2015-08-31 00:45:42 更新

概要

由比ヶ浜が居眠りしているヒッキーに
あれこれするハートフルなSSを作るつもりが
こんなアホなSSになってしまいました。


良かったら読んでください。


※※※※※※


二月に入ってしばらくのこと。


生徒会長の思いつきに振り回されつつも、

なんとかフリーペーパー作成の修羅場を乗り越えた比企谷八幡。


しかし、その顔は依然浮かばれない。

元より腐っていた目は、さらなる濁りに覆われている。


特別校舎の奉仕部に至る廊下は、この時間薄暗く、

生徒の数も少ないためか、一層暗鬱な気配を漂わせていた。


彼は非常に疲れているのだ。


傍らで心配そうに見つめるのは由比ヶ浜結衣。


放課後、奉仕部までの道程、二人きりの僅かな逢瀬を楽しみにしている彼女だったが

今日に限って、普段の快活さは鳴りを潜めている。


会話も少なく、時折視線をあらぬ方に向ける。

気まずげに貼り付けた笑顔は、明らかに引け目を感じてのものだった。


わずかに建て付けの悪い奉仕部の扉を前に、仕切りなおすように、

あるいは誤魔化すように、彼女はいつものように勢い良く扉を開ける


「やっはろー!ゆきのーん!」


「……うす」


「先輩、おっそーい!」


最初に出迎えた声は、先日、奉仕部(主に八幡)をさんざん振り回し、

汚泥のように濁ってしまった目の原因の一端とも言える人物。


生徒会長――

一色いろはだった。


「いろはちゃんも、やっはろー!」


「こんにちはー、結衣先輩」


「いや、だから、なんでお前いんだよ……」


すっかり奉仕部に馴染んでしまった後輩を、通常仕様より何割増かのジト目で睨みつけつつ、

八幡は椅子に倒れこむように腰掛けた。


いつもならここでおもむろに文庫を開くところだが、今日は長机に椅子を近づけると、そのまま突っ伏してしまう。


つれない態度と相まって、わずかに自分の領土を侵犯された一色は、

うつ伏せになった八幡の頭頂を不服そうに睨みつけ、ぶーっと頬を膨らませる。


「こんにちは、由比ヶ浜さん」


窓際の定位置。文庫本をぱたむと机の上に置き、

奉仕部部長・雪ノ下雪乃は柔らかな笑顔で快活な同僚を迎える。


入るや否や机に突っ伏した八幡にも、にこやかに目を細め女神のような面持ちで言葉をかける。


「こんにちは比企谷くん、ろくに挨拶もできないのはいつものことだし、

態度が劣悪なのも普段通りだけど……目がいつも以上に腐っているのは看過できないわ。

机が腐食しなければいいのだけど……」


要するに、腐った目をどうにかしろというお達しであったが、八幡にも言い分が合った。


「……お前、俺にだけ押し付けて、よくもまあ、いけしゃあしゃあと言えたもんだな」


顔を上げ、じとっとした視線を向けながら恨み言を吐く。

それまで何処か楽しげだった雪ノ下も、思わず視線を逸らす。


「はぁー、なんだかお疲れのようですね、

先輩。フリーペーパーの締め切りの時より、目が淀んでるように見えますよ?」


「あー、あはは……」


一色の視線を受けて、バツが悪そうに視線を泳がせる由比ヶ浜。


「もしかして、あの後何か依頼でもあったんですか?」


「そ、それがさー……」


「察しがいいな一色、あったんだよ……依頼が!」


珍しく会話に割り込んだ八幡は鞄からゴソゴソと紙束を取り出し、長机にベベンと叩きつける。


「えーと、これって原稿用紙……ですか?」


「あのフリーペーパーの依頼を終えたすぐ後だ、材木座が妙にやる気を出しちまってな……

急に三本も小説を書き上げて俺らに感想を求めてきたんだよ!」


叩きつけた紙束は三つ。それぞれ山型クリップに止められている。


「俺が材木座の原稿を受け取った時、さっきまでいたはずだった二人は既に俺を置いて帰っていた…

この絶望がお前にわかるか!?俺は、俺は、こんなくだらないものを昨日は徹夜で3本も読んで……」


「へー」


一色は取り出したる鏡を見ながらファンデーションをぽむぽむと叩き、生返事を返す。


後輩の材木座に対するあまりの興味の無さに戦慄しつつ、八幡は引き続き雪ノ下を睨みつける。


「一束ぐらいは負担してくれても良かったんじゃないですかねぇ……」


「だ、だって、あの時は疲れていたもの」


眉をひそめ恥じらいつつも、その内容は身も蓋もなかった。


「で、でもでもっ!中二の担当はヒッキーって決まってるし!」


「……誰が決めたんだよそれ……、まあとにかく、そういう訳なんで目が腐っててもしょうが無い。

社会、もといお前らが悪い。俺は寝る。文句は言わさんぞ」


再び突っ伏すや否や、寝息を立て始める。


「もう寝ちゃってる……、ヒッキーよっぽど疲れてたんだね。部室で寝るのはちょっと珍しい光景かも」


「ブツブツ文句を言いながら、なんだかんだで、いつも真面目に働くものね……

今回ばかりは私達もあまり強くは出られないし、今日は部活が終わるまで寝かせておいてあげましょう」


「そ、そうだねっ、依頼もそんなに立て続けには来ないだろうし……」


寝ている八幡の肩にストールを優しく被せ、雪ノ下は読書を再開する。


暖かくなったことで気が緩んだのだろうか。


うつ伏せだった八幡は座りの良い位置を求め首を横に傾ける。

その寝顔はちょうど由比ヶ浜に向けられた。


「わ……」


思わず鼓動が高まる。


普段は目が余りにも腐りきっているので思いもよらないが、このように瞼が閉じられていると端正なようなそうでないような……


なんとなく雰囲気イケメンっぽいような、別にそうでもないようななんかそんな感じのものが浮き彫りになる。


何より普段の毒気が消え失せた、あどけない顔貌が新鮮で胸を打つ。



「なんか先輩って、寝顔はすごく可愛いんですねー……」


いつの間にか、一色も席を変え、由比ヶ浜の隣で八幡の寝顔をほーとかへーとか言いつつ鑑賞している。


「騙されてはいけないわ。その男の普段の目があまりに腐食が進んでいるから、

ギャップで加点が大きく見えているだけ……

ヤンキーが下校時、子猫にヘルメットを傘代わりに与えているようなものよ」


「いや、雪ノ下先輩……ヤンキーて……」


「ゆきのんも見てみなよ!ヒッキーの寝顔かわいいって!」


「わ、私は別に……」


頬を染めつつ読書に戻るが、視線はチラチラと八幡の方に向けられている。


沈黙。


カチカチと秒針の刻む音と、時折八幡が漏らす寝息のみが部室内に響く。


何かのスイッチが入ってしまったのだろうか。

もはや耳まで顔を赤く染めていた由比ヶ浜が、誰にともなく提案した。


「ね、ねぇ、ヒッキーにいたずらしちゃおうっか……?」


これが端緒となる。

まさかあのような悲劇が起こるとは、今の彼女たちには知る由もない。


とまれ、カーニバルの幕は開いた。



*********************



「面白そうですねー!やりましょう、今すぐやりましょうっ!」


もちろん真っ先に食いつくのは一色である。


作為で塗り固められた笑顔だが、しかし目だけは笑っておらず

獲物を前にした猛禽類のごとくぬらりと妖しく輝いている。


だが由比ヶ浜の視線は先程から、がっちり八幡の寝顔に張り付いており、そのことに気づかない。


普段から周囲を警戒している八幡が、かほど無防備に寝顔を晒すのは珍しいのではないか。


教室で寝ている姿をよく見るが、それは寝た振りであったり、あるいは本当に寝ているときも、

机に突っ伏しているため、寝顔を窺い知ることはできない。


千載一遇のチャンスに由比ヶ浜の期待は最高潮に達していた。


「ど、どうしよう!?私達なにやったらいいのかな?今しかない!

あんなヒッキー初めて見たから……!だから今やらなきゃ!」


「お、落ち着いてください結衣先輩……あ、そうだ、こういうのはどうです?」


若干引き気味になった一色だが、なにか閃いたのか、鞄からノートを取り出し、何枚かを剥ぎ取る。

定規を使ってさらに細かく千切っていく。


「この紙にですね、いたずらの内容を書いていくんですよ。そして、折りたたんでこの箱に入れていきます。……よいしょっと」


説明しながら部室の隅から取り出したるは、クリスマスイベントで使わなかった抽選箱だ。

どっこらっしょと長机の上に置く。


「ジャンケンに勝った方が、取り出してー……書いてある内容を実行するって感じです。盛り上がりますよー!」


「面白そう!」


「……随分用意がいいのね」


ずっと聞いていたのか、本から顔を上げないまま、雪ノ下は冷たく指摘する。


「嫌だなー、偶然ですよー……置きっぱにしてたのが幸いしましたねー」


きゃぴるん☆……と作為が無い風を装う一色。


――この小娘、やはり侮れぬ。

動揺を悟られぬよう本から顔を上げないまま、雪ノ下は一色への警戒感を高めるのだった。


「じゃあ、じゃあ、早速書いていこうよ、いろはちゃん!はいっ、これはゆきのんの分ねっ」


「いや、私は……」


「うーん、どんな内容にしましょうねー?かなり深く寝込いってるみたいですけど、起きてしまったらアウトですし……」


慎重に吟味しつつも、一枚、また一枚と紙片を抽選箱に投じていく。


「ちょ、ちょっと、いい加減にしなさい、あなた達」


雪ノ下は、ついに本から顔を上げ二人に非難の視線を投げつける。


「いくらその男が、この世界になんの存在意義も持たないぼっちだからといっても、

寝ている間にいたずらをするなんて卑劣な真似をこの奉仕部で許すわけにはいかないわ。

一寸の虫にも五分の魂というけれど、ならば彼にも、六分か七分ぐらいの魂が」


「あ、はいー、じゃあ雪ノ下先輩は不参加ってことで」


「……え?」


「そうだね、ゆきのんはそんなことする子じゃないって思ってたし……私達だけでやろっか?」


「あ、あの、ちょっと由比ヶ浜さん?」


「じゃあ行くよっ、いろはちゃん!第一戦!最初はグー!じゃんけん」


「ぽんっ!」


由比ヶ浜はパー

一色もパー


だがそこに有るはずのないチョキがひとつ。



「雪ノ下先輩……」


「ゆ、ゆきのん、参加しないんじゃ……」


「よ、よく考えてみたらその男には普段から迷惑をかけられているわけだし……

これぐらいのいたずらに参加したところで、報復としてお釣りが来るどころか春日に家が建つと……」


「あ、あの、もういいですから。箱から選んでもらえますか……?」


ちっと聞こえないほど小さな音で舌を打ちつつ、

これ以上面倒くさい状況に陥らないよう一色は、雪ノ下に箱を差し出す。


「そうね、少しでも彼の尊厳に被害を与えられる内容だといいのだけれど……」


いいながら、箱の中身をがさがさとかき混ぜ吟味する。ノリノリである。



「――見えたわ、破ッ!!」


「ゆきのん!?」


興奮でカサカサと震える手を抑えつつ、雪ノ下は紙片を広げる。


そこには偏差値の低そうな字でこう書かれていた。


【ヒッキーの耳に息を吹きかける♪\(^○^)/イェイ】



「……なっ!」


「……は、はう、ゆきのんが引いたかー……」


「わー、これは最初からトキメキ感のある内容ですねぇ……」


言いつつも、一色は不機嫌な顔を隠そうともせず頬をふくらませている。


片や由比ヶ浜は、膝を地につけ四つん這いになって打ちひしがれている。

いわずもがな、かの悪戯は彼女が書いたものである。


このゲーム、誰が書いたものかバレバレなのだが、そこを気にする者は現在のところいなかった。

みんな興奮しているから頭が悪くなっているんだね。



「そ、そうね、この男の耳に息を吹きかけるなんて、

拍子に胞子が室内に散布されそうで恐ろしいのだけれど、

こっ、こ、これがこのゲームのルールなら従う他は無さそうね」


「ゆきのん、嫌なら私が変わってあげ…」


「だめよ、由比ヶ浜さん。奉仕部の部長としてあなた達に

こんな危険な任務を負わせることは出来ないわ、

危ないから離れて、できれば目を伏せておいたほうがいいわ」


言いつつも、自身はずんずんと八幡の側に歩を進める。ノリノリである。


「で、で、でででわ、いっ、い行くわよ」


耳元に顔を下げると、長髪が垂れ下がりそうになる。


それを優雅な所作で抑えると、普段は白磁のような肌が、

飯岡産の熟しきったメロンの果肉のごとく赤く染まっているのが顕になった。

思いの外エロスな雰囲気である。


あうあうはわわと見守る二人の視線を背に、そっと八幡の耳に口を近づけ――


「ふっ」


耳に息を吹き入れた。


瞬間、ぴくっと八幡の肩が揺れ、あどけない寝顔から情けない声が発せられる。


「……ふわっ、ほえぇ…」


「「「――!!」」」


裏返った声は、はっきり言ってキモかったのだが、

ギャップ萌えに堕ちていた三人にはこれが愛しく響いた。


「か、可愛い…!ヒッキー!」


「そ、そうね、普段からこれぐらい可愛げの有るリアクションを取ってくれれば良いのだけれど……」


むふーっと自慢気に鼻息を吹かせる雪ノ下。

優越感に満ちたそのドヤ顔に噛み付いたのは生徒会長である。


「ふ、ふーーーん?ま、まあ、私は先輩の耳に息を吹きかけるぐらいのことは、

日常的にやってますのでー……なんてことは無かったですけどねー……」


聞き捨てならぬ発言に、はっと一色に視線を向ける二人。


この発言には、実際のところ誇張があり、牽制が多分に含まれていたのが、

斟酌する余裕が今の二人にはない。


だが、ここで二人にイニシアティブを取られてはいけない。

負けじと由比ヶ浜も返す。


「だ、だよねー、私もさー、しょっちゅうヒッキーの腕とか肩とかに胸を押し付けたり

するんだけど、その時の反応に比べれば……

なんか、さっきのは、そんなでもないっていうか……」


なん…だと…


少々慎まやかなサイズの二人は胸に手を当てながら、由比ヶ浜を、もとい、その双丘を睨みつける。


この発言は、ぶっちゃけ痴女そのもので、反射が多分に含まれていたのだが、

圧倒的戦力差に心を乱され、斟酌する余裕が今の二人にはない。


相変わらず眠りこけている八幡の頭上に、三つの視線が激しく交錯する。

部室に差す西日の頼りない陽光は、あたかも炎の如く三人の顔を赤く照らした。


この戦い、負けられぬ……!


しばし無言で火花を散らす中、先に声を発したのは一色だった。


「行きましょうか……第二戦!」


ここからは私のターン!


*********************



「私的にはー、もうちょっと刺激のある内容のほうが盛り上がると思うんですよねー」


先ほどの悪戯がソフトな部類だというのか……

内心で恐れ慄きながらも、一学年上の矜持からか、二人も精一杯の虚勢で返す。


「だ、だよねー、さっきのは軽いウォーミングアップって感じだよねーっ」


「そそそうね、私としてもこの程度の悪戯で、彼に制裁を加えられたとは思っていないわ、

一色さん、あなた、もう少し趣きのある悪戯を書いてくれたのでしょうね?」


ゲームなのか、任務なのか、制裁なのか。現時点で最もブレブレなのは彼女である。


「それは引いてのお楽しみですねー、それじゃあ行きますよ!」


そこはスルーし、一色は決戦に誘う音頭を取る。


「最初はグー!」


「じゃんけん!」


「ぷぉおおんっ!!」


雪ノ下はパー

由比ヶ浜もパー


むふんと得意げに勝ち誇る一色の手の先はチョキである。


「……くっ」


「あうう……」


「あー、私の勝ちですかー?これは困ってしまいましたねー……

言っても先輩ですしー?あんまり過激なのを引いてしまっても困るんですけどねー」


打ちひしがれる先輩二人を尻目に、あはーとおどけながらゴソゴソ抽選箱をこねくり回す。

だが、その目は相変わらず笑っていない。


「……ん、これかな?……ほいっ」


掛け声の前にあった、不穏な呻きを二人は聞き逃さなかったが、

今しがた張ったばかりの虚勢が邪魔をして糾する声が咄嗟に出ない。


あっさり広げられた紙片には、あざとい文字でこう書かれていた。


【先輩の唇にリップクリームを塗りまーす(はぁと)】


「「「――!」」」


三者の視線が絡み合う、刹那、弾けるように各々所持する鞄に走った。


ジャンケンの勝敗のみが決着ではない。


乾燥の厳しいこの季節、女子の嗜みとして当然リップクリームを常備している。


直に塗るという特権こそ得られないものの、自分の所持するクリームが使用されれば

一敗地に塗れることは避ける事ができよう。雪ノ下と由比ヶ浜は瞬時に計算し、

ジャンケンの敗北にも関わらず、自らの鞄に走ったのだ。


一色としても、ここは完全勝利を目指したい。手早く鞄に収められた化粧ポーチを探す。

彼女もまたトップカーストに位置する女子である。リップ捜索の、その疾さたるは風の如しであったが……


「いろはちゃんっ、このリップ使うといいよ!」


はあはあと息を切らしながら、一色の目の前に由比ヶ浜は自らのリップクリームをずずいと掲げる。

女子力の研鑽においては彼女に一日の長があった。


「あ、あははー、結衣先輩、あ、ありがとうございまーす……ちっ」


不覚である。天然と乳のデカさだけが売りではなかったのだ。


目前にあった完全勝利をみすみす逃し、

悔しさに震える手で差し出されたリップクリームを受け取る。


なお雪ノ下は、まだ鞄の口に手を付けた状態で、敗北感に打ちひしがれていた。

垂れた頭のその奥に悔しさを滲ませている。女子力には疾さも必要なのだ。



「それじゃ、先輩、ちょっと失礼しますよー……」


気を取り直し、一色は特権の行使に全力を傾けることにした。

どうせなら、たっぷり堪能しよう……


リップクリームの先端を八幡の唇にそっと当て、必要以上に顔を近づける。


「ちょ、ちょっといろはちゃんっ!?顔まで近づける必要はないよねっ!」


鼻息が当たろうかという距離まで接近する一色に、

弾みでそのまま食ってしまうのではないかと、由比ヶ浜は気が気でない。


「えへへー、ちょっと最近目が悪くてー、塗り塗り……と」



「んん……むひ……むひ……」


またもキモい嬌声を上げる八幡。気持ちいいのか悪いのか、いやいや首を振る。


だが我関せず――


かえって嗜虐心をそそられたのか、一色は目をこれまで以上に蘭蘭と光らせながら、

必要以上にリップクリームをその唇に塗りたくる。


――のみならず唇から溢れた油分を、中指で掬い、さらに厚く塗りたくっていく。


「ぶ、ぶほぉ!いろはちゃん、それは内容以上の悪戯になっちゃってるんじゃないかな!?」


「そ、その男の唇に直に触れるなんて自殺行為よ!?今すぐ手を洗いに行きなさい!」


「しー!お二人とも、あまり大きな声を出すと先輩が起きちゃうじゃないですかー!」


つまみだしたらぁ、このアマァーッと押し寄せる二人を

めっと叱るように、指だけで制する。


「ぐ、ぐぬぬ」


スカートの裾を握りしめながら、後輩相手に憎悪と羨望を露わにする雪ノ下。


「……」


その雪ノ下とは対象的に、一色がクリームを塗りたくれば塗りたくるほどに由比ヶ浜は冷静さを取り戻していた。


やがて十分に堪能したのか、ふーっと満足気に顔をあげる一色。

八幡の唇はぐっちょぐちょである。


見るも無残な有り様になっていたが、由比ヶ浜はまさかのスルー……


彼女の視線はその手元にあるリップクリームに釘付けである。


あれが自分のものであるという事実は動かない。あとで返却してもらえば、

家に帰って後、あれやこれやと楽しむことが出来るではないか。それだけでご飯三杯はいけるだろう。


この発想は痴女そのものだったが、理由がなんであれ、その圧倒的な事実が由比ヶ浜に余裕をもたらした。


一色は鼻歌を歌いながら、自然な動作で自らの唇にもクリームを塗る。

そうそう、あんな感じで、後で私もヒッキーと間接キ……


「――て、ぶふぉっおぃっほー!い、いいいいいいろはちゃん!?」


「あ、あれ?そういえばこれ結衣先輩のでしたっけ!?

いっけなーい!この時期って本当に唇乾燥しちゃいますよねー」


てへぺろと、あざとく舌を出して自らの後頭部を小突いておどける。

一色が修める一〇八のあざとさテクニックの一つである。


これまでの努力を木っ端微塵に打ち砕かれ、由比ヶ浜は本日二度めのダウンを喫した。


修学旅行、音羽の滝での屈辱を思い出す。

八幡の鉄壁のガードをこれほど簡単に打ち破るとは……いや、寝ているのだけども。


「んーー、でもやっぱり寝ている先輩は可愛いですけど、少しつまらないですねー

……起きてる時のリアクションが真骨頂なわけですし……」


打ちひしがれている由比ヶ浜を横目に、余裕のコメントである。


「そうか……バレンタイン……利用して……奉仕部に依頼……

例えば料理イベントに誘導して……スプーンを……口内に……」


こうしてる間にも次なる算段を建てる恐るべき後輩に、由比ヶ浜は戦慄した。

早いとこ決着付けないと全部かっさらわれてしまうのでは……


「――さっきの内容、少しおかしいわね……」


ようやく落ち着きを取り戻したのか、雪ノ下は思慮深げに

口元に手をあてたまま不意に声をあげる。


「……どういうこと?ゆきのん?」


「一色さんがジャンケンに勝ったまではいいとして、引いた札まで彼女のものだなんて……

ちょっと都合が良すぎる展開ではないかしら?あの後、私も投稿したわけだし」


「も、もしかして、いろはちゃんっ、なんかずるいことを!?」


「や、やだなーお二人ともー!あれはただの偶然ですよー、

自分で書いておいてなんですが、あんないたずら書かなきゃ良かったかなーなんて思ってますしー」


「そうね、偶然で済ませてしまうことも出来る……

でも、例えば紙片の端にこよりでも作って目印にしておけば、

自分が作ったものを引き当てるのは簡単ではないかと……

ええ、もちろん例えばの話なのだけれど……」


びくっと一色の肩が揺れる。対する雪ノ下は看過した手応えに、氷の微笑を浮かべていた。


「そそそんなこと、あるわけないじゃないですかー?」


「いいわ、次に私が勝って確かめればいいだけの話だから」


「う、うぐぐ……!」


「そ、そっか……こよりが目印に…」


由比ヶ浜は頭を振って決意を瞳に宿す

あつらえたように悪戯の内容はヒートアップしている。


――次だ、次勝てばいいのだ。


由比ヶ浜の脳内には、くしゃみ芸を披露する加○茶の勇姿が鮮明に浮かんでいた。


勝機は我にあり!


「いくよ……!第三戦!」


*********************



「最初はグー!」


「じゃんけん!」


「ぷぉーほっほーい!」



一色はパー

雪ノ下もパー


「ついに……!私やったよ…!」


くっはぁーと遂にもぎ取った勝利に由比ヶ浜は歓喜に震えていた。

高々と上げられたピースはこの上なくアホっぽい


「よ、よーし、引くぞー!あっ、そっか、こよりが……目印があるんだっけ」


決して嫌味ではないのだが、無邪気な独白を受けて、一色の顔に焦燥の色が滲む。


だが由比ヶ浜は気付いていなかった。


雪ノ下もまた、顔を苦々しげに歪ませ、視線を逸らせていたことに……


「あ、本当だ、言われてみれば、なんか端っこに、ねじったような感触があるね……」


手探りでもっとも特徴的な紙片を摘む。

一色のことだ、自分では思いもつかないセクシャルな悪戯を記しているに違いない。


「これだ…!」


勢い良く引きぬいた紙片を広げる。

そこには気品あふれる字でこう書かれていた。


【比企谷くんの首筋にスポイトで水滴を落とす】


「「……」」


「……え?」


セクシャルなままヒートアップすると思われた悪戯は、期待にそぐわず、

小学生レベルの児戯にグレードダウンしていた。


一色は間違ってもこんな事を書かないだろう。

というか、どう考えても雪ノ下が書いたものだった。


「雪ノ下先輩……もしかして私を疑ったのって、自分もこよりを作ってたから……」


「ゆ、ゆきの……ん?」


嘘だと言ってよバーニィと、絶望に満ちた眼差しを向ける由比ヶ浜に、

雪ノ下は視線を合わせることもできない。


弱々しく雪ノ下は親友に小道具を差し出す。


「由比ヶ浜さん、ここにはスポイトがないから、このストローで水滴を落とすといいわ」


「ゆ、結衣先輩!お水は私のを使ってください」


一色もみかん味の例のアレを差し出す。

さしもの彼女も、今だけはこの純粋な先輩に哀れみを禁じ得ない。


茫然自失といった体で、由比ヶ浜は口を封じたストローで例のアレの水を吸い上げる。


そして八幡の頭上で指を離す。


ぽちょ


「……んっ、むにゃむにゃ」


「……」


「……」


「……」


「こういう童心に返ったような悪戯もいいものね。子供の頃を思い出すわ」


「で、ですねー、じゃあ次のゲームに行きましょうかー」


取り繕う二人の背に、由比ヶ浜は非難の声を上げた。


「……そうじゃないよ。なんで、なんでそういうことになるの?おかしいよ」


さらっと誤魔化して次のゲームに行こうとする二人に、

由比ヶ浜はなんの理屈も持たずにただ間違っていると断ずる。


「いや、おかしくはないですよー。スポイトでちゅっとする、これは立派ないたずらです」


「……そうね」


「違うよ、二人が言ってること全然違うもん」


「さっきの、いたずらってより……なんか科学実験っぽかったし

……ゆきのんの言ってること、ちょっとずるいと思う」


声こそおとなしかったが、由比ヶ浜の眼差しはしっかり雪ノ下に向けられていた。

真剣さを増した瞳は攻撃的ですらあった。


その視線に雪ノ下は目を逸らさない。言うか言うまいか少し悩むように間を取ってのち、

小さな、けれど鋭く冷たい声音で告げた。


「今、それを言うのね。……あなたも、卑怯だわ」


「あのー……お二人とも……?」


いつかの再現に、二人の間に横たわる闇の深さを垣間見る一色だった。


すっかり情緒不安定になっている由比ヶ浜が、はたと気付いたように面を上げる。


「あ、そうか……そうだよ、別にゲームにする必要なんて無かったんだ……

私が単に個人的に、ヒッキーに性的ないたずらをすれば良かったんだよ……」


正論であった。倫理はないが。


「ちょ、ちょっと待って!由比ヶ浜さん、それはフェアではないわ」


「ゆきのんも、やりたかったらやればいいんじゃないかな……」


「え、あ、いや、私は……」


あなたには出来ないだろうという含意が読み取れる。

このアマ……と睨みつけるが、それ以上の言葉が出ない。


「いろはちゃんに乗せられてゲーム形式にしちゃったけど……、そうだよ、もっと簡単な事だったんだ……」


由比ヶ浜の目は座っていて。明らかに正気ではない。

文字通りの意味で、今にも八幡にかぶりつきそうな勢いだ。


危機感を覚えた一色は、その進路に立ちはだかる


「どうしたのかな?いろはちゃん、そこにいたんじゃ私ヒッキーにセクハラできないんだけど」


どんどん表現に身やら蓋やらが無くなっていくが、そこに突っ込む余裕が今の一色にもない。

ふんむーと頬を膨らませて、由比ヶ浜に対峙する。


「ダメですよ!ここは通しません!それに結衣先輩が言ってること、おかしいですよ」


「何がおかしいのかな?」


「何がおかしいって……」


熟した房州びわの如きに、赤く膨張していた頬の空気が抜ける。

唇に指をあてながら一色は返した。


「……言われてみれば、何もおかしくありませんね」


言うやいなや、くるぱっと身を翻し、八幡に襲いかかる


「え!?ちょっ」


咄嗟の事に、レイプ目だった由比ヶ浜の瞳に再び光が灯る。

我に返った由比ヶ浜は、急ぎ一色の首根っこを掴み、引き剥がしにかかった。


「えーーー、なんで止めるんですかー!?意味分かんないですよっ結衣先輩ー!」


「なんかわかんないけど、ダメなものはダメっ!抜け駆けいくないっ!」



「……正気にかえったようね、由比ヶ浜さん」


「――はっ!?」


「……そう、抜け駆けはダメなんです。だからルールを以って行おうって話なんですよ」


割と本気で襲いかかっていたくせに、さも「これを伝えたいがためにあえてやった」感を

出している後輩に、雪ノ下はボチボチ畏れすら抱き始めていた。なんだこの後輩……


「ねー、雪ノ下先輩!」


「いや、私は別に……」


「……そっか、ヒッキーを手篭めにしたいのは、みんな同じだもんね……」


「だ、だから私は違……」


「そろそろ下校時間です、おそらく次が最後の戦いになりますよ」


性的な悪戯に興じていると時の流れを早く感じるものだ。

時計をみれば、既に文化部の規定の刻限に近づいていた。


「ファイナルセット……」


三人はゴクリと唾を飲み込んだ。


*********************


三人の間に緊張が走る。次のゲームがラストファイヤー。

気持ちを高めなければいけない局面だ。


今や分かりやすすぎるほどに闘志を露わにしている、雪ノ下と一色。


だが二人とは対照的に、由比ヶ浜の顔は暗かった。


どうにも自分は勝負弱いところがあるようだ。


いつかの大富豪対決では活躍の場面も合ったが、

戸塚の依頼の上で行われたテニス勝負や、雪ノ下との罰ゲームをかけたトランプ……

三浦たち相手にも、だいたいはコテンパンにやられていた気がする。


テンションが、モチベーションが上がらない。


たとえ勝っても、また雪ノ下の小学生みたいな指令を引いてしまうのではないか。


悪い方、悪い方に考えが及ぶ。


心が折れそうになったその時、

寝ている八幡の、そのグチョグチョになった唇から声が漏れ出た。


「……むにゃ……由比……ヶ浜……」


「……ひ、ヒッキー!」


「「……!!」」


「……私の夢を見てくれてるんだ……」


思わず由比ヶ浜は目を潤ませた。

歓喜のあまり、顔もチーバくんのように赤くなっている。


これほどの支援があるだろうか、

これに勝る後押しが有るだろうか。


「…には……後で……教えるとして……むにゃむにゃ」


「そっか……ヒッキーも私にペッティングをして欲しいんだね……」


「……今の寝言にそんな要素ありましたかね……?」


「後回しにされているように思うのだけれど……」


都合の悪い情報をカットした由比ヶ浜は、高まったそのテンションのまま二人に呼びかけた。


「ねぇ、次が最後なんだから、ちょっと趣向を変えてみないかな?」


「えーここに来てルール変更ですかー?」


怪訝そうに伺う一色に、由比ヶ浜は静かに首を振った。


「そうじゃなくて……」


その声音には真摯な重みがある。すっと雪ノ下と一色の前に一歩踏み出すと、まっすぐに瞳を見据えた。


「ちゃんと考えたんだ……ゆきのんのこと。それとあたしのこと。……あたしたちのこと」


「ゆ、由比ヶ浜さん?そ、それはどういう意味?」


親友が、いろいろと先走っている気がしたが、雪ノ下は先を促した。



「あのね、先に札を引いちゃうんだ、

そうやって出てきて、みんなが納得したものをジャンケンで取り合うの」


「あ、なるほどー、それなら、さっきみたいにハズレを引くことはないですね……」


「……あたし、ずるいんだ、卑怯な子なんだ」


本当にそうだったので、二人は由比ヶ浜をスルーした。

それに、この提案……悪い話ではない。


「ジャンケン勝負に集中できるわね」


「最後がショボイと盛り上がりませんもんねー」


「そうなると、誰が引いてもいいということになるけれど……

とりあえず私が札を引くわね。中身に不満があれば言って頂戴」


取り出した紙片、最後の悪戯を雪ノ下は広げた。


そこには知能指数の低そうな字でこう書かれていた。


【ヒッキーの耳を甘がみしちゃう(はぁと\(^○^)/イェイ】


「……」


「……」


「由比ヶ浜さん、最初の内容もそうだったけど、もしかしてあなた耳フェチなのかしら……?」


「ち、違うしっ!たまたま耳関連のが連続で出てきただけだしっ!」


だが、この内容はそれまでの間接的な接触とは一線を画する。


モロだ。


三人はごくりと喉を鳴らす。


「わ、私は別に構いませんけどねー」


「そ、そうね、最後を飾るにふさわしい悪戯といえるんじゃないかしら」


「だよねっ、ヒッキーの耳っていいよね、かぶりつきたくなるよねっ」


合意は形成された。

ボルテージは今や最高潮だ。


だが、緊張や恐れを相手に悟らせてはいけない。

はちきれんばかりの滾る闘志を知られてはいけない。


ジャンケンは心の所作。

いかに心理を隠し、いかに相手を誘導するかが勝敗の分かれ目になる。


心にもない虚勢を三様に張る。


「あー、勝っちゃったらどうしましょうねー、耳を、あ、甘咬みするなんて緊張しちゃいますー」


「そ、そうかしら?耳たぶを甘咬みするぐらいは、スキンシップの範疇だと思うけれど……そもそも欧米では……」


「だ、だよね、気楽な感じでやったらいいと思うんだよね!」


「えーと、あの我、八幡に書評をもらおうと思って参上した次第なのだが……」



もはや三人には、倒すべき互いの顔しか見えていない。


「ルールを再確認するわ、ジャンケンに勝ったものが、この紙に書かれた内容を実行する……!」


「大丈夫ですよー、ウィナーテイクオール……!」


「恨みっこ無し!絶対のルールだよ!……負けない、私は絶対に勝つんだ……!」


「けぷこむ、けぷこむ、あい承知した」


「それでは行くわよ!」


嵐の前の静けさか。しん……と教室が静まり返る。

誰一人言葉を発しない。


そもそも言葉が欲しいのではない、


彼女たちは分かりたいのだ(八幡の耳の味を)


緊張の極限を迎えた空間を、凛とした声が切り裂く。


「最初は!」


「グー!」


「ジャンケン!」


「ぷぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおん」



雪ノ下はパー

由比ヶ浜もパー

一色もパー

三人共パーちくりんである


だが野太い丸太のような腕の持ち主が、唯一チョキを示していた。


「……」


「……」


「……え?」


「え?あ?……むふん、我の勝ちか」


「ちゅ、中二!?」


「ふむ、確か勝者は、この紙に書いてある内容を実行する権利があるのだな?」


「あ……ああ……」


カサカサと紙を広げる材木座を、三人は呆然と眺めている。


「って、ごへぇ!?八幡の耳を甘咬みだと!?これなんて罰ゲーム!?」


圧倒的存在感を持つ材木座に、これまで気づきもしなかった三人。

いや、しょっちゅう存在を無かったことにしたりもしたのだが、今はそのことを言ってる場合ではない。


「我さー、給食のデザートを賭けたジャンケンでは生まれてこの方勝利したことが、

ないのに、こういうのに限って勝ってしまうんだよなー……」


ブツブツとささやかな黒歴史を披露するも、

気を取り直し、うぉっほん!もるすあと咳払いした材木座は、渋々と八幡の方へと歩を進めた。


「しかし絶対のルールであれば仕方があるまい。

我も剣豪将軍を自称する身……約束を違えるようなことはあるまいぞ」


おぞましい何かが眼前で始まろうとしていた。

三人の背筋に悪寒が走る。


「あー、そそ、そういえば私ー、生徒会の仕事が残ってたんですよねー」


一色はいっけなーいと自らの頭を小突くと、自分の荷物を引っ掴んで

脱兎のごとく出口に走る。


「わ、私も今日は用があったんだよねっ!!」


荷物をまとめようとする手が滑り、大事な携帯を机から落としてしまうが、

それを拾うことなく、由比ヶ浜も一色の後を追う。


「――!」


雪ノ下に至っては、何も言葉を発しないまま、荷物すら持たず、

出口に向かってクラウチングスタートを切っていた。


互いを押しのけ、我先にと脱出を試みる三人。引っかかりながら、

這い出るように部室を後にする。扉を締める余裕もない。


「それでは八幡、失敬するぞ」


「……ほぁ?なんだ、俺、寝ちまってたのか……ん?材木座?」


「ん~~~~~~~~」


「……!ちょ、おま、何やって…!!」


「~~~~~~~~~~~~~~○△X□○X~!!!!!!!!」


この世のものとは思えない悲痛な叫びが、特別棟の廊下にまで鳴り響いた。


*****************


その後、様子見に奉仕部を訪れた平塚教諭が目にしたものは……


廊下の壁に寄りかかりながら気を失っていた一色いろは。


突き当りに座り込み、頭を抱えながらブルブルと震える由比ヶ浜結衣。


長机に突っ伏し、自らが発した気泡の中で、ピクリとも動かない比企谷八幡の姿だった。


なお、その場からは姿を消していた雪ノ下雪乃は、次の日、学校を休んだ。



後に語られる比企谷八幡・四大黒歴史のひとつ

『耳輪甘咬み事件』の顛末である。



あまりに凄惨な事件であったため、正史からは抹消されている。





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1: SS好きの名無しさん 2015-08-18 22:07:49 ID: Tqy36r2X

ハートフルw

2: SS好きの名無しさん 2015-08-20 22:27:24 ID: uN4Voyw8

笑った。

3: SS好きの名無しさん 2015-08-26 03:12:53 ID: tqUttSaR

これは面白いわ

4: SS好きの名無しさん 2015-08-28 22:37:10 ID: DjZC0MTn

言い回しがいちいち面白いw

5: SS好きの名無しさん 2015-08-29 22:47:08 ID: IP_MEHJO

オチに草不可避ww

6: SS好きの名無しさん 2015-09-02 09:05:48 ID: k_zgvh2u

ガハマさんファン歓喜だなw

7: SS好きの名無しさん 2015-09-06 23:51:15 ID: Xp2Ltx1W

笑うわこんなん

8: SS好きの名無しさん 2015-10-15 22:00:00 ID: D19Ae5Ll

被害者の会の後に読んだんだけど、これにも笑ってしもうた
作者さんは基本的にギャグ畑の人なんだな

9: SS好きの名無しさん 2015-11-06 15:38:56 ID: JetnJUh8

やっぱギャグは秀逸

10: SS好きの名無しさん 2016-02-05 21:16:43 ID: Vbi7T2U9

これは稀に見る良作w
是非、陽乃川崎めぐり平塚のも書いてほしいわw

11: SS好きの名無しさん 2016-03-05 12:26:51 ID: Uqiwpki2

面白いです

12: SS好きの名無しさん 2016-10-30 09:55:44 ID: YLLteIKf

材木座www


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1: SS好きの名無しさん 2015-08-29 22:49:49 ID: IP_MEHJO

こんなハートフル(笑)の良作に出会えたのは初めてだわwwwwww

2: パマオ 2018-04-07 23:08:10 ID: IA7U03-c

材木座www


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