プロトタイプとオリジナルと艦娘と
とりあえず完結・・・まぁ続編かくもしれませんが・・・
設定
ディープライト鉱石
10年ほど前に発見された莫大なエネルギーを内包した鉱石。艦娘艤装のエネルギー源として使われている。そのまま使うと性質上人体に悪影響を及ぼす。だが艦霊と契約した艦娘ではその加護により影響を免れることが出来る。ちなみにこの事実は公表されておらず知っているのはごく一部の人間のみ。
深海棲艦のコア
鹵獲した深海棲艦に内蔵され莫大なエネルギーを内包した鉱石のようなもの。深海棲艦の階級が上がるほど強力なコアが内蔵されている。ディープライト鉱石の反物質にあたる。
時雨の新型艤装
対空機銃を排除、対艦戦闘に特化し火力と速力を強化した。武装は12.7㎝主砲兼電磁ブレードトンファー2基と5連装に増設した酸素魚雷2基
皐月の改良型艤装
火力強化を重点において強化された。従来の武装は全て排除し機関を強化・・・パワーをあげることで試製51㎝単装貫通魚雷砲を問題なく扱えるようにした。
試製51㎝単装貫通魚雷砲
駆逐艦であるため大口径の主砲を装備できない皐月の為に開発された武装。火力を確保するため駆逐艦でも装備できる魚雷を砲弾として打ち出す砲。着弾後標的内部に進入後爆発するように貫通弾頭を使用する。非常に大型であり扱いは難しい。
覚醒
山城が手に入れた力?山城の強化具合から見ても圧倒的であり艦娘として本来発揮できる力の様だ。
軽空母
オリジナルの1人・・・コマンダーに従っている。ナイトメアシステム騒動の際、人類側投降していたがコマンダーの下に戻っていたようだ。一応男性らしいのだが中性的な顔立ちと長い髪のおかげで女性だと思われていた。
重巡
オリジナルの1人・・・コマンダーの部下で正規空母に従うふりをしていた。丁寧な口調に洗練さえれ仕草・・・メイドのような感じ。女性・・・皐月曰く変態野郎
駆逐艦
正規空母に従うオリジナル・・・駆逐艦とは思えないほどの火力と全艦トップのスピードを持つ。初めは装甲が薄く機銃ですら致命傷に無いかねなかったが装甲を強化し弱点を克服した。だがその強化が災いし中途半端な性能とされ簡単に撃沈された。
吹雪
特型駆逐艦1番艦、元第7鎮守府所属で雪風の副艦。不知火とは艦娘になる前からの関係・・・2年ほど前の出撃大破させられ意識不明のまま昏睡状態になっていた。だが復帰し大破した不知火の代わりに第9鎮守府に臨時配属された。戦闘に関しては不知火以上であり戦術や艦隊指揮にも優れるバランス型。
航空巡洋艦
正規空母に従うオリジナル・・・一見清楚な見た目に落ち着いた雰囲気だが切れやすく口調が変わりやすい。能力はそれほど高い方ではない。
戦艦
正規空母に従うオリジナル。分厚い装甲に大口径の主砲と豊富な対空装備と一見弱点は無いようにみえる。事実艤装には弱点は存在せずオリジナルの中で最も艤装は強力。だが問題の使用者の能力は中程度。
駆逐棲姫
駆逐艦型の深海棲艦、姫クラスであり実力は時雨に匹敵しコマンダーに付き従う。正体はコマンダーと共に平行世界から現れた時雨。向こうの世界で搭載したナイトメアシステムによってほとんど暴走状態で戦うが時雨との経験差で敗れる。
コマンダー
突如現れオリジナル率いて暗躍した男。正体は駆逐棲姫と共に平行世界から現れた隊長本人。隊長曰く「頭は俺と同じで大して良くない」
潜水艦
最初にオリジナルに進化した男であり彼のデータを元に航空戦艦たちが生まれた、真のオリジナルであり全ての艦種の力を引き出せる。丁寧な口調と物腰で見た目は執事のよう。
方舟 艦橋
時雨「あれは?・・・あの光は一体?」
艦橋から隊長たちが交戦していた海域に白く暖かな光が見える・・・なぜだろうかあんなに暖かいのにすごく・・・すごく不安になる。まるで命を燃やしているかのように見えるからか。
雪風「ディープライト鉱石と・・・深海棲艦のコアとの共鳴現象」
時雨「え?・・・」
阿賀野「・・・まさか特殊艤装のコピーコアと共鳴したの?」
時雨「じゃあ・・・隊長が危険じゃないか!!」
ディープライト鉱石がもし共鳴現象を起こしたのなら・・・隊長の身体はボロボロになっている筈。すぐに明石さんに知らせないと・・・
明石「やほー!!」
時雨「うわ!?・・・ええ!?」
あれ?・・・なんでここに明石さんが?作戦開始時はいなかった筈だけど・・・
明石「いやぁ・・・こんなこともあろうかと艦内に忍び込んでいたんです!」
腰に手をあて胸をはって得意げに話す彼女は・・・まぁいいやそれこそ運良かった。
雪風「明石!・・・隊長が危険なの!」
明石「え?・・」
阿賀野「そうよ・・・なんとかしなさい!」
明石「いや・・・私の登場には無反応?」
時雨「そんな事はどうでもいいから!!何とかして!」
胸倉をつかみにらみつける・・・この際なんでとかはどうでもいいのだ。自然と手に力が込められる。
明石「ぐぇ・・・ちょっと・・・もうちょっと私の・・」
時雨&雪風&阿賀野「あ?」
明石「はい・・・ごめんなさい」
素直でよろしい・・・まったくふざけている場合ではないのに。
明石「はぁ・・・まぁでも隊長なら問題ないですよ?」
時雨「え?・・・でも」
明石「あの光は確かに共鳴現象ですけど・・・・完全な共鳴現象ですから危険どころか身体にいいぐらいですよ」
雪風「話が・・・読めないけど?」
明石「隊長は簡単に言えば死体にディープライト鉱石埋め込んで蘇生処置を施した・・・」
阿賀野「それはは知っているわ?ディープライト鉱石のエネルギーで生きていけるけど、そのエネルギーの性質が身体に負担をかけているのよね?」
明石「・・・それは普段の話ですよ・・・完全な共鳴現象で発生するエネルギーは別物です」
・・・つまりどういうことだ?
明石「先程の共鳴現象は・・・”完全”な共鳴だったんですよ・・・だからエネルギーの性質が変わって身体、えっと各種細胞の活性化や進化つまり傷の回復や身体機能の著しい強化が見込まれるです」
時雨「完全な?・・・共鳴?」
明石「ああ・・・そうかそこから説明が必要か」
しまった・・・とでもいいたげな仕草を見せる。
明石「まぁ・・・まずプロトタイプと言うのはですね・・・・」
明石の話によると・・・まずプロトタイプと言うのは当時新発見のディープライト鉱石を動力にしたパワードスーツであったがディープライト鉱石の特性上身体に害を与える物であった。
それの実用化させるために反物質ジェネレーターを用いて物質と反物質が対消滅を起こすことでエネルギーを発生させつつ危険な特性を打ち消そうとするプランが浮かび上がった。
その際に深海棲艦のコアが・・・丁度ディープライト鉱石の反物質であることが判明しジェネレーターに組み込まれたが出力の調整が難航したうえ対消滅反応が起こらないという問題が生じる。
その後実験の際にジェネレーターが暴走し・・・結果的に共鳴現象によって特性の変異が発見されたが、その後の実験では特性の変異が確認される完全な共鳴現象は起きることが無かったので開発中止となったのだ。
時雨「はぁ・・・」
明石「つまり今回の共鳴は過去のデータと一致していたので安全です!」
雪風「・・・そうなら」
最上「時雨!!・・・」
時雨「ん?・・・どうしたの?」
最上「し・・・不知火が!!」
入渠ドック
不知火「・・・」
・・・最上に呼ばれて向かった入渠ドックでは不知火が修復を受けていた。高速修復用の大きなカプセルに入っている不知火は見ていられないほどの酷い状態だった。
夕立「・・・はぁ」
時雨「夕立・・・君は大丈夫?」
夕立「ええ・・・私は無傷よでも」
そう話す夕立は酷く困惑しているようだった。一体何故?不知火だって並の艦娘よりは十分強いのだ、ここまでやられるなんて。
時雨「・・・どうしてここまで」
最上「夕立さん・・・一緒に戦っていたんでしょ?」
夕立「それが・・・・私も困惑しているのよ」
話によると中破していた不知火は突如現れた深海棲艦に対して異常な反応を示し突撃・・・・迎撃されここまでやられたらしい。
最上「不知火・・・」
山城「・・・失礼するわね!」
不意に入渠ドックの扉が開かれる・・・そこには山城と雲龍に運ばれる隊長の姿があった。
時雨「隊長!?・・・でも明石さんは」
雲龍「無事よ・・・ただ意識を失っているだけ」
山城「ええ・・・先程明石さんから指示をうけて入渠ドックに運べって」
時雨「そうか・・・よかった」
雲龍「でも・・・これじゃ艤装はダメね」
雲龍は隊長に装着されている艤装に目を向けた・・・至るところに損傷・・・特に胸部のコア部分の損傷は致命的にもみえる。
明石「・・・さぁてやりますか」
またも不意に扉が開かれた。今度は明石か・・・しかし何故ここに隊長を運んだのだろうか。
明石「あ・・・皆さんは退出を」
最上「え?」
雲龍「・・・」
山城「どうして?」
明石の発言に皆が驚く・・・確かに出来ることはないだろうがわざわざ退出する必要はない筈だが?
明石「・・・いまから艤装の解除をおこないそのうえで隊長の身体に異変がないか検査をします・・・まぁはっきり言うとグロいので」
最上「そう言うこと・・・」
山城「・・・何するのよ?」
明石「・・・簡単にいうとまず血液を全部抜いて、内臓器官のチェック・・・」
雲龍「・・・何言っているの?」
明石「その後はディープライト鉱石を取り出して・・・部品の交換を」
雲龍「明石!!」
聞いた事のない声だった。雲龍が・・・あんな悲鳴のような大声をだすなんて。最上と山城は事態が飲み込めていないようだ。
明石「・・・びっくりするじゃないですか」
雲龍「すまなかったわ・・・でもあなたの言い方ではまるで・・・隊長は・・・」
時雨「人間じゃないよ?・・・プロトタイプっていう戦闘兵器さ」
雲龍「時雨?・・・あなた」
時雨「僕達艦娘と同じ・・・深海棲艦へ対抗するために生み出された」
明石「人類の・・・1つ目の希望です」
方舟 艦橋
副官「・・・」
まるでお通夜のような空気だ。それも仕方あるまい作戦は成功した・・・だがオリジナルの襲撃によって不知火と隊長の2名が意識不明したのだから。
桐生「さぁて・・・副官さん?」
副官「はい・・・葛葉大将の指示で第9鎮守府に向かいます」
桐生「そうですかぁ・・・愛しの我が家には戻れませんねぇ」
名城「仕方がありませんよ・・・海藤中将が天鳥船を強奪した以上は」
桐生「まぁ・・・我が家を襲撃された以上はたっぷり復讐させていただくけどねぇ」
ニタァ・・・そんな顔している。この男はどうも好きなれるきがしないな。
副官「それで・・・この隊の指揮なんですが」
桐生「副官さんで」
副官「いえ・・・私は方舟の指揮が・・・」
名城「・・・ここは桐生提督が行うべきです」
桐生「えぇ?・・・君はぁ?」
名城「私は第3鎮守府に戻らなければなりませんし」
桐生「・・・・・・じゃあやりまーす」
ふぅ・・・なんというかやはり苦手だ。その時、艦内用通信から音声が流れる・・・この声の主は明石さんか?
明石「えっと入渠ドックから報告です・・・隊長については問題ありません、しばらくすれば目を覚ます筈です」
そうか・・・それはよかった。彼が目を覚ましてくれればまだ・・・まだこの隊にも希望が見える。
明石「不知火さんですが・・・こちらは命は問題ありませんが・・・」
副官「・・・どうしたんですか?」
明石「身体の欠損部分が多いのと艤装が完全に使い物なりませんし・・・なにより」
名城「・・・」
明石「精神状態が酷すぎますね・・・これでは」
桐生「使い物になりませんかぁ・・・」
副官「桐生提督!・・・言い方が」
桐生「なぜ?・・・事実でしょ?」
キョトンと・・・さも当然かのように言い放った。
桐生「・・・まぁ戦力低下と言うほどではありませんがねぇ」
入渠ドック
ここは?・・・確か俺は戦闘中に意識を失って・・・そうか、回収してくれたのか。
明石「目を覚まされましたか・・・」
隊長「明石か?・・・ん?何故ここに?」
明石「葛葉大将の指示です・・・隊長の緊急事態に備えだと言ってましたよ」
葛葉の指示か・・・奴め今回のクーデターといい随分と用意が良すぎるな・・・まるで何が起こるか知っていたようだ。
隊長「・・・知っていた?」
明石「はい?・・・何がです?」
隊長「いや・・・なんでもない」
まさか葛葉は何が起こるのか知っていたのではないか?・・・それならあのタイミングでのクーデター・・・そして第2鎮守府部隊との配置図と明石の派遣すべてに納得がいく・・・だが何故知っていたんだ?
明石「隊長?」
隊長「いや・・・なんでもない」
明石「そうですか・・・それでお話が」
隊長「あぁ・・・どうした?」
艤装が使いものにならない・・・・俺はそう明石に言われた。あれだけのエネルギー・・・特殊艤装では耐えれるわけはないか。これではしばらくは戦うことはできなくなる・・・もしまたオリジナル達が現れたら?俺は・・・何も出来ないのか。
明石「・・・しかし」
隊長「ん?」
明石「方法はあります・・・」
隊長「なに?だが艤装は・・・」
明石「・・・プロトタイプ」
何?・・・プロトタイプだと?あれは出力が不安定で封印され挙句の果てには稼動すら危ういはずだ。
明石「今回の共鳴反応で・・・仮説が立証できました」
隊長「説明を・・・」
明石「はい・・・」
プロトタイプの共鳴反応・・・本来の物質と反物質の関係なら対消滅反応を起こすがディープライト鉱石と深海棲艦のコアの関係においてその代わりに起こる現象。これは人類にとって全く未知の現象であり既存の科学の常識では考えられないことであった。
明石が言うには対消滅とは違い共鳴には対象となるエネルギー量が完全に同値で無ければならないため、いままでの実験では成功しなかったようだ。
つまり俺に埋められたディープライト鉱石と同値のエネルギー量をもつ深海棲艦のコアを見つければ・・・オリジナルは稼動できるとのことだった。
隊長「そうか・・・だがコアに心当たりはあるのか?」
明石「ありますよ・・・艦娘と同等の能力を持った深海棲艦のコアであればいいので」
隊長「?・・・艦娘と?だがそんなコアは」
明石「元艦娘の深海棲艦・・・といえばわかりますか?」
隊長「・・・優華」
明石「ええ・・・先程サルベージに成功したとの報告がありましたので第9鎮守府に着けば直ぐにでも作業に入れます」
隊長「・・・そうか」
明石「はい・・・それではもう一度新しいジェネレーターの稼動評価をしたいので」
隊長「仮死状態だな・・・わかったよ」
明石「そうです・・・ではおやすみなさい」
そう言って明石は薬物を投与した。・・・だんだん目の前が霞んで・・・意識が遠のいて・・・い・・・く
明石「しかしこのタイミングで揚陸艇姫となった優華さんのコアが見つかるなんて・・・まるで仕組まれたみたい」
明石「・・・もしかしたらプロトタイプやオリジナルの開発が遅れていたのも?・・・流石にそれは考えすぎ・・・よね?」
第9鎮守府
副官「・・・はぁ」
ため息・・・こんな深いため息は久しぶりな気がするな・・・たしか隊長が着任した時だったか?しかし事態が次から次へと進んでいくからよくわからないことが多過ぎる。
桐生「・・・副官さんため息ついたら幸せがにげますよぉ」
ほぉら笑顔笑顔・・・・と続ける彼の目は決して笑ってはいない。全く・・・人には言う癖に自分はなにも笑っていないではないか。
雲龍「桐生提督・・・葛葉元帥から通信がはいっています」
桐生「はいはい・・・では繋げて」
一本だけ突き出した人差し指を振りながら答えると秘書艦である雲龍は端末を操作する。すると画面に葛葉元帥・・・?さっき葛葉元帥といったか?
葛葉「・・・久しぶりだな・・・?隊長はどうした?」
桐生「ええ・・・先日の戦闘で負傷されましてぇ・・・復帰されるまではぁ私がこの隊の指揮を執っています」
葛葉「そうか・・・では用件を」
桐生「そぉの前に」
何の変哲もないひと言・・・だがそのひと言には酷く冷たく・・・重たいどす黒い感情が見え隠れしていた。
葛葉「・・・なにか?」
桐生「・・・このたびのクーデターの真意をお聞きしたいですなぁ」
笑顔・・・彼は確かに笑っている。だが横にいる私には・・・彼の表情には怒りの感情がにじみ出ているように見える・・・
葛葉「・・・それは今話さなければいけない程重要なのかな?」
桐生「重要ですねぇ・・・だって返答次第ではぁ」
葛葉「次第では?」
桐生「テメェ・・・ぶっ殺すぞ?」
・・・
葛葉「・・・」
・・・・・・
桐生「・・・」
・・・・・・・・・沈黙は破られた。
葛葉「では答えよう・・・だがそれは隊長がいるときにしたいのだが」
桐生「いいですよぉ?・・・隊長も恐らく僕と同じ考えですし」
葛葉「そうだな・・・恐らく君と同じ事を言っただろうな」
桐生「あぁ・・・あれ隊長の真似したんですよぉ?似てました?」
葛葉「ふふ・・・まぁまぁ似ていたよ」
桐生「まぁまぁですかぁ・・・練習しようかなぁ?」
なんとか和やかな雰囲気になってくれたか・・・あの沈黙は正直息苦しかった。うう・・胃がきりきりする・・・・
雲龍「副官さん?・・・大丈夫?」
副官「ええ・・・いや大丈夫じゃありませんよ」
雲龍「・・・もし隊長が目を覚ましていたら問答無用で大本営まで乗り込んで切りかかっていたわよ?」
副官「はぁ・・・桐生提督でよかった」
また1つ大きなため息をつく・・・そんな私を知ってか知らずか桐生提督と葛葉元帥は歓談を楽しんでいるようだ。まったく・・・あとは隊長が目を覚ますだけだな・・・明石さんの報告ではもうそろそろのはずだが・・・
入渠ドック
明石「適合率・・・90%・・・稼働率も問題ないわね」
カタカタと音を立てながらコンソールをいじる。 新型ジェネレーターは問題ない・・・次は再起動して隊長を目覚めさせるだけだ。
明石「・・・後は艤装か」
ふと奥に鎮座する白いパワードスーツに目を向ける。大きさは特殊艤装より同じぐらい・・・見た目も禍々しい感じは無くあえて言えば正義の味方といった所か。
明石「さて・・・じゃあ起こしますか」
カチカチっと入力すると装置が音を立てて稼動する。カバーが開かれるとそこには隊長がいた。目を閉じて・・・まるで眠っているように見える。
明石「・・・懐かしいな」
隊長「・・・」
明石「でももう・・・終わったことよ」
雪風「・・・明石?」
明石「!?・・・雪風さんですかぁ」
雪風「・・・何してたの?」
明石「調整が終わりましたので・・起こそうとしただけですよ」
雪風「そう・・・」
ふぅ・・・急に現れるもんだから驚いたな。・・・まぁ見られて困るようなことはしていないからいいんだけど・・・
雪風「ねぇ・・・」
明石「はい?」
雪風「なんであなたの艤装を解体したの?」
明石「・・・」
雪風「・・・ねぇ知ってる?ディープライト鉱石は厳重に管理されているの」
明石「何が言いたいんです?」
雪風「隊長に埋められたディープライト鉱石は何処から用意したのかしら?・・・リストには動きは無いんだけど」
明石「・・・それを知ってどうするんですか?」
雪風「・・・さぁ?でも理由ぐらいは知りたいかな」
・・・沈黙だ。どうもこの沈黙は好かないな・・・しかしまさか雪風に嗅ぎつかれるとは。
明石「・・・確かに隊長に埋め込んだのは私の艤装のディープライト鉱石ですよ」
雪風「そう」
明石「・・・理由はここでは話せません」
雪風「・・・ならまた今度の機会に聞くわね」
明石「はい・・・」
雪風「・・・じゃあ私は部屋に戻らせてもらうわ」
明石「そうですか・・・私は隊長が目を覚まされるまでここにいますので」
雪風「ええ、起きたら呼んで頂戴」
そういって彼女は入渠ドックを後にした。しかし私の艤装を解体した事が気づかれるとは・・・少々面倒なことになるかもしれない。うそをついたとしても通用しないだろうし・・・だからといって真相を言うことはしたくない。墓場まで持っていくと決めたのだから。
天鳥船 艦橋
海藤「・・・」
正規空母「以上が今回の報告だ」
海藤「やはり奴は脅威となりえるか」
正規空母「あぁ・・・今回はなんとかなったが次は勝てるかどうかわからんぞ?」
海藤「・・・その点については問題はない」
正規空母「なに?まさか・・・」
海藤「アレが完成した・・・後は時が来るのを待つだけ」
正規空母「そうか・・・ではその時とやらを楽しみに待っているさ」
海藤「あぁ・・・」
第9鎮守府 執務室
コンコン・・・誰だろうか?まぁだれにしても助かったな、やはりこの桐生提督の雰囲気は苦手だし・・・
桐生「どうぞぉ~」
副官「!・・・」
気の抜けた声が流れると扉が開かれる・・・その先には以前とは雰囲気が変わった隊長が立っていた。
隊長「よぉ・・・」
桐生「・・・随分と雰囲気変わりましたねぇ」
隊長「あぁ・・・今回の改修で生体部品が減ったからな」
副官「・・・生体部品?」
隊長「あぁ・・・心配かけてすまなかったな」
副官「い、いえ・・・」
生体部品?・・・それに改修と言った?隊長はいったい何者なのだ・・・
桐生「いやぁ・・・これで私はお役御免ですねぇ~」
そうか・・・隊長が戻った以上指揮官は隊長に戻るわけか
隊長「?・・・桐生提督にはこのまま指揮官を勤めて貰うが?」
桐生「へ?・・・なんでぇ?」
葛葉「・・・それについては私から説明するよ」
副官「!?・・・葛葉元帥閣下!?失礼いたしました」
声がする方に向くとその先には葛葉元帥が立っていた・・・いつの間に
葛葉「・・・そう硬くならないでほしい、私達は昔からの友人ではないか」
副官「・・・はぁ」
まぁ・・・確かにその通りだが・・・まぁ仕方ない
桐生「・・・でぇ何故私が?」
不満そうだ。顔・・・とういうか全身から不満オーラが出ているなこれは
葛葉「君の作戦指揮能力が隊長より優れているからだ」
桐生「はぁ・・・いや・・・」
隊長「謙遜するな・・・俺は直接戦闘なら海軍1かもしれないが作戦指揮は苦手でね」
桐生「はぁ・・・もうわかりましたよぉ」
苦手・・・か、隊長の能力で苦手といわれると正直複雑な気分だ。
副官「・・・しかしこの艦隊は先の作戦のために結成されたんですよね?ならばもう解散する筈では?」
葛葉「・・・その予定だったが天鳥船の奪回しなければならなくてね」
桐生「はぁ・・・ならさっさと奪回でもなんでもしません?」
葛葉「まぁ・・・作戦自体はすぐにでも始めるからな」
桐生「なら明日・・・いや今日でもいい」
・・・そんなに指揮を執るのが嫌なのか?部下である私は正直複雑だな
葛葉「ふふふ・・・やる気は買うが準備もあるからね?決行は3日後だ」
桐生「・・・了解でぇす!この桐生創、粉骨砕身・・・指揮させていただきます」
隊長「・・・で」
副官「?」
葛葉「・・・今回の件だな」
桐生「えぇ・・・隊長さんの目覚めを首をながぁくして待ってたんですから」
隊長「そうか・・・ではなぜクーデターを起こした?しかもあのタイミングで」
葛葉「・・・海藤が我が国に反旗を翻そうとしていたのは知っているか?」
隊長「あぁ・・・テメェの演説で聞いたよ」
葛葉「これは事実だ・・・現に作戦海域には海藤配下の機動部隊が潜伏していた」
桐生「えぇ・・・そのおかげでこちらは大変でした」
葛葉「海藤はあの日・・・方舟が作戦を開始した段階でクーデターを決行する予定だった」
副官「・・・」
葛葉「そして私の息のかかった主力艦隊を排除し一気に海軍を掌握するつもりだったのだ」
隊長「・・・」
葛葉「私はこのクーデターを防ぐために先手を打ったのさ」
桐生「ほうほう・・・」
隊長「しかしあそこまで詳細な情報を掴んでいたのであれば・・・もっと先に手を打てたんじゃないのか?」
副官「ええ・・・私も見ましたがあんな詳細な配置図を手いれられるんならクーデターを阻止することもできた筈です」
葛葉「・・・話の本題はここからだ、今回の情報は私がクーデターを起こす直前にもたらされたのだ」
桐生「直前?・・・急ですね?密偵がいたのだったら兆候ぐらいは」
葛葉「送ってきた先は密偵ではないよ?」
副官「?・・・話が読めませんね」
葛葉「・・・コマンダーと呼ばれるオリジナルを指揮する人物からだ」
第9鎮守府 演習室
明石「・・・みなさーん艤装はどうですか?」
明石が通信で呼びかける・・・
雪風「大丈夫よ」
夕立「はいはい」
金剛「OK・・・・」
皐月「いいよー」
皆順番に応答していく・・・ふぅ・・・少し変な感じがするけど
明石「・・・時雨ちゃん?」
時雨「あぁごめん、ちょっと違和感が・・・」
明石「ふーむ・・・まぁ時雨ちゃんのは一番手が加わっているからね」
時雨「うん・・・対空機銃は排除して主砲を強化・・・」
明石「・・・それに改良型のナイトメアシステムも搭載されていますし」
雪風「大規模改装ね・・・私のに比べると余計そう感じるわね」
明石「まぁ・・・夕立と雪風のはナイトメアシステムを搭載しただけだし」
皐月「まぁそれだけ能力が高いんだからいいよねぇ」
そういって新型の艤装と魚雷砲を見せ付けるようにぐるっと一回りして言い放った。
雪風「・・・そうでもないわ」
金剛「・・・それでなにやるんデスカー?」
明石「今回は試験運転・・・ちょっと回ってらうだけよ」
ぶっきらぼうに言うと携帯端末をいじりだした・・・データでもとっているんだろうか?
時雨「・・・回るだけ?」
雪風「みたいね?」
明石「じゃ・・・皆お願いねー」
合図と共に一斉に動きだした・・・回るだけといわれたが、まぁ楽でいいや。
明石「よーし・・・皆もいいわよ?」
しばらく演習コースを走っていると明石が終了の合図をする。今度も皆一斉に動きを止め、明石のところに集まった。
金剛「もう終わりデース?」
皐月「物足りないねぇ・・・」
金剛と皐月は少々不満そうだ・・・それもそうか、あの二人は主に武装面での強化がなされているから試したいのだろう。
明石「武装に関して後ほどやりますよ、それよりも今回の特殊改装についてですが・・・」
明石は二人の気持ちを察したようだ・・・後ほどと言う言葉に皐月と金剛の表情から安堵の色が見えた気がした。
明石「対オリジナルを主眼に置いた改装がなされています・・・その意味はわかりますね?」
夕立「私達でオリジナルの相手をしろってこと?」
明石「ええ、その通りです」
雪風「でも私と夕立の武装はそのままよ?」
明石「・・・オリジナルに対してはいくら武装を強化しても意味はありませんよ」
皐月「え!?、そうなの?」
明石「はい、艦娘は対深海棲艦に特化した兵器です、ですので深海棲艦以外には砲撃威力が減衰されるんですよ」
金剛「フーム・・・」
明石「それを解決するのが、ナイトメアシステムです」
時雨「・・・そういえば詳しい話を聞いていなかったね」
明石「ええ、今度の特殊改装で皆さん・・・あと瑞鶴さんの艤装に搭載されましたから、説明することにします」
ここではなんですから・・・と言って明石は僕たちを別室に案内する。別室・・・教導室と呼ばれている部屋で演習の反省等をおこなう所・・・だがこの第9鎮守府では殆ど談話室と化しているが・・・
瑞鶴「・・・ごめんごめん、遅れちゃったよ」
皆が席に着いたころに瑞鶴が談話室・・・もとい教導室に現れた。
明石「かまいませんよ・・・いまから始める所でしたし」
明石「さて・・・ではナイトメアシステムのことですが」
まずナイトメアシステムとは・・・艦娘がもつ在りし日の軍艦の記憶を呼び覚まさせることで艤装能力を強化するものである。軍艦時代の・・・特に戦闘における記憶を呼び覚ます為、各艦毎強化で現れる能力に違いがある。
例えば、先日のナイトメアシステム暴走の際夕立の砲撃火力は明らかに常識はずれの物であった。これは軍艦夕立が第3次ソロモン海戦において圧倒的な戦果を挙げた事をナイトメアシステムによって呼びさまされたからである。
つまり軍艦時代において類まれな戦果をあげていれば何かしらの高い能力が発揮されるのである。それは逆に軍艦時代に戦闘経験がない、戦果をあげていない場合はナイトメアシステムの性能が生かせないのだ。
明石「・・・簡単に説明しましたがなにか質問はありますか?」
雪風「てことは、ここにいる皆は武勲艦なのよね?」
明石「ええ・・・皐月は各戦線を戦い抜いた武勲艦ですし」
皐月「戦艦金剛も長く戦い抜いた艦だからね・・・」
金剛「瑞鶴って言えば日本屈指の武勲艦よね・・・」
瑞鶴「そんな事言ったら雪風は世界レベルじゃないの」
雪風「時雨も戦時中は私と並び称されるほどの幸運艦だものね」
時雨「これだけの艦娘ならばオリジナルに対抗できる・・・てことか」
明石「はい、では明日からはシステムの運用について指導します・・・それでは今日は解散していいですよ」
明石のひと言で皆教導室を後にする・・・しかし暇だな。
時雨「まぁ・・・一眠りするかな」
そう決めて教導室を後にしようとしたところだった。不意に演習場から艤装の駆動音が聞こえた。
時雨「・・・演習?誰かな」
教導室の扉を開ける。その先には白い特殊艤装のような物が演習メニューをこなしていた。
時雨「・・・なにあれ?」
阿賀野「時雨ちゃんは初めてになるのか」
不意に声が聞こえた方に目線を向ける。阿賀野さんか・・・あれについて何かしっているんだろうか?
阿賀野「おはよー、新しい艤装はどう?」
時雨「ぼちぼちかな・・・であれは?知ってるんでしょ?」
阿賀野「ええ、あれは隊長の本来の艤装よ」
時雨「じゃあ・・・あれがプロトタイプ?」
阿賀野は目線を白い艤装に向けたまま頷く・・・話に聞いてたイメージとは少し違うな、もっと禍々しいものだと思っていた。
阿賀野「この前の共鳴現象のおかげで問題が解決したみたいよ」
時雨「ふーん」
そうか・・・これなら隊長は次も出撃できるのか、心強いな。だが・・・
時雨「・・・阿賀野さんは何故知っているんだい?」
阿賀野「・・・私と隊長と雪風はある研究機関で一緒だったのからね」
時雨「そうなんだ・・・」
阿賀野「・・・ねぇ?」
時雨「ん?」
阿賀野「そいえば・・・時雨ちゃんは艦娘になる前はなにしていたの?」
時雨「・・・僕?」
随分と急な質問だな・・・まぁ話して困るような物ではないからいいんだが。
時雨「・・・東京にいたよ?」
阿賀野「・・・どこ?」
時雨「・・・スラム街のほうさ」
東京・・・10年ちょっと前だったか深海棲艦の第一波を受けた都市。その中でも東京湾に近い東京23区は壊滅的な被害を受けた。あまりにも被害が大きすぎた為日本政府は都市としての機能を攻撃の受けにくい内陸にある長野県に移動、東京23区は完全に放棄される形となった。
23区には壊滅的な打撃を受けた。だが少数ながら住民の生存も確認されていた。しかし当時の政府は機能の殆どを一夜にして失ったダメージが深く残っており万全に機能しているとは言いがたい状態だった。そのためより被害の甚大な23区に救援や援助行われなかった。
そんな状況で生きていた住民は?・・・・どうにかして生きていくしかない。働く会社も、売買をおこなう商店もない・・・もはや金に意味は無い、ならばモノはどうやって手にいれる?・・・物々交換で手に入れるか?それとも・・・
始めは皆理性的だった。だが誰かが・・・名も知らぬ誰かが犯した強盗が全てを変えた。皆の理性は失われそこには地獄が残っただけだった。僕は丁度物心ついたぐらいで始めはただ逃げ惑うだけだった。
だがしばらくして僕はあることを知った。人間って思ったより簡単に死んでしまうんだってこと。カラダの小さい僕でも男の人を殺せるって事を。そこからは楽だった。欲しいものは幾らでも手に入る。奪ったっていい、騙したっていい、何ならすこし相手してやればいいんだ。
そんな生活をはじめてからしばらくして夕立に出会った。僕と夕立は同業者だったから互いの縄張り争いになって夕立を殺しかけた。だがそこで夕立の仲間ににスカウトされて仲間になった。その後は組織の殺し屋まがいの事をしていた。
時雨「・・・ていう感じ」
阿賀野「可愛い見た目してヘビーな生活してたのねぇ」
時雨「これはは艦娘になってからさ・・・その前は結構な良いカラダしてたんだけど」
阿賀野「へぇ・・・」
時雨「この見た目じゃ説得力ないけどね・・・阿賀野さんは?」
阿賀野「へ?」
時雨「阿賀野さんは何してたんだい?」
阿賀野「・・・死んでた」
時雨「はぁ?」
何を言っているんだ?・・・死んでた?・・・どんな意味なのだろうか?
阿賀野「言葉の通りよ?・・・私は死んでたの」
演習場
心臓部に内臓された共鳴炉は順調だ。エネルギーは力強く生成されるおり、身体の隅々まで行き届いているように感じる。その為か身体が軽く今までの特殊艤装とは比べ物にならないほどのパフォーマンスを発揮できている。
隊長「・・・ふぅ」
とりあえず明石から指定された演習メニューはこなせた。体感ではパワーは倍近くまでは向上している。これなら正規空母や航空戦艦にも対抗できる筈だ。
隊長「・・・ん?」
あれは時雨?・・・阿賀野もいるのか、なんというか珍しい組合せな気がするが・・・
明石「隊長・・・どうかされましたか?」
隊長「ん・・・いやなんでもないさ」
明石「そうですか?・・・なら今度は武装のチェックに入りましょう」
明石からの通信が終わると工廠から新型の武装が送られてくる。
隊長「・・・!」
電気信号で送られた情報が俺の手の中でくみ上げられ実体化していく。送信された物は二振りの刃渡り90センチほどの実体剣になった。
隊長「・・・これが武器?」
明石「ええ・・・電磁ブレードとは違って重量がありますから扱い方が変わりますが・・・」
隊長「問題ない・・・むしろ重さを感じるほうが振りまわしやすいさ」
重さは感じるがそれほどではないな・・・だが軽すぎることも無い、扱いやすい重量感だ。
隊長「・・・威力は?」
明石「電磁ブレードより強力ですよ?しかも強度も艤装と同じですから主砲の直撃にも耐えられます」
隊長「ほう・・・そいつはいい」
明石「それと・・・武装はもう1つありますよ」
隊長「ん?・・・もう1つ?」
明石「ええ・・・使用は危険ですので普段は使えませんが・・・」
隊長「そうか・・・だがこれだけで十分強力さ」
与えられたばかりのおもちゃをいじくる子供のように新しい剣を振り回す。演習用の標的は剣によって両断され、その威力に俺は少しだが興奮して来た。これなら戦闘時間の制約も無く戦えるし何より性能が段違いに上がっている・・・実戦に参加するのが楽しみだ。
明石「・・・時間です」
演習終了のアラームが鳴り響く・・・途中からは実戦を意識した3次元機動をしてみたが文句なしの機動力だ。今までの特殊艤装ではパワーと重量の関係で出来なかった動きが出来るようになっている。軽量かつ高出力で重装甲という弱点が見つからないほどだ。
明石「プロトタイプの出来はどうです?」
隊長「予想以上だ・・・これなら艦娘よりも強いんじゃないのか?」
明石「対オリジナル戦では優位ですけど対深海棲艦では艦娘が優位ですね・・・」
隊長「・・・艦娘と直接戦闘では?」
明石「おそらく艦娘です・・・プロトタイプは深海棲艦のコアをそのまま使用しているので」
隊長「そうかオリジナルは・・・」
明石「ええ・・・コアを埋め込んだ結果深海棲艦とは別のものに進化しましたから」
つまり三すくみの様な関係か・・・なんとも興味深いものだな。プロトタイプとオリジナルと艦娘と・・・その三者のバランスが取れていれば誰かが優位となることも無い。誰かが優位とならねば暴走も置きにくくなるな・・・
隊長「・・・これなら人間同士の戦いも」
明石「隊長?・・・どうしました」
隊長「なんでもないさ」
そんなことを考えている時ではないな・・・今は次の作戦に集中しなければ。
????
コマンダー「・・・」
駆逐棲姫「コマンダー?・・・」
コマンダー「・・・駆逐棲姫か」
駆逐棲姫「・・・ドウシタノ?」
コマンダー「彼がプロトタイプとして目覚めた・・・」
駆逐棲姫「ソウ・・・ジャア僕達ノ役目モモウソロソロダネ」
コマンダー「あぁ・・・その時は」
駆逐棲姫「ウン・・・僕モ一緒ニ」
コマンダー「・・・ありがとう」
駆逐棲姫「・・・コノ世界ハ守リタイナ」
コマンダー「俺達に出来ることはここまでさ・・・だが」
駆逐棲姫「ウン・・・大丈夫ダヨ?ダッテ」
コマンダー「・・・彼らがいるからな」
?????
ここは何処だろうか・・・病室の様だけど見覚えの無いところだ。確か私は鎮守府を襲った襲撃部隊と交戦して・・・?
吹雪「・・・死んだ筈」
ならここは天国?・・・だとしたら面白い。せっかく天国にいると言うのに病室に篭もらないといけないなんてね。
吹雪「・・・もしそうなら滑稽すぎるわね」
コンコンと扉を叩く音がした・・・面会者か・・・だれが来るのだろうか?
吹雪「どうぞ・・・」
音を立てずに開いた扉の先にはよく知っている一人の少女が立っていた。
吹雪「・・・不知火?」
不知火「・・・おねぇちゃん」
吹雪「どうしたの?・・・しかもその姿は」
不知火「・・・今はそんなこと問題じゃないよ」
吹雪「?・・・どういう?」
不知火「お願いがあるの・・・」
吹雪「・・・でも」
不知火「大丈夫・・・おねぇちゃんはあと少しで目を覚ますから」
吹雪「え?・・・」
不知火「・・・私の代わりに守って欲しい人たちがいるの」
吹雪「かわり?・・・]
不知火「もう私は戦えなくなってしまったから・・・心も身体も・・・」
吹雪「・・・不知火」
不知火「お願い・・・おねぇちゃんだけが頼りなの・・・私の代わりに」
吹雪「でも・・・私は」
不知火「・・・おねぇちゃんが艦娘になったわけも戦うわけも知っているよ?」
吹雪「だったら!・・・私は」
不知火「・・・一生のお願いだから」
吹雪「・・・はぁ」
不知火「おねぇちゃん・・・」
吹雪「わかったよ・・・たった一人の家族が・・・困ってるんだもの」
不知火「!・・・おねぇちゃん!!」
吹雪「不知火?任せなさいよ・・・あなたの友達・・・私が皆を守るんだから」
不知火「ありがとう・・・おねぇちゃん」
吹雪「あれ・・・急に眠く・・・う」
不知火との話が終わると急に強い眠気が襲った・・・さっき言ってた・・・目覚めるってのは・・・このこと?・・・意識が・・
第1鎮守府 艦娘医療棟
目を覚ますとそこは病室だった・・・先程の病室とは違いここは見覚えがある。たしか第1鎮守府の艦娘用の医療施設だったはず・・・
吹雪「うう・・っと」
身体を起こす・・・幸い点滴しかされていなかったため起き上がることが出来た。
吹雪「ふぅ・・・そうか約束を・・・」
その時不意に病室の扉が開けられた・・・
青葉「・・・吹雪さん?」
吹雪「青葉さん・・・お願いが」
青葉「何を?・・・まだ寝ていないと」
吹雪「不知火との約束を・・・果たさなければいけません私を・・・不知火の元に」
青葉「何を・・・」
吹雪「不知火が戦えなくなった今・・・私が代わりに不知火の仲間を守らなければ!」
青葉「!?・・・何故それを・・・」
吹雪「お願いです・・・」
青葉「・・・わかりました、その代わりかなりの激戦になりますよ?」
吹雪「大丈夫です・・・今度は死ぬために戦うわけじゃありませんから」
第9鎮守府 執務室
桐生「では明日0900に第9鎮守府を出港しますから・・・間に合うように準備お願いしますねぇ」
副官「・・・わかりました」
桐生「ええ・・・明日の出撃ですべて決めます、ですから皆さんがんばっていきましょ」
隊長「・・・では最終確認に向かう」
桐生「はいはぁい・・・」
副官「・・・私も方舟の様子を見てきますね」
桐生「はい・・・行ってらっしゃい」
二人が執務室を後にする・・・残ったのは自分だけだ。明日は決戦・・・これが上手くいけば日本海軍は憂いなく深海棲艦と戦える。しかも指導者はあの葛葉だ・・・彼ならばよりよくまとめ上げるはず。
桐生「・・・同時に危険性も孕むがね」
1人の優秀な人物による組織の掌握・・・つまり独裁政治と言う奴だ。この事態を望んでいた訳ではないだろうが・・・奴はこの事態にどう対処するつもりなのだろうか。
桐生「まぁ・・・とりあえずは明日だねぇ」
第9鎮守府 入渠ドック
隊長「・・・」
目の前にある白い艤装は鈍い輝きを放っている。明日俺はこの艤装を着けて出撃する・・・俺が生まれ変わる理由となった艤装であり俺の生まれ変わった意味を否定した艤装でもある。
隊長「・・・今になって着る事になるなんてな」
時雨「隊長?・・・」
隊長「時雨か?・・・一体どうし・・・」
不意に心地よいぬくもりに身体を包まれた・・・一体何があったのか理解できなかった。
隊長「・・・し、時雨?」
時雨「・・・」
・・・抱きつかれている。時雨に前から抱きつかれている。
時雨「・・・ごめん」
隊長「どうしたんだ?」
時雨「・・・なんとなくさ」
そう言うと時雨は離れた・・・名残惜しいな。
隊長「急にやるなよ、驚いた」
時雨「嫌なのかい?」
時雨は口を尖らせてジト目をこちらに向ける。
隊長「出来るなら・・・」
時雨「うん?」
隊長「・・・お前の温もりをずっと味わっていたかったな」
時雨「え?・・・」
時雨は頬を赤く染めた
隊長「時雨・・・」
二人は見つめ合ったまま抱き合って見つめ合い・・・
時雨「・・・くく」
隊長「・・・はは」
笑いをこらえることが出来なかった。
時雨「クサ過ぎるよね・・・その台詞」
隊長「すまんすまん・・・つい面白くなってな」
時雨「まったく・・・まぁいいさ」
隊長「・・・時雨」
時雨「ん?・・・まだ抱き合うの?」
隊長「・・・嘘を吐くのは趣味じゃない」
時雨「ちょっと・・・あ」
隊長「・・・ん」
時雨「ん・・・ふぅ」
隊長「・・・行こうか」
時雨「・・・うん」
方舟用ドック
副官「・・・」
訓練支援艦てんりゅう・・・海上自衛隊時代に建造された護衛艦の1つである。本来は訓練用標的機の運用を目的とした艦船であり本来は戦闘用ではない。今目の前にある箱舟はそのてんりゅうを元に艦娘運用艦として改造されたものだ。
対する明日交戦する天鳥船はいずも型護衛艦を対深海棲艦用に大規模改装を施した代物だ・・・排水量は下手したら10倍ほど差がある。しかもこちらは艦娘の運用に主眼を置いているため直接戦闘は苦手だ。大して相手は日本海軍旗艦としてふさわしい戦闘能力と部隊運用能力を持っている。
まともに戦えばこちらが海の藻屑になりかねない。だがそんな事は桐生提督も葛葉元帥もわかっている・・・明日はあの二人が考えた作戦にかけるしかない。
副官「・・・今度は方舟だけは沈めるわけにはいかないな」
最上「そうだね副官さん?」
副官「!?・・・最上さん」
不意に声がした。声の主は最上だった。彼女がこんなところに来るなんて珍しいなと思っていると他にも何人かの姿が見えた。
山城「ええ・・・私達のもう1つの家ですから」
天龍「あぁ、こいつが沈んじまったら帰れなくなるからな」
雲龍「・・・それに戦えない不知火の為にも沈めるわけにはいかないわ」
副官「みなさん・・・」
最上「副官さんが辛気臭い顔して歩いてたもんだからさ・・・」
山城「気になっちゃったんですよ、ね?」
天龍「おう・・・俺とは短い付き合いだが俺達同じ鎮守府の仲間だからな?」
雲龍「ええ、ここには時雨と隊長はいないけどあの二人も気にすると思うわよ」
副官「はは・・・心配おかけしました」
まさか彼女達にここまで心配させてしまうとは・・・私はそこまで思いつめていたのだろうか。
最上「気にしないでよ・・・それにさ?方舟を守りたいのは副官さんだけじゃないって」
山城「そうですよ、”私達の”家なんですから」
天龍「・・・俺達も協力するぜ?」
副官「・・・ありがとうございます」
深く頭を下げる・・・いままで私は彼女たち艦娘に対して一歩退いたところであまり深く入り込まないでいた。自分は大して期待されてはいない、自分は皆によく思われていない、そんな事を自分で勝手に決め付けていた。
雲龍「あなたのこと、皆信頼しているのよ?」
副官「雲龍さん・・・みなさんも」
皆に視線を向ける。皆私の目を見てくれている・・・そうだ艦は私ひとりで動かせる物ではない、艦橋にて共に戦う士官や方舟を母艦とする艦娘たち、艤装の整備員など皆がいるから戦えるのだ。
副官「明日は第9鎮守府始まって以来の危険な任務です・・・共に守りましょう私達の家を。共に帰りましょう私達の鎮守府に誰1つかけることも無く」
最上「うん」
山城「はい」
天龍「おう」
雲龍「ええ」
副官「ふふ・・・しかしこんな時に隊長と時雨は何しているんでしょうね」
雲龍「ああ・・・あの二人なら」
最上「雲龍は知ってるの?」
山城「・・・互いに唇を重ねあっていたり?」
天龍「あー・・・あの二人だろ?そんな事」
雲龍「山城正解」
最上「え?見たの?」
雲龍「私も見たくは無かったわ?でも入渠ドックであんなことされたら見てしまうわよ」
山城「あぁ・・・それはご愁傷さまです」
天龍「・・・しかたねぇな」
副官「まぁ・・・第9鎮守府らしくていいですね」
最上「まぁ・・・確かにね、しかし良いイジリネタが出来たよ」
山城「そうねぇ・・・これは絶対に皆で帰らないとね」
天龍「ああ・・・こんな面白そうなところ見ないわけにはいかねぇな」
雲龍「そうね・・・時雨も隊長もね」
副官「はい・・・」
方舟を見上げる・・・天鳥船に比べれば酷くちっぽけに見えてしまうかもしれない。それでもここにいる皆がいれば負けない・・・なぜなら私1人ではなく第9鎮守府の皆で戦っているんだから・・・
第9鎮守府 出撃ポート
桐生「・・・もうそろそろなんですけどぉ」
今は0850・・・出航まで10分。
副官「すみません・・・まさかうちの隊長がまだ来ないなんて」
桐生「いえいえ・・・」
後10分しかないのだから普通は全員集まっている筈だ・・・だがこの第9鎮守府の連中はまだ全員集まっていないのだ。
桐生「・・・来たようですねぇ」
時間がぎりぎりだと言うのに悠々と歩いてきた・・・これでも高い戦果を上げた優秀な軍人だと言うのだから困る。
隊長「・・・すまんな少し遅れた」
桐生「同伴出勤とはぁ・・・昨夜はお楽しみでしたかね?」
時雨「・・・気に障る言い方だね」
桐生「まぁ・・・皮肉ぐらい言わせてくださいよ?」
隊長「ふふ・・・俺達が悪いからな仕方ないさ」
時雨「・・・そうだね」
やや不満顔の時雨を連れて隊長は艦内に入っていった。
桐生「・・・さぁてもうそろそろ出航ですがぁ」
副官「・・・きました!」
先程の隊長とは違い猛ダッシュという言葉ピッタリな程必死の走りだ・・・見た感じでは駆逐艦だな。
吹雪「はぁ・・・すみません新型艤装の開発が遅れてしまって」
桐生「・・・吹雪!?」
駆逐艦吹雪・・・1年ほど前の第7鎮守府襲撃の際に負傷し意識不明の重体に陥った艦娘だ。
吹雪「あ・・・桐生提督?どうしてここに」
桐生「お前こそ・・・意識がもどったのか!?」
吹雪「はい・・・桐生提督にはこの任務が終わり次第報告するつもりでしたが」
桐生「そうか・・・良かった、君が生きていて」
副官「桐生提督・・・時間です」
桐生「っ・・・そうですねぇじゃあ吹雪さんよろしく」
吹雪「は?・・・はい」
不思議そうな吹雪を見送ると横にいた副官に視線を向けた。
副官「・・・無理してふざけた口調にしなくても、貴方が真面目なのは見ていたらわかりますよ」
桐生「・・・はぁ?さっさといきますよ?」
心の底を見られたようで実に不快だな・・・だが吹雪が戻ってくれたの正直嬉しかった。しかし吹雪が今私を見たらどう思うのだろうか?腑抜けた?重圧から逃げた?・・・間違っていない以上何もいえないが。
方舟 作戦司令室
桐生「さぁと皆さん・・・これより天鳥船奪回作戦の作戦概要を説明しまぁす」
立ち上がると集まった艦娘は私に視線を向ける。
桐生「まずは作戦目標を伝えますね・・・」
第1目標は天鳥船の奪回・・・それが困難であれば破壊
第2目標は首謀者である海藤元中将の生死を問わず確保
第3目標は当作戦を遂行する際の障害になりえる勢力の撃滅
副官「それでは作戦の説明をはじめます」
まず艦娘部隊は第1、第2に分かれて方舟にて待機。方舟は天鳥船の射程距離外から一息に突撃。 至近距離まで接近したら第1艦娘部隊は出撃し隊長の大型ブレードを用いて船体に穴を開けて侵入、制圧。その後方舟は射程距離外まで後退、第2部隊はそこで方舟の護衛を行う。
隊長「それでは・・・部隊のメンバー分けを発表する」
第1部隊
旗艦 隊長
副艦 雲龍
随伴艦 青葉 金剛 天龍 響 阿賀野 以下艤装兵
第2艦隊
旗艦 雪風
副艦 瑞鶴
随伴艦 時雨 加賀 最上 吹雪 山城 皐月 夕立
隊長「以上だ・・・なにか質問はあるか?」
雪風「いいかしら?」
隊長「かまわん・・・なにか」
雪風「どうやって天鳥船まで接近するの?」
副官「私が答えましょう・・・まっすぐ突撃するんですよ」
その場がざわついた・・・副官は1つ咳払いをして皆の視線を集める。
副官「心配はない・・・機関を臨界にまで出力を上げ機動力と装甲に全部使用するから接近し後退するまで沈むことは無い」
雪風「わかったわ」
天龍「艦内に突っ込んだら後はどうするんだ?」
隊長「・・・その後は俺と雲龍で一隊づつ率いて艦橋を目指して進軍、艦橋を制圧し天鳥船を奪還する」
天龍「艦内は広いんだろう?俺達だけで大丈夫か?」
隊長「問題ない・・・天鳥船も方舟同様少人数で運用出来るように機能は艦橋に集中してある」
雲龍「艦橋を制圧できれば艦内の隔壁を操作できる・・・もし艦内に多数の兵士がいたとしても安全に隔離できるわ」
青葉「最悪そのまま無力化できますしね」
青葉のその言葉に天龍は顔を歪める・・・対する青葉は何かとでも言いたげな顔だ。
天龍「・・・わかった俺は以上だ」
桐生「他にはありませんかぁ?・・・ないならちゃっちゃと準備しちゃってください」
桐生のひと言で艦娘一同は解散し各員艤装の最終調整に向かった。
桐生「・・・はぁ」
吹雪「あの・・・桐生提督?」
桐生「ん?・・・あぁ吹雪か」
振り向いた先には吹雪が立っていた・・・不思議そうな顔でこちらを見ている。
吹雪「私のせいですか?」
桐生「はぁい?・・・」
吹雪「・・・雪風さんから聞きました、私が大破してから提督は人が変わったって」
桐生「・・・」
吹雪「・・・桐生提督」
桐生「・・・僕はね、弱い人間なんですよぉ?」
吹雪「・・・?」
桐生「実に弱い・・・部下の死を目の前に自分を偽ることでしか乗り切れなかったんですから」
吹雪「・・・そんな」
桐生「軽蔑するか?・・・こんな提督を」
吹雪「しませんよ・・・私だって桐生提督の事いえませんから」
桐生「・・・吹雪も?」
吹雪「ええ・・・私もです」
桐生「そうですか・・・はは、そうか」
吹雪「はい!」
桐生「・・・自分を偽るのは止めだ」
吹雪「その方がいいですよ?」
桐生「では早速・・・」
吹雪「え?・・・えっと」
すっと立ち上がり吹雪を抱き寄せた。対する吹雪は急なことで驚きを隠せない様で顔を真っ赤にしている。
桐生「好きだ・・・吹雪」
吹雪「え・・・」
桐生「返事はしなくて良い・・・ただ私の思いを偽り無く伝えたかっただけさ」
吹雪「・・・桐生提督」
桐生「行こう吹雪、今は任務に集中しなければな」
吹雪「はい!」
方舟 艦橋
桐生「すまない、遅くなった」
副官「桐生提督?・・・」
気のせいだろうか?さっきとはまるで別人のようだった気が・・・
桐生「副官、現在時刻は?」
副官「え?・・・えっと1045ですが」
やはり気のせいではなかったか、まるで別人である。いかにも軍人であるオーラをまとっている。
桐生「作戦海域に着くのは?」
副官「予定時刻は1125です」
桐生「・・・うむ、各員に告げろ、作戦海域に到着次第作戦を始める」
副官「はっ!・・・あの桐生提督?」
桐生「なんだ?」
副官「・・・どうかされたのですか?」
桐生「・・・自分を偽るのをやめたのさ」
そういった彼の目は今までとはまるで違うものだった。正直いけ好かないし苦手だったが今の彼なら信じるに値する・・・そう思えた。
方舟 出撃ポート
隊長「各員、艤装の最終チェックを」
雲龍「問題ないわ」
青葉「こちらも・・・」
天龍「異常なしだ」
阿賀野「いいわよ」
金剛「・・・問題なしよ」
響「準備はできてる」
艤装兵たちもそれぞれが答えていく、最終チェックはみんな出来ているようだな。
隊長「よし・・・後は出撃のタイミングまで待機だな」
雲龍「しかし、この資源の無駄遣いがここに来て役に立つなんてね」
コンコンと大型ブレードを小突きながら雲龍は話す。
隊長「・・・今までも大活躍だったが?」
雲龍「あら?そうだったかしら、よく壊されていた気がするけど」
隊長「まぁ・・・それは・・・まぁうん」
痛い所を突かれたな・・・前回の戦闘でも破壊されているから何も言い返せない。
阿賀野「雲龍、あんまりいじめちゃダメじゃないの」
青葉「そうですよ?拗ねちゃいますって」
隊長「お前らな・・・」
阿賀野「・・・時間よ」
隊長「あぁ・・・各員!いつでも出られる様にしとけよ!」
方舟 艦橋
桐生「副官!機関出力最大!!」
副官「はっ!・・・機関出力最大!」
時は来た・・・今より方舟は天鳥船奪回作戦を始める。まずは第1段階、方舟の最大出力を用いて天鳥船突撃し突入部隊の援護を行う。
副官「出力・・・最大!」
桐生「よし・・・出力は現状を維持!電磁フィールド展開後、速力最大で突撃する!」
副官「了解!・・・突入部隊に連絡、合図次第出撃せよ」
隊長「こちら突入部隊、了解した」
電磁フィールド展開が終わり方舟は60ノットの超高速で進んでいく・・・方舟自体は小型の船舶であり本来このスピードで航行すれば船体へのダメージも考えられる。だが展開した電磁フィールド、そして強化された装甲によってビクともしない。
桐生「さて・・・いくぞ方舟!」
天鳥船 艦橋
海藤「・・・来たか」
正規空母「どうするんだ?」
海藤「とりあえずは迎撃だな・・・おそらく奴らは突入部隊を送り込んでくるはずだ、そのタイミングでこちらも・・・」
正規空母「ふむ・・・ではこちらの何人かでひきつけよう」
海藤「頼む、こちらからも先行量産型をだす」
正規空母「・・・オリジナルの量産型か」
海藤「あぁ・・・それと君には離脱する方舟に向かって欲しい」
正規空母「方舟に?・・・わかった、では突入部隊はお前に任せる」
海藤「・・・武運を祈る」
正規空母「・・・お前もな」
方舟 艦橋
副官「天鳥船から砲撃・・・至近弾です!」
桐生「気にするな!まだ当ってはいない!」
接近するほど迎撃が激しくなっていく、普通の艦ならとっくに粉々になっているだろう・・・こちらが普通の艦ではないこと位知っている筈だが?
桐生「・・・副官」
副官「はい?・・・」
桐生「誘っている・・・君の意見は?」
副官「私もそう思います・・・海藤なら方舟のスペック位知っているでしょうから」
海藤はおそらく接近させるつもりでいるのだろう・・・恐らくこちらの動きも読まれているはずだ。
桐生「・・・艤装兵は艦内にて待機、各員は白兵戦の準備を!」
副官「それでは突入部隊は!」
隊長「話は聞かせてもらった、俺も桐生の意見に賛成だ」
出撃ポートから通信が送られてくる・・・隊長は敵の作戦に気づいたようだな。
桐生「それならお願いします、恐らく海藤は・・・」
隊長「白兵戦部隊を潜入させる・・・方舟も天鳥船同様内部から攻めたほうが楽だからな」
副官「はぁ・・・ですが内部は」
隊長「むしろ俺達だけの方が楽だな」
おそらく内部にも罠が仕掛けられているはずだ・・・歴戦の彼らだけの方が事実動きやすいだろう。
副官「はぁ・・・ならいいのですが」
桐生「そうと決まれば一気に突っ込むぞ!隊長、艦首に部隊を集めてくれ」
隊長「わかった・・・行くぞ!」
桐生「副官!電磁フィールドを艦首に集中!私が合図をしたら解除するんだ」
副官「はい!」
方舟は速度を維持し天鳥船に接近する、天鳥船は迎撃自体はしている物のやはり誘っているようでどうにも密度が薄く感じてしまう。そんな状態では方舟が天鳥船に接近するまでに対して時間はかからなかった。
副官「距離150!・・・桐生提督!」
桐生「そのままだ!こちらの電磁フィールドで中和する!」
副官「はい!距離70・・・ぐ!?」
酷く船体が揺れる、こちらの電磁フィールドと相手の電磁フィールドがぶつかったのだ。互いに干渉し合いかなりの音と光をあげる、こちらは艦首に集中して電磁フィールドを展開しているため恐らく負けることは無いはずだ。
副官「桐生提督!敵電磁フィールド・・・突破!」
桐生「よし!!電磁フィールド解除・・・・突入部隊!突っ込め!!」
隊長「任せろ・・・突撃する!」
隊長の号令と共に突入部隊が出撃する・・・電磁フィールドは中和されている為後は方舟の搬入ハッチを突破するだけだ。
桐生「レールガン、CIWS掃射!突入部隊を援護しろ!」
副官「了解・・・撃ちまくれ!」
天鳥船周辺
隊長「よし・・・各員俺に続け!」
阿賀野「了解!・・・ん?」
隊長「どうした?」
阿賀野「敵よ!・・・あれは迎撃目的ではないわ」
青葉「方舟に侵入するつもりですね・・・どうします?」
隊長「うむ・・・」
確認しただけでも8人程、普通の艤装兵なら問題ないが・・・
阿賀野「この反応、オリジナル!?」
隊長「なに?・・・しかし」
雲龍「阿賀野の言うと通り、あれはオリジナルよ」
天龍「・・・マズいんじゃねぇか?」
天龍の言うとおりかなりマズイ・・・迎撃するにしてもこちらの艤装兵では太刀打ちできないだろうし、離脱するにしても取り付かれた時点で離脱は困難だ。
金剛「なんなら私達で迎撃する?」
響「そうだね、天龍ちゃんと金剛さんと私で迎撃しようか」
隊長「わかった・・・だが相手はオリジナルだ、無理はするなよ」
響「わかった・・・では行こうか天龍ちゃん、金剛さん」
金剛「オーケーオーケー・・・」
天龍「おう!」
響を中心に方舟の援護に向かっていった、彼女達なら離脱開始までの時間を稼げるだろう・・・後は俺達が上手くやれるかどうかだ。
隊長「さて・・・と」
背部にマウントしていた大型ブレードを取り出す・・・ズシリとその重さが両腕にかかる。
雲龍「・・・隊長!ハッチが見えたわ」
雲龍が指差す先に目を向ける。確かにその先には増設された艤装兵用出撃ハッチが見えた、だがその前には護衛の部隊が展開されていた。
青葉「ご丁寧に護衛まで・・・完全に読まれてますね?」
阿賀野「そうね、これなら私達だけで来て正解だったわ」
隊長「あぁ」
雲龍「で?・・・どうするつもり?」
展開している機影は全部で10体ほどか・・・距離が離れている為機種はわからないが、向こうはこちらの動きを伺っているようだ。ならばここは先手を打たなかったことを後悔させてやるか・・・俺達のやり方でな
隊長「簡単だよ・・・なぁ?」
青葉「ですねぇ・・・」
阿賀野「んふふ・・・確かに」
雲龍「・・・愚問だったわ」
隊長「特務機動戦隊の突撃・・・見せてやるぞ」
号令と共に陣形を組む・・・先頭は俺、右翼は青葉、左翼は阿賀野、後衛は雲龍だ。
雲龍「援護するわ・・・艦載機、久しぶりに使うわね」
後衛から艦載機が発艦し、艦攻と艦爆の編隊が護衛部隊にむかって飛んでいく・・・
雲龍「青葉、阿賀野・・・タイミング合わせなさい」
青葉「言われなくても・・・」
阿賀野「わかってる!」
そう言うと二人は左右に散開を始める、対する護衛部隊はこちらの攻撃に備えて陣形を整えた・・・
隊長「開いたな・・・」
護衛部隊は判断を間違えた、彼らは自分の身を守る為に守るべき対象の護衛をおろそかにしてしまった。そのため出撃ハッチの前に1人分ちょっと程の隙間が出来てしまったのだ。
青葉「さて・・・では撃ちますか」
阿賀野「ええ、この砲撃で相手を釘付けに!」
青葉と阿賀野は主砲で砲撃を加えていく・・・狙いは二の次、面制圧を意識した砲撃を浴びせていく。
護衛部隊1「の砲撃・・・これでは動けないか」
護衛部隊2「艦載機も来ます!・・・ここは」
護衛部隊1「迎撃だ・・・奴らの砲撃は囮、本命は艦載機だぞ!」
青葉「ただいま戻りました」
阿賀野「・・・本命は艦載機だってよ?」
雲龍「ふふ、正解だけどはずれね・・・だって」
隊長「本命はこの剣でハッチをぶっ壊すことだからな!」
雲龍の艦載機は護衛部隊の迎撃をすり抜け肉薄、各機がそれぞれに爆弾や魚雷を撃っていく。それとほぼ同時に阿賀野、青葉の魚雷も迫っており護衛部隊はこちら攻撃への対応で精一杯だ。
隊長「単縦陣!!遅れるな!」
通信機から了解の声が聞こえる・・・よしいけるぞ。大型ブレードにエネルギーをく送ると高密度の青白い光を放ちながら展開した。前回の戦いで壊れた大型ブレードだが修理と共に今回の天鳥船の超振動装甲を突破するために強化されている。そのため威力は絶大だ。
隊長「うおぉぉぉぉぉぉぉぁ!!」
速度はそのまま、ただ突っ込むだけだ。
護衛部隊1「なに!?・・・まさか1人分の穴からハッチに!」
気付いたところでもう遅い、大型ブレードの刀身はすでにハッチを貫いている。
隊長「貫けた!・・・各員!!」
ハッチを貫いた勢いそのまま内部へ侵入に成功する。
阿賀野「了解!!」
青葉「クリア!」
阿賀野と青葉は艦娘の艤装を一部パージしながらこのエリアのクリアリングを行う。
雲龍「隊長!早く大型ブレードを!!」
隊長「・・・いけぇ!!」
ハッチに向かって大型ブレードを投げつける・・・今回の強化は出力の上昇を主眼に置いており、その出力は単純に10倍だ。そんなものを刀身の補強もせずに使うとどうなるのだろうか・・・答えは明白である。
護衛部隊1「突破され!?・・・なんだこれは?」
その強力すぎるエネルギーにジェネレータも刀身も耐えられず自壊してしまう・・・もちろんその強力過ぎるエネルギーと共に・・・
隊長「そのまま艦内に逃げるぞ!!急げ」
護衛部隊1「ん!?マズ・・・」
俺達が艦内に退避が完了すると同時に臨界に達した大型ブレードが大爆発を起こした。その衝撃に退避したはずの俺達も大きく揺らされる。
隊長「はぁ・・・なんて爆発だよ」
青葉「・・・これじゃ欠片も残りませんね」
阿賀野「まぁ・・・でも中途半端にやられて痛むよりはいいんじゃないの?」
雲龍「そんなことよりも私の艦載機の方が・・・」
隊長「いらねぇんじゃねぇのか?」
雲龍「さっきの連中よりは大事よ」
隊長「・・・あっそ」
青葉「さて・・・ではどうしますか」
青葉は携帯端末を操作しながらたずねる、恐らく現在地を確認しているのだろう。
隊長「全員でいくぞ、この数で別行動は流石に危険だ」
阿賀野「了解、じゃフォワードはお願いね?」
隊長「あぁ・・・青葉はそのまま侵入経路の指示を頼む」
青葉「了解です、ではあっちの扉から行きましょう」
方舟 戦闘海域
響「こちら響、これより方舟の直衛にまわる」
桐生「なに?」
こちらの報告に方舟は一瞬戸惑った様だ・・・
副官「桐生提督!艦に接近中の部隊が・・・」
響「そういう事さ、しかも相手はオリジナルらしくてね」
桐生「・・・わかった、隊長が侵入成功し方舟が航行可能になるまで援護を」
響「了解・・・いくよ天龍ちゃん、金剛さん」
金剛「ええ、ね?天龍ちゃん」
天龍「・・・金剛にまでちゃん呼ばわりかよ」
響「・・・ふぅ」
敵は8体・・・これが普通の深海棲艦ならば問題ない。だが今回相手はオリジナル、実際に戦闘経験はないが皐月や雪風の話では相当厄介らしい。となると数の不利を覆すのは難しそうだ。
響「・・・どうしたものかな」
金剛「・・・私に良い考えがあるわ」
金剛はウキウキとした表情で指の骨を鳴らしている・・・一体何をするつもりだろうか?
天龍「オイオイ・・・何するつもりだよ?」
金剛「簡単よ?ナイトメアシステムを使って一気にぶっ飛ばすの」
その比較的恵まれた胸を張り答える様はなんと得意気な事か・・・だがこれはただの力押しにすぎない。
天龍「何だそりゃ・・・何も考えてねぇじゃねぇか?」
金剛「ムム・・・でもナイトメアシステムなら数の不利を覆す事が出来ると思うんだよね」
それに今回は殲滅させる必要はない・・・時間さえ稼げればいいのだ。だが待てよ?数的不利な状況で時間稼ぎは厳しいか?ならば殲滅?・・・・金剛の提案も使えるかもしれないな。
響「・・・それで行こう」
天龍「はぁ?」
金剛の力を使えば上手くやれる、どちらにせよ先手で何体か潰せなければ時間稼ぎも出来ないのだ。ならばここは全滅させるつもりで戦った方がいいだろう。
響「・・・各員で同時に仕掛る、出来る限り数を減らすよ」
天龍「あわよくば殲滅、最悪敵の勢いを挫ければ十分ってことか」
響「あぁ・・・そういうことだね」
金剛「よっし!・・・じゃ早速」
天龍「おう」
金剛「システム起動・・・・」
金剛がシステムを起動させる・・・外見は特に変化はないようだが雰囲気が少し変わったか?
コンゴウ「んふふ・・・いい感じ」
響「金剛さんが先頭、天龍ちゃんと私は後ろにつくよ」
天龍「あぁ、わかった」
コンゴウ「了解!・・・行くよ!!」
金剛は敵部隊に突撃を始めた。敵部隊もこちらの攻勢に気付き迎撃準備に入ったようだ。
侵入部隊1「よし・・・来たな?オリジナルとなった俺達の力、試すに丁度いい」
侵入部隊2「では?」
侵入部隊1「迎撃する・・・正面の女に砲撃を集中させろ」
侵入部隊2「はっ!」
砲撃が飛ぶ・・・狙いの殆どは金剛に向かっている。しかし金剛は速度を緩めない。
コンゴウ「fooooooo!!」
金剛は奇声を上げ飛んできた砲弾を素手で殴り飛ばした。
コンゴウ「ふん!フン!・・・アハハハ!!」
うわづった笑い声と共に1つ、また1つと砲弾を殴り飛ばしている・・・その姿はまるで化け物のようだ。
侵入部隊3「何故だ!何故倒れん!!」
侵入部隊4「クソぉ!!もっとだ!もっと砲撃を集中だ!!」
コンゴウ「hey!!come more!!」
侵入部隊5「畜生!!いけぇ!!」
侵入部隊6「やってやる!!」
響「フッ・・・よくやってくれているよ」
天龍「あぁ・・・じゃ俺達も行くか?」
響「そうしよう・・・全艦散開!!」
私と天龍が左右に分かれる。金剛に集中しすぎていた敵部隊は急な動きに動揺しているのが見て取れる。
侵入部隊7「なに?散開した?」
侵入部隊8「作戦か?・・・俺達で迎撃を!」
侵入部隊1「陣形を崩すな!・・・ここは一番危険な先頭の奴を」
その時金剛が速度上げた・・・高速戦艦とは言われているがそれでも考えられないほどの速度で急接近している。
コンゴウ「go・・・to・・・Heeeeeeeel!!!」
侵入部隊1「な・・・」
金剛の速度の乗ったラリアットが炸裂する・・・その余りの威力に敵兵の頭部は吹き飛び、残った体は力なく海に沈んでいった。
侵入部隊2「あぁ!?・・・こいつ!」
敵兵は主砲を構えるがときすでに遅く、金剛によって構えた右腕ごと引きちぎられ武器を失ってしまった。
侵入部隊2「ひ!・・・あが!」
金剛の左腕が顔面を掴む・・・敵兵は余りの恐怖に逃げることも抵抗も出来ずにただメキメキと音を立てながらうめく事しか出来ない。
コンゴウ「離して欲しい?離して欲しいのぉ?・・・・無反応か、つまんねぇな」
左足を軸に敵兵を振り回し海面に勢いよく叩きつける・・・敵兵は声も上げることも出来ずに倒れた。
侵入部隊3「くそ!俺達はオリジナルになったんだぞ!!なのに・・・なのになんでぇ!!!」
主砲を撃ちながら突っ込んでくる敵兵はその台詞もあいまって実に哀れに見える。
コンゴウ「・・・hey men」
先ずは握り締めた右手で敵兵の顔面を砕く。
コンゴウ「How could I・・・」
次に体制が崩れた敵兵を掴み前方にぶん投げる。
コンゴウ「・・・know that!!」
最後に36cm連装砲の全門斉射を浴びせる、敵兵は跡形も無く吹き飛んだ。
天龍「・・・やるねぇ?」
侵入部隊4「・・・余所見とは舐めやがってぇ!」
敵兵は主砲を撃つが砲弾は着弾する前に天龍の刀によって切り捨てられてしまう。
天龍「舐めてなんかねぇさ・・・」
ギロリと睨みつける・・・その鋭い眼光の前に敵兵は一瞬威圧されてしまう。
天龍「テメェ相手なら・・・これ位で十分て事なんだよ」
水面を蹴り上げると天龍は刀を構えなおし速度上げる、その速度に敵兵は一瞬の隙を突かれ接近を許してしまう
天龍「・・・ふん」
すれ違いざまに切り捨てる・・・敵兵は血のような何かを吹き上げ崩れ落ちていった。
侵入部隊5「クソォ!!ぶっ殺してやる!!」
侵入部隊6「行けぇ!一気に攻めれば!」
射撃戦では分が悪いと思ったか残りの二人は電磁ブレードを構え接近戦に移行してきた。
天龍「確かにスピードとパワーはダンチだな・・・だけどよ」
艤装を展開させて主砲を構える。敵兵は主砲では有効打に無いと踏んでいる為か回避行動をとらずまっすぐこちらに突っ込んでくる。
天龍「戦い方が雑魚なんだよ!!」
主砲を放つ・・狙いは敵兵本体ではない、彼らがその手にもつ電磁ブレードだ。砲撃は見事に命中し敵兵は武器を失ってしまう。
侵入部隊5「なに!・・・くそ!」
侵入部隊6「うっ!こうなったらパワーを生かして!!」
天龍「無理だよ・・・お前はすでに詰んでいるのさ」
ふと水面に雷跡が見える数は6本ほどか・・・その全てが敵兵の二人に向かっていた。
侵入部隊5「な・・・・」
天龍「普通よりは頑丈かも知れんが・・・この魚雷の数と主砲の一斉射で無事でいられるかな?」
侵入部隊6「くそっ!!」
主砲の装填完了、魚雷命中、主砲全砲門一斉射・・・
天龍「・・・これがオリジナル?なんというか量産型みたいだったがな?」
煙が晴れるとそこには何も残っていなかった。跡形も無くなったかそれとも残骸は海に沈んでしまったか・・・どちらかは解らなかった。
響「残敵・・・2体か、ならば私が仕留めるとしようか」
相手はオリジナル・・・だが金剛や天龍との戦闘を見る限り雪風の報告には遠く及ばないようだ。これなら駆逐艦の火力でも十通用分するだろう。
響「・・・スピードを生かして攻める」
速度を上げる。現在の速度は36ノット・・・相手のオリジナルたちは思った様に速度が出せないようで十分に翻弄されてくれている。
侵入部隊7「速い!・・・狙いが」
侵入部隊8「ちぃ!こっちだってスピードは・・・」
スピードを生かし翻弄しながら砲撃を加える。やはり想定より装甲は薄いか、それに錬度の低さも目立つ・・・
響「面倒だ・・・さっさと死んでもらおうか」
速度はそのまま・・・敵部隊に突っ込む。
侵入部隊7「こいつ・・・突っ込んでくるぞ」
侵入部隊8「丁度いい、一気に仕留めるぞ!」
響「・・・ふん!」
艤装につけられた錨を敵部隊に目掛けてぶん投げる。
侵入部隊7「おわぁ!?」
こちらに合わせて速度を上げていた敵は避ける事が出来ず直撃してしまう。あまりの衝撃に随伴していたもう一体も巻き込んで体制を崩してしまった。
侵入部隊8「なに!?」
響「もらったよ?」
速度そのままで敵を中心に旋回はじめる・・・錨につながれた鎖によって敵部隊は動きを封じられ、明らかに動揺が見て取れる。
侵入部隊7「くそぉ!!外れない!」
侵入部隊8「ちぃ!!・・・はずせぇ!はずせよぉ!!」
パニックを起こし冷静な判断が出来ていないようだ。正直見ていて見苦しい・・・さっさと仕留めてしまおう。
響「・・・せめて楽に死ぬといい」
旋回を続けながら魚雷と主砲の連続攻撃・・・回避も防御も出来ずに敵部隊は沈んでいった。
金剛「システム解除・・・終わったわね?」
金剛は周囲を見渡し大きく息を吐く。
天龍「あぁ・・・周囲に敵影はないようだ」
響「そのようだね」
天龍がそれに続く・・・私も電探に注意を向けながら答える。
桐生「こちら方舟、響応答しろ」
響「こちら響、なんだい?」
桐生「隊長の侵入成功を確認した、こちらももう動ける」
響「了解、こちらも敵部隊の殲滅に成功した・・・帰艦するよ」
桐生「わかった、収容する」
方舟 艦橋
桐生「ふむ・・・」
予想以上の戦力だったが撃退に成功した。だが海藤もやはり策を用意している、今のところは順調だが油断は出来ない。
副官「桐生提督、響達の収容完了しました」
桐生「わかった・・・ではこれより射程距離外まで退避する」
副官「了解、方舟・・・」
突然大きな衝撃が方舟を襲った。あまりの衝撃に副官は手すりに顔面をぶつけてしまう。
副官「うっ・・・損傷確認!」
流石は艦長、緊急事態にも動じず冷静に判断を下している・・・士官からは損傷軽微の報告が上がっており取りあえずは安心出来そうだ。
副官「天鳥船か?・・・・」
桐生「違うな・・・」
副官「え?・・・オリジナルと深海棲艦だと!?」
士官から敵影発見の報告が上がる・・・反応は深海棲艦とオリジナル、確かな数は不明だが大部隊だ。その瞬間さっきよりも大きな衝撃を方舟を襲った。
桐生「・・副官!」
副官「後部スクリューが何個か潰されました・・・このままでは離脱できません」
桐生「・・くっ」
副官「・・・天鳥船の艦尾部には小型艦船用ハッチが増設されていましたね?」
桐生「物資と人員移動の為だから比較的大きいポートが・・・そうか!」
副官「ええ、そこに方舟を突っ込ませましょう」
桐生「よし早速やってくれ!艦娘たちはハッチへの突入後発艦、方舟に襲い掛かる敵部隊の迎撃だ」
副官「はっ!!」
副官が指揮をとり方舟は前進をはじめる、速度は出ないが止まっている物体に突っ込む事位はできる。
桐生「よし・・・こちら桐生だ雪風、聞こえたな?」
雪風「ええ、こちらは全艦準備できてるわ・・・後はそちらさん次第ね」
桐生「わかった・・・副官!思いっきりやれ!」
副官「了解!・・・方舟、突撃しろ!!」
方舟は先程も半分もない速度で進んでいく・・・運よく艦船用ハッチの前に出れたようだ。電磁フィールドを前方に集中、先程とは違い中和させる訳で無い為電磁フィールドは最高出力で展開させている。
副官「総員・・・舌かむなよ!!」
船体をかなりの衝撃が襲う・・・鉄板がひしゃげる音と吹き飛ばされそうになる程に揺れる様はまるで沈んでいくのではないかと思うほどだ。
副官「ハッチ破壊!乗り上げます!・・・桐生提督!」
桐生「艦娘部隊は発艦!!艤装兵はハッチから天鳥船に侵入!周辺を確保しろ!」
指示を受け艦隊が動く、艦娘は全艦発艦できたようだ・・・艤装兵も周辺の確保に成功したとの報告が上がってきた。
桐生「よし!・・・隊長が天鳥船を確保するまで持たせろよ!」
戦闘海域
雪風「全艦用意はいい?」
各艦から肯定の報告が上がってくる。取りあえずは全艦無事に出撃できたようだ。
瑞鶴「雪風、偵察機からの報告よ・・・・深海棲艦多数とオリジナルが4体」
雪風「多数って・・・詳しい数はわからないの?」
瑞鶴「報告直後に撃墜されているから無理ね・・・」
吹雪「かなりの数と見てた方がいいですね、無人機の援護があるとはいえ厳しい戦いになりそうです」
雪風「そうね・・・とりあえず動きやすくする為に隊を分けるわ」
出撃した艦娘は・・・私と瑞鶴 時雨 加賀 最上 吹雪 山城 皐月 夕立・・・そして合流した天龍、金剛、響の12隻。3つに分けよう・・・1つを方舟の直衛、援護に回して、他の2部隊で迎撃にしよう。
雪風「1つは私が旗艦、最上と皐月、金剛で敵艦隊の迎撃」
雪風「2つ目は天龍を旗艦として夕立、山城、時雨で同じく敵艦隊の迎撃・・・三つ目は瑞鶴を旗艦で加賀、吹雪、響で方舟の直衛と艦載機で他艦隊の援護をお願い」
天龍「了解!俺に続けぇ!!」
瑞鶴「了解!加賀艦載機を!吹雪と響は周辺の警戒お願いね?」
雪風「よし!・・・行くわよ!」
雪風艦隊
雪風「最上さん敵は確認できてますか?」
最上「・・・来たね?深海棲艦共だよ」
金剛「了解・・・早速ぶっ飛ばして・・・」
金剛が言いかけたとき,敵影の接近を確認した。
最上「もう1つ、オリジナルだ警戒を!!」
正規空母「フン!艦娘どもか・・・狙いは貴様達ではないのでな?」
なんてスピードだ・・・進んでいる方角は方舟?マズイな、奴を通すわけには行かないぞ。
雪風「迎撃!!・・・うっ!?」
至近弾・・・奴に気を取られすぎたか?深海棲艦にも接近されてしまった。
最上「通すかぁ!!」
最上は瑞雲と主砲による攻撃で阻むが当の正規空母には効果はない・・・
正規空母「当らん、その程度ではとまってやれんぞ!」
最上「・・・なんて奴だよ」
あまりの敵の動きに最上も驚いているようだ・・・正直アイツ相手にまともに戦えるのは何人もいないだろう。
雪風「・・・仕方ない最上は瑞鶴に報告、アイツ以外の敵を迎撃するわよ」
皐月「了解!」
一番やばそうな奴を逃してしまったが・・・ここは新生一航戦の二人に任せるしかない、せめてこれ以上の敵は通さないようにしなければ・・・
瑞鶴艦隊
瑞鶴「ん・・・なに!?」
雪風の艦隊から報告が入った・・・内容はオリジナル一体に突破されてしまったとの事だった。
加賀「瑞鶴どうしたの?」
瑞鶴「敵が来るわ・・・オリジナルよ」
吹雪「オリジナル!・・・艦種は?」
瑞鶴「報告では正規空母らしいけど・・・」
加賀「・・・艦載機を呼び戻しましょう」
瑞鶴「・・・加賀はそのままでお願い」
加賀「相手は正規空母よ?・・・1人では」
確かに加賀の言うとおり、私1人では難しいかもしれない。
瑞鶴「だけど・・・各艦隊の援護をないがしろにするわけには行かないわ」
だがここで各艦隊の連携の命綱を切るわけにはいかないのだ。
響「・・・マズイね」
横にいた響がいつも以上に真剣な表情で言った。
吹雪「どうしました?」
響「敵潜水艦の反応多数だよ・・・こちらに接近している」
なんてタイミングだ・・・潜水艦相手では私達空母では何も出来ない。ここは吹雪と響に当ってもらうしかないか。
瑞鶴「・・・吹雪と響は潜水艦をお願い」
吹雪「・・・了解です」
響「わかった」
加賀「・・・瑞鶴1人でオリジナルと戦うなんて」
瑞鶴「大丈夫よ、いざとなれば奥の手があるんだから」
加賀「・・・そうね、任せたわよ?」
瑞鶴「ええ・・・任されたわ」
そういってわたしは艦隊からはぐれオリジナルが向かってくる方角に進んだ。
天龍艦隊
天龍「山城!」
山城「ええ!全砲門・・・発射!!」
山城の主砲によって前方の深海棲艦は殲滅・・・相変わらず命中率はかなりのものだな。
時雨「夕立!合わせて?」
夕立「ええ!突撃するわ!!」
対する夕立と時雨は周辺の敵艦を掃討している。しかし時雨にあそこまでの連携ができたとは・・・それにあの夕立も本気の時雨についていける程の奴だとは予想外だったな。
天龍「第1派はやれたか?・・・」
電探に意識を向けながら辺りを見渡し山城に尋ねた。
山城「ええ、周辺に敵影なし・・・ただまた後方から増援がきてるわ」
天龍「やれやれ・・・各員やれるな?」
時雨「問題ないよ」
夕立「私も」
山城「まだまだやれるわ」
まだまだ大丈夫なようだ・・・ん?電探に反応?これは?
天龍「なんだ?・・・・かなりの速度で突っ込んでくるぞ!」
山城「うそ!・・・こんな速度の奴なんて、これがオリジナルなの?」
夕立「この感じ・・・まさかこの前の?」
夕立は何か知っているようだが・・・だが今はそんなことより迎撃準備をする方が先だ・・・こいつはヤバイ気がする。
時雨「・・・深海棲艦も来たみたいだね」
天龍「そう来たか・・・山城と俺は深海棲艦をやる、時雨と夕立はオリジナルだ・・・任せるぞ」
時雨「了解・・・行くよ夕立」
夕立「ええ・・・さっさと仕留めましょう」
瑞鶴艦隊
瑞鶴「・・・アイツね」
正規空母「む?・・・1人だと?」
あれが敵オリジナル・・・正規空母らしいけど、何が来るかわからない以上はうかつに手出しも出来ないな・・・
正規空母「正規空母型・・・流石にこいつを簡単に突破するのは難しいか」
相手も戦う気なったらしく、拳銃のような物を左右に構えだした。
瑞鶴「来るわね・・・こっちも」
弓を構え矢を番える・・・先ずは牽制?いや・・・初弾から決めていこう。
瑞鶴「・・・彗星いけぇ!」
放たれた矢が彗星艦爆へと姿を変える・・・
正規空母「・・・攻撃機か?ならばこちらも!」
正規空母がマントを翻すと艦戦らしき戦闘機が躍り出る、迎撃にでたか・・・予定どおりだ。
瑞鶴「よし・・第2次攻撃隊も」
正規空母「させん!!」
二つ目の矢を番えようとした時正面から高威力の機銃が飛んできた・・・まさかこちらが敵艦載機に注意が行った一瞬で接近戦を仕掛けてくるとは。
瑞鶴「油断できないわね・・・・だけど!」
腰部に増設された矢筒から矢を番える・・・狙いは正規空母だ。
瑞鶴「・・・艦載機だけじゃないのは、あんただけじゃないのよ!」
矢を放つ・・・
正規空母「ん・・・!?本物の矢か!?」
くるりと軽く一回転することで正規空母は矢を回避した・・・だがマントの一部が引き裂かれた。
瑞鶴「避けられたか?・・・なら!」
今度は烈風の矢を番える・・・こいつを使って制空権を取ってしまおう
瑞鶴「・・・いけぇ!烈風!」
放たれた矢は烈風へと姿を変え、彗星に夢中な敵艦戦に猛攻撃を仕掛ける。
正規空母「む・・・どんどん攻め手を変えてくるとは油断できんな」
正規空母は一切動揺する事無く迎撃に入る・・・精度の高い機銃掃射によって烈風隊も苦戦を強いられている。
瑞鶴「・・・この隙に流星を」
正規空母「奴のことだ・・・恐らくここでもう一手来るか」
流星の矢を番え・・・放つ。だが正規空母に読まれており新たな迎撃機隊によって捕捉されてしまう。
瑞鶴「・・・こいつ」
正規空母「全く・・・」
瑞鶴&正規空母「・・・厄介な奴」
このままでは数勝負になるかもしれない、もしそうなれば相手の搭載数を読みきれない以上不利・・・ならばアレを使うしかないか。
瑞鶴「・・・ナイトメアシステム起動」
正規空母「?・・・なんだこの感じは」
ズイカク「・・・行くわよ」
天龍艦隊
山城「う・・・なんて感覚なのよぉ!」
この海域のいたるところから強い悪寒を感じる・・・気を抜けば精神をやられてしまいそうな程だ。
天龍「オラァ!・・・ちぃ、まだ来るのかよ」
天龍も深海棲艦の物量を前に苦戦している・・・ここは連携して当らなければ各個撃破されてしまうな・・・
山城「行って・・・瑞雲!」
瑞雲を発艦させ天龍と私の直衛まわす・・・これで少しは楽になる筈だ。
天龍「山城、助かる」
山城「ええ・・・」
オリジナルと戦闘している時雨たちに意識を向ける・・・二人とも確実にオリジナルを追い詰めているようだ。
時雨「・・・速いね、だけど当てられない速度じゃない」
主砲を放つ・・・砲弾は時雨の狙い通り敵オリジナルの装甲に向かって飛んでいく。
駆逐「・・・きかなねぇなぁ!!」
砲弾は装甲を捉えたが貫通する事が出来なかった・・・
時雨「ほう?・・・速さだけじゃないんだね」
夕立「・・・この前より装甲が大分硬くなってるわね」
夕立の砲撃も装甲を貫通する事が出来ず、攻めあぐねているようだ。
駆逐「ハッハー!!・・・前とは装甲もぉ・・・パワァーもぉ・・・違うんだよぉ!!」
高速機動で突撃しながら全身に付けられた主砲をばら撒く・・・その姿は要塞のように見える。主砲を防ぐ装甲に大量の主砲と魚雷そしてそれ以上に厄介なのはそのスピードである。
夕立「確かにこのスピードと火力はかなり厄介・・・打つ手なし・・・」
時雨「・・・とでも言うと思ったかい?」
駆逐「なにぃ?・・・このアマ!」
敵オリジナルは時雨と夕立向かって突撃する。
夕立「・・・何も成長していないのね」
時雨と夕立も敵オリジナルに向かって突撃する。
駆逐「正面だと?・・・馬鹿か?・・・蜂の巣にしてやるよぉ!!」
対する敵オリジナルは主砲に副砲と機銃と全火器を用いて高密度の弾幕という猛攻を仕掛ける・・・
時雨「・・・ふんこの程度かい?」
駆逐「なっ!?・・・なぜ当らん!」
時雨と夕立はこの弾幕を器用にくぐりぬける・・・その姿に敵オリジナルは明ら動揺している。
時雨「・・・なぜか教えてあげようか?」
駆逐「なに!!」
時雨「まず狙いが下手」
時雨が簡単に弾幕をかいくぐり接近する・・・
夕立「そんで動きが単調・・・」
夕立によって放たれた砲弾が装甲を捉える・・・近距離で撃たれた事によりオリジナルの装甲は破壊された。
時雨「・・・その艤装もダメダメだね」
夕立「全ておいて中途半端になってるわ、バランスをとろうとしすぎてせいかな?」
駆逐「貴様ぁ!!」
敵オリジナルは攻撃を仕掛けようと主砲を構える・・・その時周辺の異変に気付いた。・・・何かがこっちに向かってきている?
駆逐「!?・・・これは!」
時雨「残念だったね・・・魚雷はすでに撃たせてもらってるよ」
駆逐「うぉ!?・・・ぬぅぁぁぁぁああ!」
魚雷が全弾命中・・・敵オリジナルはなすすべも無く深海へ沈んでいった。
天龍「・・・ほぉ?」
山城「どうしました?」
主砲、副砲を連射しながら山城がたずねる。山城はすでに多数の敵艦を撃破しているためか敵艦の体液を体中に浴びている・・・その姿は軽いホラーだ。
天龍「時雨たちがオリジナルを撃破してたんだがな・・・あの二人って雪風とまともにやりあえるんじゃないかね?」
山城「早いですね・・・しかし天龍さんはどうなんです?雪風さんとは」
天龍「・・・俺には無理だよ」
山城「え?」
天龍「・・・行くぜ、合流するぞ」
時雨たちにも連絡を入れた・・・後は合流し再度増援部隊を迎撃するだけだ。時雨の実力は大した物だ・・・あれこそ本当のエース何だろう・・・自分のような中途半端では無く。
天龍「俺も・・・引退かね」
山城「?・・・何か言いました?」
天龍「・・・なんでもねぇよ」
戦場で感傷に浸るなんて俺もヤキが回ったものだ・・・・このままじゃ本当に引退しなけりゃならないな。刀で1つ空を切る・・・自分の中に生まれた嫉妬と劣等感を切り捨てるように。
雪風艦隊
とりあえず第3波までは凌げた・・・逃したのはあのオリジナルだけ,これで瑞鶴たちの援護にもなっただろう。
雪風「全艦報告!」
金剛「異常なし・・・残弾もたっぷりよ」
最上「こちらもとくには・・・瑞雲の爆装が少し心許ないかな」
皐月「僕も問題ないよ」
異常なし・・・最上とやらも中々やるようだな正直見くびっていたか?まぁ金剛はいつも通りの暴れっぷり、皐月に関しては流石と言うべきか・・・方舟からくすねてきた電磁ブレードで戦うとは。
皐月「なんだい?」
雪風「いや?流石って思っただけよ」
皐月「ふぅん・・・っ!?」
突如鋭い殺気が襲う・・・これはかなりの敵のようだ。
最上「敵オリジナル・・・反応は重巡!」
皐月「来た・・・」
雪風「皐月?・・・あぁ」
・・・悪い癖が出てしまったか。こうなったら止める方法は無い以上どうしようもないか・・・
皐月「・・・じゃ後よろしく」
私に出来るのは送り出すだけ・・・手を出せば向こう何十年も恨まれかねない、流石にそれは御免こうむる。
最上「え?・・・」
金剛「あー・・・また?」
雪風「ええ・・・ほっとくしかないわね」
最上「・・・第9にいてもおかしくない人だねぇ」
雪風「・・・否定できないわね」
まぁ・・・大丈夫か。ナイトメアシステムを搭載、艤装も大幅強化した。それになによりあの皐月なのだから・・・すぐに沈めて帰ってくるだろう。
皐月対重巡
皐月「・・・さてと」
周囲を見渡す・・・敵影なし、電探にも反応はない・・・一対一の状況だ。
重巡「・・・きましたか」
相手はオリジナル・・・艦種は重巡だったか?だがこちらも艤装や武装の強化をしているのだ前回の様にはいかない。
皐月「はじめようか?」
重巡「・・・少し待っていただけますか?」
皐月「なぜ?」
重巡「やらねば・・・ならない事がありますので」
皐月「・・・」
重巡「・・・ご安心ください、貴女達が不利になる事はありませんから」
皐月「・・・関係ないねぇ」
重巡「・・・」
皐月「待ってあげる・・・どうせなら未練も何もない状態で殺し合いたいからね」
重巡「ふふふ・・・ありがとう御座います、ではこちらにどうぞ」
皐月「・・・ここでいいよ」
重巡「そうですか・・・皐月さん?」
皐月「・・・はめられたかな?重巡さん」
電探に反応4つ、しかも鬼クラスの深海棲艦か・・・
重巡「いいえ、恐らく私がコマンダーの部下である事が露呈してしまったのでしょう」
皐月「つまり・・・重巡も狙っていると?」
重巡「その通りです・・・なので」
皐月「・・・ここは共闘しようって事ね?」
重巡「ええ」
皐月「了解・・・」
魚雷砲を構え戦闘態勢をとる・・・背中合わせの重巡も艤装を展開し準備は出来てるようだ。
重巡「私達の戦いを邪魔した事・・・」
皐月「後悔させてやるよ!」
方舟 艦橋
桐生「・・・隊長と連絡は?」
副官「まだですが反応は健在です・・・とくに異常も無いようです」
桐生「そうか・・・艦娘艦隊はどうか?」
副官「・・・消耗率が微増していますが特に大きな損傷は報告されていません」
報告を聞く限り今のところ作戦通りではないものの順調といった所か。
桐生「ふぅ・・・うん?」
レーダーに反応?数は1・・・5?これはマズイ、かなりの数が湧き出るように現れた。
桐生「副官!」
副官「敵増援・・・艦娘隊を包囲するように!それにこれは!!」
副官の様子がおかしい・・・一体何が起きたのだ?
副官「プロトタイプの反応1!そして姫クラスの深海棲艦とオリジナルの反応も2つ現れました」
プロトタイプ1,姫クラス1、オリジナル2?・・・この編成は何処かで?
隊長「こちら侵入部隊!桐生提督聞こえるか?」
桐生「聞こえています、どうされた?」
隊長「・・・罠にかけられた様だ」
桐生「・・・なっ!?」
天鳥船 艦橋
隊長「艦橋に着いたが艦内にはだれも居ないし操艦機能も停止、詳しい事は青葉が調べているが・・・」
雲龍「・・・これは?」
雲龍が何か見つけたようだ・・・雲龍が見つめる先のスクリーンには艦の地図が映し出されている。
隊長「どうした?」
雲龍「ここなんだけど・・・」
そういって雲龍は端末を操作し地図の一部を拡大した・・・これは演習場か?
隊長「反応?・・・しかし小さいが」
青葉「・・・あぁ!!?」
阿賀野「うえぇ!?」
あまりの青葉の奇声に阿賀野が驚く。この状況で青葉のこの反応・・・正直嫌な予感しかしない。
青葉「・・・操艦機能にハッキングすれば即時大爆発する様にジェネレーターに細工がされていますね」
阿賀野「・・・ハッキングは?」
青葉「してません・・・間一髪でした」
雲龍「・・・対策は?」
青葉「ええっと・・・機関室にいって強制停止させるしか無いです」
隊長「・・・直接か」
阿賀野「てことは行くしかないわよね?」
青葉「はい・・・ルートは・・・」
青葉が端末で艦内図を操作する。
青葉「ルートは1つ、演習場を通っていくしかありませんね」
阿賀野「そういうこと・・・」
雲龍「罠ね・・・」
隊長「だが行くしかないな・・・」
・・・罠なのは確かだ。だがこの状況では行くしかないな。全員で行くか?それとも誰かを残すべきか?
青葉「・・・私はここで残って監視します、皆さんは機関室へ」
隊長「・・・それしかないな」
罠である以上対応する為に何人かは欲しい・・・だが全員でいって艦橋を押さえられるともっとマズイ・・・となると誰か1人は艦橋に残さないといけないのだ。
雲龍「わかったわ」
阿賀野「ええ・・・」
隊長「任せたぞ・・・青葉」
青葉「はい・・・隊長達こそ」
青葉に敬礼を返し俺達は機関室へと向かった。
瑞鶴艦隊
ズイカク「はぁ!!」
1つ2つと矢を放つ、その狙いは確実だ・・・当れば致命傷となるように狙っている。
正規空母「ぬぅ!・・・当れんよ!」
だが機銃掃射によって全てが迎撃される、流石に正規空母と言った所か・・・
ズイカク「フン・・・あ?」
後方から敵影・・・正規空母の攻撃機、艦戦の隙をつかれたか?
ズイカク「まぁ・・・これだけの乱戦だものね?でも・・・」
こちらの彗星部隊の状況を確認する・・・半数が撃墜されたが未だ健在であり正規空母の後方に回りこめたようだ。
正規空母「・・・隙を見せるとはな!!」
意識を艦載機に向けたその瞬間に正規空母は突撃を仕掛けてきた。
ズイカク「くっ!・・・やっぱり速い!」
正規空母「うぉぉぉ!」
速度の乗った回し蹴りが襲う、防御が間に合わず吹き飛ばされてしまった。
ズイカク「うっ!・・・はぁ!あう」
顎に直撃したがたいした痛みはない、まだやれる。
正規空母「このまま!!」
こちらが体制を整える隙を与えてはくれないようだ・・・正規空母の機銃掃射が襲う。
ズイカク「あがっ!・・・うぐ」
被害は中破といったところか?しかしとっさに右腕で防御してしまった・・・かなり出血しているし感覚も無い、これでは右手は使えないか。
ズイカク「彗星!!」
だがこちらも攻撃の手はまだ残っている。後方に飛行していた彗星部隊が正規空母目掛けて突撃する。
正規空母「後方!?だが艦爆ならば!!」
正規空母は体を捻りながら後方宙返りを決め彗星部隊の迎撃に入る。機銃掃射によって彗星部隊は苦戦している。
ズイカク「さすが・・・でも」
弓を口に咥える・・・開いた左手で矢筒を取り弦にかける。かけた今度は矢を弦ごと口に咥え直す・・・後は弓を残った左手で思いっきり引っ張るだけだ。
ズイカク「・・・」
歯に強烈な力がかかる・・・この時ほど虫歯が無くてよかった思う。いつもより狙いが付けづらいがやるしかない、ここで仕留めなければ私の負けは確実だ。
ズイカク「・・・かはっ!!・・・ゴフッ!」
なんて事だ・・・ここでこのタイミングで血を吐きだすなんて!
正規空母「ふん!これで艦爆は!??・・・・」
・・・・当った?まさかそんな幸運が
正規空母「・・・矢だとぉ!?」
見事に・・・本当に見事に正規空母の心臓部を矢が貫いている。
正規空母「ぐっ・・・クソ!こんな・・・こんなの」
正規空母も必死だ・・・致命傷だが最後の力を振り絞って立ちあがる。
正規空母「負けられるかぁ!・・・まだ!俺をこんな身体にし奴にぃ!復讐がぁ!出来ていなぁい!!」
ズイカク「・・・なんて気迫よ」
システムを使ってなければビビッて動けなくなるほどの気迫・・・
正規空母「はぁ・・・はぁ・・・貴様ぁ!」
ズイカク「うっ!?」
艦載機が残っていた!?マズイぞいまの私では避ける事も耐えることも出来ない。
???「・・・ふん!」
その時・・・攻撃機は新手の艦載機によって撃墜された。
ズイカク「え?・・・あれは震電?あれを使える艦娘なんて・・・」
正規空母「なに?・・・軽空母・・・貴様」
軽空母「・・・」
正規空母「・・・どうしてここに!?」
軽空母「お前を殺す為だ・・・」
正規空母「やはり・・・お前も」
軽空母「・・・すまんな」
正規空母はまるでつられた糸がぷつりと切れた様に海面に倒れこんだ・・・
ズイカク「・・・終わったの?」
軽空母「・・・あぁ」
瑞鶴「・・・はぁ・・・あり・・・がと」
軽空母「こちらこそさ・・・私の代わりに正規空母を倒してくれて」
瑞鶴「ええ・・・ちょっと・・・やす・・・ま・・・せて」
システムが切れた事によって全身に激痛がはしる・・・肺もすこし撃たれていたようで呼吸も苦しい・・・このままでは意識が飛んでしまいそうだ。
軽空母「あぁ・・・君の事は私が責任をもって助けるよ、だから今はゆっくり眠るといい」
瑞鶴「おね・・・が・・い・・・」
抱えあげられて安心したのか・・・暖かいぬくもりを感じた為か私はすぐに意識を失ってしまった。
皐月対重巡
空母棲姫「シズメ!!」
軽巡棲鬼「ウォォォォ!!」
皐月「・・・くぅ!」
流石は姫クラスの深海棲艦・・・耐久力もそうだが機動力もパワーも雑魚とは比べ物にはならない。しかも数の上で不利になってしまっているのも効いておりこちらは軽く中破ぐらいのダメージを貰ってしまっている。
重巡棲鬼「クラエェ!」
装甲空母姫「アハハハ!!」
重巡「く・・・まだまだです!」
あれほどの力量をもった重巡であっても苦戦しているようで支援は期待できない。こうなったらアレを使うしかないか・・・システム起動!
サツキ「・・・システム異常なし、さっさと駆逐してやるか」
本当は重巡相手にとっておきたかったけども仕方ない・・・背部にマウントしていた新装備も使ってしまおう。マウントを解除し貫通魚雷砲を構える。
空母棲姫「ム!?」
軽巡棲鬼「コイツ!?」
重巡「本気を出しましたか・・・ならばこちらも良い所もっと見せないと」
サツキ「まずは・・・キサマだぁ!」
狙いは軽巡棲鬼・・・この貫通魚雷砲の試し撃ちにはもってこいだ。
軽巡棲鬼「ソンナミカケダオシデ・・・」
サツキ「はっ!・・・もっと速く動きなよ!当てちゃうよ?」
中破のダメージを負っていながらも軽巡棲鬼を翻弄できるスピードが出せるとは・・・このシステムはかなり強力な様だ。
軽巡棲鬼「チッ・・・コイツキュウニ!」
空母棲姫「エンゴヲ!」
敵艦載機の動きが見える・・・これなら幾ら来ても避けられそうだな。もう一度構えなおし狙いをつける・・・
サツキ「この僕とやりあおうって?・・・カワイイねぇ」
雪風艦隊
第5波撃滅に成功。こちら状況は皐月が敵オリジナルとの交戦中らしく未だ音信不通・・・対してこちらの損傷はほとんどないが補給が必要といった具合だ。
雪風「・・・一度後退しましょう」
最上「皐月さんは?」
雪風「かまわないわ・・・戻るまでは加賀さんの艦載機が警戒してくれているから」
金剛「そうなの・・・じゃ戻って補給ね」
雪風「・・・じゃあ決定ね」
最上「わかった・・・ルートは瑞雲で索敵させるよ」
そういって最上は肩にかけた飛行甲板から瑞雲を出撃させた・・・その時方舟から通信が入る。
桐生「雪風気をつけろ!そっちに敵が・・・何!?瑞鶴が大破だと!?」
通信機越しに方舟の混乱が伝わってくる・・・それに今瑞鶴が大破と言ったか?
雪風「ちょっとまって!?敵!?瑞鶴が大破ぁ?!」
桐生「・・・とりあえず瑞鶴は無事だがそっちに敵が向かっている、反応3つ・・・・オリジナル1と姫クラス1・・・プロトタイプ1だ」
雪風「はぁ!?・・・プロトタイプって!?」
金剛「雪風!こっちでも確認できたわ・・・敵影3つ!」
雪風「・・・マジなの」
金剛「ええ・・・隊長と同じ反応パターンよ」
なんてことだ・・・もしこれが葛葉元帥がいうコマンダーならば形勢は一気に不利だ。
雪風「皐月を助けに行くわよ!」
金剛「え?・・でも」
雪風「今はそんな状況じゃないわ!・・・それに最悪半殺しにしてでも連れてく」
最悪の想定で動いていかなければ・・・いっこくもはやく合流して体制を整えるぞ。
皐月&重巡
サツキ「貰ったぁ!」
軽巡棲鬼「ナッ!?ウゴ・・・」
貫通砲を撃つ・・・本来は魚雷となるその弾はまっすぐ飛び軽巡棲鬼の胸に着弾、強力な爆発によって上半身を見事吹き飛ばした。
空母棲姫「ナ、ナニ!?・・・ナンテイリョク!」
重巡「接近戦は・・・得意なんですよ?」
重巡棲鬼「アガッ・・・ガァァァァ!!」
貫手でコアを貫き、腕に装備されている主砲を連射する・・・流石の鬼も至近距離の砲撃とコアの直接攻撃で沈黙したようだ。
装甲空母姫「クソッ!・・・コイツラ!」
空母棲姫「艦載機デ・・・アワセロ!」
装甲空母姫「アァ!・・・イケェ!」
敵は作戦を変えてきたようだ・・・直接戦闘では敵わないと見て艦載機による攻撃に専念したようだ。
サツキ「チィ・・・・面倒だね」
重巡「ええ・・・でも接近さえすれば」
残りは空母型のみ、つまり接近戦が得意な奴らではないのだから重巡のいうとおり・・・・と言う事はやる事は1つしかない。
サツキ「・・・・行くか」
重巡「ええ・・・」
二人の目線の先には姫クラスが2隻そして艦載機が多数・・・正直あの数は避けきれないだろう。どうせなら少しでも勝ちが見えるほうに賭けるしかない。
サツキ「南無三!!」
全速力で突き進む・・・前方から多数の艦載機が接近、ここまで来たのならばただ行くだけだ。
重巡「んふふ・・・いいスリル♪」
横の重巡はもうイク寸前みたいな感じちゃってる顔してる・・・とんだ変態野郎だな。
重巡「・・あなたもですよ?」
サツキ「!?・・・ふふ」
気付けば自分も酷い顔していたようだ・・・まぁこんな命を賭けた大勝負だ、楽しくない訳がないだろう!?
サツキ「ぐぅ・・・!」
重巡「あっ!?・・・く」
敵艦載機からの猛攻が襲う。ナイトメアシステムを使ってもかなり当てられるとは・・・だがまだいける。
空母棲姫「ナニ!?避ケナイダトォ!?」
装甲空母姫「コッチモ!・・・ナンナンダ!・・・ナンデ?コイツラワ・・・」
サツキ「へへ・・・・」
重巡「んふふ・・・」
空母棲姫&装甲空母姫「笑ッテルダ!?」
艦載機の動きが弱くなった・・・相手はビビッているようだな?この隙は大きい、一気に決める。
サツキ「うわぁぁぁぁぁぁぁあ!!」
空母棲姫「!?」
最高速度で水面を蹴り出し飛び上がる・・・そのままの勢いで空母棲姫の首に腕をかけて捻り、体重と勢いを掛けて水面にたたき落とす。
空母棲姫「ァ・・・・」
空母棲姫はありえない方向に首を曲げ沈黙した。
装甲空母姫「ナニィ!?」
重巡「余所見している暇はありませんよ?」
装甲空母姫「ハッ!?」
重巡も水面を蹴り上げる・・・飛び上がると言うよりは前方に飛び出す様だ。そのまま装甲空母姫に抱きつく形で突っ込む。
装甲空母姫「グッ!?・・・コイ・・・ツ!?」
重巡「このままぁ・・・背骨ごとイって貰いますねぇ?」
・・・ニタァっと笑う。
装甲空母姫「ヒッ!?・・・ヤメッ・・・ギャァァァァァァァ!!!!」
ギチギチ・・・メキメキと体が軋む音と装甲空母姫の悲鳴のハーモニー・・・それそれは恐ろしい。そして何より恐ろしいのは重巡の恍惚とした表情だろう。
装甲空母姫「ゥァ・・・・・・」
重巡「・・・はぁ、貴女良かったわぁ?」
装甲空母姫沈黙・・・・恐らく僕が知る中で一番残酷なやられ方をした深海棲艦だろう。
サツキ「さぁ・・・てどうする?」
重巡「んふぅ・・・このまま貴女を楽しみたいですが・・・」
コマンダー「流石だね・・・君は」
サツキ「!?」
電探を見ていなかったか・・・いつの間にか接近されていたとは。
重巡「ふふふ・・・お待ちしておりました我らがコマンダー殿」
航空戦艦「・・・全く無理しすぎだ、私達が来るまで待っていれば良かった物を」
駆逐棲姫「・・・マァ重巡ラシイト思ウヨ?」
コマンダー「確かに・・・」
オリジナル1、姫クラス1・・・そして隊長と同じ反応が1?・・・これがコマンダーって奴か?
皐月「・・・・ふぅキミ達がコマンダー一味かい?」
コマンダー「あぁ・・・君は皐月だね」
皐月「・・・・良く知っているね?僕ってあんまり有名人じゃないんだけど?」
コマンダー「まぁね・・・君が男嫌いなのも知っているさ」
皐月「・・・その喋り方似合ってないよ?無理してるのバレバレ」
駆逐棲姫「フフ・・・言ワレテルヨ?」
コマンダー「ムッ?・・・こっちでもか」
皐月「・・・ふん」
なんだ?・・・コイツ知っている気がするぞ?しかし・・・誰に似てるんだっけ・・・それにこの姫クラスも。
雪風「皐月!!」
皐月「・・・雪風!?」
通信をオンにする・・・ここで戦うのは色々とヤバイ!攻撃させないようにしないと。
皐月「雪風!!ストップ!」
雪風「はぁ!?・・・なんでって!!?」
航空戦艦「!?・・・雪風!!」
なんだ?・・・雪風がオリジナルの一人を見た瞬間に動きが止まったぞ?
皐月「ん?・・・」
航空戦艦「く!・・・では私は!!」
駆逐棲姫「・・・イイノカイ?」
航空戦艦「かまわん!・・・」
コマンダー「・・・やはり君は」
航空戦艦「・・・失礼する!」
対するオリジナルも雪風を見た瞬間から様子がおかしかったな・・・急いでどっか行っちゃったし。
雪風「・・・んどは」
皐月「?」
雪風「今度は!!逃がすかぁぁ!!!」
皐月「わ!」
駆逐棲姫「ナ!?」
コマンダー「ん!?」
対する雪風も急スピードで追いかけていってしまったし・・・
皐月「どうしたんだろ?」
コマンダー「・・・では俺達も失礼するよ」
駆逐棲姫「・・・ジャアネ?」
皐月「ん?・・・うん」
戦う気は無いのか?・・・・やはり重巡の言うとおりこちらに不利になる事はなさそうだが・・・
重巡「・・・私は残りますね?」
コマンダー「・・・いいのかい?ふ・・・」
重巡「!?はい・・・お世話になりました」
駆逐棲姫「・・・」
コマンダー「そうか・・・ではな」
重巡がコマンダーたちと話をしている・・・どうやら人払いが出来たようだな。
皐月「終わったかい?・・・」
重巡「はい・・・これで心置きなく戦えます」
皐月「じゃ・・・いきますか?」
重巡「ええ・・・いきましょう」
天龍艦隊
天龍「・・・損傷は!?」
山城「特には・・・」
時雨「僕もだね」
夕立「私もよ?・・・」
天龍「おう・・・じゃ一度後退して」
時雨「ん?通信?」
なんだ?・・・不明の通信が入ってきているのか?
夕立「なに?」
時雨「いや・・・なんか知らないところから通信が」
天龍「ケータイじゃないんだからよぉ・・・」
時雨「とりあえず繋いで見るけど・・・」
そういって通信を開くと・・・どこかで聞いた事のある声だった。
????「君ハオ兄サンハ此処ニ居ル・・・ハヤクシナイト!」
時雨「え?・・・」
兄さんが・・・生きてる?そんな事が!!
時雨「それは本当かい?」
????「アア・・・本当ダヨ!」
時雨「・・・証拠は?」
????「実ノ兄ヲ・・・見間違エルト?」
時雨「なに!?・・・お前あの時の!」
大本営帰りの時戦ったあの姫クラスか!?・・・あの姫がそうならまさか・・・プロトタイプであるコマンダーは?
時雨「行かないと・・・!」
夕立「時雨!?」
天龍「お、おい!!」
時雨「ごめんよ!皆!!」
いかなければ・・・行って確かめなければならない!!
天龍「時雨め・・・全く」
山城「電探に感あり!また来たわよ!」
夕立「・・・休む暇もないの?」
瑞鶴艦隊
加賀「・・・ふぅ」
艦載機からの報告を受ける・・・雪風達も天龍達も物量の前に苦戦しているらしい。対するこちらも瑞鶴が大破・・・しかも轟沈一歩手前の損傷だそうだ。制空権は私一人にかかっている事になる。
軽空母「・・・加賀さんだね?」
加賀「あなた・・・軽空母だったかしら?」
軽空母「ん?はじめましてのはずだが・・・」
加賀「瑞鶴からね・・・聞いてたの」
ナイトメアシステムの件で知り合ったらしく、瑞鶴は実に楽しそうに話してくれた・・・瑞鶴は否定するだろうが彼に多少なりと好意を抱いているのだろう。
軽空母「そうか・・・」
加賀「「それで?」
軽空母「・・・お手伝いさ」
加賀「助かるわ・・・艦載機は何を?」
軽空母「・・・・」
加賀「どうしたの?早く答えてくれないかしら」
軽空母「私はオリジナルだ、それに敵対してたわけだし・・・その割に随分あっさりしていたからな」
加賀「瑞鶴があなたを信用している・・・だから私もあなたを信じる」
軽空母「・・・簡単にいうね?」
加賀「簡単な事だもの」
軽空母「・・・艦載機は震電と専用にカスタムした流星、搭載数は全部で85だ」
加賀「随分と豪華ね」
軽空母「好きなんだ・・・飛行機がね」
加賀「・・・だったら貴方は天龍艦隊の支援を」
軽空母「わかった・・・!」
そう言うと両手で印を結び艦載機を出現させた.発艦したのは震電と流星か・・・
加賀「負けられないわね・・・」
さぁこちらも動こう・・・援軍が現れたとはいえ油断はできない状況ではないのだから。
雪風対航空戦艦
雪風「はぁぁぁ!」
航空戦艦「「ぬぅ!・・・くそぉ!」
決める・・・一気に決めるぞ。なんとしてでも連れて帰るぞ。主砲を使いながら牽制し動きを止める 。
航空戦艦「退いてくれ!!・・・私は君に敵対するつもりは!!」
雪風「知らないわよ!!」
退け?・・・敵対しない?・・・そんな事私からしたらどうでもいい。今度は・・・今度こそは離さないと決めたのだから!!
航空戦艦「頑固だなぁ・・・ちっとも変わらない!」
雪風「あなたもね!!その勝手な所は変わらない!!」
航空戦艦「勝手だと!・・・君だって人のことをいえるのか!?」
時雨「はぁ!はぁ!・・・あれは雪風?」
雪風「時雨!?・・どうしてここに!!」
航空戦艦「艦娘!?・・・なっ!?」
時雨「オリジナル!?・・・でも!?」
なんだ?・・・時雨もアイツもフリーズしたみたいに見つめ合って・・・まさか!?
雪風「てめえぇぇ!!浮気かぁぁぁ!!!」
航空戦艦「なっ!!違う!!私は君しか愛した人はいない!!」
時雨「「へ?兄さん・・・と雪風が付き合ってたの!?」
雪風「兄さん!?・・・はぁ!!?」
なんだこの珍妙な状況は・・・時雨がアイツの妹だって?
時雨「でも・・・合えてよかったよ」
雪風「そうでも無いわよ?」
時雨「え?・・・」
私の一言で表情が凍りつく
雪風「・・・コイツのことだから資格が無いだの御託ならべて逃げるつもりよ?」
なにせ前科がある・・・コイツは一度あーだこーだ御託並べて逃げた・・・私から
航空戦艦「うぅ!!」
時雨「へぇ~・・・へぇー!!」
表情が一気にどす黒くなっていく・・・考える事は私と恐らく同じだ。
雪風「時雨!!」
時雨「雪風・・・首に錨巻きつけてでも連れて帰るよ!!」
やはり・・・
航空戦艦「くっ!!やるべき事があると言うのに!」
時雨「そんなの知った事か・・・今までずっと苦労してきたんだよ僕は!!」
雪風「わたしだって後悔ばかりよ?今度は絶対に逃がさない!!」
艦娘の中でもトップの私・・・そしてルール無用の殺し合いなら私に匹敵する時雨・・・今のアイツは狼に狙われる羊のような物だ。
雪風「さぁ・・・」
時雨「おとなしく・・・ね?」
天龍艦隊
天龍「ちっ!!・・・深海棲艦どもが」
倒しても倒しても現れる深海棲艦の前に流石の俺達も苦戦を強いられる・・・正直このままじゃ被害が増えるだけだ。
山城「・・・・天龍さん、後退しましょう」
天龍「だなぁ・・・これ以上は支えきれねぇし」
夕立「時雨は?」
天龍「とはいってもな・・・」
俺としても本当ならさっさと後退したかったが、先程の時雨のことがある以上うかつには下がれないのだ。
夕立「・・・」
山城「・・・ん?」
天龍「どうした?」
山城が電探に意識を向けた・・・敵の増援か?
山城「増援!・・・この反応は姫クラス・・・え?」
夕立「姫クラス・・・・が何?」
山城「一隻だけ?」
天龍「1隻?・・・・これはチャンスか?」
敵は1隻、顔は仮面らしき物で隠しているが見た目的には駆逐艦と言った所か・・・何かの作戦なのかどうかわからないがさっさと仕留めて補給に戻ろう。
夕立「えぇ・・・一気に行きましょう!」
夕立が先行する・・・まずは夕立が牽制しながらこっちに誘導、そのまま3隻で包囲し一斉攻撃で仕留めてしまおう。
駆逐棲姫「作戦・・・カ、ミエミエダネ?」
対する駆逐棲姫は夕立に狙いをつけると一気に距離を詰めて来た・・・この位置では夕立に当りそうで援護もできない。
夕立「くっ!?・・・普通の姫クラスとは比べ物にならないわね」
山城「動きが読まれてるの?・・・」
今の一回で判断するのは早計だが・・・・可能性はあるか。
天龍「・・・ちっ!連携を密にとるぞ!」
何にせよあの姫クラスが只者じゃないのはわかった・・・連携をズタズタにされる前に体制を整えなければな。
駆逐棲姫「サセナイ!!」
山城「え?・・・」
その時魚雷が向かってくるのが見えた・・・陣形を組みなおそうと俺達が集まった瞬間を狙っていたらしくこのままでは皆被弾してしまう.
天龍「クソ!・・・避けろぉぉ!」
してやられた・・・なんとか皆速度を上げで回避できたが、このおかげで連携を一度連携を断たれてしまった。
駆逐棲姫「モラッタヨ?」
夕立「こいつ!?このぉ!!」
夕立のとっさの砲撃が命中する・・・上手いこと顔面に当ったがつけていた仮面らしき物よって防がれてしまった。
駆逐棲姫「ヤルジャナイカ・・・」
夕立「あんたも・・・・え?」
姫クラスの顔をみた夕立は驚きのあまりに立ち止まってしまった・・・どうしたというのだ?顔を見ただけだというのに・・・
駆逐棲姫「フフフ・・・ドウシタノ夕立?」
夕立「し、時雨!?」
時雨?・・・・いま夕立は時雨といったか?・・・どういうことだ時雨が深海棲艦になったというのか?
山城「はぁ?・・・・そんなわけが!?」
天龍「おい!・・・・なぁ!?」
駆逐棲姫「フフフ・・・ドウシタノ?ビックリシチャッテサ?」
夕立がいった通り・・・アイツの顔だった。確かに時雨が敵だったとしたら動きを読まれたのも連携を断たれてしまったのも納得がいく・・・だが何故?
駆逐棲姫「理由ナンテドウデモイイ・・・沈ンデモラウヨ?」
夕立「舐めるな!!システム起動・・・一気に!!」
天龍「お・・・おい!!」
ユウダチ「おぉぉ!!いけぇぇ!!」
夕立がシステムを起動させ・・・一気に肉薄し接近戦を仕掛ける。
駆逐棲姫「・・・・ナイトメアシステム起動!!」
山城「システム!?・・・」
駆逐棲姫「死ネ・・・・」
姫の主砲は完全に夕立を捉えていた・・・回避は間に合わない。
ユウダチ「がぁ!?・・・・なん・・・・で?」
主砲が直撃し夕立は腹部に大きなダメージを受ける・・・かなりの損傷だ。恐らく轟沈一歩手前の大破ぐらいだろう。
駆逐棲姫「フフフ・・・」
天龍「夕立!?・・・くそ!」
駆逐棲姫「君達ノヨウナ雑魚ハ・・・サッサト帰ルトイイ」
山城「時雨ぇぇ!!」
天龍「やめろ!・・・お前じゃ勝てない」
山城「うぅ・・・でも」
正直夕立が欠いた状態で何処までやれるかわからない・・・勝てるとしてもこっちも五体無事ではいられ無いだろう。
ユウダチ「ぅ・・・て・・・んりゅ」
天龍「夕立!?・・・」
ユウダチ「逃げ・・・て!」
駆逐棲姫「良クワカッテルジャナイカ・・・」
そう言うと時雨は夕立をぶっきらぼうに投げつける・・・
ユウダチ「うぐぅ!・・・・アイツ・・・はしぐ・・・」
天龍「わかった!!・・・喋るな!方舟に撤退する!」
ユウダチ「ちが・・・し・・・じゃ・・・」
山城「・・・じゃあね?時雨」
駆逐棲姫「ウン・・・トットト行キナヨ」
天龍「チッ!・・・憶えてろよ」
自分でも嫌になるくらいにダサい捨て台詞だ・・・まさかこんな台詞を吐く日が来るなんて屈辱だ。
ユウダチ「うぅ・・・・・」
駆逐棲姫「ジャアネ・・・時間ハ僕ガ稼グカラ」」
天鳥船 内部
隊長「ここだな・・・」
ここが艦内演習場への・・・今のところ作動する唯一の扉だ。
雲龍「ロックは解除されているわね・・・」
阿賀野「絶対何かあるじゃないの・・・」
隊長「まぁ・・・行くしかないんだがな」
そう言うと俺は扉の前のコンソールを操作する。ロックもなにもない・・・簡単に扉は開かれた。
隊長「・・・あれは」
阿賀野「オリジナル・・・二人ね」
演習場のプールには二人の人影が見える・・・阿賀野んお言うとおり反応はオリジナルだ。
雲龍「2対3?・・・舐められたものね?」
隊長「あぁ・・・さっさと仕留めるか」
阿賀野「ええ」
広大な演習場のプールに足をつける・・・浮上機能に異常はない。阿賀野と雲龍も艤装の再展開しており臨戦態勢に入った。
航巡「やっと・・・きましたか」
戦艦「あらあら・・・お姉さん待ったわよ?」
隊長「戦艦型・・・それと航空巡洋艦型か」
あの二人は確かナイトメアシステム性能試験の時に居た奴だったか・・・さあてどっちから殺るかな。
航巡「さて・・・はじめましょうか」
戦艦「こっちはオリジナルだからね・・・ハンデとして2対3でいいわよ?」
隊長「ほう?」
随分となめた態度だ・・・きついお灸をすえてやらねばな?
雲龍「・・・・隊長?」
阿賀野「・・・あんたは先に行ってて?」
目が据わってるな・・・ヤル気満々ってことか?だが俺も引くつもりはない。
隊長「おい・・・コイツは俺一人で」
雲龍「うるさいわね・・・私一人で」
阿賀野「いーや!私が一人で!!」
隊長「オレだ!!」
雲龍「私よ!!」
阿賀野「私だって!!」
戦艦「・・・・あ?」
航巡「・・・・コイツら」
俺達が言い争っている内容が内容だけに腹正しいのだろう・・・顔がかなり引きつっている。
航巡「・・・全員そろって!」
戦艦「死にやがれぇ!!!」
堪忍袋の緒が切れたのか・・・航巡と戦艦は俺達めがけて主砲をぶっ放してきた。
隊長「・・・・フン!」
まずは俺が剣で主砲を全て叩き落とす・・・
雲龍「・・・だったら!」
その後雲龍が側面に回り込みながら副砲で砲撃し牽制。
阿賀野「誰がアイツをら倒すか・・・」
同時に阿賀野は戦艦と航巡の後方に回り込み魚雷を全斉射した。
航巡「くっ!?」
戦艦「このぉ!!」
3人による包囲が完成する。
隊長&阿賀野&雲龍「勝負!!」
航巡「クソが!」
戦艦「こうなったら!!」
二人は3人同時は危険と察したかそれぞれが雲龍と阿賀野に突撃し・・・1対1になるように動いた。
隊長「おい!?」
阿賀野「へぇ?」
雲龍「んふふ・・・」
雲龍と阿賀野は満足顔だが俺としてはたまった物じゃない・・・これでは不完全燃焼だ。
隊長「ぬあ!!!・・・腹立つ!!」
雲龍対戦艦
戦艦「んふふ・・・さぁてと」
敵戦艦はこれぞ好機とばかり砲撃する・・・確かに普通なら空母が戦艦に肉薄されたら抵抗すら出来ないだろう。
雲龍「・・・はぁ」
でも少なくとも私は普通じゃない・・・むしろこの状況は私にとって有利だ。
戦艦「あらあら?空母さんがたった一人でどうするつもりなのかしらぁ~?」
雲龍「・・・こうするのよ?」
旗をひらりと翻し印を結ぶ・・・式札は光をまとい艦載機へと変化を遂げる。
戦艦「艦載機?・・・でも艦爆は!?」
雲龍「私ね?・・・艦爆とか艦攻って使わないのよ」
私が発艦させた艦載機は烈風・・・現状艦娘が運用できる最強の艦上戦闘機。
雲龍「だって・・・爆弾なんかなくても機銃で十分沈められるんだから」
烈風は全部で27機・・・優華から教わった烈風拳の威力を味あわせてやるか。
雲龍「さぁ・・・沈む準備は済んだかしら?」
阿賀野対航巡
航巡「さぁ・・・いきますよ?」
相手は航空巡洋艦・・・恐らく水上爆撃機でも装備しているだろう。
阿賀野「・・・」
砲撃と爆撃機の攻撃は厄介だ・・・軽巡では打撃力も対空能力も敵わない。
航巡「ほらほら!!避けないと沈んでしまいますよ?」
阿賀野「偉そうに・・・自分の心配しなさいよ?」
航巡「どうして?・・・あなたの仲間は戦艦がガラクタにしてるところよ?そしてあなたも私がガラクタにしてあの男も」
主砲を構え砲撃する・・・
航巡「あの方がころ!?」
ビンゴ!・・・見事に憎たらしい顔に当ってくれた。
航巡「おぉ!?・・・テメェ!!!」
激昂したようだ・・・勝手に優越感かんじたり怒ったり叫んだり・・・全く面倒な奴だよ。
阿賀野「・・・・さっさと来なさいよ」
艤装を一部解除・・・代わりにオリジナルの艤装を展開させる。電磁ランスを手に取り構えなおす。
アガノ「殺してあげるからさ」
隊長対???
隊長「盛り上がってんなぁ・・・」
戦う二人に視線を向ける・・・二人とも本気だ。この分ならすぐに片付けるだろう。それにこっちにもお客さんがいるみたいだからな。
隊長「で?・・・誰だよ」
海藤「・・・奇襲は失敗かな?」
隊長「海藤?・・・そいつは」
目の前に現れたの見た事もない艤装・・・見た目は特殊艤装に近いな?だが少し大型化している様でパワーがありそうな見た目をしている。
海藤「プロトタイプだよ・・・君と同じね?」
隊長「おいおい・・・こちとら起動するまでかなり苦労したんだがな?」
海藤「君のおかげだよ?あの時のデータのおかげで完成したのさ」
南シナ海のときのデータか・・・やはり正規空母はコイツの指示で動いていたんだな。
海藤「私は君程腕っ節に自信は無いが・・・勝負を挑ませてもらうよ?」
海藤・・・確かアイツは提督の中では一番艤装戦闘が得意だったな。だがそれでも俺に勝負を挑んでくるとは・・・何が目的だ?
隊長「・・・あぁ挑まれてやるよ」
戦闘海域 皐月対重巡
皐月「さぁ・・・て」
重巡「準備はよろしいですか?」
魚雷砲の残弾は2発・・・・艤装も機関は無事。満身創痍だがいける。
皐月「いいよ・・・」
重巡「こちらもです」
構える・・・重巡の目に光が消える。濁っておらず曇りも無い・・・まるで聖人君子のような殺人機械の目だ。
皐月「行くよ!」
重巡「ええ!」
合図と共に機関をフル回転させる・・・互いの損傷を見る限りこの一撃で全てが決まる。速度は上がっているはずだ・・・だがどんどんとスローモーションにみえてくる。
皐月「はぁ・・・はぁ・・・・」
重巡「はぁ・・・はぁ」
相手も同じ様な感覚に陥っているようだ・・・互いに感覚が極限まで研ぎ澄まされているのだろうか。
皐月「まだ・・・まだだ」
重巡「あと・・・少し!」
脳が・・・いや身体中の血液がめぐっているのがわかる・・・血液の熱が・・・体中を焼き尽くそうとしている感覚がなんと気持ちいい事か・・・・この快楽にずっとおぼれていたくなる程だ。
皐月「来た!!」
重巡「いけぇ!!」
重巡が一息早く主砲を構える・・・狙いは確実だ間違いなくこのまま僕は沈むだろう・・・だがそんな事くらい読んでいる!!
皐月「はぁぁ!」
魚雷砲を海面に発射する・・・すると魚雷砲は海面に当った衝撃爆発する。
重巡「やっぱり・・・上か!!」
重巡は上を見上げている事だろう・・・確かに初めは僕もで爆風で飛び上がろうと思ったがそれでは飛び上がった先で逃げ場をなくしてしまう。
重巡「いない!?・・・」
魚雷装填完了・・・照準は完璧・・・発射!!
皐月「!!」
重巡「前に!?・・・ぅ!」
魚雷は重巡に命中・・・艤装で防御したようだがこれで艤装は完全に破壊・・・重巡は戦闘不能になった。
皐月「・・・」
重巡「・・・流石ね?・・・でもあなた・・・も?」
皐月「っぁ・・・っ・・・」
爆風で喉をやられたか・・・声もでないし呼吸もま満足にまならない。それに左半身は使い物にならないほど損傷している・・・重巡の言うとおり僕も間違いなく死ぬほどのダメージだ。
重巡「んふふふ・・・最後に・・・戦ったのが・・・貴女でよかった・・わ?」
皐月「・・っ!・・・ぁぁ」
僕もそうさ・・・あんたはとても強くて本当に楽しかったよ?
重巡「そう・・・ありが・・とう」
皐月「っ・・ぁぁぅ」
喋ればないのが口惜しいな・・・満足にお礼もいえないなんて。
重巡「大丈夫・・・つたわ・・・てる・・・よ?」
そう言うと重巡は静かに目を閉じた・・・静かに眠るように死んでいった。私も限界だな・・・力が抜けていく・・・このまま沈むのだろう。
皐月「・・・さ・・・よ・・・な・・・ら」
目を閉じる・・・なんとも暖かい感覚が僕を襲う・・・そうかこれが死ぬという事か・・・悪くはないな。
皐月「・・・」
???「・・・やはり君達には生きていて貰わなければならないのさ」
???「皐月・・・そして重巡・・・いや古鷹」
雪風&時雨対航空戦艦
雪風「いけ!」
時雨「こっちも!!」
私と時雨の連携攻撃によって流石の航空戦艦も追い詰められている・・・反撃もままならず防戦一方だ。
航空戦艦「くそ・・・こうなったら仕方ないか」
航空戦艦の動きが止まった?・・・なにか仕掛けてくるのだろうか・・・
航空戦艦「さぁ・・・さっさと殺したらどうだ?」
雪風「はぁ?」
時雨「・・・いい加減に!」
航空戦艦「殺すつもりなど無いのだろう?・・・ならさっさと道をあけるかしてくれないか?」
殺すつもりが無いのは確かだが・・・このような動きをしてくるとは正直予想外だったな・・・
時雨「・・・雪風?」
雪風「・・・なに?」
時雨「・・・半殺しにする?」
・・・怖い事を簡単に言ってくれる、まぁこの状況ならそれが確実かな?自害できない位まで追いつめればあるいは・・・ん?緊急通信?
雪風「・・・何よ?」
天龍「時雨が裏切った!・・・とりあえず今は方舟に戻って補給しろ」
雪風「時雨?・・・それならここに居るけど?」
天龍「はぁ?・・・マズイぞ!!」
雪風「いや・・・裏切ってないわよ?ねぇ?」
時雨「はぁ?・・・何が?」
あまりの事態に困惑しているようで状況が読み込めない・・・なんで?反応を追えばわかるはずなのに・・・なぜそんな勘違いを?。
時雨「反応・・・あれ?電探が効かない?」
雪風「え?・・・あ・・・本当だ」
そうか・・・何らかの障害で反応が読み取れていなかったのか。それなら勘違いもあるかもしれない・・・ふと前に目を向けると逃げさる航空戦艦を見つける。
雪風「あいつ!!」
時雨「逃げるつもりか!!」
だがここは私一人で行ったほうがいいだろうな・・・時雨には裏切ったと勘違いさせた奴を倒してもらった方がいい。
雪風「時雨は裏切りを勘違いさせた奴を追って!!・・・アイツは私が」
時雨「う・・・・でも」
雪風「勘違いさせた相手に心当たりあるんでしょ?・・・それにアイツの事なら私に任せて」
時雨「・・・・・わかったよ」
雪風「ありがと・・・」
時雨「・・・お願い」
雪風「ええ・・・」
時雨は天龍が交戦した海域へ向かった・・・さぁて私もアイツを追わなければ。
天鳥船 艦内演習場
雲龍対戦艦
戦艦「あははは!!艦戦ごときが何機来たって同じことよぉ!!」
烈風は善戦しているが対する戦艦の装甲と対空機銃の前に苦戦を強いられている。
戦艦「何が機銃でもよ?全然ダメじゃないの!!」
雲龍「・・・」
主砲の砲撃も密度が濃くなっている・・・このままでは完全に捉えられてしまうか・・・
戦艦「あらあらぁ・・・まだダメよ?もうちょっといたぶらなきゃぁ!!」
わざとこっちを追い詰めるように狙っていたというのか?・・・これは少しまずいな、今の私は戦艦の作戦通りと言うことになる。
雲龍「・・・・」
戦艦はこれをチャンスと見て攻撃を激しくしてくるだろう・・・どうする?このままでは・・・打つ手がないか?
戦艦「つまんない・・・もうあきらめちゃったの?」
雲龍「・・・」
戦艦「あれだけ啖呵切っといてその程度?・・・もういいわ死んで頂戴」
主砲がこっちを狙っている・・・このままでは・・・その時轟音が鳴り響く、主砲が放たれた・・・
戦艦「ふん!!雑魚が!」
雲龍「・・・・気は済んだかしら?」
相手は何が起こったのか理解できていなかった様だ・・・困惑しながらも驚いているなんとも微妙な顔をしている。
雲龍「気は済んだ?・・・聞こえてないの?」
戦艦「何?・・・直撃したはずじゃ」
雲龍「したわよ?飛行甲板にね?」
私は右手に持った杖だった物を見せ付ける・・・たしかに私の飛行甲板に直撃し離発着不可能な大損害だ。
戦艦「はっ!!なによ・・・飛行甲板なしの空母なんて置物同然じゃない」
確かにその通り・・・飛行甲板がなければ離発着は不可能だ・・・つまり艦載機は使用不可能となる。だが私にとってはそんな事はたいした事ではない。
雲龍「普通の空母ならね・・・でも私は違うわ」
艦載機を呼び戻す・・・戻ってきた4機の烈風はあるものを牽引してきていた。
戦艦「それは・・・レールガン!?何処でそれを!」
烈風からレールガンを受け取ると装備の点検に入る。マガジンOK、セーフティも外れている、サイトも機能している・・・完璧だ。
雲龍「ここは軍艦よ?・・・探せば何処にでもあるわよ」
戦艦「ふふ!!だけど当らなければ問題ないわ!主砲で!!」
雲龍「ごめんなさいね?・・・私は」
レールガンを構える・・・照準をつけると引き金を引いた。
戦艦「あが!!?」
雲龍「生まれたから一発も・・・外した事無いのよ」
弾は確実に戦艦の眉間を撃ち抜いている・・・・撃とうと装填された砲弾は行き場をなくし砲塔ごと大爆発を起こした。
雲龍「・・・演技も大変ね、終戦しても女優になるはやめときましょうか」
阿賀野対航巡
アガノ「ふん!・・・その程度なの?」
軽巡のスピードを生かして攻める・・・相手はこっちのスピードにはついてこれないようだ。
航巡「クソ!クソ!!なんで!!同じオリジナルでしょうが!!」
どんどん追い詰められているのか口調が今までの女性らしいものではなくなっている。
アガノ「・・・ヤル気あるの?」
航巡「なに!・・・コイツめぇ!!!」
航巡は主砲を放つ・・・適正距離からの完璧な砲撃、たいしたものだ・・・だが相手が悪かった。
アガノ「・・・まだまだね?」
航巡「え?・・・なんで」
アガノ「知りたいかしら?」
航巡「そんな事!!」
また撃ったか・・・無駄なのだから止めれば良いのに。
アガノ「正解は・・・今の私は擬似的なプロトタイプだから・・・でした」
航巡「擬似的な・・・・・?」
アガノ「そ・・・強引にやってるから出力が低くくて隊長ほどじゃ無いけどね」
プロトタイプとはまずディープライト鉱石と深海棲艦コアの完全な共鳴現象を機関を装備した艤装をさす。つまりオリジナルである為深海棲艦のコアを内蔵しており、また艦娘である為艤装にディープライト鉱石が埋め込まれている私はプロタイプになる事が出来るのだ。ただ調整が大変なのとコアを酷使する為負担が大きく短時間しか使えないが。
アガノ「と言うわけで・・・死んでもらうわね」
電磁ランスを振り回し刃先を航巡に向ける。対する航巡は戦意を失ったのか動く事も出来ずにいる。
アガノ「・・・さよなら」
ランスを振り下ろす・・・航巡は真っ二つに成り果てた。
阿賀野「しかしプロトタイプ化か・・・・これは使えそうね」
隊長対海藤
プロトタイプを装備した海藤の攻撃は実に見事なものだ・・・そこらの実戦部隊にも勝る戦闘技術が伺われる。
海藤「・・・隊長」
ふと攻勢が止む・・・気付くと海藤を小さく口を開いた。
隊長「どうした?」
海藤「なぜ反撃しない?」
隊長「反撃できないのさ・・・海藤の気迫って奴でね」
実はあながち嘘ではない・・・海藤の攻撃は俺の反撃を想定しつつ行われている。隙のない攻撃のために反撃の機会は少ないのだ。
海藤「・・・」
納得していないな・・・それもそうだ。確かに隙の無い攻撃だが俺のような実力差がある相手の場合では隙などあっても無くても変わらないのだから。
隊長「・・・葛葉の指示だよ」
海藤「元帥閣下になられたお方からか?・・・ふん」
隊長「まぁ・・・聞いてくれ、俺達はお前を連れて帰るつもりだ」
海藤「ほう・・・私のような反逆者を?ふふ・・・見せしめにでもするつもりなのかな」
隊長「もう一度共に戦って欲しいとの事だが・・・?」
海藤「私が?・・・・なんと!」
大きくかつ自虐的に笑う・・・ふぅと一息つくと俺に視線を戻した。
海藤「何のつもりだ・・・私は反逆に失敗しここで君達と心中覚悟の戦いをしているんだぞ?」
隊長「・・・俺には興味ないな」
海藤「なに?」
隊長「俺にも葛葉の真意はわからん・・・だが海藤がこの日本海軍に必要な人材なのはわかるさ」
海藤「隊長・・・私は!」
隊長「葛葉は気付いているぞ?・・・お前が何故こんな事をしたのか」
海藤「・・・・」
隊長「なぜ・・・そこまで死に急ごうとしているかもな!!」
海藤「くっ!!」
・・・・海藤の攻撃が始まる。だが先程とは違いその攻撃には精細がない。
隊長「どうした・・・なっちゃいないぞ!」
海藤「うっ!!・・・舐めるなぁ!!」
海藤が電磁ブレードを思いっきり振りかぶる・・・ここは格の違いを見せ付けてやるか。
隊長「・・・」
振り下ろされる電磁ブレードの峰の部分を右手で掴みとる。海藤はあまりの事に言葉を失っているようだ。
隊長「・・・フン!」
右手に力を込める。すると電磁ブレードはいとも簡単に折れた。
海藤「なに?・・・・」
隊長「海藤・・・・電磁ブレードの弱点は峰の部分なんだよ」
海藤「ふふふ・・・・私の負けか」
壊れた電磁ブレードを投げ捨て水面に胡坐をかいて座り込む。
海藤「・・・・殺せ」
隊長「断る」
海藤「何故だ」
隊長「お前の力が必要だからだ」
海藤「断る」
隊長「何故だ」
海藤「それは・・・」
海藤が言いよどむ・・・葛葉は恐らく理由も察しが付いているだろうが俺にはわからん。ここでしっかり聞かせてもらおうじゃないか。
海藤「・・・私にはその資格はない」
隊長「なに?」
海藤「葛葉元帥の様な人間とは・・・相容れないよ」
隊長「・・・・」
海藤「私は・・・部下を、大切な女を・・・見殺しにしてしまった」
海藤は嗚咽をもらしながら話を続ける・・・
海藤「彼女は・・・あの日敵中枢艦隊との交戦中に大破、艦隊運動についてこれない程の損傷だ」
海藤「そこで私は攻撃を断念・・・鎮守府に帰還することしたが」
隊長「・・・」
海藤「その時・・・敵艦隊の奇襲にあってしまう・・・もうわかるな?」
隊長「囮・・・か?」
海藤「言い出したんだ・・・止められなかった・・・彼女はわかっていたのさ自分がいては満足に撤退もできないと」
隊長「・・・・なら」
海藤「それでも・・・私が彼女を殺したような物さ、第一攻撃作戦を立てたのは私だからな」
隊長「・・・海藤」
海藤「一度やってしまえば楽な物だよ・・・何人もの部下を作戦の為、勝利の為といいながら見殺しにした・・・」
隊長「・・・」
海藤「私は、そんな自分が許せない・・・だから今回は」
海藤「そんな自分に復讐する為に・・・クーデターを起こしたんだよ」
隊長「クーデターは成功しないとわかっていたのか?」
海藤「当たり前さ・・・運よく君達を倒しても葛葉が後手に回ったままなんてありえない」
隊長「恐らく一息も付かずに総力で反撃するだろうな」
海藤「ああ・・・それにクーデターに運用した部隊で反乱側は全てだからね、葛葉の艦隊と戦う力は無いよ」
隊長「自分への復讐も兼ねて同時に海軍に潜む戦乱の種を摘み取るために・・・」
海藤「ふふ・・・どうせ死ぬのなら葛葉に逆らおうとする馬鹿どもと一緒にね」
隊長「ははは・・・話を聞いてしまった以上仕方ないな」
海藤「わかってくれたか・・・・」
隊長「絶対に連れ戻す!・・・お前のような男はこれからの海軍に必要だからな」
海藤「・・・全く」
????「隊長・・・その通りだ」
不意に・・・・全く予期していなかったところから全く予想していなかった人物に話しかけられた・・・何故コイツがここにいる?他の皆は?まさか突破されたのか?
隊長「・・・・貴様」
????「久しぶり・・・」
声のする方向に振り向く・・・目の前には見覚えがある艤装。白い鎧のような・・・昔やっていたアニメのヒーローのようなその姿。まさに今俺が着ているプロトタイプと同じ艤装。奴は・・・
隊長「・・・コマンダー!」
コマンダー「ふふふ」
方舟 艦橋
桐生「・・・状況は!」
副官「・・・こちらの損傷拡大しています、瑞鶴大破、夕立大破、皐月も大破しています」
これだけの激戦で大破が3人・・・良くやっている方だな。それに先の戦いの前に投降したオリジナルが戦列に加わった事もある。状況は有利にすすんでいる。
桐生「よし・・・深海棲艦の攻勢が止んでいる今にチャンスだ!補給と入渠を済ませろ!高速修復剤は幾ら使ってもかまわん!」
副官「はい!・・・聞いたな?各艦!さっさと補給を済ませろぉ!!」
戦闘海域
潜水艦「・・・やるね」
レーダーを確認しながら遠くに見える天鳥船に目を向ける。
潜水艦「さて・・・戦艦棲姫さん?」
戦艦棲姫「ナンダ?」
潜水艦「貴女の出番です、残る艦娘どもを皆殺しにしてください」
戦艦棲姫「アァ・・・」
けだるそうだなぁ・・・こっちは戦力もう無いんだから気合入れてくれないと困るんだが・・・仕方ないな。
潜水艦「お願いします、無事皆殺しにすれば貴女の提督に褒めてもらえるんですよ?」
戦艦棲姫「本当ニ・・・褒メテクレル?」
潜水艦「ええ・・・・貴女の提督はいい人ですから・・・きっと褒めてくれますよ」
戦艦棲姫「フフフ・・・・提督!提督ガ!」
潜水艦「ふふふ・・・」
これで良し・・・・後は私が隙をつければ・・・
潜水艦「私達の勝ちですね・・・」
時雨対駆逐棲姫
駆逐棲姫「・・・消エタ?何故ダ」
夕立を大破させてしまったが艦娘を撤退させる事に成功した、本来なら僕がここで深海棲艦を食い止めるのだが状況が変わった・・・大量に現れた筈の深海棲艦が皆消えてしまったのだ。
駆逐棲姫「・・・ン?」
敵?・・・かなり鋭い殺意だ。艦娘たちは撤退した筈だが?
駆逐棲姫「アレハ・・・!?」
時雨・・・何故アイツがここに?撤退したのでは・・・・
駆逐棲姫「クッ!・・・」
時雨「やぁ・・・」
駆逐棲姫「何故・・・来タノ?」
時雨「・・・君のせいで裏切り者にされたその落とし前をね」
裏切り?何かしたか?
時雨「しらばっくれんじゃないよ・・・」
駆逐棲姫「ソンナツモリハ無カッタヨ」
目の前の時雨は眉をピクリと動かした・・・
時雨「つもりとかそんなのは知らないよ・・・あんたがその顔見せるから悪いんでしょ」
顔?・・・深海棲艦となったのだから顔は似ていないけど・・・
時雨「・・・はぁメンドイねぇさっさと死ぬ?その首持ってけば証明できるんだよね」
そういって目の前の時雨は主砲を構える・・・話を聞いているとどっちが深海棲艦かわからないな・・・
駆逐棲姫「ソレハ困ル・・・僕ニハマダヤルベキ事ガ」
時雨「ここで深海棲艦を食い止める事かい?」
駆逐棲姫「!?」
・・・バレていたか。だがそれならわかって欲しいんだ。これが僕の役目なんだと。
駆逐棲姫「ダッタラ・・!?」
時雨「・・・・何?」
そうか・・・そういうつもりだったのか!今までの深海棲艦は・・・・
駆逐棲姫「・・・来ナヨ?」
時雨「何?・・・急に」
駆逐棲姫「役目ハ終ワッタ・・・ソレダケノ事」
ここで深海棲艦を食い止める必要はなくなった・・・・後は全て終わらせるだけ・・・
時雨「そうかい・・・じゃあ死んでもらおうか・・・時雨さん?」
駆逐棲姫「ウン・・・簡単ニハ死ナナイヨ?時雨サン」
雪風対航空戦艦
雪風「いた!・・・」
追いついた・・・良かった、周辺に味方はいない。
航空戦艦「君は・・・どうしてそこまで」
雪風「もう離れたくないからよ・・・悪い?」
航空戦艦「・・・全く」
困ったような表情で笑う・・・それでも今回は離れたくないのだ。
雪風「そんなに離れたかったら殺しなさいよ、それ以外じゃ離れないわよ?」
航空戦艦「そうか・・・ならば」
剣を構える・・・今度はそうきたか。
航空戦艦「殺す・・・雪風!」
雪風「やって見なさい!・・・これでも強いのよ?」
航空戦艦「うぉぉぉ!!」
剣から艦載機?・・・あの剣が飛行甲板になっているのか。
雪風「その程度の艦載機で!!」
対空機銃を起動させる・・・たかが航空戦艦の搭載数ではさして脅威にはなるまい。
航空戦艦「ふん!まだまだ!」
今度は主砲か?・・・狙いは正確。回避に気を抜けば一撃で沈みかねない・・・
雪風「だけど・・・隙ありよ」
艦載機の数も少なく主砲は主砲で発射間隔が長いのだ・・・隙なぞ幾らでもある。砲撃だ。
航空戦艦「ふん!・・・効かんよ」
砲弾は航空戦艦の装甲によってはじかれてしまう・・・・攻撃は効かない、だが攻撃する隙があるならば問題は無い。
雪風「今のところはね・・・・でもこれならどうかしら?」
航空戦艦「なに?・・・何だ」
ナイトメアシステム起動・・・元々は私の為に開発されたシステム、ならば私が使えば夕立の比ではないパワーアップになるはずだ。
ユキカゼ「・・・」
航空戦艦「これが・・・ナイトメアシステム!」
ユキカゼ「・・・行くわ」
体が軽い・・・今の私ならあの雲龍とか言う化け物にも勝てそうな気がする・・・さて遊んでやるか。
航空戦艦「ふん!いけぇ!」
主砲斉射と艦載機による爆撃・・・穴の無い見事な砲撃だ。だが相手が悪かった、今の私にはその砲弾も爆弾も・・・全て止まっているように見えてしまうのだ。
ユキカゼ「・・・この程度じゃ沈めない」
航空戦艦「・・・駆逐棲姫の時とは能力の上がり方が違う?」
砲撃を緩めずそれどころか激しさ増している・・・だが今の私には意味がない。
ユキカゼ「・・・ふん」
砲撃はすべて私の思い通りの軌道で落ちてくる・・・それではさっさとおしまいにしてしまおう。
ユキカゼ「・・・いけ」
主砲・・・連射スピードも上がっているのか?まるでマシンガンのように砲弾が飛んでいく。
航空戦艦「くぅ!一発の威力もそうだが・・・この連射力!」
機動力も上がっているな、あまりのスピードに航空戦艦は狙いをつけることすら出来なくなっている。
航空戦艦「ぐっ!・・・直撃!?まだまだ!」
スピード生かし翻弄しながら主砲の連射を食らわせる・・・傍から見たら一方的に蹂躙しているようにか見えないだろう。
ユキカゼ「さすがは・・・航空戦艦」
耐久力はなかなか・・・だが魚雷が当れば流石の戦艦も一撃だろう。
航空戦艦「クソっ!・・・マズイ!雷跡!?」
気付いたときはもう遅い・・・・全方位からの魚雷だ、当るしかない。
航空戦艦「うぉぉっぉぉぉぉ!?」
全弾命中・・・これで終わりだな。
天鳥船
コマンダー「・・・隊長の言うとおり、海藤君はこれからの海軍に必要な存在なんだ」
海藤「・・・だが」
隊長「・・・海藤」
コマンダー「ん?」
コマンダーは通信機を手に取った。誰かと話しているようだが・・・
コマンダー「・・・・やはりこの世界では歴史に違いがあるのか?いや単純に未来が変わりつつある?」
隊長「・・・どうした?」
コマンダー「事態が変わった・・・未来が変わりつつあるらしい」
海藤「未来だと?・・・まさか」
海藤の奴も気付いたか・・・まぁ俺は葛葉が言わなければまだ気付いていないだろうがな。
隊長「未来から来たんだよな・・・隊長さん」
コマンダー「・・・葛葉から聞いたんだね」
隊長「あぁ・・・じゃなきゃ気付かないって」
海藤「・・・」
コマンダー「わかっているなら簡潔に言おう・・・私は今から2年後の未来からやってきたのだ」
コマンダーの話はこうだ。コマンダーは未来の俺であり、深海棲艦と人類同士の戦争によってメチャクチャになってしまった未来から来た。そこで一部の深海棲艦と和平派の人類と共に日本を拠点として戦っていたが戦闘中に共鳴機関が暴走し一緒にいた駆逐棲姫と共に過去に戻ってきてしまったらしい。
海藤「そして未来を変えるために?」
コマンダー「あぁ・・・オリジナルを救出し、データを提供したりね」
隊長「ほう・・・でもコマンダーの言う歴史とこっちの歴史じゃ少し違いがあるが?」
まず1つはプロトタイプの存在だ・・・コマンダーの歴史では一番初めに開発に成功しており実戦投入もかなり早い、だが俺達の歴史ではつい先日開発できたのだ。そしてもう1つ、時雨を初めとする一部艦娘たちの人格の違いだ。
コマンダー「・・・その点については不可思議でね、細かい事象が違えば未来は大きく変わる筈なのだが、私達の歴史と君達の歴史では大まかな事象は全く同じなんだ」
海藤「・・・未来ではないのかもしれないな」
隊長「はぁ?」
海藤「平行世界だよ・・・それなら大きな事象に係る因子さえ変わらなければ大まかな歴史は同じだ」
隊長「いや・・・海藤」
コマンダー「・・・?」
海藤「もし未来からコマンダーが来たとしたら・・・プロトタイプの開発が遅れてしまった段階でコマンダーに異変が起きるだろう?だがそれはない」
コマンダー「あぁ・・・確かに」
海藤「それに歴史を変えてる段階でもっと大きな変化が起こるはず・・・例えば先の反乱だ」
隊長「あぁ・・・確かにあれがまともに成功すれば提督のうち誰かは戦死してもおかしくはない」
コマンダー「事実、私達の歴史では名城提督が戦死、それ以外にも数名の艦娘が沈んでいる」
海藤「・・・名城は提督じゃない点も含めるとかなり変わってくる筈だろう?」
隊長「・・・過去がかなり変わっている以上今から起こる事象もコマンダー知っている事象と変わってしまうからな」
コマンダー「それでも反乱の起こる一時や部隊の配置・・・また今日の戦いもまた私が知っている物と大きな変化はない」
海藤「以上のことを踏まえると・・・未来と言うよりは並行世界の方がしっくり来るだろう?」
コマンダー「・・・ふむ」
隊長「あぁ・・・頭がよくないのも似てるんだな」
コマンダー「まぁね」
海藤「コマンダー・・ではこの後は何が起こるんだ?」
コマンダー「あぁ・・・私が知る限りでは深海棲艦の波状攻撃の後要塞型の深海棲艦が現れる筈」
海藤「だが波状攻撃は止んでいる・・・」
隊長「あぁ・・・」
・・・・良くわからないな。海藤に任せたほうがよさそうだ。
海藤「桐生君とは連絡は?」
隊長「あ?・・・つけられるぞ」
海藤「桐生と話がしたい・・・」
目が変わったな・・・今までの死んだような目ではなく軍人としての目になった。
隊長「わかった・・・繋げるぞ」
今の海藤ならば大丈夫だ・・・自分の起こした戦いによって無駄な被害が無いように全力を尽くすだろう。このまま海軍に戻ってきてくれるといいんだがな・・・
方舟 艦橋
桐生「おかしい・・・何故敵が消えた?」
電単に反応なし・・・ソナーも異常なし・・・海藤がもし指揮しているのならこんなものでは済まないはず。
副官「隊長?・・・え?海藤が!?」
桐生「どうした!?」
副官「えと・・・海藤が桐生提督と話したいと」
海藤が?・・・てことは隊長は説得に成功したのか?ならば心強いが・・・
桐生「変わりました・・・海藤中将」
海藤「・・・海藤でいいよ」
桐生「早速ですが・・・」
海藤「先に行っておくと私は深海棲艦を指揮していない・・・利用しただけに過ぎん」
桐生「・・・やはりそうですか」
海藤が深海棲艦まで指揮していたら恐らく被害はもっと大きくなっていただろうな・・・
海藤「その上で話す、まず今から囮として超大型の要塞か大量の深海棲艦が出現する、そしてその間にオリジナルの生き残りが天鳥船の機関を暴走させあたり一面消し飛ばす・・・そういう作戦で来る筈だ」
桐生「・・・本当ですか?」
コマンダー「私の知る未来と海藤君の知っている事実を組み合わせた結果だよ・・・正しいさ」
桐生「隊長?・・・喋り方が」
隊長「俺じゃない・・・コマンダーだよ」
コマンダー?彼も仲間に引き入れたというのか・・・葛葉元帥の想定には入っていなかったがこれは事態がいい方向に進んでいると言うことだろう。
桐生「・・・それでは天鳥船に防衛戦力を残さなければ」
隊長「あぁ・・それだがな」
コマンダー「私が残るよ、海藤君と共にね」
桐生「流石に・・・それは」
幾ら協力してくれるとはいえコマンダーと海藤を一緒に残すのは・・・
隊長「俺はかまわん」
桐生「はぁ・・・ではお願いしましょう」
隊長に良いといわれたらこっちは否定できないな。全く・・・大きなため息ともに邪念を捨てる。さて戦闘中だ・・・気を抜かずいかなければな。
桐生「全艦出撃・・・周辺の警戒を密とせよ!」
天鳥船
隊長「良し・・・雲龍、阿賀野、青葉」
通信を入れる・・・あいつらの事だ負けてなどいないだろう。
雲龍「長かったわね・・・・」
阿賀野「なんか難しいような簡単なような話だったけど」
青葉「ええ・・・」
隊長「まぁ・・・じゃあ俺達は方舟に戻るぞ」
全員無事・・・オリジナルと言うのも全員が正規空母や航空戦艦ほどでは無いようだな。
コマンダー「ではここは私と海藤君に任せてくれ」
隊長「わかった・・・任せる」
青葉が1つ決心したよな表情で前に一歩進む。
青葉「・・・海藤さん」
海藤「何か?」
青葉「・・・天鳥船って動かせますか?」
海藤「あぁ・・・細工は解除したし問題なく使えるよ」
ニヤリ・・・この顔はいいことを思いついた顔だな。
青葉「ふふ・・・では海藤さんは私と艦橋に来ていただけます?」
海藤「?・・・まぁかまわんが」
青葉「実は先ほどハッキングしたときに操艦機能だけを隔離しましてね?」
海藤「・・・まさか新しい操艦機能を作り上げたのか?」
青葉「ええ、方舟から失敬してきた操艦データで」
海藤「フフ・・・つまり極少人数で操艦可能になったと?」
青葉「はい、恐らく二人で十分ですね」
海藤「いいだろう・・・行こう」
青葉「はい・・・と言うわけで?」
隊長「ああ・・・」
雲龍「・・・あの子って何でも出来るのかしら?」
阿賀野「・・・一番多芸よね」
・・・静まりかえる。まぁ・・・考えていても仕方ない、さっさとやるべき事をやってしまうか。
隊長「行くぞ」
雲龍「そうね」
阿賀野「ええ」
天鳥船 艦橋
青葉「さて・・・と」
海藤「操艦は・・・何処で?」
艦橋にはいって辺りを見渡す・・・特に変わった様子は無いが。
青葉「これですよ」
そう言うと青葉は携帯端末を取り出す。
海藤「・・・それで?」
青葉「本当は脳波で動かすとかしたかったんですけど・・・機材も無いので」
海藤「そ・・・そうか」
青葉「ま、ゲームみたいな感じですよ」
流石は隊長の元部下だな・・・常識では図りきれない。
海藤「では・・・私は?」
青葉「火器管制を・・・後は細かい状況確認、つまりサポートですね」
海藤「わかった」
士官席に腰をおろし機器に向かい合う・・・何が来るにしても全力を尽くさなければ。
時雨対駆逐棲姫
一撃一撃を交わすたびにわかる事ある・・・例えば戦う相手の癖や性格等だ。
時雨「・・・」
駆逐棲姫・・・コイツは恐らく僕自身だ。初めてあったときから鏡写しのように感じていたし、戦っている今もそう感じている。
駆逐棲姫「・・・余裕ダネ」
時雨「・・・ふん」
だが違う・・・何かが違うのだ。僕であって僕でない・・・だんだんそう思えてくる。
駆逐棲姫「・・・ナメルナァ!」
時雨「!?」
駆逐棲姫は踏み込み砲撃・・・鋭く狙いも問題ない、だが足りない。
時雨「ふん!」
駆逐棲姫に向かって突撃しながら主砲の後部に取り付けられた電磁ブレードで砲弾を切り捨てる・・・。
駆逐棲姫「ナッ!?・・・」
時雨「甘いんだよ・・・何もかもが!」
速度はそのままに肉薄・・・腹に蹴りを入れる。
駆逐棲姫「ウガッ・・・」
時雨「殺る気・・・あるかい?」
駆逐棲姫「クッ・・・システム!」
ナイトメアシステム・・・無駄な事を。
時雨「無駄だよ・・・幾らシステムでも」
駆逐棲姫「ウォォォォ!!」
駆逐棲姫は正気を失いつつ主砲を連射し突撃する。だが・・・
時雨「本気の殺意の無い攻撃じゃ・・・」
システム起動・・・使用者保護の為5分後に強制停止します。
シグレ「僕は・・・殺せないよ!」
放たれた砲弾のことごとくを電磁ブレードで切り捨てていく。
駆逐棲姫「ウ!?・・・ガァァァ!」
駆逐棲姫は殴りかかってくる・・・僕のとは違ってシステムを起動しているというより暴走しているようだな。
シグレ「接近戦ね・・・」
駆逐棲姫から伸びる右腕を掴み取る・・・
駆逐棲姫「ハ!?」
シグレ「・・・まずは右腕」
空いた腕で肘から反対側に強引にへし折る・・・
駆逐棲姫「ガッ・・・ウア!」
駆逐棲姫は残った左腕を振り回し反撃する。
シグレ「次は左かな?・・・足か?」
姿勢を下げ回避し重心を置いていた左足を払う。回し蹴りの為の動作に入っていた駆逐棲姫はバランスを崩し海面に折れ込む。
駆逐棲姫「ウ!?・・・」
シグレ「・・・貰ったよ?」
倒れた駆逐棲姫に馬乗りになる。所謂マウントポジションと言う奴だ。
駆逐棲姫「ウゥッ!!」
シグレ「暴れる暇は与えないよ?」
拳を振り下ろす・・・1つまた1つと休む暇を与えないように。
シグレ「ふふ・・・あはは!」
拳が止まらない・・・ダメだな・・・楽しくなってきた。
シグレ「夢だったんだ!・・・自分をぶん殴るのって!・・大嫌いな僕を!・・・アハハハ!!」
駆逐棲姫「ァ・・・・ァ!ゴホッ!!」
シグレ「なぁ!!起きろよ!!・・・起きてくれなきゃ楽しめないだろぉ!?」
首を掴み大きく揺らす・・・すると何とか意識を戻したようだ。
駆逐棲姫「君・・・本当ニ・・・僕ナノ?」
シグレ「そうだよ?・・・地獄みたいな東京で!自分の何かもを失ったんだ!・・・」
駆逐棲姫「ソンナ・・・違ウ」
シグレ「違うものか!・・・好きな人に捧げる初めても!倫理も!殺す事の抵抗感も!無いんだよぉ!!」
駆逐棲姫「僕ハ・・・隊長」
まるで生きる気力をなくしたように目に光を失った。
シグレ「!?・・・もういい、僕の知らない所で勝手に死んでくれ」
駆逐棲姫「・・・エ?」
シグレ「そんな目されたら・・・殴れないよ」
駆逐棲姫「・・・」
シグレ「自分を・・・白露や夕立と会う前の僕を見ているみたいでさ」
駆逐棲姫「・・・」
シグレ「じゃあね・・・さよなら」
僕と駆逐棲姫の違い・・・今わかったよ、生活環境が違ったんだ正反対ともいえる程に。彼女が何処から来たのかは分からない・・・別の世界なのか・・・でも彼女を見た思ったことがある。
シグレ「結局・・・隊長の事好きになるんだね」
雪風対航空戦艦
航空戦艦「ぐ・・・・」
ユキカゼ「まだやるつもり?」
航空戦艦「あぁ・・・まだまださ」
膝を着き肩で息をする様はどう見ても限界だ。
ユキカゼ「あなた・・・死にたいの?」
航空戦艦「・・・ふん」
ユキカゼ「だってそうじゃない・・・本気で戦ったら私じゃ勝てないわよ?」
事実彼はオリジナルの中でも最強だろう・・・あの阿賀野ですら互角に戦うのが精一杯の筈だ。
航空戦艦「・・・」
ユキカゼ「・・・何か言いなさいよ」
航空戦艦「コマンダーの目的を知っているか?」
ユキカゼ「知らないわよ・・・」
航空戦艦「人類の勝利だよ」
戦闘海域
天龍「静かだな・・・」
山城「ええ・・・」
桐生提督の指示で出撃したが電探に反応もなく周囲に何も見えない・・・
最上「本当に来るのかな~」
吹雪「まぁ・・・桐生提督の言う事ですし」
加賀「ふぅん・・・信頼してるのね」
響「・・・どちらにしても戦える人員はこれだけか」
天龍「あぁ・・・」
大破者は瑞鶴と夕立、撤退する際に発見した皐月。雪風は行方不明だし時雨は・・・
山城「天龍さん」
天龍「ん?・・・これは」
電探に反応・・・隊長達だ。困ったな・・・時雨の事なんて言えばいいのか。
隊長「・・・全員か?」
天龍「あぁ・・・大破したのは瑞鶴、皐月、夕立の3人だ」
雲龍「3人?・・・でも」
阿賀野「時雨と雪風が居ないけど」
天龍「時雨は・・・」
時雨「ここにいるよ?」
何だと?・・・ここまで接近されたとは・・・って深海棲艦になってないぞ?
隊長「ん?・・・おかえり」
天龍「時雨・・・お前深海棲艦に」
時雨「深海棲艦?・・・あぁ駆逐棲姫のことかな」
天龍「・・・うん?」
時雨「あ・・・とね?」
俺は何か勘違いしていたようだな・・・時雨の話を聞いてやっと理解できた。それに夕立ももしかしたら時雨じゃないと言おうとしていたかも・・・
時雨「それに本気で僕が裏切ったら・・・今頃みんな沈んでるよ」
天龍「・・・言うねぇ」
否定出来ない自分が情けないな・・・だが恐らく事実だ。あの駆逐棲姫であれだけやられたのだ・・・本気の時雨ならもっと危険な筈。
山城「あ・・・天鳥船が」
最上「動いてるね・・・これってやばくない?」
青葉「大丈夫ですよー」
天鳥船から通信がはいる・・・青葉か?
青葉「天鳥船は私が動かしていますので援護しますよ」
天龍「ってことは親玉の確保も成功か」
隊長「そうだ・・・後は黒幕のオリジナルと深海棲艦の撃破だな」
・・・作戦は順調でしかも被害も少ない。後はこのまま終わらせるだけだな。
天龍「よし!・・・後は仕上げだけだ!さっさと終わらせるぞ!!」
戦艦棲姫「フフ・・・提督、提督!・・・待ッテテネ?今皆殺シニスルカラ!」
山城「ぅう!?・・・何なのよこの感覚は!」
天龍「山城・・・敵か!?」
山城「多分!」
金剛「多分!?・・・何言ってんの」
最上「なら確実!・・・皆準備を!」
吹雪「いや・・・でも反応は」
時雨「面倒だね!・・・来るって言ったら来るんだよ」
響「その様だ・・・ソナーに反応がある」
加賀「・・・いままで気付かなかったの?」
阿賀野「あんたら何体沈めたか分かってる?・・・海中反応だらけよ」
雲龍「まぁ・・・仕方ないわね」
隊長「・・・迎撃するぞ!」
各艦準備は出来た・・・後は敵が現れるのを待つだけだが・・・
戦艦棲姫「アハハハ!!・・・・皆殺シィィィィィ!!」
轟音ともに戦艦型の深海棲艦が現れた・・・・だが
天龍「なぁ・・・あれって深海棲艦か?」
吹雪「要塞って言ってましたけど・・・・」
金剛「・・・・私が見た事ある要塞型もうちょっと小さかったけど」
最上「ちょっと・・・じゃないよ!」
目の前に現れたのはただの姫クラスではなかった。まずは大きさだが方舟よりも大きい、そして見た目は深海棲艦の残骸が固まって出来たように見える。
響「この音は・・・うめき声?」
山城「まだ生きてるの・・・なんて気色悪い」
加賀「・・・ぅ」
深海棲艦の死体が溶け合ってひとつになっている様だ・・・あまりのグロテスクさに加賀は確実にリバースしそうだ。
隊長「・・・これは酷い」
雲龍「・・・」
阿賀野「雲龍は・・・固まってるわね」
隊長「全く・・・元殺し屋にくせに」
雲龍「・・・それはこれとは無関係よ」
阿賀野「あ、戻った」
戦艦棲姫「ンフフ・・・サァサァ!!行クワヨ!!」
天龍「くそ!・・・全艦迎撃だ!」
山城「どうやって?」
天龍「俺が知るか!」
天鳥船
コマンダー「・・・始まったか」
この演習場からでは外の戦いは見えない・・・だが電探に見える大きな反応から察するにかなりの化け物であるのはわかる。
コマンダー「・・・来たか」
電探に反応あり、最後のオリジナルである潜水艦だ。
潜水艦「これはこれは・・・」
全身を強固な鱗で覆われた姿・・・まるで魚人のようにも見えるが油断できる相手ではない。航空戦艦や正規空母程ではないとも思うが実力が未知数な以上はなんといえないのだ。
コマンダー「君の相手は私だよ・・・覚悟してもらおうか」
潜水艦「フ・・・それはこっちの台詞ですよ?我が敬愛するコマンダー殿」
コマンダー「心にも無い事を・・・」
相手が潜水艦である以上潜水される前に決着をつけなければなるまい、場合によってはアレを使う事も視野に入れておこう。
潜水艦「・・・」
コマンダー「仕留める!」
潜水艦「フフフ・・・強がりはやめた方がいいですよ?」
コマンダー「なに?」
彼はオリジナルのなかではとりわけ強力な訳ではない・・・だがこの余裕は何なのだ?
潜水艦「貴方の共鳴炉はここに来た時の衝撃で壊れている・・・そして」
コマンダー「・・・」
潜水艦「逆に私の艤装は強化されている!他のオリジナル達の艤装を参考にさせてもらいましてね」
コマンダー「速い!?・・・だが!」
確かにスピードは向上している。だがそれでも能力差を覆せるものではない。
潜水艦「スピードだけではない!・・・言ったはずだ、他の艤装を参考にしたとね!」
コマンダー「なに!?」
戦闘海域
天龍「うらぁ!!・・・もっと行くぜ!」
こうなれば撃てるだけ撃つしかない、相手はデカイから狙いをつけるのには苦労しない。
戦艦棲姫「無駄・・・無駄ナノヨ!!」
全艦の砲撃は確実に命中している・・・だが肝心のダメージは受けてる様には見えない。
山城「まったく・・・・」
最上「効いてないねぇ」
隊長「雲龍」
雲龍「ええ・・・やってみるわ」
雲龍のレールガンから放たれた弾丸は戦艦棲姫へと当る前にバリアのような物に防がれてしまった。
阿賀野「あらあら・・・困ったわね」
加賀「ハァ・・・打つ手が思いつきませんね」
砲撃も効かない、本体を攻撃しようにも強力なバリアで防がれてしまう。もっと火力が必要だな・・・もっと大きな戦艦の様な・・・・
隊長「・・・・青葉!」
青葉「はーい!・・・了解してますよぉ!海藤さん!」
海藤「わかった・・・全兵装ロック解除する」
天鳥船に装備されたレールガン,ミサイル、CIWSが起動する。
海藤「発射プログラム・・・完璧!今だ!」
青葉「・・・全兵器発射です!」
まずはミサイルが数十発・・・着弾と同じタイミングでレールガンが一斉射される。
戦艦棲姫「グゥ・・・クソォ!!」
効いている・・・さすがは天鳥船だ。
戦艦棲姫「アガ・・・・ナメルナァ!!!」
だが戦艦棲姫もただやられている訳ではない。全身に搭載された主砲で反撃する。全身から砲弾が発射される、その全てが天鳥船に向かい大きな衝撃と共に船体を揺らした。
海藤「っ!・・・電磁フィールドを突破されたな、超振動装甲にも損傷確認だ」
青葉「それって冷静に言ってる場合じゃない感じです?」
海藤「あぁ・・次を貰えば大破しかねん」
通信機ごしに青葉たちの会話が聞こえる。思ったより状況は悪いようだ.
戦艦棲姫「次ハ・・・オマエ達ダァ!」
天鳥船を追い詰めた主砲がこちらに狙いをつけたようだ。流石にこれはマズイぞ。
隊長「全艦散開!・・・当るなよ!!」
号令と共に各艦は散開する。だが動き始めたタイミングで主砲が放たれた.
時雨「うわっ!?」
最上「迫力がすごいねぇ・・・」
天龍「クソが!当ったらヤバすぎんだよ!」
山城「当って・・・られませんって!」
砲撃は大規模であるが密度も濃い・・・各艦はかなり苦戦したが何とか無事に切り抜けられたようだ.
隊長「ふぅ・・・しかしどうしたもんかねぇ」
雲龍「そうね、あのバリアを何とかしないと」
阿賀野「うーん・・・戦艦の主砲でも難しそうだし」
金剛「接近できればいいんだけどねぇ」
接近か・・・何せあの馬鹿でかい要塞の一番上に本体がいる以上飛ぶかのぼるしか接近する方法はない。しかし艦娘も俺も飛ぶことなんてできやしない。
隊長「飛ぶ?・・・飛べば確かに」
雲龍「ん?思いついたの?」
以前時雨を投げ飛ばして敵艦隊の中心に奇襲をかけた事があったな・・・あの時と同じ様に飛ばすことは出来ないか?
隊長「時雨!・・・ちょっと」
時雨「ん?」
以前は特殊艤装の大型剣用のトリムバランサーの一斉噴射で投げ飛ばしたが今回は艤装のパワーだけで十分に投げ飛ばせるだろう。あとは時雨次第だが・・・
隊長「今からお前を要塞の本体に向かって投げ飛ばす、そしたら本体を攻撃してくれ」
吹雪「は?・・・ちょっと」
時雨「了解、高いけど大丈夫かい?」
阿賀野「それだったら私の武器をつかったら?」
雲龍「電磁ランスね・・・確かに貫通力は一番だし」
隊長「出力最大で行けばいけるだろ」
吹雪「正気ですか?・・・あまりにも危険すぎますよ」
吹雪に正気を疑われてしまったが・・・これでも一番可能性の高い方法なんだがな.
隊長「問題ないだろ?・・・なぁ時雨」
時雨「うん、他に案も無いし」
吹雪「はぁ・・・いや」
戦艦棲姫「ウフフ・・・装填完了、次デシズメル!」
話している間に要塞も次の攻撃に入ろうとしている、やるなら今しかない。
雲龍「来る!・・・隊長!」
隊長「来い!時雨ぇ!」
時雨「うん!」
俺は時雨を抱えあげ右肩に乗せる・・・
隊長「出力・・・最大だ!」
共鳴炉のリミッターを解除しエネルギーを開放する・・・白く暖かな光が二人を包み力を与える.
時雨「こっちは準備できてる!」
隊長「タイミング・・・合わせろ!3・・・2・・・1」
時雨「今だ!」
隊長「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉあ!!」
全身に力をこめ要塞の本体に向かって投げ飛ばす・・・15m程は飛んだか?
戦艦棲姫「ナニ!?・・・コイツ!!」
まるで砲弾のように綺麗な弧を描いて飛んでくる時雨に一瞬は驚いたがすぐに気を取り戻し主砲を向ける.
山城「やらせません!・・・砲塔ぐらいなら!」
金剛「潰してやるわ!全砲門・・・」
加賀「全艦載機も!」
天龍「なんでもいい!!ぶっぱなせぇ!!」
残った全艦娘の砲撃が轟音ともに要塞へと向かう・・・これにより要塞の主砲群は損傷し発射不可能となった.
戦艦棲姫「クソォ!!・・・ナニ!?」
シグレ「システム起動・・・バリアなんてものは」
戦艦棲姫「コイツ!?」
時雨が展開されているバリアに電磁ランスを突き立て張り付いている・・・
シグレ「破る為にあるんだよぉ!!」
ランスで空いたわずかな穴に両手を突っ込みこじ開ける。
戦艦棲姫「ソンナ!?・・・来ルナ!・・・クルナァァァァ!!」
奴の顔には恐怖の色が見える・・・目の前で化け物がバリアをこじ開けようとしているのだ並みのホラーなんて物じゃない。
シグレ「ンフフフフ・・・・」
時雨によってバリアがどんどん開かれていく
戦艦棲姫「ヒッ・・・」
シグレ「フフ・・・み~つけた」
バリアを完全にこじ開けニタァっと笑う・・・
戦艦棲姫「バケモノ・・・」
シグレ「・・・フン!」
時雨は電磁ランスで要塞本体の胸を貫く.
戦艦棲姫「アグ・・・提督・・・提督!」
シグレ「?・・・提督だって?」
戦艦棲姫「ウグ・・・ウガァァァァ!!」
シグレ「ちぃ!・・・」
このままでは危険と判断し脱出する。しかしここは15m程の高さだと言うこと忘れていた.
シグレ「く・・・ヤバ!」
水面に叩きつけられる直前に主砲を発射し一度勢いを殺すがそれえも速度は落ちず危険なのは変わりない.
シグレ「くぅ!?」
隊長「時雨!!」
シグレ「!?・・・・・」
少しでもダメージを減らそうと構えた・・・だが水面に叩きつけられる感覚ではなく誰かに包み込まれたような暖かい感覚が襲う.
シグレ「あ・・・あれ?」
隊長「大丈夫か?」
シグレ「わ!?・・・ちょっ!!」
いわゆるお姫様抱っこされてるのだ・・・これは恥ずかしすぎるね・・・うん
雲龍「見せ付けてくれるわね・・・」
最上「ひゅーひゅー!」
山城「お熱いですねぇ?」
阿賀野「お二人はーいつからお付き合いされているんですかぁ?」
シグレ「・・・うぜぇ」
天龍「オイオイ・・・戦闘中だぜ?」
響「・・・!?皆!要塞が!」
要塞部は崩壊を始めただの肉塊へと姿を変えていった.
隊長「・・・時雨?」
シグレ「確かにぶっ刺したけど・・・致命傷ではなかった筈だよ?」
隊長「つまり本番はこれからってか?」
響「そのようだね」
吹雪「・・・アレは!」
どろどろに解けきった肉塊の向こうには一人の女性が佇んでいた.いや普通の女性は海上に佇む事などできない・・・つまりあの要塞の本体である深海棲艦と言うことだ。
戦艦棲姫「・・・」
吹雪「あの時の!」
戦艦棲姫「提督・・・提督!・・・コレジャア!!ホメテモラエナイ!!!」
加賀「!?・・・このプレッシャーは」
響「他の姫クラスとは違うね・・・コイツは厄介だよ」
吹雪「ですが・・・コイツを倒さなければ!」
戦艦棲姫「死ネェェェェェ!!!艦娘ドモォォォ!!」
戦艦と言うのにはあまりにも速い速度でこちらに突っ込んでくる・・・
戦艦棲姫「アァァァァ!!」
金剛「あ?・・・格闘戦なら!」
戦艦棲姫と金剛が組み合う・・・だが戦艦棲姫のパワーの前に金剛は押されてしまう.
コンゴウ「システム・・・起動・・・うぅ!」
戦艦棲姫「アハハハ・・・ソノ程度ナノ?」
ナイトメアシステムで強化した金剛であっても押し負けるほどのパワー・・・それに先程のスピードもあわせて考えると今まで戦った姫クラスはただの雑魚でしかない.
加賀「援護します!!・・・」
山城「離れなさい!コイツ!」
加賀と山城の艦載機で援護する・・だが戦艦棲姫は組み合った金剛を吹き飛ばし機銃掃射で艦載機を全滅させてしまった.
加賀「な・・・」
山城「加賀さん!来ます!」
加賀「うぅ!?」
戦艦棲姫の主砲が加賀に飛んでいく明らかに直撃コースだ・・・だがその時加賀の目の前に一人の少女が立ちふさがった.
ユキカゼ「雪風は沈まない・・・だれも沈めはさせない!!」
戦艦棲姫「・・・ホウ?」
砲弾は雪風の目の前でつぶれたまま漂っている・・・いや光が屈折してなにか、バリアのような物によって受けとめられていた。
シグレ「雪風?・・・それは」
ユキカゼ「私だけじゃないわよ?・・・」
戦艦棲姫「・・・ムゥ!?」
戦艦棲姫に攻撃が命中する・・・艦載機の爆弾による物だった。
ズイカク「全機爆装・・・目標はアイツよ!やっちゃって!!」
瑞鶴から放たれた艦載機はかなりの速度で飛んで行き、戦艦棲姫に取り付いた。
加賀「あの艦載機・・・」
雲龍「新型かしら?」
加賀「橘花?・・・でも」
ズイカク「修復と一緒に第二次改装もしたから時間かかったけど、待たせたわね皆!」
戦艦棲姫「クソガ・・・調子ニ乗ルト!!」
ユウダチ「調子に乗ると・・・」
サツキ「何だって?」
戦艦棲姫「!?・・・グアァ!!」
皐月の魚雷砲と夕立の主砲が戦艦棲姫を襲う・・・直撃はしなかったがそれでも十分にダメージを与えられている。
ユウダチ「コイツだよ!不知火をやったのは!」
最上「!?へぇ・・・」
山城「あらら・・・」
天龍「そいつは・・・」
雲龍「お返ししなくちゃ・・・」
シグレ「いけないねぇ・・・」
隊長「・・・そうだな」
自然と力が入る・・・俺達の仲間を大破させた奴なら全力で叩き潰すだけだ。
ユキカゼ「隊長!・・・あなたは天鳥船に!」
隊長「なに?」
ユキカゼ「コマンダーが・・・負けたのよ」
天鳥船 演習場
コマンダー「くっ・・・」
まさに満身創痍だ。ブレードは1つしか残っていないし共鳴炉も出力が下がっている。装甲もやられている、これ以上は本当に危険だ。
潜水艦「流石はコマンダー・・・でもここまでですよ」
まさかここまで強かったとは・・・油断していたか?
潜水艦「さて・・・それではお別れですよ我らがコマンダー殿?」
銃口を向ける・・・ここでやられるとは情けないばかりだな・・・結局こちらの世界も守れないのか・・・
潜水艦「・・・さよならだ」
航空戦艦「させんよ!」
コマンダー「!?」
艦載機による攻撃が潜水艦に襲い掛かる・・・だが潜水艦そのことごとくを回避した。
潜水艦「まだ死んでいませんでしたか・・・ですが」
赤黒い光をまとうと艤装が変化する・・・背中には飛行甲板のようなものが現れた。
航空戦艦「その艤装は・・・まさか」
潜水艦「その通り・・・オリジナルです」
コマンダー「・・・なんと」
潜水艦が艦載機を発艦させる・・・その数は正規空母クラスだ。
航空戦艦「くっ・・・だが負けるわけには!」
艦載機の数では不利だがやるしかない・・・いくら奴が本当のオリジナルだとしても負る訳にはいかない。
潜水艦「無駄です・・・私には全ての艦種の力を操れるんですよ?」
赤黒い光をまとうと今度は重厚な装甲と主砲が現れる・・・
潜水艦「搭載数も上、そして火力装甲も上・・・次は何を強化しましょうかね?」
航空戦艦「・・・くそ」
潜水艦「さぁて?・・・あなたも一緒に死んでいただきましょうか」
隊長「死ぬのはあんたかも知れんぜ?」
潜水艦「!?」
コマンダー「来たか・・・だが」
潜水艦「・・・プロトタイプですとぉ?」
隊長「あぁ・・・お前の天敵、プロトタイプ様だ」
潜水艦「くっ・・・くくく」
なんだ・・・様子がおかしいぞ?ここはもっと驚くところじゃないのか?
潜水艦「くく・・あはははは!」
隊長「おいおい・・・」
なんて大笑いだ、そんなに面白い事いったかな?
潜水艦「いやいや・・・これは失敬、プロトタイプがオリジナルの天敵などと戯言を言うものですから」
隊長「戯言・・・」
潜水艦「そう・・・戯言ですよ、真のオリジナルであり艤装を強化した私にとってはね?」
この余裕・・・コイツは嘘は言ってないな、事実をありのままに言っているそんな顔だ。
潜水艦「分かりますか?この余裕が・・・貴方達3人を相手にしても勝てる自信があるからこその余裕です」
航空戦艦「だが・・・負けられない」
隊長「あぁ」
その通りだ・・・ここで俺達が負ければ今までの戦いが全て無意味になってしまう。
潜水艦「ふふふ・・・ならやってみなさい、結果は変わりませんが?」
航空戦艦「来るぞ!」
隊長「あぁ!」
まずはその手に持った主砲で攻撃を仕掛けてきた。奴は潜水艦だと思っていたがなかなかどうして砲撃も航行もかなりのハイレベルだ。
潜水艦「砲撃だけではありませんよ?」
後方から艦載機の反応が見える・・・種類は分からんがかなりの数だ。
航空戦艦「隊長!艦載機・・・数は」
隊長「ならば前に進むだけだ!突っ切るぞ!」
砲弾を切り捨て前進する、近接武器が無い以上接近戦ならこちらが有利な筈だ・・・
潜水艦「私は・・・潜水艦ですよ?」
隊長「!・・・」
砲撃を切り抜けたその先には幾つもの雷跡が見える・・・読まれていたか?だがそんな事は分かっている。
隊長「はぁ!!」
魚雷を撃つ事は予測済みだ・・・ここを切り抜ければ打つ手がある。水面を蹴り上げ魚雷を飛び越す・・・
潜水艦「む?・・・うぅ!」
ブレードを振りぬく・・・だが潜水艦は寸前に後退しブレードは空を切った。
隊長「チッ!」
潜水艦「やりますね?・・・本気でいかなければいけませんか」
航空戦艦「なに?」
今度は全身に赤黒い光を纏った・・・すると黒い鎧のような艤装へと変化する。それはまるでプロトタイプのような見た目だ。
潜水艦「・・・さて行きますよ?」
戦闘海域
ズイカク「いけぇ・・・橘花!」
コンゴウ「主砲も合わせて釘つけにするわよ!」
戦艦棲姫「フン!!」
瑞鶴の攻撃機と金剛の主砲による面攻撃で戦艦棲姫を攻勢を強めるが対する戦艦棲姫に全く効果が無い・・・その全てが回避され正確な反撃が飛んできた。
ズイカク「くっ!・・・なんなのあいつ!」
コンゴウ「・・・クソが!!」
二人は回避には成功したが高速で移動する戦艦棲姫の接近を許してしまう。
戦艦棲姫「ンフフ!・・・チッ!!」
戦艦棲姫の足元に複数の雷跡が浮かぶ・・・
サツキ「もらったと思ったけどね・・・」
ユウダチ「まだまだよ!!」
速度を緩めた戦艦棲姫にむけて夕立の主砲が放たれる。
戦艦棲姫「ウグッ!」
砲弾が命中・・・夕立の強化された砲弾によって戦艦棲姫は右肩を抉り取られる。
ユウダチ「このまま・・・」
ズイカク「下がって!!」
ニヤリ・・・そう戦艦棲姫が不敵に笑うと抉れた右肩から肉とも液体ともおもえる何かが噴出し夕立を捉えようとする.
ユウダチ「な・・・」
戦艦棲姫「ソノママ・・・喰ッテヤル!」
ユキカゼ「夕立・・・!!」
雪風が夕立の目の前に飛び出し形成したバリアで戦艦棲姫の攻撃を防ぐ。
戦艦棲姫「ホウ・・・」
シグレ「まだだ!・・・」
電磁ブレードトンファーを振り回しバリアに張り付いた肉の塊を焼ききって雪風を救出する。しかしナイトメアシステムを起動した6人で総がかりでも倒しきれないなんて・・・
戦艦棲姫「ヤルワネ・・・艦娘ドモ」
サツキ「どーも・・・御褒めに預かり嬉しすぎて涙がでるね」
戦艦棲姫「ダガ・・・サッサト死ンデモラウ」
ユキカゼ「御断りよ・・・」
戦艦棲姫「困ルナ・・・ソウシナイト提督ニ褒メテモラエナイ!」
シグレ「また提督・・・あんた深海棲艦でしょ?提督なんているわけ・・・」
その一言をいった瞬間に戦艦棲姫の様子が変わった・・・血走った目を限界まで見開いてこちらに睨みつける。
戦艦棲姫「フゥー・・・ァァァァァアア!!!提督!!!・・・・ウワァァァ!!」
コンゴウ「ッ!?・・・」
なんという気迫・・・と言うよりは狂気と言うべきか?言ってはいけないことを言ってしまったようだ。
戦艦棲姫「ウソダ!!・・・提督ハ戻ッテクルッテ!!私ヲ!大和ヲ迎エニ来ルッテ!!」
先程とは全く違う・・・殺気と狂気に満ちた動きだ。より一層気を引き締めなければ・・・
天鳥船 艦橋
艦娘の通信機から聞こえる・・・あの声とあの名前は・・・
海藤「・・・まさか」
青葉「どうしました?」
海藤「いや・・・」
青葉「隊長との話はここで聞いていました・・・あの深海棲艦は?」
海藤「恐らく・・・私の部下」
あの時私が見捨てた艦娘・・・そして私が生涯で一番愛した女性・・・
海藤「大和型1番艦・・・大和だ」
天鳥船 演習場
潜水艦「フフフフ・・・この程度ですか?プロトタイプ殿ぉ?」
隊長「くっ・・・」
マズイ・・・本当に不味いぞ。パワー、スピードその他全てがこちらを凌駕している・・・その上に武装の豊富さと精度の高さも合わさって弱点が存在しないみたいだ。
航空戦艦「負けられん・・・負けられんぞ」
隊長「その通りだ・・・まだいけるな?」
潜水艦「無駄・・・ですよ?」
重巡「確かに・・・」
軽空母「そうかもしれないな・・・」
駆逐棲姫「ソレデモ・・・諦メナイヨ」
潜水艦「む?」
砲撃と魚雷・・・そして艦載機の編隊が潜水艦に向かう。そして・・・
コマンダー「我らの悲願のため・・・ここが正念場だ!」
白い鎧が宙を舞い黒い鎧に切り掛かる。
潜水艦「!・・・数が増えただけですか!」
重巡「それは違いますよ?」
軽空母「あぁ!重巡!頼むぞ?」
重巡「了解!!・・・失礼!」
航空戦艦「?な!!」
重巡は左胸部に穴を開け何か丸い球体を埋め込み、その穴を埋めるように緑の液体を流しこむ・・・あれは高速修復剤か?
航空戦艦「ぐぅ・・・何を!!」
駆逐棲姫「パワーアップ・・・コレデ行ケル筈ダヨ」
航空戦艦「なに?・・・」
コマンダー「隊長!君もだ・・・棲姫!」
駆逐棲姫「ウン!」
コマンダーと駆逐棲姫が手を取り合い目を瞑る・・・すると二人から白く暖かな光があふれ出す。
潜水艦「なんだ?・・・やらせは!?」
軽空母が搭載する全艦載機が潜水艦に襲い掛かる・・・そこに重巡が合流し潜水艦の足止めし軽空母の援護にはいる。
軽空母「命を懸けても稼ぐ!・・・この時間をな!」
重巡「・・・1度無くしたこの命、役立てるのなら惜しくはありません!!」
潜水艦「フン・・・ならば死んでもらいますよ」
戦いが始まった・・・幾らあの二人が強力でもそれほどの時間も稼げないだろう。コマンダーを信じるしかない・・・
航空戦艦「なんだ・・・この感覚」
この身体からエネルギーが溢れ出る・・・まるで冷たい殺意の様な赤黒い光が身体を包むようだ・・・
航空戦艦「これは戦艦・・・航空巡洋艦・・・お前達なのか?」
苦楽を共にして・・・だが袂を分けた仲間の意思を感じる・・・まさか埋め込んだのは彼らのコア?ならばこのあふれ出るこのエネルギーは・・・
航空戦艦「このパワー・・・行ける!」
隊長「・・・これは」
二人は手を取り合いエネルギーを共鳴させている・・・息の合う二人だからこそ出来る芸当だ。
コマンダー「私のディープライト鉱石と・・・」
駆逐棲「僕ノ・・・コア」
隊長「共鳴させたエネルギー・・・受け取った」
コマンダーと駆逐棲姫で共鳴させたエネルギーと俺の共鳴炉のエネルギー・・・二つが混ざり合い増幅される。白く暖かな光は俺の艤装を包み力を与えてくれる様だ・・・身体を通して出る凄まじいパワーを感じる。
隊長「・・・よし!」
艦載機の攻撃も砲撃も魚雷も効かない・・・まるで勝負にもならないほどの実力差の前になすすべも無く大破させられてしまう。
軽空母「うぅ!!・・・くそ・・・まだ!」
潜水艦「よく出来ました・・・といった感じですね?重巡さんもですが」
重巡「まだ・・・この・・・命が!残っています!」
流石にもう限界だ・・・これ以上は本当に命を懸けないといけないか?
潜水艦「さぁ・・・!?なんだアレは!!」
軽空母「え?・・・」
視線の先には赤黒い光を纏った航空戦艦と光を纏った隊長が立っていた・・・なんと頼もしき姿か、これなら勝てるかもしれないとそう思えた。
重巡「終わった?・・・これで!」
潜水艦「まさか・・・何故?」
航空戦艦「良くやった・・・下がれ」
隊長「あぁ・・・俺達に任せろ!」
潜水艦「・・・だが!!」
潜水艦は一歩踏み込み飛び出した・・・そして手に持った主砲を連射し攻勢をかける。
航空戦艦「・・・見える!見えるぞ!!」
一歩前に出て飛行甲板の大剣を構える・・・すると放たれた砲弾をすべて叩ききってしまった。
潜水艦「何!?・・・こうなれば!」
背部艤装から攻撃機を発艦させ面攻撃に入る・・・
隊長「ふん・・・全てが止まって見えるぞ?」
飛んでくる艦載機の機動も・・・飛んでくる爆弾や魚雷すら全てが止まって見える。感覚がかなり発達しているようだ。機銃弾や爆弾を1つ1つ回避しながら確実に潜水艦に接近する。
潜水艦「当らない?・・・そんな馬鹿な!」
隊長「・・・もらった!」
1つ踏み込み拳を振りぬく・・・振りぬいた拳は潜水艦の顔面を確実に捉え吹き飛ばされた。
潜水艦「うぐ・・・何だ?」
航空戦艦「まだまだ・・・続くぞ!!」
航空戦艦の主砲が放たれ潜水艦を身体を貫いた。
潜水艦「くそ・・・だが身体なぞ幾らでも・・・修復できる!」
貫かれた身体も殴られた顔面も一瞬のうちに修復してしまった。
航空戦艦「ほう・・・」
隊長「それなら何度でも破壊してやるさ!」
戦闘海域
なんて猛攻だ・・・こちらは加賀、最上、響、夕立、皐月と金剛がすで大破し瑞鶴は補給、それを雪風と時雨が護衛して天鳥船に退避している。今は雲龍と阿賀野が中心になって応戦しているが私では戦いに加わる事もできない。
山城「く・・・ここまで実力が違うなんて!」
天龍「山城!・・・お前も下がれ!中破じゃ下手したら一発だぞ」
山城「ですが!・・・」
戦艦棲姫「メンドウネ・・・雑魚カラ死ンデ貰ウ!」
山城「!・・・こっちに!」
天龍「山城!!逃げろ!!」
吹雪「二人とも!・・逃げて!」
主砲がこっちを向いている・・・悪寒が全身を襲い私に危険を教えてくれる。狙いは・・・私じゃない!
天龍「!おい!!」
山城「狙うなら・・・私を!!」
雲龍「!?・・・何を!」
阿賀野「クソ!今からじゃ装填が間に合わない!!」
戦艦棲姫「サァ・・・死ネ!!」
砲弾が戦艦棲姫の主砲から発射される・・・なんだろうな死ぬからなんだろうか・・・まるで時間の流れがゆっくりになったよう見える。放たれる砲弾も・・・その回転までゆっくり・・・
山城「そう・・・これが良く言うやつね・・・でも実際は過去の思い出なんて浮かんでこないのね」
誰かの為にこの命を使えたのなら・・・姉様は許しくれるかな?・・・艤装を装着し艦霊とリンクした時私は・・・轟沈の恐怖によって正気を失い工廠を破壊しその場に居た提督と扶桑姉様を傷つけてしまった。私は扶桑姉様に地位と名声泥を塗ってしまったのだ。
山城「・・・死ねば・・・・いや死んでも変わらないわね・・・・どうせ私は」
そんな事をしても何も変わらない・・・あの後逃げるように第9に来た私に扶桑姉様に許してもらう資格など無いのだから・・・そっと目を閉じる。
「これが・・・扶桑型戦艦か?」
山城「!?・・・え?」
驚いて目を開けるが海でなく真っ暗な何もない空間だった。
山城「ここは・・・・何処?」
「自分の主砲で船体が捻じ曲がるだと?・・・せっかくの主砲火力もこれではな」
これは戦艦であったころの山城の記憶?・・・それにしても嫌な感じがする。まるで私の存在を否定されるような・・・
「わが国初の独自設計による超弩級戦艦がこれか?・・・これでは日本の恥さらしでは無いか!」
思い出した・・・これは艦だったころに言われた事だ。辛い・・・記憶だ・・・
山城「でも・・・改装して!!」
「出撃してもすぐにドック行き・・・艦隊に居るよりドックに居る方が長いのではないか?
ドックの光景・・・他の艦は出撃しているのに、私はドックに居るだけの日々・・・
山城「う・・・・ぁ・・・・うう」
「・・・これでは欠陥戦艦だな」
欠陥戦艦・・・・私は・・・設計に欠陥があると知った上で作られた。
「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」「欠陥戦艦」
違う・・・違う・・・・違う違う違う違う!!私は・・・私は!!!!
山城「欠陥戦艦じゃない!!」
「ならば証明してみせよ」
山城「・・・もう!欠陥戦艦とは!言わせない!!」
目を見開くと・・・私の眼前には砲弾が迫っていた。声が聞こえる?天龍さんや雲龍さん,阿賀野さん皆の声・・・何だこの砲弾は止まって見えるぞ。右腕に力を込め拳を握り閉める・・・こんな砲弾、殴り飛ばしてやる!!
山城「こぉんなものぉぉ!!!」
砲弾は拳によって粉々に砕かれ飛び散った・・・拳に痛みは無い自分でも驚きの力だ。これなら勝てるぞ!
天龍「・・・は?」
吹雪「・・・嘘」
戦艦棲姫「ナ・・・何ダト!?」
阿賀野「え?・・・あの子」
雲龍「別人ね・・・まるで覚醒したみたい」
山城「倒す・・・不知火をあんなにした貴方を!」
戦艦棲姫「ヤッテ見ルガイイ!!」
機関の出力を上げる・・・今までとは別次元の速度だ。戦艦棲姫と互角かそれ以上・・・あまりの事態に驚嘆している様で動きに乱れが見える。
山城「・・・見える・・・相手の動きが見える!」
戦艦棲姫「近ヅケサセハ・・・シナイ!!」
主砲が仰角を変える・・・狙いは・・・挟み込むつもりね?ならば!
山城「機関減速!急ブレーキ!!」
放たれた砲弾は私の前後左右に着弾し水しぶきを上げる・・・
戦艦棲姫「外レタ!?・・・ダガ視界ハ奪ッタゾ!」
山城「例え水しぶきで見え無くても・・・貴方が何処にいるかは解る!主砲・・・発射!!」
高い火力を誇る私の主砲が轟音と共に砲弾を吐き出す・・・狙いは確実。しぶきが収まるとそこには直撃弾を受け大破した戦艦棲姫がいた。
吹雪「一撃で?・・・皆で戦って倒せなかったのに?」
雲龍「山城・・・これほどの実力をあの一瞬で得るなんて」
戦艦棲姫「・・・クソ!何故?」
阿賀野「・・・どうしたのよその力は」
山城「さぁ?・・・でも」
天龍「・・・・山城」
山城「今までの私は・・・本当の意味で艦娘では無かったのかも知れないわね」
目線を戦艦棲姫に向ける・・・艤装は大破しており身体にも損傷が見受けられる。恐らくはあと一撃で撃沈までもっていけるだろう。
戦艦棲姫「・・・ドウシタ?サッサト殺ロサナイノカ?」
山城「・・・そうね」
主砲を戦艦棲姫に向ける・・・そのとき通信が入る。
海藤「山城といったな・・・もう少し待ってもらえるか?」
山城「?・・・どうしてですか?」
青葉「海藤さんがそちらの戦艦棲姫さんと話したい事があるようですよ」
今度は後ろから声が聞こえる・・・ふと振りかえるとそこには艤装を着込んだ海藤と青葉が立っていた。
天龍「おいおい海藤・・・ふざけてる場合じゃ」
海藤「私は大真面目だよ・・・天龍」
そういって海藤は戦艦棲姫に向かって進んでいく・・・
戦艦棲姫「テ・・・提督?」
戦艦棲姫の目はまっすぐ海藤を捉える・・・
海藤「大和・・・迎えにきたぞ」
一歩、また一歩海藤は戦艦棲姫の元へと歩みを進める。
戦艦棲姫「提督・・・テイ・・トク・・・テ・・・!?」
海藤「大和?」
戦艦棲姫は一歩後ろに下がり、まるで海藤を拒むように手を前に突き出すと苦しみだした。
戦艦棲姫「ア゛・・アァァァァァァァ!?!?!」
まるで毒でも飲んだかのようにのた打ち回り悲鳴を上げる・・・
海藤「や・・大和?」
戦艦棲姫「苦シイ・・・痛イ・・・不快ダ・・・オマエカ!!オマエガ原因カ!?」
苦痛が治まったのか戦艦棲姫は立ち上がり主砲を海藤に向けた。
海藤「・・大和!」
流石にこれ以上の茶番には付き合いきれない・・・さっさと仕留めてしまおう.
山城「此処は下がってください・・・今の貴方は邪魔です」
天龍「おい・・・お前!」
海藤「く・・・」
戦艦棲姫「調子ニノルナヨ!・・・艦娘!」
山城「・・・そちらこそ?深海棲艦!」
互いに主砲を構える・・・砲弾は装填済み、後は発射するだけ
戦艦棲姫「・・・」
山城「・・・」
風が吹き抜ける・・・さらさらと心地よく。二人は対峙しただにらみ合い機会をうかがう・・・そして。
戦艦棲姫「敵艦捕捉・・・全主砲・・・」
山城「主砲・・・よぉく狙って・・・」
・・・・風が吹き止んだ。
戦艦棲姫「薙ギ払エェ!!」
山城「てぇぇぇぇーー!!」
轟音・・・超弩級戦艦2隻による主砲一斉射の音と衝撃は空気と海水を伝わり噴出した硝煙と水しぶきは辺り一面を包んだ。
天龍「・・・どうなった」
雲龍「わからないわ・・・ただ」
阿賀野「とんでもない衝撃・・・当れば命は無いわね二人とも」
吹雪「まだ・・・見えない!」
青葉「落ち着いてくださいよ・・・それよりも最悪の想定を!」
海藤「・・・あぁ、各艦いつでも戦えるようにしていてくれ」
水しぶきは止み、硝煙が晴れていくる・・・ふと影が見えた。
山城「・・・」
天龍「山城・・・!?」
雲龍「・・・まさか」
硝煙が完全に晴れるとそこに居たのは無傷の山城・・・そして山城に抱えられた一人の女性だった。
阿賀野「あの状況で?・・・やるじゃない」
吹雪「・・・助けたんですか?でもどうやって」
山城は女性を抱きかかえたまま歩みを続ける。
山城「・・・海藤中将」
海藤「山城君・・・ありがとう」
山城「狙いがずれたんですよ・・・本体を狙う筈が艤装だけを破壊してしまったみたいで」
そういって山城は女性を海藤に預けた。
海藤「ふふ・・・そうか」
山城「ええ・・・っぁ!?」
突然山城が膝を付き顔を苦痛でゆがませる・・・
吹雪「山城さん!?・・・」
山城「大丈夫です・・・ただ艤装が歪んじゃっただけですから」
天龍「歪むって・・・マジかよ」
雲龍「肩を貸すわ・・・阿賀野?」
阿賀野「ええ・・・今日のMVPさんだものね」
山城「あ,ありがとうございます・・・」
青葉「・・・アレが『覚醒」本来もつ艦娘の力ですか、危険ですね」
吹雪「青葉さん?・・・どうかしましたか?」
青葉「いえ!・・・ちょっと周辺の警戒をね?」
天龍「勝って兜のってやつかい?・・・流石は隊長の元部下だね」
???「てい・・・とく」
海藤「・・・さぁ帰ろう、大和」
???「・・・ふふ・・・は・・・い」
天鳥船 演習場
潜水艦「ふぅ・・・ふぅ」
これで何回目か・・・頭は吹き飛び胴も何回も離れた筈だがしぶとく回復している、それも一瞬のうちにだ。
隊長「まさかここまで回復するなんてなぁ・・・」
航空戦艦「あぁ・・・私は流石に飽きてきたが?」
隊長「奇遇だな・・・俺もだよ」
身体は回復しているが痛みや心理的なダメージは残っているようで潜水艦も満身創痍といった感じだ。
潜水艦「ふっ・・・ふふふ、貴様達は勘違いしていないか?」
隊長「なに?」
潜水艦「貴様達は・・・付け焼刃の強化によって一時的に私を上回っているだけに過ぎない」
航空戦艦「・・・」
潜水艦「いずれ貴様達はパワーを使い果たし!私のパワーが貴様達を上回るのですよ!」
あはははははは!!勘違いも甚だしいかも!
潜水艦「なに!?・・・その声・・・聞いた事あるぞ!!」
秋津州「あら?憶えてくれてたの?ウレシイわぁ」
明石「ええ・・・久しぶりですね?被験者No:0さん?」
潜水艦「・・・貴様ぁぁっぁ!!この悪鬼どもがぁぁ!!」
その名を呼ばれただけでこの怒り様・・・余程の恨みなのだろう。
秋津州「悪鬼ね・・酷い言い様じゃない?ゼロ」
潜水艦「殺す!・・・貴様は今すぐにでも殺してやるぞぉぉ!!」
主砲を構え秋津州達に向かって突撃する・・・だが
航空戦艦「させんよ!」
航空戦艦の大剣により右腕を切り捨てられ体制崩し止められてしまった。
潜水艦「何故だ!・・・貴様もこんな卑劣な研究によって妹と離れ離れになったんだろう!?苦痛を悲しみを!・・・味わっただろう航空戦艦!!」
秋津州「・・・」
航空戦艦「そうだ・・・」
潜水艦「復讐しようと決めたじゃないか!正規空母や航空戦艦、私達皆で!・・・こんな研究を始めたやつらに!許した国民どもに!!」
航空戦艦「その通りだ!!」
潜水艦「ならば!!」
航空戦艦「コマンダーと出会い・・・別世界の妹である駆逐棲姫と過ごして気付いたのだ!」
潜水艦「・・・」
航空戦艦「我らを改造した彼らも・・・凶行を許した者達もまた苦しみ・・・己の罪に押しつぶせれそうになっていた事を!」
秋津州「・・・!」
航空戦艦「シリンダー内で目を覚ますと主任はいつも泣いていた!・・・深海棲艦によって家族を奪われた子供はその瞳から感情を捨てた!人々は戦いによって疲弊し、今も深海棲艦との戦いで兵士が命を落としている!」
航空戦艦「そんな彼らに気付いた私には・・・復讐などできないよ潜水艦!!」
潜水艦「な・・・・」
航空戦艦「もう・・・彼らは罰を受けたのだ!」
潜水艦「だが・・・だがぁ!!!」
隊長「あきらめろ・・・お前の敗北は決まっている!覆す事はできん!!」
明石「隊長!・・・いまからプロトタイプ最後の武装のロックを解除します」
秋津州「彼を生んでしまった私の罪・・・できれば私が止めたいけど」
コマンダー「・・・罪は私にもある、彼らを思いとどまらせる事が出来なかった」
秋津州「隊長!彼を止めて!!その暖かな光で!」
明石「ロック解除・・・装甲展開!」
隊長「・・・・共鳴炉出力臨界!!全て奴に叩きつける!!」
白い艤装の一部が展開しそこからエネルギーがあふれ出してくる・・・暖かく、そして強さもあわせ持った光・・・それらが装甲に取り付くと力が漲っていくのを感じる。
潜水艦「な・・・なんだあれは!」
航空戦艦「わからないか?・・・あれが希望だ!」
光・・・それは白く清らかで。光・・・それは何よりも力強い。今俺の体がその光に包まれている・・・
明石「・・・プロトタイプはその共鳴炉の性質から常にエネルギーを増幅させながら戦います」
秋津州「そしてプロトタイプの装甲材は自動的にエネルギーを吸収し強化するものが使われているの」
コマンダー「だがその装甲も吸収できる限界を超えてしまうと崩壊してしまう・・・そのためプロトタイプには崩壊を防ぐ為にある手段が備えられている」
隊長「それが・・・最後の武装?」
明石「ええ・・・吸収しきれなくなったエネルギーを一気に放出する武装」
隊長「・・・わかったやってみるさ!」
目を開き潜水艦を見つける・・・狙いは奴だけだ。このエネルギーで原子・・・いやそれ以上のレベルまで消してやる。
隊長「行くぞ・・・潜水艦!」
潜水艦「くっ・・・こっちも出力を!」
無駄だ・・・幾ら出力を上げても今の俺の崩壊直前まで増幅した出力には勝てない。
隊長「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
潜水艦「な・・・はや!?」
スピードが桁違いだ・・・今なら空だって飛べると思えるほど体が軽い。
隊長「もらった!!・・・このままぁぁ!!」
水面を蹴り上げ上に向かって飛び上がる.
航空戦艦「天井を!?・・・・突破したか!」
天鳥船の甲板を貫き上空へと飛び上がる。
潜水艦「くそぉ!お前なんかに!俺達の恨みを!!復讐を!!!」
隊長「てめぇの戦う目的なんて知ったこっちゃねぇ!!」
潜水艦「貴様ぁ!!」
隊長「俺は!!ただ自分の信じる正義の為に戦う!・・・時雨や葛葉、雲龍,阿賀野,青葉ぁ!上げたらきりがないが愛する女や共に戦う友を守る為に!!」
隊長「お前を・・・倒す!!」
潜水艦「・・・この光?暖かな・・・そうかこれが希望?」
隊長「消えろォォォォォォォォォォォォ!!!!」
時雨「ねぇ!?あれ!!」
雪風「・・・光?」
金剛「はぁ・・・なんか心地いいものね」
瑞鶴「ええ・・・加賀にも見せてあげたいけど」
加賀「・・・・」
響「意識は無いけど脈はある・・・早く戻ろう」
皐月「あぁ・・・残った皆も気になるし」
夕立「・・・さぁ皆もう少しよ!!」
最上「・・・いいニュースだよ!山城が戦艦棲姫を撃沈!」
金剛「な・・・」
雪風「ならば・・・後は」
時雨「隊長も・・・勝ったみたいだよ」
皐月「どうしてわかるのさ?・・・」
瑞鶴「・・・まさかあれ?」
瑞鶴が指を刺す先には白い何かが上空から落下しているのが見える・・・
時雨「やばい・・・よね?」
雪風「時雨!!ここはいいから!!」
夕立「何とかして救いなさい!!」
時雨「わ・・わかった!!」
最上「瑞雲を先行させてる・・・位置は転送した!」
時雨「ありがとう!!」
最上から情報を元に機関の主力をあげる・・・なんとしてでも助けないと!!
時雨「待ってて!!今行くよ!!」
上空
隊長「・・・落ちてるな」
装甲や共鳴炉にあったエネルギー全て解放してしまった為身体を満足に動かす事も出来ない。
隊長「だが・・・倒せた・・・海面に叩きつけられても大丈夫だろうが痛いだろうなぁ」
・・・・まぁいいやとりあえずゆっくりしてるかな・・・
・・・ょ
隊長「?」
い・・ょー
隊長「声?・・・この声は時雨か?」
時雨「隊長ぉぉぉ!!!」
隊長「ま・・・まて!!危ないぞ!!離れろ!!!おれは大丈夫だから!!」
時雨「大丈夫!!僕に!!任せてぇぇぇ!!!」
隊長「お・・・おい!!」
時雨「久しぶりに使うかな・・・あの力をね」
目線を下に向けると落下地点に時雨が待機している・・・・まさか受けとめるつもりか?
隊長「しぐれぇぇぇ!!避けろぉぉぉぉぉ!!!」
ダメだ・・・避けないぞ!ぶ・・・ぶつかる!!
隊長「うわぁぁぁぁぁぁ!!」
時雨「ふん!」
・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?
隊長「あ・・・れ?」
時雨「おはよう」
目を開くと目の前には穏やかな笑顔の時雨が居た・・・まて?この姿勢は・・・・
青葉「お?・・・・隊長がお姫様抱っこされてますよぉ!!!」
阿賀野「え?嘘?・・・アハハ!!マジだよコイツ!!」
山城「そ・・・そんあ笑っちゃ・・んぷ・・ダメっですって・・ぷぷ」
天龍「・・・取りあえず何があったんだ?」
吹雪「さぁ?・・・」
雲龍「いいご身分ね?隊長様は・・・・」
隊長「なんで怒って・・・て時雨!!早くおろせぇ!!」
時雨「ダーメ!・・・さっきのお返しだよ?」
最上「気になって来て見たら・・・なんか楽しそうな事してるじゃないかぁ!」
加賀「まったく・・・何やってるのかしらね」
金剛「うらやましい?」
加賀「そ・・・そんな!・・・けほっ」
瑞鶴「無理しないの・・・おんぶしてあげるわね?」
雪風「・・・」
皐月「雪風はうらやましいんだよね?」
雪風「はぁ?何を・・・」
響「これでも付き合いは長いんだ見れば・・・ん?来たみたいだね?」
雪風「え?」
航空戦艦「雪風・・・」
皐月「じゃ~あ」
響「ごゆっくり~」
夕立「・・・・」
海藤「どうしたんだ?難しい顔して」
夕立「ん?・・・なんでもないわ」
海藤「そうか?・・・まぁ」
夕立「時雨の奴アレ使ったわね・・・まぁアレ位なら問題ないと思うけど」
方舟 艦橋
桐生「・・・・で皆は何をしてるんだ?」
副官「皆で隊長をからかってますね・・・楽しそうで何よりですよ」
桐生「そ・・そうか」
副官「敵性反応消失・・・任務は成功です、さて」
桐生「帰るか・・・だが」
副官「はい?」
桐生「もう少しぐらい・・・ゆっくりしてもいいだろうな」
副官「そうですね・・・ふふふ」
大本営 第1鎮守府 執務室
榛名「・・・葛葉元帥、報告書が上がってきました」
葛葉「来たか・・・早かったな」
榛名「・・・作戦が終了してから2週間は経っていますけど?」
葛葉「それでもさ・・・そうだ榛名君」
榛名「はい?」
葛葉「この書類を、全鎮守府に送ってくれないかな?」
榛名「はい・・・これは?」
葛葉「各鎮守府の提督を集め今後の方針等を決める会議の招待状だよ」
榛名「それでは・・・例の件を?」
葛葉「ああ・・・これからが本当の戦いだよ?我ら人類と・・・深海棲艦とのね?」
第9鎮守府 港
時雨「・・・」
いつもの景色・・・まぁつい最近まで処理の関係で急がしくてボーっとする事が出来なかったから・・・なんか懐かしい感じがするな。
時雨「はぁ・・・今日は寝てようかなぁ~」
上半身を後ろに倒し寝転がる・・・すると目の前にピンク色の髪が揺れていた。
時雨「へ?・・・・」
???「時雨・・・もうお休みですか?」
時雨「いやいや・・・流石に港じゃ寝ないって・・・って!?」
???「そうですか・・・まぁココで寝ては風邪をひいてしまいますからね」
ピンク色の髪・・・ちょっとキツめのだが綺麗な顔つき・・・そしてちょっとドスの効いたこの声は・・・・
時雨「不知火!?・・・いつ意識を!?」
不知火「昨日です・・・報告はしましたが?」
時雨「え?・・・聞いてない」
隊長「そりゃお前が聞いてないだけさ・・・他のやつは知ってるぞ?」
不知火「隊長・・・不知火今日付けで第9鎮守府に復帰します」
ビシッとした敬礼を決める・・
隊長「ご苦労・・・まぁ仕事はないから適当に頼むぞ」
不知火「了解しました・・それでは」
隊長「あ・・・不知火!」
不知火「はい?」
隊長「今日の1900に食堂に集合な?・・・遅れるなよ!」
不知火「ふふ・・・この不知火に落ち度はありませんよ?隊長達こそ遅れずに」
なんだ?あの顔・・・それに私達?気になるなぁ・・・・
隊長「?・・・ああ」
時雨「・・・」
隊長「なぁ・・・」
時雨「ん?」
隊長「渡したい物があるんだが・・・」
時雨「ふーん・・・・ん」
とりあえず隊長のほうは向かずに手を差し出す・・・
隊長「なんだその手は?」
時雨「?なんかくれるんでしょ?」
隊長「まぁ・・・そうだがなぁ・・・」
なんかいつもらしくないなぁ・・・なんかもじもじしてるし。
時雨「ほら・・・頂戴よ」
隊長「はぁ・・・わかったよ!ほら左手!」
時雨「・・・ん」
なんで手の指定?まぁいいやとりあえず差し出そう
隊長「・・・はい」
時雨「・・・・・え?」
指に・・・何か・・・輪のようななにかみたいな・・・・えっと・・・え?えええ?・・・指・・・輪?しかも・・・左?・・・・薬指!!?
時雨「ね・・・・ねぇ!これは・・・・何!?」
隊長「何って・・・指輪?」
時雨「んな・・・・ことは分かってる!どうして急に!?しかも左手の・・・そのぉ・・・薬指に?」
隊長「結婚だよ・・・して欲しいんだ」
時雨「でも・・・艦娘は!」
艦娘は艦霊によって艤装適応した姿を維持させる為、年をとる事は無い・・・それに艦娘自体は兵士と言うよりは兵器という面もある為、人権が無く艦娘という別のカテゴリに分けれている。そのため艦霊との契約を解除しなければ人間のように結婚する事は出来ない・・・だから僕は・・・
隊長「そのための・・・この指輪さ」
時雨「え・・・あ!夕立がしてた物と一緒?」
隊長「そう・・・ムジカから試作品をもらったのさ」
時雨「試作品?」
隊長「これは艤装の一部でな?対になる指輪をつけたもの同士の戦闘情報や戦術の共有が出来るものらしい」
時雨「へぇ・・・ん?でもこれがなんで?」
隊長「普通の指輪すると艤装が拒否反応示すだろ?・・・これなら」
時雨「拒否反応なしで常につけられるから・・・・結婚指輪みたいに?」
隊長「そう・・・・だからもういちど言うぞ?」
時雨「ふふ・・・うん!」
隊長「時雨・・・・俺とケッコンしてくれ」
時雨「うん・・・ふつつか者ですがよろしくお願いします」
ポタ・・・・ポタポタ・・・
隊長「ん?雨か?・・・」
時雨「そうだね・・・きゃぁ!」
・・・・急に雨足が・・・というかバケツをひっくり返したような雨になった・・・まったく何と言うかタイミングが悪いというか・・・
隊長「急ぐぞ・・・流石にこの雨はマズイ!」
時雨「そんなことないよ!・・・ほら!」
隊長「おい!濡れるってレベルじゃ!」
こんなに幸せな気分なのだ・・・こんな雨が降ったくらいじゃなんともない・・・むしろ今までのどの雨よりも嬉しく、愛おしくも感じる。
時雨「ふふふ・・・ねぇ?」
隊長「・・・時雨?」
本当に・・・本当に・・・
時雨「いい雨だね?」
???
コマンダー「・・・・いいのかい?」
駆逐棲姫「ウン・・・僕達ハ本来コノ世界ニハ居テハイケナイ人間」
コマンダー「そう・・・だな」
駆逐棲姫「・・・ネェ?」
コマンダー「うん?」
駆逐棲姫「手ヲ・・・握ッテ?」
コマンダー「あぁ」
駆逐棲姫「コレデ・・・コワクナイ」
コマンダー「じゃあ・・・」
駆逐棲姫「・・・ウン」
コマンダー「さようなら・・・時雨」
駆逐棲姫「サヨウナラ・・・隊長」
完結です・・・結構な長編になりましたかねぇ?
正直長すぎたような?・・・御感想があればコメント欄にぜひ・・・最後は駆け足になったしまったかな?続編の構想はあるので(正直これでも本来の話より半分以上削っている)次は新作?刀剣の奴・・・それとデレマスの奴も完結させますよー・・・・・多分
各キャラの強さの目安・・・大体だけど
隊長(最大出力)、航空戦艦(強化後)≧覚醒山城>>隊長(プロトタイプ)>ナイトメア時雨、ナイトメア雪風、プロトタイプ化阿賀野>雲龍、青葉、阿賀野、ナイトメア瑞鶴、ナイトメア皐月ナイトメア金剛>時雨、雪風、ナイトメア夕立>瑞鶴、金剛>隊長(特殊艤装)、響、皐月、加賀、天龍、夕立>最上、吹雪≧不知火、山城
ちなみに敵オリジナルの一部はある艦娘をイメージしています。
コメントをいただけると・・・もれなくふくろうが舞い踊ります。
優華て誰ですか
1の名無しさんコメントありがとうです
そうですねぇー…前作に当たる名無し提督を読んで頂くとわかると思います
まぁ説明しますと
第9鎮守府で交戦した揚陸艇姫の事ですね(・ω・)ノ少しわかりにくかったですね、気をつけます
コメ1ですありがとうございます思い出しました(o_ _)o
オリジナル?別に良いんじゃないすか(゚Д゚)やりたいようにやればいいんですよ(・ω・)
終わるにつれて話が雑になってる