。」
Bep「妹?確か姉妹艦は・・・。」
グラーフ「そうだ、私は一人だ。史実の計画では4隻建造される予定だったがどれも未完成どころか着工すらしなかったものもある。」
金剛「それデ?」
グラーフ「ここへ着任して直ぐにビス子と暁のやり取りを偶々目にしてな、ティルピッツではないがまるで姉妹のようだった。」
金剛「確かに二人とも性格は似ていると思いマスからネ~。」
グラーフ「・・・それが少し羨ましかったのかも知れないな。」
金剛「なるほド・・・。」
グラーフ「迷惑だったな、今まで追い回してすまなかった。」
Bep「迷惑?それこそ勝手な思い込みだよ。」
グラーフ「なに・・・。」
Bep「いつ、誰がそう言ったんだい?少なくとも私は楽しかったよ。」
グラーフ「ヴェル・・・。」
Bep「まぁ鬱陶しいときもあったけれど。」
グラーフ「・・・。」
Bep「でもね、グラーフさんと一緒にいるときはなんだか安心できるんだ。言葉では言い表せないけれどこう・・・あったかいとでも言うのかな。」
グラーフ「・・・。」
Bep「たまになら呼んでも・・・良いかな・・・・・・Моя сестра.(姉さん・・・。)」
グラーフ「・・・今、何と?」
Bep「知らない///」
金剛(やっぱり仲よしデスネ~。あ、でもツッキー(暁)がお姉ちゃんは私だけなんだからってget jealous(嫉妬)しそうネ。)
島風「おはよーございまーす!」
古鷹「あっ、島風ちゃん。おはよう。」
元気いっぱいの挨拶が喫茶店内に響く。
島風「今日は一日よろしくおねがいしまーす!」
古鷹「うん、こちらこそ。着替えは奥に置いてあるから。」
島風「はーい!」
普段は二人一組で経営しているのだが相方の加古は暖かくなったことに油断し風邪を患い自室で大人しくしている。
今日は急遽助っ人として島風が応援にあたることとなっていた。
島風「着替え終わりました!」
名前に負けない風のような速さで着替える。
古鷹「うん、良く似合ってるよ。」
島風「えへへ~。」
メイド服にウサ耳カチューシャ姿は御伽噺にでてきそうで一部の客からは評判がよさそうだ。
古鷹「それじゃ私は厨房(なか)の準備をするから島風ちゃんはテーブルを拭いてくれるかな?」
島風「りょ~かい!」
普段はその性格からスピード狂いの変わった子だと思われがちだが根は真面目でお手伝いを率先的に行い模範とも言える。
島風「ふふん、ふふふふ♪」
とある一航戦の持ち歌を鼻で奏でながら掃除に勤しんでいると
カランカラン
と、ドアベルがなる。
島風「いらっしゃいませ!」
古鷹「いらっしゃいませ。」
?「ん、おぉ島風ちゃん。」
島風「あっ!駄菓子やのじいちゃん!」
駄菓子や「あんれまぁ、そんな格好してどうしたの?」
島風「今日はねお手伝いをしてるんだぁ。」
駄菓子や「それはえらいえらい。」ナデナデ
島風「にしし~。」
駄菓子や「あんれ、古鷹ちゃんはいるけど加古ちゃんは休みかのぅ。」
古鷹「はい、ちょっと具合が悪くて休んでいます。」
駄菓子や「それはお大事に。そうだこれを食べさせてあげんさい。」
手持ち鞄から“あたり前田のクラッカー”を取り出す。
島風「じいちゃん・・・。それは病人に食べさせるものじゃないと思うけど。」
駄菓子や「む、そうかの?ワシはこれを食べればどんな病気も直ったぞい。」
島風「たぶんそれ気のせい。寝てる人に食べさせたらむせて悪化しそう。」
駄菓子や「むぅ・・・。」
古鷹「あ、でもコーヒーにならあいそうですね。」
駄菓子や「古鷹ちゃんは分っておる。この素朴な味わいが相性が抜群なのじゃ。というわけでアメリカンを一つ。」
古鷹「はい、かしこまりました。」
島風「じいちゃんアメリカ人なの?」
駄菓子や「れっきとした日本男児じゃ。」
島風「じゃあなんで?」
駄菓子や「アメリカンは薄くて飲みやすいからのぅ。」
古鷹「あ、でも焙煎が浅いだけで別に薄くはないんですよ?」
駄菓子や「なん・・・じゃと・・・!」
古鷹「お湯割りと言うのは誤りでして寧ろカフェインも多いですし東海岸では逆に濃い目のほうが好まれています。」
島風「ふるてんちゃん物知り~!」
古鷹「ふるてん?」
島風「うん。ていとくが古鷹は天使だぁ!略してふるてんだ!って言ってたから。」
古鷹「もう///」
駄菓子や「ではワシが夜眠れなかったのは・・・。」
古鷹「まぁ可能性としては。」
駄菓子や「じゃがここのは美味いのに変わりはない。注文どおりアメリカンを淹れてくれんかのぅ。」
古鷹「はい!」
島風「ねえじいちゃん。」
駄菓子や「なんじゃ?」
島風「じいちゃんのお店にはモロッコヨーグルって置いてる?」
駄菓子や「ヨーグルかの・・・暫らく入荷しておらんのぅ。」
島風「そっかぁ・・・。酒保にはもちろんないし近場のスーパーとかにいってもぜんぜん見かけないよねぇ・・・。」
駄菓子や「島風ちゃんはヨーグルが好きなのかい?」
島風「うん!あの独特の食感と味が駄菓子の中じゃズバ抜けて美味しくて大好き!」
駄菓子や「そうかそうか。よし、じいちゃんに任せておれ。来週には入荷できるよう手配しておくからのぅ。」
島風「ほんと!?やったぁ~!」ピョンピョン
駄菓子に心を躍らせる彼女はまだまだ子供である。
古鷹「お待たせしました、アメリカンです。」
駄菓子や「すまんのぉ。」
古鷹「いえ。随分と盛り上がっていたようですね。」
駄菓子や「うむ。久方ぶりに入荷する駄菓子についでじゃ。良かったら古鷹ちゃんも一緒に来てくれるとありがたいのぅ。」
古鷹「そうですね・・・駄菓子もたまに食べたくなりますし時間が空きましたらお邪魔しますね。」
駄菓子や「出血大サービスじゃから皆にも声をかけてくれぬかの。」
古鷹「はい、お任せください。」
カランカラン
またドアベルがなりお客さんが入ってくる。
島風「いらっしゃいませー!」
古鷹「いらっしゃいませ。ではごゆっくり。」
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--
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島風「りっちゃん久しぶり~!」
離島棲鬼「あらぜかましちゃん、ひさしぶりね。」
島風「ぜかましじゃなぁ~い。島風!」
離島「どっちでもいいじゃない。」
島風「よくない!」
古鷹「お久しぶりです。」
離島「はぁい古鷹ちゃん。今日も可愛いわね♪」
古鷹「もう、からかうのは止してくださいよぉ。」
離島「可愛いのに可愛いって言うのはおかしいのかしら?」
古鷹「あぅ~。」
島風「なにこの差・・・。」
離島「ぜかましちゃんも可愛いわよ?」ダキヨセ
島風「おぅ!?」
離島「ペットにしたいくらいにね・・・ふふふ。」
島風「おぅ・・・。」
古鷹「あはは・・・。今日はなにか用事でもあったのですか?」
離島「いえ、その逆よ。なにも無くて暇を持て余していたのよ。」
島風「りっちゃん友達居ないもんね~。」
離島「う、煩いわね!私にも友達の一人や二人くらい居るわ!」
島風「たとえば?」
離島「え・・・。潜水棲姫・・・ちゃん?」
島風「・・・ああ、波長とか合いそう。引きこもり同士的に?」
古鷹「島風ちゃん!」
島風「おぅ!?」
離島「・・・ええそうよ。どうせ私は引きこもりのニートで根暗でボッチよ。もう何も怖くない的にでしゃばったら蹴散らされるしなにやっているのかしら私・・・。」
瞳からはハイライトが撤退しこの世の終わりみたいな顔をする。
古鷹「あわわわ・・・!りっちゃんさん、なにかさっぱりしたものでも飲みますか!?」
離島「・・・そうね、いただくわ。適当に見繕ってくださる?」
古鷹「はい喜んで!」パタパタ
駆け足で厨房に戻る。
離島「それに比べてぜかましちゃんは友達が沢山いて羨ましいわ・・・。」
島風「でしょ~?だって百人以上いるもん!」
離島「・・・あぁ妬ましい。」パルパル
島風「りっちゃんも大切なお友達だからね!」
離島「えっ?」
島風「深海(そっち側)じゃ初めてのお友達だし私にも優しくしてくれるしりっちゃんは大好き!」エヘヘ
離島「ぜかましちゃん・・・。」
島風「だ~か~ら~、島風!」
離島「そ、そう///」
古鷹「お待たせしました!って、あれ?」
元の顔つきにもどっている離島棲鬼。
すこし紅潮している。
離島「どうかして?」
古鷹「いえ・・・、あっお待たせしました。特製レモネードです。」
離島「レモネード・・・?ああ、レモンスカッシュね。ありがとう、いただくわ。」
島風「どう、美味しい?」
離島「・・・。そうね、少し強めの炭酸にレモンの風味が生きている。とても美味しいわ。」
島風「それ、私が作ったんだよ!」
離島「ぜかましちゃんが?そう。今まで飲んだ炭酸飲料の中でもトップクラスの美味しさだわ。」
島風「えへへ~褒められた。」
古鷹「よかったですね。」
島風「うん!」
離島(友達・・・か。ふふ。)
島風「ねえりっちゃん。」
離島「ん?」
島風「りっちゃんのその服って何処で買ってるの?」
離島「ああこれ?これは自前よ。」
古鷹「えっ、服を作れるんですか?」
離島「遊びの程度だけれどね。」
古鷹「遊びって程ではありませんよ。既製品かと思いました。」
離島「ふふふ。」
島風「りっちゃん凄~い。ねぇねぇ、私にも作って欲しいなぁ。」
離島「あら、興味あるの?」
島風「うん!なんかふわふわしてて可愛いし。」
離島「そう。なら今度遊びに来なさいな。採寸してあげるわ。」
島風「ホント!?やったぁ。」
離島「あなたもどう?」
古鷹「私ですか?遠慮しておきます、私には似合わないので。」
離島「そんなことないわ。そうね・・・白いワンピースなんてどうかしら。提督が天使と言っているから羽もつけてみましょうか。」
島風「おぉ~絶対似合う!」
古鷹「あぅあぅ。」
カランカラン
またお客さんが来る。
天龍「邪魔するぜ~。」
島風「あ、たいちょー!いらっしゃいませ!」
天龍「んぁ?何してんだお前、そんな格好して。」
古鷹「きょうは加古の代わりにお手伝いしてくれてるんです。」
天龍「へー、けっこう様になってるな。」ポンポン
かるく頭を叩く。
島風「も~、やーめーてーよー!」
どこかの軽巡ではないが髪形が崩れ反抗するも嬉しそうだ。
天龍「なんだ、姫も居たのか。」
離島「・・・何度いったら分るのかしら?私は“鬼”よ。」
天龍「へいへい、今日も一人か?」
離島「・・・。」
島風「たいちょーの鬼!」
天龍「は?鬼はコイツだろ?」
島風「そうだけどそうじゃなくて!」
離島「そうよ・・・私は一人・・・。」
先ほどより落ち込む。
古鷹「離島さん、天龍さんは悪気があって言ったのでは・・・。」
離島「古鷹ちゃんありがとう。でも事実だから・・・。」
島風「りっちゃんは友達が少ないことを気にして落ち込んでいるのに追い討ちをかけるなんて酷いよ!」
離島「・・・少ない。」グサッ
古鷹「島風ちゃん、それ・・・自爆・・・。」
天龍「けっ、そんなくだらねぇこと気にしてんのか。」
離島「下らないとはなによ・・・。」
天龍「別に少なくてもいいじゃねえか。」
離島「え?」
天龍「見せ掛けの友達が沢山居る、ってことも別に悪かぁねぇけど、俺はそんな友達よりお前みたいな親友が居ればいいと思う。ま、これは俺の感性だがな。」ナデナデ
離島「き、気安く触らないでくださるかしら///」キュン
島風(あ、堕ちた。)
古鷹(堕ちましたね。)
離島(夕さん(タ級)、貴女の言っていた意味が分ったわ。この方はとても大切にしたくなるってね。)
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時は遡り1年半ほど前のことである。
提督「わが鎮守府へようこそ。」
離島「・・・。」
笑顔で迎える提督に対しふくれっ面の離島棲鬼。
提督「そんな怖い顔をしなさんなって。」
離島「貴方達が攻めてこなければ怒らないわよ!」
提督「和平交渉に行ったら攻撃されるってどうよ?正当防衛じゃない?」
離島「数に物を言わせて力で脅す和平交渉なんて和平とは言わないの!」
深海との戦争が終結したものの本土より遠く離れた所で一匹狼を貫いていた。
自らは攻撃しないが近づくものには制裁を与える。
その場所は再開したばかりの貿易のルートにかすり重要であった。
不戦交渉するにも会話すら出来ず上層部は攻撃もやむなしとの判断を下し討伐令が出された。
と、言うものの終戦後直ぐでどこの鎮守府も疲弊していた。
それで比較的新人の俺のところにその役目が回ってきたというわけだ。
最初は通常編成の6人で向ったが火力の差に押され撤退。
続く二度目は聯合艦隊にて向うも被害甚大により中断。
やむを得ず深海側の協力を得て再度出港。
見事これを撃破し鹵獲するに至る。
離島「そもそも!北方様や南方様みたいな化け物相手に私が敵うわけないじゃない!それを知ってて交渉なんて反吐が出るわ!私はただ静かに暮らしたかっただけなのよ!」プンスカ
提督「だからそうするための交渉なんだろ?」
離島「嘘よ!私を捕まえてこのウス=異本みたいに酷いことする気なんでしょ!?」
砲撃で少し焦げた同人誌を見せ付ける。
提督「あ・・・それは・・・。」
離島「貴方の目論見なんてお見通しよ!」
提督「いや・・・その本の作者、ここに居るぞ?」
離島「・・・え?」
提督「今は遠征中で留守だが正にここの所属だ。」
離島「それは本当なの?」
提督「ああ。」
離島「なんでソレを早く言わないのよ!知ってたら降伏でも従属でもしたのに!」
提督「いや・・・まさかそっちの世界の人だとはおもわなんだ・・・。」
離島「それで・・・いつ戻ってくるのかしら?」
提督「4日前に出たばかりだから・・・20日後くらいだな。」
離島「し・・・仕方ないわね。先生が戻ってくるまでここに居てあげても良いわよ?。」フン
提督「お・・・おう。」
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あの時私は自分を見失っていた。
敵地のど真ん中で知り合いは誰も居ない。
深海棲艦同士だったとは言え一戦交えた直後、昔の知り合いとも険悪だった。
幸いにも個室を用意され艦娘達の目にも殆ど入ることなく生活できた。
朝起きて就寝まで会話はない。
そんな中一人変わった子が部屋に入ってきた。
島風「こんにちわ~。」
離島「!? 誰よ貴女、ノックぐらいしなさい!」
島風「お゛ぅ!? ごめんなさ~い。」
離島「なにしに来たのかしら?出て行ってくださる?」
島風「そんな固い事いわずに~。電報を持ってきたよ。」
離島「電報?」
島風「読むね。親愛なる私のファンの方へ。折角来てくれたのに留守で申し訳ない。」
島風「まさかそちら側にもファンがいるなんて予想もできなかったよ。私が描いたもので少しでも楽しい時間をすごせてもらえれば私も嬉しいよ。」
島風「あと10日ほどで戻るから今度ちゃんとお話しようね。」
島風「だって。」
離島「やはり先生は偉大だわ・・・一人ひとりを大切にしてくださるのね。」
感慨深い表情をする。
島風「ねぇねぇ、秋雲はどんな本を描いてるの?見せて見せて~!」
離島「秋雲・・・?先生の名前は秋雲と言うのね?」
島風「そうだよ!たまにオバサン臭い声をだすけれど可愛いし気が効くし面白いし一緒に居て飽きないよ。」
離島「そう・・・早く会いたいわね。特別に見せてあげるわ。」
島風「本当!?やったぁ!」
ベッドの下から鞄を取り出し吟味する。
離島「そうね・・・これにしましょう。」
島風「南太平洋で出会いを求めるのは間違っているのでしょうか? ・・・タイトル長いね。」
離島「これは先生にしては珍しいラブストーリーなの。それに同人作品とは思えない完成度に涙無しには読めなかったわ。」
島風「ふぅ~ん・・・。」
今の島風には愛だの恋には全く興味がそそられず惰性で読み始める。
1時間後
島風「・・・。」
離島「どうだったかしら?」
島風「ごめん、少し泣く。」
離島「ふふふ、意外と感受性が高いのね。」
島風「だってぇあんな困難を乗り越えて二人は結ばれたんだよ!泣かない訳ないじゃん!」
離島「そう・・・そうよね。思い出しただけでも泣いちゃうわ・・・。ねぇ、貴女の名前を教えてくださる?あなたとは話が合いそうね。」
島風「んぇ・・・。島風・・・島左近の島に風魔小太郎の風で島風。」
離島「なぜその選択?まぁ分るからいいのだけれど。私は離島棲鬼よ。」
島風「りとーせーき・・・?じゃありっちゃんだね。」
離島「りっちゃん?」
島風「長いからりっちゃん。いいでしょ~?」
離島「略せばいいってものじゃないのよ。そういう貴女はぜかましがいいところね。」
首からぶら下げているスマホケースにはしまかぜとひらがなで名前が書いてありそれを逆から読む。
島風「ぜかましじゃなぁ~い。島風!」
---
--
-
離島「なんてこともあったわね。」
島風「zzz」
採寸しつつ遊びに来て疲れ寝息を立てている島風を見つめ微笑む。
離島「明日は(洋服の)製作だし私もそろそろ寝ましょ、お休み。ぜかましちゃん。」
島風「だぁかぁらぁ・・・しまかぜぇだってぇ・・・ムニャムニャ・・・。」
川内「う~ん・・・この計算合っているのかな?」
参考書とノートを机に広げさえない顔でそれらとにらめっこをしている。
川内「大体なんで今更こんなのしないといけないんだろ・・・。」
その内容は砲撃に関してのものだ。
砲撃はただ撃てばいいというものではない。
目標との距離はもちろん、風の影響、重力、地球の自転など様々なものの力を加味して計算しなければならない。
勘というかセンスは抜群に持ち合わせていた彼女は目視しただけで命中することが多かった。
戦闘が滅多に起きない今だからこそ初歩的なことを忘れないようにと艦隊に支給されたのであった。
鉛筆を上唇にのせ不貞腐れていると・・・。
鈴谷「お、ちぃ~っす。何してんの?」
川内「んぁ・・・鈴やんか。この前渡された参考書を見ていたんだけど分からないところが多すぎて。」
鈴谷「ああそれ?だよねー、難しすぎるよね。」
川内「砲撃なんてばーっと撃って、どーんと当たって、アバーって感じだし。」
鈴谷「そうそう、当たればいいのよ当たれば。」
川内「鈴やんはもうレポート終わった?」
鈴谷「うん。渡された日に提出したよ。」
川内「嘘!?今難しいって・・・。」
鈴谷「難しかったけど計算とか面白かったし自然に終わってた。」
川内「ほへぇ~・・・見かけによらず頭良いんだね~。」
鈴谷「何を失礼な。この前の学科試験は重巡の中じゃトップだったんだからね。」
川内「ほんと?鳥海や妙高さんを差し置いて?」
鈴谷「その証拠にほら、賞品のモンブラン製万年筆。」
川内「すごい・・・。正直アホの子だと思っていたよ。」
鈴谷「ちょっとは言葉を選ぼうよ。せめて昼行灯とかさぁ・・・。」
川内「ごめんごめん。そだ、もし良かったら助太刀してくれない?私だけじゃ多分期限内に終わらないし・・・。」
鈴谷「ん~どうしよっかなぁ~。」
川内「お願い!この通り!」
鈴谷「・・・わかった。手伝う代わりに見返りはちゃんと出してね?」
川内「うん!」
鈴谷「商談成立だね。」
川内「あんまり高くないものなら何でもいいよ!」
鈴谷「そうだなぁ・・・じゃあ。」
川内「・・・(ゴクリ)」
鈴谷「川内の食後のデザート2日分、いささくよ!」
川内「・・・・・・えっ?なんて?」
鈴谷「・・・。」
川内「いささくよ?いささくよって言った?」
鈴谷「・・・。」
川内「せん・・・わたしのデザートいささくよ?」
鈴谷「・・・。」
川内「え、何。いささくよ?」
鈴谷「・・・。」
川内「いただくよじゃないの?」
鈴谷「・・・。」
川内「いささくよ!」
鈴谷「・・・。」
川内「えぇっ、いささくよ!?」
鈴谷「・・・。」
川内「えっ、ナニソレ~?」
鈴谷「大声で言わないで・・・。ちょっと噛んだだけでしょ・・・。」
川内「な、な、な・・・。本当は何て言いたかったの?」
鈴谷「・・・いただくよ。」
川内「いや、言ってないよ。」
鈴谷「・・・。」
川内「いささくよって言ったもんね。」
鈴谷「・・・もういいでしょ?」
川内「いささくよって、それはナイじゃん?」
鈴谷「・・・。」
川内「いささくよって・・・面白い?かみまみたじゃないんだからさぁ。」
鈴谷「・・・しつこいなぁもう!」
川内「いただくよって言えばよかったのに、いささくよって?」
鈴谷「うぐぅ・・・!」
川内「いささくよ~!」
鈴谷「煩いなぁもう!」
川内「鈴やんが言うからwww」
鈴谷「もう!そんなに言うなら手伝わないよ!」
川内「わーっ、ごめん!私が悪かった。分った、3日分デザート譲るから!」
鈴谷「・・・反省してる?」
川内「勿論!だから私のデザートいささいてください!」
鈴谷「してないじゃん!」
グラーフ「うぅ。噂には聞いていたが日本の季節の移り変わりは速いな・・・今日は肌寒い。」
ほんの少し前まで猛暑でうな垂れていたかと思うと今は暖かさが恋しくなる。
グラーフ「こんな日には炙ったスルメと酒で晩酌するのが一番だ。」
酒を飲む姿を想い涎が少したれる。
グラーフ「おっと・・・。」
夕飯にはまだ早いが食堂へと足早に舵を取ったとき、聞きなれた声で呼ばれた。
?「おーいグラーフ姉さまぁ!」
グラーフ「ん?この声はゆーちゃ・・・ン゛ンンンッ!?」
?「ほぇ?」
振り返るとそこには日焼けした少女が立っていた。
グラーフ「だ、誰だ貴様は!?」
?「誰って・・・ろーちゃ・・・。分かりました、姉さまは私のことを試そうとしてるんですよね、ね!」
グラーフ「い、いや。私の記憶だと初対面のはずだが。」
?「もー、そんな意地悪よくないですって!」プンスカ
グラーフ「意地悪で言っているつもりはないのだが・・・。(いや、声は確かにゆーちゃんだが・・・こんなに明るい性格だったか・・・?)」
?「せっかく姉さまの為にチボーのコーヒー買ってきたのに・・・。」
グラーフ「なに・・・?私がなぜそれが好きだと分かるのだ?」
?「本当に私が分からないの?」
グラーフ「・・・すまんが。」
?「Unterseeboot-524ですって・・・。」
グラーフ「・・・憧れの軍人は?」
?「マルセイユちゃん。」
グラーフ「・・・すまなかった。だ、だが容姿が変わりすぎじゃないか?向こうにいたころはもっと色白で・・・。」
?「日本の夏を甘くみていましたって。でも楽しかったです、はい!」
グラーフ「そ、そうか。今はどこに所属しているのだ?」
?「ここ。」
グラーフ「うん?」
?「今日からここでお世話になります。よろしくです!」
グラーフ「う、うむ。呼び名は・・・ゆーちゃんがいるから・・・うーちゃんか?それだと卯月と被るな・・・。」
呂「ろーちゃん!呂号第五百潜水艦だからろーちゃんですって!」
グラーフ「なるほど・・・ろーちゃんか、悪くない。ゆーちゃんに連絡はしているのか?」
呂「ううん、まだ。驚かせようと思ってしてないよ。」
グラーフ「そうか。今は遠征帰りで自室で休んでいるはずだ、案内しよう。」
呂「いいの?ダンケダンケ♪」
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--
-
グラーフ「ここだ。」
呂「にしし。」
グラーフ「時にろーちゃん。そのバズーカはどこから?」
呂「前居たところから持ってきました、はい!」
グラーフ「そうか。(今頃数が合わないと大騒ぎだろうな。)」
呂「それでは、突撃します!せーのー・・・。」
グラーフ「・・・。」
呂「お姉ちゃんおはよう、ですって!」
部屋に突入し手にしていたそれをぶっ放す。
グラーフ(ああ、顛末書ものだな。)
511「ひゃ!?て・・・敵襲?」
空砲だが音はすさまじくベッドから転げ落ちる。
呂「ぐーてんたーく。お姉ちゃん♪」
511「え・・・グラーフさんと・・・誰?」
呂「もーお姉ちゃんもそんなこと言うの?妹のろーちゃんですって!」
511「・・・。」
説明してほしそうに見つめられる。
グラーフ「ゆーちゃん。この子は正しく君の妹でU-524だ。イメチェン(?)とやらをしたみたいだが。」
呂「ですです♪」
511「じゃあ好きな食べ物は?」
呂「う~ん・・・いっぱいあるけど一番は納豆!葱が入ってるの!」
511「・・・本物だ。久しぶり。」
呂「うん♪」
グラーフ(確かにゆーちゃんも納豆好きだったな。確かひきわりは特に。)
511「しばらく見ないうちに随分と雰囲気変わったね。」
呂「でしょでしょ?休暇で日焼けしちゃいました。」
511「そっか。今日は遊びに来たの?」
呂「ううん。ここへ転属になりました、はい!」
511「そう。よろしくね。」
呂「うん♪」
グラーフ「ところでろーちゃん。ここのアトミラルに挨拶は?」
呂「はっ、忘れていました!」
グラーフ「だろうな。執務室へ用があったのだが一緒に行くか?」
呂「はい、行きます!」
グラーフ「ゆーちゃんはどうする?」
511「ご一緒します。」
グラーフ「わかった、では行こう。」
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-
コンコンコン
グラーフ「アトミラル、グラーフだ。入ってもいいかな?」
提督「うん?どうぞー。」
グラーフ「失礼する。」
呂「しつれいします!」
511「失礼します。」
提督「・・・あれ、君は?」
呂「ろーちゃんです!」
提督「・・・?」
511「ちゃんと自己紹介して。」
呂「ぶぅ・・・。呂号第五百潜水艦です。今日からここでお世話になりますって。」
提督「呂号潜水艦・・・。ちょっと待て。」
呂「・・・?」
提督「確かに辞令は届いているが明日付けだぞ?」
グラーフ・511「・・・。」
呂「・・・ジレイ?ナニソレオイシイノ?」
グラーフ「急に片言になったな。」
511「追い返すの?」
呂「ふぇ!?ろーちゃんは要らない子ですか!?」
提督「待て待て、誰もそんな事言ってないだろ。まぁ来てしまったのは仕方ない。ここを我が家だと思ってくれて構わない、ようこそわが鎮守府へ。」
呂「えっと・・・不束者ですけどよろしくおねがいしますっ!」
511「よろしくおねがいします。」
提督「ああ。ろーちゃん、って言ったかな?生まれはドイツと書いてあるがゆーちゃんとは知り合いなのかな?」
呂「知り合いもなにもお姉ちゃんですって!」
提督「ふむ・・・随分と見た目も性格も違うな。」
呂「日本に来てビビビってインスピレーションを受けました。とっても楽しい国ですね!」
提督「・・・変な所を吸収したな。」
呂「?」
提督「いや何でもない。あぁそうだ、部屋を決めないとな。ゆーちゃんと武蔵ちゃんが良ければ3人一緒の部屋にしたいがどうだ?」
511「うん、ゆーは良いよ。」
呂「武蔵ちゃんって?」
グラーフ「ゆーちゃんの恋人・・・かな?」
呂「お姉ちゃんに恋人が居るんですかっ!?」
グラーフ「彼女は戦艦で背丈は私より幾分か低いがここでは一、二を争う実力の持ち主だ。おまけにカッコいい。」
呂「ほへぇ~、早く会ってみたいです!」
提督「そうだなぁ、あと30分もすればお使いから戻ってくるだろう。ここで待つか?」
コンコンコン
武蔵「提督よ、戻ったぞ。」
提督「その必要はなくなったな。入ってくれ。」
武蔵「ああ、頼まれていた朱肉だぞ・・・ってどうした皆で集まって。」
提督「武蔵ちゃんに紹介したい子が居てな。」
武蔵「む?」
呂「ろーちゃんです!お姉ちゃんがいつもお世話になってますって!」
武蔵「ということはユーの妹君か。こちらこそいつも助けられている、よろしく頼むぞ。」
呂「はい!武蔵ちゃんとは他人という感じがしがしませんね!」
提督・グラーフ(色的に・・・か。)
511「初対面で失礼だよ。」
武蔵「いや気にするな。ユーに似て可愛らしい子じゃないか。」
511「あう///」
呂「お姉ちゃん赤くなってますね!」
グラーフ「ゆーちゃんは恥ずかしがりやだな。だがそこがいい。」ムフー
提督「分る。」
511「からかわないでください///」
この後鎮守府内ではゆーちゃんが分裂したと大騒ぎになったがそれはまた別の機会にでも。
サラトガ(サラ)「・・・本当に綺麗な所ね。」
鎮守府本庁舎最上階の部屋から海を眺める。
そこから見える海は水平線まで青く輝き心を奪われる。
龍驤(RJ)「窓辺に咲く一輪の花。っちゅーとこやね。」
サラ「え・・・?」
この部屋の片隅のソファで横になっていた彼女に気付かず声をかけられて驚く。
開いていた窓からのそよ風に髪と真っ白な服が靡き比喩する。
RJ「良い眺めやろここ?」
サラ「そう・・・ですね。あっ、sorry.起こしてしまいましたか?」
RJ「大丈夫やで、そろそろおきなアカンと思ってたからね・・・んしょ、っと。」
足を上げてから振り下ろしその勢いで立ち上がる。
RJ「ここであったのも何かの縁や、暇なら一緒にお茶でもどう?」
サラ「えっと・・・ではお言葉に甘えて。」
RJ「そうか、じゃちょっち座って待っててな~。」
サラ「・・・。」
この部屋は普段は使われない空き部屋となっていたが今は龍驤の私物が結構おいてある。
最上階と言うこともあり態々誰かが利用するでもなく文句を言うわけでもなく、人が住まない家は傷むではないがどうせ使わないならと提督の許可を得て倉庫としていた。
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-
RJ「ほい、おまちどーさん。インスタントしか用意できひんかったけど堪忍な。あとビスケットや。」
サラ「・・・ありがとうございます。」
RJ「・・・。」
サラは目を合わせようとはしない。
RJ「・・・なぁサラちゃん?」
サラ「・・・なんでしょうか?」
RJ「サラちゃんがここに来てもう3ヶ月経ったかな?」
サラ「そう・・・ですね。昨日でちょうど3ヶ月になりました。」
RJ「遠い異国に来て色々大変やとおもうけど慣れたん?」
サラ「ええ・・・皆さんにとても親切にしてくださいますしここが好きになりました。」
RJ「そっか・・・、それは良かった。」
サラ「・・・。」
RJ「もう一つええ?」
サラ「はい・・・?」
RJ「サラちゃんもしかしてあのことまだ気にしてるん?」
サラ「・・・ごめんなさい。」
RJ「別に責めるつもりで聞いておらんし、そんな顔せんでもええで。」
サラ「でも・・・龍驤さんを傷つけてしまったことかわりないわ・・・。」
RJ「あん時はお互い自分の国の為に戦っただけやし、それでどっちが悪いとか言うのはお門違いやと思うんや。」
サラ「・・・龍驤さんは強いのね。」
RJ「ウチが?」
サラ「ええ。私達の国民性的にI will pay you back double・・・やられたらやり返せ、みたいなものがあって龍驤さんはそう思わないのかしら・・・?」
RJ「あんなぁ・・・。誰がサラちゃんみたいなエエ子に仕返しすんのよ?」
サラ「え・・・?」
RJ「そんなん奴おったら司令官が悲しむし、ウチが絶対に許さへん。」
サラ「龍驤さん・・・。」
RJ「それにな、ウチのことは龍驤と呼んでくれへんか?」
サラ「what?」
RJ「サラちゃんはウチの大切な仲間や。いつまでも他人行儀なんは嫌なんよ、だからね?」
サラ「・・・うぅ。」
RJ「ちょ!なんで泣くん!?」
サラ「ごめんなさい・・・私・・・嬉しくて・・・。」
RJ「・・・ほんと手の焼ける後輩やね。」
グラーフ「・・・しかし日本の梅雨と言うものは長くて気が滅入るものだな。」
窓から空一面に広がる黒みがかった雲を見つめる。
Bep「そうかい?私は雨は好きだけど。」
グラーフ「ほう、あれか?侘び寂びとか言う。」
Bep「んー・・・それとは違うような。雨の音が心地よくてね、なんだか癒されるんだ。はい、ページワン。」
グラーフ「なに!むむむ・・・出せるカードがないな。」
山場から2枚トランプを引きダイヤのAを場に出す。
グラーフ「ヴェルが持っているカードの柄は・・・・・・いやアレか?ふふ、これは持ってはおるまい!」
自信満々で出したカードはクラブのQ。
Bep「ノーサイ、私の勝ちだね。」
こちらも満面の笑みでクラブのKを出す。
グラーフ「Scheiße!やられた・・・!」
Bep「これで私の14連勝、まだやるかい?」
グラーフ「ああ勿論だ!」
コンコンコン
Bep「開いてるよ。」
ガングート(Га)「やぁ同志、それと伯爵。」
Bep「Ган姉さん如何したの?」
Га「なに、故郷から良い酒が届いたからお裾分けしようと思ってな。」
Bep「ほう・・・これはなかなか、спасибо.」
Га「伯爵にはこれを渡そう。」
グラーフ「Danke.ポテトチップスとは粋だな・・・ん?この赤い粒は何だ?」
Га「Икраだが?」
グラーフ「いくあ・・・?」
Bep「イクラだよ。鮭の卵だね。」
グラーフ「なっ・・・魚卵だと!う・・・美味いのか?」
Га「勿論だとも。」
グラーフ「そ、そうか。後でいただくとしよう・・・。」
Га「ふふっ。」
グラーフ「何が可笑しい?」
Га「いや、先の大戦で敵対していた者同士がこうやって会話するなど夢にも思わなかったからな。」
グラーフ「・・・そうだな。深海の者たちとも今では盟友になれて感慨深いものだ。」
Га「それにこの体になれていい事があった。」
グラーフ「それは?」
Га「こうやって可愛い同志を抱けるからな。」
Bep「わっ!」
以前グラーフに抱かれたようにぬいぐるみに抱きつくかのように腕の中に収める。
グラーフ「おい!」
Га「どうした?」
グラーフ「ヴェ・・・ヴェルに抱きついていいのは私だけだぞ!」
Га「・・・?」
Bep「何言ってるんだお前は・・・みたいな顔してるね。私も同意はするよ。」
グラーフ「ぐぬぬ・・・!そういえばさっきГан姉さんって・・・、どういうことだヴェル!?」
Bep「どういうって・・・あちらでも長い間お世話になったし親しみを込めてね。」
Га「血は繋がっていないが私の可愛い妹分だ。」
グラーフ「なっ・・・なっ・・・!私の事は余り姉さんと呼んでくれないではないか!」
Bep「そうかい?」
Га「ふふっ、私の方が姉に相応しいと言うことだな。」ドヤァ
グラーフ「なんだと貴様!私を差し置いてヴェルの姉だと!?はっ、冗談も休み休み言うのだな。」
Га「冗談?事実だろう?」
グラーフ「・・・よろしい、ならば戦争だ!」
Га「戦争?いや、戦争にはならないだろう?どう見積もってもジャガイモ艦隊など私一人で十分だ。」
グラーフ「なっ!?我がドイツ海軍を愚弄する気か!?」
Га「なに、愛称だよ。私達のことはそうだなぁ・・・まぁピロシキ艦隊とでも呼んでくれ給え。今度ご馳走するぞ。」
グラーフ「うむ・・・・・・って違う!まぁ私も内輪揉めなどしたくはないがここは(姉としての立場)譲れない。何かしらの勝負をしようではないか。」
Га「それならまぁ良いか。内容は任せよう。」
グラーフ「・・・・・・ヴェルの。」
Га「ん?」
グラーフ「ヴェルの良い所を多くあげた方が勝ち、と言うのはどうだ?」
Bep(・・・え?)
Га「・・・それなら平和的で問題ない。まず私からだ。ヴェルは髪が美しい。」
グラーフ「・・・そうだな。絹のように滑らかで触っていて飽きない。あとヴェルは良い香りがする。」
Га「ああ。赤ちゃん、とまではいかないがこう・・・良い感じだ!私の願望としてはあの太ももに挟まれたい。」
グラーフ「おぉ!その気持良く分るぞ。駆逐艦だが成長途中の程よい肉付きが堪らない。言うまでもないが顔が可愛い。あれは何を着せても似合うぞ。」
Га「確かに、ゴスロリやメイド服、黒いロングコートとかが似合いそうだ。外見もそうだが内面もすばらしい。あの歳ながら周囲への気遣いはできるし仕事への取り組みも真面目だ。」
グラーフ「私達も見習う部分があるな。ところでヴェル、昨日の報告書だが・・・ヴェル?」
Га「おや、一体どこへ・・・?」
二人が気付くとそこにはヴェルの姿は無かった。
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Bep「・・・姉さん達のばか///」
扉の前で顔を真っ赤にして屈んでいたと某重巡が誰かに言ったとか言わないとか。
提督「・・・さてと、期末報告書はこれで最後だな。」
提督「もうこんな時間か、明日も早いしさっさと風呂にでも入って寝るとしますか。」
時計の針は22時を過ぎ夜の執務室は静まり返っている。
そこへ
コンコンコン
ノックの音が響く
提督「んぉ?」
ポーラ「提督ぅ、まだ起きてますかぁ?」
提督「その声はポーラか。起きてるから入っていいぞ。」
ポーラ「Mi scusi.お邪魔しまぁす。」
提督「どうした、急ぎの用事でも?」
ポーラ「急ぎ~ではないですけどぉ来ちゃいました。」
提督「うん?」
ポーラ「はい提督。」
提督「お、なんだ?」
小洒落た紙袋を渡される。
ポーラ「実はイタリアから届いたチーズですぅ。日本ではシンネーンの挨拶に食べ物が必要だと聞きましたぁ。」
提督「ああ・・・うん。まぁ間違ってはないが必ずしも食品でなくてもいいんだ。洗剤とか雑貨でも。」
ポーラ「そうなんですかぁ、一つ勉強になりましたぁ。」
提督「それはそうとありがとうな。そうだ、お返しと言ってはなんだが、日本酒は好きか?」
ポーラ「ん~ニホンシュー↑に限らずお酒だったらなんでも好きですよぉ。」
提督「実家から箱で送られてきたんだが俺は日本酒が飲めないからやるよ。」
ポーラ「本当ですか、 Grazie tante! 早速のんでみてもいいですかぁ?」
提督「おう、好きにしてくれ。」
ポーラ「じゃあお言葉に甘えて~。」キリキリ
提督「ちょ、ここで呑むのかよ!?」
ポーラ「好きにしてくれって言ったじゃないですかぁ。いただきまぁす~♪」
提督「一本だけだぞ。」
ポーラ「Sì ~・・・提督ぅ?」
提督「ん?」
ポーラ「これ、本当に日本酒ですかぁ?なんだかchampagneみたいにシュワシュワしますぅ。」
提督「ああ間違いなく日本酒だ。今はやりの発泡性らしいが。」
ポーラ「初霜さんに貰ったニホンシューとは違った雰囲気ですけどこれも美味しいですぅ。」
提督「そりゃあ良かった。チーズ食べるか?」
ポーラ「No.それは提督にあげたものなので頂けません~。」
提督「お、意外に義理堅い。」
ポーラ「義理堅いってなんですかぁ。ポーラだって見かけよりはしっかりしてますぅ。」
提督「そうかそうか、そりゃあスマン。」
ポーラ「むぅ~。」
提督「・・・。」ジー
ポーラ「なんですかぁ、ポーラの顔に何かついてますかぁ?」
提督「・・・ん、いや。よく見るとポーラって黙ってれば美人だな。と思って。」
ポーラ「もぉ~煽てても何も出ませんよぉ///」
提督「まぁ酒を飲めば残念になるけどな。」
ポーラ「そ~なんですぅ、お酒を飲んだら・・・って、じゃあポーラはいつも残念なんですか!?」
提督「まぁな。」
ポーラ「そんなぁ~酷いですぅ。」
提督「でもたまに“キリッ”っとしてるときは少しドキッとする。例えば遠征帰りとか。」
ポーラ「あれはぁ今晩なに呑むか考えてるんですぅ。」
提督「・・・聞かなければ良かった。」
ポーラ「もぅ怒りましたよ~ヤケ酒ですぅ!付き合ってもらいますよぉ!」
提督「だが断る!」
ポーラ「なんでですかぁ!?ポーラは一向にかまいませんよぉ。」
提督「俺は明日の朝早いの!酔っ払いには付き合えません~。」
ポーラ「ぐぬぬ・・・じゃあ一緒に寝ますぅ!」
提督「はっ?なんでそうなるの?」
ポーラ「こんな時間に部屋を抜け出したなんて姉さまにばれたら大変だからですぅ!」
提督(・・・そういえばこの前クレシン並にケツ叩かれてたな。)
提督「・・・仕方ない、毛布は貸すからソファでねろよ?」
ポーラ「え~絶対寒いですぅ。」
提督「毛布と言っても電気毛布だぞ。」
ポーラ「デンキー=モーフ・・・?聞いた事あります・・・あっ、Arma segretaの一つですね!」
提督「アルマ・・・なんだって?」
ポーラ「ヒミツー=ヘイキーですぅ。ドイツの方の部屋にもありましたぁ。」
提督「あぁ・・・この前ビスマルクにせがまれて通販で買ってやったんだ。」
ポーラ「いいなぁ~。ポーラも欲しいですぅ。」
提督「いやこれ結構値段が・・・。」
ポーラ「駄目ですかぁ・・・?」ウルウル
提督「・・・用意します。」
ポーラ「やったぁ!提督ぅ大好きですぅ!」ダキ
提督「あーこらっ、抱きつくなぁ!」
後日、希望者には越冬対策のため電気毛布が支給されたとか。
扶桑「では今回の主任(ネームシップ)会議はこれにて閉会となります。皆さんお疲れ様でした。」
定期的に開催される会議(女子会)も無事に終わり各々の部屋へと戻る。
睦月「じゃあね吹雪ちゃん。」
吹雪「うん、また今晩ね。」
なにやら夜に会う約束をしていたらしい。
吹雪「・・・はぁ。」
陽炎「んー、溜息なんかついてどうしたのぶっきー?」
吹雪「なんだ陽炎ちゃんか・・・。」
陽炎「なんだって何よ、声かけちゃいけないわけ?」
吹雪「ふぇ!?ううん、そうじゃなくて・・・。」
陽炎「・・・?何か困ってるの?」
吹雪「うーん困っては・・・いないけど・・・。」
陽炎「・・・はっきりしないわね。そうだ、もうすぐお昼だし向いのファミレスに行かない?」
吹雪「え、でも・・・お給料日前でちょっと厳しいかなって・・・。」
陽炎「それじゃあ私が奢ってあげるわよ。」
吹雪「え~悪いですよぅ。」
陽炎「遠慮しない遠慮しない。宝くじが当たって臨時収入あったからモーマンタイよ。(まぁ雪風に買ってもらったんだけどね。)」
吹雪「・・・じゃあお言葉に甘えようかな・・・。」
陽炎「そうと決まれば混む前に急ぐわよ!」
吹雪「わっ!?」
腕を掴まれ全速力でダッシュする。
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カランカラン
店員「いらっしゃいませー。何名様ですか?」
陽炎「2人よ、禁煙席おねがい。」
店員「畏まりました、ではこちらに。」
一番奥の席に案内されメニューを受け取る。
店員「御注文はそちらの電鍵を使いモールス信号にてお願いします。」
陽炎「分かったわ。さぁ好きなものを選んでちょうだい。」
吹雪「うん。わぁ、うちの食堂にないメニューも多いね。」
陽炎「聞いたことない料理もあるわね。」
吹雪「おっと・・・よう・・・むし?(芙蓉蛋)たまご焼きかな?」
陽炎「そうじゃない?ほら隣の天津飯にも同じものが乗ってるわよ。」
吹雪「ほんとうだぁ、餡が美味しそう。」
陽炎「ねえ知ってる?天津飯って中華料理はないらしいよ。」
吹雪「へ、そうなの?」
陽炎「諸説はあるけど大阪か東京の料理人が考案したとか聞いた事があるわ。」
吹雪「そうなんだぁ、陽炎ちゃん物知り~。」
陽炎「いやぁそれほどでも~。あっ、このうな重おいしそう。」
吹雪「ほへぇ、国産だけあって高いねぇ。」
陽炎「でも専門店の半額位じゃない?たまには奮発して美味しいもの食べて精力をつけるとしますか。ぶっきーは天津飯でいいの?」
吹雪「うん、あと・・・。」
陽炎「うん?」
吹雪「この・・・チョコレートパフェも・・・食べたいかな・・・って。」モジモジ
陽炎(なにこの可愛いの。)
吹雪「・・・やっぱりなんでも---」
陽炎「モチのロンで頼んで良いわよ!」
吹雪「ふぁ!? あ、ありがとうございます。」キラキラ
陽炎(睦月ちゃんの気持ちが分かった気がするわ。)
陽炎「そ、それじゃあ注文するわよ。」
吹雪「うん♪」
陽炎(トントンツー・・・)
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陽炎「これでよしっと。ねえぶっきー?」
吹雪「なんですか?」
陽炎「さっきは何で溜息ついてたの?」
吹雪「え・・・なんでもないよ、ただ疲れただけだし・・・。」
陽炎「・・・。」ジー
吹雪「・・・あぅ。」
陽炎「嘘ね。」
吹雪「ふぇ?」
陽炎「目が泳いでるわよ、嘘をついてますって言ってるようなものじゃない。」
吹雪「うぅ・・・。」
陽炎「相談があるなら乗ってあげるから言ってみなさいな。」
吹雪「実は・・・。」
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陽炎「姉としての威厳がないねぇ・・・。まぁ確かにそうかも。」
吹雪「あぅ・・・。」グサ
陽炎「具体的には?」
吹雪「深雪ちゃんと初雪ちゃんは私の言うこと聞いてくれないし。」
陽炎「ふむふむ。」
吹雪「白雪ちゃんは何でもできてお手本にしたいし。」
陽炎「まぁね~。」
吹雪「浦波ちゃんは真面目で成績優秀だし。」
陽炎「うん。」
吹雪「磯波ちゃんは浦波ちゃんを慕ってるし。」
陽炎「あー・・・。」
吹雪「叢雲ちゃんはすぐ怒るし・・・。」
陽炎「そりゃツンデレでしょ?」
吹雪「他の子は音信不通だし。」
陽炎「・・・。」
吹雪「わたしなんておっちょこちょいでドン臭くてみんなからは芋っぽいって言われるし良いトコなんてないよぅ・・・。」
陽炎「芋・・・確かにねwww」
吹雪「あっ笑った!?酷いよ!」
陽炎「あはは、ごめんごめん。そんな怒んないでよ。」
吹雪「むぅ~・・・!」
陽炎「それにしても威厳ねぇ・・・。そんなの一朝一夕で身につくものじゃないし、誰かの真似でもしてみたら?」
吹雪「マネ?」
陽炎「うん、付け焼刃だけど少しは効果あるんじゃない?」
吹雪「う~ん、マネって誰の?」
陽炎「・・・年上の人?とりあえず順番に考えてみよう。」
吹雪「う、うん。」
陽炎「それじゃあ扶桑さんは?」
吹雪「扶桑さんか・・・。正直本当のお姉さんに欲しいかな・・・って。」
陽炎「ほうほう。」
吹雪「思いやりがあって気がきくし、容姿端麗でまるで聖女のよう・・・。」
陽炎「だね。」
吹雪「だけど病室で窓の外を儚げに見つめているようで凄く薄幸そう・・・。」
陽炎「分らんでもない。じゃあ山城さんは?」
吹雪「山城さんは・・・口ではああだこうだって言うけれど本当は優しいですよね。」
陽炎「うんうん。この前、時津風が扶桑さんの部屋に遊びに行ったとき始めは煩いって怒ってたらしいけどお茶とお菓子を出してくれたそうよ。」
吹雪「そういうところは叢雲ちゃんと似てるのかな・・・?」
陽炎「多分ねー。陸奥さんはどうよ?」
吹雪「・・・爆発サエシナケレバ良イオ姉サンダト思イマス。」
陽炎「なんで片言?」
吹雪「ナンデモナイデスヨー・・・。」
陽炎「・・・おーいぶっきー、戻ってこーい。」
吹雪「・・・はっ、私は一体・・・?」
陽炎「・・・スパさんの話でしょ?」
吹雪「えっ、そうだっけ?うーん、ウォースパイトさんかぁ・・・。姉と言うより女王様?」
陽炎「見た目がそうだもんね。この前不知火が“クッコロ”が似合いそうだとあきぐーと言っていたけど何のことだか分る?」
吹雪「さぁ?初めて聞いた言葉だよ。」
陽炎「そぉ、長門さんは?」
吹雪「うーん・・・あの決断力は凄いよねぇ。頼れる姉感があるけれど・・・。」
陽炎「けれど?」
吹雪「たまに身の危険を感じる・・・かな?」
陽炎「射程圏内か、ご愁傷様。」
吹雪「はは・・・。」
陽炎「じゃあ金剛さんはどう?」
吹雪「あぁ・・・お姉ちゃんの手本って感じだよね。そばに居るだけで安心できるし。だけど私にはマネできそうにないや。」
陽炎「そんなことないと思うけどなぁ。ぶっきーといると何かと楽しいし。」
吹雪「そう言ってもらえると嬉しいなぁ、へへ。」
うっほい!朝潮だぁ~!
はぁ…秋雲のクロッキーブックになりたい…
続きを期待しています!がんばって下さい。
お願いしてる立場なのに川内容赦なさすぎワロタ
野方様
川内は少しお馬鹿でお調子者だけど何故か憎めず逆に愛されキャラだと思います(`・ω・´)
読んでると安心感が出てくる