穂乃果「お父さんに喋らせよう!」
こち亀の両さんのように破天荒な性格の穂乃果ちゃんSS第4話です。※皆さんが知っている穂乃果ちゃんとはほぼ別人だと思ってお読みください。
(穂乃果の部屋)
雪穂「どうしたのさお姉ちゃん、いきなり部屋に呼び出したりして」
穂乃果「……雪穂、これからひとつの質問をするから正直に答えて貰える?」
雪穂「何?急に改まっちゃって」
穂乃果「これはね、答えによって私たち家族の絆を左右する重要な質問なんだ…」
雪穂「そ、そんなに?分かった、私も真剣に答えるよ!」
穂乃果「じゃあ訊くよ……」
雪穂「うん…」
穂乃果「雪穂はさあ………」
雪穂「…………」ゴクリ
穂乃果「………お父さんが喋ってるトコ、見たことある?」
雪穂「……………………は?」キョトン
雪穂「え、ちょ待って何それ?お父さんが……喋ってるトコ?」
穂乃果「そう…私よくよく考えたら生まれてこの方16年、一度もお父さんの声を聞いた覚えが無いんだよね…」ウーン
雪穂「イヤイヤそんなはず無いでしょ!確かにウチのお父さんはたまに生きてるのかどうか怪しくなるくらい静かだけど、さすがに喋ってるトコくらい…」
穂乃果「いやホントに無いんだって!雪穂はあるの⁉︎」
雪穂「あ、あるでしょさすがに‼︎」
穂乃果「へぇ…いつ?」
雪穂「それはほら、例えば……」
雪穂(3歳)『ぱぱー』トコトコ
穂乃果父『……………』(- _ -)/ ナデナデ
雪穂(6歳)『お父さん、かけっこで1位とったよー!』
穂乃果父『……………』(- _ -)b グッ
雪穂(12歳)『お父さん、明日の中学の入学式ちゃんと来てね?』
穂乃果父『……………』(- _ -)♪ ワクワク
雪穂(……………………)
雪穂(…………あれ……………?)
雪穂(無い……無いぞ⁉︎………えっウソでしょ⁉︎)
穂乃果「やっぱり雪穂も無いか…」
雪穂「いやまさかそんな……えぇ〜⁉︎」
穂乃果「動揺する気持ちも分かるよ…10年以上一緒に暮らしてる家族の声を聞いたことがないなんて、私も気づいた時は思わず宿題をする手が止まったよ」ウンウン
雪穂「は?お姉ちゃんが宿題なんかするワケ無いじゃん何サラッと嘘ついてんの」
穂乃果「そこはスルーしてくれよ…」
穂乃果「とにかく!これは私たち高坂家にとって見過ごせない重要な問題だと思うんだ!」
雪穂「うん、確かに思ったよりヤバい事態だね」
穂乃果「あっそうだ!お母さんならお父さんの声聞いたことあるんじゃない?」
雪穂「そうだね!てか絶対あるでしょ‼︎さすがに結婚した相手の声聞いたこと無いなんて…あり得ないよ!」
穂乃果「よしっ、早速訊きにいこう!」ドタドタ
穂乃果「お母さーん!お父さんの声って聞いたことあるよねー!」
穂乃果母「え?ないわよ」キッパリ
穂乃果「」
雪穂「」
穂乃果母「全く、当たり前じゃない…前からバカだとは思ってたけどまさかここまでバカな質問をしてくるとは思わなかったわ」ハァ
穂乃果「当たり前って何だ⁉︎……え、何コレ穂乃果がおかしいの?」
穂乃果母「そんなくだらない質問する暇があったら、勉強なり店の手伝いなり積極的にして欲しいものね」スタスタ
穂乃果「激しく納得がいかない…」
雪穂「とりあえず一旦部屋に戻ろう、お姉ちゃん…」
(穂乃果の部屋)
穂乃果「まさかお母さんですらお父さんの声を聞いたことが無かったなんて…」
雪穂「ココまでくるとそもそもお父さんが喋れるのかどうかすら怪しくなってきたよ…」
穂乃果「………よし、雪穂!なんとかしてお父さんに喋らせよう!」ビシッ
雪穂「ええっ⁉︎」
穂乃果「だって、一緒に暮らしてるのにお父さんの声を聞いたことがない娘なんて、色々と寂しすぎると思わない?」
雪穂「まあ、そりゃね…」
穂乃果「それにお父さんがいったいどんな声してるのかも気になるでしょ!」
雪穂「もちろん気になるけど…どうやって喋らせるの?」
穂乃果「ふっふっふ…私にお任せあれ!」ドン
………………
………
…
[作戦その1 驚かす]
雪穂「今、お父さん自分の部屋にいるけどどうするの?」
穂乃果「このヘビのおもちゃをお父さんの部屋の前に置いて…」ソッ
ヘビのおもちゃ「」←無駄にリアル
穂乃果「これでOK!部屋から出てきた瞬間大絶叫だね!」ウシシ
雪穂「思ってたよりベタだね……そりゃ私なら絶対驚いて叫んじゃうけど、あのお父さんがこんなんで驚くかなぁ」
穂乃果「物は試しだよ、私たちは部屋に戻って待っていよう!」スタスタ
雪穂「う〜ん…」スタスタ
(しばらくして…)
穂乃果「お父さん、そろそろ厨房で和菓子作る時間だから部屋から出てくると思うよ」
雪穂「どうなるかな…」ドキドキ
ギャアアアアアアーーーーッ‼︎
穂乃果「ーーっ‼︎聞いた今の?悲鳴だよ!」
雪穂「まさか…お父さんが⁉︎」
穂乃果「こんなに上手くいくとは……雪穂、見に行こうっ‼︎」ガチャ
雪穂「う、うん‼︎」タタタ…
穂乃果母「あ、あああ……‼︎ヘビ!ヘビぃぃぃぃぃぃ‼︎」ワナワナ
穂乃果「………」
穂乃果「なぁんだお母さんか…紛らわしいことしないでくんない⁉︎」
雪穂「お母さん大丈夫だよ、これおもちゃのヘビだから…」
穂乃果母「ひぃいい………って、おもちゃ⁉︎」
穂乃果母「…………おい穂乃果、これテメェの仕業だろ」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果(あ、これ何気にガチギレ?)ダラダラ
穂乃果母「くだらねぇことやってねーでさっさと勉強しろやゴルァァァァァァ‼︎」バキィッ!
穂乃果「ひでぶぅぅぅぅぅぅぅ‼︎」ドガシャーン
雪穂「お姉ちゃーん!」
穂乃果父「………」ガチャ
穂乃果「」ピクピク
穂乃果父「……………?」
(穂乃果の部屋)
穂乃果「いててて…あんなに怒らなくても」ヒリヒリ
雪穂「もう、しょうもない事するからだよ」
穂乃果「むやみに脅かしたのは悪かったけどさぁ、だからって実の娘の顔面に正拳突きしていいことにはならんでしょうが‼︎」
雪穂「マンガみたいに拳が顔にめり込んでたよね」
穂乃果「くっそ〜、今度こそお父さんに声を出させてやる!雪穂、次の作戦を実行するよ!」
雪穂(あ、まだやる気なんだ)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[作戦その2 辛いものを食べさせる]
穂乃果「ほむまんに激辛ソースを混ぜたよ!」
雪穂「それをお父さんに食べさせて反応をみるんだね」
穂乃果「そう!生半可な辛いもの好きでは絶対に耐えられない超超激辛ソースだから、間違いなく食べた瞬間大絶叫だね!」
雪穂「どうかなぁ…」
穂乃果「早速お父さんのいる厨房に置きにいくよ!」ダッ
(厨房)
穂乃果父「…………」←和菓子作り中
穂乃果(…よし、気づかれないように机の上に置いておこう)ソッ
雪穂(食べてくれるかなぁ?)ヒソヒソ
穂乃果(お父さんって意外とつまみ食いするタイプだから、置いときゃ食べると思うよ?)ヒソヒソ
穂乃果(じゃあ雪穂、私たちは居間で待機するよ!)ヒソヒソ
雪穂(う、うん…)ヒソヒソ
(しばらくして…)
穂乃果「うーん、そろそろ食べてくれてもいい頃なんだけど」
雪穂「何にも声がしないね…」
ギェェェェェェアアアアアッ‼︎
雪穂「あっ!悲鳴だ‼︎」
穂乃果「今度こそお父さんかな⁉︎行こう雪穂!」ダッ
穂乃果母「何よコレ‼︎辛い辛い辛いィィィィィィィッ!」ジタバタ
穂乃果「ってまたお母さんかよ!何回引っかかんのさ…」ハァ
穂乃果母「穂乃果……またあんたの仕業なのね?」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果(あ、これヤバいヤツや)ダラダラ
穂乃果母「さっきからマジ何なんだテメェはあああ‼︎産んでやった恩を忘れたかああああああああ‼︎」グルングルングルングルン
穂乃果「ぎゃあああああ!ジャイアントスイング‼︎ジャイアントスイングはやめてえええええええ!!!!!!」グルングルングルングルン
雪穂「お姉ちゃーん!」
穂乃果父「…………?」
(再び穂乃果の部屋)
穂乃果「うっぷ…回されすぎて気持ち悪い……」オェェ
雪穂「お姉ちゃんもう辞めない?これ以上やってもお姉ちゃんの傷が増えるだけだと思うんだけど…」
穂乃果「いーや!ここで辞めたらそれこそ今まで私の受けた傷が無駄になっちゃうよ!」
穂乃果「まだお父さん厨房にいるよね?今度はこれを置いてこよう!」スッ
雪穂「そ、それは‼︎」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
[作戦その3 エッチな本を見せる]
雪穂「いやいや、おかしいでしょ何ソレ!」
穂乃果「このエッチな本(無修正)をお父さんのトコに置いてくるよ!これを読めば興奮して声をあげること間違いなし‼︎」
雪穂「なんか作戦が雑になってきてない⁉︎これならさっきのヘビとか激辛ほむまんの方がまだ分かるよ⁉︎」
穂乃果「ゴチャゴチャうるさい!もしかしたらお父さんがとんだムッツリかもしんないじゃん、行くよ!」ダッ
雪穂(自分のお父さんがムッツリとか知りたくもないよ…)ハァ
(厨房)
穂乃果父「……………」←和菓子作り中
穂乃果(よし、エッチな本をこっそり机の上に置いて…)スッ
穂乃果(素早く撤退ッ!)ピュー
雪穂(私たち何してんだろう……)
穂乃果母「あなた〜?和菓子のほうはどんな感じ?」ヒョコッ
穂乃果父「………」(- _ -)b グッ
穂乃果母「そう、よかった……ってあら?」
エッチな本「」イヤーン♡
穂乃果父「⁉︎」(;゜0゜)
穂乃果母「………ちょっとあなた?何なのこの本」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果父「…………!」(゚o゚;;
穂乃果母「しかもこんな過激なのを…………覚悟は出来てるわね?」ポキポキ
穂乃果父「………‼︎」(・_・; ダラダラ
雪穂(ちょっとお姉ちゃん!なんかマズいことになってるよ、早くホントの事言ってきなよ‼︎)ヒソヒソ
穂乃果(イ、イヤだよ!そんな事したら私今度こそお母さんに殺されるって‼︎)ヒソヒソ
雪穂(その前にお父さんが殺されそうな雰囲気なんですけど⁉︎)ヒソヒソ
穂乃果母「死ねぇ!この変態親父っ‼︎」バキィッ‼︎
穂乃果父「ぐふぉぉっ‼︎」
雪穂「うわぁ止めなきゃ………って、あれ?」
穂乃果「い、今お父さん『ぐふぉぉっ‼︎』って………‼︎」
穂乃果母「こんな卑猥な本で一体なにを妄想してんだ、ケダモノめ‼︎」ドカッ! ズドォ!
穂乃果父「ゲホッ…ち、違うんだ母さん!それは俺の本じゃない‼︎」
穂乃果母「ウソつけ!この家には男はアンタしかいないんだよ‼︎穂乃果や雪穂がこんなモノ持ってるワケねぇだろうがあああ‼︎」ボカッ! バキャッ!
穂乃果父「ホントに知らないんだって‼︎助けてくれえええええええっ‼︎」
穂乃果「……………」
雪穂「……………」
(1時間後)
穂乃果母「ったく、これに懲りてもう二度とこんな本買うんじゃないよ⁉︎」スタスタ
穂乃果父「」チーン
雪穂「………」
穂乃果「………」
雪穂「お、お姉ちゃん……」
穂乃果「雪穂………」
穂乃果「いやったあああああああああああああああああ‼︎」バンザーイ
雪穂「お父さんがシャベッタアアアアアアアアアアアア‼︎」バンザーイ
穂乃果「やった、やったよ雪穂……私、あきらめないでよかった!」グスン
雪穂「最初はどうなることかと思ったけど、お姉ちゃんの頑張りを神様はしっかり見ててくれたんだね!」ウルウル
穂乃果「雪穂……!」
雪穂「お姉ちゃん……!」
穂乃果「雪穂ぉーーーっ‼︎」ダキッ
雪穂「お姉ちゃーーーんっ‼︎」ダキッ
アハハハハ ウフフフフ
穂乃果父「………おいお前ら」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果「あっ」
雪穂「お、お父さん……」
穂乃果父「そうか………これはお前たちのイタズラだったワケだな?」ゴゴゴゴゴゴ
穂乃果「お、お父さんってこんなドスの効いた声だったんだ……」ダラダラ
雪穂「怖い……」ダラダラ
穂乃果父「………どうやらお前たちには少しばかりお仕置きが必要なようだな」ポキポキ
穂乃果「うわぁぁぁ!暴力はんたーい‼︎」ワナワナ
穂乃果父「安心しろ俺も鬼じゃない、さすがに暴力をふるったりはせん」
ほのゆき「よかった……」ホッ
穂乃果父「その代わり…」スッ
穂乃果「それは…お店の制服?」
穂乃果父「2人とも、それを着ろ」
ほのゆき「………?」
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
(3日後 厨房にて)
穂乃果父「おらっ、まだ3日目だぞ!ちゃんと働け‼︎」ダンッ
雪穂「ひぃぃぃ!もう勘弁して〜‼︎」フラフラ
穂乃果「罰として1週間不眠不休で和菓子作りの手伝いなんて、身体がもたないよぉ〜‼︎」ゲッソリ
穂乃果父「泣きごとを言うな!ノルマの数を達成できなかったらもう1週間増やすからな‼︎」
ほのゆき「そ、そんなぁ〜‼︎頼むからいつもの無口でおとなしいお父さんに戻ってよぉ〜〜〜‼︎」ウワーン
END
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