ほっぽちゃん小説~いつか優しい海で~ 前編
※艦隊これくしょんの二次創作SSです。
※深海提督とか妄想設定多めです。
※矛盾も多いかも。
深海提督「内地への召還要請に、東方泊地よりただいま馳せ参じました。将官殿、何用でありますか」
将官「まあくつろぎたまえ。私と君の仲ではないか」
深海提督「はっ。身に染み入るお言葉であります。しかし、軍紀に差し障る事なので、このままでお願い致します」
将官「相変わらず君は真面目だな」
深海提督「私の数少ない取り柄なので」
将官「ふむ。その生真面目さを見込んで軍会議で君を推薦したのだ。あの時と変わらずで何よりだ」
深海提督「と言いますと、重大な案件でしょうか?」
将官「順を追って話す。まずはこの子を見てほしい。入ってきなさい」
ガチャッ
?「……ハジメ…マシテ」ロリーン
将官「どうだ?」
深海提督「うっはww我輩の前に天使が現れましたぞww」
将官「うむ。君の性癖も変わらずで何よりだ」
ロリ「クルシイ…」
深海提督「おっと、すまんすまん。衝動で思わず抱きしめていた」
将官「はっはっは。大事に扱ってくれたまえよ。その子は軍の最重要軍事機密だからな」
深海提督「……はっ?」
将官「ん?聞こえなかったのかね?その子は我々深海側の英知を結集した最新鋭の陸上型深海棲艦だ」
深海提督「……この幼女が、深海棲艦?」
将官「犯罪臭が凄まじいからやめれ」
深海提督「以後気をつけません」
将官「気をつけて欲しいのだが」
深海提督「ここは譲れません」
将官「話を戻す」
深海提督「すいません。ちょっと欲望が邁進(まいしん)してました」
将官「近年人類側が「艦娘」を駆使し、太平洋海域で反攻を行っておるのは、知っているね」
深海提督「聞き及んでおります。どこからともなく現れ、私たち深海側の勢力と互角か、それ以上に戦線を構築できる者達のことですね」
将官「うむ。その通りだ。最初は小さな反攻に過ぎなかったこともあって、軍司令部も本格的な介入はしなかった」
将官「恐らく近海に遊弋する艦隊だけで抑えられると考えていたのだろうな」
深海提督「慢心ですね。なぜ早々に対処しておかなかったのでしょう」
将官「私も散々意見具申していたのだがな。最後まで聞き入れてくれなかったよ」
将官「今となっては、我々の方が劣勢に立たされる側となった」
将官「南西諸島や北方海域が落ち、南方海域の要所であったサーモン海域の制海権を奪取され、南方の要であった「飛行場姫」や、艦隊決戦兵器で
あった「戦艦棲姫」が撃沈された」
将官「この事態を重く見た軍司令部は総力を挙げて、大規模な反攻作戦を取ることを決定した」
将官「その作戦の一環で、彼女を作ったのだ」
深海提督「具体的にはどのような作戦内容で、この子にどのような戦略的価値があるのですか?」
将官「今はどちらにも答えられない。だが、きたる時が訪れたら全てを話す」
深海提督「何故ですか?私が安易に側近や敵に情報を漏らすような男に見えますか?」
将官「全ては深海側の勝利の為だ。今回の作戦は大規模なものである。その為、綿密な連携や事前準備が必要になる。今は私の言葉を信じ、作戦を遂
行してくれないか?」
深海提督「…承服しました」
将官「感謝する」
深海提督「その作戦に携われないのであれば、私がここに召還された理由は何ですか?」
将官「率直に言おう。この子を育てて欲しい」
深海提督「……は?」
将官「君は耳が悪いのか?耳鼻科へ行く事を強く推奨するぞ」
深海提督「私が疑問を投げかけたのは、耳が悪いとかの問題ではなくて…。それに子育てをした経験もな」
将官「君の家族に弟や妹はいなかったのか」
深海提督「私は孤児ですので兄弟どころか、血の通った親戚筋を知りません」
将官「そうだったな。すまん、許せ」
深海提督「他人の幸せを妬み、己の不幸を嘆く時間は等の彼方へ葬りさりました。お気になさらないで下さい」
将官「では君の言葉にあやかって、話を進めさせてもらう」
深海提督「お願いします」
将官「この子の正式名称は「AL泊地」。または「北方棲姫」という」
将官「まあ、特に制約はないから、適当に呼ぶといい」
深海提督「はい」
将官「次に君の役目を言い渡す。彼女はこの世に具現化してからまだ日が浅い。なので、その時が来るまで、彼女の教育係をやってもらいたい」
深海提督「具体的にはどのようにすれば?」
将官「心配するな。簡単な話だ。親が子供を接するように、いつも通り職務を全うし、空いた時間に読み書きや遊び相手になってくれれば良い」
深海提督「それだけですか?」
将官「それだけだ。どうだ、君にも出来るだろう?」
深海提督「本当にそれだけなら、他の者にも出来るはずです。何も私を任命しなくても」
将官「なら、辞退するのか?」
深海提督「いえ、そんなつもりで言った訳では……」
将官「早々に家族を失った君は家族のいる幸せを知らない。家族がいるということは「帰る場所」があるということだ」
将官「だが、孤児故に君には帰る場所がない。故に、この戦争を何が何でも生き残ろうとする気迫が微塵にも感じられない」
深海提督「私は死を恐れていません。何故なら軍服を着たその瞬間から、戦火の中で死に絶えることは重々覚悟しているからです。むしろそれが軍人の
務めだと思います。私はこの戦争を軍人として戦い、桜のように美しく散っていきたいのです。家族なんて重荷にしかなりません」
将官「だからこそ君を選んだ。君は理解していない。君を失うことで、悲しむ人がいることを知ってもらいたいからな」
将官「君が自分の命に何の価値を見出してなくとも、周りの連中が君を無下にしていようとも、私は昔から現在に至るまで、君の命の重さを理解している
つもりだよ」
深海提督「……将官殿」
将官「その自暴自棄にも等しい意識が、彼女を通じてほんの少しでも変化してくれたら。という希望も含めて、彼女を君に預けるのだよ」
深海提督「……」
将官「「あなたの私情を挟めては、軍事行動に支障をきたします」といった顔をしているね」
将官「でも真面目で聡明な君なら、私の言わんとすることは汲み取ってくれるね」
深海提督「……はい。将官殿はお優しいのですね」
将官「長い付き合いではないか。もはや君は私の肉体の一つだ。失うには痛すぎる」
深海提督「……」
将官「それとも」ズイッ
将官「「君を推薦した私の顔に、泥を塗るようなことはしないでくれ」とでも言って、半強制的に従わせた方がいいかね?」
深海提督「……承服しました。謹んで、この任務を務めさせていただきたいと思います」
将官「よろしい」
将官「来なさい、北方棲姫」
ロリ「……」ススッ
将官「ほら、今日からこの人が君の家族だ」
ロリ「……オマエハ、モウカゾクデハ…ナイノカ?」
将官「いいや。家族だよ。遠くに離れていても、私達は家族だ」
ロリ「……ソウ…ナノカ」
将官「ああ」ニコッ
ロリ「……」
将官「では頼むぞ」
深海提督「はい」
-廊下-
深海提督「そういえば君の事をなんて呼べばいいんだ?」
ロリ「ホッポウセイキ」
深海提督「名前じゃなくて、あだ名とかないのか?」
ロリ「アダナ…?」
深海提督「ああ、あだ名だ。近しい人同士ならあだ名で呼び合うのが定石だ。将官殿から呼ばれてなかったのか?」
ロリ「ナイ」
深海提督「そうだったのか」
ロリ「ツケテ…ホシイ」
深海提督「あだ名をか?」
ロリ「……」コクン
深海提督「私、ネーミングセンスないのだが……いいのか?」
ロリ「……」コクン
深海提督「……笑うなよ?」
ロリ「ゼンショ…スル…」
深海提督「君は今日から……」
3ヶ月後
ガタンゴトン
「……テイトク」
「……」スースー
「テイトク」
深海提督「ん、あー」
ほっぽ「オキタ?」
深海提督「すまん、ちょっと居眠りしてた」
ほっぽ「…オツカレ?」
深海提督「昨日は深夜まで起きていたからな」
ほっぽ「…ダイジョウブ?」
深海提督「心配するな、私は大丈夫だ」ポンポンッ
ほっぽ「ヨカッタ」
深海提督「で、どうしたんだ、ほっぽ」
ほっぽ「キョウハ…ドコニイクノ…?」
深海提督「聞いて驚くなよ。今日は、将官殿の所へ行くんだ」
ほっぽ「ショウカン…ナツカシイ、ヒビキ」
深海「そっか、あの時以来なのか」
ほっぽ「マタアエルノ…」
深海提督「きっと遊んでもらえるぞ。良かったな、ほっぽ」
ほっぽ「…タノシミ」コクン
深海提督「(…この子を託されてはや3ヶ月か)」
深海提督「(この子と接しているうちに、将官の仰っていた意味が少し理解できたと思う)」
深海提督「(最初は煩わしかった。赤ん坊をあやしているようで、全く常識が通用しなかったからだ。そんな中で、執務が出来る程、私の神経は図太くはな
く、初めの数週間は任務に全く手がつかないほど、彼女に時間を割かれた)」
深海提督「(だが、彼女と接しているうちに、私の心の中で何かが芽生えていった)」
深海提督「(3ヶ月前の私は、戦いに身を置く事で、自らの存在意義を見出していた)」
深海提督「(だが今は違う)」
深海提督「(この子がいるから、私は頑張れるのだ)」
深海提督「(ここまで育てるのに、相当な苦労を要したが……)」
深海提督「(今となっては、心地よいと言っても良い思い出となっている)」
ほっぽ「テイトク……」
深海提督「どうしたんだ、ほっ…ぽ…?」
ほっぽ「イキガ…デキナイ…」ゴォォ
深海提督「列車の中で窓を開けては駄目だ!」ガチャン
ほっぽ「シヌカト…オモッタ」
深海提督「なんで窓を開けようと思ったんだ」
ほっぽ「テイトクガ…マエニアケロッテ…イッタ」
深海提督「あれはお前が、部屋の中でキャンプファイヤーしようとしたからだ」
ほっぽ「ナニガドウチガウノ…?」
深海提督「燃やすと煙が出るだろう。あの煙は人体に深刻な影響を与えるんだ。だから、部屋に充満しないように窓を開けたんだ」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「列車は走っているから周りの風が強いんだ。窓は風が列車の中に入らないようにするためにある。だから開けちゃだめ」
ほっぽ「ソレナラ…ベツニマドジャナクテモ…」
深海提督「窓って透明だろう」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「私の執務室の窓から見える物はなんだ?」
ほっぽ「アオイ…ウミ」
深海提督「今、列車の中から何が見える?」
ほっぽ「…ミドリ…ヤマ…」
深海提督「また窓を見てごらん」
ほっぽ「…イエガ…ミエル」
深海提督「列車は長旅だろう。人によっては本を持ち込んだり、先ほど私が寝ていたように昼寝をする者だっている」
深海提督「それ以外の人はどうだ。窓が無い密室の中では潰せる暇も潰せないだろう」
深海提督「だから窓をつける事で、一瞬ごとに移ろう景色を眺めるために、窓は存在しているんだ」
ほっぽ「…セカイハヒロイ」
深海提督「そう。世界は広いんだ。ほっぽの知らない世界がこの世には多々存在している」
ほっぽ「…イッテミタイ」
深海提督「ああ、いつか一緒に色んな所を巡りたいな」
ほっぽ「…ソノトキハ…ショウカンモイッショ…?」
深海提督「……」
深海提督「…ああ、将官殿もきっと二つ返事で頷いてくれるだろう。私がかけ合おう」
ほっぽ「…テイトク」
深海提督「ん?なんだ、ほっぽ」
ほっぽ「…ア」
ピンポーン
―まもなくー終点、深海首都前ー。お降りの際は、お荷物のお忘れの無いよう、お願い致しますー―
深海提督「もうすぐ首都だな。ほっぽ、降りる準備をしよう」
ほっぽ「…」コクン
~軍司令部正門~
憲兵「これより先は、深海提督殿だけお通ししろとの命令です」
深海提督「…やはりか」
憲兵「了承していただけますね」
深海提督「ああ」
憲兵「お連れできない北方棲姫は、貴官が出てくるまで、私共で預からせてもらいますが、よろしいですか?」
深海提督「構わない。連れて行ってくれ」
憲兵「ではどうぞ」スッ
深海提督「その前にほっぽと話をしていいか。彼女に何も事情を話していないんだ」
憲兵「…手短にお願いします」
ほっぽ「…」
ほっぽ「…ハイレナイノ?」
深海提督「なんでも、近々行われる大規模作戦の説明があるらしいんだ。ごめんな」
ほっぽ「…」
深海提督「心細いか?」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「なあに。心配するな。私が戻るまで、あのいかつい顔のおじちゃん達がほっぽの相手をしてくれる」
深海提督「もちろん、私が戻ってきたら一緒に遊んでやる。どうだ、大人しく待っててられるか?」
ほっぽ「…イヤ」ブンブン
深海提督「どうしたんだ。いつもならば、ここは首を縦に振るだろう」
ほっぽ「…ハヤク…テイトクト…アソビタイノ」
深海提督「ごめんな。それは無理なんだ。なるべく早く終わらせてくるから」
ほっぽ「…」
深海提督「…よし、じゃあこれをやろう」スッ
ほっぽ「…コレハ?」
深海提督「人類側の兵器、零式艦上戦闘機(のミニ模型)。通称”ゼロ戦”だ。どうだ、かっこいいだろう」
ほっぽ「…カワイイ」
深海提督「か、かわいいのか、これが?」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「具体的にはどのような所が?」
ほっぽ「…アシ…トカ」
深海提督「あ、あし?……九九艦爆とかではなく、これがか」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「(うーむ、どうもほっぽの美学的センスは異質だな。まあ私が言えた事ではないが)」
深海提督「よ、よし。肝心な遊び方を教えてやろう」
深海提督「ここを水平に持って、紙ヒコーキを飛ばす要領で前に飛ばすんだ」スイッ
ほっぽ「…トンダ」
深海提督「な、かっこいいだろう」
ほっぽ「…チョウダイ」
深海提督「少し待ちなさい」ガサガサ
深海提督「…よし、ほら、ここを持って飛ばしてみなさい」
ほっぽ「…」ヒョイ
スコッ
ほっぽ「…ツイラク…シタ」
深海提督「飛ばすには色々とコツがいるからな。私が帰ってくるまで、錬度を高めていてくれ」
深海提督「私が帰ってきたら、どっちがより遠くに飛ばせるが勝負しよう」
ほっぽ「…ワカッタ」
深海提督「じゃあ、行ってくる」
ほっぽ「…」コクン
深海提督「……ほっぽ」
ごめんな。
始めまして、オヤッチです。
某実況動画を見て妄想が捗ったので衝動的に書いてみました。
私の日記にも挙げていますが、最近見直してみて、少し思うところがあったので、修正を加えたものをここに挙げさせていただきます。
深海のお話か・・・
深海の町ってどんなのだろ
日記と動画について詳しく教えてください!
深海提督や将官の外見はやっぱり怪物なんですかね・・・?