提督と、秘書艦〈加賀、金剛〉の槨水鎮守府(かくすいちんじゅふ) その波乱 伍
この話は第五弾。 遅れて本当にすみません。
やっと本国に着いたが海軍省で知らされる事実とは・・・
提督である種田と鳳翔の意外な繋がりとは。また旗艦龍驤率いる遠征組&護衛艦隊の第六駆逐隊とも合流!
種田は横須賀港に着いてすぐ横鎮司令官の迎えの車に乗り海軍省を目指した。
他の艦娘は買い物へ。
種田は車に揺られ考え事をしていた。
皆とは別れ、横須賀港から迎えの車で海軍省に向かうまで種田は何故、こんなに緊急で呼び出されたかを再び考えていた。
(何か本国で起きたのか? それとも俺がへまをしたのか・・・)
と考えていると思っていたよりも早く海軍省の玄関前に着いた。 種田は車から降り、海軍省の建物を見上げた。
横鎮司令官 「到着しました。 では 私たちはこれで・・・」
種田 「ああ わざわざここまでありがとう。」
横鎮司令官 「いえいえ では時間が空いたら連絡してください。良い飲み屋があるんで紹介しますよ。」
種田 「分かった。 あとで連絡するよ。」
と種田は昔の旧友と話を終え海軍省に入っていった。海軍省内は以前来た時よりも慌ただしい状況だった。
入った直後種田は下の階級の多くの兵に敬礼され、それに応対しつつ副司令官の執務室の場所を聞き二階へと向かった。
種田は二階の海軍省副司令官執務室と書かれた部屋の前まで来て深呼吸し、ノックをした。
種田 トントン「槨水鎮守府司令官 種田鴨作であります。」
??? 「どうぞ・・・」
と声がかかったので種田は何が知らされるのか緊張した面持ちで入室した。
種田 「失礼します。 緊急電と第一級召喚命令に従い参上しました。」
??? 「ん? 何のことだ?」
種田 「えっ? この緊急電を受け取ったのですが・・・」
と言って槨水鎮守府に届いた緊急電が書かれた紙を渡した。
するとかえってきた返答は驚くべきものだった。
海軍省副司令官補佐 「あー これね・・・ ちょっとわけありでね俺は海軍省副司令官補佐の者だ。本当の副司令官は三階の
海軍省総司令官執務室だ。」
と言われ種田は意味が分からないままボーっと海軍省副司令官執務室を退出し三階の海軍省総司令官執務室へ向かった。
部屋の前での緊張や自信をもとうとした行為は何だったのかと思いながら・・・
種田は気を取り直し部屋をノックした。
種田 コンコン「失礼します。 槨水鎮守府総司令官 種田鴨作であります。」
海軍省副司令 「どうぞ 入ってください。」
と言われ今度こそと思い種田は入室した。
種田 「失礼します。 緊急電と第一級召喚命令に従いここに参上しました。」
海軍省副司令 「うむ わざわざ遠いところから強制的とも思われる仕方ですまない。」
種田 「いえ それほど大事という事でしょう。 あっ それで先ほど二階の執務室に行ったのですが・・・」
海軍省副司令 「あっ すまない 知らせておくのを忘れていた。実は海軍省の少将以上しか知らされてない事なんだが君に言っていなかった。
私は副司令官だが公では総司令官を名乗って陸で公務を行っている。
もともとは私が戦場に艦隊の総司令官として出撃していたのだが失敗が多くてな・・・
それで総司令官が一時艦隊の総司令官として出撃する機会があってそしたら素晴らしい功績を残したんだ。
それで本当の総司令官は今、海で戦っている。
海軍省長官が本国を離れ、海で戦っているとなると世間の不安をあおるという事で 公になっていないんだ。」
種田 「そういう事でしたか。わかりました・・・色々事情があったんですね・・・あっそれで緊急電の事ですが・・・」
副司令 「ああ つい長話をしてしまったな・・・それでは本題に入るか」
と言った直後、部屋内の空気が変わった。
種田は覚悟して副司令官の話を聞いた。
副指令 「実は今、槨水鎮守府方面の海域がとても危険な状況だ。国家存立に関わるかもしれないと言っても過言ではない。今も空軍や陸軍の力を
かりて航空機や対艦砲、海上要塞を使って応戦しているはめだ。」
種田 「 ! 何ですって・・・槨水鎮守府近海はとても安全です。少し勢力が強まってきていますが・・・まさかだから我々もこちらに来るとき敵精鋭の主力
艦隊と・・・」
副司令 「その可能性もある。 君の話を聞く限り本国と槨水鎮守府の間の海域に敵勢力が集結しているという事か・・・何か兆候か何かあったか? 何 でもいい」
種田 「いえ 特には何もありませんでした。 槨水鎮守府近海は安全だと思っていたのであまり偵察部隊も出していませんでしたし・・・」
副司令 「そうか・・・この事態に気づかなかったのは君の仕事に対する怠慢もあったのかもしれないな・・・。
ああ それで海軍省はこれを国家の危機として海軍省総司令官及び、日本国連合艦隊総司令官である齋藤清國率いる
本国直掩艦隊の出撃を決定した。
種田少将はこれに合流し、総司令の指示を仰いでほしい。」
種田 「!! 了解しました! また公務に対する怠慢については本当に申し訳ありませんでした。」
副司令 「いや 私に謝ってもな・・・悪くすると軍法会議送りかもしれん。 何とかこの機会に功績を残しておけ・・・」
種田 「はっ 申し訳ありませんでした。」
(はぁ まずい・・・俺のせいで・・・何とかこの機会に・・・)
その後種田は敵の真の目的や侵攻速度、勢力など詳細な説明を受けた。
簡潔に説明すると敵は槨水鎮守府が脅威で近づけないでいたが、本国との距離が遠い事に目を付け槨水鎮守府を大きく迂回し直接、本国へ攻め入ろうとしたと海軍省は考えているらしい。また敵は他の海域からも増援をよんでいるらしく敵勢力は強く、侵攻速度は速い状況。他の鎮守府は敵が姿を消し、暇らしい。
副司令 「という訳だ。 あとは頼む。 それから・・・重巡 青葉を槨水鎮守府に派遣したい。本国との連絡用としてな。」
種田 「重巡 青葉ですか? まぁ良いですけど・・・ では後で向かいに行きます。」
副司令 「ああ。」
種田 「それでは失礼します。」
と言って海軍省総司令官執務室を後にした。
まさか本国直掩艦隊が出撃する事態までになっていたとは思っていなかった。
槨水鎮守府周辺海域は敵の数が少なく、全く本国方面が危険な状態だと知るよしもなかった。
槨水鎮守府にこの騒動が知らされていないのは敵に無線傍受されるの防ぐためとの事だった。その為、種田はわざわざ本国に召還させられたらしい。
何故本国との連絡要員が必要なのか、何故青葉を指名したのかは種田にとって不可解な点だ。
種田はこれら状況、自分の仕事に対する怠慢の責任について深く考えながら重い足取りで宿泊先へと向かった。
種田が海軍省にいる頃、主力艦隊と主力護衛艦隊は荷物を三階建ての小さなホテルに荷物を置き、買い物を楽しんでいた。
あと一時間後に宿泊先のホテルに集合と決めて買い物し始めた。
金剛四姉妹と川内三姉妹、高雄二姉妹、それ以外というグループになっていた。
吹雪 「瑞鶴さん行きましょーう」
瑞鶴 「うん。 ちょっと待って」 (なんであいつ一人でぼっち状態になってるのよ・・・)
瑞鶴が心配する相手、もちろん加賀の事である。
瑞鶴 「あなたも一緒に買い物しない? 一人は危ないし・・・」
加賀 「あなたには言われたくないわ・・・お子ちゃまには」
瑞鶴 「なっ・・・ あなた・・・」 (だめここで誘わなかったらあいつ一人だけになる。)
「そう これは提督が言っていた演習の一つよ。一航戦と五航戦のコミュニケーションの一つ一緒に来なさい。」
加賀 「何故あなたに指図されないと・・・いや、分かったわ。 演習の一環としてね。」
瑞鶴 (まったく・・・素直じゃないんだから・・・) 「吹雪ー 一人増えても良い?」
吹雪 「あっ 加賀さんですか? 全然良いですよー」
という事で駆逐艦の14人と瑞鶴、加賀でグループが出来た。周りから見ると小学校の先生が教え子と買い物をしに来たという風に見える。
先生と少し大きい小学生は仲が悪そうに見えるだろう・・・
高雄二姉妹
愛宕 「高雄ちゃ~ん こんな服どう? これは? こっちは?」
高雄 「ちょっと早いわよ~ そんなに早くしない。」
川内三姉妹
川内 「ねぇ 夜戦の為にブルーベリーの苗買わない? ね? ね?」
神通 「姉さん、もうちょっと落ち着いて・・・」
那珂 「私はアクセサリーと服買う。早く行こう」
川内 「私の用事の方が大事だぞ。」
那珂 「えーー 何でよー」
神通 「まぁまぁじゃんけんで決めましょう。 私の用事は最後でいいから・・・」
金剛四姉妹
金剛 「入りたいお店があったら言ってくださーい」
他三人 「「「はい! お姉さま」」」
榛名 「お姉さま、あのお店はどうでしょう?」
比叡 「カフェに行きませんか?」
霧島 「いえ、こちらのお店が良いのでは?」
金剛 「O Oh~ ど どうしましょうネ~」
駆逐艦、空母(小学校グループ)
吹雪 「皆さん、まず本国でしか買えない沢山の種類の服を買いましょう!」
加賀 「そうね。」
瑞鶴 「賛成よ。」
駆逐艦たち 「そうしよう!」
とそれぞれ集合時間まで多くの買い物をした。加賀が種田のへそくりを発見し、それは全てこの艦娘たちの買い物で使い果たした。
種田は知るよしもないだろう。
そして集合時間になり、宿泊先のホテルの前で艦娘たちは提督がくるまで買った商品を見せ合っていた。
金剛はたくさんの紅茶の葉を買っていたり、瑞鶴は自分と翔鶴にお揃いの小さな髪飾りを買っていた。
川内はブルーベリーの苗をぎっしり、那珂はギラギラ光るブレスレットや首飾りなどのアクセサリーやどこかのアイドルグループが着ていそうなフリフリの服など、神通は槨水鎮守府にいる艦娘たちの為にお饅頭などお土産を買っていた。
一方加賀は赤城への食べ物のお土産と駆逐艦の皆が選んでくれた水色と白のワンピースを買った。
駆逐艦たちは皆で色違いのくまさんのぬいぐるみを買い、あとはそれぞれ好きなものを買っていた。
皆でわいわい見せ合っていると提督が海軍省から帰ってきた。
金剛 「 ?? 提督何か元気がないネ どうしたんですか?」
種田 「いや 大丈夫だよ。 それより買い物は楽しめたのか?」
全艦娘 「「「はい!」」」
種田 「それは何よりだ。 じゃあ あとは皆で宿のレストランで夕食をとって寝てくれ指示は後で出す。 あぁ加賀は俺と来い」
金剛 「えー 提督一緒に夕食食べないんですかー」
夕立 「提督と加賀さん? 何かありそうっぽい」
睦月 「ゆ 夕立ちゃん」
陽炎 「提督さん 何しようとしてるんですか」バキバキ
愛宕&高雄 「私も気になりますね・・・」
全員が怒りと疑問のオーラや形相を浮かべている。
種田 「い いや・・・これからの日程とか相談とか連絡だって・・・」
全艦娘 「「「何で加賀さんだけなのよ!」」」
種田 「秘書艦だし金剛は・・・な?」」」
金剛以外の艦娘 「「「・・・しょうがないわね・・・」」」
金剛 「what? 私が何なんですか」
吹雪 「まぁまぁ 金剛さん まずホテルの中に入りましょう」
金剛 「ちょっ まだ提督に答えを聞いてないデース」
と加賀以外のみんなはホテルの中に入っていった。
振り向いて加賀にどこに行くか説明しようとした時・・・
種田 「うっ・・・なんだその目は 俺はそんな最低な事はしないぞ・・・」
加賀はこれから何をさせるんだと言わんばかりの恐ろしい目を種田に向けていた。
加賀 「いえ 何のことですか? 」
種田 「くっ いや何でもない ちょっと飲み屋に行かないか? 報告もそこでしよう お前の知っている奴もいるし」
加賀 「わかりました。 行きましょう。」
と加賀は了解し、二人で商店街の隅にあるちんまりした飲み屋にいった。
店の扉を開けると目の前の席に龍驤が居た。というか龍驤とあいつしかいない・・・
種田 「こんばんはー」
龍驤 「ういっ んぁ~提督さん? ちょっちゅう遅かったな・・・もう飲んでたで~」
加賀 「龍驤・・・あなたね・・・ まだ本隊と合流したという報告を聞いてないんですが・・・」
龍驤 「いや~ ちょっと飲んでから報告しようかな~って思っててさ・・・あはははは 他のみんなはもうホテルやで」
加賀 「はあ~ それで・・・遠征はどうだったんですか」
龍驤 「大成功!」 ブイ
龍驤はVサインで笑顔、加賀はあきれてる。
龍驤は本国方面に遠征に出ていたので本隊と合流させたのだ。
まだ報告されていないが・・・
そこでやっと店の主が声をかけてきた。
鳳翔 「いらっしゃい ずいぶん皆私を無視するのね・・・」
種田&加賀&龍驤 「「「! いえ これは無視しているというのでは・・・」」」
鳳翔 「あら そうなの ならいいけど・・・」
横鎮司令 「う~ 怖っ」
鳳翔 「何か 言いました?」
横鎮司令 「い いえ・・・」
種田 「おう すまないな・・・呼び出して」
横鎮司令 「いや 俺がさっき誘ったんだしな・・・けど次回は普通に仕事の事じゃない話で飲みたいな」
種田 「ああ そうだな・・・ それでお前の情報と見解を聞かせてくれ。 わかると思うがこっちが加賀 そこのまな板が龍驤だ」
龍驤 「誰がまな板だー」 ヒュン
種田 ガス 「うっ 痛っ 皿を頭に投げるって・・・ お前こんなことしてどう・・・」
鳳翔 「どうなるかわかるのかな? 龍驤ちゃん 皿だって商売道具の一つなのよ・・・」
龍驤 「ひっ・・・」
偶然なのか気を遣ってなのか鳳翔は龍驤を連れ外へ。店内は横鎮司令と種田、加賀になった。
種田 「もうお前は知っているだろうから 加賀に報告しておくぞ 海軍省での事・・・」
そして種田は酒を飲みながら海軍省副司令官から言われた敵の状況、応戦の状況などを述べた。
勿論、自分の怠慢についても・・・
加賀 「そうですか 概ねわかりました。しかし偵察の怠慢は秘書艦である私にも責任があります。」
種田 「いや そんなに気を遣わなくてもいい・・・それでこの話に付け加える話とか情報はないか?」
横鎮司令 「ふん 元気ねえな そんなに気を病むなよ」
種田 「それで何かあるのか?」
横鎮司令 「わかった わかった。 まずその話におかしな点はない。 もっと詳細に話すと海軍省はこの状況をお前が故意で行ったのか、そうでないの かの両面で調べようとしてる。 日本をつぶすため深海棲艦を引き入れたのかとかな・・・ まぁ気づいているだろうが青葉は内部調査官だろ う」
種田 「青葉が内部調査官・・・ そんな事態に・・・俺が疑われているとは・・・ 」
加賀 「頭にきました」
種田 「いや落ち着け加賀。」
横鎮司令 「多分、軍法会議はお前が無実でも行われるだろう。 お前の怠慢のせいでもあるかもしれないのだからな」
種田 「わかった。 ありがとう。」
横鎮司令 「じゃあ 俺は先に失礼するぜ まだ仕事がいくつか残ってる。」
種田 「ああ 本当にわざわざありがとう。」
横鎮司令 「おう またな」
横鎮司令が帰っていくのと入れ替わりで鳳翔が戻ってきた。
龍驤はホテルに送ってくれたらしい。
種田 「わざわざ すまない いつも助かるよ。」
鳳翔 「もういつもではありませんよ」
加賀 「いつもってどういう事ですか?」
鳳翔 「あのね・・・」
種田 「いや何でもない・・・それよりもう一杯頼む。あと枝豆も」
鳳翔 「はい はい」
としている間に種田は酔いが回り、その後寝てしまった。
鳳翔 「あのね この人は知られたくないだろうけどね 隠し事はあなたも気になるでしょうし、これからはあなたがずっとこの人の秘書艦だろうから。
さっきの事ね・・・ 実は加賀さんの前は私が秘書艦だったの。」
加賀 「えっ? 槨水鎮守府に提督が来てからずっと秘書艦は私ですし、槨水鎮守府に来る前はこの人陸上勤務でしたよね?」
鳳翔 「ええ ちょっとこの話は長くなるわね。 この人はもともと別の鎮守府で司令官として働いてたの。その時の秘書艦が私。
そこで充実した日々を送っていたわ・・・でもある日私の指示のミスで情報が洩れて、深海棲艦が防衛網を突破して鎮守府に上陸してきたの。
その事件で結局、その鎮守府は敵に占領され、命からがら逃げれた私とこの人と艦娘は全員無事。
でも提督は永久陸上勤務 まぁ永久の陸上謹慎処分ね・・・それで私は日本海軍の艦艇から除籍されたわ。
だけど彼は偶然乗り合わせていた連絡船に敵が来て、その時の指示が評価されて海上勤務に戻れたの・・・
私のせいでこの人も巻き込んじゃったの今でも責任を感じているわ 取り返しがつかない罪よ・・・」
加賀 「・・・・・・・・・・」
種田 「いや それは違う。」
鳳翔 「あら 起きてたんですか。」
種田 「途中から・・・ あれは最終確認しなかった俺の責任だ あそこの鎮守府の責任者は俺だったんだから」
鳳翔 「何度も言いますがあれは私の責任です。」
種田 「それはこちらのセリフだ。何回言わせたいんだ・・・」
鳳翔 「・・・・・・・・・・・・・・」
鳳翔は昔の事を思い出して泣くのをこらえていたが種田への責任を一層感じ、涙を流していた。
種田 「はぁ~ わかった わかった 泣くな。 じゃあ俺の今の鎮守府で働くってのはどうだ?」
鳳翔 「もう私は海軍の艦艇から除籍されていますし・・・私の装備はもう・・・」
種田 「いや 何も軍の下で働けと言っているんじゃない。 そうだな・・・槨水鎮守府で飲み屋を営む軍事戦略顧問ってのはどうだ。」
鳳翔 「・・・提督 しかしそれは・・・」
種田 「これはお前の責任を知識とコミュニケーション能力で帳消しにするという事だ。 ずっと働いてもらうが・・・」
鳳翔 「・・・・・・・・・・・・わかりました。」
鳳翔は少し考えた後、返事をした。
加賀 「私って邪魔ですか?」
種田 「いや いや すまない。お前に渡したいものがあってな・・・鳳翔」
鳳翔 「はい こちらですね」
といって細長い小包を鳳翔は加賀に渡した。
加賀 「これは・・・烈風改に彗星(江草隊) 天山一二型(友永隊)まで それに二本ずつ・・・すごい・・・」
種田 「鳳翔と研究し続けて一緒に作った精鋭航空機だ。瑞鶴と使え。 まぁ軍に隠していた航空機何だが・・・」
加賀 「わかりました・・・私もいつか昔の鳳翔さんとあなたのような事をしたいです・・・」
種田 「えっ? 私も なんだって」
加賀 「いえ 何でもありません」
鳳翔 「ふふ 照れてる加賀ちゃんも可愛いわね。うつむいててもわかるくらい顔が真っ赤・・・頑張ってね」
種田 「さっきから話が呑み込めないんだが・・・」
加賀 「提督はもういいです。 何でもないんです。」
種田 「そうか? よしじゃあ戻るか。 鳳翔荷造りをしておけ 後で迎えに来る。」
鳳翔 「楽しみに待ってます。」
種田 「じゃあ・・・」
鳳翔 「提督 何でいい雰囲気になったからってお勘定払わず逃げるのかしら・・・」
種田 「い いや これは違う。 請求書には槨水鎮守府さまで 後払いだ。 ははは そうだ そう言えばさっきから俺の事、提督って言ってたぞ・・・」
鳳翔 「えっ・・・し 支払いについてはわかりました じゃあそうしときます。 じゃあ 加賀ちゃんも」
加賀 「お話有り難うございました。 照れた鳳翔さんも可愛いですよ!」
鳳翔 「か 加賀ちゃん」
そして二人は店を後にした。
ホテルにつく頃には日付が変わろうとする時刻だった。
加賀とホテルに入っていくと・・・
艦娘達 「「「ずいぶん遅いですね」」」
龍田 「普通じゃないホテルにでも行ってたのかな うふふふ」
愛宕 「あらあら」
金剛 「Why? 普通じゃないホテルって何ですか?」
夕立 「夜にホテルに行くのって何か違うっぽい? 寝るためにホテルに行くのにー」
高雄 「はいはい 駆逐艦の皆は知らなくていい事よー」
駆逐艦達 「「「えーー」」」
瑞鶴 「あなたたち・・・まさか・・・もう」
種田 「ちがーーう 少し長話をしてただけだ。」
加賀 「ええ そうよ 全く何もなかったわ。 あっ全くではなかったわね」
全艦娘 ジロ
種田 「そっち系じゃなーい とにかくこんなに時間まで起きてたのか 早く寝るぞ」
加賀 「どこで寝る気ですか?」
種田 「普通に」
加賀 「大部屋一つに私たちは寝るのですが・・・」
種田 「え? 俺は・・・どこに」
加賀 「知りません」
種田 「そ そんな・・・ すごい疲れてるんだが」
加賀 「はぁー 隅で寝れば良いのではないですか? もちろん変な気を起こしたら即、消えますけど・・・」
種田 「宜しくお願いします」
種田は皆に頭を下げ 部屋の隅で寝た。
しかし女子多数の部屋に一人の男、当然緊張してほとんど寝る事は出来なかった。
種田の朝は早かった。 よく眠れなかったためだ。
まだ日は昇っていなかったが種田は海軍の軍服を着て外へ出た。
とても静かで心が落ち着いた。種田はその後、まっすぐ海軍省内の海軍通信指令室に向かった。
種田 「すまん、失礼する。 槨水鎮守府宛に電報を打ってほしいんだが・・・」
通信指令長官 「おはようございます 種田少佐。 すみませんが、槨水鎮守府宛に電報は打てません。敵に通信を傍受され内容が筒抜けです。」
種田 「大丈夫だ。 特別な暗号を使うからな・・・ちょっと待て 今、内容を書いた紙を見せる。」
通信指令長官 「ん? なになに・・・ 私はいつもあなたをあんじています。お元気ですか? 私は元気です。 出稼ぎはもうすぐ終わりそうです。
もう少しの間待っていてください。 って恋文ですか!」
種田 「いや 槨水鎮守府にいる長門に様子はどうだという文だ。これなら深海棲艦も意味が分からないだろう。 普通に民間の周波数で送ってくれ」
通信指令長官 「なるほど・・・わかりました。」
こうして種田は槨水鎮守府に電報を打ち海軍省を出ようとした時、誰かとぶつかった。
種田 「あっすみません」
??? 「いえ 大丈夫です。 すみませんでした。」
かなり若い声だ。 顔を上げ階級章を見て驚いた。この彼は海軍大将の階級だったのだ。
種田 「し 失礼しました。」
??? 「いえ じゃあ」
と言って彼は上の階へと向かった。 まさかあんな若い奴が海軍大将だとは思わなかった。
種田は驚きつつその後、宿に皆と朝食を食べるため戻った。
宿に着くと丁度玄関に電と陽炎がいた。
電 「あれ? 提督さんどこにいっていたのです?」
種田 「あれ何で電が・・・って遠征班の護衛艦として出撃してたのか」
電 「はいなのです。昨日、合流しました。」
陽炎 「んで どこに行ってたんだよ?」
種田 「ああ 海軍省に電報を打ってもらいに行ったんだ」
陽炎 「ふーん まぁいいや 朝食食べに行こう 皆、待ってる」
種田 「はーい」 ガス
陽炎 「何が はーいだ。 皆待ってるんだぞ」
種田 「はい わかりました」
と会話しつつ皆で朝食を食べ始めた。
響 「ハラショー これはうまい」
暁 「本当ね って響言葉遣い・・・うまいじゃなくて美味しいでしょ。」
金剛 「Oh~ この和食はおいしいね」
利根 「うん 遠征明けの朝飯は美味い」
筑摩 「姉さん ご飯粒が口についてます」
などとみんなで会話していると海軍の士官が慌てた様子で朝食会場に入室してきた。
士官 「種田少将 槨水鎮守府の長門より 緊急電が届いております。」
種田 「読め」
種田の短い2文字で部屋の空気が変わった。
士官 「はっ 提督 もう緊急の為、暗号なしで電報を打った。 槨水鎮守府近海の敵勢力が激しさを増していてそう長くはもたないかもしれない。
至急、戻ってきてくれ。 との事です。」
種田 「わかった・・・ 全員 5分で飯を食い終わり支度が出来次第、外に集合。行動開始」
加賀以外の艦娘 「何? どういう事なのよ・・・」
種田 「話は後だ。急げ」
種田は朝食が終わってから皆に敵勢力の侵攻についてや直掩艦隊への合流の話をする予定だったためこの事態は加賀と俺しかわからないのだ。
種田 (くそ またあの時の様な事は絶対させるか・・・)
種田は鳳翔の時と同じあの恐怖を感じていた。
次巻も宜しくお願いします。
次巻は槨水鎮守府を支援するため本国直掩艦隊と共に出撃します。
また質問などどんどんお願いします。
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